JP2005009190A - 防振まくら木 - Google Patents
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Abstract
【課題】曲げ剛性を確保しつつ、防振性、耐久性、製造性を向上させた防振まくら木を提供する。
【解決手段】上下に分割された複数のブロック材10,11の間に弾性を有する制振シート12を挟んで形成される防振まくら木1であって、ブロック材10,11は、一方のブロック材10の当接部位に長手方向全長に渡って突出する凸条部10bを有すると共に、他方のブロック材11の当接部位に凸条部10bと対応させて長手方向全長に渡って退入する凹条部11bを有しており、ブロック材10,11同士の間に制振シート12を挟み凸条部10bと凹条部11bとを上下に嵌合させて形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】上下に分割された複数のブロック材10,11の間に弾性を有する制振シート12を挟んで形成される防振まくら木1であって、ブロック材10,11は、一方のブロック材10の当接部位に長手方向全長に渡って突出する凸条部10bを有すると共に、他方のブロック材11の当接部位に凸条部10bと対応させて長手方向全長に渡って退入する凹条部11bを有しており、ブロック材10,11同士の間に制振シート12を挟み凸条部10bと凹条部11bとを上下に嵌合させて形成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は防振まくら木に係り、更に詳しくは、防振性を向上させつつ強度、耐久性、製造性を向上させたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
列車の通過に伴ってレールからまくら木へは大きな振動が伝わり、まくら木が振動して騒音の発生要因となる。また、まくら木の振動に伴ってまくら木周辺に敷設された標識や機器が共振して騒音が拡大されることもある。
このような振動に伴う騒音の発生を低減するために、従来は、まくら木の表面に弾性を有する制振材を貼付した防振まくら木が用いられていた。例えば、図18の様に、まくら木101の底面101aにウレタンゴムなどの制振材102を貼付した防振まくら木100が用いられている。この防振まくら木100は、レールからまくら木100に伝わる振動を制振材102で減衰、吸収し、バラストなどの道床に振動が伝達されることを阻止して騒音の発生を低減するものである。
【0003】
しかし、従来の防振まくら木100は、制振材102が直接レールや道床と当接するため、制振材102を厚くしなければ防振効果が得られず、安価に製することができなかった。特に、橋梁などに敷設される橋まくら木は、図18の様に、まくら木101が橋梁の支持体103と当接する面積が小さく、当接部位に荷重が集中して制振材102が局部圧縮され、振動の減衰、吸収効果を充分に発揮できなかった。
【0004】
そこで、図19の様に、上下に分割したブロック材111,112の間に制振材113を挟んで一体化した防振まくら木110も開発されている。
この防振まくら木110では、ブロック材111,112に局部的に荷重が加わった場合でも、ブロック材111,112によって制振材113の全面に略均等に荷重が分散されるので、制振材113の局部圧縮が防止されて制振効果の向上が図れるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図19の様な防振まくら木110では、上下に分割されたブロック材でまくら木110を構成するため、図18に示したまくら木100に比べて、まくら木の長手方向の曲げ剛性(EI)が低下して充分な強度を確保できなかった。また、ブロック材111がブロック材112に対して幅方向(レール方向)へのずれを生じ易く、制振材113がブロック材111,112の間で繰り返して擦られて摩耗し、耐久性に問題を生じていた。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みて提案されるもので、まくら木の曲げ剛性を確保しつつ防振性を向上させ、しかも、耐久性、製造性を向上させた防振まくら木を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために提案される請求項1に記載の発明は、上下に分割された複数のブロック材の間に弾性を有する制振シートを挟んで一体化して形成される長尺方形状の防振まくら木であって、上下に当接する各ブロック材は、一方のブロック材の当接部位に長手方向全長に渡って上方または下方へ突出する凸条部を有すると共に、他方のブロック材の当接部位に前記凸条部と対応させて長手方向全長に渡って上方または下方へ退入する凹条部を有しており、ブロック材同士の間に前記制振シートを挟み前記凸条部と凹条部とを上下に嵌合させて長尺方形状に形成される。
【0008】
まくら木の様な長尺方形材の長手方向の強度を検討する場合には、断面2次モーメント(I)を考察する必要がある。ここで、幅b、高さaの長尺方形材の長手方向の断面における水平軸(X軸)回りの断面2次モーメントIxは、断面における微小面積dAと断面の重心(以後、図心と記載)から微小面積dAまでのy軸方向の距離の自乗との積を断面全体について積分した値であり(式1)で示される。
【0009】
【数1】
【0010】
則ち、長尺方形材の断面2次モーメントは、高さaの3乗に比例して増大する。このため、上下に分割したブロック材でまくら木を構成すると、分割された各ブロック材の断面2次モーメント(I)の総和は、分割しない元のまくら木の断面2次モーメントに比べて著しく減少し曲げ剛性(EI)が低下する。
【0011】
本発明によれば、各ブロック材に長手方向全長に渡って上方または下方へ突出する凸条部あるいは退入する凹条部を設けている。
これにより、下方へ突出する凸条部を設けたブロック材では、凸条部を設けない場合に比べて高さが増大して断面2次モーメントが増加する。一方、下方へ退入する凹条部を設けたブロック材では、凹条部を設けない場合に比べて部分的に高さが減少して断面2次モーメントは減少する。
【0012】
しかし、凸条部を設けたブロック材と凹条部を設けたブロック材では図心の位置が異なるため、凸条部を設けたブロック材の断面2次モーメントの増加分は、凹条部を設けたブロック材の断面2次モーメントの減少分よりも大きい。これにより、凸条部や凹条部を設けないブロック材を用いる場合に比べて、まくら木を構成する各ブロック材の断面2次モーメントの総和を増加させることができ、長手方向の曲げ剛性(EI)を増大させることができる。また、断面2次モーメントの増加に伴って耐剪断荷重強度も向上する。
尚、凸条部および凹条部を設けたブロック材の断面2次モーメントの算出については後述する。
【0013】
また、本発明によれば、制振シートはブロック材の間に挟み込まれるので、ブロック材に局部的に荷重が加わっても、ブロック材によって局部荷重が分散されて均一な荷重が制振シートに加わる。これにより、制振シートの厚さを減少しても充分な制振力を得ることが可能となる。
【0014】
ブロック材は、凸条部と凹条部とを嵌合させて固定するだけでも良いが、各ブロック材と制振シートとの間に樹脂接着剤などを塗布して嵌合接合するのが良い。また、ブロック材同士をボルトやねじ釘などを用いて固定することも可能である。この場合、レールやタイプレートをまくら木に固定するボルトやねじ釘などを利用してブロック材同士の固定を行っても良い。
また、防振まくら木を構成するブロック材は2個であっても良く、3個以上であっても良い。また、ブロック材に設ける凸条部あるいは凹条部は1つだけ設けても良く、複数設けても良い。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防振まくら木において、各ブロック材は、長手方向の断面が左右対称形状となるように形成されており、ブロック材同士を上下に重ねて凸条部と凹条部を嵌合させることにより、ブロック材同士を幅方向へ位置決めしつつ当接させる構成とされている。
【0016】
本発明によれば、ブロック材同士の間に制振シートを挟んで凸条部と凹条部とを嵌合させれば、制振シートは嵌合部位に沿ってブロック材の間に挟まれつつ、ブロック材同士は幅方向に位置決めされて一体化される。これにより、防振まくら木の組み立てが極めて容易になる。また、凹条部と凸条部とが嵌合するので、ブロック材同士の幅方向への相対的な位置ずれが生じず、間に挟まれた制振シートの摩耗が防止される。これにより、防振まくら木の製造性、耐久性を向上させることが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の防振まくら木において、各ブロック材は、凸条部および凹状部をブロック材の幅方向の中央部に設けて形成される。
本発明は、請求項1または2に記載の防振まくら木において、ブロック材に設ける凸条部および凹条部の位置を規制したものである。本発明によれば、ブロック材同士の間に制振シートを挟み込んで容易に嵌合させることができ、曲げ剛性を向上させつつ製造性、耐久性を向上させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防振まくら木において、各ブロック材は、凸条部および凹条部にテーパーを設けて形成される。
本発明によれば、テーパーが設けられているので、嵌合の際に凸条部の角で制振シートを傷つけるような不具合がなく、制振シートを挟んだ状態で凸条部と凹条部とを容易に嵌合させることができる。また、嵌合後は、ブロック材同士の幅方向への位置ずれを確実に防止することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、平面によって上下に分割された複数のブロック材の間に弾性を有する制振シートを挟んで一体化して形成される長尺方形状の防振まくら木であって、分割されたブロック材のうち最も高いブロック材の高さが、防振まくら木の高さに対して所定比率以上である構成とされている。
【0020】
前記式1で示したように、長尺方形材の断面2次モーメントは、高さの3乗に比例する。このため、上下に分割したブロック材でまくら木を構成すると、分割された各ブロック材の断面2次モーメント(I)の総和は、分割しない元のまくら木の断面2次モーメントに比べて低下する。
【0021】
ここで、高さ方向に1:9の割合で分割したブロック材の間に制振シートを挟んで一体化した防振まくら木では、長手方向における上下方向の断面2次モーメントは約73%に低下する。同様に、4:6の割合で分割すると28%に減少し、高さ方向の中央で分割すると約25%に低下する。
【0022】
従って、まくら木に要求される断面2次モーメントが確保されるように、最も高いブロック材の高さの下限値を規制することにより、曲げ剛性(EI)を確保しつつ防振性を向上させた防振まくら木とすることができる。
また、本発明の防振まくら木によれば、制振シートはブロック材の間に挟み込まれる。従って、ブロック材に局部的に荷重が加わっても、ブロック材によって局部荷重が分散されて制振シートには全面に渡って略均一な荷重が加わる。これにより、制振シートの厚さを減少しても充分な制振力を得ることが可能となる。
【0023】
請求項6に記載の防振まくら木は、レール又はタイプレートが固定される部位に対応したまくら木の少なくとも上面に弾性を有する制振シートを接合し、当該制振シートを耐摩耗性を有する被覆材で被覆した構成とされている。
【0024】
本発明の構成によれば、まくら木の上面に制振シートが接合され、この制振シートは被覆材で被覆されている。そして、被覆材の上にレール又はタイプレートが載置されて固定される。従って、列車の振動に伴ってレール又はタイプレートとまくら木との間に摩擦が生じても、耐摩耗性を有する被覆材によって摩耗の発生が抑制される。また、レール又はタイプレートを介して伝わる振動は制振シートに吸収されてまくら木への伝達が抑制される。
被覆材としては、耐摩耗性の高い繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)などが好適である。
【0025】
請求項7に記載の防振まくら木は、長尺方形板状のスラブ道床に嵌め込んで用いられる防振まくら木であって、スラブ道床に嵌め込まれるまくら木の底面から長手両側面に渡る部位へ弾性を有する制振シートを接合し、当該制振シートを覆うように保護シートを接合して形成される構成とされている。
【0026】
本発明の防振まくら木によれば、防振まくら木をスラブに嵌め込む際の制振シートの損傷や、防振まくら木の敷設後における制振シートの損傷が保護シートによって保護される。また、制振シートはまくら木の底面及び長手両側面とスラブとの間に位置する。従って、まくら木に局部的に荷重が加わっても、まくら木によって局部荷重が分散されて制振シートには略均一な荷重が加わり、制振シートの厚さを減少しても充分な制振力を得ることが可能となる。
【0027】
保護シートには薄膜状で強度を有する素材が適しており、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアミド樹脂(ナイロン)或いはアルミニウム(AL)などを素材とした薄板材が好適である。
【0028】
ここで、前記請求項1〜7に記載した防振まくら木において、まくら木或いはまくら木を構成するブロック材は、ガラス長繊維強化硬質合成樹脂発泡体を素材とする合成木材で製するのが良い。
発泡樹脂の種類としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化樹脂であって硬質のものが好適に使用される。尚、発泡樹脂中に、圧縮強度の向上や低コスト化を図るために、炭酸カルシウム、石膏、タルク、水酸化アルミニウム、クレーなどの無機充填材や、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン等の軽量骨材が添加されても良い。
【0029】
板材の硬質樹脂発泡材を補強する繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維などの無機質繊維や、芳香族ポリアミド繊維等の合成繊維や天然繊維等の有機質繊維の何れかであればよいが、強度や経済性の面からガラス繊維が適している。繊維の形態は、ヤーン、クロス、ロービング、ロービングクロス、クロスマット等の長繊維形態のものが好適であり、必要に応じてチップ、ミドルファイバー等の短繊維やシラスバルーン等の中空充填材を併用しても良い。
【0030】
ガラス繊維としては、ガラスロービング、ガラスロービングクロス、ガラスマット、コンティニュアスストランドマット等の形態のものが挙げられる。この繊維は単独で使用しても良いし、2層以上積層して使用しても良く、また、長繊維と短繊維を混ぜて使用しても良い。最も好適な材料としては硬質ウレタン樹脂を長手方向へ引き揃えられたガラス長繊維で補強した発泡体である(例えば、商品名「エスロンネオランバー FFU」積水化学工業株式会社製)。
【0031】
まくら木にかかる応力は、主としてレールを支点とする曲げモーメントに起因するものであり、まくら木の長手方向への高い曲げ剛性(EI)が要求される。そこで、まくら木或いはまくら木を構成するブロック材を合成木材で成する場合、合成木材に含まれる繊維方向がまくら木やブロック材の長手方向となるようにするのが良い。則ち、合成木材の繊維方向を各角柱材の長手方向へ合わせたものや、或いは、繊維方向の異なる合成木材を積層した角柱材とすることにより、高い曲げ剛性を得ることができる。
【0032】
また、前記請求項1〜7に記載した防振まくら木において、まくら木或いはまくら木を構成するブロック材は、コンクリートで製することができる。ここに、コンクリート製のまくら木やブロック材とは、予めストレスを加えた鋼材をコンクリートに内蔵させて一体的に固着させたPC(Prestressed−Concrete)製のものを指す。この防振まくら木によれば、PC製まくら木の持つ耐摩耗性、低価格の長所を生かしつつ防振性を向上させたまくら木を構成することができる。
【0033】
また、前記請求項1〜7に記載した防振まくら木において、まくら木或いはまくら木を構成するブロック材は鉄で製することができ、鉄の耐摩耗性を生かしつつ防振性を向上させたまくら木を構成することができる。
【0034】
また、制振シートは、下記の制振材用樹脂組成物を板状乃至フィルム状に成形したものを用いるのが好ましい。
【0035】
本発明による第1の制振材用樹脂組成物は、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部と、平均炭素数が12〜16である塩素化パラフィン20〜200重量部とを含有する。塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量は好ましくは20〜70重量%、より好ましくは30〜70重量%であり、塩素化パラフィンの塩素化度は好ましくは30〜70重量%、より好ましくは35〜65重量%である。
【0036】
本発明による第2の制振材用樹脂組成物は、塩素含量20〜70重量%、好ましくは20〜65重量%の塩素含有熱可塑性樹脂100重量部と、平均炭素数12〜16で且つ塩素化度30〜70重量%、好ましくは30〜65重量%の塩素化パラフィンおよび平均炭素数20〜50で且つ塩素化度30〜70重量%、好ましくは30〜65重量%の塩素化パラフィンの混合物50〜300重量部を含有する。
【0037】
本発明による第3の制振材用樹脂組成物は、塩素含量30〜50重量%の塩素含有熱可塑性樹脂100重量部と、平均炭素数20〜50でかつ塩素化度30〜50重量%の塩素化パラフィンおよび平均炭素数20〜50でかつ塩素化度50〜70重量%の塩素化パラフィンの混合物50〜300重量部を含有する。
【0038】
上記第1から第3の制振材用樹脂組成物は、さらに、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対し、可塑剤を50〜200重量部含んでいてもよい。
【0039】
本発明による第4の制振材用樹脂組成物は、塩素含量50〜70重量%の塩素含有熱可塑性樹脂100重量部と、平均炭素数20〜50でかつ塩素化度30〜70重量%の塩素化パラフィン50〜300重量部と、フタル酸系可塑剤50〜200重量部とを含有する。
【0040】
上記第1から第4の制振材用樹脂組成物は、さらに、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対し、ロジン系化合物を1〜20重量部含んでいてもよい。
【0041】
本発明による第5の制振材用樹脂組成物は、塩素含量20〜70重量%の塩素含有熱可塑性樹脂100重量部と、平均炭素数12〜50且つ塩素化度30〜70重量%の塩素化パラフィン50〜300重量部と、ロジン系化合物1〜20重量部とを含有する。
【0042】
本発明による第6の制振材用樹脂組成物は、塩素含量20〜70重量%の塩素含有熱可塑性樹脂100重量部と、平均炭素数12〜16且つ塩素化度30〜70重量%の塩素化パラフィンおよび平均炭素数20〜50且つ塩素化度30〜70重量%の塩素化パラフィンの混合物50〜300重量部と、ロジン系化合物1〜20重量部とを含有する。
【0043】
上記制振材用樹脂組成物をシート状、フィルム状、板状などに賦形することにより制振材が得られる。この制振材を用いて遮音部材が構成される。
【0044】
上記組成物に用いられる塩素含有熱可塑性樹脂は、塩素を20〜70重量%含有する熱可塑性樹脂であればよい。塩素含有熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル系樹脂と塩化ビニリデン樹脂のブレンド、塩素化ポリエチレン系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0045】
塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量が20重量%以下であると制振性能が低下し、70重量%を超えると樹脂が硬くなり成形が難しくなる。
【0046】
塩素含有熱可塑性樹脂には、塩素以外の置換基、例えば、シアノ基、水酸基、アセチル基、メチル基、エチル基、臭素、フッ素等が、5重量%以下の範囲で含まれていてもよい。このような塩素以外の置換基の割合が5重量%を越えると、制振材性能が低下する嫌いがある。好ましい塩素含有熱可塑性樹脂は、貯蔵弾性率が低く、従って損失正接の値が大きい非晶質のものである。
【0047】
第1の塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量は好ましくは30〜70重量%であり、第3の塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量は30〜50重量%であり、第4の塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量は、50〜70重量%である。第2、第5および第6の制振材用樹脂組成物の塩素含量は20〜70重量%である。制振材用樹脂組成物の塩素含量が低すぎると、制振材の制振性が低下し、高過ぎると樹脂が硬くて成形が難しい。
【0048】
つぎに、塩素化パラフィンについて説明する。塩素化パラフィンの分子鎖構造は分枝状であってもよいが、直鎖状の塩素化パラフィンが好ましい。塩素化パラフィンの平均炭素数は数平均炭素数である。
【0049】
第1の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンは、塩素化度が好ましくは30〜70重量%のものである。第2から第6の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンは、塩素化度が30〜70重量%のものである。塩素化度が低すぎると十分な制振材性が発現せず、高すぎると塩素化パラフィンの相溶性が悪くこれがブリードアウトを起こす恐れがある。塩素化パラフィンの塩素化度は、塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量に近いほど相溶性が良く、また制振性能が高い。
【0050】
第1の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンの平均炭素数は、12〜16である。この平均炭素数が小さすぎると塩素化パラフィンがブリードアウトしてしまい、大きすぎると十分な制振性が発現しない。塩素化パラフィンの量は、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対して好ましくは20〜200重量部、より好ましくは50〜150重量部である。塩素化パラフィンの量が少なすぎると十分な制振性が得られず、多すぎると、ブリードアウトする恐れがある。
【0051】
第2の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンは、平均炭素数12〜16の塩素化パラフィンと、平均炭素数20〜50の塩素化パラフィンの混合物である。前者と後者の比は任意であってよいが、高い温度領域にて制振性を発現するには、前者の比率を高める方が良い。
【0052】
第3および第4の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンは、比較的安価な平均炭素数20〜50のものである。塩素化パラフィンの塩素化度は、塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量によって異なる。塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量が30〜50重量%である第3の制振材用樹脂組成物においては、相溶性と制振性の面から第1の塩素化パラフィンの塩素化度は30〜50重量%である。塩素含有熱可塑性樹脂に平均炭素数20〜50でかつ塩素化度30〜50重量%の塩素化パラフィン単体を配合しただけでは、得られた制振材の損失正接tanδが最高になる時の温度(以下、tanδ最高温度という)が0℃以下になって実際に多用される常温付近ではtanδの値が小さい場合が多く、良好な遮音性が得られない。一方、上記配合系に、平均炭素数20〜50でかつ塩素化度50〜70重量%の第2の塩素化パラフィンを更に配合してなる第3の制振材用樹脂組成物は、tanδ値が減少することなくtanδ最高温度を常温付近に発現させうることが知見されている。
【0053】
第5の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンは、平均炭素数12〜50且つ塩素化度30〜70重量%、好ましくは30〜65重量%のものである。
【0054】
第6の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンは、平均炭素数12〜16且つ塩素化度30〜70重量%の塩素化パラフィンおよび平均炭素数20〜50且つ塩素化度30〜70重量%の塩素化パラフィンの混合物である。この混合物を構成する2種類の塩素化パラフィンの比は任意であってもよいが、高い制振性を発現するためには、前者の比率を高くする方が良い。このような混合物の使用により、制振ピークを実際に使用する温度域において最適化することができる。
【0055】
第2から第6の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィン全体の割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対して50〜300重量部、好ましくは100〜250重量部である。この割合が大きいほど、塩素化パラフィン全体の割合が小さ過ぎると制振性能が低く、大き過ぎると、制振材の機械的強度が低くなり形状保持が困難となる。
【0056】
上記制振材用樹脂組成物には、必要に応じて、可塑剤、熱安定剤、充填材などが添加されてもよい。
【0057】
可塑剤としては、通常、塩化ビニル系樹脂に使用されるものが使用でき、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソノニル等のフタル酸系可塑剤;トリクレジンホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトルメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;エポキシ系可塑剤;ポリエステル系可塑剤などが挙げられる。植物油系の可塑剤も好ましい。塩素化パラフィンのブリードアウトを抑制するには、フタル酸系可塑剤が好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上組み合わせ用いてもよい。フタル酸系可塑剤以外の可塑剤を用いる場合には、これにフタル酸系可塑剤と併用するのが好ましい。
【0058】
可塑剤の配合量は、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対し50〜200重量部、好ましくは60〜180重量部、より好ましくは100重量部以下である。この範囲で、塩素化パラフィンのブリードアウトが抑制でき、制振効果も発現できる。
【0059】
塩素含量が高い材料では、塩素含有熱可塑性樹脂や塩素化パラフィンの分解が起き易いために、このような分解を防ぐ熱安定剤を配合するのが好ましい。熱安定剤としては鉛系安定剤の他、通常ポリ塩化ビニルに使用される安定剤が使用できる。熱安定剤の配合量は、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対し好ましくは1〜20重量部である。
【0060】
製品の透明性をあまり必要とせず制振材用樹脂組成物にある程度の硬さが必要な場合、同組成物に充填材を添加してもよい。充填材としては、鉄粉、アルミニウム粉、銅粉などの金属粉;マイカ、カオリン、モンモリロナイト、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、結晶性炭素(グラフアイト等)、バーミキュライト等無機充填材などが例示される。これらは単独で用ても、2以上の組み合わせで用いてもよい。
【0061】
充填材の配合量は、多すぎると制振材の制振性が低下するので、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対して好ましくは100重量部以下である。
【0062】
上記制振材用樹脂組成物において、製品に透明性が必要な場合、ロジン系化合物を配合する。ロジン系化合物は、ロジン金属塩、ロジンエステル等であってよい。ロジン系化合物の配合量は、通常、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜20重量部である。この配合量が1重量部未満であると、透明性の向上効果が低く、20重量部を越えると、ロジン系化合物が凝集し易くなり、透明性が阻害される恐れがある。光学特性のヘイズは5以下になると、散乱が小さく、景観を損なわないので好ましい。透明製品を得るのに特に好ましい制振材用樹脂組成物は、第5および第6の樹脂組成物である。
【0063】
上記制振材用樹脂組成物を賦形することにより制振材が得られる。制振材の形状は、シート状、板状、棒状、ブロック状などとすることができ、後述するように、遮音部材として使用される場合は、可撓性のあるシート状のものが好ましい。得られた制振材を所要サイズにカットして遮音部材の構成に供する。
【0064】
上記制振材用樹脂組成物から制振材を製造する方法は特に限定されるものではなく、例えば、押圧成形、プレス成形、カレンダー成形、インフレーション成形、ブロー成形、溶剤キャストなどが挙げられる。
【0065】
本発明の制振材用樹脂組成物から押出成形により制振材を製造する方法ついて説明をする。まず、本発明の制振材用樹脂組成物を押出機のホッパーに供給する。押出機の成形温度は、好ましくは[制振材用樹脂組成物の溶融温度−40℃]から[溶融温度+40℃]程度である。但し、制振材用樹脂組成物の分解温度が低い場合や、制振材用樹脂組成物の粘度がもともと低い場合は、成形温度はさらに低温であってもよい。
【0066】
押出機は単軸押出機でもよいが、混練性を向上させるためには2軸押出機が好ましい。後者の場合、スクリュの回転方向は、同方向でも異方向でもよい。スクリュ形態はフルフライトでもよいが、ミキシング部を設けた方がさらに混練性が向上する。平均ドメイン径を制御するためには、スクリュー回転数、スクリューミキシング部のカット形状、制御温度等を微妙に調整する。また、スクリュ長と直径比のL/Dも材料の組み合わせに応じて最適化する。
【0067】
押出機から吐出された制振材用樹脂組成物は、成形すべき制振材の断面形状に対応する通路を有する金型等に供給される。金型はTダイが望ましいが、圧力損失の上昇等によりTダイが使用できない場合、サーキュラーダイであってもよい。
【0068】
金型から排出された制振材は、狭圧されながら強圧引取機によって引き取られる。制振材を狭圧するには、これを所定のクリアランスを有する複数のロール中を通過させてもよいし、ベルト同士、又は、ベルトとロールとの間を通過させてもよい。
【0069】
狭圧温度は、上流側から、ガラス転移点が常温以下にある場合を除き、ガラス転移点以下まで徐々に下げるのが好ましい。
【0070】
狭圧の際、制振材の厚みが薄くなると、ロールやベルトの両面に分離付着し、シート化できない場合があるが、その場合、ロールやベルトにフッ素コート処理などを施して剥離性をあげる方法、離型紙やポリエチレン製のプロテクトフィルムを制振材の少なくとも片面に積層して剥離性をあげる方法などをとる。
【0071】
予め、制振材用樹脂組成物を、混練機により十分に混練した後、押圧成形に供するのが好ましい。混練機としては、ロール混練機、ニーダー、押出機などが挙げられる。
【0072】
カレンダー成形により制振材を製造するには、制振材用樹脂組成物を押出機により棒状に押し出し、押出し物を引取機で引き取りながら、狭圧ロールで狭圧するとよい。
【0073】
次に、溶剤キャストにより制振材を製造する方法について、説明をする。まず、制振材用樹脂組成物を、溶剤に溶解する。溶剤は、制振材用樹脂組成物を溶解するものであれば、特に限定されないが、塗工後、制振材用樹脂組成物を十分に乾燥できるよう、制振材用樹脂組成物の融点以下の沸点を有するものが好ましい。例えば塩素含有熱可塑性樹脂が塩素含量40重量%の塩素化ポリエチレン(融点90〜100℃)である場合、テトラヒドロフラン(沸点66℃)等の低沸点溶剤が好ましい。
【0074】
次いで、制振材用樹脂組成物の溶液を塗工機に供給する。塗工機は、制振材の厚み精度を良好にするために、ダイコーター、コンマコーターが好ましい。
【0075】
同溶液を金属またはプラスチック製支持体上に塗工する。次いで、支持体上の塗膜層を、連続的又は断続的に乾燥炉に供給し、乾燥後、支持体から剥離する。得られた制振材用樹脂組成物膜層を、さらに乾燥炉内でその両面から乾燥し、溶剤をはぼ完全に揮発させる。
【0076】
つぎに、制振材用樹脂組成物からなる制振材を用いて得られる遮音部材について、説明をする。かかる遮音部材は、制振材の少なくとも1面の少なくとも一部に、剛性部材(例えば、まくらぎを構成する上下のブロック材)が結合されているものである。剛性部材は、少なくとも制振材よりも引張弾性率の大きなものであればよい。剛性部材の引張弾性率は、小さすぎると制振材の振動吸収性能が低下するので、108N/m2以上であることが好ましい。このような剛性部材に使用される材料としては、鉛、鋼材(ステンレス鋼を含む)鉄鋼、銅、アルミニウム等の金属材料;コンクリート、石膏ボード、大理石、スレート、砂、ガラス等の無機材料;ビスフェノールA変成樹脂(ポリカーボネート、ポリサルホン等)、アクリル系樹脂〔ポリメチル(メタ)クリレート等〕、塩素系樹脂(ポリ塩化ビニル、塩素化塩化ビニル樹脂等)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフイン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、脂肪族ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン66等)、芳香族ポリアミド系樹脂(ケブラー29等)、熱可塑性ポリイミド系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂等の熱可塑性樹脂;メラミン系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、フェノール樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂等の熱可塑性樹脂;木質材料;その他キチン、キトサン等が挙げられる。これらは単独で用いても、2以上の組み合わせで用いてもよい。剛性部材はガラス繊維、カーボン繊維、液晶などで補強されていてもよく、互いに異なる材料からなる複合板であってもよく、さらに、これらの材料からなる発泡体であってもよい。
【0077】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
図1(a),(b)は、本発明に係る実施形態の防振まくら木1の部分分解斜視図および部分斜視図、図2は防振まくら木1に加わる荷重を示す説明図、図3は防振まくら木1のブロック材同士の固定構造を示す断面図である。
【0078】
防振まくら木1は、上下に分割されたブロック材10,11の間に制振シート12を挟んで一体化された長尺方形のまくら木である。
ブロック材10は、長手方向の断面が凸形状を有する長尺材である。則ち、ブロック材10は、長尺板状の平板部10aの下面の幅方向中央に下方へ向けて突出する凸条部10bを長手方向全長に渡って設けたものである。また、ブロック材11は、長手方向の断面が凹形状を有する長尺材である。則ち、ブロック材11は、ブロック材10と同一幅で同一長さを有する角柱材11aの上面の幅方向中央部に、下方へ向けて退入する凹条部11bを長手方向全長に渡って溝状に設けたものである。
【0079】
本実施形態では、ブロック材10,11は、ガラス長繊維強化硬質樹脂発泡体を素材とする合成木材で製しており、合成木材に含まれる繊維方向が各ブロック材10,11の長手方向となるように切り出したものを用いている。
制振シート12は弾性を有するゴム材で製され、ブロック材10,11と同一長さを有し、ブロック材10,11の当接部位に沿うだけの幅を有する方形状の薄いシートである。
【0080】
防振まくら木1を組み立てるには、まず、ブロック材11の上面および凹条部11bの内面に樹脂接着剤を塗布し、制振シート12を幅方向の中央が凹条部11bに入るようにしてブロック材11の上面に被せる。一方、ブロック材10の平板部10aの下面および凸条部10bに樹脂接着剤を塗布する。そして、制振シート12を挟んだ状態で、ブロック材10の凸条部10bをブロック材11の凹条部11bにあてがって押圧することにより、凸条部10bと凹条部11bを嵌合させる。これにより、ブロック材10はブロック材11に対して幅方向に位置決めされ、制振シート12を挟んで一体化されて防振まくら木1が完成する。
【0081】
本実施形態の防振まくら木1によれば、凸条部10bおよび凹条部11bを設けない場合に比べて、ブロック材10,11による曲げ剛性(EI)の和を増大させることができる。これにより、図2の様に、まくら木1の上面にレールを支点として加わる曲げモーメントF1や、まくら木1の敷設された道床の抗力に伴う剪断力F2に対して充分な耐荷重強度を発揮しつつ、制振シート12によって振動を効果的に減衰、遮断することが可能である。
【0082】
また、凸条部10bおよび凹条部11bを嵌合させているので、ブロック材10の側面に力F2が加わった場合でも、ブロック材10がブロック材11に対して幅方向へずれることがない。これにより、ブロック材10,11同士のずれに伴う摩擦運動によって制振シート12が摩耗する不具合がなくなる。
また、前記したように、制振シート12はブロック材の間に挟み込まれるので、ブロック材10,11に局部的に荷重が加わっても、制振シート12には分散された均一な荷重が加わり、制振シート12の厚さを減少しても充分な制振力を発現可能となる。
【0083】
本実施形態の防振まくら木1では、ブロック材10,11をボルトやねじ釘、埋栓などで固定することができる。
例えば、図3(a)の様に、ブロック材10の長手両側縁近傍に開口10cを設けると共に、ブロック材11に下穴11cを穿設し、ねじ釘14を開口10cを通して下穴11cにねじ込んでブロック材10,11を固定しても良い。また、ねじ釘14に代えて、レールを固定する犬釘や埋栓類(不図示)を利用してブロック材10,11を固定することも可能である。
また、図3(b)の様に、レールを支持するタイプレート13を固定するためのねじ釘14をブロック材10の開口10cを通してブロック材11の下穴11cにねじ込んで固定する構成を採ることもできる。
このように、ねじ釘14などを用いてブロック材10,11同士を固定することにより、防振まくら木1の剛性を一層向上させることが可能となる。
【0084】
本実施形態の防振まくら木1は、敷設に際して、図4の様に、ブロック材11が上方に来るように反転させて敷設することもでき、図1に示した場合と同様の防振性、強度および耐久性を得ることができる。
【0085】
ところで、ブロック材10,11に設ける凸条部および凹条部は種々の形状を採ることができる。図5〜図7は、凸条部および凹条部の形状例を示したもので、まくら木の長手方向矢視図として示している。
図5(a)に示す防振まくら木2は、ブロック材20の凸条部20aに下端部側に向かうに連れて幅を僅かに縮小させたテーパー加工を施すと共に、凸条部20aのテーパーに合わせて、ブロック材21の凹条部21aに底部側に向かうに連れて幅を僅かに縮小させたテーパー加工を施している。これにより、制振シート12を挟んだ状態で凸条部20aを凹条部21aに容易に嵌合させることができ、凸条部20aの下端側縁で制振シート12を傷つけるようなこともない。この防振まくら木2でも、図5(b)の様に、ブロック材20,21を上下反転させて敷設することが可能である。
【0086】
図6(a)に示す防振まくら木3は、ブロック材22の凸条部22aを断面が三角形となるように形成すると共に、凸条部22aに合わせて、ブロック材23の凹条部23aを三角形の断面形状としたものである。この防振まくら木3によれば、制振シート12を挟んだ状態でブロック材22,23の嵌合を一層容易に行うことができ、しかも、ブロック材22,23の幅方向へのずれを阻止することができる。この防振まくら木3でも、図6(b)の様に、ブロック材22,23を上下反転させて敷設することが可能である。
【0087】
図7(a)に示す防振まくら木4は、ブロック材24の凸条部24aを断面がまくら木4の全幅に渡る三角形となるように形成すると共に、凸条部24aに合わせて、ブロック材25の凹条部25aを三角形の断面形状としたものである。この防振まくら木4によれば、ブロック材24,25の構造を簡略化できると共に、制振シート12を挟んだ状態でブロック材22,23の嵌合を一層容易に行うことができ、しかも、ブロック材24,25の幅方向へのずれを防止可能である。この防振まくら木4でも、図7(b)の様に、ブロック材24,25を上下反転させて使用することが可能である。
尚、凸条部および凹条部の形状は、前記した形状の他にも種々の形状を採用することが可能であり、また、凸条部、凹条部を1つだけ設けた構成や複数設けた構成とすることもできる。
【0088】
次に、図8を参照して、前記図1に示した本実施形態の防振まくら木1を構成するブロック材10,11の断面2次モーメントを求める。尚、図8(a)はブロック材10の断面図であり、図8(b)はブロック材11の断面図である。ここで、通常、まくら木では上下方向の曲げ剛性(EI)を向上させることが重視されるため、以下の説明では、断面におけるX軸(横軸)回りの断面2次モーメントのみについて述べる。また、説明を簡単にするために、ブロック材10,11に設ける凸条部10b、凹条部11bの幅および高さを同一とする。
【0089】
ブロック材10は、図8(a)の様に、幅b、高さaである平板部10aの下面中央に幅c、高さdの凸条部10bが突出した形状であり、ブロック材10の図心をGo1、凸条部10bの図心をG1,平板部10aの図心をG2とする。一方、ブロック材11は、図8(b)の様に、幅b、高さeである角柱材11aの上面中央に幅c、深さdの凹条部11bを形成した形状であり、ブロック材11の図心をGo2、角柱材11aの図心をG3、凹条部11bの図心をG4とする。
【0090】
図8(a)において、ブロック材10の図心Go1の位置、則ち、凸条部10bの下端から図心Go1までのy軸方向の長さy1 、および、平板部10aの上面から図心Go1までのy軸方向の長さy2 は(式2)および(式3)で示される。但し、ブロック材10の断面積をAとする。
【0091】
【数2】
【0092】
【数3】
【0093】
ブロック材10の断面2次モーメントI1 は、凸条部10bと平板部10aの各々の断面2次モーメントを図心Go1に換算したものの和で得られ、(式4)で示される値となる。但し、ブロック材10において、凸条部10bの断面2次モーメントをIG1、断面積をA1 、平板部10aの断面2次モーメントをIG2、断面積をA2 とする。また、凸条部10bの図心G1および平板部10aの図心G2と図心Go1の長さを各々y1a,y2aとする。
【0094】
【数4】
【0095】
(式4)において、右辺第1項は平板部10aのみの断面2次モーメントIG2であり、凸条部10bを設けることによって第2、第3項が付加されて断面2次モーメントI1 が増大する。
尚、断面2次モーメントI1 は、幅b、高さ(a+d)の角材の断面2次モーメントから凸条部10bの左右の切り欠き部の断面2次モーメントを図心を一致させて換算しつつ差し引いて算出しても良い。
【0096】
次に、図8(b)において、ブロック材11の図心Go2の位置、則ち、角柱材11aの下面から図心Go2までのy軸方向の長さy3 、および、角柱材11aの上面から図心Go2までのy軸方向の長さy4 は(式5)および(式6)で示される。但し、ブロック材11の断面積をAとする。
【0097】
【数5】
【0098】
【数6】
【0099】
ブロック材11の断面2次モーメントI2 は、凹条部11aのない角柱材11aの断面2次モーメントを図心Go2に換算した値から、凹条部11aの断面2次モーメントを図心Go2に換算した値を差し引いて得られ、(式7)で示される値となる。但し、ブロック材11において、角柱材11aの断面2次モーメントをIG3、断面積をA3 、凹条部11bの断面2次モーメントをIG4、断面積をA4 とする。また、角柱材11aの図心G3および凹条部11bの図心G4と図心Go2の長さを各々y3a,y4aとする。
【0100】
【数7】
【0101】
(式7)において、右辺第1項は凹条部11bを設けない場合の角柱材11aの断面2次モーメントであり、凹条部11bを設けることによって第2、第3項が付加されて断面2次モーメント が減少することが分かる。
尚、断面2次モーメントI2 は、幅b、高さ(e−d)の平板材の断面2次モーメントに凹条部11bの左右の突出部の断面2次モーメントを図心を一致させつつ加算して算出しても良い。
【0102】
ここで、図8(a),(b)において、例えば、a=7cm、b=25cm、c=10cm、d=8cm、e=15cmとし、これらの値を(式4)および(式7)に代入してブロック材10,11の断面2次モーメントI1 ,I2 を求めると(式8)、(式9)に示す値となる。
I1 ≒(714+3515) [cm4] ・・・(式8)
I2 ≒(7031−1672)[cm4] ・・・(式9)
【0103】
(式8)において、右辺第1項の値はブロック材10の平板部10aのみの断面2次モーメントであり、凸条部10bを設けることによって右辺第2項の値が増加している。また、(式9)において、右辺第1項の値はブロック材11に凹条部11bを設けない場合の断面2次モーメントであり、凹条部11bを設けることによって右辺第2項の値が減少している。
しかし、ブロック材11の断面2次モーメントの減少分よりもブロック材10の断面2次モーメントの増加分が大きい。これにより、平面で分割した場合に比べて各ブロック材10,11の断面2次モーメントの和を増加させることができ、防振まくら木1の曲げ剛性(EI)および耐剪断荷重力を増大させることが可能となる。
【0104】
尚、上記説明では、図1に示した防振まくら木1の断面2次モーメントを算出したが、前記図5〜図7に示した防振まくら木2〜4についても同様に算出することができ、断面2次モーメントが増加することが確認できる。
【0105】
図9(a),(b)は、本発明に係る別の実施形態の防振まくら木5の部分分解斜視図および部分斜視図、図10は防振まくら木5の斜視図である。
防振まくら木5は、平面によって上下に分割されたブロック材50,51の間に弾性を有する制振シート52を挟んで接合して一体化したものである。
【0106】
本実施形態では、ブロック材50,51は、ガラス長繊維強化硬質合成樹脂発泡体を素材とする合成木材で製しており、合成木材に含まれる繊維方向が各ブロック材50,51の長手方向となるように切り出したものを用いている。また、制振シート52は弾性を有するゴム材で製され、ブロック材50,51と同一長さ及び幅を有する方形状の薄いシートである。
【0107】
この防振まくら木5よれば、制振シート52がブロック材の間に挟み込まれるので、図10の様に、ブロック材51のタイプレートTの固定部位に局部的に荷重が加わっても、ブロック材51によって局部荷重が分散されて略均一な荷重が制振シート52に加わる。これにより、制振シートの厚さを減少しても充分な制振力を発現可能である。
【0108】
この防振まくら木5では、ブロック材50の高さH1を防振まくら木5の高さHに対してH1>=H×0.6となるように設定している。則ち、分割されたブロック材50,51のうち最も高いブロック材50の高さH1が、防振まくら木5の高さHに対して60%以上となるように下限値が規制されている。
【0109】
ここで、ブロック材50の高さH1=0.6H、ブロック材51の高さH2=0.4Hに設定した場合、ブロック材50,51の各々の断面2次モーメントの和は、まくら木を分割しない場合に比べて約28%に低下する。しかし、防振まくら木5の幅及び高さを適宜に設定して必要な断面2次モーメントを確保することにより、曲げ剛性(EI)を確保しつつ防振性を向上させたまくら木とすることが可能である。
本実施形態の防振まくら木5は、通常まくら木や分岐まくら木或いは橋まくら木として採用することにより振動や騒音の発生を効果的に低減可能である。
【0110】
尚、防振まくら木5のブロック材50,51同士を固定する構造としては、タイプレートTやレール(不図示)を固定するねじ釘によって固定する構造や、ブロック材50の上面からブロック材51に至る下穴を穿孔し、当該下穴にコーチねじなどをねじ込んで固定する構造を採ることができる。
また、本実施形態の防振まくら木5では、合成木材製のブロック材50,51を用いたが、PC製や鉄製のブロック材50,51を用いた構成を採ることも可能である。
【0111】
図11(a),(b)は、本発明に係る別の実施形態の防振まくら木6の部分分解斜視図および部分斜視図、図12は防振まくら木6の斜視図である。
防振まくら木6は、タイプレートTが固定される部位に対応したまくら木60の上面60aから長手両側面60bの上部側にかけて制振シート61を接合し、この制振シート61の上から耐摩耗性を有する被覆材62を被覆した構成である。
【0112】
本実施形態においても、まくら木60は、ガラス長繊維強化硬質合成樹脂発泡体を素材とする合成木材で製しており、合成木材に含まれる繊維方向がまくら木60の長手方向となるように切り出したものを用いている。また、制振シート61は弾性を有するゴム材で製され、まくら木60の上面60aから長手両側面60bの上部に渡る幅と、タイプレートTよりも僅かに長い長さとを有する方形状の薄いシートである。
また、被覆材62には、炭素繊維やガラス繊維をプラスチックのマトリックスに配合した耐摩耗性を有する繊維強化プラスチック(FRP)を用いており、このFRPを制振シート61の上から被覆している。
このFRP層の表面に、更に耐摩耗性を有するゴムシートが貼り付けられていても良い。
【0113】
この防振まくら木6によれば、タイプレートTやレールを介して伝わる振動による摩擦が生じても、耐摩耗性を有する被覆材62によって摩耗が生じることが防止され、しかも、制振シート61によって振動がまくら木60に伝達されることを効果的に抑制することが可能である。
また、強度を有する被覆材62が制振シート61に加わる荷重を分散させる効果を奏するので、制振シート61へ加わる荷重が略均一化されて制振効果が向上する。
【0114】
また、防振まくら木6は、制振シート61及び被覆材62をレールやタイプレートTが固定する部位の近傍にだけ設ければ良いので、防振性を向上させつつ省コスト化を図ることが可能である。
本実施形態の防振まくら木6は、通常まくら木や分岐まくら木或いは橋まくら木として採用することにより振動や騒音の発生を効果的に低減可能である。
尚、防振まくら木6では、合成木材製のまくら木60を用いたが、PC製や鉄製のまくら木を用いることも可能である。
【0115】
図13は本発明に係る別の実施形態の防振まくら木7の分解斜視図、図14及び図15は防振まくら木をスラブ道床に取り付ける状態を示す斜視図、図16は図14のA−A矢視断面図である。
【0116】
防振まくら木7は、スラブ道床に嵌め込んで用いるまくら木であり、まくら木70の底面70cから長手両側面70bに渡る部位に弾性を有する制振シート71を接合し、この制振シート71を覆うように保護シート72を接合した構成である。
【0117】
この防振まくら木7は、図14の様に、長尺方形板状のスラブ道床8に設けられた複数の嵌入孔80・・に嵌め込まれて使用される。
本実施形態においても、まくら木70は、ガラス長繊維強化硬質合成樹脂発泡体を素材とする合成木材で製しており、合成木材に含まれる繊維方向がまくら木70の長手方向となるように切り出したものを用いている。また、制振シート71は弾性を有するゴム材で製され、まくら木70の底面60cから長手両側面60bにかけてを覆う長さ及び幅を有する方形状の薄いシートである。
【0118】
また、保護シート72は、防振まくら木7を嵌入孔80に嵌め込む際に、嵌入孔80の角で制振シート71が損傷することを防止するためのもので、薄膜状で強度を有するポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアミド樹脂(ナイロン)或いはアルミニウム(AL)などを使用することができる。
また、スラブ道床8は、コンクリートで製されたものを用いている。
【0119】
また、図15に示される防振まくら木90は、中央にレールの長手方向と平行に排水溝97が設けられたスラブ道床9に用いられるものである。そして、防振まくら木90はまくら木70、制振シート91及び保護シート92を有し、制振シート91及び保護シート92は、スラブ道床9の嵌入子95に対応させてまくら木70の木口、側面及び底面に部分的に取り付けられている。なお、制振シート91及び保護シート92は、上記した制振シート71及び保護シート72と同様な材質のものを用いている。
【0120】
防振まくら木7をスラブ道床8に嵌め込むと、図14,図16の様に、まくら木70とスラブ道床8との間に制振シート71及び保護シート72が挟まれた状態となる。また、防振まくら木90をスラブ道床9に嵌め込むと、図15の様に、まくら木70とスラブ道床9との間に制振シート91及び保護シート92が挟まれた状態となる。
従って、タイプレートやレールからまくら木70に局部的に加わる荷重を、まくら木70によって分散しつつ制振シート71、91の全面に加えて制振させることができ、薄い制振シート71、91によって充分な制振力を発現可能である。
【0121】
図17は、防振まくら木7及びスラブ道床8の構成を一部変更した実施形態を示す断面図である。
防振まくら木7’は、前記した防振まくら木7において、まくら木70の長手両側面70bの下部に長手方向に向けて係止溝70dを設けたものである。これに伴い、まくら木70の底面70cから長手両側面70bにかけて接合される制振シート71及び保護シート72も、係止溝70dの部位において溝状に陥没しており、保護シート72の表面に係止溝72aが形成されている。
【0122】
一方、スラブ道床8’は、嵌入孔80の長手両垂直壁に、防振まくら木7’の係止溝72aに対応させて係合突起80aを長手方向に向けて設けている。
そして、防振まくら木7’をスラブ道床8’の嵌入孔80に圧入すると、係合突起80aによって保護シート72が押圧され、制振シート71が弾性変形しつつ、防振まくら木7’は嵌入孔80に圧入される。そして、係止溝72aが係合突起80aに至ると互いに係合して防振まくら木7’はスラブ道床8’に固定される。
【0123】
このように、本実施形態によれば、防振まくら木7’をスラブ道床8’に圧入するだけで強固に固定することが可能である。
本実施形態の防振まくら木7,7’を用いたスラブ道床8,8’は、通常まくら木や分岐まくら木として採用することにより振動や騒音の発生を効果的に低減可能である。
尚、防振まくら木7,7’では、合成木材製のまくら木70を用いたが、PC製や鉄製のまくら木を用いた構成を採ることも可能である。
【0124】
次に、制振シート(制振材)の実施例について、更に詳しく説明する。
(実施例1〜4、比較例1、2)
1.制振材の作製
表1に示した所定量の塩素含有熱可塑性樹脂〔塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、商品名「エラスレン401」:塩素含量40重量%)、ポリ塩化ビニル(積水化学工業社製、品番「SLP40」:塩素含量57重量%)、塩素化塩化ビニル樹脂(積水化学工業社製、品番「HA05K」:塩素含量70重量%)〕とフタル酸ジオクチルをニ−ダー(モリヤマ社製、型式「G50−15型」)により混練した後、塩素化パラフィン〔(旭電化社製、品番「A−430」:平均炭素数14、塩素化度43重量%)、(東ソー社製、商品名「トヨバラックス270」:平均炭素数12、塩素化度70重量%)、(東ソー社製、商品名「トヨパラックス265」:平均炭素数12、塩素化度65重量%)、(東ソー社製、商品名「トヨパラックスA−40」:平均炭素数25、塩素化度40重量%)、(味の素ファインテクノ社製、商品名「エンパラ70」:平均炭素数26、塩素化度70重量%)〕をニーダーに供給して所定温度で混練し、制振材用樹脂組成物を得た。得られた制振材用樹脂組成物を、吐出部にTダイを備えた一軸押出機(GMエンジニアリング社製、型式「GM50」)に供給し、所定のバレル及び金型温度で押出成形して、厚み1mmのシート状制振材を作製した。
【0125】
2.制振材の評価
実施例1〜4、比較例1、2で得られたシート状制振材を、粘弾性測定器(東洋精機製作所社製、商品名「レオログラフ」)により、周波数100Hzで貯蔵弾性係数(E’)及び損失弾性係数(E”)を測定し、tanδ(=E”/E’)を算出した。このとき、tanδが最高になるときの温度及びtanδを表1に纏めて示す。
【0126】
【表1】
【0127】
(実施例5)
塩素化ポリエチレン(昭和電工社製「エラスレン402NA」、塩素含量40重量%)100重量部と、平均炭素数10〜16塩素化パラフィン(旭電化社製「E500」、塩素化度50重量%、平均炭素数=14)150重量部と、平均炭素数20〜50塩素化パラフィン(旭電化社製「A430」、塩素化度43重量%、平均炭素数=25)50重量部をロール練り機で混練し、得られた樹脂組成物を120℃でプレスして厚さ1mmのシート状制振材を作製した。
【0128】
(実施例6)
塩素化ポリエチレン(昭和電工社製「エラスレン402NA」、塩素含量40重量%)100重量部と、平均炭素数10〜16塩素化パラフィン(東ソー社製「トヨパラックス265」、塩素化度65重量%、平均炭素数=12)150重量部と、平均炭素数20〜50塩素化パラフィン(旭電化社製「A−430」、塩素化度43重量%、平均炭素数=25)50重量部をロール練り機で混練した。それ以降は、実施例5と同様な方法でシート状制振材を作製した。
【0129】
(比較例3)
塩素化パラフィンとして平均炭素数10〜16塩素化パラフィンを用いず、平均炭素数20〜50塩素化パラフィン(旭電化社製「A430」、塩素化度43重量%、平均炭素数=25)のみを200重量部用いた。それ以外は、実施例5と同様な方法でシート状制振材を作製した。
【0130】
(比較例4)
塩素化パラフィンとして平均炭素数20〜50塩素化パラフィンを用いず、平均炭素数10〜16塩素化パラフィン(旭電化社製「E500」、塩素化度50重量%、平均炭素数=14)のみを200重量部用いた。それ以外は、実施例5と同様な方法でシート状制振材を作製した。
【0131】
(比較例5)
塩素化ポリエチレンの代わりに、塩素を全く含有しない樹脂であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井ポリケミカル社製「P−1905」、塩素含量0重量%)を用いた。それ以外は、実施例5と同様な方法でシート状制振材を作製した。
【0132】
・制振材の評価
実施例5、6及び比較例3〜5で得られた制振材の性能を下記の方法で評価した。この結果を表2にまとめて示す。
【0133】
【表2】
【0134】
作製直後及び作製後1年のシート状制振材の損失正接を粘弾性測定器(東洋精機製作所社製「レオログラフ」)を用いて、温度−60〜60℃、周波数100Hzの条件で測定した。尚、損失正接tanδ(=E”/E’)は常法により縦弾性係数(E′,E”)より算出し、得られた損失正接の最大値を表2に示す。
【0135】
(実施例7)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量40重量%の塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、「エラスレン401」)100重量部に対し、塩素化度43重量%の塩素化パラフィン(旭電化社製、「A−430」、平均炭素数25)150重量部と、塩素化度70重量%の塩素化パラフィン(味の素社製、「エンパラ70」、平均炭素数26)100重量部とをニーダー(モリヤマ社製、「G50−15型」)にて混練温度約110℃で混練した。得られた樹脂組成物を120℃でプレスして厚み1mmのシート状制振材を得た。
【0136】
(実施例8)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量57重量%のポリ塩化ビニル(積水化学社製、「TS1000R」)100重量部に対し、塩素化度70重量%の塩素化パラフィン(味の素社製、「エンパラ70、平均分子量26)100重量部と、フタル酸ジオクチル(積水化学社製、「DOP」)50重量部と、錫系熱安定剤(三共有機合成社製、「STANN ONZ−41F」)0.5部とを配合し、以下は実施例18と同様に混練およびシート化を行い、厚み1mmのシート状制振材を得た。ただしニーダーの混練温度は約150℃とし、プレス機の温度は160℃とした。
【0137】
(実施例9)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量40重量%の塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、「エラスレン401」)100重量部に対し、塩素化度43重量%の塩素化パラフィン(旭電化社製、「A−430」、平均炭素数25)150重量部と、塩素化度70重量%の塩素化パラフィン(味の素社製、「エンパラ70」、平均炭素数26)100重量部と、ロジンエステル(荒川化学社製「KE656」)5重量部とを配合し、以下は実施例7と同様に混練およびシート化を行い、厚み1mmのシート状制振材を得た。
【0138】
(比較例6)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量40重量%の塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、「エラスレン401」)100重量部に対し、塩素化度43重量%の塩素化パラフィン(旭電化社製、「A−430」、平均炭素数25)200重量部を配合し、以下は実施例7と同様に混練およびシート化を行い、厚み1mmのシート状制振材を得た。
【0139】
(比較例7)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量40重量%の塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、「エラスレン401」)100重量部に対し、塩素化度70重量%の塩素化パラフィン(味の素社製、「エンパラ70」、平均分子量26)150重量部を配合し、以下は実施例7と同様に混練およびシート化を行い、厚み1mmのシート状制振材を得た。
【0140】
(比較例8)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量57重量%のポリ塩化ビニル(積水化学社製、「TS1000R」)100重量部に対し、塩素化度70重量%の塩素化パラフィン(味の素社製、「エンパラ70」、平均分子量26)100重量部と、フタル酸ジオクチル(積水化学社製、「DOP」)50重量部とを配合し、以下は実施例7と同様に混練およびシート化を行い、厚み1mmのシート状制振材を得た。
【0141】
(比較例9)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量57重量%のポリ塩化ビニル(積水化学社製、「TS1000R」)100重量部に対し、塩素化度70重量%の塩素化パラフィン(味の素社製、「エンパラ70」、平均分子量26)100重量部を配合し、以下は実施例7と同様に混練およびシート化を行い、厚み1mmのシート状制振材を得た。
【0142】
・制振材の評価
a)実施例7〜9および比較例6〜9で得られた制振材用樹脂組成物シートの特性を測定した。粘弾性測定器(東洋精機製作所社製、「レオログラフ」)によって縦弾性係数(E’,E”)を測定し、損失正接tanδ(=E”/E’)を算出した。またtanδ最高温度を求めた。測定周波数は100Hzとし、測定温度−40〜60℃の範囲で測定を行った。
b)作製3日後のシート表面を手で触り、ブリードアウトの有無(有=×、無=○)を確認した。
c)実施例7〜9および比較例6〜9得られたシート状制振材をそれぞれ5cm×5cmのサイズにカットした。1枚の制振材カットを2枚のガラス板(5cm×5cm×3mm)でサンドイッチし、得られたサンドイッチ物を真空バッグ内に入れた。その後サンドイッチ物を温度140℃、圧力10mmHgの条件で30分真空プレスし、サンプルを作製した。これをヘイズメーター(東京電色社製「TC−H3P」)でヘイズ測定し、全光線透過率およびヘイズを求めた。
これらの結果を表3にまとめて示す。
【0143】
【表3】
【0144】
表3から分かるように、実施例7〜9の制振材用樹脂組成物シートはいずれの項目においても良好な結果を示した。これに対し、比較例6のシートは常温でのtanδの値が低く、比較例7のものはtanδの値が低い上にブリードアウトが起こり、比較例8のシートは黄変を来たし、比較例9のシートはtanδの値が低い上に最高温度がずれたものであった。
【0145】
【発明の効果】
本発明によれば、長手方向の曲げ剛性を増加しつつ防振性、耐久性および製造性を向上させた省コスト化した防振まくら木を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る防振まくら木の分解斜視図、(b)はその防振まくら木の斜視図である。
【図2】図1に示す防振まくら木に加わる荷重を示す説明図である。
【図3】(a),(b)は、図1の防振まくら木のブロック材の固定構造を示す断面図である。
【図4】図1に示す防振まくら木を上下反転させて敷設した状態を示す側面図である。
【図5】(a)は本発明の別の実施形態に係る防振まくら木の凸条部および凹条部の形状を示す側面図、(b)はその防振まくら木を上下反転させて敷設した状態を示す側面図である。
【図6】(a)は本発明の別の実施形態に係る防振まくら木の凸条部および凹条部の形状を示す側面図、(b)はその防振まくら木を上下反転させて敷設した状態を示す側面図である。
【図7】(a)は本発明の更に別の実施形態に係る防振まくら木の凸条部および凹条部の形状を示す側面図、(b)はその防振まくら木を上下反転させて敷設した状態を示す側面図である。
【図8】(a)は図1に示す防振まくら木の凸条部を設けたブロック材の強度を示す断面図、(b)は図1に示す防振まくら木の凹条部を設けたブロック材の強度を示す断面図である。
【図9】(a)は本発明の別の実施形態に係る防振まくら木の部分分解斜視図、(b)は(a)の部分斜視図である。
【図10】図9に示す防振まくら木の斜視図である。
【図11】(a)は本発明の別の実施形態に係る防振まくら木の部分分解斜視図、(b)は(a)の部分斜視図である。
【図12】図11に示す防振まくら木の斜視図である。
【図13】本発明の別の実施形態に係る防振まくら木の分解斜視図である。
【図14】図13の防振まくら木をスラブ道床に嵌め込む状態を示す斜視図である。
【図15】防振まくら木をスラブ道床に嵌め込む状態を示す斜視図である。
【図16】図14のA−A矢視断面図である。
【図17】図13の防振まくら木を変形した実施形態の防振まくら木をスラブ道床に嵌め込む状態を示す断面図である。
【図18】従来の防振まくら木を橋梁に敷設した状態を示す斜視図である。
【図19】従来の別の防振まくら木を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,2,3,4,5,6,7,90 防振まくら木
10,11,20,21,22,23,24,25,50,51 ブロック材
10b 凸条部
11b 凹条部
12,52,61,71、91 制振シート
【発明の属する技術分野】
本発明は防振まくら木に係り、更に詳しくは、防振性を向上させつつ強度、耐久性、製造性を向上させたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
列車の通過に伴ってレールからまくら木へは大きな振動が伝わり、まくら木が振動して騒音の発生要因となる。また、まくら木の振動に伴ってまくら木周辺に敷設された標識や機器が共振して騒音が拡大されることもある。
このような振動に伴う騒音の発生を低減するために、従来は、まくら木の表面に弾性を有する制振材を貼付した防振まくら木が用いられていた。例えば、図18の様に、まくら木101の底面101aにウレタンゴムなどの制振材102を貼付した防振まくら木100が用いられている。この防振まくら木100は、レールからまくら木100に伝わる振動を制振材102で減衰、吸収し、バラストなどの道床に振動が伝達されることを阻止して騒音の発生を低減するものである。
【0003】
しかし、従来の防振まくら木100は、制振材102が直接レールや道床と当接するため、制振材102を厚くしなければ防振効果が得られず、安価に製することができなかった。特に、橋梁などに敷設される橋まくら木は、図18の様に、まくら木101が橋梁の支持体103と当接する面積が小さく、当接部位に荷重が集中して制振材102が局部圧縮され、振動の減衰、吸収効果を充分に発揮できなかった。
【0004】
そこで、図19の様に、上下に分割したブロック材111,112の間に制振材113を挟んで一体化した防振まくら木110も開発されている。
この防振まくら木110では、ブロック材111,112に局部的に荷重が加わった場合でも、ブロック材111,112によって制振材113の全面に略均等に荷重が分散されるので、制振材113の局部圧縮が防止されて制振効果の向上が図れるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図19の様な防振まくら木110では、上下に分割されたブロック材でまくら木110を構成するため、図18に示したまくら木100に比べて、まくら木の長手方向の曲げ剛性(EI)が低下して充分な強度を確保できなかった。また、ブロック材111がブロック材112に対して幅方向(レール方向)へのずれを生じ易く、制振材113がブロック材111,112の間で繰り返して擦られて摩耗し、耐久性に問題を生じていた。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みて提案されるもので、まくら木の曲げ剛性を確保しつつ防振性を向上させ、しかも、耐久性、製造性を向上させた防振まくら木を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために提案される請求項1に記載の発明は、上下に分割された複数のブロック材の間に弾性を有する制振シートを挟んで一体化して形成される長尺方形状の防振まくら木であって、上下に当接する各ブロック材は、一方のブロック材の当接部位に長手方向全長に渡って上方または下方へ突出する凸条部を有すると共に、他方のブロック材の当接部位に前記凸条部と対応させて長手方向全長に渡って上方または下方へ退入する凹条部を有しており、ブロック材同士の間に前記制振シートを挟み前記凸条部と凹条部とを上下に嵌合させて長尺方形状に形成される。
【0008】
まくら木の様な長尺方形材の長手方向の強度を検討する場合には、断面2次モーメント(I)を考察する必要がある。ここで、幅b、高さaの長尺方形材の長手方向の断面における水平軸(X軸)回りの断面2次モーメントIxは、断面における微小面積dAと断面の重心(以後、図心と記載)から微小面積dAまでのy軸方向の距離の自乗との積を断面全体について積分した値であり(式1)で示される。
【0009】
【数1】
【0010】
則ち、長尺方形材の断面2次モーメントは、高さaの3乗に比例して増大する。このため、上下に分割したブロック材でまくら木を構成すると、分割された各ブロック材の断面2次モーメント(I)の総和は、分割しない元のまくら木の断面2次モーメントに比べて著しく減少し曲げ剛性(EI)が低下する。
【0011】
本発明によれば、各ブロック材に長手方向全長に渡って上方または下方へ突出する凸条部あるいは退入する凹条部を設けている。
これにより、下方へ突出する凸条部を設けたブロック材では、凸条部を設けない場合に比べて高さが増大して断面2次モーメントが増加する。一方、下方へ退入する凹条部を設けたブロック材では、凹条部を設けない場合に比べて部分的に高さが減少して断面2次モーメントは減少する。
【0012】
しかし、凸条部を設けたブロック材と凹条部を設けたブロック材では図心の位置が異なるため、凸条部を設けたブロック材の断面2次モーメントの増加分は、凹条部を設けたブロック材の断面2次モーメントの減少分よりも大きい。これにより、凸条部や凹条部を設けないブロック材を用いる場合に比べて、まくら木を構成する各ブロック材の断面2次モーメントの総和を増加させることができ、長手方向の曲げ剛性(EI)を増大させることができる。また、断面2次モーメントの増加に伴って耐剪断荷重強度も向上する。
尚、凸条部および凹条部を設けたブロック材の断面2次モーメントの算出については後述する。
【0013】
また、本発明によれば、制振シートはブロック材の間に挟み込まれるので、ブロック材に局部的に荷重が加わっても、ブロック材によって局部荷重が分散されて均一な荷重が制振シートに加わる。これにより、制振シートの厚さを減少しても充分な制振力を得ることが可能となる。
【0014】
ブロック材は、凸条部と凹条部とを嵌合させて固定するだけでも良いが、各ブロック材と制振シートとの間に樹脂接着剤などを塗布して嵌合接合するのが良い。また、ブロック材同士をボルトやねじ釘などを用いて固定することも可能である。この場合、レールやタイプレートをまくら木に固定するボルトやねじ釘などを利用してブロック材同士の固定を行っても良い。
また、防振まくら木を構成するブロック材は2個であっても良く、3個以上であっても良い。また、ブロック材に設ける凸条部あるいは凹条部は1つだけ設けても良く、複数設けても良い。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防振まくら木において、各ブロック材は、長手方向の断面が左右対称形状となるように形成されており、ブロック材同士を上下に重ねて凸条部と凹条部を嵌合させることにより、ブロック材同士を幅方向へ位置決めしつつ当接させる構成とされている。
【0016】
本発明によれば、ブロック材同士の間に制振シートを挟んで凸条部と凹条部とを嵌合させれば、制振シートは嵌合部位に沿ってブロック材の間に挟まれつつ、ブロック材同士は幅方向に位置決めされて一体化される。これにより、防振まくら木の組み立てが極めて容易になる。また、凹条部と凸条部とが嵌合するので、ブロック材同士の幅方向への相対的な位置ずれが生じず、間に挟まれた制振シートの摩耗が防止される。これにより、防振まくら木の製造性、耐久性を向上させることが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の防振まくら木において、各ブロック材は、凸条部および凹状部をブロック材の幅方向の中央部に設けて形成される。
本発明は、請求項1または2に記載の防振まくら木において、ブロック材に設ける凸条部および凹条部の位置を規制したものである。本発明によれば、ブロック材同士の間に制振シートを挟み込んで容易に嵌合させることができ、曲げ剛性を向上させつつ製造性、耐久性を向上させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防振まくら木において、各ブロック材は、凸条部および凹条部にテーパーを設けて形成される。
本発明によれば、テーパーが設けられているので、嵌合の際に凸条部の角で制振シートを傷つけるような不具合がなく、制振シートを挟んだ状態で凸条部と凹条部とを容易に嵌合させることができる。また、嵌合後は、ブロック材同士の幅方向への位置ずれを確実に防止することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、平面によって上下に分割された複数のブロック材の間に弾性を有する制振シートを挟んで一体化して形成される長尺方形状の防振まくら木であって、分割されたブロック材のうち最も高いブロック材の高さが、防振まくら木の高さに対して所定比率以上である構成とされている。
【0020】
前記式1で示したように、長尺方形材の断面2次モーメントは、高さの3乗に比例する。このため、上下に分割したブロック材でまくら木を構成すると、分割された各ブロック材の断面2次モーメント(I)の総和は、分割しない元のまくら木の断面2次モーメントに比べて低下する。
【0021】
ここで、高さ方向に1:9の割合で分割したブロック材の間に制振シートを挟んで一体化した防振まくら木では、長手方向における上下方向の断面2次モーメントは約73%に低下する。同様に、4:6の割合で分割すると28%に減少し、高さ方向の中央で分割すると約25%に低下する。
【0022】
従って、まくら木に要求される断面2次モーメントが確保されるように、最も高いブロック材の高さの下限値を規制することにより、曲げ剛性(EI)を確保しつつ防振性を向上させた防振まくら木とすることができる。
また、本発明の防振まくら木によれば、制振シートはブロック材の間に挟み込まれる。従って、ブロック材に局部的に荷重が加わっても、ブロック材によって局部荷重が分散されて制振シートには全面に渡って略均一な荷重が加わる。これにより、制振シートの厚さを減少しても充分な制振力を得ることが可能となる。
【0023】
請求項6に記載の防振まくら木は、レール又はタイプレートが固定される部位に対応したまくら木の少なくとも上面に弾性を有する制振シートを接合し、当該制振シートを耐摩耗性を有する被覆材で被覆した構成とされている。
【0024】
本発明の構成によれば、まくら木の上面に制振シートが接合され、この制振シートは被覆材で被覆されている。そして、被覆材の上にレール又はタイプレートが載置されて固定される。従って、列車の振動に伴ってレール又はタイプレートとまくら木との間に摩擦が生じても、耐摩耗性を有する被覆材によって摩耗の発生が抑制される。また、レール又はタイプレートを介して伝わる振動は制振シートに吸収されてまくら木への伝達が抑制される。
被覆材としては、耐摩耗性の高い繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)などが好適である。
【0025】
請求項7に記載の防振まくら木は、長尺方形板状のスラブ道床に嵌め込んで用いられる防振まくら木であって、スラブ道床に嵌め込まれるまくら木の底面から長手両側面に渡る部位へ弾性を有する制振シートを接合し、当該制振シートを覆うように保護シートを接合して形成される構成とされている。
【0026】
本発明の防振まくら木によれば、防振まくら木をスラブに嵌め込む際の制振シートの損傷や、防振まくら木の敷設後における制振シートの損傷が保護シートによって保護される。また、制振シートはまくら木の底面及び長手両側面とスラブとの間に位置する。従って、まくら木に局部的に荷重が加わっても、まくら木によって局部荷重が分散されて制振シートには略均一な荷重が加わり、制振シートの厚さを減少しても充分な制振力を得ることが可能となる。
【0027】
保護シートには薄膜状で強度を有する素材が適しており、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアミド樹脂(ナイロン)或いはアルミニウム(AL)などを素材とした薄板材が好適である。
【0028】
ここで、前記請求項1〜7に記載した防振まくら木において、まくら木或いはまくら木を構成するブロック材は、ガラス長繊維強化硬質合成樹脂発泡体を素材とする合成木材で製するのが良い。
発泡樹脂の種類としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化樹脂であって硬質のものが好適に使用される。尚、発泡樹脂中に、圧縮強度の向上や低コスト化を図るために、炭酸カルシウム、石膏、タルク、水酸化アルミニウム、クレーなどの無機充填材や、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン等の軽量骨材が添加されても良い。
【0029】
板材の硬質樹脂発泡材を補強する繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維などの無機質繊維や、芳香族ポリアミド繊維等の合成繊維や天然繊維等の有機質繊維の何れかであればよいが、強度や経済性の面からガラス繊維が適している。繊維の形態は、ヤーン、クロス、ロービング、ロービングクロス、クロスマット等の長繊維形態のものが好適であり、必要に応じてチップ、ミドルファイバー等の短繊維やシラスバルーン等の中空充填材を併用しても良い。
【0030】
ガラス繊維としては、ガラスロービング、ガラスロービングクロス、ガラスマット、コンティニュアスストランドマット等の形態のものが挙げられる。この繊維は単独で使用しても良いし、2層以上積層して使用しても良く、また、長繊維と短繊維を混ぜて使用しても良い。最も好適な材料としては硬質ウレタン樹脂を長手方向へ引き揃えられたガラス長繊維で補強した発泡体である(例えば、商品名「エスロンネオランバー FFU」積水化学工業株式会社製)。
【0031】
まくら木にかかる応力は、主としてレールを支点とする曲げモーメントに起因するものであり、まくら木の長手方向への高い曲げ剛性(EI)が要求される。そこで、まくら木或いはまくら木を構成するブロック材を合成木材で成する場合、合成木材に含まれる繊維方向がまくら木やブロック材の長手方向となるようにするのが良い。則ち、合成木材の繊維方向を各角柱材の長手方向へ合わせたものや、或いは、繊維方向の異なる合成木材を積層した角柱材とすることにより、高い曲げ剛性を得ることができる。
【0032】
また、前記請求項1〜7に記載した防振まくら木において、まくら木或いはまくら木を構成するブロック材は、コンクリートで製することができる。ここに、コンクリート製のまくら木やブロック材とは、予めストレスを加えた鋼材をコンクリートに内蔵させて一体的に固着させたPC(Prestressed−Concrete)製のものを指す。この防振まくら木によれば、PC製まくら木の持つ耐摩耗性、低価格の長所を生かしつつ防振性を向上させたまくら木を構成することができる。
【0033】
また、前記請求項1〜7に記載した防振まくら木において、まくら木或いはまくら木を構成するブロック材は鉄で製することができ、鉄の耐摩耗性を生かしつつ防振性を向上させたまくら木を構成することができる。
【0034】
また、制振シートは、下記の制振材用樹脂組成物を板状乃至フィルム状に成形したものを用いるのが好ましい。
【0035】
本発明による第1の制振材用樹脂組成物は、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部と、平均炭素数が12〜16である塩素化パラフィン20〜200重量部とを含有する。塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量は好ましくは20〜70重量%、より好ましくは30〜70重量%であり、塩素化パラフィンの塩素化度は好ましくは30〜70重量%、より好ましくは35〜65重量%である。
【0036】
本発明による第2の制振材用樹脂組成物は、塩素含量20〜70重量%、好ましくは20〜65重量%の塩素含有熱可塑性樹脂100重量部と、平均炭素数12〜16で且つ塩素化度30〜70重量%、好ましくは30〜65重量%の塩素化パラフィンおよび平均炭素数20〜50で且つ塩素化度30〜70重量%、好ましくは30〜65重量%の塩素化パラフィンの混合物50〜300重量部を含有する。
【0037】
本発明による第3の制振材用樹脂組成物は、塩素含量30〜50重量%の塩素含有熱可塑性樹脂100重量部と、平均炭素数20〜50でかつ塩素化度30〜50重量%の塩素化パラフィンおよび平均炭素数20〜50でかつ塩素化度50〜70重量%の塩素化パラフィンの混合物50〜300重量部を含有する。
【0038】
上記第1から第3の制振材用樹脂組成物は、さらに、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対し、可塑剤を50〜200重量部含んでいてもよい。
【0039】
本発明による第4の制振材用樹脂組成物は、塩素含量50〜70重量%の塩素含有熱可塑性樹脂100重量部と、平均炭素数20〜50でかつ塩素化度30〜70重量%の塩素化パラフィン50〜300重量部と、フタル酸系可塑剤50〜200重量部とを含有する。
【0040】
上記第1から第4の制振材用樹脂組成物は、さらに、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対し、ロジン系化合物を1〜20重量部含んでいてもよい。
【0041】
本発明による第5の制振材用樹脂組成物は、塩素含量20〜70重量%の塩素含有熱可塑性樹脂100重量部と、平均炭素数12〜50且つ塩素化度30〜70重量%の塩素化パラフィン50〜300重量部と、ロジン系化合物1〜20重量部とを含有する。
【0042】
本発明による第6の制振材用樹脂組成物は、塩素含量20〜70重量%の塩素含有熱可塑性樹脂100重量部と、平均炭素数12〜16且つ塩素化度30〜70重量%の塩素化パラフィンおよび平均炭素数20〜50且つ塩素化度30〜70重量%の塩素化パラフィンの混合物50〜300重量部と、ロジン系化合物1〜20重量部とを含有する。
【0043】
上記制振材用樹脂組成物をシート状、フィルム状、板状などに賦形することにより制振材が得られる。この制振材を用いて遮音部材が構成される。
【0044】
上記組成物に用いられる塩素含有熱可塑性樹脂は、塩素を20〜70重量%含有する熱可塑性樹脂であればよい。塩素含有熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル系樹脂と塩化ビニリデン樹脂のブレンド、塩素化ポリエチレン系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0045】
塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量が20重量%以下であると制振性能が低下し、70重量%を超えると樹脂が硬くなり成形が難しくなる。
【0046】
塩素含有熱可塑性樹脂には、塩素以外の置換基、例えば、シアノ基、水酸基、アセチル基、メチル基、エチル基、臭素、フッ素等が、5重量%以下の範囲で含まれていてもよい。このような塩素以外の置換基の割合が5重量%を越えると、制振材性能が低下する嫌いがある。好ましい塩素含有熱可塑性樹脂は、貯蔵弾性率が低く、従って損失正接の値が大きい非晶質のものである。
【0047】
第1の塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量は好ましくは30〜70重量%であり、第3の塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量は30〜50重量%であり、第4の塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量は、50〜70重量%である。第2、第5および第6の制振材用樹脂組成物の塩素含量は20〜70重量%である。制振材用樹脂組成物の塩素含量が低すぎると、制振材の制振性が低下し、高過ぎると樹脂が硬くて成形が難しい。
【0048】
つぎに、塩素化パラフィンについて説明する。塩素化パラフィンの分子鎖構造は分枝状であってもよいが、直鎖状の塩素化パラフィンが好ましい。塩素化パラフィンの平均炭素数は数平均炭素数である。
【0049】
第1の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンは、塩素化度が好ましくは30〜70重量%のものである。第2から第6の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンは、塩素化度が30〜70重量%のものである。塩素化度が低すぎると十分な制振材性が発現せず、高すぎると塩素化パラフィンの相溶性が悪くこれがブリードアウトを起こす恐れがある。塩素化パラフィンの塩素化度は、塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量に近いほど相溶性が良く、また制振性能が高い。
【0050】
第1の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンの平均炭素数は、12〜16である。この平均炭素数が小さすぎると塩素化パラフィンがブリードアウトしてしまい、大きすぎると十分な制振性が発現しない。塩素化パラフィンの量は、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対して好ましくは20〜200重量部、より好ましくは50〜150重量部である。塩素化パラフィンの量が少なすぎると十分な制振性が得られず、多すぎると、ブリードアウトする恐れがある。
【0051】
第2の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンは、平均炭素数12〜16の塩素化パラフィンと、平均炭素数20〜50の塩素化パラフィンの混合物である。前者と後者の比は任意であってよいが、高い温度領域にて制振性を発現するには、前者の比率を高める方が良い。
【0052】
第3および第4の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンは、比較的安価な平均炭素数20〜50のものである。塩素化パラフィンの塩素化度は、塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量によって異なる。塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量が30〜50重量%である第3の制振材用樹脂組成物においては、相溶性と制振性の面から第1の塩素化パラフィンの塩素化度は30〜50重量%である。塩素含有熱可塑性樹脂に平均炭素数20〜50でかつ塩素化度30〜50重量%の塩素化パラフィン単体を配合しただけでは、得られた制振材の損失正接tanδが最高になる時の温度(以下、tanδ最高温度という)が0℃以下になって実際に多用される常温付近ではtanδの値が小さい場合が多く、良好な遮音性が得られない。一方、上記配合系に、平均炭素数20〜50でかつ塩素化度50〜70重量%の第2の塩素化パラフィンを更に配合してなる第3の制振材用樹脂組成物は、tanδ値が減少することなくtanδ最高温度を常温付近に発現させうることが知見されている。
【0053】
第5の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンは、平均炭素数12〜50且つ塩素化度30〜70重量%、好ましくは30〜65重量%のものである。
【0054】
第6の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィンは、平均炭素数12〜16且つ塩素化度30〜70重量%の塩素化パラフィンおよび平均炭素数20〜50且つ塩素化度30〜70重量%の塩素化パラフィンの混合物である。この混合物を構成する2種類の塩素化パラフィンの比は任意であってもよいが、高い制振性を発現するためには、前者の比率を高くする方が良い。このような混合物の使用により、制振ピークを実際に使用する温度域において最適化することができる。
【0055】
第2から第6の制振材用樹脂組成物の塩素化パラフィン全体の割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対して50〜300重量部、好ましくは100〜250重量部である。この割合が大きいほど、塩素化パラフィン全体の割合が小さ過ぎると制振性能が低く、大き過ぎると、制振材の機械的強度が低くなり形状保持が困難となる。
【0056】
上記制振材用樹脂組成物には、必要に応じて、可塑剤、熱安定剤、充填材などが添加されてもよい。
【0057】
可塑剤としては、通常、塩化ビニル系樹脂に使用されるものが使用でき、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソノニル等のフタル酸系可塑剤;トリクレジンホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトルメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;エポキシ系可塑剤;ポリエステル系可塑剤などが挙げられる。植物油系の可塑剤も好ましい。塩素化パラフィンのブリードアウトを抑制するには、フタル酸系可塑剤が好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上組み合わせ用いてもよい。フタル酸系可塑剤以外の可塑剤を用いる場合には、これにフタル酸系可塑剤と併用するのが好ましい。
【0058】
可塑剤の配合量は、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対し50〜200重量部、好ましくは60〜180重量部、より好ましくは100重量部以下である。この範囲で、塩素化パラフィンのブリードアウトが抑制でき、制振効果も発現できる。
【0059】
塩素含量が高い材料では、塩素含有熱可塑性樹脂や塩素化パラフィンの分解が起き易いために、このような分解を防ぐ熱安定剤を配合するのが好ましい。熱安定剤としては鉛系安定剤の他、通常ポリ塩化ビニルに使用される安定剤が使用できる。熱安定剤の配合量は、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対し好ましくは1〜20重量部である。
【0060】
製品の透明性をあまり必要とせず制振材用樹脂組成物にある程度の硬さが必要な場合、同組成物に充填材を添加してもよい。充填材としては、鉄粉、アルミニウム粉、銅粉などの金属粉;マイカ、カオリン、モンモリロナイト、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、結晶性炭素(グラフアイト等)、バーミキュライト等無機充填材などが例示される。これらは単独で用ても、2以上の組み合わせで用いてもよい。
【0061】
充填材の配合量は、多すぎると制振材の制振性が低下するので、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対して好ましくは100重量部以下である。
【0062】
上記制振材用樹脂組成物において、製品に透明性が必要な場合、ロジン系化合物を配合する。ロジン系化合物は、ロジン金属塩、ロジンエステル等であってよい。ロジン系化合物の配合量は、通常、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜20重量部である。この配合量が1重量部未満であると、透明性の向上効果が低く、20重量部を越えると、ロジン系化合物が凝集し易くなり、透明性が阻害される恐れがある。光学特性のヘイズは5以下になると、散乱が小さく、景観を損なわないので好ましい。透明製品を得るのに特に好ましい制振材用樹脂組成物は、第5および第6の樹脂組成物である。
【0063】
上記制振材用樹脂組成物を賦形することにより制振材が得られる。制振材の形状は、シート状、板状、棒状、ブロック状などとすることができ、後述するように、遮音部材として使用される場合は、可撓性のあるシート状のものが好ましい。得られた制振材を所要サイズにカットして遮音部材の構成に供する。
【0064】
上記制振材用樹脂組成物から制振材を製造する方法は特に限定されるものではなく、例えば、押圧成形、プレス成形、カレンダー成形、インフレーション成形、ブロー成形、溶剤キャストなどが挙げられる。
【0065】
本発明の制振材用樹脂組成物から押出成形により制振材を製造する方法ついて説明をする。まず、本発明の制振材用樹脂組成物を押出機のホッパーに供給する。押出機の成形温度は、好ましくは[制振材用樹脂組成物の溶融温度−40℃]から[溶融温度+40℃]程度である。但し、制振材用樹脂組成物の分解温度が低い場合や、制振材用樹脂組成物の粘度がもともと低い場合は、成形温度はさらに低温であってもよい。
【0066】
押出機は単軸押出機でもよいが、混練性を向上させるためには2軸押出機が好ましい。後者の場合、スクリュの回転方向は、同方向でも異方向でもよい。スクリュ形態はフルフライトでもよいが、ミキシング部を設けた方がさらに混練性が向上する。平均ドメイン径を制御するためには、スクリュー回転数、スクリューミキシング部のカット形状、制御温度等を微妙に調整する。また、スクリュ長と直径比のL/Dも材料の組み合わせに応じて最適化する。
【0067】
押出機から吐出された制振材用樹脂組成物は、成形すべき制振材の断面形状に対応する通路を有する金型等に供給される。金型はTダイが望ましいが、圧力損失の上昇等によりTダイが使用できない場合、サーキュラーダイであってもよい。
【0068】
金型から排出された制振材は、狭圧されながら強圧引取機によって引き取られる。制振材を狭圧するには、これを所定のクリアランスを有する複数のロール中を通過させてもよいし、ベルト同士、又は、ベルトとロールとの間を通過させてもよい。
【0069】
狭圧温度は、上流側から、ガラス転移点が常温以下にある場合を除き、ガラス転移点以下まで徐々に下げるのが好ましい。
【0070】
狭圧の際、制振材の厚みが薄くなると、ロールやベルトの両面に分離付着し、シート化できない場合があるが、その場合、ロールやベルトにフッ素コート処理などを施して剥離性をあげる方法、離型紙やポリエチレン製のプロテクトフィルムを制振材の少なくとも片面に積層して剥離性をあげる方法などをとる。
【0071】
予め、制振材用樹脂組成物を、混練機により十分に混練した後、押圧成形に供するのが好ましい。混練機としては、ロール混練機、ニーダー、押出機などが挙げられる。
【0072】
カレンダー成形により制振材を製造するには、制振材用樹脂組成物を押出機により棒状に押し出し、押出し物を引取機で引き取りながら、狭圧ロールで狭圧するとよい。
【0073】
次に、溶剤キャストにより制振材を製造する方法について、説明をする。まず、制振材用樹脂組成物を、溶剤に溶解する。溶剤は、制振材用樹脂組成物を溶解するものであれば、特に限定されないが、塗工後、制振材用樹脂組成物を十分に乾燥できるよう、制振材用樹脂組成物の融点以下の沸点を有するものが好ましい。例えば塩素含有熱可塑性樹脂が塩素含量40重量%の塩素化ポリエチレン(融点90〜100℃)である場合、テトラヒドロフラン(沸点66℃)等の低沸点溶剤が好ましい。
【0074】
次いで、制振材用樹脂組成物の溶液を塗工機に供給する。塗工機は、制振材の厚み精度を良好にするために、ダイコーター、コンマコーターが好ましい。
【0075】
同溶液を金属またはプラスチック製支持体上に塗工する。次いで、支持体上の塗膜層を、連続的又は断続的に乾燥炉に供給し、乾燥後、支持体から剥離する。得られた制振材用樹脂組成物膜層を、さらに乾燥炉内でその両面から乾燥し、溶剤をはぼ完全に揮発させる。
【0076】
つぎに、制振材用樹脂組成物からなる制振材を用いて得られる遮音部材について、説明をする。かかる遮音部材は、制振材の少なくとも1面の少なくとも一部に、剛性部材(例えば、まくらぎを構成する上下のブロック材)が結合されているものである。剛性部材は、少なくとも制振材よりも引張弾性率の大きなものであればよい。剛性部材の引張弾性率は、小さすぎると制振材の振動吸収性能が低下するので、108N/m2以上であることが好ましい。このような剛性部材に使用される材料としては、鉛、鋼材(ステンレス鋼を含む)鉄鋼、銅、アルミニウム等の金属材料;コンクリート、石膏ボード、大理石、スレート、砂、ガラス等の無機材料;ビスフェノールA変成樹脂(ポリカーボネート、ポリサルホン等)、アクリル系樹脂〔ポリメチル(メタ)クリレート等〕、塩素系樹脂(ポリ塩化ビニル、塩素化塩化ビニル樹脂等)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフイン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、脂肪族ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン66等)、芳香族ポリアミド系樹脂(ケブラー29等)、熱可塑性ポリイミド系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂等の熱可塑性樹脂;メラミン系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、フェノール樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂等の熱可塑性樹脂;木質材料;その他キチン、キトサン等が挙げられる。これらは単独で用いても、2以上の組み合わせで用いてもよい。剛性部材はガラス繊維、カーボン繊維、液晶などで補強されていてもよく、互いに異なる材料からなる複合板であってもよく、さらに、これらの材料からなる発泡体であってもよい。
【0077】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
図1(a),(b)は、本発明に係る実施形態の防振まくら木1の部分分解斜視図および部分斜視図、図2は防振まくら木1に加わる荷重を示す説明図、図3は防振まくら木1のブロック材同士の固定構造を示す断面図である。
【0078】
防振まくら木1は、上下に分割されたブロック材10,11の間に制振シート12を挟んで一体化された長尺方形のまくら木である。
ブロック材10は、長手方向の断面が凸形状を有する長尺材である。則ち、ブロック材10は、長尺板状の平板部10aの下面の幅方向中央に下方へ向けて突出する凸条部10bを長手方向全長に渡って設けたものである。また、ブロック材11は、長手方向の断面が凹形状を有する長尺材である。則ち、ブロック材11は、ブロック材10と同一幅で同一長さを有する角柱材11aの上面の幅方向中央部に、下方へ向けて退入する凹条部11bを長手方向全長に渡って溝状に設けたものである。
【0079】
本実施形態では、ブロック材10,11は、ガラス長繊維強化硬質樹脂発泡体を素材とする合成木材で製しており、合成木材に含まれる繊維方向が各ブロック材10,11の長手方向となるように切り出したものを用いている。
制振シート12は弾性を有するゴム材で製され、ブロック材10,11と同一長さを有し、ブロック材10,11の当接部位に沿うだけの幅を有する方形状の薄いシートである。
【0080】
防振まくら木1を組み立てるには、まず、ブロック材11の上面および凹条部11bの内面に樹脂接着剤を塗布し、制振シート12を幅方向の中央が凹条部11bに入るようにしてブロック材11の上面に被せる。一方、ブロック材10の平板部10aの下面および凸条部10bに樹脂接着剤を塗布する。そして、制振シート12を挟んだ状態で、ブロック材10の凸条部10bをブロック材11の凹条部11bにあてがって押圧することにより、凸条部10bと凹条部11bを嵌合させる。これにより、ブロック材10はブロック材11に対して幅方向に位置決めされ、制振シート12を挟んで一体化されて防振まくら木1が完成する。
【0081】
本実施形態の防振まくら木1によれば、凸条部10bおよび凹条部11bを設けない場合に比べて、ブロック材10,11による曲げ剛性(EI)の和を増大させることができる。これにより、図2の様に、まくら木1の上面にレールを支点として加わる曲げモーメントF1や、まくら木1の敷設された道床の抗力に伴う剪断力F2に対して充分な耐荷重強度を発揮しつつ、制振シート12によって振動を効果的に減衰、遮断することが可能である。
【0082】
また、凸条部10bおよび凹条部11bを嵌合させているので、ブロック材10の側面に力F2が加わった場合でも、ブロック材10がブロック材11に対して幅方向へずれることがない。これにより、ブロック材10,11同士のずれに伴う摩擦運動によって制振シート12が摩耗する不具合がなくなる。
また、前記したように、制振シート12はブロック材の間に挟み込まれるので、ブロック材10,11に局部的に荷重が加わっても、制振シート12には分散された均一な荷重が加わり、制振シート12の厚さを減少しても充分な制振力を発現可能となる。
【0083】
本実施形態の防振まくら木1では、ブロック材10,11をボルトやねじ釘、埋栓などで固定することができる。
例えば、図3(a)の様に、ブロック材10の長手両側縁近傍に開口10cを設けると共に、ブロック材11に下穴11cを穿設し、ねじ釘14を開口10cを通して下穴11cにねじ込んでブロック材10,11を固定しても良い。また、ねじ釘14に代えて、レールを固定する犬釘や埋栓類(不図示)を利用してブロック材10,11を固定することも可能である。
また、図3(b)の様に、レールを支持するタイプレート13を固定するためのねじ釘14をブロック材10の開口10cを通してブロック材11の下穴11cにねじ込んで固定する構成を採ることもできる。
このように、ねじ釘14などを用いてブロック材10,11同士を固定することにより、防振まくら木1の剛性を一層向上させることが可能となる。
【0084】
本実施形態の防振まくら木1は、敷設に際して、図4の様に、ブロック材11が上方に来るように反転させて敷設することもでき、図1に示した場合と同様の防振性、強度および耐久性を得ることができる。
【0085】
ところで、ブロック材10,11に設ける凸条部および凹条部は種々の形状を採ることができる。図5〜図7は、凸条部および凹条部の形状例を示したもので、まくら木の長手方向矢視図として示している。
図5(a)に示す防振まくら木2は、ブロック材20の凸条部20aに下端部側に向かうに連れて幅を僅かに縮小させたテーパー加工を施すと共に、凸条部20aのテーパーに合わせて、ブロック材21の凹条部21aに底部側に向かうに連れて幅を僅かに縮小させたテーパー加工を施している。これにより、制振シート12を挟んだ状態で凸条部20aを凹条部21aに容易に嵌合させることができ、凸条部20aの下端側縁で制振シート12を傷つけるようなこともない。この防振まくら木2でも、図5(b)の様に、ブロック材20,21を上下反転させて敷設することが可能である。
【0086】
図6(a)に示す防振まくら木3は、ブロック材22の凸条部22aを断面が三角形となるように形成すると共に、凸条部22aに合わせて、ブロック材23の凹条部23aを三角形の断面形状としたものである。この防振まくら木3によれば、制振シート12を挟んだ状態でブロック材22,23の嵌合を一層容易に行うことができ、しかも、ブロック材22,23の幅方向へのずれを阻止することができる。この防振まくら木3でも、図6(b)の様に、ブロック材22,23を上下反転させて敷設することが可能である。
【0087】
図7(a)に示す防振まくら木4は、ブロック材24の凸条部24aを断面がまくら木4の全幅に渡る三角形となるように形成すると共に、凸条部24aに合わせて、ブロック材25の凹条部25aを三角形の断面形状としたものである。この防振まくら木4によれば、ブロック材24,25の構造を簡略化できると共に、制振シート12を挟んだ状態でブロック材22,23の嵌合を一層容易に行うことができ、しかも、ブロック材24,25の幅方向へのずれを防止可能である。この防振まくら木4でも、図7(b)の様に、ブロック材24,25を上下反転させて使用することが可能である。
尚、凸条部および凹条部の形状は、前記した形状の他にも種々の形状を採用することが可能であり、また、凸条部、凹条部を1つだけ設けた構成や複数設けた構成とすることもできる。
【0088】
次に、図8を参照して、前記図1に示した本実施形態の防振まくら木1を構成するブロック材10,11の断面2次モーメントを求める。尚、図8(a)はブロック材10の断面図であり、図8(b)はブロック材11の断面図である。ここで、通常、まくら木では上下方向の曲げ剛性(EI)を向上させることが重視されるため、以下の説明では、断面におけるX軸(横軸)回りの断面2次モーメントのみについて述べる。また、説明を簡単にするために、ブロック材10,11に設ける凸条部10b、凹条部11bの幅および高さを同一とする。
【0089】
ブロック材10は、図8(a)の様に、幅b、高さaである平板部10aの下面中央に幅c、高さdの凸条部10bが突出した形状であり、ブロック材10の図心をGo1、凸条部10bの図心をG1,平板部10aの図心をG2とする。一方、ブロック材11は、図8(b)の様に、幅b、高さeである角柱材11aの上面中央に幅c、深さdの凹条部11bを形成した形状であり、ブロック材11の図心をGo2、角柱材11aの図心をG3、凹条部11bの図心をG4とする。
【0090】
図8(a)において、ブロック材10の図心Go1の位置、則ち、凸条部10bの下端から図心Go1までのy軸方向の長さy1 、および、平板部10aの上面から図心Go1までのy軸方向の長さy2 は(式2)および(式3)で示される。但し、ブロック材10の断面積をAとする。
【0091】
【数2】
【0092】
【数3】
【0093】
ブロック材10の断面2次モーメントI1 は、凸条部10bと平板部10aの各々の断面2次モーメントを図心Go1に換算したものの和で得られ、(式4)で示される値となる。但し、ブロック材10において、凸条部10bの断面2次モーメントをIG1、断面積をA1 、平板部10aの断面2次モーメントをIG2、断面積をA2 とする。また、凸条部10bの図心G1および平板部10aの図心G2と図心Go1の長さを各々y1a,y2aとする。
【0094】
【数4】
【0095】
(式4)において、右辺第1項は平板部10aのみの断面2次モーメントIG2であり、凸条部10bを設けることによって第2、第3項が付加されて断面2次モーメントI1 が増大する。
尚、断面2次モーメントI1 は、幅b、高さ(a+d)の角材の断面2次モーメントから凸条部10bの左右の切り欠き部の断面2次モーメントを図心を一致させて換算しつつ差し引いて算出しても良い。
【0096】
次に、図8(b)において、ブロック材11の図心Go2の位置、則ち、角柱材11aの下面から図心Go2までのy軸方向の長さy3 、および、角柱材11aの上面から図心Go2までのy軸方向の長さy4 は(式5)および(式6)で示される。但し、ブロック材11の断面積をAとする。
【0097】
【数5】
【0098】
【数6】
【0099】
ブロック材11の断面2次モーメントI2 は、凹条部11aのない角柱材11aの断面2次モーメントを図心Go2に換算した値から、凹条部11aの断面2次モーメントを図心Go2に換算した値を差し引いて得られ、(式7)で示される値となる。但し、ブロック材11において、角柱材11aの断面2次モーメントをIG3、断面積をA3 、凹条部11bの断面2次モーメントをIG4、断面積をA4 とする。また、角柱材11aの図心G3および凹条部11bの図心G4と図心Go2の長さを各々y3a,y4aとする。
【0100】
【数7】
【0101】
(式7)において、右辺第1項は凹条部11bを設けない場合の角柱材11aの断面2次モーメントであり、凹条部11bを設けることによって第2、第3項が付加されて断面2次モーメント が減少することが分かる。
尚、断面2次モーメントI2 は、幅b、高さ(e−d)の平板材の断面2次モーメントに凹条部11bの左右の突出部の断面2次モーメントを図心を一致させつつ加算して算出しても良い。
【0102】
ここで、図8(a),(b)において、例えば、a=7cm、b=25cm、c=10cm、d=8cm、e=15cmとし、これらの値を(式4)および(式7)に代入してブロック材10,11の断面2次モーメントI1 ,I2 を求めると(式8)、(式9)に示す値となる。
I1 ≒(714+3515) [cm4] ・・・(式8)
I2 ≒(7031−1672)[cm4] ・・・(式9)
【0103】
(式8)において、右辺第1項の値はブロック材10の平板部10aのみの断面2次モーメントであり、凸条部10bを設けることによって右辺第2項の値が増加している。また、(式9)において、右辺第1項の値はブロック材11に凹条部11bを設けない場合の断面2次モーメントであり、凹条部11bを設けることによって右辺第2項の値が減少している。
しかし、ブロック材11の断面2次モーメントの減少分よりもブロック材10の断面2次モーメントの増加分が大きい。これにより、平面で分割した場合に比べて各ブロック材10,11の断面2次モーメントの和を増加させることができ、防振まくら木1の曲げ剛性(EI)および耐剪断荷重力を増大させることが可能となる。
【0104】
尚、上記説明では、図1に示した防振まくら木1の断面2次モーメントを算出したが、前記図5〜図7に示した防振まくら木2〜4についても同様に算出することができ、断面2次モーメントが増加することが確認できる。
【0105】
図9(a),(b)は、本発明に係る別の実施形態の防振まくら木5の部分分解斜視図および部分斜視図、図10は防振まくら木5の斜視図である。
防振まくら木5は、平面によって上下に分割されたブロック材50,51の間に弾性を有する制振シート52を挟んで接合して一体化したものである。
【0106】
本実施形態では、ブロック材50,51は、ガラス長繊維強化硬質合成樹脂発泡体を素材とする合成木材で製しており、合成木材に含まれる繊維方向が各ブロック材50,51の長手方向となるように切り出したものを用いている。また、制振シート52は弾性を有するゴム材で製され、ブロック材50,51と同一長さ及び幅を有する方形状の薄いシートである。
【0107】
この防振まくら木5よれば、制振シート52がブロック材の間に挟み込まれるので、図10の様に、ブロック材51のタイプレートTの固定部位に局部的に荷重が加わっても、ブロック材51によって局部荷重が分散されて略均一な荷重が制振シート52に加わる。これにより、制振シートの厚さを減少しても充分な制振力を発現可能である。
【0108】
この防振まくら木5では、ブロック材50の高さH1を防振まくら木5の高さHに対してH1>=H×0.6となるように設定している。則ち、分割されたブロック材50,51のうち最も高いブロック材50の高さH1が、防振まくら木5の高さHに対して60%以上となるように下限値が規制されている。
【0109】
ここで、ブロック材50の高さH1=0.6H、ブロック材51の高さH2=0.4Hに設定した場合、ブロック材50,51の各々の断面2次モーメントの和は、まくら木を分割しない場合に比べて約28%に低下する。しかし、防振まくら木5の幅及び高さを適宜に設定して必要な断面2次モーメントを確保することにより、曲げ剛性(EI)を確保しつつ防振性を向上させたまくら木とすることが可能である。
本実施形態の防振まくら木5は、通常まくら木や分岐まくら木或いは橋まくら木として採用することにより振動や騒音の発生を効果的に低減可能である。
【0110】
尚、防振まくら木5のブロック材50,51同士を固定する構造としては、タイプレートTやレール(不図示)を固定するねじ釘によって固定する構造や、ブロック材50の上面からブロック材51に至る下穴を穿孔し、当該下穴にコーチねじなどをねじ込んで固定する構造を採ることができる。
また、本実施形態の防振まくら木5では、合成木材製のブロック材50,51を用いたが、PC製や鉄製のブロック材50,51を用いた構成を採ることも可能である。
【0111】
図11(a),(b)は、本発明に係る別の実施形態の防振まくら木6の部分分解斜視図および部分斜視図、図12は防振まくら木6の斜視図である。
防振まくら木6は、タイプレートTが固定される部位に対応したまくら木60の上面60aから長手両側面60bの上部側にかけて制振シート61を接合し、この制振シート61の上から耐摩耗性を有する被覆材62を被覆した構成である。
【0112】
本実施形態においても、まくら木60は、ガラス長繊維強化硬質合成樹脂発泡体を素材とする合成木材で製しており、合成木材に含まれる繊維方向がまくら木60の長手方向となるように切り出したものを用いている。また、制振シート61は弾性を有するゴム材で製され、まくら木60の上面60aから長手両側面60bの上部に渡る幅と、タイプレートTよりも僅かに長い長さとを有する方形状の薄いシートである。
また、被覆材62には、炭素繊維やガラス繊維をプラスチックのマトリックスに配合した耐摩耗性を有する繊維強化プラスチック(FRP)を用いており、このFRPを制振シート61の上から被覆している。
このFRP層の表面に、更に耐摩耗性を有するゴムシートが貼り付けられていても良い。
【0113】
この防振まくら木6によれば、タイプレートTやレールを介して伝わる振動による摩擦が生じても、耐摩耗性を有する被覆材62によって摩耗が生じることが防止され、しかも、制振シート61によって振動がまくら木60に伝達されることを効果的に抑制することが可能である。
また、強度を有する被覆材62が制振シート61に加わる荷重を分散させる効果を奏するので、制振シート61へ加わる荷重が略均一化されて制振効果が向上する。
【0114】
また、防振まくら木6は、制振シート61及び被覆材62をレールやタイプレートTが固定する部位の近傍にだけ設ければ良いので、防振性を向上させつつ省コスト化を図ることが可能である。
本実施形態の防振まくら木6は、通常まくら木や分岐まくら木或いは橋まくら木として採用することにより振動や騒音の発生を効果的に低減可能である。
尚、防振まくら木6では、合成木材製のまくら木60を用いたが、PC製や鉄製のまくら木を用いることも可能である。
【0115】
図13は本発明に係る別の実施形態の防振まくら木7の分解斜視図、図14及び図15は防振まくら木をスラブ道床に取り付ける状態を示す斜視図、図16は図14のA−A矢視断面図である。
【0116】
防振まくら木7は、スラブ道床に嵌め込んで用いるまくら木であり、まくら木70の底面70cから長手両側面70bに渡る部位に弾性を有する制振シート71を接合し、この制振シート71を覆うように保護シート72を接合した構成である。
【0117】
この防振まくら木7は、図14の様に、長尺方形板状のスラブ道床8に設けられた複数の嵌入孔80・・に嵌め込まれて使用される。
本実施形態においても、まくら木70は、ガラス長繊維強化硬質合成樹脂発泡体を素材とする合成木材で製しており、合成木材に含まれる繊維方向がまくら木70の長手方向となるように切り出したものを用いている。また、制振シート71は弾性を有するゴム材で製され、まくら木70の底面60cから長手両側面60bにかけてを覆う長さ及び幅を有する方形状の薄いシートである。
【0118】
また、保護シート72は、防振まくら木7を嵌入孔80に嵌め込む際に、嵌入孔80の角で制振シート71が損傷することを防止するためのもので、薄膜状で強度を有するポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアミド樹脂(ナイロン)或いはアルミニウム(AL)などを使用することができる。
また、スラブ道床8は、コンクリートで製されたものを用いている。
【0119】
また、図15に示される防振まくら木90は、中央にレールの長手方向と平行に排水溝97が設けられたスラブ道床9に用いられるものである。そして、防振まくら木90はまくら木70、制振シート91及び保護シート92を有し、制振シート91及び保護シート92は、スラブ道床9の嵌入子95に対応させてまくら木70の木口、側面及び底面に部分的に取り付けられている。なお、制振シート91及び保護シート92は、上記した制振シート71及び保護シート72と同様な材質のものを用いている。
【0120】
防振まくら木7をスラブ道床8に嵌め込むと、図14,図16の様に、まくら木70とスラブ道床8との間に制振シート71及び保護シート72が挟まれた状態となる。また、防振まくら木90をスラブ道床9に嵌め込むと、図15の様に、まくら木70とスラブ道床9との間に制振シート91及び保護シート92が挟まれた状態となる。
従って、タイプレートやレールからまくら木70に局部的に加わる荷重を、まくら木70によって分散しつつ制振シート71、91の全面に加えて制振させることができ、薄い制振シート71、91によって充分な制振力を発現可能である。
【0121】
図17は、防振まくら木7及びスラブ道床8の構成を一部変更した実施形態を示す断面図である。
防振まくら木7’は、前記した防振まくら木7において、まくら木70の長手両側面70bの下部に長手方向に向けて係止溝70dを設けたものである。これに伴い、まくら木70の底面70cから長手両側面70bにかけて接合される制振シート71及び保護シート72も、係止溝70dの部位において溝状に陥没しており、保護シート72の表面に係止溝72aが形成されている。
【0122】
一方、スラブ道床8’は、嵌入孔80の長手両垂直壁に、防振まくら木7’の係止溝72aに対応させて係合突起80aを長手方向に向けて設けている。
そして、防振まくら木7’をスラブ道床8’の嵌入孔80に圧入すると、係合突起80aによって保護シート72が押圧され、制振シート71が弾性変形しつつ、防振まくら木7’は嵌入孔80に圧入される。そして、係止溝72aが係合突起80aに至ると互いに係合して防振まくら木7’はスラブ道床8’に固定される。
【0123】
このように、本実施形態によれば、防振まくら木7’をスラブ道床8’に圧入するだけで強固に固定することが可能である。
本実施形態の防振まくら木7,7’を用いたスラブ道床8,8’は、通常まくら木や分岐まくら木として採用することにより振動や騒音の発生を効果的に低減可能である。
尚、防振まくら木7,7’では、合成木材製のまくら木70を用いたが、PC製や鉄製のまくら木を用いた構成を採ることも可能である。
【0124】
次に、制振シート(制振材)の実施例について、更に詳しく説明する。
(実施例1〜4、比較例1、2)
1.制振材の作製
表1に示した所定量の塩素含有熱可塑性樹脂〔塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、商品名「エラスレン401」:塩素含量40重量%)、ポリ塩化ビニル(積水化学工業社製、品番「SLP40」:塩素含量57重量%)、塩素化塩化ビニル樹脂(積水化学工業社製、品番「HA05K」:塩素含量70重量%)〕とフタル酸ジオクチルをニ−ダー(モリヤマ社製、型式「G50−15型」)により混練した後、塩素化パラフィン〔(旭電化社製、品番「A−430」:平均炭素数14、塩素化度43重量%)、(東ソー社製、商品名「トヨバラックス270」:平均炭素数12、塩素化度70重量%)、(東ソー社製、商品名「トヨパラックス265」:平均炭素数12、塩素化度65重量%)、(東ソー社製、商品名「トヨパラックスA−40」:平均炭素数25、塩素化度40重量%)、(味の素ファインテクノ社製、商品名「エンパラ70」:平均炭素数26、塩素化度70重量%)〕をニーダーに供給して所定温度で混練し、制振材用樹脂組成物を得た。得られた制振材用樹脂組成物を、吐出部にTダイを備えた一軸押出機(GMエンジニアリング社製、型式「GM50」)に供給し、所定のバレル及び金型温度で押出成形して、厚み1mmのシート状制振材を作製した。
【0125】
2.制振材の評価
実施例1〜4、比較例1、2で得られたシート状制振材を、粘弾性測定器(東洋精機製作所社製、商品名「レオログラフ」)により、周波数100Hzで貯蔵弾性係数(E’)及び損失弾性係数(E”)を測定し、tanδ(=E”/E’)を算出した。このとき、tanδが最高になるときの温度及びtanδを表1に纏めて示す。
【0126】
【表1】
【0127】
(実施例5)
塩素化ポリエチレン(昭和電工社製「エラスレン402NA」、塩素含量40重量%)100重量部と、平均炭素数10〜16塩素化パラフィン(旭電化社製「E500」、塩素化度50重量%、平均炭素数=14)150重量部と、平均炭素数20〜50塩素化パラフィン(旭電化社製「A430」、塩素化度43重量%、平均炭素数=25)50重量部をロール練り機で混練し、得られた樹脂組成物を120℃でプレスして厚さ1mmのシート状制振材を作製した。
【0128】
(実施例6)
塩素化ポリエチレン(昭和電工社製「エラスレン402NA」、塩素含量40重量%)100重量部と、平均炭素数10〜16塩素化パラフィン(東ソー社製「トヨパラックス265」、塩素化度65重量%、平均炭素数=12)150重量部と、平均炭素数20〜50塩素化パラフィン(旭電化社製「A−430」、塩素化度43重量%、平均炭素数=25)50重量部をロール練り機で混練した。それ以降は、実施例5と同様な方法でシート状制振材を作製した。
【0129】
(比較例3)
塩素化パラフィンとして平均炭素数10〜16塩素化パラフィンを用いず、平均炭素数20〜50塩素化パラフィン(旭電化社製「A430」、塩素化度43重量%、平均炭素数=25)のみを200重量部用いた。それ以外は、実施例5と同様な方法でシート状制振材を作製した。
【0130】
(比較例4)
塩素化パラフィンとして平均炭素数20〜50塩素化パラフィンを用いず、平均炭素数10〜16塩素化パラフィン(旭電化社製「E500」、塩素化度50重量%、平均炭素数=14)のみを200重量部用いた。それ以外は、実施例5と同様な方法でシート状制振材を作製した。
【0131】
(比較例5)
塩素化ポリエチレンの代わりに、塩素を全く含有しない樹脂であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井ポリケミカル社製「P−1905」、塩素含量0重量%)を用いた。それ以外は、実施例5と同様な方法でシート状制振材を作製した。
【0132】
・制振材の評価
実施例5、6及び比較例3〜5で得られた制振材の性能を下記の方法で評価した。この結果を表2にまとめて示す。
【0133】
【表2】
【0134】
作製直後及び作製後1年のシート状制振材の損失正接を粘弾性測定器(東洋精機製作所社製「レオログラフ」)を用いて、温度−60〜60℃、周波数100Hzの条件で測定した。尚、損失正接tanδ(=E”/E’)は常法により縦弾性係数(E′,E”)より算出し、得られた損失正接の最大値を表2に示す。
【0135】
(実施例7)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量40重量%の塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、「エラスレン401」)100重量部に対し、塩素化度43重量%の塩素化パラフィン(旭電化社製、「A−430」、平均炭素数25)150重量部と、塩素化度70重量%の塩素化パラフィン(味の素社製、「エンパラ70」、平均炭素数26)100重量部とをニーダー(モリヤマ社製、「G50−15型」)にて混練温度約110℃で混練した。得られた樹脂組成物を120℃でプレスして厚み1mmのシート状制振材を得た。
【0136】
(実施例8)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量57重量%のポリ塩化ビニル(積水化学社製、「TS1000R」)100重量部に対し、塩素化度70重量%の塩素化パラフィン(味の素社製、「エンパラ70、平均分子量26)100重量部と、フタル酸ジオクチル(積水化学社製、「DOP」)50重量部と、錫系熱安定剤(三共有機合成社製、「STANN ONZ−41F」)0.5部とを配合し、以下は実施例18と同様に混練およびシート化を行い、厚み1mmのシート状制振材を得た。ただしニーダーの混練温度は約150℃とし、プレス機の温度は160℃とした。
【0137】
(実施例9)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量40重量%の塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、「エラスレン401」)100重量部に対し、塩素化度43重量%の塩素化パラフィン(旭電化社製、「A−430」、平均炭素数25)150重量部と、塩素化度70重量%の塩素化パラフィン(味の素社製、「エンパラ70」、平均炭素数26)100重量部と、ロジンエステル(荒川化学社製「KE656」)5重量部とを配合し、以下は実施例7と同様に混練およびシート化を行い、厚み1mmのシート状制振材を得た。
【0138】
(比較例6)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量40重量%の塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、「エラスレン401」)100重量部に対し、塩素化度43重量%の塩素化パラフィン(旭電化社製、「A−430」、平均炭素数25)200重量部を配合し、以下は実施例7と同様に混練およびシート化を行い、厚み1mmのシート状制振材を得た。
【0139】
(比較例7)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量40重量%の塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、「エラスレン401」)100重量部に対し、塩素化度70重量%の塩素化パラフィン(味の素社製、「エンパラ70」、平均分子量26)150重量部を配合し、以下は実施例7と同様に混練およびシート化を行い、厚み1mmのシート状制振材を得た。
【0140】
(比較例8)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量57重量%のポリ塩化ビニル(積水化学社製、「TS1000R」)100重量部に対し、塩素化度70重量%の塩素化パラフィン(味の素社製、「エンパラ70」、平均分子量26)100重量部と、フタル酸ジオクチル(積水化学社製、「DOP」)50重量部とを配合し、以下は実施例7と同様に混練およびシート化を行い、厚み1mmのシート状制振材を得た。
【0141】
(比較例9)
塩素含有熱可塑性樹脂として塩素含量57重量%のポリ塩化ビニル(積水化学社製、「TS1000R」)100重量部に対し、塩素化度70重量%の塩素化パラフィン(味の素社製、「エンパラ70」、平均分子量26)100重量部を配合し、以下は実施例7と同様に混練およびシート化を行い、厚み1mmのシート状制振材を得た。
【0142】
・制振材の評価
a)実施例7〜9および比較例6〜9で得られた制振材用樹脂組成物シートの特性を測定した。粘弾性測定器(東洋精機製作所社製、「レオログラフ」)によって縦弾性係数(E’,E”)を測定し、損失正接tanδ(=E”/E’)を算出した。またtanδ最高温度を求めた。測定周波数は100Hzとし、測定温度−40〜60℃の範囲で測定を行った。
b)作製3日後のシート表面を手で触り、ブリードアウトの有無(有=×、無=○)を確認した。
c)実施例7〜9および比較例6〜9得られたシート状制振材をそれぞれ5cm×5cmのサイズにカットした。1枚の制振材カットを2枚のガラス板(5cm×5cm×3mm)でサンドイッチし、得られたサンドイッチ物を真空バッグ内に入れた。その後サンドイッチ物を温度140℃、圧力10mmHgの条件で30分真空プレスし、サンプルを作製した。これをヘイズメーター(東京電色社製「TC−H3P」)でヘイズ測定し、全光線透過率およびヘイズを求めた。
これらの結果を表3にまとめて示す。
【0143】
【表3】
【0144】
表3から分かるように、実施例7〜9の制振材用樹脂組成物シートはいずれの項目においても良好な結果を示した。これに対し、比較例6のシートは常温でのtanδの値が低く、比較例7のものはtanδの値が低い上にブリードアウトが起こり、比較例8のシートは黄変を来たし、比較例9のシートはtanδの値が低い上に最高温度がずれたものであった。
【0145】
【発明の効果】
本発明によれば、長手方向の曲げ剛性を増加しつつ防振性、耐久性および製造性を向上させた省コスト化した防振まくら木を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る防振まくら木の分解斜視図、(b)はその防振まくら木の斜視図である。
【図2】図1に示す防振まくら木に加わる荷重を示す説明図である。
【図3】(a),(b)は、図1の防振まくら木のブロック材の固定構造を示す断面図である。
【図4】図1に示す防振まくら木を上下反転させて敷設した状態を示す側面図である。
【図5】(a)は本発明の別の実施形態に係る防振まくら木の凸条部および凹条部の形状を示す側面図、(b)はその防振まくら木を上下反転させて敷設した状態を示す側面図である。
【図6】(a)は本発明の別の実施形態に係る防振まくら木の凸条部および凹条部の形状を示す側面図、(b)はその防振まくら木を上下反転させて敷設した状態を示す側面図である。
【図7】(a)は本発明の更に別の実施形態に係る防振まくら木の凸条部および凹条部の形状を示す側面図、(b)はその防振まくら木を上下反転させて敷設した状態を示す側面図である。
【図8】(a)は図1に示す防振まくら木の凸条部を設けたブロック材の強度を示す断面図、(b)は図1に示す防振まくら木の凹条部を設けたブロック材の強度を示す断面図である。
【図9】(a)は本発明の別の実施形態に係る防振まくら木の部分分解斜視図、(b)は(a)の部分斜視図である。
【図10】図9に示す防振まくら木の斜視図である。
【図11】(a)は本発明の別の実施形態に係る防振まくら木の部分分解斜視図、(b)は(a)の部分斜視図である。
【図12】図11に示す防振まくら木の斜視図である。
【図13】本発明の別の実施形態に係る防振まくら木の分解斜視図である。
【図14】図13の防振まくら木をスラブ道床に嵌め込む状態を示す斜視図である。
【図15】防振まくら木をスラブ道床に嵌め込む状態を示す斜視図である。
【図16】図14のA−A矢視断面図である。
【図17】図13の防振まくら木を変形した実施形態の防振まくら木をスラブ道床に嵌め込む状態を示す断面図である。
【図18】従来の防振まくら木を橋梁に敷設した状態を示す斜視図である。
【図19】従来の別の防振まくら木を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,2,3,4,5,6,7,90 防振まくら木
10,11,20,21,22,23,24,25,50,51 ブロック材
10b 凸条部
11b 凹条部
12,52,61,71、91 制振シート
Claims (7)
- 上下に分割された複数のブロック材の間に弾性を有する制振シートを挟んで一体化して形成される長尺方形状の防振まくら木であって、
上下に当接する各ブロック材は、一方のブロック材の当接部位に長手方向全長に渡って上方または下方へ突出する凸条部を有すると共に、他方のブロック材の当接部位に前記凸条部と対応させて長手方向全長に渡って上方または下方へ退入する凹条部を有しており、ブロック材同士の間に前記制振シートを挟み前記凸条部と凹条部とを上下に嵌合させて長尺方形状に形成されることを特徴とする防振まくら木。 - 前記各ブロック材は、長手方向の断面が左右対称形状となるように形成されており、ブロック材同士を上下に重ねて凸条部と凹条部を嵌合させることにより、ブロック材同士を幅方向へ位置決めしつつ当接させることを特徴とする請求項1に記載の防振まくら木。
- 前記各ブロック材は、前記凸条部および凹状部をブロック材の幅方向の中央部に設けて形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の防振まくら木。
- 前記各ブロック材は、前記凸条部および凹条部にテーパーを設けて形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防振まくら木。
- 平面によって上下に分割された複数のブロック材の間に弾性を有する制振シートを挟んで一体化して形成される長尺方形状の防振まくら木であって、分割されたブロック材のうち最も高いブロック材の高さが、防振まくら木の高さに対して所定比率以上であることを特徴とする防振まくら木。
- レール又はタイプレートが固定される部位に対応したまくら木の少なくとも上面に制振シートを接合し、当該制振シートを耐摩耗性を有する被覆材で被覆して形成されることを特徴とする防振まくら木。
- 長尺方形板状のスラブ道床に嵌め込んで用いられる防振まくら木であって、スラブ道床に嵌め込まれるまくら木の底面から長手両側面に渡る部位へ弾性を有する制振シートを接合し、当該制振シートを覆うように保護シートを接合して形成されることを特徴とする防振まくら木。
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