JP2004121492A - ディスポーザ付きキッチンの防音装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】制振シート(1) と、制振シート(1) の片面に貼り合わされ、且つ縦弾性係数が1GPa以上であるシート状拘束部材(2) とよりなる積層体(3) が、制振シート(1) 側においてシンク(4) のディスポーザ側外面全体に貼り合わせられている。
【効果】ディスポーザの運転時に発生する振動を防音材が吸収し、高い防音性能を有する。また、防音材をシンクの少なくともディスポーザ側外面に貼り合わせるだけであるので、現場での施工性がよく、施工費が安い。加えて、この防音装置は構造が簡単であるので低コストで製作することができる。
【選択図】 図1
【効果】ディスポーザの運転時に発生する振動を防音材が吸収し、高い防音性能を有する。また、防音材をシンクの少なくともディスポーザ側外面に貼り合わせるだけであるので、現場での施工性がよく、施工費が安い。加えて、この防音装置は構造が簡単であるので低コストで製作することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディスポーザ付きキッチンの防音装置に関する。最近、キッチンで生じた生ごみを処理するためのディスポーザが普及する傾向にある。ディスポーザはシンク下の収納空間に配置され、シンクの排水口を経て投入される生ごみを粉砕し、粉砕物を水と共に廃棄するものであるが、生ごみ、とりわけ鶏や魚の骨を粉砕する時に大きな音が生じ問題となっている。本発明はこのような騒音の発生を防ぐ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディスポーザの防音手段としては、図3に示すように、ディスポーザ(51)を収める収納室(52)の側壁(53)および扉を、内外2枚の平行板(54)(55)で上下桟木(56)を挟んでなる二重壁構造とし、二重壁内の空間にグラスウールやロックウールからなる吸音材(57)を充填した構造が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この構造の防音装置は側壁(53)および扉の全体に設ける必要があるため施工費が高く付き、二重壁構造のため壁厚が厚くなりその分収納室のスペースが小さくなり、二重壁内の空間にグラスウールやロックウールからなる吸音材を充填する際にその粉塵が飛散し健康に害を及ぼすといった問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−245737号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような諸問題を解決することができるディスポーザ付きキッチンの防音装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によるディスポーザ付きキッチンの防音装置は、ディスポーザ付きキッチンにおいてシンクの少なくともディスポーザ側外面すなわち裏面に防音材が設けられることを特徴とするものである。
【0007】
本発明において、好ましい防音材は、損失正弦(tanδ)のピーク値が1.5以上である有機高分子材料からなる制振シートと、同シートの少なくとも片面に設けられ、且つ縦弾性係数が1GPa以上である拘束部材とで構成されたものである。ただし、防音材はグラスウールやロックウールからなる吸音材や、鋼材等の遮音材であってもよい。
【0008】
制振シート用の有機高分子材料は、損失正弦(tanδ)のピーク値が1.5以上であれば、特に限定されないが、極性基を有する高分子材料が好ましい。このような高分子材料の例として、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素系ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、クロロスルフォン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、フッ素系ポリマー、臭素系ポリマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0009】
有機高分子材料のハロゲン含有量は、少なすぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬くなりすぎて成形が難しくなるので、好ましくは20〜70重量%である。
【0010】
有機高分子材料には必要に応じて可塑剤が添加されてもよい。特に有機高分子材料が硬過ぎる場合、可塑剤を添加するのが好ましい。可塑剤としては、通常、塩化ビニル系樹脂に使用されるものが使用でき、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソノニル、テトラブロモフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸系可塑剤;トリクレジンホスフェート、トリス(1,3−ジシクロ−2−プロピル)ホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;エポキシ系可塑剤;ポリエステル系可塑剤などが挙げられる。植物油系の可塑剤も好ましい。後述する塩素化パラフィンのブリードアウトを抑制するには、フタル酸系可塑剤が好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上組み合わせ用いてもよい。フタル酸系可塑剤以外の可塑剤を用いる場合には、これにフタル酸系可塑剤と併用するのが好ましい。
【0011】
可塑剤の配合量は、有機高分子材料100重量部に対し50〜200重量部、好ましくは60〜180重量部、より好ましくは100重量部以下である。この範囲でブリードアウトが抑制でき、制振効果も発現できる。
【0012】
有機高分子材料には必要に応じて充填材が添加されてもよい。特に、樹脂組成物にある程度の硬さを付与したいときは、充填材を添加するのがよい。充填材としては、鉄粉、アルミニウム粉、銅粉等の金属粉;マイカ、カオリン、モンモリロナイト、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、結晶性炭素(グラファイト等)、バーミキュライト等の無機質充填材などが例示される。これらは、単独で用いられても、2種類以上併用されてもいい。充填材の量は、多すぎると樹脂組成物の制振性が低下するので、有機高分子材料100重量部に対して、好ましくは300重量部以下である。
【0013】
有機高分子材料からなる制振シートの作製方法は、特に限定されず、例えば押出成形法、カレンダー成形法、溶剤キャスト法等の一般的なシート成形方法であってよい。得られたシートを所要サイズにカットして防音装置の構成に供する。
【0014】
他方、拘束部材は、縦弾性係数が1GPa以上であるものであれば特に限定されないが、制振シート用の有機高分子材料より縦弾性係数が大きい材料がよい。
【0015】
このような拘束部材の例として、鉛、鉄、鋼材(ステンレス鋼を含む)、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)等の金属材料;コンクリート、石膏ボード、大理石、スレート板、砂板、ガラス等の無機材料;ポリカーボネート、ポリサルフォン等のビスフエノールA変性樹脂;ポリ(メタ)アクリレートなどのアクリル樹脂;塩化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂等の塩素系樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系ゴム等のゴム系材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の飽和ポリエステル;スチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、アラミド(芳香族ポリアミド)等のポリアミド系樹脂;メラミン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ウレタン系樹脂;ジシクロペンタジエン、ベークライト等の熱硬化性樹脂;木、紙等のセルロース系材料;キチン、キトサンなどからなる板材またはシートが挙げられる。
【0016】
これらは単独で用いても、2以上の組み合わせで用いてもよい。拘束部材はガラス繊維、カーボン繊維、液晶などで補強されていてもよく、互いに異なる材料からなる複合板であってもよく、さらに、これらの材料からなる発泡体であってもよい。
【0017】
拘束部材の形状は、好ましくはシート状である。金属製の拘束部材にメッキや塗装を施すのも好ましい。平滑な金属板からなる拘束部材は反射率が大きくなる傾向にあるので、表面に凹凸を設ける、孔を開ける、拘束部材を無機材にする、などにより反射率を低減させるのが好ましい。孔径は、孔が汚れなどで塞がれないようにまた孔内に水が浸透しないように、直径3〜20mm程度にするのがよい。拘束部材が振動していても、拘束部材の縦弾性係数があまり低下しなければ、表面の凹凸や孔開けなどで防音効果は増す傾向にある。
【0018】
制振シートおよび拘束部材の厚みは任意であってよいが、薄すぎると制振性能が劣り、厚すぎると防音壁の厚みが大きくなるので、制振シートの厚みは好ましくは0.1〜10mm、拘束部材の厚みは好ましくは0.01〜10mmである。縦弾性係数100GPa以上の硬い拘束部材の場合は、厚みは好ましくは0.05〜5mmである。
【0019】
有機高分子材料は、塩素含有量20〜65重量%の塩素系高分子材料100重量部と、炭素数10〜50で且つ塩素含有量30〜70重量%の少なくとも1種の塩素化パラフィン100〜350重量部とからなる樹脂組成物であるものが好ましい。
【0020】
有機高分子材料を構成する塩素系高分子材料は、制振シート用の有機高分子材料のうち塩素系のものであってよく、たとえば、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩素化ポリエチレン系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
【0021】
塩素系高分子材料の塩素含有量は、少なすぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬くなりすぎて成形が難しくなるので、20〜70重量%とするのがよい。
【0022】
有機高分子材料を構成する塩素化パラフィンは、炭素数が10〜50で、塩素含有率が30〜70重量%であるものであれば、限定されず、液状のものでも固体のものでもよい。塩素化パラフィンは、単一物質からなるものでも、2以上の物質の混合物でもよい。
【0023】
塩素化パラフィンの炭素数は、小さすぎると塩素化パラフィンがブリードアウトしてしまい、大きすぎると十分な制振性が発現しないため、好ましくは12〜50であり、塩素化パラフィンが1種類で使用される場合、好ましくは12〜20、より好ましくは12〜16である。
【0024】
塩素化パラフィンの塩素含有量は、少なすぎると、充分な制振性が発現せず、且つ、塩素化パラフィンが塩素系高分子材料と相溶しにくくブリードアウトする恐れがあり、多すぎると、やはり塩素化パラフィンが塩素系高分子材料と相溶しにくくブリードアウトする恐れがあるので、30〜70重量%とするのがよい。塩素化パラフィンの塩素含有量が塩素系高分子材料の塩素含有量に近いほど、制振性が良くなるので、塩素系高分子材料の塩素含有量に従って、塩素化パラフィンの塩素含有量を決めればよい。
【0025】
有機高分子材料において、塩素系高分子材料に対する塩素化パラフィンの量は、少なすぎると十分な制振性が得られず、多すぎると強度が小さくなって樹脂組成物が形態を保持しにくくなるため、塩素系高分子材料100重量部に対して100〜400重量部であることが好ましい。
【0026】
有機高分子材料としては、塩素含有量20〜70重量%の塩素系高分子材料100重量部と、炭素数12〜16で且つ塩素含有率30〜70重量%の第1塩素化パラフィンおよび炭素数20〜50で且つ塩素含有率30〜70重量%の第2塩素化パラフィンの混合物50〜300重量部(ただし第1塩素化パラフィンの割合が、全塩素化パラフィンのうち40重量%以上を占める)とからなる樹脂組成物が特に好ましい。
【0027】
このように2種の塩素化パラフィンを含む樹脂組成物において、有機高分子材料を構成する塩素系高分子材料は、本制振シート用の有機高分子材料のうち塩素系のものであってよく、例えば、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩素化ポリエチレン系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
【0028】
塩素系高分子材料の塩素含有量は、少なすぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬くなりすぎて成形が難しくなるので、20〜70重量%とするのがよい。
【0029】
上記2種の塩素化パラフィンを含む樹脂組成物において、塩素化パラフィンは、炭素数12〜16で且つ塩素含有率30〜70重量%の第1塩素化パラフィンおよび炭素数20〜50で且つ塩素含有率30〜70重量%の第2塩素化パラフィンの混合物である。このように炭素数が互いに異なる2種の塩素化パラフィンを用いることにより、損失正弦(tanδ)のピーク値をより上昇させ、すぐれた制振性を得ることができる。
【0030】
この場合、第1塩素化パラフィンの割合を第2塩素化パラフィンの割合より大きくすると、損失正弦(tanδ)のピーク値をより上昇させるとともに長期に亘って維持することができ、且つ、塩素化パラフィンの制振シートからのブリードアウトを抑制させることができるので好ましい。
【0031】
上記2種の塩素化パラフィンを含む樹脂組成物において、塩素系高分子材料に対する塩素化パラフィン混合物の量は、少なすぎると十分な制振性が得られず、多すぎると強度が小さくなって樹脂組成物が形態を保持しにくくなるため、塩素系高分子材料100重量部に対して50〜400重量部であることが好ましい。
【0032】
上記2種の塩素化パラフィンを含む樹脂組成物には必要に応じて可塑剤、充填材等が添加されてもよい。可塑剤、充填材の例示および添加量は上述したものと同じであってよい。
【0033】
本発明による防音装置において、防音材はシンクの少なくとも外面に設けられ、必要であれば内面にも設けられる。
【0034】
制振シートと拘束部材からなる防音材を用いる場合は、防音材は制振シート側においてシンクの少なくとも外面に貼り合わせる。
【0035】
制振シートと拘束部材の全厚みは0.5〜1mm、面密度は1.9〜4.0(kg/m2 )であることが好ましい。シンクの重量増加を最小限に抑えて、騒
音効果を得ることができる。
【0036】
(作用)
本発明によるディスポーザ付きキッチンの防音装置は、ディスポーザ付きキッチンにおいてシンクの少なくともディスポーザ側外面に防音材が設けられたものであるので、ディスポーザの運転の際に発生する振動を防音材が吸収し、高い防音性能を発現する。しかも、防音効果が優れているので、防音材の厚みを薄くすることができる。また、防音材をシンクの少なくともディスポーザ側外面に貼り合わせるだけであるので、現場での施工性がよく、施工費が安い。
【0037】
さらに、請求項2の防音装置では、優れた制振性能を有する制振シートが、ディスポーザの運転の際に発生する振動を吸収し、高い防音性能を有する。しかも、防音効果が優れているので、制振シートおよび拘束部材を合わせた厚みを薄くすることができる。また、制振シートは、一般的なシート成形法により作製することができるので、作製の手間がかからない。また、樹脂組成物は塩素化パラフィンを含むので適度な粘着性を有し、制振シートと拘束部材とを貼り合わせる際、および制振シートと拘束部材との積層体を、シンクに制振シート側で貼り合わせる際、粘着剤や両面テープが必要でなく施工性が良い。そしてグラスウールやロックウールからなる吸音材を用いないので作業環境がよい。
【0038】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0039】
実施例1
図1において、ディスポーザ付きキッチンの防音装置は、損失正弦(tanδ)のピーク値が1.5以上である有機高分子材料からなる制振シート(1) と、制振シート(1) の片面に貼り合わされ、且つ縦弾性係数が1GPa以上であるシート状拘束部材(2) とよりなる積層体(3) が、制振シート(1) 側においてシンク(4) の外面全体に貼り合わせられたものである。
【0040】
制振シート(1) は、塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、商品名「エラスレン402NA」、塩素含有量40重量%)100重量部と、塩素化パラフィン(旭電化社製、品番「E500」、塩素含有量50重量%、平均炭素数14、炭素数12〜16=99重量%)200重量部と、塩素化パラフィン(味の素ファインテクノ社製、商品名「エンパラ70」、塩素含有率70重量%、平均炭素数26、炭素数20〜50=99重量%)100重量部とをロール練り機で混練し、得られた樹脂混練物を120℃でプレスして、厚み1.0mmのシートに成形したものである。樹脂混練物のtanδは3.5である。
【0041】
積層体(3) は、この制振シート(1) に、シート状拘束部材(2) として厚み0.4mmの鋼板(中村商事社製、縦弾性係数250GPa)を、制振シート(1) の粘着性を利用して貼り合わせて作製したものである。
【0042】
この積層体(3) を、厚み1mmの鋼板で形成されたシンク(4) のディスポーザ側外面全体に、制振シート(1) を内側にして制振シート(1) の粘着性を利用して貼り合わせた。貼付面積は0.5m2である。
【0043】
なお、図1中、(5) はシンク(4) 下の収納室(11)に配置されかつシンク(4) の排水口(10)に連通するディスポーザ、(6) はディスポーザの側部に設けられた排水管で、ディスポーザ(5) はシンク(4) から投入された生ごみを粉砕し、生じた粉砕物を水と共に排水管(6) を経て廃棄するものである。(7) は蛇口、(8) はそのハンドル、(9) はシンク(4) 下の収納空間を構成するキッチン側壁である。
【0044】
比較例1
図2において、ディスポーザ付きキッチンの防音装置は、制振シート(1) とシート状拘束部材(2) とよりなる積層体(3) が、制振シート(1) 側において、収納室(11)を構成する側壁(9) および扉の内面全体に貼り合わせられたものである。貼付面積は4.0m2である。
【0045】
その他の構成は実施例1と同じである。
【0046】
評価試験
実施例1の防音装置を備えたディスポーザ付きキッチンにおいて、キッチンの天板の高さで、キッチンから前方1m離れた位置(A) で、JIS Z8731の方法に準じて、異なる周波数に対する音圧レベルを測定した。なお、周囲の音の音圧レベルは50dBであった。
【0047】
また、比較のために、前述した比較例1のように、制振シート(1) とシート状拘束部材(2) とよりなる積層体(3) を側壁(9) および扉の内面全体に設けた場合、および、特に防音装置を設けない場合についても、上記と同様に異なる周波数に対する音圧レベルを測定した。
【0048】
これらの測定結果を表1にまとめて示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、ディスポーザの運転時に発生する振動を防音材が吸収し、高い防音性能を有する。また、防音材をシンクの少なくともディスポーザ側外面に貼り合わせるだけであるので、現場での施工性がよく、施工費が安い。加えて、この防音装置は構造が簡単であるので低コストで製作することができる。
【0051】
さらに、請求項2の防音装置では、優れた制振性能を有する制振シートが、ディスポーザの運転の際に発生する振動を吸収し、高い防音性能を有する。しかも、防音効果が優れているので、制振シートおよび拘束部材を合わせた厚みを薄くすることができる。また、制振シートは、一般的なシート成形法により作製することができるので、作製の手間がかからない。また、樹脂組成物は塩素化パラフィンを含むので適度な粘着性を有し、制振シートと拘束部材とを貼り合わせる際、および制振シートと拘束部材との積層体を、シンクに制振シート側で貼り合わせる際、粘着剤や両面テープが必要でなく施工性が良い。そしてグラスウールやロックウールからなる吸音材を用いないので作業環境がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、本発明による防音装置を適用したディスポーザ付きキッチンを示す垂直断面図である。
【図2】比較例1において、制振シートとシート状拘束部材とよりなる積層体をキッチン側壁および扉の内面全体に設けたディスポーザ付きキッチンを示す垂直断面図である。
【図3】従来の防音装置を適用したディスポーザ付きキッチンを示す垂直断面図である。
【符号の説明】
(1) :制振シート
(2) :拘束部材
(3) :積層体
(4) :シンク
(5) :ディスポーザ
(6) :排水管
(7) :蛇口
(8) :ハンドル
(9) :側壁
(10):排水口
(11):収納室
【発明の属する技術分野】
本発明はディスポーザ付きキッチンの防音装置に関する。最近、キッチンで生じた生ごみを処理するためのディスポーザが普及する傾向にある。ディスポーザはシンク下の収納空間に配置され、シンクの排水口を経て投入される生ごみを粉砕し、粉砕物を水と共に廃棄するものであるが、生ごみ、とりわけ鶏や魚の骨を粉砕する時に大きな音が生じ問題となっている。本発明はこのような騒音の発生を防ぐ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディスポーザの防音手段としては、図3に示すように、ディスポーザ(51)を収める収納室(52)の側壁(53)および扉を、内外2枚の平行板(54)(55)で上下桟木(56)を挟んでなる二重壁構造とし、二重壁内の空間にグラスウールやロックウールからなる吸音材(57)を充填した構造が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この構造の防音装置は側壁(53)および扉の全体に設ける必要があるため施工費が高く付き、二重壁構造のため壁厚が厚くなりその分収納室のスペースが小さくなり、二重壁内の空間にグラスウールやロックウールからなる吸音材を充填する際にその粉塵が飛散し健康に害を及ぼすといった問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−245737号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような諸問題を解決することができるディスポーザ付きキッチンの防音装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によるディスポーザ付きキッチンの防音装置は、ディスポーザ付きキッチンにおいてシンクの少なくともディスポーザ側外面すなわち裏面に防音材が設けられることを特徴とするものである。
【0007】
本発明において、好ましい防音材は、損失正弦(tanδ)のピーク値が1.5以上である有機高分子材料からなる制振シートと、同シートの少なくとも片面に設けられ、且つ縦弾性係数が1GPa以上である拘束部材とで構成されたものである。ただし、防音材はグラスウールやロックウールからなる吸音材や、鋼材等の遮音材であってもよい。
【0008】
制振シート用の有機高分子材料は、損失正弦(tanδ)のピーク値が1.5以上であれば、特に限定されないが、極性基を有する高分子材料が好ましい。このような高分子材料の例として、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素系ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、クロロスルフォン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、フッ素系ポリマー、臭素系ポリマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0009】
有機高分子材料のハロゲン含有量は、少なすぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬くなりすぎて成形が難しくなるので、好ましくは20〜70重量%である。
【0010】
有機高分子材料には必要に応じて可塑剤が添加されてもよい。特に有機高分子材料が硬過ぎる場合、可塑剤を添加するのが好ましい。可塑剤としては、通常、塩化ビニル系樹脂に使用されるものが使用でき、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソノニル、テトラブロモフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸系可塑剤;トリクレジンホスフェート、トリス(1,3−ジシクロ−2−プロピル)ホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;エポキシ系可塑剤;ポリエステル系可塑剤などが挙げられる。植物油系の可塑剤も好ましい。後述する塩素化パラフィンのブリードアウトを抑制するには、フタル酸系可塑剤が好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上組み合わせ用いてもよい。フタル酸系可塑剤以外の可塑剤を用いる場合には、これにフタル酸系可塑剤と併用するのが好ましい。
【0011】
可塑剤の配合量は、有機高分子材料100重量部に対し50〜200重量部、好ましくは60〜180重量部、より好ましくは100重量部以下である。この範囲でブリードアウトが抑制でき、制振効果も発現できる。
【0012】
有機高分子材料には必要に応じて充填材が添加されてもよい。特に、樹脂組成物にある程度の硬さを付与したいときは、充填材を添加するのがよい。充填材としては、鉄粉、アルミニウム粉、銅粉等の金属粉;マイカ、カオリン、モンモリロナイト、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、結晶性炭素(グラファイト等)、バーミキュライト等の無機質充填材などが例示される。これらは、単独で用いられても、2種類以上併用されてもいい。充填材の量は、多すぎると樹脂組成物の制振性が低下するので、有機高分子材料100重量部に対して、好ましくは300重量部以下である。
【0013】
有機高分子材料からなる制振シートの作製方法は、特に限定されず、例えば押出成形法、カレンダー成形法、溶剤キャスト法等の一般的なシート成形方法であってよい。得られたシートを所要サイズにカットして防音装置の構成に供する。
【0014】
他方、拘束部材は、縦弾性係数が1GPa以上であるものであれば特に限定されないが、制振シート用の有機高分子材料より縦弾性係数が大きい材料がよい。
【0015】
このような拘束部材の例として、鉛、鉄、鋼材(ステンレス鋼を含む)、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)等の金属材料;コンクリート、石膏ボード、大理石、スレート板、砂板、ガラス等の無機材料;ポリカーボネート、ポリサルフォン等のビスフエノールA変性樹脂;ポリ(メタ)アクリレートなどのアクリル樹脂;塩化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂等の塩素系樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系ゴム等のゴム系材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の飽和ポリエステル;スチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、アラミド(芳香族ポリアミド)等のポリアミド系樹脂;メラミン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ウレタン系樹脂;ジシクロペンタジエン、ベークライト等の熱硬化性樹脂;木、紙等のセルロース系材料;キチン、キトサンなどからなる板材またはシートが挙げられる。
【0016】
これらは単独で用いても、2以上の組み合わせで用いてもよい。拘束部材はガラス繊維、カーボン繊維、液晶などで補強されていてもよく、互いに異なる材料からなる複合板であってもよく、さらに、これらの材料からなる発泡体であってもよい。
【0017】
拘束部材の形状は、好ましくはシート状である。金属製の拘束部材にメッキや塗装を施すのも好ましい。平滑な金属板からなる拘束部材は反射率が大きくなる傾向にあるので、表面に凹凸を設ける、孔を開ける、拘束部材を無機材にする、などにより反射率を低減させるのが好ましい。孔径は、孔が汚れなどで塞がれないようにまた孔内に水が浸透しないように、直径3〜20mm程度にするのがよい。拘束部材が振動していても、拘束部材の縦弾性係数があまり低下しなければ、表面の凹凸や孔開けなどで防音効果は増す傾向にある。
【0018】
制振シートおよび拘束部材の厚みは任意であってよいが、薄すぎると制振性能が劣り、厚すぎると防音壁の厚みが大きくなるので、制振シートの厚みは好ましくは0.1〜10mm、拘束部材の厚みは好ましくは0.01〜10mmである。縦弾性係数100GPa以上の硬い拘束部材の場合は、厚みは好ましくは0.05〜5mmである。
【0019】
有機高分子材料は、塩素含有量20〜65重量%の塩素系高分子材料100重量部と、炭素数10〜50で且つ塩素含有量30〜70重量%の少なくとも1種の塩素化パラフィン100〜350重量部とからなる樹脂組成物であるものが好ましい。
【0020】
有機高分子材料を構成する塩素系高分子材料は、制振シート用の有機高分子材料のうち塩素系のものであってよく、たとえば、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩素化ポリエチレン系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
【0021】
塩素系高分子材料の塩素含有量は、少なすぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬くなりすぎて成形が難しくなるので、20〜70重量%とするのがよい。
【0022】
有機高分子材料を構成する塩素化パラフィンは、炭素数が10〜50で、塩素含有率が30〜70重量%であるものであれば、限定されず、液状のものでも固体のものでもよい。塩素化パラフィンは、単一物質からなるものでも、2以上の物質の混合物でもよい。
【0023】
塩素化パラフィンの炭素数は、小さすぎると塩素化パラフィンがブリードアウトしてしまい、大きすぎると十分な制振性が発現しないため、好ましくは12〜50であり、塩素化パラフィンが1種類で使用される場合、好ましくは12〜20、より好ましくは12〜16である。
【0024】
塩素化パラフィンの塩素含有量は、少なすぎると、充分な制振性が発現せず、且つ、塩素化パラフィンが塩素系高分子材料と相溶しにくくブリードアウトする恐れがあり、多すぎると、やはり塩素化パラフィンが塩素系高分子材料と相溶しにくくブリードアウトする恐れがあるので、30〜70重量%とするのがよい。塩素化パラフィンの塩素含有量が塩素系高分子材料の塩素含有量に近いほど、制振性が良くなるので、塩素系高分子材料の塩素含有量に従って、塩素化パラフィンの塩素含有量を決めればよい。
【0025】
有機高分子材料において、塩素系高分子材料に対する塩素化パラフィンの量は、少なすぎると十分な制振性が得られず、多すぎると強度が小さくなって樹脂組成物が形態を保持しにくくなるため、塩素系高分子材料100重量部に対して100〜400重量部であることが好ましい。
【0026】
有機高分子材料としては、塩素含有量20〜70重量%の塩素系高分子材料100重量部と、炭素数12〜16で且つ塩素含有率30〜70重量%の第1塩素化パラフィンおよび炭素数20〜50で且つ塩素含有率30〜70重量%の第2塩素化パラフィンの混合物50〜300重量部(ただし第1塩素化パラフィンの割合が、全塩素化パラフィンのうち40重量%以上を占める)とからなる樹脂組成物が特に好ましい。
【0027】
このように2種の塩素化パラフィンを含む樹脂組成物において、有機高分子材料を構成する塩素系高分子材料は、本制振シート用の有機高分子材料のうち塩素系のものであってよく、例えば、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩素化ポリエチレン系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
【0028】
塩素系高分子材料の塩素含有量は、少なすぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬くなりすぎて成形が難しくなるので、20〜70重量%とするのがよい。
【0029】
上記2種の塩素化パラフィンを含む樹脂組成物において、塩素化パラフィンは、炭素数12〜16で且つ塩素含有率30〜70重量%の第1塩素化パラフィンおよび炭素数20〜50で且つ塩素含有率30〜70重量%の第2塩素化パラフィンの混合物である。このように炭素数が互いに異なる2種の塩素化パラフィンを用いることにより、損失正弦(tanδ)のピーク値をより上昇させ、すぐれた制振性を得ることができる。
【0030】
この場合、第1塩素化パラフィンの割合を第2塩素化パラフィンの割合より大きくすると、損失正弦(tanδ)のピーク値をより上昇させるとともに長期に亘って維持することができ、且つ、塩素化パラフィンの制振シートからのブリードアウトを抑制させることができるので好ましい。
【0031】
上記2種の塩素化パラフィンを含む樹脂組成物において、塩素系高分子材料に対する塩素化パラフィン混合物の量は、少なすぎると十分な制振性が得られず、多すぎると強度が小さくなって樹脂組成物が形態を保持しにくくなるため、塩素系高分子材料100重量部に対して50〜400重量部であることが好ましい。
【0032】
上記2種の塩素化パラフィンを含む樹脂組成物には必要に応じて可塑剤、充填材等が添加されてもよい。可塑剤、充填材の例示および添加量は上述したものと同じであってよい。
【0033】
本発明による防音装置において、防音材はシンクの少なくとも外面に設けられ、必要であれば内面にも設けられる。
【0034】
制振シートと拘束部材からなる防音材を用いる場合は、防音材は制振シート側においてシンクの少なくとも外面に貼り合わせる。
【0035】
制振シートと拘束部材の全厚みは0.5〜1mm、面密度は1.9〜4.0(kg/m2 )であることが好ましい。シンクの重量増加を最小限に抑えて、騒
音効果を得ることができる。
【0036】
(作用)
本発明によるディスポーザ付きキッチンの防音装置は、ディスポーザ付きキッチンにおいてシンクの少なくともディスポーザ側外面に防音材が設けられたものであるので、ディスポーザの運転の際に発生する振動を防音材が吸収し、高い防音性能を発現する。しかも、防音効果が優れているので、防音材の厚みを薄くすることができる。また、防音材をシンクの少なくともディスポーザ側外面に貼り合わせるだけであるので、現場での施工性がよく、施工費が安い。
【0037】
さらに、請求項2の防音装置では、優れた制振性能を有する制振シートが、ディスポーザの運転の際に発生する振動を吸収し、高い防音性能を有する。しかも、防音効果が優れているので、制振シートおよび拘束部材を合わせた厚みを薄くすることができる。また、制振シートは、一般的なシート成形法により作製することができるので、作製の手間がかからない。また、樹脂組成物は塩素化パラフィンを含むので適度な粘着性を有し、制振シートと拘束部材とを貼り合わせる際、および制振シートと拘束部材との積層体を、シンクに制振シート側で貼り合わせる際、粘着剤や両面テープが必要でなく施工性が良い。そしてグラスウールやロックウールからなる吸音材を用いないので作業環境がよい。
【0038】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0039】
実施例1
図1において、ディスポーザ付きキッチンの防音装置は、損失正弦(tanδ)のピーク値が1.5以上である有機高分子材料からなる制振シート(1) と、制振シート(1) の片面に貼り合わされ、且つ縦弾性係数が1GPa以上であるシート状拘束部材(2) とよりなる積層体(3) が、制振シート(1) 側においてシンク(4) の外面全体に貼り合わせられたものである。
【0040】
制振シート(1) は、塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、商品名「エラスレン402NA」、塩素含有量40重量%)100重量部と、塩素化パラフィン(旭電化社製、品番「E500」、塩素含有量50重量%、平均炭素数14、炭素数12〜16=99重量%)200重量部と、塩素化パラフィン(味の素ファインテクノ社製、商品名「エンパラ70」、塩素含有率70重量%、平均炭素数26、炭素数20〜50=99重量%)100重量部とをロール練り機で混練し、得られた樹脂混練物を120℃でプレスして、厚み1.0mmのシートに成形したものである。樹脂混練物のtanδは3.5である。
【0041】
積層体(3) は、この制振シート(1) に、シート状拘束部材(2) として厚み0.4mmの鋼板(中村商事社製、縦弾性係数250GPa)を、制振シート(1) の粘着性を利用して貼り合わせて作製したものである。
【0042】
この積層体(3) を、厚み1mmの鋼板で形成されたシンク(4) のディスポーザ側外面全体に、制振シート(1) を内側にして制振シート(1) の粘着性を利用して貼り合わせた。貼付面積は0.5m2である。
【0043】
なお、図1中、(5) はシンク(4) 下の収納室(11)に配置されかつシンク(4) の排水口(10)に連通するディスポーザ、(6) はディスポーザの側部に設けられた排水管で、ディスポーザ(5) はシンク(4) から投入された生ごみを粉砕し、生じた粉砕物を水と共に排水管(6) を経て廃棄するものである。(7) は蛇口、(8) はそのハンドル、(9) はシンク(4) 下の収納空間を構成するキッチン側壁である。
【0044】
比較例1
図2において、ディスポーザ付きキッチンの防音装置は、制振シート(1) とシート状拘束部材(2) とよりなる積層体(3) が、制振シート(1) 側において、収納室(11)を構成する側壁(9) および扉の内面全体に貼り合わせられたものである。貼付面積は4.0m2である。
【0045】
その他の構成は実施例1と同じである。
【0046】
評価試験
実施例1の防音装置を備えたディスポーザ付きキッチンにおいて、キッチンの天板の高さで、キッチンから前方1m離れた位置(A) で、JIS Z8731の方法に準じて、異なる周波数に対する音圧レベルを測定した。なお、周囲の音の音圧レベルは50dBであった。
【0047】
また、比較のために、前述した比較例1のように、制振シート(1) とシート状拘束部材(2) とよりなる積層体(3) を側壁(9) および扉の内面全体に設けた場合、および、特に防音装置を設けない場合についても、上記と同様に異なる周波数に対する音圧レベルを測定した。
【0048】
これらの測定結果を表1にまとめて示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、ディスポーザの運転時に発生する振動を防音材が吸収し、高い防音性能を有する。また、防音材をシンクの少なくともディスポーザ側外面に貼り合わせるだけであるので、現場での施工性がよく、施工費が安い。加えて、この防音装置は構造が簡単であるので低コストで製作することができる。
【0051】
さらに、請求項2の防音装置では、優れた制振性能を有する制振シートが、ディスポーザの運転の際に発生する振動を吸収し、高い防音性能を有する。しかも、防音効果が優れているので、制振シートおよび拘束部材を合わせた厚みを薄くすることができる。また、制振シートは、一般的なシート成形法により作製することができるので、作製の手間がかからない。また、樹脂組成物は塩素化パラフィンを含むので適度な粘着性を有し、制振シートと拘束部材とを貼り合わせる際、および制振シートと拘束部材との積層体を、シンクに制振シート側で貼り合わせる際、粘着剤や両面テープが必要でなく施工性が良い。そしてグラスウールやロックウールからなる吸音材を用いないので作業環境がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、本発明による防音装置を適用したディスポーザ付きキッチンを示す垂直断面図である。
【図2】比較例1において、制振シートとシート状拘束部材とよりなる積層体をキッチン側壁および扉の内面全体に設けたディスポーザ付きキッチンを示す垂直断面図である。
【図3】従来の防音装置を適用したディスポーザ付きキッチンを示す垂直断面図である。
【符号の説明】
(1) :制振シート
(2) :拘束部材
(3) :積層体
(4) :シンク
(5) :ディスポーザ
(6) :排水管
(7) :蛇口
(8) :ハンドル
(9) :側壁
(10):排水口
(11):収納室
Claims (2)
- ディスポーザ付きキッチンにおいてシンクの少なくともディスポーザ側外面に防音材が設けられることを特徴とするディスポーザ付きキッチンの防音装置。
- 防音材が、損失正弦(tanδ)のピーク値が1.5以上である有機高分子材料からなる制振シートと、同シートの少なくとも片面に設けられ、且つ縦弾性係数が1GPa以上である拘束部材とで構成されていることを特徴とする請求項1記載のディスポーザ付きキッチンの防音装置。
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