JP2003171827A - 複合繊維 - Google Patents

複合繊維

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JP2003171827A JP2001375789A JP2001375789A JP2003171827A JP 2003171827 A JP2003171827 A JP 2003171827A JP 2001375789 A JP2001375789 A JP 2001375789A JP 2001375789 A JP2001375789 A JP 2001375789A JP 2003171827 A JP2003171827 A JP 2003171827A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鮮やかな発色性、光沢感、優れた吸湿性を有
し、染色加工性が良好で、かつ実着用上での複合成分間
の界面剥離による白化等のトラブルがない繊維を提供す
る。 【解決手段】 エチレン単位の含有量が25〜70モル
%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)
とポリアミド系樹脂(B)とを溶融混練して得られる混
合物であって、かつ60℃のDMSOに対し不溶解性の
成分を5〜75質量%含有する混合物成分を鞘成分と
し、融点が160℃以上の熱可塑性樹脂(C)を芯成分
とする複合繊維であって、芯成分は鞘成分との界面にお
いて4個以上配列する突起部を形成しており、かつ芯成
分の外周長(L2)と繊維の外周長(L1)との比が下
記(1)式を満足する複合繊維。 1.6≦X/Y (1) ここで、X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比
(L2/L1) Y;複合繊維全体を1としたときの芯成分の質量複合比

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然繊維に似た良
好な風合と良好な光沢感、吸湿性を有し、かつ染色加工
工程性及び耐剥離性に優れたエチレン−ビニルアルコー
ル系共重合体を一成分とする複合繊維に関する。特に、
スポーツ衣料、リビング資材用途に好適な繊維素材に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、合成繊維、例えばポリエステルや
ポリアミド等のフィラメントからなる織物、編物、不織
布等の繊維構造物は、その構成フィラメントの単繊維繊
度や断面形状が単調であるため、綿、麻等の天然繊維に
比較して風合や光沢が単調で冷たく、繊維構造物として
も品位は低いものであった。また、ポリエステル系繊維
は疎水性であるため、繊維自体が吸水性、吸湿性に劣る
という欠点がある。これらの欠点を改良するために、従
来から種々の検討がなされているが、その中で例えば、
ポリエステル等の疎水性ポリマーと水酸基を有するポリ
マーとを複合紡糸することにより、疎水性繊維に親水性
等の性能を付与させる試みがなされている。具体的に
は、エチレン−ビルアルコール系共重合体鹸化物とポリ
エステル、ポリプロピレン、ポリアミドなどの疎水性熱
可塑性樹脂との複合繊維が特公昭56−5846号や特
公昭55−1372号公報等で開示されている。
【0003】これらの提案には、2つの大きな問題点が
ある。一つは高温高圧染色や縫製、あるいはスチームア
イロンの使用により、表面に露出したエチレン−ビニル
アルコール系共重合体が部分的に軟化や微膠着を生じ、
織編物としての風合が硬化することである。このことを
防止するために、ジアルデヒド化合物によりアセタール
化処理する方法が知られている。しかしながら、該アセ
タール化処理は現行の染色工程以外の別工程を必要とす
るため加工コストが高くなるという問題、アセタール化
処理する際に強酸を高濃度に使用するため、処理装置に
耐酸性が要求されるという問題、アセタール化処理時の
未反応のジアルデヒド化合物により染料が退色し、染色
物の耐光性が悪化するという問題、天然繊維に比べ膨ら
み感が不足するという問題、スチームアイロンや転写プ
リント等の過度の熱処理等によりエチレン−ビニルアル
コール系共重合体が軟化や微膠着するという問題などを
有していた。このような問題を解決するために本願出願
人は、すでに特開平10−158926号公報にて特定
のジアルデヒド化合物を用いた架橋処理法を提案してい
る。しかしながら、この技術では精練と同時に架橋する
ことが困難であり、その結果、染色と同時に架橋させる
ことにより、染料選択が制限されていた。
【0004】もう一つの問題としては、エチレン−ビニ
ルアルコール系共重合体と特にポリエステルとの複合繊
維は、2成分ポリマー間の界面での接着性が小さいため
剥離しやすく、使用する目的によっては、トラブルの原
因となることが知られている。特に強撚加工や仮撚加工
などの繊維の長さ方向に対して直角に応力が加わる加工
をする場合に、所々に2成分間の剥離現象が発生し、該
強撚加工糸や仮撚加工糸を用いて布帛を作成し染色加工
したものは、剥離した部分が白化して見え欠点となり好
ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱可
塑性樹脂とエチレン−ビニルアルコール系共重合体とを
複合することにより得られる繊維であって、従来の合成
繊維からなる素材よりもより鮮やかな発色性、光沢感、
吸湿性を有し、さらに、繊維化工程性及び染色加工工程
性が良好で、かつ実着用上での複合成分間の界面剥離に
よる白化等のトラブルがない複合繊維を提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、エ
チレン単位の含有量が25〜70モル%であるエチレン
−ビニルアルコール系共重合体(A)とポリアミド系樹
脂(B)とを溶融混練して得られる混合物であって、か
つ60℃のDMSOに対し不溶解性の成分を5〜75質
量%含有する混合物成分を鞘成分とし、融点が160℃
以上の熱可塑性樹脂(C)を芯成分とする複合繊維であ
って、芯成分は鞘成分との界面において4個以上配列す
る突起部を形成しており、かつ芯成分の外周長(L2)
と繊維の外周長(L1)との比が下記(1)式を満足す
ることを特徴とする複合繊維である。 1.6≦X/Y (1) ここで、X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比
(L2/L1) Y;複合繊維全体を1としたときの芯成分の質量複合比
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の複合繊維を構成するエチ
レン−ビニルアルコール系共重合体(A)(以下、単に
A成分ポリマーと略称することもある)は、エチレン−
酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる
が、ケン化度は95%以上の高ケン化度のものが好まし
く、エチレン単位の含有量が25〜70モル%のもの、
すなわち、ビニルアルコール成分(未ケン化酢酸ビニル
成分やアセタール化されたビニルアルコール成分等を含
む)が約30〜75モル%のものが用いられる。A成分
ポリマー中のエチレン単位の含有量が70モル%を越え
て高くなる場合、すなわち、ビニルアルコール成分の割
合が低くなれば、水酸基の減少のために親水性などの特
性が低下し、目的とする良好な親水性を有する天然繊維
ライクの風合が得られない。逆にエチレン単位の含有量
が25モル%未満の場合、すなわち、ビニルアルコール
成分の割合が多くなりすぎると、溶融成形性が低下する
と共に複合紡糸する際に、曳糸性が不良となり、紡糸時
又は延伸時の単糸切れ、断糸が多くなる。したがって、
高ケン化度でエチレン共重合割合が25〜70モル%の
ものが本発明の目的の繊維を得るためには適している。
【0008】本発明においては、A成分ポリマーを含む
鞘成分と複合されるC成分ポリマーとしてポリエステル
などの高融点ポリマーを用いる場合に、長時間安定に連
続して複合紡糸するためには、A成分ポリマーの溶融成
形時の耐熱性を向上させることが好ましいが、そのため
の手段として、エチレンの共重合割合を適切な範囲に設
定することと、さらにA成分ポリマー中の金属イオン含
有量を所定量以下とすることも効果的である。
【0009】A成分ポリマーの熱分解機構は、大きく分
けてポリマー主鎖間での橋かけ反応が起こりゲル化物が
発生していく場合と、主鎖切断、側鎖脱離などの分解が
進んでいく機構が混在化して発生すると考えられるが、
A成分ポリマー中の金属イオンを除去することにより、
溶融紡糸時の熱安定性が飛躍的に向上する。特にN
,Kイオンなどの第I族のアルカリ金属イオン
と、Ca2+、Mg2+イオンなどの第II族のアルカ
リ土類金属イオンをそれぞれ100ppm以下とするこ
とにより顕著な効果がある。特に、長時間連続して高温
条件で溶融紡糸をする際、A成分ポリマー中にゲル化物
が発生してくると紡糸フィルター上にゲル化物が徐々に
詰まって堆積し、その結果紡糸パック圧力が急上昇して
ノズル寿命が短くなるとともに紡糸時の単糸切れ、断糸
が頻発する。ゲル化物の堆積がさらに進行するとポリマ
ー配管が詰まりトラブル発生の原因となり好ましくな
い。A成分ポリマー中の第I族アルカリ金属イオン、第
II族アルカリ土類金属イオンを除去することにより高
温での溶融紡糸、特に、250℃以上での溶融紡糸時に
長時間連続運転してもゲル化物発生によるトラブルが起
こりにくい。したがって、これら金属イオンの含有量
は、それぞれ50ppm以下であることが好ましく、特
に好ましくは10ppm以下である。
【0010】A成分ポリマーの製造方法として、一例を
説明すると、メタノールなどの重合溶媒中でエチレンと
酢酸ビニルとをラジカル重合触媒下でラジカル重合さ
せ、次いで未反応モノマーを追い出し、苛性ソーダによ
りケン化反応を起こさせ、エチレン−ビニルアルコール
系共重合体とした後、水中でペレット化した後、水洗し
て乾燥する。従って工程上どうしてもアルカリ金属やア
ルカリ土類金属がポリマー中に含有されやすく、通常は
数百ppm以上のアルカリ金属、アルカリ土類金属が混
入している。
【0011】アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属
イオン含有量をできるだけ低下させる方法としては、ポ
リマー製造工程中、ケン化処理後ペレット化した後、湿
潤状態のペレットを酢酸を含む純水溶液で大量にペレッ
トを洗浄した後、さらに大過剰の純水のみで大量にペレ
ットを洗浄することによって得られる。またA成分ポリ
マーは、エチレンと酢酸ビニルの共重合体を苛性ソーダ
によりケン化して製造されるが、前述したようにこの時
のケン化度を95%以上にすることが好ましい。鹸化度
が低くなると、ポリマーの結晶性が低下し、強度等の繊
維物性が低下してくるのみならず、A成分ポリマーが軟
化しやすくなり加工工程でトラブルが発生してくるとと
もに得られた繊維構造物の風合も悪くなり好ましくな
い。
【0012】本発明においては、エチレン−ビニルアル
コール系共重合体(A)にポリアミド系樹脂(B)を3
〜45質量%の割合、好ましくは5〜40質量%の割合
で溶融混練することによって該共重合体(A)とポリア
ミド系樹脂(B)との少なくとも一部を架橋結合させる
ことが重要である。この架橋反応は、溶融混練時のみに
止まらず繊維化した後の熱処理などによっても進行する
ものであるが、架橋反応は、主にポリアミドの末端カル
ボキシル基とエチレン−ビニルアルコール系共重合体の
−OHとの反応や、ポリアミドの末端アミノ基とエチレ
ン−ビニルアルコール系共重合体のカルボキシル基との
反応等によるものと推定される。架橋は、95℃の熱水
中でも膠着しない程度に形成されている必要があり、溶
融混練時のポリアミド系樹脂(B)の分散状態によっ
て、島表面と海成分の架橋反応の反応効率が影響され、
ある範囲に分散していることが重要である。そして、本
発明においては、溶融混練して得られる混合物(複合繊
維の鞘成分)には、60℃のDMSO中で2時間加熱攪
拌した場合に、不溶解性の成分が5〜75質量%含まれ
ていることが重要である。60℃のDMSO処理によっ
て、混合物中のエチレン−ビニルアルコール系共重合体
(A)は溶解し、ポリアミド系樹脂(B)と共重合体
(A)とが架橋反応して形成される樹脂成分および未反
応のポリアミド系樹脂(B)の両者が不溶解性の成分と
して確認される。本発明において、混合物成分中の不溶
解性の成分の含有量が5質量%未満であると、スチーム
アイロン、あるいは洗濯、乾燥時に繊維間の膠着や過大
収縮等を生じやすい。一方、75質量%を越えると繊維
化工程性が低下し、風合いもぬめり感が強くなり好まし
くない。したがって、7〜50質量%の不溶解性の成分
の含有量であることが好ましい。
【0013】本発明で使用されるポリアミド系樹脂
(B)の種類は特に限定されるものでないが、例えば、
ポリカプロラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘ
プタン酸(ナイロン7)、ポリウンデカンアミド(ナイ
ロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、
ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)ポ
リテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリ
ヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘ
キサメチレンセバカミド(ナイロン2,10)、ポリヘ
キサメチレンドデカミド(ナイロン6,12)、ポリオ
クタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカ
ノメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリドデ
カメチレンセバカミド(ナイロン10,8)、あるい
は、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体(ナイ
ロン6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸
共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサ
メチレンアジペート共重合体(ナイロン6/6,6)、
ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアミンアジペート
共重合体(ナイロン12/6,6)、ヘキサメチレンジ
アミンアジペート/ヘキサメチレンジアミンセバケート
共重合体(ナイロン6,6/6,10)、エチレンジア
ミンアジペート/ヘキサメチレンジアミンアジペート共
重合体(ナイロン2,6/6,6)、カプロラクタム/
ヘキサメチレンジアミンアジペート/ヘキサメチレンジ
アミンセバケート共重合体(ナイロン6,6/6,1
0)などが挙げられる。なお、上記のナイロン表示中で
「,」の前後の数値はポリアミドを構成するジカルボン酸
成分とジアミン成分のそれぞれの炭素数を表すものであ
り、「/」は前後の数値で示されるポリアミド同士の共重
合体を表すものである。
【0014】これらのポリアミド系樹脂(B)は、例え
ば、ナイロン6/12の縮重合時にポリエーテルジアミ
ン類とジカルボン酸(ダイマー酸など)を添加して、高
分子鎖中にポリエーテル結合を有するポリアミドとして
もよい。また、縮合時にヘキサメチレンジアミンやラウ
リルアミンのような脂肪族アミンやメタキシリレンジア
ミンやメチルベンジルアミンのような芳香族アミンを添
加して、ポリアミド中のカルボキシル末端基を減少させ
たものも好ましい。また、例えば、メタキシリレンジア
ミンと全量の80%以下のパラキシリレンジアミンを含
む混合キシリレンジアミンと、炭素数が6〜10個の
α,ω−脂肪族ジカルボン酸とから生成された構成単位
を分子鎖中に少なくとも70モル%含有するメタキシリ
レン基含有ポリアミド樹脂も有効である。これらの重合
体の例としては、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリ
メタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスペラ
ミドなどのような単独重合体、およびメタキシリレン/
パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/
パラキシリレンアゼラミド共重合体、などのような共重
合体、ならびにこれらの単独重合体または共重合体の成
分とヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、
ピペラジンのような脂環式ジアミン、パラービス−(2
−アミノエチル)ベンゼンのような脂肪族ジアミン、テ
レフタル酸のような脂肪族ジカルボン酸、ε−カプロラ
クタムのようなラクタム、γ−アミノヘプタン酸のよう
なω−アミノカルボン酸、パラーアミノメチル安息香酸
のような芳香族アミノカルボン酸等とを共重合した共重
合体等が挙げられる。上記の共重合体において、パラキ
シリレンジアミンは全キシリレンジアミンに対して80
%以下であり、好適には、75%以下である。またキシ
リレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから生成された
構成単位を分子鎖中において少なくとも70モル%以
上、さらには75モル%以上有していることが好まし
い。また、これらのポリマーには、たとえばナイロン
6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン11、
ナイロン12、ナイロン6,12等の重合体、帯電防止
剤、滑剤、耐ブロッキング剤、安定剤、染料、顔料等を
含有してもよい。
【0015】さらに、非晶質ポリアミド、すなわち、D
SC測定において、実質上吸熱結晶融解ピークを有さな
いもので、主として、脂肪族ジアミンおよび芳香族ジカ
ルボン酸の重縮合体も用いられる。脂肪族ジアミンとし
ては、たとえばヘキサメチレンジアミン、2,2,4−
トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリ
メチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチ
レンジアミン、ビス−(4−アミノヘキシル)−メタ
ン、2,2−ビス−(4−アミノヘキシル)−イソプロ
ピリジン、1,4−(1,3)−ジアミノシクロヘキサ
ン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ジアミノブタ
ン、1,3−ジアミノプロパン、および2−エチルジア
ミノブタンなどが挙げられる。これらのジアミンは、一
種またはそれ以上を同時に用いることができる。なかで
も、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタンメチ
レンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ジ
アミノブタン、および1,3−ジアミノプロパンが好適
に用いられる。芳香族ジカルボン酸としては、たとえば
イソフタール酸、テレフタール酸、アルキル置換イソフ
タール酸、アルキル置換テレフタール酸、ナフタレンジ
カルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などが挙
げられる。これらのジカルボン酸は、一種またはそれ以
上を同時に用いることができる。なかでも、イソフター
ル酸、テレフタール酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフ
ェニルエーテルジカルボン酸などが熱成形性の面で好適
である。そして、非晶質ポリアミドとしての例として
は、ヘキサメチレンジアミン−イソフタール酸の重縮合
体、ヘキサメチレンジアミン−イソフタール酸/テレフ
タール酸の重縮合体、2,2,4−トリメチルヘキサメ
チレンジアミンおよび2,4,4−トリメチルヘキサメ
チレンジアミン−テレフタール酸の重縮合体などが挙げ
られる。なかでもイソフタール酸/テレフタール酸のモ
ル比が60/40〜95/5、さらには、65/35〜
90/10の範囲にあるヘキサメチレンジアミン−イソ
フタール酸/テレフタール酸の重縮合体が好適である。
【0016】上記のポリアミド系樹脂(B)は1種また
は2種以上用いられるが、上記樹脂(B)のうち好適な
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6/
6,6、ナイロン6/12、メタキシリレンジアミン含
有ポリアミド、非晶質ポリアミドなどである。ナイロン
6/12における6成分と12成分の組成割合は特に制
限はないが12成分が60モル%以下、より好ましくは
50モル%以下が好ましい。
【0017】本発明の複合繊維の鞘成分は、エチレン−
ビルアルコール系共重合体(A)成分中に不溶解性の成分
が島状に分散していることが好ましく、その島の大きさ
は1nm〜300nmが好ましく、より好ましくは10
nm〜200nmであり、島の数は10ケ/μm以上
であることが好ましい。島の大きさが300nmを超え
ると繊維化工程性が不安定となる場合があり、目的であ
る耐熱性が得られにくいため好ましくなく、また、1n
m未満になると耐熱性が得られにくい。また、島数が1
0ケ/μm未満になった場合、耐熱性が得られにく
い。島数の上限値は特に限定されないが、多すぎる場合
はゲル化に至り紡糸不可となりやすいので、好ましくは
1000ケ/μm以下、特に500ケ/μm以下で
あることが望まれる。
【0018】また、本発明の複合繊維の芯成分を構成す
る熱可塑性樹脂(C)(以下、単にC成分と略称するこ
ともある)は、耐熱性、寸法安定性の点から、融点が16
0℃以上、好ましくは180℃以上の熱可塑性樹脂であ
ることが重要であり、そのような樹脂としては、例えば、
ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66を代表とする
ポリアミド、ポリプロピレンを代表とするポリオレフィ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリトリメチレンテレフタレートを代表とす
るポリエステル等が好適である。また、ポリヘキサメチ
レンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステルも使
用できる。
【0019】特に、ポリアルキレンテレフタレート系ポ
リエステルにおいては、テレフタル酸成分の一部は他の
ジカルボン酸成分で置き換えられていてもよく、ジオー
ル成分も主たるジオール成分の以外に他のジオール成分
で少量置き換えられていてもよい。テレフタル酸以外の
ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、ナ
フタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフ
ェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ
安息香酸、p−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げるこ
とができる。また、ジオール成分としては、例えば、エ
チレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキ
サンー1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール
A、ビスフェノールS等を挙げることができる。
【0020】特に、下記一般式(i)で示される化合物
を共重合していることが、芯成分と鞘成分との耐剥離性
向上効果の点で望ましい。
【0021】
【化1】 (但し、Dは3価の芳香族基又は3価の脂肪族基、X1
及びX2はエステル形成性官能基または水素原子であっ
て同一でも異なっていてもよく、Mはアルカリ金属、ア
ルカリ土類金属、アルキルホスホニウム基のいずれかを
示す。)
【0022】C成分ポリマーの共重合成分である前記化
合物(i)として、重合時の耐熱性の点からDが3価の
芳香族基であることが望ましい。例えば、1,3,5−
ベンゼントリイル基、1,2,3−ベンゼントリイル
基、1,3,4−ベンゼントリイル基等のベンゼントリ
イル基、1,3,6−ナフタレントリイル基、1,3,
7−ナフタレントリイル基、1,4,5−ナフタレント
リイル基、1,4,6−ナフタレントリイル基等のナフ
タレントリイル基などを挙げることができる。Mはナト
リウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属原子、カ
ルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子もし
くはテトラ−n−ブチルホスホニウム基、ブチルトリフ
ェニルホスホニウム基、エチルブチルホスホニウム基等
のアルキルホスホニウム基である。X及びXはエス
テル形成性官能基又は水素原子を示し、それらは同一で
あっても異なっていてもよい。ポリマーの主鎖中に共重
合される点でエステル形成性官能基であることが好まし
い。エステル形成性官能基の具体例として下記の官能基
を挙げることができる。
【0023】
【化2】 (ただし、Rは低級アルキル基またはフェニル基、aお
よびdは1以上の整数、bは2以上の整数を示す。)
【0024】化合物(i)の具体例としては、5−ナト
リウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフ
タル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタ
ル酸、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン
酸テトラブチルホスホニウム塩、α−テトラブチルホス
ホニウムスルホコハク酸などが挙げられ、中でもコスト
パフォーマンスの点において5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸が好ましい。
【0025】化合物(i)の共重合量はポリエステルを
構成する全酸成分に対して0.5〜5モル%の範囲内で
あることが好ましい。0.5モル%未満の場合、発色性
が不十分となる場合がある。一方、5モル%を越えると
鮮明な発色性は有するが、繊維化工程性、特に、紡糸
性、延伸性が不良になると共に繊維強度が低くなる場合
がある。好ましい共重合量は1〜3モル%の範囲であ
る。また、繊維化工程性を悪化させない範囲でC成分ポ
リマー中に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料等の添加
剤を含有させてもさしつかえない。
【0026】次に本発明において重要な要件である複合
断面形状について詳述する。本発明の複合繊維の断面形
状は、例えば、図1の繊維断面写真に見られるような形
態をしており、芯成分は鞘成分との界面において、4個
以上配列した状態で突起部が形成されていることが必要
であり、突起部の数は、好ましくは7個以上、より好ま
しくは10個以上である。突起部の数が少なくなると複
合成分間の界面剥離に対する抵抗が十分に得られにくく
なる。さらに重要なことは、C成分の外周長(L2)と
複合繊維の外周長(L1)との比が(1)式を満足する
ことである。 1.6≦X/Y (1) X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/
L1) Y;複合繊維全体を1としたときの芯成分の質量複合比
率 芯成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)と
の比Xは芯成分の複合比率により変化するが、(1)式
が1.6倍以上、好ましくは2.0倍以上、より好まし
くは2.5倍以上であることが重要である。即ち、芯成
分と鞘成分の質量複合比率が50:50である場合を例
に挙げると、芯成分の外周長(L2)と複合繊維の外周
長(L1)との比は、0.8以上、好ましくは1.0以
上、より好ましくは1.25以上である。X(L2/L
1)が1.0以上のとき、驚くべきことに芯成分と鞘成
分の界面剥離を防止する効果が増大する。本発明におけ
る界面剥離防止効果の作用機序は、現時点では推論の域
をでないが、恐らく複合成分の接着面積の増大と芯成分
により形成される突起部のアンカー効果との相乗効果に
よるものと推察される。
【0027】鞘成分と芯成分の複合比率は90:10〜
10:90(質量比率)であることが好ましく、特に7
0:30〜30:70がより好ましく、各々の複合形態
や繊維断面形状により適宜設定可能である。鞘成分の複
合比率が10質量%未満の場合は水酸基の減少ため繊維
のひとつの特徴である親水性等の特性が失われる。一
方、芯成分の複合比率が90質量%を越える複合繊維
は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の特徴が発
揮され、親水性、光沢感は十分に満足されるが、繊維物
性や染色物の発色性が劣り好ましくない。
【0028】また複合繊維の断面形状は鞘成分が繊維表
面全体を覆う必要はなく、鮮やかな発色性を有するに
は、繊維表面の80%以上が屈折率の低いエチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体であることが好ましく、90
%以上であることがより好ましい。特に芯鞘型複合繊維
が鮮やかな発色性、繊維強度等の点で好ましい。
【0029】本発明においては、芯成分として前記のよ
うな共重合ポリエステルを使用することによって鮮やか
な発色性が得られるが、スポーツ衣料用途にかかる繊維
を用いる場合、発色性のみならず光沢をも併せ持つこと
が要求されている。通常、光沢を有する繊維は発色性が
低下し、逆に発色性を優先させると光沢を付与すること
が難しい。本発明では繊維断面形状を特定することで鮮
やかな発色性及び光沢をも有する繊維を得ることができ
る。光沢を付与するためには、光が反射する平坦な面が
多いほどよく、またマイルドな異形度を有する平坦な面
を保持した断面形状が有効である。このような断面とし
て三角あるいは偏平異形断面が最適である。
【0030】上記した複合繊維においては、繊維の太さ
は特に限定されず、任意の太さにすることができるが、
発色性、光沢感、風合に優れた繊維を得るためには複合
繊維の単繊維繊度を0.3〜11dtex程度にしてお
くのが好ましい。また、長繊維のみならず短繊維でも本
発明の効果が期待される。
【0031】本発明の複合繊維の製造方法は、エチレン
−ビニルアルコール系共重合体(A)とポリアミド系樹
脂(B)をチップブレンド、あるいはチップフィーダー
を用いて混合し、溶融混練効果の高いスクリュー構成に
した二軸押出機で溶融押出し紡糸ヘッドに導入する。こ
の時の押出し条件としては、温度はエチレン−ビニルア
ルコール系共重合体(A)とポリアミド系樹脂(B)の
融点の高い側を基準にし融点からプラス10℃の範囲、
滞留時間は2分から30分の範囲で設定する。一方の熱
可塑性重合体(C)は、別の押出機で溶融押出し紡糸ヘ
ッドに導入する。エチレン−ビニルアルコール系共重合
体は、高温で長く滞留すると分解をはじめるため、ポリ
エステルなどの高融点ポリマーと複合紡糸する場合に
は、紡糸ヘッド温度を260〜300℃に押さえる必要
があり、かかる高温紡糸が必要な場合は、押出機からヘ
ッドまでのゾーン温度をそれぞれのポリマーの適正温度
となるように設定することが好ましい。このことは、高
重合度ポリプロピレンなどのように高粘度ポリマーと複
合する場合にもこの点に留意することが必要である。こ
の点においてナイロンは(C)成分のポリマーとして適
している。さらに複合紡糸装置を用いノズル導入口へ
(A)と(B)のブレンドポリマーと(C)成分ポリマ
ーの複合流を導入するに際し、(C)成分からなる突起
部の数に相当する数の細孔が設けられた分流板から
(C)成分ポリマーを流し、それぞれの細孔から流れる
(C)成分の流れ全体を(A)と(B)のブレンドポリ
マーで覆いながら、複合流を導入口の中心に向けて導入
しノズルより吐出させることにより製造することができ
る。この場合の溶融紡出条件は、溶融紡出速度(溶融紡
出量)を約20〜50g/紡糸孔1mm・分程度とす
ると、品質の良好な複合繊維を良好な紡糸工程性で得る
ことができるので好ましい。
【0032】また、紡糸口金における紡糸孔の大きさや
数、紡糸孔の形状などは、目的とする芯鞘複合繊維の単
繊維繊度、トータルデニール、断面形状などに応じて調
節することができるが、紡糸孔(単孔)の大きさを約
0.018〜0.07mm程度にしておくのが望まし
い。紡糸ヘッド温度条件によっては、紡糸口金の孔周囲
にノズル汚れが堆積して糸切れが発生するので、ノズル
孔出口がテーパー状に広がった形状にしたり、口金下の
雰囲気をスチームシールして酸素を遮断する手法が好ま
しい。
【0033】そして、上記によって溶融紡出した複合繊
維を、一旦複合2成分ポリマーのうちガラス転移温度の
低い方のポリマーのガラス転移温度以下の温度、好まし
くはガラス転移温度よりも10℃以上低い温度に冷却す
る。この場合の冷却方法や冷却装置としては、紡出した
複合繊維をそのガラス転移温度以下に冷却できる方法や
装置であればいずれでもよく特に制限されないが、紡糸
口金の下に冷却風吹き付け筒などの冷却風吹き付け装置
を設けておいて、紡出されてきた複合繊維に冷却風を吹
き付けてガラス転移温度以下に冷却するようにすること
が好ましい。
【0034】その際に冷却風の温度や湿度、冷却風の吹
き付け速度、紡出繊維に対する冷却風の吹き付け角度な
どの冷却条件は、口金から紡出されてきた複合繊維を繊
維の揺れなどを生じないようにしながら速やかに且つ均
一にガラス転移温度以下にまでに冷却できる条件であれ
ばよい。そのうちでも、冷却風の温度を約20〜30
℃、冷却風の湿度を20〜60%、冷却風の吹き付け速
度を0.4〜1.0m/秒程度として、紡出繊維に対す
る冷却風の吹き付け方向を紡出方向に対して垂直にして
紡出した複合繊維の冷却を行うのが、高品質の複合繊維
を円滑に得ることができるので好ましい。また、冷却風
吹き付け筒を用いて前記の条件下で冷却を行う場合は、
紡糸口金の直下にやや間隔をあけてまたは間隔をあけな
いで、長さが約80〜160cm程度の冷却風吹き付け
筒を配置するのが好ましい。また、引取り速度は、一旦
巻き取ってから延伸処理を行う場合、紡糸直結の一工程
で紡糸延伸して巻き取る場合、延伸を行わずに高速でそ
のまま巻き取る場合で異なるが、おおよそ500m/min
から6000m/minの範囲で引き取られる。500m/min
未満で紡糸できないことはないが、生産性の点からは意
味が少ない。一方、6000m/minを越えるような高速
では、繊維の断糸が起こりやすい。生産性及び生産コス
トの面、さらには、本発明のような架橋反応を生じるよ
うな繊維においては高速紡糸方式(延伸省略)、紡糸直結
延伸方式で繊維化することが好ましい。
【0035】以上のようにして得られる本発明の繊維
は、各種繊維集合体(繊維構造物)として用いることが
できる。ここで繊維集合体とは、本発明の繊維単独より
なる織編物、不織布はもちろんのこと、本発明の繊維を
一部に使用してなる織編物や不織布、例えば、天然繊
維、化学繊維、合成繊維など他の繊維との交編織布、あ
るいは混紡糸、混繊糸として用いた織編物、混綿不織布
などであってもよいが、織編物や不織布に占める本発明
繊維の割合は10質量%以上、好ましくは30質量%以
上であることが好ましい。
【0036】本発明の繊維の主な用途は、長繊維では単
独で又は一部に使用して織編物等を作成し、良好な風合
を発現させた衣料用素材とすることができる。一方、短
繊維では衣料用ステープル、乾式不織布および湿式不織
布等があり、衣料用のみならず各種リビング資材、産業
資材等の非衣料用途にも好適に使用することができる。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるもので
ない。
【0038】発色鮮明性及び光沢性:下記の染色条件で
染色した布帛を10人のパネラーにより官能評価した。
その結果として、非常に優れるを2点、優れるを1点、
劣るを0点とした。 ◎:合計点が15点以上 ○:合計点が11〜14点 △:合計点が7点〜10点 ×:合計点が6点以下
【0039】風合:下記の染色条件で染色した布帛を1
0人のパネラーにより官能評価した。その結果を、ソフ
トで嵩高感のある非常に優れるを2点、優れるを1点、
膠着が生じ硬化していて劣るを0点とした。 ◎:合計点が15点以上 ○:合計点が11〜14点 △:合計点が7点〜10点 ×:合計点が6点以下
【0040】<染色条件> 染料:Sumikaron Navy Blue SPH conc 5%omf Disper TL (明成化学) 1g/l 酢酸(50%) 0.3cc/l 浴比 1:50 温度 105℃×40分 還元洗浄 NaOH 2g/l Na2SO 2g/l アミラジンD 2g/l 85℃×20分
【0041】繊維化工程性:100kg紡糸した際の毛
羽・断糸の発生状況で評価した。 ◎:毛羽、断糸の発生なく良好 ○:断糸はなく、毛羽の発生が僅かに認められる △:断糸1〜2回発生 ×:断糸が3回以上発生
【0042】耐剥離性:24〜48フィラメントを50
0〜1000T/mの撚りをかけ、そのままの状態で糸
条を切断し、切断面のフィラメントの剥離状態を電子顕
微鏡で500倍に拡大して観察した。切断箇所を10ヶ所
について、下記の基準により評価した。 ◎:剥離程度が1割未満の場合 ○:剥離程度が1割〜2割程度の場合 △:剥離程度が2割〜5割程度の場合 ×:剥離程度が5割を超える場合
【0043】島の分散状態、島の個数:透過型電子顕微
鏡(日立製作所製 H−800NA型)を用い、複合繊
維の断面を100000倍に拡大して観察した。
【0044】不溶解性成分の含有量 光学顕微鏡または電子顕微鏡観察による繊維断面写真か
ら、複合繊維を構成する鞘成分(混合物成分)の面積比
率(R;但し、複合繊維断面積を1としたときの値)を
求める。次いで、繊維試料0.3gをDMSO溶媒50
mlに入れ、60℃×2時間加熱溶解処理し、処理前後
の試料質量から下記式により求めた。 (鞘成分中の)不溶解性成分の含有量(%)=〔{処理
後質量−処理前質量×(1−R)}/(処理前質量×
R)〕×100
【0045】実施例1 重合溶媒としてメタノールを用い、60℃下でエチレン
と酢酸ビニルをラジカル重合させ、エチレンの共重合割
合が44モル%のランダム共重合体を作製し、次いで苛
性ソーダによりケン化処理を行い、ケン化度99%以上
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とした後、湿
潤状態のポリマーを酢酸が少量添加されている大過剰の
純水で洗浄を繰返した後、さらに大過剰の純水による洗
浄を繰返し、ポリマー中のK,Naイオン及びMg,C
aイオンの含有量をそれぞれ約10ppm以下にし、そ
の後、脱水機によりポリマーから水を分離した後、更に
100℃以下で真空乾燥を十分に実施して固有粘度
〔η〕=1.05dl/gのポリマーを得、このポリマ
ーをA成分ポリマーとした。A成分にB成分としてナイ
ロン6/12(6/12=80/20% 宇部興産 7
024B )を10質量%チップブレンドし、30φ二
軸押出機、220℃にて溶融混練させ、鞘成分用のポリ
マーとした。
【0046】一方、5−ナトリウムスルホイソフタル酸
を全酸成分に対して1.7モル%共重合したポリブチレ
ンテレフタレートを、重合触媒としてテトライソプロピ
ルチタネートを用い、チタン金属原子換算でポリマー中
に35ppm添加し、常法により重合を行い、固有粘度
〔η〕=0.85のポリマーを得、C成分ポリマーとし
た。
【0047】A成分とB成分のブレンドポリマーとC成
分ポリマーの複合比率(質量比率)50:50の条件
で、紡糸温度260℃、巻取り速度4500m/分で溶
融複合紡糸し、図2に示すような断面形状の複合フィラ
メント糸(83dtex/24フィラメント)を得た。
この複合繊維の芯成分(C成分)の突起部の個数は50
個であり、芯成分(C成分)の外周長(L2)と複合繊
維の外周長(L1)との比L2/L1=5.0(X/Y
=10.0)であり、強度は3.1N/dtexであっ
た。ついで800T/Mの実撚を施し、編物を作製し、
得られた編物を通常の液流染色機を使用して上記に示す
染色条件で染色し、その後常法により乾燥仕上げセット
を実施した。染色された編物は良好な発色、鮮明性と優
れた光沢感を有しており、芯鞘界面剥離は全く認められ
なかった。更にしっとりした良好な風合を有するもので
あった。結果を表1、表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】実施例2〜5 ポリアミド系樹脂(B)の種類、添加量を表1に示すよ
うに変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。
耐剥離性評価結果及び風合評価結果を表2に示す。いず
れも繊維化工程性は良好であり、優れた耐剥離性と良好
な風合を有していた。
【0051】実施例6〜14 芯成分の熱可塑性樹脂(C)の種類、複合比率、断面形
状、突起部個数を表1に示すように変更すること以外
は、実施例1と同様に実施した。耐剥離性評価結果及び
風合評価結果を表2に示す。いずれも繊維化工程性は良
好であり、優れた耐剥離性と良好な風合を有していた。
【0052】実施例15 芯成分の熱可塑性樹脂(C)をポリプロピレンとし、実
施例1と同様に複合繊維を作製した。これを5mmにカ
ットし、常法に従い抄紙し、110℃のロールカレンダ
ーを通して、湿式不織布を作製した。加工工程性も良好
であり、地合品位の良好な不織布が得られた。
【0053】実施例16,17 エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)における
エチレン単位の含有量を表1に示すように変更すること
以外は、実施例1と同様に実施した。耐剥離性評価結果
及び風合評価結果を表2に示す。いずれも繊維化工程性
は良好であり、優れた耐剥離性と良好な風合を有してい
た。
【0054】比較例1、2 ポリアミド系樹脂(B)の添加量を表1に示すように変
更すること以外は、実施例1と同様に実施した。比較例
1は、風合が硬く、比較例2は、風合はぬめり感が強く
不良であり、繊維化工程性が不良であった。
【0055】比較例3〜6 断面形状、芯成分の突起個数を表1に示すように変更す
ること以外は実施例1と同様に実施した。いずれも良好
な風合であったが、芯鞘界面の剥離によりアタリが激し
く、品位として劣るものであり、実用に耐えるレベルで
はなかった。
【0056】比較例7 繊維断面における芯成分の突起個数を変更すること以外
は実施例15と同様に繊維を5mmカットし、湿式不織
布を作製したが、加工工程上での芯鞘界面剥離が多発
し、著しく劣るものであった。
【0057】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、特定
のエチレン−ビニルアルコール系共重合体にポリアミド
樹脂を溶融混練し、さらに特定の熱可塑性ポリマーとが
所定の条件を満足するように複合された断面形状とする
ことにより、従来の合成繊維には見られなかった良好な
親水性を有し、従来の染色加工方法によりソフトで天然
繊維に似た風合と芯鞘界面の耐剥離性に優れた複合繊維
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の繊維の複合断面形態の1例を示す断
面写真
【図2】 本発明の繊維の複合断面形態の1例を示す概
略図
【図3】 本発明の繊維の複合断面形態の他の例を示す
概略図
【図4】 本発明の繊維の複合断面形態の他の例を示す
概略図
【図5】 本発明外の繊維の複合断面形態の例を示す概
略図
フロントページの続き (72)発明者 田中 和彦 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 河本 正夫 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 4L041 AA07 BA02 BA07 BA23 BA33 BC02 BC20 CA21 CA25 CA26 CA44 DD14 DD18

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン単位の含有量が25〜70モル
    %であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)
    とポリアミド系樹脂(B)とを溶融混練して得られる混
    合物であって、かつ60℃のDMSOに対し不溶解性の
    成分を5〜75質量%含有する混合物成分を鞘成分と
    し、融点が160℃以上の熱可塑性樹脂(C)を芯成分
    とする複合繊維であって、芯成分は鞘成分との界面にお
    いて4個以上配列する突起部を形成しており、かつ芯成
    分の外周長(L2)と繊維の外周長(L1)との比が下
    記(1)式を満足することを特徴とする複合繊維。 1.6≦X/Y (1) ここで、X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比
    (L2/L1) Y;複合繊維全体を1としたときの芯成分の質量複合比
  2. 【請求項2】 不溶解性の成分は共重合体(A)成分中
    に島状に分散し、該島の大きさが1nm〜300nm、島の
    数は繊維断面でみて10ケ/μm以上存在している請
    求項1に記載の複合繊維。
  3. 【請求項3】 芯成分と鞘成分との質量複合比率が1
    0:90〜90:10である請求項1または2に記載の
    複合繊維。
  4. 【請求項4】 ポリアミド系樹脂(B)がナイロン6/
    12、ナイロン6及びナイロン6,6からなる群より選
    ばれる少なくとも1種のポリアミド系樹脂である請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の複合繊維。
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