JP4459667B2 - 複合繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、天然繊維に似た良好な風合と良好な光沢感、吸湿性を有し、かつ加工工程性及び耐アルカリ性、耐剥離性、発色性に優れたエチレン−ビニルアルコール系共重合体を一成分とする複合繊維に関する。
従来、合成繊維、例えばポリエステル、ポリアミドのフィラメントからなる織物、編物、不織布等の繊維構造物は、その構成フィラメントの単繊維繊度や断面形状が単調であるため、綿、麻等の天然繊維に比較して風合や光沢が単調で冷たく、繊維構造物としても品位は低いものであった。
また、ポリエステル系繊維は疎水性であるため、繊維自体が吸水性、吸湿性に劣るという欠点がある。これらの欠点を改良するために、従来から種々の検討がなされているが、その中で例えば、ポリエステル等の疎水性ポリマーと水酸基を有するポリマーとを複合紡糸することにより、疎水性繊維に親水性等の性能を付与させる試みがなされている。具体的には、エチレン−ビルアルコール系共重合体鹸化物とポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミドなどの疎水性熱可塑性樹脂との複合繊維が特公昭56−5846号公報や特公昭55−1372号公報等で開示されている。
しかしながら、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と一成分がポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドの場合には、相溶性の悪さ、樹脂の接着性不良に起因する工程性の悪化、品質の低下などの問題があり、用途は限られたものであった。特にポリエステルとの複合繊維の場合、ポリエステル繊維との交織が必要な用途におけるアルカリ減量工程での品質低下が問題であった。 また、ポリアミドの場合には、通常のものであれば発色性の不足、さらに染色性において、染色堅牢度が劣るため衣料用途への展開は限られたものであった。また、通常のポリアミドは、ガラス転移温度が室温付近にあるため物性変化が生じ易く、実用性に問題があった。
特公昭56−5846号公報 特公昭55−1372号公報
本発明は、水酸基を有するポリマーが本来備えている特性を損なうことなく、加工工程での問題や染色性が改良された複合繊維を提供することである。
すなわち、本発明は、エチレン含有量が25〜70モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなるA成分と、ジカルボン酸単位の60〜100モル%が芳香族ジカルボン酸単位、かつジアミン単位の60〜100モル%が脂肪族ジアミンからなり、対数粘度が0.4から2.0である熱可塑性ポリアミドからなるB成分とが複合されている複合繊維であって、A成分は該複合繊維の繊維断面周長の80%以上を占有し、B成分は、A成分との界面において4個以上の突起部を形成しており、かつB成分の外周長(L2)と該複合繊維の外周長(L1)との比が下記(1)式を満足しており、さらに染色されており、液汚染による染色堅牢度が4級以上であることを特徴とする複合繊維である。
1.6≦X/C (1)
ここで、X;B成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
C;複合繊維全体を1としたときのB成分の質量複合比率である。

まず、本発明の複合繊維のA成分を構成するエチレン−ビニルアルコール系共重合体に(以下、単にA成分ポリマーと略称することもある)ついて説明する。
A成分ポリマー、すなわち、エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られるが、ケン化度は95%以上の高ケン化度のものが好ましく、エチレン共重合割合が25〜70モル%のもの、すなわち、ビニルアルコール成分(未ケン化酢酸ビニル成分やアセタール化されたビニルアルコール成分等を含む)が約30〜75モル%のものが用いられる。A成分ポリマー中のビニルアルコール成分の割合が低くなれば、水酸基の減少のために親水性などの特性が低下し、目的とする良好な親水性を有する天然繊維ライクな風合が得られない。逆にビニルアルコール成分の割合が多くなりすぎると、溶融成形性が低下すると共にB成分ポリマーと複合紡糸する際に、曳糸性が不良となり、紡糸時又は延伸時の単糸切れ、断糸が多くなる。
したがって、高ケン化度でエチレン共重合割合が25〜70モル%のものが本発明の目的の繊維を得るためには適している。
A成分ポリマーと複合されるB成分ポリマーとして高融点ポリマーを用いる場合、長時間安定に連続して紡糸するためには、A成分ポリマーの溶融成形時の耐熱性を向上させることが好ましいが、そのための手段として、エチレンの共重合割合を適切な範囲に設定することと、さらにA成分ポリマー中の金属イオン含有量を所定量以下することも効果がある。
A成分ポリマーの熱分解機構としては大きく分けてポリマー主鎖間での橋かけ反応が起こりゲル化物が発生していく場合と、主鎖切断、側鎖脱離などの分解が進んでいく機構が混在化して発生すると考えられているが、A成分ポリマー中の金属イオンを除去することにより、溶融紡糸時の熱安定性が飛躍的に向上する。特にNa,Kイオンなどの第I族のアルカリ金属イオンと、Ca2+、Mg2+イオンなどの第II族のアルカリ土類金属イオンをそれぞれ100ppm以下とすることにより顕著な効果がある。
特に、長時間連続して高温条件で溶融紡糸をする際、A成分ポリマー中にゲル化物が発生してくると紡糸フィルター上にゲル化物が徐々に詰まって堆積し、その結果紡糸パック圧力が急上昇してノズル寿命が短くなるとともに紡糸時の単糸切れ、断糸が頻発する。ゲル化物の堆積がさらに進行するとポリマー配管が詰まりトラブル発生の原因となり好ましくない。
A成分ポリマー中の第I族アルカリ金属イオン、第II族アルカリ土類金属イオンを除去することにより高温での溶融紡糸、特に、250℃以上での溶融紡糸時に長時間連続運転してもゲル化物発生によるトラブルが起こりにくい。
したがって、これら金属イオンの含有量は、それぞれ50ppm以下であることがより好ましく、特に好ましくは10ppm以下である。
A成分ポリマーの製造方法として、一例を説明すると、メタノールなどの重合溶媒中でエチレンと酢酸ビニルとをラジカル重合触媒下でラジカル重合させ、次いで未反応モノマーを追い出し、苛性ソーダによりケン化反応を起こさせ、エチレン−ビニルアルコール系共重合体とした後、水中でペレット化した後、水洗して乾燥する。従って工程上どうしてもアルカリ金属やアルカリ土類金属がポリマー中に含有されやすく、通常は数百ppm以上のアルカリ金属、アルカリ土類金属が必然的に混入している。
アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオン含有量をできるだけ低下させる方法としては、ポリマー製造工程中、ケン化処理後ペレット化した後、湿潤状態のペレットを酢酸を含む純水溶液で大量にペレットを洗浄した後、さらに大過剰の純水のみで大量にペレットを洗浄することによって達成される。
またA成分ポリマーは、エチレンと酢酸ビニルの共重合体を苛性ソーダによりケン化して製造されるが、前述したようにこの時のケン化度を95%以上にすることが好ましい。ケン化度が低くなると、ポリマーの結晶性が低下し、強度等の繊維物性が低下してくるのみならず、A成分ポリマーが軟化しやすくなり加工工程でトラブルが発生してくるとともに得られた繊維構造物の風合も悪くなり好ましくない。
本発明において使用される熱可塑性ポリアミド(B)成分は、実質的にジカルボン酸単位およびジアミン単位からなる。ジカルボン酸単位は、60~100モル%が芳香族ジカルボン酸単位からなっており、好ましくは芳香族ジカルボン酸単位としてテレフタル酸単位を60モル%以上、より好ましくは75モル%以上含有している場合であり、特に90モル%以上がテレフタル酸単位である場合がもっとも好ましい。芳香族ジカルボン酸単位の含有率が60モル%未満の場合には、得られる繊維の耐アルカリ性、耐酸性、強度などの諸物性が低下するため好ましくない。
テレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸単位としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタシンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4′−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から誘導される単位を1種または2種以上含ませることができる。耐薬品性、耐熱性などの点から、上記したジカルボン酸単位の中でも、芳香族ジカルボン酸単位を含ませるのが好ましい。
さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの官能基を3個以上有する多価カルボン酸を繊維化が可能な範囲内で含ませることもできる。
また、ジアミン単位としては、脂肪族ジアミン単位を60モル%〜100モル%含有していることが必要であり、75モル%以上含有していることが好ましく、90モル%以上含有していることがより好ましい。脂肪族ジアミン単位の含有率が60モル%未満の場合には、得られる繊維の耐酸性、強度などが低下する。
ジアミン単位として、好ましいのは1,9−ノナンジアミンであるが、1,9−ノナンジアミン単位以外の他のジアミン単位としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、キシレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミン単位を1種または2種以上含ませることができる。
1,9−ノナンジアミン単位以外の他のジアミン単位を含有させる場合は、例えば、電池セバレーターなどの耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性等が要求される用途に用いることを考慮して、ジアミン単位として、2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を導入することが好ましい。
そして、ジアミン単位が、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を含有する場合は、ジアミン単位の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位からなり、かつ1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が40:60〜99:1であることが好ましく、70:30〜95:5であることがさらに好ましい。
熱可塑性ポリアミドの製造法は特に制限されず、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任意の製造方法を用いることができる。例えば、酸クロライドとジアミンを原料とする溶液重合法あるいは界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法、溶融押出機重合法などの方法により重合可能である。
本発明で使用される熱可塑性ポリアミドの対数粘度は0.4〜2.0の範囲であり、0.4未満ではペレット化ができない。2.0より大きい場合は重合が困難である。好ましくは0.6〜1.4であり、より好ましくは0.7〜1.2である。
本発明に用いるエチレン−ビニルアルコール系共重合体および半芳香族ポリアミドには、帯電防止剤、二酸化チタンなどの艶消剤及び熱安定性の酸化防止剤等、その他のポリマーや着色剤等を添加しても構わない。
次に本発明において重要な要件である複合断面形状について詳述する。
本発明の複合繊維の断面形状は、例えば、図1の繊維断面写真に見られるような形態をしており、B成分はA成分との界面において、4個以上突起部が形成されていることが必要であり、突起部の数は、好ましくは7個以上、より好ましくは10個以上である。突起部の数が少なくなると複合成分間の界面剥離に対する抵抗が十分に得られにくくなる。図1の場合は突起部の数は30個、図2の場合には14個、図3の場合には、11個となる。一方、図4の断面形状の場合には、芯部は突起部を有していないこととなり、本発明品ではない。そして本発明において、個々の突起は同一の大きさ、太さや長さを有している必要はない。
さらに重要なことは、B成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比が(1)式を満足することである。
1.6≦X/C (1)
X;B成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
C;複合繊維全体を1としたときのB成分の質量複合比率
B成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比XはB成分の複合比率により変化するが、(1)式が1.6倍以上であることが必要であり、好ましくは2.0倍以上、より好ましくは2.5倍以上である。
すなわち、B成分とA成分の質量複合比率が50:50である場合を例に挙げると、B成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比(L2/L1)は、0.8以上、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.25以上である。X(L2/L1)が1.0以上のとき、驚くべきことにB成分とA成分の界面剥離を防止する効果が増大する。界面剥離防止効果の作用機序は、現時点では推論の域をでないが、恐らく複合成分の接着面積の増大とB成分により形成される突起部のアンカー効果との相乗効果によるものと推察される。
更に本発明において、隣接する突起部の間隔が2μm以下である場合が好ましく、この間隔が大きくなると、染色後の発色性や、界面剥離効果等が低下する。なお、本発明において、隣接する突起部の間隔とは、隣接する突起部に挟まれたA成分の平均太さを意味する。
さらに本発明の複合繊維は、染色後の発色性、つまり鮮明性が優れているが、これはB成分の突起部(表面積の増加)が染料吸着量の増加と乱反射による鮮明性向上効果によると推察される。
A成分ポリマーとB成分ポリマーの複合比率は90:10〜10:90(質量比率)が好ましく、特に70:30〜30:70がより好ましく、各々の複合形態や繊維断面形状により適宜設定可能である。
A成分ポリマーの複合比率が10質量%未満の場合は水酸基の減少のため繊維のひとつの特徴である親水性等の特性が失われる。一方、A成分ポリマーの複合比率が90質量%を越える複合繊維は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の特徴が発揮され、親水性、光沢感は十分に満足されるが、繊維物性や染色物の発色性が劣り好ましくない。
また複合繊維の断面形状はA成分ポリマーが繊維表面全体を覆う必要はなく、鮮やかな発色性を有するには、繊維表面の80%以上が屈折率の低いA成分ポリマーであることが必要であり、90%以上であることが好ましい。特に芯鞘型複合繊維が鮮やかな発色性、繊維強度等を有する点で好ましい。
上記した複合繊維においては、繊維の太さは特に限定されず、任意の太さにすることができるが、発色性、光沢感、風合に優れた繊維を得るためには複合繊維の単繊維繊度を0.3〜11dtex程度にしておくのが好ましい。また、長繊維のみならず短繊維でも本発明の効果が期待される。
本発明の複合繊維の製造方法は、本発明の規定を満足する複合繊維が得られる方法であれば特に制限されるものではないが、複合紡糸装置を用いノズル導入口へA成分ポリマーとB成分ポリマーの複合流を導入するに際し、B成分からなる突起部の数に相当する数の細孔が設けられた分流板からB成分ポリマーを流し、それぞれの細孔から流れるB成分の流れ全体をA成分ポリマーで覆いながら、複合流を導入口の中心に向けて導入しノズルより吐出させることにより製造することができる。また、紡糸・延伸方法としては、低速、中速で溶融紡糸した後に延伸する方法、高速による直接紡糸延伸法、紡糸後に延伸と仮撚を同時に又は続いて行うなどの任意の方法を採用することができる。
以上のようにして得られる本発明の繊維は、各種繊維集合体(繊維構造物)として用いることができる。ここで繊維集合体とは、本発明の繊維単独よりなる織編物、不織布はもちろんのこと、本発明の繊維を一部に使用してなる織編物や不織布、例えば、天然繊維、化学繊維、合成繊維など他の繊維との交編織布、あるいは混紡糸、混繊糸として用いた織編物、混綿不織布などであってもよいが、織編物や不織布に占める本発明繊維の割合は10質量%以上、特に30質量%以上であることが好ましい。
本発明の繊維は、吸湿・吸水性に優れ、さらに熱水条件下での寸法安定性に優れ、更に染色性や耐剥離性に優れ、かつ繊維物性の点においても優れたものである。本発明の繊維の主な用途は、長繊維では単独で又は一部に使用して織編物等を作製し、良好な風合を発現させた衣料用素材、例えば肌着、スポーツウエアー等、更に寝具や産業資材分野等に使用することができる。また、短繊維として、同様に単独あるいは他の繊維と組み合わせて、上記と同様の衣料用途に使用でき、またシーツ、タオル等の吸湿、吸水性が要求される寝具や日用雑貨品にも使用することができる。さらに、乾式不織布および湿式不織布等にも使用でき、衣料用のみならず、各種リビング資材等の非衣料用途にも好適に使用することができる。
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものでない。
[ポリアミドの対数粘度]
濃硫酸を用いて30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて測定した値から算出。
[発色鮮明性及び光沢性]
下記の染色条件で染色した布帛を10人のパネラーにより官能評価した。その結果を、非常に優れるものを2点、優れるものを1点、劣るものを0点とした。
○:合計点が15点以上
△:合計点が8〜14点
×:合計点が7点以下
[染色条件]
(前処理)
ビスエチレンジオキシノナン 15%omf
マレイン酸 1g/l
アニオン活性剤 1g/l
90℃×30分
(染色)
Diamix Navy Blue SPHconc 3%omf
分散剤 1g/l
酢酸 (50%) 1g/l
浴比 1:50 115℃×40分
(還元洗浄)
ハイドロサルファイト 1g/l
水酸化ナトリウム 1g/l
アミラジンD(第一工業製薬社製) 1g/l
80℃×20分
上記条件で処理した筒編み地をJISL−0844 A−2法により液汚染による染色堅牢度を調べた。
[複合繊維の各成分の接着性]
24〜48フィラメントを1000T/Mの撚をかけ、そのままの状態で糸条を切断し、切断面のフィラメントの剥離状態を観察した。切断個所を10個所について、下記の基準により評価した。
◎:剥離程度が1割未満の場合
○:剥離程度が1〜2割未満の場合
△:剥離程度が2〜5割の場合
×:剥離程度が5割を越える場合
[アルカリ減量率]
NaOH40g/l 98℃×40分処理
(処理前サンプル重量−処理後サンプル重量)/処理前サンプル重量×100
[繊維化工程性]
100kg紡糸した際の毛羽・断糸の発生状況で評価。繊維化工程性は◎、○を合格ラインと判断した。
◎:毛羽、断糸の発生なく良好
○:断糸はなく、毛羽の発生が僅かに認められる
△:毛羽、断糸が発生、フィルター昇圧も確認される
×:毛羽、断糸が顕著に発生、フィルター昇圧の急激な発生が確認される
実施例および比較例で使用したポリアミドの製造例を以下に示す。
参考例1〜2
表1に示す量のテレフタル酸、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、安息香酸、次亜リン酸ナトリウム−水和物(原料に対して0.1重量%)および蒸留水2.2リットルを、内容積20リットルのオートクレープに添加し、窒素置換を行った。ついで100℃で30分間攪拌し、2時間かけて内温を210℃に昇温した。この時、オートクレープは2.2×10Paまで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、その後2時間、230℃に保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.2×10Paに保持しながら反応を続けた。次に、30分かけて圧力を9.8×10Pa まで下げ、さらに1時間反応を続けてプレポリマーを得た。このプレポリマーを100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕した。
粉砕物を230℃、1.3×10Pa下にて10時間固相重合することによりポリマーを得た。得られたポリマーの対数粘度を表1に示す。
[強度]
JIS L 1013に準拠して測定した。
実施例1
重合溶媒としてメタノールを用い、60℃下でエチレンと酢酸ビニルをラジカル重合させ、エチレンの共重合割合が44モル%のランダム共重合体を作製し、次いで苛性ソーダによりケン化処理を行い、ケン化度99%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とした後、湿潤状態のポリマーを酢酸が少量添加されている大過剰の純水で洗浄を繰返した後、さらに大過剰の純水による洗浄を繰返し、ポリマー中のK,Naイオン及びMg,Caイオンの含有量をそれぞれ約10ppm以下にし、その後、脱水機によりポリマーから水を分離した後、更に100℃以下で真空乾燥を十分に実施してポリマーを得、このポリマーをA成分ポリマーとした。一方、複合繊維を構成するポリアミド成分として表1に示した参考例2のポリアミド(PA9MT)をB成分ポリマーとした。
A成分ポリマーとB成分ポリマーの複合比率(質量比率)50:50の条件で、紡糸温度290℃、巻取り速度3500m/分で溶融複合紡糸し、図2に示すような断面形状の複合フィラメント糸(83dtex/24フィラメント)を得た。この複合繊維の芯成分(B成分)の突起部の個数は30個であり、芯成分(B成分)の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比L2/L1=4.0(X/C=8.0)であり、強度は3.2cN/dtexであった。ついで筒編地を作製し、得られた編物を通常の液流染色機を使用して下記に示す架橋処理条件及び染色条件で染色し、その後常法により乾燥仕上げセットを実施した。染色された編物は良好な発色、鮮明性と優れた光沢感を有しており、芯鞘界面剥離は全く認められなかった。更にしっとりした良好な風合を有するものであった。結果を表1に示す。
Figure 0004459667
実施例2〜7
B成分ポリマー、複合比率、突起部個数を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。接着性評価結果、染色堅牢度及び風合評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた接着性と良好な堅牢度・風合を有していた。
実施例8,9
A成分ポリマーを表1に示すこと以外は実施例1と同様に実施した。
いずれも優れた接着性・染色堅牢度と良好な風合を有していた。
比較例1,2
断面形状、芯成分の突起個数を表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様に実施した。いずれも良好な風合であったが、芯鞘界面の剥離により品位として劣るものであり、実用に耐えるレベルではなかった。
比較例3、4
B成分ポリマーを表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様に実施した。比較例3は接着性不良による品位の低下、比較例4は染色堅牢度不良によりいずれも実用に耐えるレベルではなかった。
以上のように、本発明においては、特定のエチレン−ビニルアルコール系共重合体と特定の熱可塑性ポリアミドとが所定の条件を満足するように複合された断面形状とすることにより、従来の合成繊維には見られなかった良好な親水性を有し、ソフトで天然繊維に似た風合とアルカリ減量加工後にも芯鞘界面の耐剥離性に優れた複合繊維を得ることができる。
本発明の繊維の複合断面形態の一例を示す断面写真である。 本発明の繊維の複合断面形態の一例を示す断面図である。 本発明の繊維の複合断面形態の他の一例を示す断面図である。 本発明には属さない繊維の複合断面形態の一例を示す断面図である。

Claims (3)

  1. エチレン含有量が25〜70モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなるA成分と、ジカルボン酸単位の60〜100モル%が芳香族ジカルボン酸単位、かつジアミン単位の60〜100モル%が脂肪族ジアミンからなり、対数粘度が0.4から2.0である熱可塑性ポリアミドからなるB成分とが複合されている複合繊維であって、A成分は該複合繊維の繊維断面周長の80%以上を占有し、B成分は、A成分との界面において4個以上の突起部を形成しており、かつB成分の外周長(L2)と該複合繊維の外周長(L1)との比が下記(1)式を満足しており、さらに染色されており、液汚染による染色堅牢度が4級以上であることを特徴とする複合繊維。
    1.6≦X/C (1)
    ここで、X;B成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
    C;複合繊維全体を1としたときのB成分の質量複合比率
  2. 熱可塑性ポリアミドのジカルボン酸単位がテレフタル酸単位からなる請求項1に記載の複合繊維。
  3. B成分とA成分の複合比(質量比)が10:90〜90:10である請求項1に記載の複合繊維。
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