JP2004341470A - 吸音板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 軽量で、吸音性能の高い吸音板を提供する。
【解決手段】 発泡高分子徴脂素材の板体2 に一面側から他面側に多数の穴3 を形成して、多数の閉管気柱部を構成した吸音板1 。多数の閉管気柱部を構成する穴の長さを異にしてもよい。多数の穴を板体の拡がり方向に対し斜め方向に形成してもよい。板体の少なくとも前面部と側面部を保護板4 で被覆し、保護板の前面部には板体の多数の穴に対応する貫通穴7 を形成してもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】 発泡高分子徴脂素材の板体2 に一面側から他面側に多数の穴3 を形成して、多数の閉管気柱部を構成した吸音板1 。多数の閉管気柱部を構成する穴の長さを異にしてもよい。多数の穴を板体の拡がり方向に対し斜め方向に形成してもよい。板体の少なくとも前面部と側面部を保護板4 で被覆し、保護板の前面部には板体の多数の穴に対応する貫通穴7 を形成してもよい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、吸音板に関するものである。
鉄道軌道に近接した建物では、鉄道軌道からの騒音が影響するため、防音塀が設置されることがある。一般に、高架軌道では高欄が設置されているが、これに防音板を取り付けることにより、騒音の影響を低減する方法が取られる場合がある。
この暑合、構造耐力上の制限から、重量のある付属物を新たに設置することができない既存鉄道高架軌道がある。
従来の吸音板としては、代表的な吸音材としてのグラスウールを取付用の枠や表面保護用のパンチングメタル等の補助板等で被覆して板体に構成したもの(例えば特許文献1参照)や、セラミック系、モルタル系材料を板体に成形してなる吸音板等がある。
特開平10−183539号公報。
吸音材としてのグラスウールは、それ自体は比較的軽いのであるが、材料が軟らかいため、これを板体に構成する場合には上記パンチングメタル等の補助板で全体を被覆する必要があり、吸音板の全体としては重量が大きくなってしまう。
また補助板等で被覆せずに、そのまま下地材にボルト、ナット等で取り付けることができるセラミック系やモルタル系の吸音板は、重量が非常に大きい。
従って、上述の従来の吸音板は、構造耐力上の制限から、重量のある付属物を設置することができない既存鉄道高架軌道には採用するのは困難である。
そこで、本発明は、このような従来の課題を解決して、軽量で、吸音性能の高い吸音板を提供することを目的とするものである。
上述した課題を解決するために、本発明では、請求項1において、発泡高分子徴脂素材の板体に一面側から他面側に多数の穴(有底穴)を形成して、多数の閉管気柱部を構成した吸音板を提供する。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、多数の閉管気柱部を構成する穴の長さを異にした吸音板を提供する。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、多数の穴を板体の拡がり方向(面方法)に対し斜め方向に形成した吸音板を提供する。
また、請求項4の発明は、以上のいずれかの発明において、板体の少なくとも前面部と側面部を保護板で被覆し、保護板の前面部には板体の多数の穴に対応する連通部を形成した吸音板を提供する。
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、保護板が、損失正弦(tanδ)のピーク値1.5以上の有機高分子材料からなる制振シートと、制振シートの外側に設けられた縦弾性係数1GPa以上の拘束部材とからなる吸音板を提供する。
また、請求項6の発明は、以上のいずれかの発明において、発泡高分子樹脂素材が、発泡スチロール、発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレンおよび発泡ポリエチレンからなる群より選ばれる吸音板を提供する。
請求項1の発明では、発泡スチロール、発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等の各種の発泡高分子樹脂素材の板体により吸音板を構成するので、補助板等で被覆せずに、その形状を維持することができる。従って、ボルト、ナット等の適宜の取り付け部材により、そのまま下地材に設置することができ、非常に軽量である。
そして、この吸音板には、発泡高分子樹脂素材の板体に一面側から他面側に多数の穴を形成して、多数の閉管気柱部を構成しており、夫々の閉管気柱部において共鳴が生じるため、効果的な吸音が行われる。
このように本発明では閉管気柱部の共鳴により吸音を図るので、閉管気柱部を構成する穴の長さすなわち深さを調節することにより、吸音対象の周波数帯域を設定することができ、講求項2の発明のように多数の閉管気柱部を構成する穴の長さを異ならしめれば、吸音対象の周波数帯域を複数設定することができる。
また請求項3の発明では、多数の穴を板体の拡がり方向に対して直角方向に形成する場合と比較して、穴の長さ、従って閉管気柱部を構成する穴の長さを長くすることが可能であり、従って板体を厚くせずに、より低い周波数帯域に適合させることができる。
耐火性や耐候性、対擦過性を必要とする用途では、請求項4の発明に示すように板体を保護板で被覆しても良い。この場合も、被覆は、板体の全体を被覆する必要はなく、少なくとも前面部と側面部を被覆すれば良いので、全体を被覆しなければならないグラスウールを吸音材とする場合よりも軽量に構成することができる。
本発明による吸音板は、既存の防音壁にこれを設置する使用形態の外、吸音板自体を防音壁として用いることもできる。例えば、耐火性や耐候性、対擦過性を必要とする用途では、新設もしくは既存の防音壁を撤去して新たに本発明による吸音板を防音壁として設置する場合は、板体の前面部と側面部の外に後面部も保護板で被覆する。板体の後面部の被覆は、板体の前面部の被覆と同様に行ってもよいし、比較的薄い金属板もしくはフレキシブルボードなど、前面部および側面部の保護板材料とは異なる材料を用いて行ってもよい。
板体を保護板で被覆すると、板体と保護板が列車の通過時に振動により互いに衝突して新たな音源になることがある。これを防ぐために、これら両者を強固に接合する必要がある。また、樹脂発泡体では約500〜2000Hzの範囲で共鳴現象が発生して防音性能が著しく低下する。そこで、保護板としては、請求項5の発明のように、損失正弦(tanδ)のピーク値1.5以上の有機高分子材料からなる制振シートと、制振シートの外側に設けられた縦弾性係数1GPa以上の拘束部材とからなるものを用いると、板体と保護板を強固に接合することができる上に、その優れた制振性能により防音性能の低下を防ぐことができる。制振シートと拘束部材からなる保護板を板体の穴開口面側すなわち全面部に設ける場合は、板体の穴に対応する位置で保護板にも連通部すなわち貫通穴を開けることが好ましい。拘束部材としては耐火性や耐候性、対擦過性の点から金属製であることが好ましい。
つぎに、保護板を構成する制振シートと拘束部材について説明をする。
制振シートの有機高分子材料は、100Hzで計測した損失正弦(tanδ)のピーク値が1.5以上であるものであれば、特に限定されないが、極性基を有する高分子材料が好ましい。このような高分子材料の例として、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素系ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、クロロスルフォン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ハロゲン化ポリマー、フッ素系ポリマー、臭素系ポリマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
有機高分子材料のハロゲン含有量は、少なすぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬くなりすぎて成形が難しくなるので、好ましくは20〜70重量%である。
有機高分子材料には必要に応じて可塑剤が添加されてもよい。特に有機高分子材料が硬過ぎる場合、可塑剤を添加するのが好ましい。可塑剤としては、通常、塩化ビニル系樹脂に使用されるものが使用でき、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソノニル、テトラブロモフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸系可塑剤;トリクレジンホスフェート、トリス(1,3−ジシクロ−2−プロピル)ホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;エポキシ系可塑剤;ポリエステル系可塑剤などが挙げられる。植物油系の可塑剤も好ましい。塩素化パラフィンのブリードアウトを抑制するには、フタル酸系可塑剤が好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上組み合わせ用いてもよい。フタル酸系可塑剤以外の可塑剤を用いる場合には、これにフタル酸系可塑剤を併用するのが好ましい。
可塑剤の配合量は、有機高分子材料100重量部に対し50〜200重量部、好ましくは60〜180重量部、より好ましくは100重量部以下である。この範囲でブリードアウトが抑制でき、制振効果も発現できる。
有機高分子材料には必要に応じて充填材が添加されてもよい。特に、樹脂組成物にある程度の硬さを付与したいときは、充填材を添加するのがよい。充填材としては、鉄粉、アルミニウム粉、銅粉等の金属粉;マイカ、カオリン、モンモリロナイト、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、結晶性炭素(グラファイト等)、バーミキュライト等の無機質充填材などが例示される。これらは、単独で用いられても、2種類以上併用されてもいい。充填材の量は、多すぎると樹脂組成物の制振性が低下するので、有機高分子材料100重量部に対して、好ましくは300重量部以下である。
有機高分子材料からなる制振シートの作製方法は、特に限定されず、例えば押出成形法、カレンダー成形法、溶剤キャスト法等の一般的なシート成形方法であってよい。得られたシートを所要サイズにカットして防音装置の構成に供する。 上記制振シートを構成する有機高分子材料は、塩素含有量20〜65重量%の塩素系高分子材料100重量部と、平均炭素数10〜50で且つ塩素含有量30〜70重量%の少なくとも1種の塩素化パラフィン100〜350重量部とからなる樹脂組成物であることが好ましい。
制振シート用の有機高分子材料は、塩素含有量20〜65重量%の塩素系高分子材料と、平均炭素数12〜16で且つ塩素含有率30〜70重量%の第1塩素化パラフィンおよび平均炭素数20〜50で且つ塩素含有率30〜70重量%の第2塩素化パラフィンの混合物(ただし第1塩素化パラフィンの割合が第2塩素化パラフィンの割合より大きい)とからなる樹脂組成物であることも好ましい。 この塩素化パラフィン混合物を含む有機高分子材料において、制振シート用の塩素系高分子材料は、先に例示した制振シート用の有機高分子材料のうち塩素系のものであってよく、例えば、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩素化ポリエチレン系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
塩素系高分子材料の塩素含有量は、少なすぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬くなりすぎて成形が難しくなるので、20〜70重量%とするのがよい。
この塩素化パラフィン混合物を含む有機高分子材料において、好ましい塩素化パラフィンは、炭素数12〜16で且つ塩素含有率30〜70重量%の第1塩素化パラフィンおよび炭素数20〜50で且つ塩素含有率30〜70重量%の第2塩素化パラフィンの混合物である。このように炭素数が互いに異なる2種の塩素化パラフィンを用いることにより、損失正弦(tanδ)のピーク値をより上昇させ、すぐれた制振性を得ることができる。
この場合、第1塩素化パラフィンの割合を第2塩素化パラフィンの割合より大きくすると、損失正弦(tanδ)のピーク値をより上昇させるとともに長期に亘って維持することができ、且つ、塩素化パラフィンの制振シートからのブリードアウトを抑制させることができるので好ましい。
この塩素化パラフィン混合物を含む有機高分子材料において、塩素系高分子材料に対する塩素化パラフィン混合物の量は、少なすぎると十分な制振性が得られず、多すぎると強度が小さくなって樹脂組成物が形態を保持しにくくなるため、塩素系高分子材料100重量部に対して50〜400重量部である。
この塩素化パラフィン混合物を含む樹脂組成物には必要に応じて可塑剤、充填材等が添加されてもよい。可塑剤、充填材の例示および添加量は上述したものと同じであってよい。
制振シートの上に設けられる拘束部材は、縦弾性係数が1GPa以上であるものであれば特に限定されないが、制振シート用の有機高分子材料より縦弾性係数が大きい材料がよい。
このような拘束部材の例として、鉛、鉄、鋼材(ステンレス鋼を含む)、アルミニウム等の金属材料;コンクリート、石膏ボード、大理石、スレート板、砂板、ガラス等の無機材料;ポリカーボネート、ポリサルフォン等のビスフエノールA変性樹脂;ポリ(メタ)アクリレートなどのアクリル樹脂;塩化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂等の塩素系樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系ゴム等のゴム系材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の飽和ポリエステル;スチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、アラミド(芳香族ポリアミド)等のポリアミド系樹脂;メラミン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ウレタン系樹脂;ジシクロペンタジエン、ベークライト等の熱硬化性樹脂;木、紙等のセルロース系材料;キチン、キトサンなどからなる板材またはシートが挙げられる。
これらは単独で用いても、2以上の組み合わせで用いてもよい。拘束部材はガラス繊維、カーボン繊維、液晶などで補強されていてもよく、互いに異なる材料からなる複合板であってもよく、さらに、これらの材料からなる発泡体であってもよい。
拘束部材の形状は特に限定されず、シート状、板状、棒状、ブロック状などであってもよい。好ましくはシート状拘束部材が用いられる。金属製の拘束部材にはメッキや塗装を施すのが好ましい。平滑な金属板からなる拘束部材は反射率が大きくなる傾向を有するので、表面に凹凸を設ける、孔を開ける、拘束部材を無機材にする、などにより反射率を低減させるのが好ましい。孔径は、孔が汚れなどで塞がれないようにまた穴内に水が浸透しないように、直径3〜20mm程度にするのがよい。拘束部材が振動していても、拘束部材の縦弾性係数があまり低下しなければ、表面の凹凸や孔開けなどで防音効果は増す傾向にある。
制振シートおよび拘束材料の厚みは任意であってよいが、薄すぎると制振性能が劣り、厚すぎると重量が重くなり施工性が悪くなるので、制振シートの厚みは好ましくは50μm〜2mm、より好ましくは0.3〜1mm、拘束部材の厚みは好ましくは50μm〜2mm、より好ましくは0.5〜1mmである。
請求項6の発明では、発泡スチロール、発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等の各種の発泡高分予樹脂素材の板体により吸音板を構成するので、補助板等で被覆せずに、その形状を維持することができ、適宜の取り付け部材により、そのまま下地材に設置することができる。
本発明は、以上に説明したとおり、軽量で、吸音性能の高い吸音板を提供することができるので、以下に示すような効果が奏される。
a.構造耐力上の制限から、重量のある付属物を設置することができない既存鉄道高架軌道の高欄に、鉄道騒音の近隣への影響を低減するための吸音板を設置することを可能とした。
b.このような軽量の吸音板は、普及率の高い発泡スチロール製の板体をはじめとして、発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等の各種の発泡高分子樹脂素材の板体の表面に多数の穴を形成するという、非常に簡易な吸音構造であり、非常に安価に構成することができると共に、穴の深さや、異なった深さの穴を組み合わせる等により吸音周波数特性を簡易に制御することができる。
c.軽量であることから、高欄等への取り付け作業も容易に行うことができる。
d.制振シートと拘束部材とからなる保護板で板材の少なくとも全面部と側面部を被覆することにより、板体と保護板を強固に接合することができる上に、その優れた制振性能により防音性能の低下を防ぐことができる。
次に本発明の実施の形態を図を参照して説明する。
まず図1は平面図、図2はその一部の拡大図、図3は図2の3−3に沿う断面図である。
各図において、符号(1) は本発明により構成した吸音板を示すものであり、吸音板(1) は、例えば発泡スチロール、発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等の各種の発泡高分子樹脂素材から成る板体(2) の一面側から他面側に向かって多数の穴(3) を形成し、多数の穴(3) を多数の閉管気柱部として構成している。
図1〜図3の実施の形態においては、多数の穴(3) は縦横に整列して形成されているが、千鳥状に配置したり、ランダムに配置したり、適宜に配置することができる。
図1〜図3に示す吸音板(1) を用い、一面側を音源側に向けて垂直入射吸音率を測定した例を、穴を形成していないものと比較して図4のグラフに示している。尚、測定に用いた吸音板は発泡スチロール製であり、板厚:150mm、夫々の穴の深さ:140mm、穴径:5mm、穴開口率:20%として製作したものである。
吸音板(1) は、発泡スチロール製の板体(2) によって構成しているので、パンチングメタル等の補助板等で被覆せずに、その形状を維特することができる。従って、ボルト、ナット等の適宜の取り付け部材により、そのまま吸音を行う個所における下地材に設置することができ、非常に軽量である。
以上の吸音板(1) では、図4に示されるように、発泡スチロール製の板体に穴を形成していない場合には殆ど吸音していないのに対して、上記140mmの深さの穴を設けた例では、500Hzと1600Hzの周波数帯域において顕著に吸音する傾向がある。この吸音傾向は、以上の寸法を勘案すれば、500Hzの周波数帯域の吸音は閉管気柱部の1/4波長に相当する共鳴による吸音、また1600Hzの周波数帯域の吸音は閉管気柱部の3/4波長に相当する共鳴による吸音と想定される。
このように本発明では穴(3) による閉管気柱部の共鳴により吸音を図るので、閉管気柱部の長さ、即ち穴(3) の長さ(深さ)を、例えば図6に示すように調節することにより、吸音対象の周波数帯域を設定することができることが想定される。
そこで、つぎに、穴径:2.2mm、穴ピッチ5.5mmにおいて、穴深さを夫々20mm、30mm、40mmとして夫々の板体に形成した3つの吸音板と、1つの板体に上記20mm、36mm、40mmの穴を等面積、即ち、板体の全面積の1/3ずつ形成した吸音板について測定を行った。この結果を図5に示す。
図5によれば、板体の全てに夫々20mm、30mm、40mmの深さの穴を形成した吸音板は、夫々特定の周波数帯域で顕著なピークを持つ吸音特性を有することが分かる。
これに対して、一つの板体に20mm、30mm、40mmの穴を等面積で形成した吸音板では、他の吸音板と比較して吸音率のピークの高さが低くなり、即ち吸音率が低下しているのであるが、他の3つの吸音板では、夫々の特定の周波数帯域を外れた周波数帯域において吸音率が大きく低下しているのに対して、この吸音板では、他の夫々の吸音板の吸音率のピークの周液数帯域を包括する周波数帯域においても吸音率が高い傾向を示している。
従って、一つの板体に構成する多数の閉管気柱部の長さ、即ち穴の深さを群毎に異ならせれば、吸音対象の周波数帯域を複数設定して、広い周波数帯域に渡って吸音を行うことができることがわかる。
板体(2) に形成する多数の穴(3) は、板体(2) の拡がり方向に対して直角方向に形成する場合には、その長さを板厚よりも大きくすることは全くできない。このため、このような穴の形成方法では、ある板厚の吸音板(1) が吸音の対象とする周波数帯域を、板厚により決定される、ある値よりも下げることはできない。
そこで、図7の実施の形態に示すように、多数の穴(3) を板体(2) の拡がり方向に対して斜め方向に形成すれば、直角方向に形成する場合と比較して、穴(3) の長さ、従って閉管気柱部を構成する穴の長さを長くすることが可能であり、従って板体(2) を厚くせずに、吸音板(1) をより低い周波数帯域に適合させることができる。
一方、上述したとおり、本発明では、発泡スチロール、発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等の各種の発泡高分子樹脂素材の板体(2) により吸音板(1) を構成するので、これをパンチングメタル等の補助板で被覆せずに、その形状を維持することができ、従ってボルト、ナット等の適宜の取り付け部材により、そのまま下地材に設置することができるのであるが、耐火性や耐候性、対擦過性を必要とする用途によっては、図8、9に示す実施の形態に示すように、板体(2) を保護板(4) で被覆しても良い。
この場合でも、保護板(4) による被覆は、板体(2) の全体を被覆する必要はなく、板体(2) の少なくとも前面部(2a)と側面部(2b)を被覆すれば良い。従ってグラスウールを吸音材とする場合のように板体の全体を被覆する必要がないので、吸音板をより軽量に構成することができる。尚、図9に示す例では、保護板(4) は板体(2) の後面部(2c)をも被覆するように構成されている。
図10は、保護板(4) として、損失正弦(tanδ)のピーク値1.5以上の有機高分子材料からなる制振シート(5) と、制振シートの外側に設けられた縦弾性係数1GPa以上の拘束部材(6) とからなるものを用いた例を示す。制振シートと拘束部材からなる保護板(4) は板体(2) の前面部(2a)と側面部(2b)の外、
後面部(2c)の一部をも被覆する。保護板(4) には、板体(2) の多数の穴(3) に対応する位置に貫通穴(7) が開けられている。
後面部(2c)の一部をも被覆する。保護板(4) には、板体(2) の多数の穴(3) に対応する位置に貫通穴(7) が開けられている。
制振シート(5) はつぎのようにして作製したものである。塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、商品名「エラスレン402NA」、塩素含有量40重量%)100重量部と、塩素化パラフィン(旭電化社製、品番「E500」、塩素含有量50重量%、平均炭素数14、炭素数12〜16=99重量%以上)200重量部と、塩素化パラフィン(味の素ファインテクノ社製、商品名「エンパラ70」、塩素含有率70重量%、平均炭素数26、炭素数20〜50=99重量%以上)200重量部とをロール練り機で混練し、得られた樹脂混練物を120℃でプレスして、厚さ0.4mmのシートを得た。これを所要サイズにカットして厚さ1.0mmの制振シートを作製した。樹脂混練物のtan δは3.5であった。
拘束部材(6) は、制振シート(5) と同サイズの厚み1.0mmの鋼板(中村商事社製、縦弾性係数250GPa)からなり、制振シート(5) に粘着剤なしで貼り合わせたものである。
図11は、耐火性や耐候性、対擦過性を必要とする用途で、新設もしくは既存の防音壁を撤去して新たに本発明による吸音板を防音壁として設置する場合に、板体(2) の前面部(2a)、側面部(2b)および後面部(2c)、すなわち板体全体を保護板(4) で被覆した例を示す。
1 吸音板
2 板体
2a 前面部
2b 側面部
2c 後面部
3 穴(閉管気柱部)
4 保護板
5 制振シート
6 拘束部材
7 貫通孔(連通部)
2 板体
2a 前面部
2b 側面部
2c 後面部
3 穴(閉管気柱部)
4 保護板
5 制振シート
6 拘束部材
7 貫通孔(連通部)
Claims (6)
- 発泡高分子樹脂素材の板体に一面側から他面側に多数の穴を形成して、多数の閉管気柱部を構成したことを特徴とする吸音板。
- 多数の閉管気柱部を構成する穴の長さを異にしたことを特徴とする請求項1に記載の吸音板。
- 多数の穴を板体の斜め方向に形成したことを特段とする請求項1又は2に記載の吸音板。
- 板体の少なくとも前面部と側面部を保護板で被覆し、保護板の前面部には板体の多数の穴に対応する連通部を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸音板。
- 保護板が、損失正弦(tanδ)のピーク値1.5以上の有機高分子材料からなる制振シートと、制振シートの外側に設けられた縦弾性係数1GPa以上の拘束部材とからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の吸音板。
- 発泡高分子樹脂素材が、発泡スチロール、発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレンおよび発泡ポリエチレンからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸音板。
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