JP3728498B2 - 複合繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然繊維に似た良好な風合と良好な光沢感、吸湿性を有し、かつ染色加工工程性及び耐剥離性に優れたエチレン−ビニルアルコール系共重合体を一成分とする複合繊維に関する。特に、スポーツ衣料、リビング資材用途に好適な繊維素材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成繊維、例えばポリエステルやポリアミド等のフィラメントからなる織物、編物、不織布等の繊維構造物は、その構成フィラメントの単繊維繊度や断面形状が単調であるため、綿、麻等の天然繊維に比較して風合や光沢が単調で冷たく、繊維構造物としても品位は低いものであった。
また、ポリエステル系繊維は疎水性であるため、繊維自体が吸水性、吸湿性に劣るという欠点がある。これらの欠点を改良するために、従来から種々の検討がなされているが、その中で例えば、ポリエステル等の疎水性ポリマーと水酸基を有するポリマーとを複合紡糸することにより、疎水性繊維に親水性等の性能を付与させる試みがなされている。具体的には、エチレン−ビルアルコール系共重合体鹸化物とポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミドなどの疎水性熱可塑性樹脂との複合繊維が特公昭56−5846号や特公昭55−1372号公報等で開示されている。
【0003】
これらの提案には、2つの大きな問題点がある。一つは高温高圧染色や縫製、あるいはスチームアイロンの使用により、表面に露出したエチレン−ビニルアルコール系共重合体が部分的に軟化や微膠着を生じ、織編物としての風合が硬化することである。このことを防止するために、ジアルデヒド化合物によりアセタール化処理する方法が知られている。しかしながら、該アセタール化処理は現行の染色工程以外の別工程を必要とするため加工コストが高くなるという問題、アセタール化処理する際に強酸を高濃度に使用するため、処理装置に耐酸性が要求されるという問題、アセタール化処理時の未反応のジアルデヒド化合物により染料が退色し、染色物の耐光性が悪化するという問題、天然繊維に比べ膨らみ感が不足するという問題、スチームアイロンや転写プリント等の過度の熱処理等によりエチレン−ビニルアルコール系共重合体が軟化や微膠着するという問題などを有していた。このような問題を解決するために本願出願人は、すでに特開平10−158926号公報にて特定のジアルデヒド化合物を用いた架橋処理法を提案している。しかしながら、この技術では精練と同時に架橋することが困難であり、その結果、染色と同時に架橋させることにより、染料選択が制限されていた。
【0004】
もう一つの問題としては、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と特にポリエステルとの複合繊維は、2成分ポリマー間の界面での接着性が小さいため剥離しやすく、使用する目的によっては、トラブルの原因となることが知られている。特に強撚加工や仮撚加工などの繊維の長さ方向に対して直角に応力が加わる加工をする場合に、所々に2成分間の剥離現象が発生し、該強撚加工糸や仮撚加工糸を用いて布帛を作成し染色加工したものは、剥離した部分が白化して見え欠点となり好ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、熱可塑性樹脂とエチレン−ビニルアルコール系共重合体とを複合することにより得られる繊維であって、従来の合成繊維からなる素材よりもより鮮やかな発色性、光沢感、吸湿性を有し、さらに、繊維化工程性及び染色加工工程性が良好で、かつ実着用上での複合成分間の界面剥離による白化等のトラブルがない複合繊維を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、エチレン単位の含有量が25〜70モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)とポリアミド系樹脂(B)とを、(A)に対する(B)の割合を3〜45質量%とし、溶融混練して得られる混合物であって、かつ60℃のDMSOに対し不溶解性の成分を5〜75質量%含有する混合物成分を鞘成分とし、融点が160℃以上の熱可塑性樹脂(C)を芯成分とする複合繊維であって、該不溶解性の成分は共重合体(A)成分中に島状に分散し、該島の大きさが1nm〜300nm、島の数は繊維断面でみて10ケ/μm以上存在しており、芯成分は鞘成分との界面において10個以上配列する突起部を形成しており、かつ芯成分の外周長(L2)と繊維の外周長(L1)との比が下記(1)式を満足することを特徴とする複合繊維である。
1.6≦X/Y (1)
ここで、X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
Y;複合繊維全体を1としたときの芯成分の質量複合比率
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の複合繊維を構成するエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)(以下、単にA成分ポリマーと略称することもある)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られるが、ケン化度は95%以上の高ケン化度のものが好ましく、エチレン単位の含有量が25〜70モル%のもの、すなわち、ビニルアルコール成分(未ケン化酢酸ビニル成分やアセタール化されたビニルアルコール成分等を含む)が約30〜75モル%のものが用いられる。A成分ポリマー中のエチレン単位の含有量が70モル%を越えて高くなる場合、すなわち、ビニルアルコール成分の割合が低くなれば、水酸基の減少のために親水性などの特性が低下し、目的とする良好な親水性を有する天然繊維ライクの風合が得られない。逆にエチレン単位の含有量が25モル%未満の場合、すなわち、ビニルアルコール成分の割合が多くなりすぎると、溶融成形性が低下すると共に複合紡糸する際に、曳糸性が不良となり、紡糸時又は延伸時の単糸切れ、断糸が多くなる。
したがって、高ケン化度でエチレン共重合割合が25〜70モル%のものが本発明の目的の繊維を得るためには適している。
【0008】
本発明においては、A成分ポリマーを含む鞘成分と複合されるC成分ポリマーとしてポリエステルなどの高融点ポリマーを用いる場合に、長時間安定に連続して複合紡糸するためには、A成分ポリマーの溶融成形時の耐熱性を向上させることが好ましいが、そのための手段として、エチレンの共重合割合を適切な範囲に設定することと、さらにA成分ポリマー中の金属イオン含有量を所定量以下とすることも効果的である。
【0009】
A成分ポリマーの熱分解機構は、大きく分けてポリマー主鎖間での橋かけ反応が起こりゲル化物が発生していく場合と、主鎖切断、側鎖脱離などの分解が進んでいく機構が混在化して発生すると考えられるが、A成分ポリマー中の金属イオンを除去することにより、溶融紡糸時の熱安定性が飛躍的に向上する。特にNa,Kイオンなどの第I族のアルカリ金属イオンと、Ca2+、Mg2+イオンなどの第II族のアルカリ土類金属イオンをそれぞれ100ppm以下とすることにより顕著な効果がある。
特に、長時間連続して高温条件で溶融紡糸をする際、A成分ポリマー中にゲル化物が発生してくると紡糸フィルター上にゲル化物が徐々に詰まって堆積し、その結果紡糸パック圧力が急上昇してノズル寿命が短くなるとともに紡糸時の単糸切れ、断糸が頻発する。ゲル化物の堆積がさらに進行するとポリマー配管が詰まりトラブル発生の原因となり好ましくない。
A成分ポリマー中の第I族アルカリ金属イオン、第II族アルカリ土類金属イオンを除去することにより高温での溶融紡糸、特に、250℃以上での溶融紡糸時に長時間連続運転してもゲル化物発生によるトラブルが起こりにくい。
したがって、これら金属イオンの含有量は、それぞれ50ppm以下であることが好ましく、特に好ましくは10ppm以下である。
【0010】
A成分ポリマーの製造方法として、一例を説明すると、メタノールなどの重合溶媒中でエチレンと酢酸ビニルとをラジカル重合触媒下でラジカル重合させ、次いで未反応モノマーを追い出し、苛性ソーダによりケン化反応を起こさせ、エチレン−ビニルアルコール系共重合体とした後、水中でペレット化した後、水洗して乾燥する。従って工程上どうしてもアルカリ金属やアルカリ土類金属がポリマー中に含有されやすく、通常は数百ppm以上のアルカリ金属、アルカリ土類金属が混入している。
【0011】
アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオン含有量をできるだけ低下させる方法としては、ポリマー製造工程中、ケン化処理後ペレット化した後、湿潤状態のペレットを酢酸を含む純水溶液で大量にペレットを洗浄した後、さらに大過剰の純水のみで大量にペレットを洗浄することによって得られる。
またA成分ポリマーは、エチレンと酢酸ビニルの共重合体を苛性ソーダによりケン化して製造されるが、前述したようにこの時のケン化度を95%以上にすることが好ましい。鹸化度が低くなると、ポリマーの結晶性が低下し、強度等の繊維物性が低下してくるのみならず、A成分ポリマーが軟化しやすくなり加工工程でトラブルが発生してくるとともに得られた繊維構造物の風合も悪くなり好ましくない。
【0012】
本発明においては、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)にポリアミド系樹脂(B)を3〜45質量%の割合、好ましくは5〜40質量%の割合で溶融混練することによって該共重合体(A)とポリアミド系樹脂(B)との少なくとも一部を架橋結合させることが重要である。この架橋反応は、溶融混練時のみに止まらず繊維化した後の熱処理などによっても進行するものであるが、架橋反応は、主にポリアミドの末端カルボキシル基とエチレン−ビニルアルコール系共重合体の−OHとの反応や、ポリアミドの末端アミノ基とエチレン−ビニルアルコール系共重合体のカルボキシル基との反応等によるものと推定される。架橋は、95℃の熱水中でも膠着しない程度に形成されている必要があり、溶融混練時のポリアミド系樹脂(B)の分散状態によって、島表面と海成分の架橋反応の反応効率が影響され、ある範囲に分散していることが重要である。そして、本発明においては、溶融混練して得られる混合物(複合繊維の鞘成分)には、60℃のDMSO中で2時間加熱攪拌した場合に、不溶解性の成分が5〜75質量%含まれていることが重要である。
60℃のDMSO処理によって、混合物中のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)は溶解し、ポリアミド系樹脂(B)と共重合体(A)とが架橋反応して形成される樹脂成分および未反応のポリアミド系樹脂(B)の両者が不溶解性の成分として確認される。
本発明において、混合物成分中の不溶解性の成分の含有量が5質量%未満であると、スチームアイロン、あるいは洗濯、乾燥時に繊維間の膠着や過大収縮等を生じやすい。一方、75質量%を越えると繊維化工程性が低下し、風合いもぬめり感が強くなり好ましくない。したがって、7〜50質量%の不溶解性の成分の含有量であることが好ましい。
【0013】
本発明で使用されるポリアミド系樹脂(B)の種類は特に限定されるものでないが、例えば、ポリカプロラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン2,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカノメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリドデカメチレンセバカミド(ナイロン10,8)、あるいは、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジペート共重合体(ナイロン6/6,6)、ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアミンアジペート共重合体(ナイロン12/6,6)、ヘキサメチレンジアミンアジペート/ヘキサメチレンジアミンセバケート共重合体(ナイロン6,6/6,10)、エチレンジアミンアジペート/ヘキサメチレンジアミンアジペート共重合体(ナイロン2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミンアジペート/ヘキサメチレンジアミンセバケート共重合体(ナイロン6,6/6,10)などが挙げられる。
なお、上記のナイロン表示中で「,」の前後の数値はポリアミドを構成するジカルボン酸成分とジアミン成分のそれぞれの炭素数を表すものであり、「/」は前後の数値で示されるポリアミド同士の共重合体を表すものである。
【0014】
これらのポリアミド系樹脂(B)は、例えば、ナイロン6/12の縮重合時にポリエーテルジアミン類とジカルボン酸(ダイマー酸など)を添加して、高分子鎖中にポリエーテル結合を有するポリアミドとしてもよい。また、縮合時にヘキサメチレンジアミンやラウリルアミンのような脂肪族アミンやメタキシリレンジアミンやメチルベンジルアミンのような芳香族アミンを添加して、ポリアミド中のカルボキシル末端基を減少させたものも好ましい。また、例えば、メタキシリレンジアミンと全量の80%以下のパラキシリレンジアミンを含む混合キシリレンジアミンと、炭素数が6〜10個のα,ω−脂肪族ジカルボン酸とから生成された構成単位を分子鎖中に少なくとも70モル%含有するメタキシリレン基含有ポリアミド樹脂も有効である。
これらの重合体の例としては、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスペラミドなどのような単独重合体、およびメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、などのような共重合体、ならびにこれらの単独重合体または共重合体の成分とヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジンのような脂環式ジアミン、パラービス−(2−アミノエチル)ベンゼンのような脂肪族ジアミン、テレフタル酸のような脂肪族ジカルボン酸、ε−カプロラクタムのようなラクタム、γ−アミノヘプタン酸のようなω−アミノカルボン酸、パラーアミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等とを共重合した共重合体等が挙げられる。上記の共重合体において、パラキシリレンジアミンは全キシリレンジアミンに対して80%以下であり、好適には、75%以下である。またキシリレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから生成された構成単位を分子鎖中において少なくとも70モル%以上、さらには75モル%以上有していることが好ましい。また、これらのポリマーには、たとえばナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,12等の重合体、帯電防止剤、滑剤、耐ブロッキング剤、安定剤、染料、顔料等を含有してもよい。
【0015】
さらに、非晶質ポリアミド、すなわち、DSC測定において、実質上吸熱結晶融解ピークを有さないもので、主として、脂肪族ジアミンおよび芳香族ジカルボン酸の重縮合体も用いられる。脂肪族ジアミンとしては、たとえばヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ビス−(4−アミノヘキシル)−メタン、2,2−ビス−(4−アミノヘキシル)−イソプロピリジン、1,4−(1,3)−ジアミノシクロヘキサン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノプロパン、および2−エチルジアミノブタンなどが挙げられる。これらのジアミンは、一種またはそれ以上を同時に用いることができる。なかでも、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタンメチレンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ジアミノブタン、および1,3−ジアミノプロパンが好適に用いられる。
芳香族ジカルボン酸としては、たとえばイソフタール酸、テレフタール酸、アルキル置換イソフタール酸、アルキル置換テレフタール酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸は、一種またはそれ以上を同時に用いることができる。なかでも、イソフタール酸、テレフタール酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などが熱成形性の面で好適である。そして、非晶質ポリアミドとしての例としては、ヘキサメチレンジアミン−イソフタール酸の重縮合体、ヘキサメチレンジアミン−イソフタール酸/テレフタール酸の重縮合体、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン−テレフタール酸の重縮合体などが挙げられる。なかでもイソフタール酸/テレフタール酸のモル比が60/40〜95/5、さらには、65/35〜90/10の範囲にあるヘキサメチレンジアミン−イソフタール酸/テレフタール酸の重縮合体が好適である。
【0016】
上記のポリアミド系樹脂(B)は1種または2種以上用いられるが、上記樹脂(B)のうち好適なポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6/6,6、ナイロン6/12、メタキシリレンジアミン含有ポリアミド、非晶質ポリアミドなどである。ナイロン6/12における6成分と12成分の組成割合は特に制限はないが12成分が60モル%以下、より好ましくは50モル%以下が好ましい。
【0017】
本発明の複合繊維の鞘成分は、エチレン−ビルアルコール系共重合体(A)成分中に不溶解性の成分が島状に分散していることが必要で、その島の大きさは1nm〜300nmである。好ましくは10nm〜200nmである。島の数は10ケ/μm以上であることが必要である。島の大きさが300nmを超えると繊維化工程性が不安定となる場合があり、目的である耐熱性が得られにくく、また、1nm未満になると耐熱性が得られにくい。また、島数が10ケ/μm未満になった場合、耐熱性が得られにくい。島数の上限値は特に限定されないが、多すぎる場合はゲル化に至り紡糸不可となりやすいので、好ましくは1000ケ/μm以下、特に500ケ/μm以下であることが望まれる。
【0018】
また、本発明の複合繊維の芯成分を構成する熱可塑性樹脂(C)(以下、単にC成分と略称することもある)は、耐熱性、寸法安定性の点から、融点が160℃以上、好ましくは180℃以上の熱可塑性樹脂であることが重要であり、そのような樹脂としては、例えば、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66を代表とするポリアミド、ポリプロピレンを代表とするポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートを代表とするポリエステル等が好適である。また、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステルも使用できる。
【0019】
特に、ポリアルキレンテレフタレート系ポリエステルにおいては、テレフタル酸成分の一部は他のジカルボン酸成分で置き換えられていてもよく、ジオール成分も主たるジオール成分の以外に他のジオール成分で少量置き換えられていてもよい。
テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げることができる。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンー1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等を挙げることができる。
【0020】
特に、下記一般式(i)で示される化合物を共重合していることが、芯成分と鞘成分との耐剥離性向上効果の点で望ましい。
【0021】
【化1】
Figure 0003728498
(但し、Dは3価の芳香族基又は3価の脂肪族基、X1及びX2はエステル形成性官能基または水素原子であって同一でも異なっていてもよく、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルキルホスホニウム基のいずれかを示す。)
【0022】
C成分ポリマーの共重合成分である前記化合物(i)として、重合時の耐熱性の点からDが3価の芳香族基であることが望ましい。例えば、1,3,5−ベンゼントリイル基、1,2,3−ベンゼントリイル基、1,3,4−ベンゼントリイル基等のベンゼントリイル基、1,3,6−ナフタレントリイル基、1,3,7−ナフタレントリイル基、1,4,5−ナフタレントリイル基、1,4,6−ナフタレントリイル基等のナフタレントリイル基などを挙げることができる。
Mはナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属原子、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子もしくはテトラ−n−ブチルホスホニウム基、ブチルトリフェニルホスホニウム基、エチルブチルホスホニウム基等のアルキルホスホニウム基である。
及びXはエステル形成性官能基又は水素原子を示し、それらは同一であっても異なっていてもよい。ポリマーの主鎖中に共重合される点でエステル形成性官能基であることが好ましい。エステル形成性官能基の具体例として下記の官能基を挙げることができる。
【0023】
【化2】
Figure 0003728498
(ただし、Rは低級アルキル基またはフェニル基、aおよびdは1以上の整数、bは2以上の整数を示す。)
【0024】
化合物(i)の具体例としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、α−テトラブチルホスホニウムスルホコハク酸などが挙げられ、中でもコストパフォーマンスの点において5−ナトリウムスルホイソフタル酸が好ましい。
【0025】
化合物(i)の共重合量はポリエステルを構成する全酸成分に対して0.5〜5モル%の範囲内であることが好ましい。0.5モル%未満の場合、発色性が不十分となる場合がある。一方、5モル%を越えると鮮明な発色性は有するが、繊維化工程性、特に、紡糸性、延伸性が不良になると共に繊維強度が低くなる場合がある。好ましい共重合量は1〜3モル%の範囲である。また、繊維化工程性を悪化させない範囲でC成分ポリマー中に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料等の添加剤を含有させてもさしつかえない。
【0026】
次に本発明において重要な要件である複合断面形状について詳述する。本発明の複合繊維の断面形状は、例えば、図1の繊維断面写真に見られるような形態をしており、芯成分は鞘成分との界面において、10個以上配列した状態で突起部が形成されていることが必要である。突起部の数が少なくなると複合成分間の界面剥離に対する抵抗が十分に得られにくくなる。さらに重要なことは、C成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比が(1)式を満足することである。
1.6≦X/Y (1)
X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
Y;複合繊維全体を1としたときの芯成分の質量複合比率
芯成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比Xは芯成分の複合比率により変化するが、(1)式が1.6倍以上、好ましくは2.0倍以上、より好ましくは2.5倍以上であることが重要である。即ち、芯成分と鞘成分の質量複合比率が50:50である場合を例に挙げると、芯成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比は、0.8以上、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.25以上である。X(L2/L1)が1.0以上のとき、驚くべきことに芯成分と鞘成分の界面剥離を防止する効果が増大する。本発明における界面剥離防止効果の作用機序は、現時点では推論の域をでないが、恐らく複合成分の接着面積の増大と芯成分により形成される突起部のアンカー効果との相乗効果によるものと推察される。
【0027】
鞘成分と芯成分の複合比率は90:10〜10:90(質量比率)であることが好ましく、特に70:30〜30:70がより好ましく、各々の複合形態や繊維断面形状により適宜設定可能である。
鞘成分の複合比率が10質量%未満の場合は水酸基の減少ため繊維のひとつの特徴である親水性等の特性が失われる。一方、芯成分の複合比率が90質量%を越える複合繊維は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の特徴が発揮され、親水性、光沢感は十分に満足されるが、繊維物性や染色物の発色性が劣り好ましくない。
【0028】
また複合繊維の断面形状は鞘成分が繊維表面全体を覆う必要はなく、鮮やかな発色性を有するには、繊維表面の80%以上が屈折率の低いエチレン−ビニルアルコール系共重合体であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。特に芯鞘型複合繊維が鮮やかな発色性、繊維強度等の点で好ましい。
【0029】
本発明においては、芯成分として前記のような共重合ポリエステルを使用することによって鮮やかな発色性が得られるが、スポーツ衣料用途にかかる繊維を用いる場合、発色性のみならず光沢をも併せ持つことが要求されている。通常、光沢を有する繊維は発色性が低下し、逆に発色性を優先させると光沢を付与することが難しい。本発明では繊維断面形状を特定することで鮮やかな発色性及び光沢をも有する繊維を得ることができる。光沢を付与するためには、光が反射する平坦な面が多いほどよく、またマイルドな異形度を有する平坦な面を保持した断面形状が有効である。このような断面として三角あるいは偏平異形断面が最適である。
【0030】
上記した複合繊維においては、繊維の太さは特に限定されず、任意の太さにすることができるが、発色性、光沢感、風合に優れた繊維を得るためには複合繊維の単繊維繊度を0.3〜11dtex程度にしておくのが好ましい。また、長繊維のみならず短繊維でも本発明の効果が期待される。
【0031】
本発明の複合繊維の製造方法は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)とポリアミド系樹脂(B)をチップブレンド、あるいはチップフィーダーを用いて混合し、溶融混練効果の高いスクリュー構成にした二軸押出機で溶融押出し紡糸ヘッドに導入する。この時の押出し条件としては、温度はエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)とポリアミド系樹脂(B)の融点の高い側を基準にし融点からプラス10℃の範囲、滞留時間は2分から30分の範囲で設定する。一方の熱可塑性重合体(C)は、別の押出機で溶融押出し紡糸ヘッドに導入する。エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、高温で長く滞留すると分解をはじめるため、ポリエステルなどの高融点ポリマーと複合紡糸する場合には、紡糸ヘッド温度を260〜300℃に押さえる必要があり、かかる高温紡糸が必要な場合は、押出機からヘッドまでのゾーン温度をそれぞれのポリマーの適正温度となるように設定することが好ましい。このことは、高重合度ポリプロピレンなどのように高粘度ポリマーと複合する場合にもこの点に留意することが必要である。この点においてナイロンは(C)成分のポリマーとして適している。さらに複合紡糸装置を用いノズル導入口へ(A)と(B)のブレンドポリマーと(C)成分ポリマーの複合流を導入するに際し、(C)成分からなる突起部の数に相当する数の細孔が設けられた分流板から(C)成分ポリマーを流し、それぞれの細孔から流れる(C)成分の流れ全体を(A)と(B)のブレンドポリマーで覆いながら、複合流を導入口の中心に向けて導入しノズルより吐出させることにより製造することができる。この場合の溶融紡出条件は、溶融紡出速度(溶融紡出量)を約20〜50g/紡糸孔1mm・分程度とすると、品質の良好な複合繊維を良好な紡糸工程性で得ることができるので好ましい。
【0032】
また、紡糸口金における紡糸孔の大きさや数、紡糸孔の形状などは、目的とする芯鞘複合繊維の単繊維繊度、トータルデニール、断面形状などに応じて調節することができるが、紡糸孔(単孔)の大きさを約0.018〜0.07mm程度にしておくのが望ましい。紡糸ヘッド温度条件によっては、紡糸口金の孔周囲にノズル汚れが堆積して糸切れが発生するので、ノズル孔出口がテーパー状に広がった形状にしたり、口金下の雰囲気をスチームシールして酸素を遮断する手法が好ましい。
【0033】
そして、上記によって溶融紡出した複合繊維を、一旦複合2成分ポリマーのうちガラス転移温度の低い方のポリマーのガラス転移温度以下の温度、好ましくはガラス転移温度よりも10℃以上低い温度に冷却する。この場合の冷却方法や冷却装置としては、紡出した複合繊維をそのガラス転移温度以下に冷却できる方法や装置であればいずれでもよく特に制限されないが、紡糸口金の下に冷却風吹き付け筒などの冷却風吹き付け装置を設けておいて、紡出されてきた複合繊維に冷却風を吹き付けてガラス転移温度以下に冷却するようにすることが好ましい。
【0034】
その際に冷却風の温度や湿度、冷却風の吹き付け速度、紡出繊維に対する冷却風の吹き付け角度などの冷却条件は、口金から紡出されてきた複合繊維を繊維の揺れなどを生じないようにしながら速やかに且つ均一にガラス転移温度以下にまでに冷却できる条件であればよい。そのうちでも、冷却風の温度を約20〜30℃、冷却風の湿度を20〜60%、冷却風の吹き付け速度を0.4〜1.0m/秒程度として、紡出繊維に対する冷却風の吹き付け方向を紡出方向に対して垂直にして紡出した複合繊維の冷却を行うのが、高品質の複合繊維を円滑に得ることができるので好ましい。また、冷却風吹き付け筒を用いて前記の条件下で冷却を行う場合は、紡糸口金の直下にやや間隔をあけてまたは間隔をあけないで、長さが約80〜160cm程度の冷却風吹き付け筒を配置するのが好ましい。また、引取り速度は、一旦巻き取ってから延伸処理を行う場合、紡糸直結の一工程で紡糸延伸して巻き取る場合、延伸を行わずに高速でそのまま巻き取る場合で異なるが、おおよそ500m/minから6000m/minの範囲で引き取られる。500m/min未満で紡糸できないことはないが、生産性の点からは意味が少ない。一方、6000m/minを越えるような高速では、繊維の断糸が起こりやすい。生産性及び生産コストの面、さらには、本発明のような架橋反応を生じるような繊維においては高速紡糸方式(延伸省略)、紡糸直結延伸方式で繊維化することが好ましい。
【0035】
以上のようにして得られる本発明の繊維は、各種繊維集合体(繊維構造物)として用いることができる。ここで繊維集合体とは、本発明の繊維単独よりなる織編物、不織布はもちろんのこと、本発明の繊維を一部に使用してなる織編物や不織布、例えば、天然繊維、化学繊維、合成繊維など他の繊維との交編織布、あるいは混紡糸、混繊糸として用いた織編物、混綿不織布などであってもよいが、織編物や不織布に占める本発明繊維の割合は10質量%以上、好ましくは30質量%以上であることが好ましい。
【0036】
本発明の繊維の主な用途は、長繊維では単独で又は一部に使用して織編物等を作成し、良好な風合を発現させた衣料用素材とすることができる。一方、短繊維では衣料用ステープル、乾式不織布および湿式不織布等があり、衣料用のみならず各種リビング資材、産業資材等の非衣料用途にも好適に使用することができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものでない。
【0038】
発色鮮明性及び光沢性:
下記の染色条件で染色した布帛を10人のパネラーにより官能評価した。その結果として、非常に優れるを2点、優れるを1点、劣るを0点とした。
◎:合計点が15点以上
○:合計点が11〜14点
△:合計点が7点〜10点
×:合計点が6点以下
【0039】
風合:
下記の染色条件で染色した布帛を10人のパネラーにより官能評価した。その結果を、ソフトで嵩高感のある非常に優れるを2点、優れるを1点、膠着が生じ硬化していて劣るを0点とした。
◎:合計点が15点以上
○:合計点が11〜14点
△:合計点が7点〜10点
×:合計点が6点以下
【0040】
<染色条件>
Figure 0003728498
浴比 1:50
温度 105℃×40分
還元洗浄
NaOH 2g/l
Na2SO 2g/l
アミラジンD 2g/l
85℃×20分
【0041】
繊維化工程性:
100kg紡糸した際の毛羽・断糸の発生状況で評価した。
◎:毛羽、断糸の発生なく良好
○:断糸はなく、毛羽の発生が僅かに認められる
△:断糸1〜2回発生
×:断糸が3回以上発生
【0042】
耐剥離性:
24〜48フィラメントを500〜1000T/mの撚りをかけ、そのままの状態で糸条を切断し、切断面のフィラメントの剥離状態を電子顕微鏡で500倍に拡大して観察した。切断箇所を10ヶ所について、下記の基準により評価した。
◎:剥離程度が1割未満の場合
○:剥離程度が1割〜2割程度の場合
△:剥離程度が2割〜5割程度の場合
×:剥離程度が5割を超える場合
【0043】
島の分散状態、島の個数:
透過型電子顕微鏡(日立製作所製 H−800NA型)を用い、複合繊維の断面を100000倍に拡大して観察した。
【0044】
不溶解性成分の含有量
光学顕微鏡または電子顕微鏡観察による繊維断面写真から、複合繊維を構成する鞘成分(混合物成分)の面積比率(R;但し、複合繊維断面積を1としたときの値)を求める。次いで、繊維試料0.3gをDMSO溶媒50mlに入れ、60℃×2時間加熱溶解処理し、処理前後の試料質量から下記式により求めた。
(鞘成分中の)不溶解性成分の含有量(%)=〔{処理後質量−処理前質量×(1−R)}/(処理前質量×R)〕×100
【0045】
実施例1
重合溶媒としてメタノールを用い、60℃下でエチレンと酢酸ビニルをラジカル重合させ、エチレンの共重合割合が44モル%のランダム共重合体を作製し、次いで苛性ソーダによりケン化処理を行い、ケン化度99%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とした後、湿潤状態のポリマーを酢酸が少量添加されている大過剰の純水で洗浄を繰返した後、さらに大過剰の純水による洗浄を繰返し、ポリマー中のK,Naイオン及びMg,Caイオンの含有量をそれぞれ約10ppm以下にし、その後、脱水機によりポリマーから水を分離した後、更に100℃以下で真空乾燥を十分に実施して固有粘度〔η〕=1.05dl/gのポリマーを得、このポリマーをA成分ポリマーとした。A成分にB成分としてナイロン6/12(6/12=80/20% 宇部興産 7024B )を10質量%チップブレンドし、30φ二軸押出機、220℃にて溶融混練させ、鞘成分用のポリマーとした。
【0046】
一方、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を全酸成分に対して1.7モル%共重合したポリブチレンテレフタレートを、重合触媒としてテトライソプロピルチタネートを用い、チタン金属原子換算でポリマー中に35ppm添加し、常法により重合を行い、固有粘度〔η〕=0.85のポリマーを得、C成分ポリマーとした。
【0047】
A成分とB成分のブレンドポリマーとC成分ポリマーの複合比率(質量比率)50:50の条件で、紡糸温度260℃、巻取り速度4500m/分で溶融複合紡糸し、図2に示すような断面形状の複合フィラメント糸(83dtex/24フィラメント)を得た。この複合繊維の芯成分(C成分)の突起部の個数は50個であり、芯成分(C成分)の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比L2/L1=5.0(X/Y=10.0)であり、強度は3.1N/dtexであった。ついで800T/Mの実撚を施し、編物を作製し、得られた編物を通常の液流染色機を使用して上記に示す染色条件で染色し、その後常法により乾燥仕上げセットを実施した。染色された編物は良好な発色、鮮明性と優れた光沢感を有しており、芯鞘界面剥離は全く認められなかった。更にしっとりした良好な風合を有するものであった。結果を表1、表2に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003728498
【0049】
【表2】
Figure 0003728498
【0050】
実施例2〜5
ポリアミド系樹脂(B)の種類、添加量を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。
耐剥離性評価結果及び風合評価結果を表2に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた耐剥離性と良好な風合を有していた。
【0051】
実施例6〜13、比較例8
芯成分の熱可塑性樹脂(C)の種類、複合比率、断面形状、突起部個数を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。耐剥離性評価結果及び風合評価結果を表2に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた耐剥離性と良好な風合を有していた。ただ比較例8だけは、繊維化工程性、耐剥離性において若干劣り、総合評価では他の実施例のものより劣っていた。
【0052】
実施例14
芯成分の熱可塑性樹脂(C)をポリプロピレンとし、実施例1と同様に複合繊維を作製した。これを5mmにカットし、常法に従い抄紙し、110℃のロールカレンダーを通して、湿式不織布を作製した。加工工程性も良好であり、地合品位の良好な不織布が得られた。
【0053】
実施例15、16
エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)におけるエチレン単位の含有量を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。耐剥離性評価結果及び風合評価結果を表2に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた耐剥離性と良好な風合を有していた。
【0054】
比較例1、2
ポリアミド系樹脂(B)の添加量を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。
比較例1は、風合が硬く、比較例2は、風合はぬめり感が強く不良であり、繊維化工程性が不良であった。
【0055】
比較例3〜6
断面形状、芯成分の突起個数を表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様に実施した。いずれも良好な風合であったが、芯鞘界面の剥離によりアタリが激しく、品位として劣るものであり、実用に耐えるレベルではなかった。
【0056】
比較例7
繊維断面における芯成分の突起個数を変更すること以外は実施例15と同様に繊維を5mmカットし、湿式不織布を作製したが、加工工程上での芯鞘界面剥離が多発し、著しく劣るものであった。
【0057】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、特定のエチレン−ビニルアルコール系共重合体にポリアミド樹脂を溶融混練し、さらに特定の熱可塑性ポリマーとが所定の条件を満足するように複合された断面形状とすることにより、従来の合成繊維には見られなかった良好な親水性を有し、従来の染色加工方法によりソフトで天然繊維に似た風合と芯鞘界面の耐剥離性に優れた複合繊維を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の繊維の複合断面形態の1例を示す断面写真
【図2】 本発明の繊維の複合断面形態の1例を示す概略図
【図3】 本発明の繊維の複合断面形態の他の例を示す概略図
【図4】 本発明の繊維の複合断面形態の他の例を示す概略図
【図5】 本発明外の繊維の複合断面形態の例を示す概略図

Claims (3)

  1. エチレン単位の含有量が25〜70モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)とポリアミド系樹脂(B)とを、(A)に対する(B)の割合を3〜45質量%とし、溶融混練して得られる混合物であって、かつ60℃のDMSOに対し不溶解性の成分を5〜75質量%含有する混合物成分を鞘成分とし、融点が160℃以上の熱可塑性樹脂(C)を芯成分とする複合繊維であって、該不溶解性の成分は共重合体(A)成分中に島状に分散し、該島の大きさが1nm〜300nm、島の数は繊維断面でみて10ケ/μm以上存在しており、芯成分は鞘成分との界面において10個以上配列する突起部を形成しており、かつ芯成分の外周長(L2)と繊維の外周長(L1)との比が下記(1)式を満足することを特徴とする複合繊維。
    1.6≦X/Y (1)
    ここで、X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
    Y;複合繊維全体を1としたときの芯成分の質量複合比率。
  2. 芯成分と鞘成分との質量複合比率が10:90〜90:10である請求項1に記載の複合繊維。
  3. ポリアミド系樹脂(B)がナイロン6/12、ナイロン6及びナイロン6,6からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド系樹脂である請求項1または2に記載の複合繊維。
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