JPH10212623A - 複合繊維 - Google Patents

複合繊維

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JPH10212623A
JPH10212623A JP9009225A JP922597A JPH10212623A JP H10212623 A JPH10212623 A JP H10212623A JP 9009225 A JP9009225 A JP 9009225A JP 922597 A JP922597 A JP 922597A JP H10212623 A JPH10212623 A JP H10212623A
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JP
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component
composite
polymer
fiber
spinning
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JP9009225A
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Akihiro Hokimoto
明弘 保木本
Kazuhiko Tanaka
和彦 田中
Junyo Nakagawa
潤洋 中川
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱による自己架橋の抑制、ゲル化の抑制が見
出だされたエチレンビニルアルコ−ル系共重合体を一成
分とする複合繊維を提供する。 【解決手段】 特定のゲル分率を有するエチレンビニル
アルコ−ル系共重合体を一成分とする複合繊維である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はエチレンビニルアル
コ−ル系共重合体を含む複合繊維に関する。詳細にはエ
チレンビニルアルコ−ル系共重合体のゲル化が抑制され
た、紡糸工程の良好な複合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル系繊維は疎水性であるがた
めに繊維自体が吸湿性、吸水性に劣る欠点があり、かか
る欠点を改良するために各種の提案がなされている。そ
の1つとしてポリエステルとエチレンビニルアルコ−ル
系共重合体との複合繊維が本発明者等から提案されてい
る(特願平2−27826号)。
【0003】しかるに、エチレンビニルアルコ−ル系共
重合体は加熱により自己架橋しゲル化しやすいポリマ−
であり、紡糸等の取扱性が極めて難しいポリマ−であ
る。ただ、エチレンビニルアルコ−ル系共重合体単独の
紡糸は、紡糸温度が低いためか、自己架橋によるゲルの
発生が少なく紡糸性に困難は伴わない。しかるに、ポリ
エステル等の溶融温度の高いポリマ−との複合紡糸で
は、紡糸温度を高くせざるを得ず、かかる高い紡糸温度
ではエチレンビニルアルコ−ル系共重合体の自己架橋に
よるゲル化が生じ易く、紡糸に困難を伴っていたのであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等はエチレン
ビニルアルコ−ル系共重合体の熱による自己架橋の発
生、ゲル化の発生を検討し、自己架橋を抑制することを
見出だし、本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記式(1)
を満足するエチレンビニルアルコ−ル系共重合体を一成
分とする複合繊維である。 X≧1.4Y+2.0 ・・・・・(1) [ただし、Xは混練時間(時間)、Yはゲル分率(%)
/100を示す。]
【0006】本発明の複合繊維を構成する一成分である
エチレンビニルアルコ−ル系共重合体について説明す
る。該共重合体はエチレン−酢酸ビニル系共重合体をケ
ン化したものであるが、エチレン含有量が25〜75モ
ル%、とくに30〜70モル%の範囲、ケン化度が95
%以上であることが好ましい。エチレン含有量が高くな
る、すなわち、ビニルアルコ−ル含有量が低くなると当
然、繊維中の水酸基が減少し親水性等の特性が低下して
目的の1つである親水性を有する天然繊維ライクの風合
をもつ布帛を得ることができにくくなる。一方、エチレ
ン含有量が低くなる、すなわちビニルアルコ−ル含有量
が高くなると溶融成形性が低下するとともに、複合紡糸
後の繊維の曵糸性が不良となり断糸が多発しやすくな
る。
【0007】また、ケン化度が低くなると該共重合体の
結晶性が低下し、複合繊維とはいっても強度等の繊維物
性が低下してくるのみならず、該共重合体が軟化しやす
くなって加工工程でトラブルが発生しやすくなる。
【0008】さらに、かかる共重合体は上述のように高
温で紡糸する際には自己架橋によるゲルが発生し、高温
での複合紡糸が困難であった。そこで下記に定義するゲ
ル分率をコントロ−ルすることにより、ゲルの発生を抑
制することができるようになった。すなわち、ゲル分率
とはエチレンビニルアルコ−ル系共重合体をプラストミ
ルにて250℃で混練して生成したゲル化物の該共重合
体に対する割合を示す値であり、式(1)を満足するこ
とが必要である。
【0009】 X≧1.4Y+2.0 ・・・・・(1) [ただし、Xは混練時間(時間)、Yはゲル分率(%)
/100を示す。]
【0010】長時間連続して、高温で溶融複合紡糸を行
っていると、エチレンビニルアルコ−ル系共重合体中に
ゲルが発生して、紡糸フィルタ−上にゲル化物が堆積
し、結果として紡糸パック圧が急上昇してノズル寿命が
短くなってしまうとともに紡糸時の単糸切れ、断糸が頻
発してくることになる。ゲル化物の堆積がさらに進むと
ポリマ−配管が詰まり、トラブル発生の原因となる。
【0011】そこでエチレンビニルアルコ−ル系共重合
体の熱に対する挙動を検討した結果、該共重合体のゲル
分率をコントロ−ルすることで、熱安定性が飛躍的に向
上し、高温での溶融紡糸が可能となったのである。かか
るゲル分率をコントロ−ルする具体的な手段として、特
定の酸化防止剤を該共重合体に含有させる方法を挙げる
ことができる。使用できる酸化防止剤としては窒素元素
を含有するヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤を挙げる
ことができ、具体的には2,4−ビス(n−オクチルチ
オ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−t−ブチルアニ
リノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメ
チレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリス(4−t
−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジ
ル)イソシアヌル酸等を挙げることができる。これらの
酸化防止剤は1種類のみならず、2種類以上を併用する
ことも可能である。
【0012】該酸化防止剤のエチレンビニルアルコ−ル
系共重合体への含有量は0.01〜10重量%、とくに
0.1〜3.0重量%であることが好ましい。かかる範
囲内の含有量により、式(1)で示されるゲル分率がコ
ントロ−ルされ、該共重合体の熱安定性が向上して高温
での溶融紡糸、とくに長期間に亘る溶融紡糸が可能とな
ったのである。酸化防止剤の含有量を多くすると、かえ
って繊維が着色してしまい繊維製品として商品価値の低
いものとなってしまう。該酸化防止剤は他の窒素元素を
含有しない酸化防止剤、ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防
止剤以外の酸化防止剤と併用することもできる。
【0013】本発明の複合繊維を構成する他方成分につ
いて説明する。かかる成分としては融点が150℃以上
の繊維形成性ポリマ−であり、ポリオレフィン、ポリエ
ステル、ポリアミド等を挙げることができる。ポリオレ
フィンとしてはポリプロピレン、エチレン−プロピレン
ランダム共重合体等を挙げることができ、ポリアミドと
しては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12など
を主成分とするポリアミドであり、これらのポリマ−に
は少量の第3成分が含まれていてもよい。
【0014】ポリエステルとしてはテレフタル酸、イソ
フタル酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、フタル
酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)エタン、
4,4−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、
セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジアルボン酸また
はこれらのエステル類;エチレングリコ−ル、ジエチレ
ングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキ
サンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、シクロヘキサ
ン1,4−ジメタノ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポ
リテトラメチレングリコ−ル等のジオ−ル化合物とから
なるポリエステルを挙げることができる。なかでも構成
単位の80モル%以上、とくに90モル%以上がエチレ
ンテレフタレ−ト単位またはブチレンテレフタレ−ト単
位であるポリエステルが望ましい。
【0015】これらのポリマ−中には通常繊維に添加さ
れる添加剤、たとえば蛍光増白剤、紫外線吸収剤、安定
剤等が含有されていてもよい。
【0016】エチレンビニルアルコ−ル系共重合体(以
下、A成分ポリマ−と略称する)と、融点が150℃以
上の繊維形成性ポリマ−(以下、B成分ポリマ−と略称
する)との複合比はA:B=5:95〜80:20、と
くに30:70〜70:30であることが好ましい。複
合繊維に親水性を付与するには該複合比の範囲が好まし
く、A成分ポリマ−の複合比が大きすぎるとA成分ポリ
マ−のゲル化は抑制できても、本来が曵糸性に劣るA成
分ポリマ−であるために、紡糸・延伸工程性が不良とな
り易い。また、単繊維間の膠着が激しくなり、該複合繊
維からなる織編物が硬くなってしまう場合がある。
【0017】またA成分ポリマ−とB成分ポリマ−との
複合形態は公知の複合形態であればよく、具体例を図1
に示す。芯鞘型複合形態(イ、ロ)、貼合わせ型複合形
態(ハ、ニ)、多層貼合わせ型複合形態(ホ、ヘ、ト)
等であり、多層貼合わせ型複合形態はB成分の選択によ
り分割して極細化することも可能である。複合形態チ〜
ルは繊維断面の中心方向へ分割するタイプであり、A成
分ポリマ−あるいはB成分ポリマ−のどちらかが分割す
るタイプである。また複合形態ヲは中空断面繊維の例で
あり、円環状にA成分ポリマ−、B成分ポリマ−がそれ
ぞれに分割しているタイプである。複合形態ワは繊維断
面中心方向に各々のポリマ−が分割していくタイプであ
り、複合形態カ、ヨは異形断面繊維の複合形態の例であ
る。複合形態タはA成分ポリマ−とB成分ポリマ−との
不均一混合形態の例であり、該混合形態は紡糸ノズルよ
り吐出する直前にA成分ポリマ−とB成分ポリマ−を4
〜8エレメントの静止型混合器で層状分割した後ノズル
より吐出させることにより得ることができる。複合形態
レは芯成分がB成分ポリマ−、鞘成分がA成分ポリマ−
とB成分ポリマ−との混合物である芯鞘複合形態のタイ
プである。
【0018】本発明の複合繊維は長繊維のみならず、短
繊維でも本発明の効果が奏されることはいうまでもな
い。また、本発明の複合繊維は仮撚捲縮加工等の高次加
工により、5角形、6角形に類似した断面形状になった
り、紡糸時の異形断面ノズルにより多葉形や各種の断面
形状になることがあるが、要は上述した要件を満足した
繊維であれば、本発明の効果を奏するのである。
【0019】本発明の複合繊維を構成するA成分ポリマ
−は融点が150〜190℃付近のポリマ−であり、熱
水中では融点降下現象が発現し、融点以下の温度でも軟
化しやすくなる。上述のゲル分率を満足するA成分ポリ
マ−を使用して紡糸ができても、たとえばB成分ポリマ
−としてポリエステルを用いて高温染色すると、A成分
ポリマ−が軟化する場合がある。とくに繊維表面に占め
るA成分ポリマ−の割合が大きいと、この傾向が高く、
単繊維間で膠着が生じ、満足な繊維構造物を得ることが
できない場合がある。このような問題点を解消するため
に、該繊維構造物をホルマリン、グリオキザ−ル、グル
タルアルデヒド等のアルデヒド類、またはジアルデヒド
のアセタ−ル化物でA成分ポリマ−をアセタ−ル化した
後高温染色を施すことが提案され、実施されている。
【0020】該アセタ−ル化の方法として、硫酸、ギ
酸、塩酸等の強酸を触媒として使用し、炭素数が2〜1
2(アルデヒド基の炭素を含む)のジアルデヒドで、1
5〜135℃の条件でアセタ−ル化処理を行う方法を一
例として挙げることができる。ジアルデヒドを用いる場
合、架橋型の反応の他に非架橋型のフリ−のアルデヒド
が残存する場合があり、この残存アルデビドが染色物の
退色の原因となる場合があるので、これを防止するため
に、フリ−のアルデヒドを酸化剤により酸化してカルボ
ン酸、またはカルボン酸塩にすることが好ましい。
【0021】また、B成分ポリマ−としてポリエステル
を用いて繊維構造物を高温染色すると、A成分ポリマ−
に起因して繊維構造物が収縮する場合がある。かかる場
合には染色時に染色液中に強酸強塩基の塩あるいは硼酸
を単独または両者の混合物を存在させることにより繊維
構造物の収縮を抑制することができる。
【0022】本発明の複合繊維は長繊維(フィラメン
ト)のみならず、短繊維(ステ−プル)としても用いら
れ、該ステ−プルを用いた乾式不織布、湿式不織布とし
ても有用である。無論、本発明の複合繊維100%使い
であっても、他の繊維との混用であってもよいが、その
場合には本発明の複合繊維の混用割合は20重量%以上
であることが望ましい。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述するが、本
発明はこれら実施例により何等限定されるものではな
い。なお、実施例中の各測定値は以下の方法により測定
されたものである。 (1)A成分ポリマ−およびポリエステルの極限粘度
(dl/g) フェノ−ルとテトラクロロエタンとの等重量混合溶媒を
用いて、30℃の恒温槽中でウベロ−デ型粘度計を用い
て測定した値である。 (2)複合繊維の複合重量比 繊維の断面形状の電子顕微鏡写真を撮り、該写真を方眼
紙に写しとり、A成分ポリマ−部分とB成分ポリマ−部
分とを切り取った面積比と各成分ポリマ−の比重により
算出した。 (3)ゲル分率(%) A成分ポリマ−をラボプラストミル[(株)東洋精機製
作所、ラボプラストミル20R200型]を用い、25
0℃で混練し、サンプルを採取した。ついで下記に示す
方法でゲル分率の経時変化を測定算出した。 サンプル0.15gと15重量%の含水フェノ−ル3
0ミリリットルを三角フラスコに入れ(仕込み濃度)、
60℃のオイルバス中8時間撹拌しながら溶解させる。 溶解終了後、サンプル溶液をサラシで濾過する。 濾液10ミリリットルをアルミケ−スに採取し、乾燥
機にて乾燥させる(80℃×一晩)。 乾燥後のアルミケ−スの重量を量り、濾液濃度を求め
る。得られたデ−タよりゲル分率は次式によって算出さ
れる。 ゲル分率(%)=[(仕込み濃度−濾液濃度)/仕込み
濃度]×100(濃度はいずれも重量%で示す。)
【0024】実施例1 酸化防止剤としてイルガノックス1098(登録商標:
チバガイギ−社製)を0.5重量%含有した、エチレン
含有量32モル%、ケン化度99%、極限粘度1.05
dl/gのエチレンビニルアルコ−ル系共重合体をA成
分ポリマ−とした。該ポリマ−を250℃で3時間プラ
ストミル混練した時のゲル分率は37%であった。一
方、B成分ポリマ−として、極限粘度が0.66dl/
g、イソフタル酸10モル%共重合したポリエチレンテ
レフタレ−トを用いた。A成分ポリマ−とB成分ポリマ
−を複合比A:B=30:70(重量比率)として断面
形状が図1のトで示されるような複合形状、すなわちA
成分ポリマ−が5層、B成分ポリマ−が6層の多層交互
貼合わせ型複合形状となるような紡糸パック内で複合流
を形成させた後、紡糸口金温度250℃、紡糸速度10
00m/分の条件で紡糸を行った。
【0025】得られた紡糸原糸を通常のロ−ラプレ−ト
方式の延伸機によりホットロ−ラ75℃、ホットプレ−
ト120℃、延伸倍率3.0倍の条件で延伸を行い、7
5デニ−ル/24フィラメントのマルチフィラメントを
得た。紡糸性、延伸性は良好で問題はなかった。とくに
A成分ポリマ−の溶融ライン中での分解ガスは発生によ
るトラブルや着色の発生、ライン中でゲル化物堆積によ
るトラブルの発生は全くなかった。また口金吐出直前の
口金上部でのA成分ポリマ−とB成分ポリマ−との界面
での反応ゲル化によるゲル化物が発生し、ノズル詰まり
によるトラブルや単糸切れ、断糸の発生も全くなかっ
た。さらに、繊維中へのゲル化物等の混入に起因する延
伸毛羽、延伸断糸の発生も見られず、紡糸工程、延伸工
程に全く問題はなかった。
【0026】得られた延伸糸(75デニ−ル/24フィ
ラメント)を経糸および緯糸として使用し平織物を作成
した。その密度は経密度108本/インチ、緯密度98
本/インチであった。該生機織物をアクチノ−ルR10
0(松本油脂製薬社製)1g/リットルで、80℃20
分間糊抜きした後、2g/リットルのグルタルアルデヒ
ドを含有する0.3規定の硫酸水溶液中で、90℃で5
0分間の条件でアセタ−ル化を行い、ついで180℃の
プレセット、20重量%のアルカリ減量を行った。 そ
して、以下の条件で染色を施し、常法により乾燥仕上げ
を行った。
【0027】染色条件 染料:Dianix Red BN-SE(CI Disperse Red127) 5%owf 分散助剤:Disper TL(明成化学工業社製) 1g/リットル pH調整剤:硫酸アンモニウム 1g/リットル 酢酸(48%) 1cc/リットル 浴比 1:30 温度 120℃ 時間 60分還元洗浄 ハイドロサルファイド 1g/リットル アミラジン(第一工業製薬社製) 1g/リットル 水酸化ナトリウム 1g/リットル 浴比 1:30 温度 80℃ 時間 20分
【0028】染色物は良好な発色性とソフト感、嵩高性
を有し、かつシャリ感がある天然木綿繊維に似た良好な
風合を有するものであった。もちろん親水性にも優れた
ものであった。
【0029】実施例2〜5 実施例1に用いたと同じA成分ポリマ−を用い、複合比
率をA:B=50:50にした以外(実施例2)、複合
比率をA:B=50:50、複合形状を図1−イにした
以外(実施例3)、複合比率をA:B=15:85、複
合形状を図1−イにした以外(実施例4)、複合比率を
A:B=70:30、複合形状を図1−イにした以外
(実施例5)は実施例1と同様にして複合繊維(延伸
糸)を得、平織物を作成し、染色を施した。いずれも繊
維化工程性は良好であり、良好な親水性、発色性および
風合を有する織物が得られた。なお、実施例3〜5にお
いてはアルカリ減量加工を施さなかった。
【0030】実施例6 実施例1において、A成分ポリマ−に酸化防止剤として
Cyanox1790(登録商標:アメリカンサイアナ
シド社製)を0.5重量%含有し、複合形状を図1−ニ
にした以外は実施例1と同様にして複合紡糸を行い、平
織物を作成し染色を施した。なお、A成分ポリマ−の3
時間混練でのゲル分率は47%であった。繊維化工程性
は良好で全く問題はなかった。また染色物も発色性に優
れ、親水性、風合も良好であった。
【0031】実施例7〜8 実施例3において、A成分ポリマ−に酸化防止剤として
Cyanox1790を0.5重量%含有した以外は同
様にして複合紡糸を行い、平織物を作成し染色を施した
(実施例7)。また、実施例4において、A成分ポリマ
−に酸化防止剤としてCyanox1790を0.5重
量%含有した以外は同様にして複合紡糸を行い、平織物
を作成し染色を施した(実施例8)。いずれも繊維化工
程性は良好で問題はなく、得られた染色物も風合、親水
性ともに良好なものであった。なお、いずれもアルカリ
減量加工は施していない。
【0032】実施例9〜10 実施例1において、B成分ポリマ−としてナイロン6
(1013BK−1、宇部興産社製)を用いた以外(実
施例9)、B成分ポリマ−として極限粘度が0.95の
ポリブチレンテレフタレ−トを用いた以外(実施例1
0)は同様にして複合紡糸を行い、平織物を作成した。
いずれも繊維化工程性は良好であった。
【0033】実施例11 A成分ポリマ−としてエチレン含有量が44モル%、ケ
ン化度が99%、極限粘度が1.10のエチレンビニル
アルコ−ル系共重合体を用いた以外は実施例1と同様に
して複合紡糸を行い、平織物を作成して染色を施した。
なお、エチレンビニルアルコ−ル系共重合体の3時間混
練後のゲル分率は0%であった。繊維化工程性は非常に
良好で、染色物も発色性、親水性、風合いずれも非常に
良好であり、衣料用素材として有用であった。
【0034】比較例1 実施例1において、A成分ポリマ−中に酸化防止剤を含
有させなかった以外は同様にして複合紡糸を行った。A
成分ポリマ−の2.5時間混練後のゲル分率は51%で
あり、紡糸過程で長時間安定な紡糸を行うことはできな
かった。すなわち、A成分ポリマ−中にゲル化物が発生
し、紡糸パック内のA成分ポリマ−のフィルタ−上にゲ
ル化物が堆積し、A成分ポリマ−の溶融ライン詰まりに
よる圧力が急上昇した。また、紡糸口金上でA成分ポリ
マ−とB成分ポリマ−とが接触し複合流が形成される部
分で両成分ポリマ−の反応によるものと思われるゲル化
物が発生し、ノズル詰まりによる単糸切れ、断糸が経時
的に頻発して生じた。得られた紡糸原糸の延伸も安定し
て行うことができにくく、経時的に毛羽・断糸が発生し
た。
【0035】比較例2〜3 実施例1において、酸化防止剤を含有していないA成分
ポリマ−を使用し、表1に示す複合比率、複合形状にし
た以外は同様にして複合紡糸・延伸を行った。A成分ポ
リマ−のゲル分率が高く、長時間安定な紡糸を行うこと
ができなかった。ゲル化物の発生により溶融ライン詰ま
り、ノズル詰まりが生じ、単糸切れ、断糸が経時的に発
生した。また、得られた紡糸原糸の延伸も安定して行う
ことができにくく、経時的に毛羽・断糸が発生した。
【0036】以下に、実施例1〜11および比較例1〜
3の評価結果を示す。
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、エチレンビニルアルコ
−ル系共重合体と融点が150℃以上の繊維形成性ポリ
マ−との複合化において、長時間安定に紡糸を行うこと
ができ、また延伸工程も非常に安定して行うことができ
る複合繊維を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合繊維の複合形状のモデル図であ
る。 A:エチレン−ビニルアルコ−ル系共重合体 B:他の重合体

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)を満足するエチレンビニルア
    ルコ−ル系共重合体を一成分とする複合繊維。 X≧1.4Y+2.0 ・・・・・(1) [ただし、Xは混練時間(時間)、Yはゲル分率(%)
    /100を示す。] ゲル分率:エチレンビニルアルコ−ル系共重合体組成物
    をプラストミルにて250℃で混練して生成したゲル化
    物の組成物に対する割合。
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