JP4027537B2 - 分割型複合繊維 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、風合いが良好で、染色堅牢性に優れた分割型複合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、種々のタイプの極細繊維が開発され、高級織編物、高級人工皮革、ワイピングクロス等に使用されてその用途が急激に拡大されつつある。例えば、ポリアミドとポリエステルからなる分割型複合繊維は物理的、化学的処理により両成分に分割することができ、得られる繊維構造物は嵩高性、柔軟性、上品な光沢を有することが知られている。また、分割によって得られるフィブリルが極細のものであればその効果は一層顕著であり、加えて高密度の繊維構造物を得ることも知られている。
【0003】
複合繊維の分割の方法は、例えば特公昭53−35633号公報、特公昭61−37383号公報にポリアミドの膨潤によるものが開示されている。特に、特公昭61−37383号公報には、ポリアミドの膨潤、収縮を大にすることにより繊維構造物を高密度化せしめ、更にポリアミドが収縮して繊維構造物の表面に露出しないので、染色した場合に色相が鮮明であることが記載されている。
しかしながら、これらにおいてはポリアミドが通常のものであるため膨潤熱処理によるポリアミドの収縮は十分なものでなく限界があり、得られる繊維構造物の緻密さや嵩高性は不満足なものであり、さらに染色性においては、染色堅牢度が劣るため衣料用途への展開は限られたものであった。また、通常のポリアミドはガラス転移温度が室温付近にあるため保管中に、ポリマー物性の変化が生じ易くフィブリル化斑、分割斑の発生原因となり実用性に問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、柔軟性、嵩高性、緻密性に優れた繊維構造を有し、さらに染色堅牢性が良好で染色斑がなく、かつ紡糸延伸時における工程通過性が良好な分割型複合繊維を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、フィラメントである衣料用の分割型複合繊維であって、ジカルボン酸単位の60〜100モル%が芳香族ジカルボン酸単位からなり、ジアミン単位の60〜100モル%が脂肪族ジアミン単位からなり対数粘度が0.4〜2.0である熱可塑性ポリアミドとポリエステルとからなる分割型複合繊維であって、前記ポリアミドと前記ポリエステルは70/30〜30/70の重量比であって、下記(1)〜(2)式を満足し、分割後の単繊維デニールが1デニール以下であることを特徴とするフィラメントである衣料用の分割型複合繊維である。
ブラック染色処理時のL*値≦20 (1)
繊維中のメタノール抽出物量≦4.0% (2)
さらに好ましくは、熱可塑性ポリアミドのジカルボン酸単位がテレフタル酸単位からなりジアミン単位が1,9−ノナンジアミン単位、および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位からなる分割型複合繊維である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の分割型複合繊維に用いられる熱可塑性ポリアミドは、実質的にジカルボン酸単位およびジアミン単位からなる。
ジカルボン酸単位としては、60〜100モル%が芳香族ジカルボン酸単位からなっており、好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位として、テレフタル酸単位を60モル%以上、より好ましくは75モル%以上含有していることが好ましく、特に90モル%以上含有していることが好ましい。ジカルボン酸単位の含有率が60モル%未満の場合には、得られる繊維の耐アルカリ性、耐酸性、強度などの諸物性が低下するため好ましくない。
【0007】
テレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸単位としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタシンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4′−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から誘導される単位を1種または2種以上含ませることができる。耐薬品性、耐熱性などの点から、上記したジカルボン酸単位の中でも、芳香族ジカルボン酸単位を含ませるのが好ましい。
さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの官能基を3個以上有する多価カルボン酸を、繊維化が可能な範囲内で含ませることができる。
【0008】
ジアミン単位としては、脂肪族ジアミン単位を60モル%〜100モル%含有していることが必要であり、75モル%以上含有していることが好ましく、90モル%以上含有していることがより好ましい。脂肪族ジアミン単位の含有率が60モル%未満の場合には、得られる繊維の耐酸性、強度などが低下する。
【0009】
ジアミン単位として好ましいのは、1,9−ノナンジアミンであるが、1,9−ノナンジアミン単位以外の他のジアミン単位としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、キシレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミンから誘導される単位を1種または2種以上含ませることができる。
【0010】
1,9−ノナンジアミン単位以外の他のジアミン単位を含有させる場合は、例えば、電池セバレーターなどの耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性等が要求される用途に用いることを考慮し、ジアミン単位として、2−メチル1,8−オクタンジアミン単位を導入することが好ましい。
【0011】
そして、ジアミン単位が、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を含有する場合は、ジアミン単位の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位からなり、かつ1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が40:60〜99:1であることが好ましく、70:30〜95:5であることがさらに好ましい。
【0012】
熱可塑性ポリアミドの製造法は特に制限されず、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任意の製造方法を用いることができる。例えば、酸クロライドとジアミンを原料とする溶液重合法あるいは界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法、溶融押出機重合法などの方法により重合可能である。
【0013】
本発明で使用される熱可塑性ポリアミドの対数粘度は0.4〜2.0以下の範囲であり、0.4未満ではペレット化ができない。2.0より大きい場合は重合が困難である。好ましくは0.6〜1.4であり、より好ましくは0.7〜1.2である。
【0014】
本発明の複合繊維を構成するポリエステルは、熱可塑性ポリエステルであれば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステルやポリエチレンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンアジペート、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルなどを使用することができ、好ましくは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールから選ばれる少なくとも1種のアルキレングリコールを主たるグリコール成分とする芳香族ポリエステルである。
【0015】
また、テレフタル酸成分の一部を他の二官能性カルボン酸成分で置換えたり、グリコール成分の一部を主成分以外の上記グリコール著しくは、他のジオール成分で置換えたポリエステルであつてもよい。
テレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、P−オキシ安息香酸アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸であげることができる。さらに、本発明の効果が実質的に奏せられる範囲で5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合成分として用いてもよい。
【0016】
また、上記グリコール以外のジオール化合物としては、例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSの如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物及びポリオキシアルキレングリコール等をあげることができる。
【0017】
また、かかるポリエステルは任意の方法によって合成される。極限粘度が0.4〜1.2の範囲にあるものが好ましい。
ポリエステル又はポリアミドには帯電防止剤、二酸化チタンなどの艶消剤及び熱安定性の酸化防止剤等を添加しても構わない。
【0018】
本発明の複合繊維は、ポリアミド成分及びポリエステル成分が単一フィラメントの横断面において一方の成分が他方の成分を完全には包囲しない複合形態で、単一フィラメントの長手方向に沿って接合されているものをいい、分割後の単糸繊度が1.0デニール以下となる極細繊維を発生させ得る分割型複合繊維であれば各セグメントの形状は特に制限されない。
【0019】
具体的には図1に示される如きサイドバイサイド型(A-B)の複合繊維、図2の如きサイドバイサイドを繰返した型(-A-B-A-B-)の多層積層型複合繊維、図3〜図6の如く放射形状を有する成分Aと該放射部を補完する形状を有する他の成分Bからなる複合繊維、図7の如く放射型の形状を有する成分A、繊維断面中心方向に向いた楔型形状を有する他の成分Aおよびこれら成分Aを補完するV字型の形状を有する成分Bとからなる複合繊維及び図8の如く中心に中空部のあるサイドバイサイド繰返し型複合繊維などを挙げることができる。
【0020】
複合繊維の分割方法は、機械的方法、膨潤剤による方法、軽度の溶解剤(例えばポリエステルであればアルカリ水溶液処理、ポリアミドであれば酸水溶液処理)による方法の単独又は併用で採用することができる。機械的に分割する手段としては、例えば、本発明の複合繊維からなる糸条又は他の糸条と複合して仮撚加工を施したり、実撚を施すことにより複合繊維のポリアミド成分とポリエステル成分を分割剥離させることができる。
【0021】
また、本発明において分割後の極細繊維の単糸繊度が1デニール以下であるということは、分割処理によって発生した極細繊維がそれぞれ有する単糸繊度のうち最小の単糸繊度をいうのであって、分割後に1デニールを超える単糸繊度の繊維が少量含まれていても差し支えない。
【0022】
本発明の分割型複合繊維を構成するポリエステルとポリアミドの複合割合は目的、用途に応じて適宜選択されるが、製糸性の観点からは70/30〜30/70の重量比の範囲のものが好ましい。
【0023】
本発明の複合繊維は、分散染料のブラックの染色処理を施したときに得られるL*値が20以下、好ましくは18以下であり、一般的に極細繊維は濃染化が困難で通常のポリアミドを用いた極細繊維では得られなかった色の深みが発現した、極めて良好な染色性を有したものである。さらに液汚染による染色堅牢度も良好である。
なお、このときのL*は下記の染色条件を採用したときのものである。
Kayalon Polyester Black G−SF 12%owf
Tohosolt TD 0.5g/l
Ultra Mt−N2 0.7g/l
浴比50:1 135℃×40分染色後、還元洗浄を80℃で実施。
以上のような良好な発色性を最大限に引き出すために、本発明の分割型複合繊維は、糸条としたときに糸条の側糸として配置することが好ましい。
【0024】
また、本発明の複合繊維は、繊維中のメタノール抽出物量が4%以下と極めて少ない点に特徴を有する。メタノール抽出ではモノマー、オリゴマーが定量でき、溶融紡糸工程でポリマーからのモノマー、オリゴマーの発生量が少ないため紡糸口金への付着物がなく、紡糸延伸の工程通過性は極めて良好である。通常のポリアミドを用いた分割型複合繊維ではメタノール抽出物量が4%より多く、紡糸断糸、延伸毛羽が発生し工程通過性は悪いものである。
【0025】
つぎに本発明の分割型複合繊維の製造方法について説明する。
本発明の複合繊維の製造方法は、まずポリエステルとポリアミドをそれぞれ別の押出機で溶融押出し、各々紡糸ヘッドへ導入し、目的とする個々の複合形状を形成させる紡糸口金を経由して溶融紡出する。この場合の溶融紡出温度、溶融紡出速度などは特に制限されないが、複合2成分のうちより高い融点を持つポリマーの融点Tm(℃)に対して、溶融紡出温度を(Tm+約20℃〜Tm+約40℃)の範囲に設定し、かつ溶融紡出速度(溶融紡出量)を約20〜50g/紡糸孔1mm2・分程度とすると、品質の良好な複合繊維を良好な紡糸工程性で得ることができるので好ましい。
【0026】
また、紡糸口金における紡糸孔の大きさや数、紡糸孔の形状なども特に制限されず、目的とする複合繊維の単繊維繊度、トータルデニール、断面形状などに応じて調節することができるが、紡糸孔(単孔)の大きさを約0.018〜0.07mm2程度にしておくのが望ましい。紡糸口金の孔周囲にノズル汚れが堆積して糸切れが発生する場合は、ノズル孔出口がテーパー状に広がった形状にしたり、口金下の雰囲気をスチームシールして酸素を遮断する手法が好ましい。
【0027】
そして、上記によって溶融紡出した複合繊維を、一旦複合2成分ポリマーのうちガラス転移温度の低い方のポリマーのガラス転移温度以下の温度、好ましくはガラス転移温度よりも10℃以上低い温度に冷却する。この場合の冷却方法や冷却装置としては、紡出した複合繊維をそのガラス転移温度以下に冷却できる方法や装置であればいずれでもよく特に制限されないが、紡糸口金の下に冷却風吹き付け筒などの冷却風吹き付け装置を設けておいて、紡出されてきた複合繊維に冷却風を吹き付けてガラス転移温度以下に冷却するようにすることが好ましい。
【0028】
その際に冷却風の温度や湿度、冷却風の吹き付け速度、紡出繊維に対する冷却風の吹き付け角度などの冷却条件も特に制限されず、口金から紡出されてきた複合繊維を繊維の揺れなどを生じないようにしながら速やかに且つ均一にガラス転移温度以下にまでに冷却できる条件であればいずれでもよい。そのうちでも、冷却風の温度を約20〜30℃、冷却風の湿度を20〜60%、冷却風の吹き付け速度を0.4〜1.0m/秒程度として、紡出繊維に対する冷却風の吹き付け方向を紡出方向に対して垂直にして紡出した複合繊維の冷却を行うのが、高品質の複合繊維を円滑に得ることができるので好ましい。また、冷却風吹き付け筒を用いて前記の条件下で冷却を行う場合は、紡糸口金の直下にやや間隔をあけてまたは間隔をあけないで、長さが約80〜160cm程度の冷却風吹き付け筒を配置するのが好ましい。
【0029】
【実施例】
次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
・ポリアミドの対数粘度:
濃硫酸を用いて30℃の恒温槽中でウベローゼ型粘度計を用いて測定した値から算出。
・ポリエステルの極限粘度:
フェノールとテトラクロロエタンとの等重量混合溶媒を用い、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて測定した値から算出。
・L*値:
前述の染色条件で染色処理された染色物について日立307型カラーアナライザー(日立製作所製:自動記録式分光光度計)を用いて測定した値。
・メタノール抽出物量:
ソックスレー抽出器を用いてメタノール抽出し、抽出前の重量(W1)と抽出後の重量(W2)から次式で計算した。
W2/W1×100
・複合繊維の工程性の評価基準:
◎:紡糸時に断糸が何ら発生せず、しかも得られた複合繊維には毛羽が全く発生しておらず、紡糸性が極めて良好である。
○:紡糸時に断糸が発生せず、そして得られた複合繊維には毛羽が僅かに発生していたが、紡糸性がほぼ良好である。
△:1000kgを紡糸したときに、断糸が3回まで発生し、紡糸性が不良である。
×:1000kgを紡糸したときに、断糸が3回よりも多く発生し、紡糸性が極めて不良である。
【0030】
実施例および比較例で使用したポリアミドの製造例を以下に示す。
参考例1〜7
表1に示す量のテレフタル酸、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、安息香酸、次亜リン酸ナトリウム−水和物(原料に対して0.1重量%)および蒸留水2.2リットルを、内容積20リットルのオートクレープに添加し、窒素置換を行った。ついで100℃で30分間攪拌し、2時間かけて内温を210℃に昇温した。この時、オートクレープは22kg/cm2まで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、その後2時間、230℃に保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を22kg/cm2に保持しながら反応を続けた。次に、30分かけて圧力を10kg/cm2まで下げ、さらに1時間反応を続けてプレポリマーを得た。このプレポリマーを100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕した。
粉砕物を230℃、0.1mmHg下にて10時間固相重合することによりポリマーを得た。得られたポリマーの対数粘度を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
実施例1
複合繊維を構成するポリアミド成分として表1に示した参考例4のポリアミド(PA9MT)を用い、もう一方のポリエステル成分はポリエチレンテレフタレート(極限粘度=0.66)を用いた。
これらポリアミドとポリエステルを個別に溶融押出し、図2で示されるようなポリアミドが5層、ポリエステルが6層となる多層型複合形状を形成させる紡糸ヘッドへ供給し、計量部分の径が0.25mmφ、ランド長さ0.5mmでしかもノズル孔出口がラッパ状に広がり出口径が0.5mmφになつている24ホール丸孔ノズルから、紡糸温度285℃で溶融紡出した(表2参照)。
【0033】
紡糸口金直下に長さ1.0mの横吹き付け型の冷却風吹き付け装置を設置しておき、口金から紡出した複合繊維を直ちにその冷却風吹き付け装置に導入して、温度25℃、湿度65HR%に調整した冷却空気を0.5m/秒の速度で紡出繊維に吹き付けて、繊維を50℃以下(冷却風吹き付け装置の出口での繊維の温度=40℃)にまで冷却した。
【0034】
吐出された該複合繊維の紡糸原糸を1000m/分で引き取り、捲取ることなく連続して延伸し、150℃で熱セットしながら3.5倍に延伸し3500m/分で75デニール/24フィラメントの複合繊維延伸糸を採取した。
この繊維の繊維化工程性は良好で問題なかった。また得られた複合繊維に仮撚処理を施したところポリアミドとポリエステルとの分割極細繊維が得られることが確認できた。つづいて筒編地を以下の処方で分散染料の黒染めを実施した。
Kayalon Polyester Black G−SF 12%owf
Tohosolt TD 0.5g/l
Ultra Mt−N2 0.7g/l
浴比50:1 135℃×40分染色後還元洗浄80℃で実施、染着率は80%で十分な発色性を示し、かつ、L*値は17.0であつた。その後、JISL−0844 A−2法により液汚染による染色堅牢度を調べたところ、5級で良好であった。
【0035】
【表2】
【0036】
実施例2〜4
実施例2は、ポリアミド成分とポリエステル成分の複合比率を変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。実施例3、4は断面形状を各々図6、図8としたこと以外は実施例1と同様に実施した。
【0037】
実施例5〜6
実施例5は表1の参考例3のポリアミドを用い、実施例6は表1の参考例5のポリアミドを用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。
【0038】
比較例1〜3
比較例1は、ポリアミドとしてカプロラクタムを開環重合させたナイロン6(宇部興産社製:UBEナイロン6、極限粘度1.4)を用い、比較例2はヘキサメチレンジアミン(脂肪族ジアミン)とアジピン酸(脂肪族ジカルボン酸)とからなるナイロン66(宇部興産製;UBEナイロン66、極限粘度1.41)を用い、比較例3はメタキシリレンジアミン(芳香族ジアミン)とアジピン酸(脂肪族ジカルボン酸)とからなるポリアミド(三菱ガス化学社製;MXナイロン6007)を用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分割型複合繊維の複合形態の一例を示す繊維断面図。
【図2】本発明の分割型複合繊維の複合形態の他の一例を示す繊維断面図。
【図3】本発明の分割型複合繊維の複合形態の他の一例を示す繊維断面図。
【図4】本発明の分割型複合繊維の複合形態の他の一例を示す繊維断面図。
【図5】本発明の分割型複合繊維の複合形態の他の一例を示す繊維断面図。
【図6】本発明の分割型複合繊維の複合形態の他の一例を示す繊維断面図。
【図7】本発明の分割型複合繊維の複合形態の他の一例を示す繊維断面図。
【図8】本発明の分割型複合繊維の複合形態の他の一例を示す繊維断面図。
【符号の説明】
A:分割型複合繊維の一成分
B:分割型複合繊維の他の一成分
Claims (6)
- フィラメントである衣料用の分割型複合繊維であって、ジカルボン酸単位の60〜100モル%が芳香族ジカルボン酸単位からなり、ジアミン単位の60〜100モル%が脂肪族ジアミン単位からなり対数粘度が0.4〜2.0である熱可塑性ポリアミドとポリエステルとからなる分割型複合繊維であって、前記ポリアミドと前記ポリエステルは70/30〜30/70の重量比であって、下記(1)〜(2)式を満足し、分割後の単繊維デニールが1デニール以下であることを特徴とするフィラメントである衣料用の分割型複合繊維。
ブラック染色処理時のL*値≦20 (1)
繊維中のメタノール抽出物量≦4.0% (2) - 熱可塑性ポリアミドのジカルボン酸単位がテレフタル酸単位からなり、ジアミン単位が1,9−ノナンジアミン単位からなる請求項1に記載の分割型複合繊維。
- 熱可塑性ポリアミドのジカルボン酸単位がテレフタル酸単位からなりジアミン単位が1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位からなり、かつ1、9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンンジアミン単位のモル比が40:60〜99:1である請求項1に記載の分割型複合繊維。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリアミドからなる単繊維デニールが1デニール以下であるポリアミドフィラメントと単繊維デニールが1デニール以下であるポリエステルフィラメントとを少なくとも側糸として含み、かつ撚が付与されていることを特徴とする糸条。
- 仮撚糸である請求項4に記載の糸条。
- 実撚糸である請求項4に記載の糸条。
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