JP2008121799A - 免震構造体 - Google Patents

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佳宏 宮城
Tasuku Kondo
翼 近藤
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Abstract

【課題】 Pb(鉛)を使用せずに、免震構造体に要求される充分な減衰性能を発揮しうる免震構造体を提供することである。
【解決手段】 剛性を有する内部硬質板12a、上部硬質板12bおよび下部硬質板12cからなる硬質板12とゴム層13とが交互に積層された積層体と、該積層体の積層方向に穿設した中空部14内に配置されたプラグ15とを備え、該プラグ15が、破断伸びが200%以上で且つ非結晶性または非結晶状態である熱可塑性樹脂を材料として形成されている、免震構造体11である。
【選択図】図1

Description

本発明は、道路橋、高架橋、ビル、家屋等の構造物と、その土台との間に介装する積層ゴム型の免震構造体に関する。
従来から、地震等の振動を道路橋、高架橋、ビル、家屋等の構造物に直接伝播させないために、構造物と土台との間に免震構造体を介装して振動を減衰させる免震構造が採用されている。免震構造に用いられる免震構造体としては、例えば、剛性を有する硬質板(硬質材)とゴム層(軟質材)とが交互に積層された積層体と、該積層体の積層方向に穿設した中空部内に配置されたエネルギー吸収材料からなるプラグとを備えた積層ゴム型免震構造体が知られている。この積層ゴム型免震構造体は、地震時の振動(ゆれ)に対して剪断変形し、それにつられる形で内部のプラグが塑性変形することにより振動エネルギーを吸収し、免震性能を発揮するものである。
これまで、積層ゴム型免震構造体のプラグに用いられるエネルギー吸収材料としては、一般にPb(鉛)が汎用されていた。Pb(鉛)は、優れたエネルギー吸収能力を有することに加え、展延性に富むため積層ゴムの変形に容易に追従できるという利点があり、さらに、再結晶が常温で起こるため材料劣化が少なく、しかも安価であるという点で、メンテナンスを実施し難い土木構造物の免震構造体用のエネルギー吸収材料に適している。
ところが、近年、Pb(鉛)について、人体に対する有害性が指摘されるようになり、環境や健康に対する配慮から、その使用は制限される傾向にある。そこで、免震構造体に用いるエネルギー吸収材料をPb(鉛)から他の材料に代替する試みが進められている。例えば、1)エネルギー吸収材料として、弾性係数、破断時伸びおよび50%引張変形時のヒステリシス比(h50)がそれぞれ特定範囲である特定の熱可塑性樹脂を用いた免震装置(特許文献1参照)や、2)エネルギー吸収材料として超塑性プラスチックを用いた高減衰支承装置(特許文献2参照)が提案されている。
特許第2658024号公報 特開2004−211745号公報
しかしながら、前記特許文献1や前記特許文献2において開示されているエネルギー吸収材料は、いずれもPb(鉛)の代替材料としては未だ満足しうるものではなく、これら文献で提案されている装置は種々の問題を有し、免震構造体に要求される充分な減衰性能を発揮しうるものではなかった。例えば、前記特許文献1では、エネルギー吸収材料の破断伸びは50%以上とされているが、破断伸びが50〜100%程度のエネルギー吸収材料を免震構造体のプラグとして用いた場合、免震構造体の変形に追従するための変形能力が不充分となり、振動(ゆれ)の大きさによってはプラグが破損して免震構造体としての機能(減衰性能)を果たせないことになる、という問題があった。また、前記特許文献1に記載されているアロイ化したポリエチレンテレフタレート(PETアロイ)や前記特許文献2に記載されているポリエチレンテレフタレート(PET)はいずれも、結晶化しやすいため、衝撃強さが低くなり、減衰性能が充分に発揮されない、という問題があった。
そこで、本発明の課題は、Pb(鉛)を使用せずに、免震構造体に要求される充分な減衰性能を発揮しうる免震構造体を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の免震構造体は、以下の構成からなる。
(1)剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層された積層体と、該積層体の積層方向に穿設した中空部内に配置されたプラグとを備えた積層ゴム型免震構造体であって、
前記プラグは、破断伸びが200%以上で且つ非結晶性または非結晶状態である熱可塑性樹脂(A)を材料としてなる、ことを特徴とする免震構造体。
(2)前記熱可塑性樹脂(A)は、非結晶状態のポリエチレンテレフタレート(A−PET)および非結晶性のグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)から選ばれる少なくとも一方である(1)記載の免震構造体。
(3)前記プラグの材料には、前記熱可塑性樹脂(A)とともに、JIS−K−7110に規定のアイゾット衝撃強さの試験方法で2号Aの試験片を用いたときに破壊しない熱可塑性樹脂(B)が混合されている(1)または(2)に記載の免震構造体。
(4)前記熱可塑性樹脂(B)は、熱可塑性エラストマー、中低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種である(3)記載の免震構造体。
(5)前記プラグは、2つ以上に分割されている(1)〜(4)のいずれかに記載の免震構造体。
(6)前記プラグは、前記熱可塑性樹脂(A)を必須とする材料を用いて形成された樹脂板が、前記積層体の積層方向に、複数枚積層されて構成されたものである(5)記載の免震構造体。
(7)複数の前記樹脂板間に摩擦板が介装されている(6)記載の免震構造体。
(8)前記プラグは、繊維および金属から選ばれる少なくとも一方と前記熱可塑性樹脂(A)を必須とする材料とを複合して形成されている(1)〜(7)のいずれかに記載の免震構造体。
前記(1)、(2)に記載の免震構造体によれば、プラグの材料として、従来のPb(鉛)ではなく、熱可塑性樹脂を用いているので、環境や人体への悪影響を低減することができる。しかも、この熱可塑性樹脂が、破断伸びが200%以上で且つ非結晶性または非結晶状態である(例えば、非結晶状態のポリエチレンテレフタレート(A−PET)や非結晶性のグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)など)ことにより、伸びに加えて衝撃強さをも兼ね備えたプラグが形成され、免震構造体に要求される充分な減衰性能が得られる。
また、前記(3)、(4)に記載のように、プラグの材料として、熱可塑性樹脂(A)単体ではなく、該熱可塑性樹脂(A)と、JIS−K−7110に規定のアイゾット衝撃強さの試験方法で2号Aの試験片を用いたときに破壊しないといった高い衝撃強さを有する熱可塑性樹脂(B)との混合物を用いることによって、展延性が増し、硬質板とゴム層の変形に追随する性能(変形性能)をより向上させることができる。
また、前記(5)、(6)に記載のように、プラグを複数個に分割した構造とすることで、硬質板とゴム層の変形に追随する性能(変形性能)をより向上させることができる。
また、前記(7)に記載のように、樹脂板間に摩擦板を介装することによって、摩擦板と樹脂板との摩擦により生じる摩擦減衰の効果をも得ることができるので、免震構造体のエネルギー吸収性能をより向上させることができる。
また、前記(8)に記載のように、プラグの材料として、熱可塑性樹脂(A)単体ではなく、該熱可塑性樹脂(A)と繊維および金属から選ばれる少なくとも一方とを複合して用いることにより、免震構造体のエネルギー吸収性能をも向上させることができる。
以下、本発明の一実施形態にかかる免震構造体について、図面を参照して詳細に説明する。図1(a)は、本実施形態にかかる免震構造体11を示す平面図であり、図1(b)はそのA−A線断面図である。図1(a)、(b)に示すように、免震構造体11は、剛性を有する硬質板12とゴム層13とが交互に積層された積層体と、該積層体の積層方向に穿設した中空部14内に配置されたプラグ15とを備えている。
硬質板12は、免震構造体11の内部に配置された内部硬質板12a、上部に配置された上部硬質板12bおよび下部に配置された下部硬質板12cとからなる。これらの硬質板12としては、例えば鋼板等の金属板、セラミックス、硬質プラスチック板等の材料を用いることができる。内部硬質板12aは、その厚さが1〜6mm程度であるのがよく、枚数が2〜50枚程度であるのがよい。また、上部硬質板12bおよび下部硬質板12cの厚さは10〜60mm程度であるのがよい。
ゴム層13は、主成分であるゴム成分に、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、補強剤、遅延剤、可塑剤、必要に応じて着色剤などの配合剤を配合したものである。ゴム層13は、各層の厚さが1〜50mm程度であるのがよい。
ゴム成分としては、例えばジエン系ゴムを使用することができる。ジエン系ゴムとしては、天然ゴムの他、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等の合成ゴムが挙げられる。加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、補強剤、遅延剤、可塑剤、着色剤などの配合剤は、公知のものを使用することができる。
本発明では、プラグ15の材料(エネルギー吸収材料)として、破断伸びが200%以上(好ましくは300%以上)で且つ非結晶性または非結晶状態である熱可塑性樹脂(A)を用いている。なお、本発明において、破断伸びは23℃における測定値であるものとする。
このような熱可塑性樹脂(A)としては、非結晶状態のポリエチレンテレフタレート(A−PET)、非結晶性のグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、グリコール変性ポリシクロヘキシレン・ジメチレンテレフタレート(PCTG)等が挙げられる。中でも、非結晶状態のポリエチレンテレフタレート(A−PET)および非結晶性のグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)から選ばれる少なくとも一方であることが好ましい。前記A−PETは、例えば、PETの結晶化が完全に進行する前に急冷することにより容易に得ることができる。前記PETGは、例えば、テレフタル酸とエチレングリコールとの縮合重合によるPET合成において、エチレングリコールの一部をシクロヘキサンジメタノールに置き換えることにより容易に得ることができる。前記PCTGは、例えば、テレフタル酸とシクロヘキサンジメタノールとの縮合重合において、シクロヘキサンジメタノールの一部をエチレングリコールに置き換えることにより容易に得ることができる。また、前記熱可塑性樹脂(A)の市販品としては、例えば、イーストマンケミカル社製「イースター」、「スペクター」、SKケミカル社製「スカイグリーン」などが挙げられる。
本発明において、熱可塑性樹脂(A)が非結晶性であるか否か、もしくは非結晶状態であるか否かについては、結晶化度によって判断することができる。具体的には、結晶化度が30%以下であれば、非結晶性または非結晶状態の樹脂であるものとする。なお、非結晶性または非結晶状態であるか否かを判断する目安として、成形された樹脂の透明度(成形された樹脂が透明か不透明か)を利用することもできる。具体的には、透明度が高ければ(透明であれば)非結晶性または非結晶状態であると言える。
前記プラグ15の材料(エネルギー吸収材料)には、前記熱可塑性樹脂(A)とともに、JIS−K−7110に規定のアイゾット衝撃強さの試験方法で2号Aの試験片を用いたときに破壊しない熱可塑性樹脂(B)が混合されていてもよい。このように衝撃強さの強い熱可塑性樹脂(B)を混合することで、展延性が増し、硬質板とゴム層の変形に追随する性能(変形性能)をより向上させることができる。なお、2号Aの試験片とは、長さ64±2mm、厚さ12.7±0.1mm、幅12.7±0.5mmで、Aタイプのノッチを有する試験片である。
前記熱可塑性樹脂(B)の具体例としては、熱可塑性エラストマー、中低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系、塩ビ系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ニトリル系、ポリアミド系、フッ素系、塩素化ポリエチレン系、シリコーン系などのエラストマーが挙げられ、例えば、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンゴム(SEBS)などが挙げられる。
前記熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)との混合割合は、特に限定されないが、例えば、前記熱可塑性樹脂(B)が前記熱可塑性樹脂(A)に対して30重量%以下となるようにするのがよい。
上記のような免震構造体11は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、プラグ15を挿入するための穴が設けられた内部硬質板12a、上部硬質板12bおよび下部硬質板12cを準備し、これらの硬質板12a、12b、12cを金型内に所定の間隔で配置する。次いで、この金型内に、ゴム成分に対して各種配合剤を配合したゴム組成物を射出等により注入して加硫成形と同時に一体に接着することにより、中空部14が穿設された積層体を作製する。そして、該積層体の中空部14内にプラグ15を挿入して免震構造体11を得る。
また、免震構造体11は、以下のようにして製造することもできる。まず、ゴム成分に対して各種配合剤を配合したゴム組成物を射出成形、押出成形等により成形して所定厚みのゴム層13を複数枚作製する。これらのゴム層13には、成形と同時に、あるいは成形後の加工によりプラグ15を挿入するための穴が設けられている。また、プラグ15を挿入するための穴が設けられた内部硬質板12a、上部硬質板12bおよび下部硬質板12cを準備する。次いで、これらのゴム層13と、硬質板12a,12b,12cとを積層して接着剤等により接着することにより、中空部14が穿設された積層体を作製する。そして、該積層体の中空部14内にプラグ15を挿入して免震構造体11を得る。接着剤としては、例えば酢酸ビニル系、アクリル系、エチレン共重合体系、ドープセメント、モノマセメント、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等の熱可塑性接着剤;クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、再生ゴム系、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)系、天然ゴム系等のゴム系接着剤等が挙げられる。
図2は、本発明の他の実施形態にかかる免震構造体を示す断面図である。図2に示すように、免震構造体11aにおけるプラグ21は、熱可塑性樹脂(A)を主成分とする樹脂板16が、中空部14の高さ方向(穿口方向)に、複数枚(図2の場合、6枚)積層され、さらにこれらの樹脂板16間には、複数枚(図2の場合、5枚)の摩擦板17が介装されて構成されている。
摩擦板17を構成する材料としては、例えば鉄などの金属板、セラミックス、繊維強化プラスチック(FRP)などを用いることができる。樹脂板16および摩擦板17の枚数は、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜設定すればよいが、通常、樹脂板16は、2〜50枚程度が適当であり、これらの樹脂板16間に摩擦板17をそれぞれ介装するのがよい。
プラグ21は、樹脂板16と摩擦板17とを予め積層した状態で中空部14に挿入してもよく、樹脂板16および摩擦板17を1枚ずつ順に中空部14内に配置するようにしてもよい。他の部材については、図1(a)、(b)と同じ符号を付して説明を省略する。
図3は、本発明のさらに他の実施形態にかかる免震構造体を示す断面図である。図3に示すように、免震構造体11bでは、プラグ22の材料として、熱可塑性樹脂(A)と金属との複合材料を用いている。すなわち、プラグ22は、円柱状の熱可塑性樹脂(A)18の内部に、中空部の高さ方向に沿って複数の金属線19が配置されて構成されている。
金属線19を構成する材料としては、例えば鉄、錫、インジウム、易融合金などを用いることができる。金属線19の本数、径等は、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜設定すればよいが、通常、金属線19の本数は、1〜50本程度が適当であり、金属線19の径は、1〜10mm程度が適当である。
プラグ22は、例えば金型内に所定の間隔で配置された複数の金属線19と、熱可塑性樹脂(A)18とを一体成形することにより製造できる。他の部材については、図1(a)、(b)と同じ符号を付して説明を省略する。
なお、上記実施形態では、免震構造体の平面形状が円形である場合を例に挙げて説明したが、本発明の免震構造体では、その平面形状が楕円形や四角形、六角形などの多角形であってもよい。また、硬質板の積層数、ゴム層の積層数、プラグの本数などは、使用状況に応じて適宜設定すればよく、上記実施形態に限定されるものではない。プラグの本数(言い換えれば、積層体に設けられた中空部の数)は、1〜12本であるのが好ましい。
また、上記実施形態では、プラグの材料として、熱可塑性樹脂(A)と金属との複合材料を用いた場合を例に挙げたが、例えばガラス繊維などの繊維と熱可塑性樹脂(A)との複合材料、ガラス繊維と金属と熱可塑性樹脂(A)との複合材料などを用いることもできる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例においてプラグを構成する材料(樹脂)の引張強度および破断伸びは、JIS−K7113に準じた方法により測定した。
ゴム成分(天然ゴム(NR))100重量部に対して、各配合剤を下記に示す配合比率で配合したゴム組成物を調製した。次いで、プラグを挿入するための穴を有する内部硬質板(5枚)、上部硬質板(1枚)および下部硬質板(1枚)を準備し、これらの硬質板を成形機の金型内に所定の間隔で配置し、この金型内に上記ゴム組成物を注入して加硫成形すると同時に一体化することにより、中空部が穿設された積層体を得た。次いで、この積層体の中空部に、表1に示す物性を有する非結晶性のグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)(イーストマンケミカル社製「イースター」)を用いて中空部とほぼ同寸法に成形したプラグを圧入して、図4に示すような形態の免震構造体を得た。
<ゴム組成物の配合比率>
ゴム成分 100重量部
ステアリン酸 1重量部
亜鉛華 5重量部
老化防止剤 8重量部
カーボンブラック 40重量部
可塑剤 10重量部
シリカ 15重量部
遅延剤 0.75重量部
加硫促進剤 2.5重量部
硫黄 1重量部
<免震構造体の詳細>
免震構造体のサイズ:110mm×110mm、高さ43.3mm
内部硬質板のサイズ:100mm×100mm、高さ2.3mm
上部・下部硬質板のサイズ:100mm×100mm、厚さ9mm
中空部の穴径:φ29mm
プラグの径:φ29mm
ゴム層:厚み2.3mm×6層
硬質板の材質:SS400(JIS G3101)
PETG(前出の「イースター」)を用いて樹脂板を6枚作製し、セラミックスを用いて摩擦板を5枚作製し、これらの樹脂板と摩擦板を交互に積層した状態で中空部に圧入した他は、実施例1と同様にして図5に示すような形態の免震構造体を得た。
金型内に所定の間隔で配置されたSnからなる金属線(外径10mm、長さ48.4mm)1本と、PETG(前出の「イースター」)とを一体成形してプラグを作製し、このプラグを中空部に圧入した他は、実施例1と同様にして図6に示すような形態の免震構造体を得た。なお、この免震構造体におけるプラグは、PETGの内部に、中空部の高さ方向に沿って1本の金属線が配置された形態である。
PETGに代えて、該PETG(前出の「イースター」)と、前記熱可塑性樹脂(B)として熱可塑性エラストマーであるスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンゴム(SEBS)とをPETG:SEBS=100: 5(重量比)の割合で混合してなる混合物(表1に示す物性を有する)を用いてプラグを作製した他は、実施例1と同様にして図4に示すような形態の免震構造体を得た。
[比較例1]
PETGに代えて、表1に示す物性を有するポリエチレンテレフタレート系アロイ化樹脂(PETアロイ)(ポリエチレンテレフタレート(PET)100重量部に対して、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)20重量部、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンゴム(SEBS)15重量部、およびエチレン・メタクリル酸グリシジル共重合体(EGMA―g―PS)7重量部をアロイ化したもの)を用いてプラグを作製した他は、実施例1と同様にして図4に示すような形態の免震構造体を得た。
[比較例2]
PETGに代えて、表1に示す物性を有する高密度ポリエチレン(HDPE)(三井住友ポリオレフィン(株)製「ハイゼックス」)を用いてプラグを作製した他は、実施例1と同様にして図4に示すような形態の免震構造体を得た。
[比較例3]
PETGに代えて、表1に示す物性を有するポリ塩化ビニル(PVC)(サン・アロー化成(株)製「SE4206−SO1」)を用いてプラグを作製した他は、実施例1と同様にして図4に示すような形態の免震構造体を得た。
[比較例4]
PETGに代えて、表1に示す物性を有する熱硬化性ポリウレタン(三井化学ポリウレタン(株)製「ハイプレン」)を用いてプラグを作製した他は、実施例1と同様にして図4に示すような形態の免震構造体を得た。
上記で得られた実施例1〜4および比較例1〜4の免震構造体のエネルギー吸収性能(減衰率)、ばね特性および変形性能(極限性能)を以下のようにして評価した。結果を表1に示す。
<減衰率、ばね特性、極限性能の測定>
鷺ノ宮製作所社製サーボパルサー(5tonf)を用いて、並列に並べた2つの免震構造体を剪断変形(ゴム層に対して100%)させたときの減衰率(heg)およびばね特性(水平剛性値k)を下式(I)、(II)によりそれぞれ求めた。また、ゴム層に対して200%の剪断変形を上記と同様にして加えて極限性能を評価した。各試験の試験温度は23℃とした。結果を表1に示す。
Figure 2008121799
Figure 2008121799
Figure 2008121799
表1から、プラグの材料として非結晶性であり破断伸び200%以上の熱可塑性樹脂(A)を用いた実施例1〜4の免震構造体では、優れたエネルギー吸収性能(減衰率)および変形性能(極限性能)が得られていることがわかる。一方、プラグの材料として結晶性の熱可塑性樹脂を用いた比較例1および比較例2の免震構造体はいずれも、実施例1と比較して材料強度が劣っているので、プラグのエネルギー吸収性能が不充分となり、免震構造体用のプラグとして満足しうるレベルの減衰率は得られないものであった。また、プラグの材料の破断伸びが200%未満である比較例3の免震構造体は、プラグの変形能力が低く、免震構造体の変形に追従できなかったため、減衰率およびばね特性の測定ができなかった。また、プラグの材料として熱硬化性樹脂を用いた比較例4の免震構造体は、プラグのエネルギー吸収性能が低いため、減衰率が極めて低く、免震構造体用のプラグとして使用できるものではなかった。
(a)は本発明の一実施形態にかかる免震構造体を示す平面図であり、(b)はそのA−A線断面図である。 本発明の他の実施形態にかかる免震構造体を示す断面図である。 本発明のさらに他の実施形態にかかる免震構造体を示す断面図である。 (a)は実施例1で得られた免震構造体を示す平面図であり、(b)はそのA−A線断面図である。 実施例2で得られた免震構造体を示す断面図である。 実施例3で得られた免震構造体を示す断面図である。
符号の説明
11 免震構造体
11a 免震構造体
11b 免震構造体
12 硬質板
12a 内部硬質板
12b 上部硬質板
12c 下部硬質板
13 ゴム層
14 中空部
15 プラグ
16 樹脂板
17 摩擦板
18 熱可塑性樹脂(A)
19 金属線
21 プラグ
22 プラグ

Claims (8)

  1. 剛性を有する硬質板とゴム層とが交互に積層された積層体と、該積層体の積層方向に穿設した中空部内に配置されたプラグとを備えた積層ゴム型免震構造体であって、
    前記プラグは、破断伸びが200%以上で且つ非結晶性または非結晶状態である熱可塑性樹脂(A)を材料としてなる、ことを特徴とする免震構造体。
  2. 前記熱可塑性樹脂(A)は、非結晶状態のポリエチレンテレフタレート(A−PET)および非結晶性のグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)から選ばれる少なくとも一方である、請求項1記載の免震構造体。
  3. 前記プラグの材料には、前記熱可塑性樹脂(A)とともに、JIS−K−7110に規定のアイゾット衝撃強さの試験方法で2号Aの試験片を用いたときに破壊しない熱可塑性樹脂(B)が混合されている、請求項1または2に記載の免震構造体。
  4. 前記熱可塑性樹脂(B)は、熱可塑性エラストマー、中低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項3記載の免震構造体。
  5. 前記プラグは、2つ以上に分割されている、請求項1〜4のいずれかに記載の免震構造体。
  6. 前記プラグは、前記熱可塑性樹脂(A)を必須とする材料を用いて形成された樹脂板が、前記積層体の積層方向に、複数枚積層されて構成されたものである、請求項5記載の免震構造体。
  7. 複数の前記樹脂板間に摩擦板が介装されている、請求項6記載の免震構造体。
  8. 前記プラグは、繊維および金属から選ばれる少なくとも一方と前記熱可塑性樹脂(A)を必須とする材料とを複合して形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の免震構造体。
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