JP2003293327A - 防音壁 - Google Patents

防音壁

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JP2003293327A
JP2003293327A JP2002099245A JP2002099245A JP2003293327A JP 2003293327 A JP2003293327 A JP 2003293327A JP 2002099245 A JP2002099245 A JP 2002099245A JP 2002099245 A JP2002099245 A JP 2002099245A JP 2003293327 A JP2003293327 A JP 2003293327A
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chlorine
vibration damping
chlorinated paraffin
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JP2002099245A
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Masahiro Nishii
雅宏 西井
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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  • Devices Affording Protection Of Roads Or Walls For Sound Insulation (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 騒音を効果的に軽減することができるととも
に厚みを薄くすることができ、しかも施工が容易な防音
壁を提供する。 【解決手段】 防音壁1は、壁本体2の少なくとも片面
に、損失正弦(tanδ)のピーク値が1.5以上であ
る有機高分子材料からなる制振シート3を片面において
貼り合わせ、同シート3の他面に、縦弾性係数が1GP
a以上である拘束部材4を貼り合わせたものである。好
ましい有機高分子材料は、塩素含有量20〜70重量%
の塩素系高分子材料と、炭素数12〜16で且つ塩素含
有量30〜70重量%の第1塩素化パラフィンおよび炭
素数20〜50で且つ塩素含有量30〜70重量%の第
2塩素化パラフィンの混合物とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路、鉄道、工場
などから発生する騒音を軽減する防音壁に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】道路、鉄
道、工場等から発生する騒音の防止対策としては、防音
壁を設置することが広く採用されている。これは、各種
防音対策の中では防音壁の費用が比較的安く、かつ種々
の騒音源に対して効果を有するからである。
【0003】この種の防音壁として、従来、互いに所定
の間隔をおいて配された2枚の金属板間に、グラスウー
ル、ロックウール等の吸音材が配され、いずれか一方の
金属板の周縁部を内方に曲げて吸音材の周囲を覆うよう
になされたものが用いられていた。
【0004】しかしながら、この防音壁では、吸音材の
吸音性能が十分ではないので、所望の騒音軽減効果を得
るためには、2枚の金属板間の間隔を大きくして吸音材
の厚みを大きくしなければならず、たとえば道路に設置
する場合、道路幅が制限を受けるという問題がある。
【0005】また、この種の防音壁として、特開平10
−292322号公報に記載されているものも知られて
いる。この公報に記載された防音壁は、ほぼ垂直な壁本
体の上端部に第1の吸音ユニットが設けられるととも
に、壁本体の反音源側の側面に反音源側へ突出するよう
に設けられかつ先端部が上方に屈曲した張り出し部の上
端部に第2の吸音ユニットが設けられ、第1吸音ユニッ
トが、壁本体の上端から左右方向に斜め上方に伸びる2
つの分岐壁と、これらの分岐壁の先端から互いに接近す
るように斜め上方に伸びる突出壁とを有するとともに、
両突出壁間に開口部が設けられており、第2吸音ユニッ
トが、張り出し部の上端から左右方向に斜め上方に伸び
る2つの分岐壁と、これらの分岐壁の先端から互いに接
近するように斜め上方に伸びる突出壁とを有するととも
に、両突出壁間に開口部が設けられているものである。
【0006】しかしながら、この防音壁では、構造が複
雑になって製造コストが高くなる。また、占有スペース
が大きくなるので、たとえば道路に設置する場合、道路
幅が制限を受けるという問題がある。さらに、この防音
壁を設置したり、既設の壁をこの防音壁に取り替える場
合、大型重機が必要になって、たとえば道路においては
車線規制を行わなければならず、交通渋滞の原因とな
る。しかも、施工コストも高くなる。
【0007】本発明の目的は、上記問題を解決し、騒音
を効果的に軽減することができるとともに厚みを薄くす
ることができ、しかも施工が容易な防音壁を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明による防
音壁は、壁本体の少なくとも片面に、損失正弦(tan
δ)のピーク値が1.5以上である有機高分子材料から
なる制振シートが片面において貼り合わせられ、同シー
トの他面に、縦弾性係数が1GPa以上である拘束部材
が貼り合わせられていることを特徴とするものである。
【0009】請求項1の発明において、制振シート用の
有機高分子材料は、損失正弦(tanδ)のピーク値が
1.5以上であれば、特に限定されないが、極性基を有
する高分子材料が好ましい。このような高分子材料の例
として、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジ
エンゴム、フッ素系ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、ポリビニルブチラール、クロロスルフォン化ポリエ
チレン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル系樹脂、塩素
化塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニ
ル−塩化ビニリデン共重合体、ハロゲン化ポリマー、フ
ッ素系ポリマー、臭素系ポリマー、ポリウレタン系熱可
塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマ
ー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられ
る。
【0010】有機高分子材料のハロゲン含有量は、少な
すぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬く
なりすぎて成形が難しくなるので、好ましくは20〜7
0重量%である。
【0011】有機高分子材料には必要に応じて可塑剤が
添加されてもよい。特に有機高分子材料が硬過ぎる場
合、可塑剤を添加するのが好ましい。可塑剤としては、
通常、塩化ビニル系樹脂に使用されるものが使用でき、
例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジエチル、フタ
ル酸ジイソノニル、テトラブロモフタル酸ジ−2−エチ
ルヘキシル等のフタル酸系可塑剤;トリクレジンホスフ
ェート、トリス(1,3−ジシクロ−2−プロピル)ホ
スフェート等のリン酸エステル系可塑剤;トリ−2−エ
チルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステ
ル系可塑剤;エポキシ系可塑剤;ポリエステル系可塑剤
などが挙げられる。植物油系の可塑剤も好ましい。塩素
化パラフィンのブリードアウトを抑制するには、フタル
酸系可塑剤が好ましい。これらは単独で用いても、2種
類以上組み合わせ用いてもよい。フタル酸系可塑剤以外
の可塑剤を用いる場合には、これにフタル酸系可塑剤と
併用するのが好ましい。
【0012】可塑剤の配合量は、有機高分子材料100
重量部に対し50〜200重量部、好ましくは60〜1
80重量部、より好ましくは100重量部以下である。
この範囲でブリードアウトが抑制でき、制振効果も発現
できる。
【0013】有機高分子材料には必要に応じて充填材が
添加されてもよい。特に、樹脂組成物にある程度の硬さ
を付与したいときは、充填材を添加するのがよい。充填
材としては、鉄粉、アルミニウム粉、銅粉等の金属粉;
マイカ、カオリン、モンモリロナイト、シリカ、炭酸カ
ルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
リン酸マグネシウム、結晶性炭素(グラファイト等)、
バーミキュライト等の無機質充填材などが例示される。
これらは、単独で用いられても、2種類以上併用されて
もいい。充填材の量は、多すぎると樹脂組成物の制振性
が低下するので、有機高分子材料100重量部に対し
て、好ましくは300重量部以下である。
【0014】有機高分子材料からなる制振シートの作製
方法は、特に限定されず、例えば押出成形法、カレンダ
ー成形法、溶剤キャスト法等の一般的なシート成形方法
であってよい。得られたシートを所要サイズにカットし
て防音壁の構成に供する。
【0015】請求項1の発明において、拘束部材は、縦
弾性係数が1GPa以上であるものであれば特に限定さ
れないが、制振シート用の有機高分子材料より縦弾性係
数が大きい材料がよい。
【0016】このような拘束部材の例として、鉛、鉄、
鋼材(ステンレス鋼を含む)、アルミニウム(アルミニ
ウム合金を含む)等の金属材料;コンクリート、石膏ボ
ード、大理石、スレート板、砂板、ガラス等の無機材
料;ポリカーボネート、ポリサルフォン等のビスフエノ
ールA変性樹脂;ポリ(メタ)アクリレートなどのアク
リル樹脂;塩化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂
等の塩素系樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン系ゴム等のゴム系材料;ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート等の飽和ポリエステル;
スチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオ
レフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、アラミド
(芳香族ポリアミド)等のポリアミド系樹脂;メラミン
系樹脂;ポリイミド系樹脂;ウレタン系樹脂;ジシクロ
ペンタジエン、ベークライト等の熱硬化性樹脂;木、紙
等のセルロース系材料;キチン、キトサンなどからなる
板材またはシートが挙げられる。
【0017】これらは単独で用いても、2以上の組み合
わせで用いてもよい。拘束部材はガラス繊維、カーボン
繊維、液晶などで補強されていてもよく、互いに異なる
材料からなる複合板であってもよく、さらに、これらの
材料からなる発泡体であってもよい。
【0018】拘束部材の形状は、好ましくはシート状で
ある。金属製の拘束部材の場合には、メッキや塗装等の
防錆処理を施すのが好ましい。平滑な金属板からなる拘
束部材は反射率が大きくなる傾向を有するので、表面に
凹凸を設ける、孔を開ける、拘束部材を無機材にする、
などにより反射率を低減させるのが好ましい。孔径は、
孔が汚れなどで塞がれないようにまた孔内に水が浸透し
ないように、直径3〜20mm程度にするのがよい。拘
束部材が振動していても、拘束部材の縦弾性係数があま
り低下しなければ、表面の凹凸や孔開けなどで防音効果
は増す傾向にある。
【0019】請求項1の発明において、制振シートおよ
び拘束部材の厚みは任意であってよいが、薄すぎると制
振性能が劣り、厚すぎると防音壁の厚みが大きくなるの
で、制振シートの厚みは好ましくは0.1〜10mm、
拘束部材の厚みは好ましくは0.01〜10mmであ
る。縦弾性係数100GPa以上の硬い拘束部材の場合
は、厚みは好ましくは0.05〜5mmである。
【0020】請求項2の発明による防音壁は、請求項1
の発明において、有機高分子材料が、塩素含有量20〜
70重量%の塩素系高分子材料と、炭素数10〜50で
且つ塩素含有量30〜70重量%の少なくとも1種の塩
素化パラフィンとからなる樹脂組成物であることを特徴
とするものである。
【0021】請求項2の発明において、有機高分子材料
を構成する塩素系高分子材料は、請求項1の制振シート
用の有機高分子材料のうち塩素系のものであってよく、
たとえば、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、
塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩素化ポリエチ
レン系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
【0022】塩素系高分子材料の塩素含有量は、少なす
ぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬くな
りすぎて成形が難しくなるので、20〜70重量%とす
るのがよい。
【0023】請求項2の発明において、有機高分子材料
を構成する塩素化パラフィンは、炭素数が10〜50
で、塩素含有量が30〜70重量%であるものであれ
ば、限定されず、液状のものでも固体のものでもよい。
塩素化パラフィンは、単一物質からなるものでも、2以
上の物質の混合物でもよい。塩素化パラフィンは1種類
で単独使用されても、2種類以上併用されてもよい。
【0024】塩素化パラフィンの炭素数は、小さすぎる
と塩素化パラフィンがブリードアウトしてしまい、大き
すぎると十分な制振性が発現しないため、好ましくは1
2〜50であり、塩素化パラフィンが1種類で使用され
る場合、好ましくは12〜20、より好ましくは12〜
16である。
【0025】塩素化パラフィンの塩素含有量は、少なす
ぎると、充分な制振性が発現せず、且つ、塩素化パラフ
ィンが塩素系高分子材料と相溶しにくくブリードアウト
する恐れがあり、多すぎると、やはり塩素化パラフィン
が塩素系高分子材料と相溶しにくくブリードアウトする
恐れがあるので、30〜70重量%とするのがよい。塩
素化パラフィンの塩素含有量が塩素系高分子材料の塩素
含有量に近いほど、制振性が良くなるので、塩素系高分
子材料の塩素含有量に従って、塩素化パラフィンの塩素
含有量を決めればよい。
【0026】請求項2の発明の有機高分子材料におい
て、塩素系高分子材料に対する塩素化パラフィンの量
は、少なすぎると十分な制振性が得られず、多すぎると
強度が小さくなって樹脂組成物が形態を保持しにくくな
るため、塩素系高分子材料100重量部に対して100
〜400重量部であることが好ましい。
【0027】請求項2の発明の樹脂組成物には必要に応
じて可塑剤、充填材等が添加されてもよい。可塑剤、充
填材の例示および添加量は請求項1におけるものと同じ
であってよい。
【0028】請求項3の発明による防音壁は、請求項1
の発明において、有機高分子材料が、塩素含有量20〜
70重量%の塩素系高分子材料と、炭素数12〜16で
且つ塩素含有量30〜70重量%の第1塩素化パラフィ
ンおよび炭素数20〜50で且つ塩素含有量30〜70
重量%の第2塩素化パラフィンの混合物(ただし第1塩
素化パラフィンの割合が第2塩素化パラフィンの割合よ
り大きい)とからなる樹脂組成物であることを特徴とす
るものである。
【0029】請求項3の発明において、有機高分子材料
を構成する塩素系高分子材料は、請求項1の制振シート
用の有機高分子材料のうち塩素系のものであってよく、
例えば、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩
化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩素化ポリエチレ
ン系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
【0030】塩素系高分子材料の塩素含有量は、少なす
ぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬くな
りすぎて成形が難しくなるので、20〜70重量%とす
るのがよい。
【0031】請求項3の発明の有機高分子材料におい
て、塩素化パラフィンは、炭素数12〜16で且つ塩素
含有量30〜70重量%の第1塩素化パラフィンおよび
炭素数20〜50で且つ塩素含有量30〜70重量%の
第2塩素化パラフィンの混合物である。このように炭素
数が互いに異なる2種の塩素化パラフィンを用いること
により、損失正弦(tanδ)のピーク値をより上昇さ
せ、すぐれた制振性を得ることができる。
【0032】この場合、第1塩素化パラフィンの割合を
第2塩素化パラフィンの割合より大きくすると、損失正
弦(tanδ)のピーク値をより上昇させるとともに長
期に亘って維持することができ、且つ、塩素化パラフィ
ンの制振シートからのブリードアウトを抑制させること
ができるので好ましい。
【0033】請求項3の発明の有機高分子材料におい
て、塩素系高分子材料に対する塩素化パラフィン混合物
の量は、少なすぎると十分な制振性が得られず、多すぎ
ると強度が小さくなって樹脂組成物が形態を保持しにく
くなるため、塩素系高分子材料100重量部に対して5
0〜400重量部であることが好ましい。
【0034】請求項3の発明の樹脂組成物には必要に応
じて可塑剤、充填材等が添加されてもよい。可塑剤、充
填材の例示および添加量は請求項1におけるものと同じ
であってよい。
【0035】請求項1〜3の発明による防音壁を設置す
る方法は任意であってよい。すなわち、予め壁本体に、
制振シートおよび拘束部材を貼り合わせておき、これを
現場に設置してもよく、あるいは予め壁本体を設置して
おき、現場においてこれに制振シートおよび拘束部材を
貼り合わせてもよい。いずれの場合にも施工性を良くす
るためには、予め制振シートと拘束部材を貼り合せて貼
り合わせ体を作製しておき、この貼り合わせ体を壁本体
の少なくとも片面に、制振シート側の面で貼付けるのが
よい。なお、壁本体としては、既設の壁や防音壁も含ま
れる。すなわち、既設の壁に制振シートおよび拘束部材
を貼り合わせて防音壁としたり、あるいは既設の防音壁
の防音性能を向上させるために制振シートおよび拘束部
材を貼り合わせることもある。
【0036】(作用)請求項1の発明による防音壁は、
壁本体の少なくとも片面に、損失正弦(tanδ)のピ
ーク値が1.5以上である有機高分子材料からなる制振
シートが片面において貼り合わせられ、同シートの他面
に、縦弾性係数が1GPa以上である拘束部材が貼り合
わせられているので、優れた制振性能を有する制振シー
トが振動を吸収し、高い防音性能を有する。しかも、優
れた防音効果を有するので、防音壁の薄肉化が可能にな
り、たとえば道路に設置する場合、限られたスペース内
で道路幅を広くとることができる。また、構造が簡単で
製造コストが安くなる。しかも、特開平10−2923
22号公報に記載された防音壁に比べて施工コストが安
くなる。さらに、この防音壁を設置したり、既設の壁を
この防音壁に取り替える場合、大型重機を必要とせず、
たとえば道路においても車線規制を行うことなく、路肩
規制だけでよいので、交通渋滞の発生を防止することが
できる。
【0037】請求項2の発明による防音壁では、有機高
分子材料として、塩素含有量20〜70重量%の塩素系
高分子材料と、炭素数10〜50で且つ塩素含有量30
〜70重量%の少なくとも1種の塩素化パラフィンとか
らなる樹脂組成物を用いるので、一層優れた制振性能を
有する防音壁が得られる。
【0038】請求項3の発明による防音壁では、有機高
分子材料として、塩素含有量20〜70重量%の塩素系
高分子材料と、炭素数12〜16で且つ塩素含有量30
〜70重量%の第1塩素化パラフィンおよび炭素数20
〜50で且つ塩素含有量30〜70重量%の第2塩素化
パラフィンの混合物(ただし第1塩素化パラフィンの割
合が第2塩素化パラフィンの割合より大きい)とからな
る樹脂組成物を用いるので、損失正弦(tanδ)のピ
ーク値をより上昇させるとともに長期に亘って維持する
ことができ、且つ、塩素化パラフィンの制振シートから
のブリードアウトを抑制させることができる。
【0039】請求項2および3の樹脂組成物は塩素化パ
ラフィンを含むので、適度な粘着性を有し、制振シート
と拘束部材とを貼り合わせる際、および制振シートと拘
束部材との貼り合わせ体を、壁本体に制振シート側で貼
り合わせる際、粘着剤や両面テープが必要でなく施工性
が良い。
【0040】
【発明の実施形態】以下、本発明の実施形態を、図面を
参照して説明する。
【0041】図1は、本発明による防音壁(1)は、壁本
体(2)の片面に、損失正弦(tanδ)のピーク値が
1.5以上である有機高分子材料からなる制振シート
(3)および制振シート(3)の片面に貼り合わされ、且つ縦
弾性係数が1GPa以上であるシート状拘束部材(4)よ
りなる貼り合わせ体(5)が、制振シート(3)側において貼
り合わせられたものである。
【0042】以下、本発明の具体的実施例を比較例とと
もに説明する。
【0043】実施例1 塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、商品名「エラスレ
ン402NA」、塩素含有量40重量%)100重量部
と、塩素化パラフィン(旭電化社製、品番「E50
0」、塩素含有量50重量%、平均炭素数14、炭素数
12〜16=99重量%)200重量部と、塩素化パラ
フィン(味の素ファインテクノ社製、商品名「エンパラ
70」、塩素含有量70重量%、平均炭素数26、炭素
数20〜50=99重量%)100重量部とをロール練
り機で混練し、得られた樹脂混練物を120℃でプレス
して、厚み1.0mmの制振シート(3)を得た。樹脂混
練物のtanδは3.5であった。
【0044】制振シート(3)に、シート状拘束部材(4)と
して厚み0.4mmの鋼板(中村商事社製、縦弾性係数
250GPa)を、制振シート(3)の粘着性を利用して
貼り合わせ、貼り合わせ体(5)を作製した。
【0045】この貼り合わせ体(5)を、厚み1.0mm
の壁本体(2)の片面に、制振シート(3)を壁本体(2)側に
して制振シート(3)の粘着性を利用して貼り合わせ、高
さ2.0mの防音壁(1)を形成した。この防音壁(1)を、
貼り合わせ体(5)が外側に来るように、幅員3.0mの
道路の両側に設置した。
【0046】そして、道路の幅方向の中央(防音壁から
1.5m離れた点)でかつ路面から1.5mの高さ位置
に72dBの音源を配置し、音源の作動開始時から5秒
間の等価騒音レベルLAeqを、全透過音のA特性音圧レ
ベルを測定することにより求めた。なお、音源が停止し
ている際の周囲の音(暗騒音)は57dBであった。そ
の結果、等価騒音レベルLAeqは61dBであった。
【0047】比較例 厚み10mmの樹脂発泡体の両面を厚み1.0mmの鋼
板で覆うことにより防音壁を形成し、この防音壁を幅員
3.0mの道路の両側に設置した。
【0048】そして、上記実施例と同様の条件で等価騒
音レベルLAeqを求めた。なお、音源が停止している際
の周囲の音(暗騒音)は57dBであった。その結果、
等価騒音レベルLAeqは62dBであった。
【0049】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、優れた制振性
能を有する制振シートが振動を吸収し、高い防音性能を
有する。しかも、優れた防音効果を有するので、防音壁
の薄肉化が可能になり、たとえば道路に設置する場合、
限られたスペース内で道路幅を広くとることができる。
また、構造が簡単で製造コストが安くなる。しかも、特
開平10−292322号公報に記載された防音壁に比
べて施工コストが安くなる。さらに、この防音壁を設置
したり、既設の壁をこの防音壁に取り替える場合、大型
重機を必要とせず、たとえば道路においても車線規制を
行うことなく、路肩規制だけでよいので、交通渋滞の発
生を防止することができる。
【0050】請求項2の発明によれば、一層優れた制振
性能を有する防音壁が得られる。
【0051】請求項3の発明によれば、損失正弦(ta
nδ)のピーク値をより上昇させるとともに長期に亘っ
て維持することができ、且つ、塩素化パラフィンの制振
シートからのブリードアウトを抑制させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による防音壁を示す部分拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
(1):防音壁 (2):壁本体 (3):制振シート (4):拘束部材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 壁本体の少なくとも片面に、損失正弦
    (tanδ)のピーク値が1.5以上である有機高分子
    材料からなる制振シートが片面において貼り合わせら
    れ、同シートの他面に、縦弾性係数が1GPa以上であ
    る拘束部材が貼り合わせられていることを特徴とする防
    音壁。
  2. 【請求項2】 有機高分子材料が、塩素含有量20〜7
    0重量%の塩素系高分子材料と、炭素数10〜50で且
    つ塩素含有量30〜70重量%の少なくとも1種の塩素
    化パラフィンとからなる樹脂組成物であることを特徴と
    する請求項1記載の防音壁。
  3. 【請求項3】 有機高分子材料が、塩素含有量20〜7
    0重量%の塩素系高分子材料と、炭素数12〜16で且
    つ塩素含有量30〜70重量%の第1塩素化パラフィン
    および炭素数20〜50で且つ塩素含有量30〜70重
    量%の第2塩素化パラフィンの混合物(ただし第1塩素
    化パラフィンの割合が第2塩素化パラフィンの割合より
    大きい)とからなる樹脂組成物であることを特徴とする
    請求項1記載の防音壁。
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