JP2003293223A - 吸熱性複合繊維 - Google Patents
吸熱性複合繊維Info
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Abstract
繊維を含む繊維構造物を提供する。 【解決手段】 エチレン含有量が30〜70モル%であ
るエチレン−ビニルアルコール系共重合体にパラフィン
ワックス(C)を5%〜50%添加した混合体(B)を
鞘成分とする複合繊維。
Description
熱性複合繊維に関する。詳細には、冷感が良好で、かつ
ハリコシ、ドライ感、ふくらみ感のある良好な風合を有
する繊維に関する。
ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド等の繊維は優れ
た物理的特性および化学的特性を有しており、衣料用途
のみならず広く産業用途にも使用されており、工業的に
貴重な価値を有している。しかしながらこれら合成繊維
は、吸湿・吸水性が低いため肌着、中衣、シーツ、タオ
ル等の吸湿、吸水性が要求される分野への進出は限定さ
れているのが実情である。例えばポリエステル繊維の場
合には、従来から最大の欠陥とも云える吸湿・吸水性を
改善する提案が種々なされている。具体的には、ポリエ
ステル繊維を親水性後加工剤で後処理する方法やポリエ
ステル繊維表面又は繊維内部を多孔質化して吸湿・吸水
性を付与する方法などが提案されている。しかしなが
ら、これらの手法はいずれも吸湿・吸水性が不十分であ
り、かつ洗濯により付与された性能が低下するという問
題があつた。近年これらの問題点を改善するために、エ
チレン−酢酸ビニル系共重合体のケン化物であるエチレ
ン−ビニルアルコ−ル系共重合体を他の熱可塑性重合
体、たとえばポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィ
ン等と複合化し繊維化することにより寸法安定性を改良
しようとして各種の提案がなされている(特公昭56−
5846号公報、特公昭55−1372号公報、特公平
7−84681号公報等)。しかしながらこれらの手法
においても、吸湿性はあるものの、吸熱効果による冷感
を感じるには不十分であった。さらに、体温や外気温度
の変化により吸熱または発熱する吸発熱性複合繊維が提
案されている(特開平8−311716号公報)が、こ
の繊維は高融点の熱可塑性重合体で覆っているため、吸
熱効果による冷感を感じるには不十分であった。
な従来の合成繊維の欠点を解消し、これらの樹脂が本来
備えている特性を損なうことなく、親水性に優れ、かつ
冷感に優れた繊維を提供することを目的とするものであ
る。
150℃以上の熱可塑性重合体(A)を芯成分とし、エ
チレン含有量が30〜70モル%であるエチレン−ビニ
ルアルコール系共重合体にパラフィンワックス(C)を
5%〜50%添加した混合体(B)を鞘成分とする複合
繊維である。
有量30〜70モル%のエチレン−ビニルアルコール系
共重合体が有する冷感を更に向上させるため、パラフィ
ンワックスが融解する時に吸収する融解熱を利用するこ
とにより冷感の持続が可能となった。
(C)としては、炭素数25以下のノルマルパラフィン
で、融点が12℃〜50℃、好ましくは15℃〜40
℃、さらに好ましくは20℃〜35℃である。例えばヘ
キサデカン、ノナデカン、エイコサン、ドコサンなどが
挙げられる。融点があまり低い場合には室温で融解状態
となり、逆に高い場合には、体温や外気温で融解しない
ため本発明の目的を達成することが出来ない。さらに、
融解熱のエネルギーを効率よく利用できるタイプとして
は、炭素数が偶数のものがよい。
0mJ/mg以上、好ましくは50mJ/mg以上のものが良い。
融解熱が30mJ/mg未満のものでは効果が得られにく
い。さらに本発明においては、十分な吸熱効果を得るた
めに、融点の違った2種以上のパラフィンワックスを混
合して利用する方が良い。1種のみでは、融解熱による
吸熱効果が小さく持続性が不足する場合がある。
付与するためにマイクロカプセル化しても構わない。マ
イクロカプセル化には本発明の目的を損なわない程度に
有機物・無機物いずれでも構わないが、より耐熱性の効
果を大きくするためには、無機物の方が好ましい。
ール系共重合体に対するパラフィンワックスの添加量
は、5重量%〜50重量%とする必要がある。パラフィ
ンワックスの添加量が5重量%未満では吸熱性能が劣っ
たものとなり、一方、50重量%より多い場合はパラフ
ィンワックスの溶融時の粘度が低いため、紡糸工程性が
不調となる。
ール系共重合体のエチレン含有量は30〜70モル%で
あることが重要である。該共重合体中のビニルアルコー
ル成分含量が低いと、水酸基(OH)の減少のために親
水性などの特性が低下し、目的とする良好な天然繊維ラ
イクの風合いが得られなくなる。また、ビニルアルコー
ル成分含量が低い共重合体とポリエステルとを複合紡糸
する場合は、紡糸温度を250℃以上に設定する必要が
あるが、かかる共重合体は高温下での耐熱性が不十分と
なる。一方、エチレンの含有量が少なすぎると、 熱安
定性が低いため紡糸工程性が悪化するという面で問題が
生じる。
は、エチレンと酢酸ビニルの共重合体を苛性ソーダによ
りケン化して製造することができるが、この時のケン化
度は95%以上にすることが好ましい。ケン化度が低く
なると、ポリマーの結晶性が低下し強度等の繊維物性が
低下してくるのみならず、共重合体が軟化しやすくなり
加工工程でトラブルが発生してくると共に得られた繊維
構造物の風合いも悪化し好ましくない。
パラフィンワックスの混合方法は特に制限はされない
が、二軸混練機でまずエチレン−ビニルアルコール系共
重合体を溶融し、次にパラフィンワックスを投入して混
合する方法、エチレン−ビニルアルコール系共重合体
(B)とパラフィンワックスを釜中に投入して加熱混合
する方法等があるが、これらに限定されるものではな
い。
としては、基本的に繊維形成性を有するポリマーであれ
ば特に限定されないが、たとえば、ポリエチレンテレフ
タレート又はポリブチレンテレフタレートを主成分とす
るポリエステルや、ナイロン6又はナイロン66を主成
分とするポリアミドであることが望ましい。
酸、イソフタル酸、ナフタリン2,6−ジカルボン酸、
フタール酸、α,β−(4−カルボキシフエノキシ)エ
タン、4,4−ジカルボキシジフェニール、5ナトリウ
ムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸もしく
は、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸
または、これらのエステル類と、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、シクロヘキサン1,4−ジメタノ
ール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレング
リコールなどのジオール化合物とから合成される繊維形
成性ポリエステルであり、構成単位の80モル%以上
が、特には90モル%以上がエチレンテレフタレート単
位又はブチレンテレフタレート単位で構成されるポリエ
ステルが好ましい。また、ポリエステル中には、少量の
添加剤、蛍光増白剤、安定剤あるいは、紫外線吸収剤な
どを含んでいてもよい。
ン66、ナイロン12を主成分とするポリアミドであ
り、少量の第3成分を含むポリアミドでもよい。これら
には少量の添加剤、蛍光増白剤、安定剤あるいは、紫外
線吸収剤などが含まれていてもよい。
あるパラフィンワックス(C)添加エチレンビニルアル
コール系共重合体の混合物(B)と芯成分である熱可塑
性重合体(A)との複合比率は、20:80〜80:2
0の重量比率、特に30:70〜70:30の範囲にする
ことが好ましい。エチレンビニルアルコール系共重合体
の混合物(B)の複合比率が20重量%未満になると、
エチレンビニルアルコール系共重合体に基づく本発明の
天然木綿風合が十分に顕在化しにくくなることと、さら
にパラフィンによる吸熱効果が不十分になる場合があ
る。また80重量%を越えると紡糸工程性、延伸工程性
が低下するともに、繊維物性的にも本来のポリエステル
の性能が低下し強度が低くなる場合がある。また用いる
エチレンビニルアルコール系共重合体の重合度は、あま
り低くなると、紡糸時にポリエステルとの溶融粘度差が
大きくなりすぎ、複合ポリマーのバランスが悪くなり、
紡糸性が低下し好ましくない。JIS−K−6730−
1977に準拠した190℃下、2160gの荷重下で
のメルトインデックスが20以下が好ましい。
ニルアルコール系共重合体と、特定のパラフィンワック
ス組み合わせることによって達成されるものである。エ
チレン−ビニルアルコール系共重合体の存在によって、
パラフィンワックスの吸熱効果がより顕著に現されるも
のである。エチレン−ビニルアルコール系共重合体の熱
伝導度が低いことと、吸湿性と、パラフィンワックスの
吸熱特性の相乗効果によって繊維としての優れた冷感が
発現するものと推察されるが、理由は明確でない。
に限定されないが、例えば、エチレン−ビニルアルコール
系共重合体とパラフィンワックス(C)をチップブレン
ド、あるいはチップフィーダーを用いて混合し、混練効
果の高いスクリュー構成にした二軸押出機で溶融押出し
紡糸ヘッドに導入する。この時の押し出し条件として
は、温度はエチレン−ビニルアルコール系共重合体の融
点からプラス10℃の範囲、滞留時間は2分〜30分の
範囲で設定する。一方の熱可塑性樹脂(A)は、別の押
出機で溶融押出し紡糸ヘッドに導入する。
パラフィンワックス混合体(B)は、高温で長く滞留す
ると分解をはじめるため、ポリエステルなどの高融点ポ
リマーと複合紡糸する場合には、紡糸ヘッド温度を26
0〜300℃に設定する必要があり、かかる高温紡糸が
必要な場合は、押出機からヘッドまでのゾーン温度をそ
れぞれのポリマーの適正温度で設定することが好まし
い。このことは、高重合度ポリプロピレンなどのように
高粘度ポリマーと複合する場合にも留意することが必要
である。
ニルアルコール系共重合体とパラフィンワックス混合体
(B)が、熱可塑性重合体(A)を覆うように配置して
複合紡糸することにより製造することが出来る。溶融紡
出速度(溶融紡出量)は約20〜50g/紡糸孔1mm
2・分程度とすると、品質の良好な複合繊維を良好な紡
糸工程性で得ることができるので好ましい。また、紡糸
口金における紡糸孔の大きさや数、紡糸孔の形状など
は、目的とする芯鞘複合繊維の単繊維繊度、マルチフィ
ラメントのトータル繊度、断面形状などに応じて調節す
ることができるが、紡糸孔(単孔)の大きさを約0.0
18〜0.07mm2程度にしておくのが望ましい。紡
糸ヘッド温度条件によっては、紡糸口金の孔周囲にノズ
ル汚れが堆積して糸切れが発生するので、ノズル孔出口
がテーパー状に広がった形状にしたり、口金下の雰囲気
をスチームシールして酸素を遮断する手法が好ましい。
維を、一旦複合成分ポリマーのうちガラス転移温度の低
い方のポリマーのガラス転移温度以下の温度、好ましく
はガラス転移温度よりも10℃以上低い温度に冷却す
る。この場合の冷却方法や冷却装置としては、紡出した
複合繊維をそのガラス転移温度以下に冷却できる方法や
装置であればいずれでもよく特に制限されないが、紡糸
口金の下に冷却風吹き付け筒などの冷却風吹き付け装置
を設けておいて、紡出されてきた複合繊維に冷却風を吹
き付けてガラス転移温度以下に冷却するようにすること
が好ましい。
き付け速度、紡出繊維に対する冷却風の吹き付け角度な
どの冷却条件は、口金から紡出されてきた複合繊維を繊
維の揺れなどを生じないようにしながら速やかに且つ均
一にガラス転移温度以下にまでに冷却できる条件であれ
ばよい。そのうちでも、冷却風の温度を約20〜30
℃、冷却風の湿度を20〜60%、冷却風の吹き付け速
度を0.4〜1.0m/秒程度として、紡出繊維に対す
る冷却風の吹き付け方向を紡出方向に対して垂直にして
紡出した複合繊維の冷却を行うのが、高品質の複合繊維
を円滑に得ることができるので好ましい。また、冷却風
吹き付け筒を用いて前記の条件下で冷却を行う場合は、
紡糸口金の直下にやや間隔をあけてまたは間隔をあけな
いで、長さが約80〜160cm程度の冷却風吹き付け
筒を配置するのが好ましい。また、引取り速度は、一旦
巻き取ってから延伸処理を行う場合、紡糸直結の一工程
で紡糸延伸して巻き取る場合、延伸を行わずに高速でそ
のまま巻き取る場合とで異なるが、おおよそ500m/mi
nから6000m/minの範囲で引き取れる。500m/min
未満で紡糸できないことはないが、生産性の点からは意
味が少ない。一方、6000m/minを越えるような高速
では、繊維の断糸が起こりやすい。生産性及び生産コス
トの面においては高速紡糸方式(延伸省略)、紡糸直結延
伸方式で繊維化することが好ましい。延伸は通常の乾熱
延伸でも湿熱延伸でも良く、使用するエチレン−ビニル
アルコール系共重合体が膠着しない温度で(A)成分の
延伸が可能な適正条件を選択すればよい。
の単繊維繊度は特に制限されず、用途に応じて適宜設定
することができ、例えば、0.5〜50dtexのものを製造
することができる。そして、かかる本発明の複合繊維は、
例えば、衣料用途や非衣料用途など各種の用途に好適に
使用することができるものである。
明はこれらによって何ら限定されるものではない。実施
例中のポリエステルの固有粘度は、フェノールとテトラ
クロロエタンの当量混合溶媒を用い30℃恒温槽中でウ
ベローデ型粘度計を用いて測定した。
い、窒素気流下で−30℃から昇温速度5℃/分で10
0℃まで昇温し測定した。融解温度ピークを融点(T
m)融解ピーク面積を融解熱(ΔH)とする。
果を、冷感に非常に優れるを2点、優れるを1点、冷感
が劣るを0点とした。 ◎:合計点が15点以上 ○:合計点が11〜14点 △:合計点が7点〜10点 ×:合計点が6点以下 〔繊維化工程性〕100kg紡糸した際の毛羽・断糸の
発生状況で評価した。 ○:毛羽、断糸の発生なく良好 △:断糸はなく、毛羽の発生が僅かに認められる ×:断糸が発生
と酢酸ビニルをラジカル重合させ、エチレンの共重合割
合が44モル%のランダム共重合体を作製し、次いで苛
性ソーダによりケン化処理を行い、ケン化度99%以上
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とした後、湿
潤状態のポリマーを酢酸が少量添加されている大過剰の
純水で洗浄を繰返した後、さらに大過剰の純水による洗
浄を繰返し、ポリマー中のK,Naイオン及びMg,C
aイオンの含有量をそれぞれ約10ppm以下にし、そ
の後、脱水機によりポリマーから水を分離した後、更に
100℃以下で真空乾燥を十分に実施して固有粘度
〔η〕=1.05dl/gのポリマーを得、このポリマ
ーにパラフィンワックス(日本精蝋社製 SCP−00
18とSCP−0028の1/1ブレンド品)を20質
量%ブレンドした混合物(B)を30φ二軸押出機、2
20℃にて溶融混練させ、鞘成分用のポリマーとした。
を全酸成分に対して1.7モル%共重合したポリブチレ
ンテレフタレートを、重合触媒としてテトライソプロピ
ルチタネートを用い、チタン金属原子換算でポリマー中
に35ppm添加し、常法により重合を行い、固有粘度
〔η〕=0.85のポリマーを得、A成分ポリマーとし
た。
比率)50:50の条件で、紡糸温度260℃、巻取り
速度4500m/分で溶融複合紡糸し、芯鞘断面形状の
複合フィラメント糸(83dtex/24フィラメン
ト)を得た。得られた繊維を用いて平織物を製織し、官
能評価を実施した。
変更したこと以外は実施例1と同様にして評価した。
量とパラフィンワックスの添加量とA成分のポリマー、
複合比率を表1に示すごとく変更したこと以外は実施例
1と同様にして評価した。
たこと以外は実施例1と同様にして評価した。
Claims (3)
- 【請求項1】 融点150℃以上の熱可塑性重合体
(A)を芯成分とし、エチレン含有量が30〜70モル
%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体にパラ
フィンワックス(C)を5%〜50%添加した混合体
(B)を鞘成分とする複合繊維。 - 【請求項2】 熱可塑性重合体(A)が、ポリエステ
ル、ポリアミド又はポリオレフィンである請求項1に記
載の複合繊維。 - 【請求項3】 (A)の芯成分と(B)の鞘成分の比が2
0/80〜80/20である請求項1又は2に記載の複
合繊維。
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