JP4459667B2 - 複合繊維 - Google Patents
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1.6≦X/C (1)
ここで、X;B成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
C;複合繊維全体を1としたときのB成分の質量複合比率である。
A成分ポリマー、すなわち、エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られるが、ケン化度は95%以上の高ケン化度のものが好ましく、エチレン共重合割合が25〜70モル%のもの、すなわち、ビニルアルコール成分(未ケン化酢酸ビニル成分やアセタール化されたビニルアルコール成分等を含む)が約30〜75モル%のものが用いられる。A成分ポリマー中のビニルアルコール成分の割合が低くなれば、水酸基の減少のために親水性などの特性が低下し、目的とする良好な親水性を有する天然繊維ライクな風合が得られない。逆にビニルアルコール成分の割合が多くなりすぎると、溶融成形性が低下すると共にB成分ポリマーと複合紡糸する際に、曳糸性が不良となり、紡糸時又は延伸時の単糸切れ、断糸が多くなる。
したがって、高ケン化度でエチレン共重合割合が25〜70モル%のものが本発明の目的の繊維を得るためには適している。
A成分ポリマー中の第I族アルカリ金属イオン、第II族アルカリ土類金属イオンを除去することにより高温での溶融紡糸、特に、250℃以上での溶融紡糸時に長時間連続運転してもゲル化物発生によるトラブルが起こりにくい。
したがって、これら金属イオンの含有量は、それぞれ50ppm以下であることがより好ましく、特に好ましくは10ppm以下である。
またA成分ポリマーは、エチレンと酢酸ビニルの共重合体を苛性ソーダによりケン化して製造されるが、前述したようにこの時のケン化度を95%以上にすることが好ましい。ケン化度が低くなると、ポリマーの結晶性が低下し、強度等の繊維物性が低下してくるのみならず、A成分ポリマーが軟化しやすくなり加工工程でトラブルが発生してくるとともに得られた繊維構造物の風合も悪くなり好ましくない。
さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの官能基を3個以上有する多価カルボン酸を繊維化が可能な範囲内で含ませることもできる。
本発明の複合繊維の断面形状は、例えば、図1の繊維断面写真に見られるような形態をしており、B成分はA成分との界面において、4個以上突起部が形成されていることが必要であり、突起部の数は、好ましくは7個以上、より好ましくは10個以上である。突起部の数が少なくなると複合成分間の界面剥離に対する抵抗が十分に得られにくくなる。図1の場合は突起部の数は30個、図2の場合には14個、図3の場合には、11個となる。一方、図4の断面形状の場合には、芯部は突起部を有していないこととなり、本発明品ではない。そして本発明において、個々の突起は同一の大きさ、太さや長さを有している必要はない。
1.6≦X/C (1)
X;B成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
C;複合繊維全体を1としたときのB成分の質量複合比率
B成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比XはB成分の複合比率により変化するが、(1)式が1.6倍以上であることが必要であり、好ましくは2.0倍以上、より好ましくは2.5倍以上である。
A成分ポリマーの複合比率が10質量%未満の場合は水酸基の減少のため繊維のひとつの特徴である親水性等の特性が失われる。一方、A成分ポリマーの複合比率が90質量%を越える複合繊維は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の特徴が発揮され、親水性、光沢感は十分に満足されるが、繊維物性や染色物の発色性が劣り好ましくない。
濃硫酸を用いて30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて測定した値から算出。
下記の染色条件で染色した布帛を10人のパネラーにより官能評価した。その結果を、非常に優れるものを2点、優れるものを1点、劣るものを0点とした。
○:合計点が15点以上
△:合計点が8〜14点
×:合計点が7点以下
(前処理)
ビスエチレンジオキシノナン 15%omf
マレイン酸 1g/l
アニオン活性剤 1g/l
90℃×30分
(染色)
Diamix Navy Blue SPHconc 3%omf
分散剤 1g/l
酢酸 (50%) 1g/l
浴比 1:50 115℃×40分
(還元洗浄)
ハイドロサルファイト 1g/l
水酸化ナトリウム 1g/l
アミラジンD(第一工業製薬社製) 1g/l
80℃×20分
上記条件で処理した筒編み地をJISL−0844 A−2法により液汚染による染色堅牢度を調べた。
24〜48フィラメントを1000T/Mの撚をかけ、そのままの状態で糸条を切断し、切断面のフィラメントの剥離状態を観察した。切断個所を10個所について、下記の基準により評価した。
◎:剥離程度が1割未満の場合
○:剥離程度が1〜2割未満の場合
△:剥離程度が2〜5割の場合
×:剥離程度が5割を越える場合
NaOH40g/l 98℃×40分処理
(処理前サンプル重量−処理後サンプル重量)/処理前サンプル重量×100
100kg紡糸した際の毛羽・断糸の発生状況で評価。繊維化工程性は◎、○を合格ラインと判断した。
◎:毛羽、断糸の発生なく良好
○:断糸はなく、毛羽の発生が僅かに認められる
△:毛羽、断糸が発生、フィルター昇圧も確認される
×:毛羽、断糸が顕著に発生、フィルター昇圧の急激な発生が確認される
参考例1〜2
表1に示す量のテレフタル酸、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、安息香酸、次亜リン酸ナトリウム−水和物(原料に対して0.1重量%)および蒸留水2.2リットルを、内容積20リットルのオートクレープに添加し、窒素置換を行った。ついで100℃で30分間攪拌し、2時間かけて内温を210℃に昇温した。この時、オートクレープは2.2×106Paまで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、その後2時間、230℃に保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.2×106Paに保持しながら反応を続けた。次に、30分かけて圧力を9.8×105Pa まで下げ、さらに1時間反応を続けてプレポリマーを得た。このプレポリマーを100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕した。
粉砕物を230℃、1.3×10Pa下にて10時間固相重合することによりポリマーを得た。得られたポリマーの対数粘度を表1に示す。
JIS L 1013に準拠して測定した。
重合溶媒としてメタノールを用い、60℃下でエチレンと酢酸ビニルをラジカル重合させ、エチレンの共重合割合が44モル%のランダム共重合体を作製し、次いで苛性ソーダによりケン化処理を行い、ケン化度99%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とした後、湿潤状態のポリマーを酢酸が少量添加されている大過剰の純水で洗浄を繰返した後、さらに大過剰の純水による洗浄を繰返し、ポリマー中のK,Naイオン及びMg,Caイオンの含有量をそれぞれ約10ppm以下にし、その後、脱水機によりポリマーから水を分離した後、更に100℃以下で真空乾燥を十分に実施してポリマーを得、このポリマーをA成分ポリマーとした。一方、複合繊維を構成するポリアミド成分として表1に示した参考例2のポリアミド(PA9MT)をB成分ポリマーとした。
B成分ポリマー、複合比率、突起部個数を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。接着性評価結果、染色堅牢度及び風合評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた接着性と良好な堅牢度・風合を有していた。
A成分ポリマーを表1に示すこと以外は実施例1と同様に実施した。
いずれも優れた接着性・染色堅牢度と良好な風合を有していた。
断面形状、芯成分の突起個数を表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様に実施した。いずれも良好な風合であったが、芯鞘界面の剥離により品位として劣るものであり、実用に耐えるレベルではなかった。
B成分ポリマーを表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様に実施した。比較例3は接着性不良による品位の低下、比較例4は染色堅牢度不良によりいずれも実用に耐えるレベルではなかった。
Claims (3)
- エチレン含有量が25〜70モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなるA成分と、ジカルボン酸単位の60〜100モル%が芳香族ジカルボン酸単位、かつジアミン単位の60〜100モル%が脂肪族ジアミンからなり、対数粘度が0.4から2.0である熱可塑性ポリアミドからなるB成分とが複合されている複合繊維であって、A成分は該複合繊維の繊維断面周長の80%以上を占有し、B成分は、A成分との界面において4個以上の突起部を形成しており、かつB成分の外周長(L2)と該複合繊維の外周長(L1)との比が下記(1)式を満足しており、さらに染色されており、液汚染による染色堅牢度が4級以上であることを特徴とする複合繊維。
1.6≦X/C (1)
ここで、X;B成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
C;複合繊維全体を1としたときのB成分の質量複合比率 - 熱可塑性ポリアミドのジカルボン酸単位がテレフタル酸単位からなる請求項1に記載の複合繊維。
- B成分とA成分の複合比(質量比)が10:90〜90:10である請求項1に記載の複合繊維。
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