JP2004514797A - 伸縮可能な高分子繊維、その繊維の成形に有用な紡糸口金、およびその繊維から製造される製品 - Google Patents
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Abstract
弾性ポリマーから形成される軸となるコアと、前記コアに接合され、非弾性ポリマーから形成される2つ以上のウィングを備える伸縮可能な合成高分子繊維であり、前記ウィングの少なくとも1つが、前記の軸となるコアと機械的に固定されているのが好ましい。前記繊維を用いて、靴下のような衣料品を製造することが可能である。上記繊維を成形する紡糸口金パックに関しても提供する。
Description
【0001】
(技術分野)
本発明は、熱可塑性弾性ポリマーを含んで成る軸であるコアと、熱可塑性非弾性ポリマーを含んで成り、コアの外縁に接合された、放射状に配置された複数のウィングとを有する伸縮可能な合成高分子繊維に関する。ウィングポリマーまたはコアポリマーの少なくとも一方が、他方のポリマーに突出して、コアへのウィングの接合を改善する。本発明は、また、上記の繊維の製造法、上記の繊維を製造するのに有用な紡糸口金パックにも関する。本発明は、また、ヤーン、被服などをはじめとする、繊維から製造される製品にも関する。
【0002】
(背景技術)
スポーツウェアや靴下類などの様々な被服をはじめとする合成繊維から製造される多くの製品に伸縮可能性を付与することが望まれている。米国特許第4,861,660号(イシイ(Ishii))の発明の背景に開示されている通り、合成フィラメントに伸縮可能性を付与する様々な方法が公知である。一方法において、繊維に2次元または3次元けん縮が発現する。別の方法において、弾性ポリマー(例えば、天然または合成ゴム、またはポリウレタンエラストマーなどの合成エラストマー)から伸縮可能なフィラメントを製造する。このタイプの伸縮可能なフィラメントは、ゴムまたはポリウレタンエラストマーのフィラメントそれ自体が、かなり不良な消耗性および編み加工性と、不良な染料特性を呈する点で欠点がある。従って、納得のいく加工性および染料特性を有する別のタイプのフィラメントで、ゴムまたはエラストマーフィラメントを被覆して、ポリウレタンエラストマーフィラメントのゴムの欠点を回避している。
【0003】
しかしながら、上記の被膜されたエラストマーフィラメントに関する欠点がある。イシイ(Ishii)は、2種のポリマーから成形されるフィラメントに対称性を付与して、このような欠点を克服することを試みる。それにもかかわらず、上記の繊維は、加工中、2種のポリマーが互いに容易に層間剥離することが多いという深刻な欠点がある。その結果成形されたスプリット繊維は、低い破壊靭性を有し、意図しているものよりも劣る薄さや熱伝導性を有する布帛を生じる結果となる。2種の異なる非弾性ポリマーから成形され、上記の欠点がある繊維を開示する、米国特許第3,017,686号(Breenら)も参照のこと。
【0004】
実際、米国特許第3,418,200号(Tanner)において、コアポリマーがウィングポリマーに突出する特定の条件では、コアおよびウィングの突出部分とは異なるポリマーから形成されるウィングの一部が、突出部分からさらに容易に分離できると認められている。対照的に、ある種の機械的な固定を用いて、2種の高弾性率、低弾性ポリマーを一緒に接合すると米国特許第3,458,390号に開示されるように、フィラメント中の2種の異なるポリマーの接合を改善することがしばしば望まれる。しかしながら、このようなポリマーおよびBreenおよびTannerが開示したポリマーは、ポリマーの低い弾性のために、伸縮性の高い被服が望まれる今日では、不適切な伸縮性および回復性を有することになる。
【0005】
2種のポリマーを含有する繊維は、米国特許第3,418,200号および米国特許第5,344,297号に開示される紡糸口金で、紡糸することができる。しかしながら、基本的に紡糸口金の前に供給チャネルで、多成分ポリマーストリームを混合する際に、上記特許の紡糸口金は、ポリマー移動を呈する。これらの問題は、「ジャーナルオブポリマーサイエンス(Journal Of Polymer Science)」物理編,13(5)巻,1975年,p.863に記載され、具体的に示され、またごく最近では、「International Fiber Journal」13(5)巻,1998年,p.48に、コアから分裂するように設計された端部を有する3葉繊維に関する別の方法による最先端の紡糸に関して記載されている。
【0006】
優れた伸縮性および回復性を有し、加工処理中や使用中に靭性を維持する、繊維およびそれらの繊維から製造される製品に関して依然として必要性があり、また上記の繊維および製品の便宜な製造法にも依然として必要性がある。多成分ポリマーストリームが、基本的に紡糸口金オリフィスの前に供給チャネルで、混合される際のポリマー移動の問題を解消する2種ポリマーを紡糸するための紡糸口金に関しても必要性がある。
【0007】
(発明の要約)
2種のポリマーのうち一方が、他方のポリマーに貫入するならば、即ち、1つ以上のウィングのうち、ウィングポリマーの少なくとも一部がコアポリマーに突出するか、或いは、コアポリマーの少なくとも一部が、1つのウィングポリマーに突出するならば、伸縮可能な2種のポリマー繊維内での層剥離(層間剥離)を、かなり減少させるか、或いは回避することが可能であることが、現在では発見されている。特に上記Tannerの教示の観点から、ストレス下では、弾性ポリマーは容易に変形し、そして非弾性ポリマーとの相互接合から離れると予想されていたので、上記の挙動は、予想に反した。
【0008】
これらの発見に基づいて、本発明は、熱可塑性弾性ポリマーを含んで成る軸となるコアと、熱可塑性非弾性ポリマーを含んで成り、コアに接合する複数のウィングを含む伸縮可能な合成高分子繊維を提供し、ウィングポリマーまたはコアポリマーの少なくとも一方が、他方のポリマーに突出する。一実施形態において、軸となるコアは、外半径R1、内半径R2を包含し、R1/R2は、約1.2より大きい。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、第一ポリマーを含んで成る軸となるコアと、第二ポリマーを含んで成りコアに接合する複数のウィングとを含む伸縮可能な合成高分子繊維を提供し、該繊維は、約1未満の層間剥離の等級、少なくとも約20%のボイルオフ後の伸度を有する。
【0010】
さらに、本発明の紡糸口金パックに関して、紡糸口金プレートの、繊維を形成するオリフィスの後部入り口の特定箇所で、多成分ポリマーストリームを直接調量することが可能である。この紡糸口金パックによって、多成分ポリマーストリームが、基本的に紡糸口金オリフィスの前の供給チャネルで混合される場合に生じるポリマー移動の問題が解消される。
【0011】
さらに、本発明に従って、繊維を製造する多種の合成ポリマーの溶融押出のための紡糸口金パックを提供し、第一ポリマー溶融物を受け入れるのに適合した第一組の孔と、第二ポリマー溶融物を受け入れるのに適合した第二組の孔を含む調量プレートと、位置決めされて調量プレートと接触し、紡糸口金プレートを通る毛細管を有し、前記紡糸口金の毛細管の長さの約60%未満の端ぐり長さを有する紡糸口金プレートと、および毛細管より大きい孔を有し、位置決めされて紡糸口金プレートと接触する紡糸口金の支持プレートとを備え、調量プレートに供給される多種のポリマーが、紡糸口金プレート、および紡糸口金の支持プレートを通過して繊維が形成されるようにプレートは位置決めされる。
【0012】
(好適な実施形態の説明)
本発明は、図1、2、3、4、5、6、11および12の10に概して示す伸縮可能な合成高分子繊維提供する。本発明の繊維は、図1、2の12に示す軸となるコア、および図1、2の14に示す複数のウィングを包含する。軸となるコアは、熱可塑性弾性ポリマーを含んで成り、ウィングは、軸となるコアに接合した熱可塑性非弾性ポリマーを少なくとも1種含んで成る。熱可塑性非弾性ポリマーは、永続的に延伸可能であるのが好ましい。
【0013】
本明細書に用いる用語「繊維」は、用語「フィラメント」と交換できる。用語「ヤーン」には、モノフィラメントのヤーンが含まれる。用語「マルチフィラメント糸」は、一般的に2種以上のフィラメントのヤーンに関する。用語「熱可塑性」は、繰り返しの溶融処理が可能であるポリマー(例えば、メルト・スパン)に関する。「弾性ポリマー」は、単成分繊維形状において、無希釈で、100%を越える破断時伸びを有し、その長さの2倍まで伸張させて、1分間保った後、弛緩し、弛緩して1分以内に、その元の長さの1.5倍未満にまで収縮するポリマーを意味する。本発明の繊維の弾性ポリマーは、RTまたは23℃、ほぼ本明細書に記載の通りの条件下で、ASTM標準D790曲げ特性(ASTM Standard D790 Flexural Properties)に従って紡糸した単成分繊維が存在する場合、約14,000ポンド/平方インチ(96,500キロパスカル)未満、さらに典型的には約8500ポンド/平方インチ(58,600キロパスカル)未満の曲げ弾性率を有することが可能である。本明細書に用いる「非弾性ポリマー」は、弾性ポリマーではないいずれかのポリマーを意味する。上記のポリマーを、「低弾性」、「硬弾性率」および「高弾性率」と定義することができる。「永続延伸可能」とは、ポリマーが降伏点を有し、ポリマーがこの降伏点を越えて伸張させると、ポリマーがその元の長さのに戻らないことを意味する。
【0014】
本発明の繊維は、繊維の長さに沿って互いに接着する少なくとも2種のポリマーからなり、各ポリマーが異なる分類(例、ポリアミド、ポリエステルまたはポリオレフィン)に属する場合、本発明の繊維を「二成分」繊維と定義する。ポリマー弾性が著しく異なるならば、同じ分類のポリマーを使用することが可能であり、その結果成形された繊維は「二成分繊維」である。上記の二成分繊維もまた、本発明の範囲内である。
【0015】
本発明に従って、ウィングポリマーおよびコアポリマーの少なくとも1つがもう一方のポリマーに突出する。図1にコアポリマーに突出するウィングポリマーを示し、図2にウィングポリマーに突出するコアポリマーを示す。繊維の層剥離が減少するのに効果的ないずれかの方法によって、コアおよびウィングポリマーの貫入を実現できる。例えば、一実施形態において、貫入するポリマー(例えば、ウィングポリマー)は、歯根のように、貫入されるポリマー(例えば、コアポリマー)の中に突出することが可能なので、複数の突出部が形成される(図3参照)。別の実施形態において、貫入するポリマー(例えば、コアポリマー)は、貫入されるポリマー(例えば、ウィングポリマー)のかなり中まで突出することが可能なので、貫入するポリマーは、スプラインのようである(図4参照)。スプラインは、ほぼ均一な直径を有する。さらに別の実施形態において、ポリマーの少なくとも1種は、1つの単一ウィングがコアに突出するか、或いはコアがウィングに突出する部位を少なくとも1種を有し、突出部には、僅かに遠方へ伸びた端部と、ポリマー残部の少なくとも1種に端部を接合する、縮小されたネック部が含まれ、くびれた部分の少なくとも1箇所をネック部に形成する。図5に、各ウィングポリマーに突出して、上記の遠方へ伸びた端部16および縮小されたネック部18を有するコアポリマーを示す。このように遠方へ伸びた端部と縮小されたネック部によって、互いに接合するウィングおよびコアは、「機械的に固定される」と呼ばれる。製造が簡単で、ウィングとコア間のさらに効果的な接着に関しては、最後に記載した縮小されたネック部を有する実施形態が好ましいことが多い。当業者ならば、他の突出方法を想定することができる。例えば、図6に示すように、コアが1つ以上のウィングの側面の一部を取り囲むことが可能であり、その結果ウィングがコアに貫入する。
【0016】
本発明の繊維には、外半径と内半径(例えば、図1、図2において、各々「R1」および「R2」)を有する軸となるコアが含まれる。外半径は、コアの最も外側の部分に外接する円の半径であり、内半径は、ウィングの最も内側の部分に内接する円の半径である。本発明の繊維において、R1/R2は、概して約1.2より大きい。R1/R2が、約1.3〜約2.0の範囲であるのが好ましい。層間剥離に対する抵抗を低率に下げることが可能であり、高率において、ウィング内の高濃度の弾性ポリマー(またはコア内の高濃度の非弾性ポリマー)が、繊維の伸縮性および回復力を低下させる。コアがウィング内にスプラインを形成する場合、R1/R2は、2に近づく。対照的にウィングまたはコアポリマーのうちの一方が他方のポリマーに突出しない繊維においては、R1はR2に近いので、ウィングもコアも、他方のポリマーに貫入しない。複数のウィングのうち、一部のウィング内のポリマーがコアポリマーに貫入し、コアポリマーが他のウィングのポリマーに貫入する場合には、図2に示すように、R1とR2を、各ウィングに対応して対として定め、各比R1/R2およびR’1/R’2は、概して約1.2より大きく、約1.3〜2.0の範囲が好ましい。別の実施形態において、コアポリマーがウィングの一部に貫入し、隣接したウィングには貫入せず、貫入されたウィングに関して、R1とR2を定める。同様に、ウィングポリマーがコアの一部にだけ貫入する場合、貫入するウィングに関してR1とR2を定める。ウィングの少なくとも1つがコアに貫入するか、或いは、コアがウィングの少なくとも1つに貫入する限り、ウィングに貫入するコア、コアに貫入するウィング、および無貫入のいずれかの組み合わせを、ウィングに用いることが可能である。
【0017】
本発明の繊維は、2次元または3次元のな捲縮をあまり生じることなく、繊維の軸線を旋回しながら撚られる。(上記のような高次の捲縮においては、繊維の軸線自体、Z字形または螺旋形配置であると推定するが、このような繊維は本発明の繊維ではない。)本発明の繊維を、実質的に螺旋撚りを有し、1次元の螺旋撚りを有すると特徴づけうる。「実質的螺旋撚り」には、完全な360°の螺旋撚りは、繊維の所望な伸縮性を達成するためには必要でないと認められているので、弾性コアに完全に巻きつける螺旋撚りと、コアに部分的に巻きつける螺旋撚りの両方が含まれる。実質的螺旋撚りは、ほぼ全て環状であっても、或いは、ほぼ全て非環状であってもよい。「1次元」螺旋撚りとは、2次元または3次元の捲縮を有する繊維と比較すると、繊維のウィングはかなり螺旋状であり、繊維の軸が、低張力である場合でさえも、ほぼまっすぐであることを意味する。しかしながら、一部たるみを有する繊維は、本発明の範囲内である。
【0018】
(まっすぐでない繊維を引っ張ることによって、)繊維をほぼまっすぐにするのに必要な伸縮性から、2次元または3次元の捲縮の有無を判断することが可能であり、螺旋撚りを有する繊維の放射相称の測定である。本発明の繊維は、繊維をほぼまっすぐにするには、約10%未満の伸度が必要であり、さらに典型的には約7%未満の伸度、例えば、約4%〜約6%が必要である。
【0019】
本発明の繊維は、殊に図1および2からわかる通り、ほぼ放射相称断面を有する。「ほぼ放射相称断面」とは、繊維が360/n次(式中、nは繊維の「n次」対称性を表す整数である)まで繊維の軸線の周りを回転すると、前回の回転とほぼ同一断面となるように、ウィングを配置した、次元を有する断面を意味する。サイズ、ポリマーおよびコアの周りの角間隔点から、上記断面はほぼ対称的である。上記のほぼ放射相称の断面は、2次元または3次元の捲縮を殆ど生じることなく、優れた伸縮性および優れた均一性という予期しない組み合わせを付与する。上記の均一性は、繊維を高速で処理する際に、例えば、ガイドおよび編み針を介して、平滑、「ほぐれ」のない布帛、特にメリヤスのような薄手の布帛を成形する際に有益な効果である。ほぼ放射相称な断面を有する繊維、繊維自体は、捲縮の潜在性を備えていない。つまり、本繊維は、2次元または3次元の捲縮をかなり生じる特性を備えていない。一般的には、「Textile Research Journal」1967年6月、p.449参照のこと。
【0020】
最大断面の放射相称に関しては、コアは、例えば、図1および2からわかるように、ほぼ円形または正多面体断面を有すことが可能である。「ほぼ円形」とは、繊維断面の中心で、互いに90°で交差する2本の軸の長さの比が、約1.2:1以下であることを意味する。ウィングの数に関して後に記載するが、米国特許第4,861,660号のコアとは対照的に、ほぼ円形または正多面体のコアの使用により、エラストマーはロール、ガイドなどとの接触から保護される。複数のウィングを、コアの周りに所望のいずれかの方法で、例えば、図1および2に示すように不連続的に、配置することが可能である。つまり、ウィングポリマーは、米国特許第3,418,200号の図4および5に例示する通り、コア上に連続的なマントルを形成しないし、コア表面で交わる隣接するウィングとも連続的なマントルを形成しない。ほぼ放射相称が維持されるならば、ウィングは、同一サイズでも、異なるサイズでもよい。さらに、各ウィングは、ほぼ放射状幾何およびポリマー組成の対称性が、さらにまた維持されるならば、別のウィングの異種ポリマーであってもよい。しかしながら、製造が単純化され、放射相称が容易に達成できるためには、ウィングがほぼ同じ寸法で、同じポリマーもしくはポリマーのブレンドからなるのが好ましい。製造の単純化のためには、ウィングが不連続にコアを取り囲むのが好ましい。
【0021】
繊維断面は、サイズ、ポリマーおよびコアの周りの角間隔点から、ほぼ対称的であるが、不規則な急冷または欠陥のあるポリマー溶融流または欠陥のある紡糸オリフィスのような要因のために、完全な対称性から少し変形した断面が、一般的に、紡糸方法のいずれかで生じると理解されている。例えば、2次元および3次元の捲縮を最小限に抑える一方、1次元の螺旋撚りによって、所望の伸縮性および回復性を有する繊維を提供するといった本発明の目的から逸脱しない範囲であるならば、上記の変形は、許容されると理解する。即ち、米国特許第4,861,660号においてのように、上記繊維は、意図的に非対称に成形されたのではない。
【0022】
ウィングは、接合しているコアから外へ突出して、少なくともコアの回りの一部で、特に効果的な加熱後、複数の螺旋を形成する。繊維が伸張すると、上記螺旋のピッチは、増加する。本発明の繊維は、複数のウィングを有し、好ましくは3〜8つ、さらに好ましくは5〜6つのウィングを有する。使用するウィングの数は、繊維の他の特徴、および繊維成形および使用下における条件によって異なる。例えば、モノフィラメントを、特にさらに高い延伸比および繊維張力で、成形する場合は、5〜6つのウィングを用いる。この場合、ロール、ガイドなどとの接触からエラストマーを保護するのに十分なくらいのウィング間隔が、コアの周りにあることが多いので、たとえ少数のウィングしか使用しないとした場合よりも、破壊、ロール巻付けおよび損耗の影響を受けることが少ない。さらに高い延伸比および繊維張力の効果によって、繊維は、ロール、ガイドにさらに堅固に押し付けられ、ウィングを外側に広げ、弾性コアをロールまたはガイドと接触させる。故に、さらに高い延伸比および繊維張力において、3つ以上のウィングが好ましい。モノフィラメントにおいて、5つまたは6つのウィングが、製造の簡易さおよび縮小されたコアの接触の最適な組み合わせのために、好ましい場合が多い。多繊維糸を望む場合、他の繊維が存在すると、弾性コアとロールまたはガイドとの接触の可能性が減少されるので、僅か2または3つのウィングが使用される。
【0023】
製造の容易さのために、ウィングが不連続にコアを取り囲み、一方コアは、その外面上に、ウィングがコアに接触する点間の非弾性ポリマーの鞘を含むのが好ましい。鞘の厚さは、コア繊維の最大半径の約0.5%〜約15%範囲となりうる。コアとウィングポリマー間にさらに多くの接触点を提供することによって、鞘がウィングのコアへの接着を助長する。二成分繊維中のポリマーが、互いに十分接着しないならば、特に有用な特徴である。特に繊維が少ない数のウィングを有する場合、鞘によって、コアとロール、ガイドなどとの研磨接触も減少できる。
【0024】
本発明の複数のウィングがついた断面を有するコアおよび/またはウィングは、中身が詰まっていてもよいし、或いは中空または空孔を含んでもよい。通常、コアとウィングは両方とも中身が詰まっている。さらに、ウィングは、楕円形状、T形状、C形状、またはS形状などのいずれの形状を有してもよい(例えば、図4参照)。有用なウィング形状の例は、米国特許第4,385,886号に記載されている。前記記載の通り、T形状、C形状、またはS形状は、ガイドおよびロールとの接触から弾性コアを保護する一助となりうる。
【0025】
コアポリマーに対する総ウィングポリマーの重量比を変えて、所望の特性の組み合わせ(例えば、コアの所望の弾性とウィングポリマーの低粘着性のような他の特性)を付与することが可能である。例えば、約10/90〜約70/30、好ましくは約30/70〜約40/60のウィング/コアの重量比を用いることが可能である。繊維を関連のヤーン(例えば、メリヤス)で用いる必要がない場合の使用において、優れた伸縮性と優れた耐久性の組み合わせには、ウィング/コアの重量比が約35/65〜約50/50が好ましい。コアとウィング間の最も良好な接着のためには、通常、総繊維重量の約5重量%〜約30重量%が、コアに貫入する非弾性ポリマーか、或いはウィングに貫入する弾性コアポリマーでありうる。
【0026】
上記に記載の通り、いずれの熱可塑性弾性ポリマーからも本発明の繊維のコアを成形できる。有用なエラストマーの例には、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステルアミドエラストマー、熱可塑性ポリエーテルエステルアミドエラストマーが挙げられる。
【0027】
有用な熱可塑性ポリウレタンコアエラストマーには、グリコールポリマー、ジイソシアナート、およびジオールまたはジアミン鎖増量剤の少なくとも1種から調整されるポリウレタンエラストマーが含まれる。ジオール鎖を使って生成されたポリウレタンは、ジアミン鎖増量剤を用いたポリウレタンよりも低い融点を有すので、ジオール鎖増量剤が好ましい。ポリウレタンエラストマーの調整に有用なグリコールポリマーには、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、およびそれらの共重合体が含まれる。上記のグリコールの例には、ポリ(エチレン−エーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(エチレン−コ−1,4−ブチレンアジパート)グリコール、ポリ(エチレン−コ−1,2−プロピレンアジパート)グリコール、ポリ(ヘキサメチレン−コ−2,2−ジメチル−1,3−プロピレンアジパート)、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジパート)グリコール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンノナネート)グリコール、ポリ(2,2−ジメチル−1,3−プロピレンドデカネート)グリコール、ポリ(ペンタン−1,5−カーボネート)グリコール、およびポリ(ヘキサン−1,6−カーボネート)グリコールが挙げられる。有用なジイソシアナートには、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、1−イソシアナト−2−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、イソホロンジイソシアナート、1,6−ヘキサンジイソシアナート、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)プロパン,1,4−ビス(p−イソシアナト、アルファ,アルファ−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)、2,4−トリレンジイソシアナートが含まれる。有用なジオール鎖増量剤には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル1,3−プロピレンジオール、ジエチレングリコール、およびそれらの組み合わせが含まれる。好適なグリコールポリマーは、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(エチレン−コ−1,4−ブチレンアジパート)グリコール、およびポリ(2,2−ジメチル−1,3−プロピレンドデカネート)グリコールである。1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンは、好適なジイソシアナートである。好適なジオール鎖増量剤は、1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールである。1−ブタノールおよび同類のものなどの単官能基鎖の停止剤を添加して、ポリマーの分子量を制御することが可能である。
【0028】
有用な熱可塑性ポリエステルエラストマーには、低分子量(例えば、分子量約250未満)のジオールを有するポリエーテルグリコールとジカルボン酸またはジカルボン酸のジエステル(例えば、テレフタル酸またはジメチルテレフタラート)の反応によって生成されるポリエーテルエステルが含まれる。有用なポリエーテルグリコールには、ポリ(エチレン−エーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、[テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフランとの共重合によって誘導された]ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコールおよびポリ(エチレン−コ−テトラメチレンエーテル)グリコールが含まれる。有用な低分子量のジオールには、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロピレンジオール、およびそれらの組み合わせが含まれ、1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールが好ましい。有用なジカルボン酸には、テレフタル酸、場合によっては僅かの量(例えば、20モル%未満)のイソフタル酸およびイソフタル酸のジエステルを含有するテレフタル酸が含まれる。
【0029】
本発明の繊維のコアを成形するのに使用される有用な熱可塑性ポリエステルアミドエラストマーには、米国特許第3,468,975号に記載される熱可塑性ポリエステルアミドエラストマーが含まれる。例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−ジ(メチロール)シクロへキサン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールと、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチル−アジピン酸、3−メチルアジピン酸、3,4−ジメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、またはドデカ二酸、またはそれらの酸のエステルとの反応によって生成されたポリエステルセグメントで、上記のエラストマーを調整することができる。上記のポリエステルアミド中のポリアミドセグメントには、ヘキサメチレンジアミンまたはドデカメチレンジアミンと、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸、またはセバシン酸との反応によって調整されるポリアミドセグメント、およびカプロラクタムの開環重合によって調整されたポリアミドセグメントが含まれる。
【0030】
米国特許第4,230,838号に記載されるような熱可塑性ポリエーテルエステルアミドエラストマーを用いて繊維のコアを成形することが可能である。例えば、低分子量(例えば、約300〜約15,000)のポリカプロラクタム、ポリエナントラクタム、ポリドデカノラクタム、ポリウンデカンラクタム、ポリ(11−アミノウンデカン酸)、ポリ(12−アミノドデカン酸)、ポリ(ヘキサメチレンアジパート)ポリ(ヘキサメチレンアゼラート)、ポリ(ヘキサメチレンセバケート)、ポリ(ヘキサメチレンウンデカネート)、ポリ(ヘキサメチレンドデカネート)、ポリ(ノナメチレンアジパート)などと、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、テレフタル酸、ドデカン二酸など、からのジカルボン酸末端基を有するポリアミドプレポリマーを調整することによって、上記のエラストマーを調整できる。プレポリマーは、ヒドロオキシ末端基を有するポリエーテル、例えば、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(エチレン−エーテル)グリコールなどと反応可能である。
【0031】
上記に記載の通り、いずれの非弾性ポリマーまたは硬質ポリマーからも、ウィングを成形できる。上記のポリマーの例には、非弾性ポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィンが含まれる。
【0032】
有用な熱可塑性非弾性ウィングポリエステルには、ポリ(エチレン−テレフタラート)(「2G−T」)およびそれらの共重合体、ポリ(トリメチレンテレフタラート)(「3G−T」)、ポリブチレンテレフタラート(「4G−T」)と、ポリ(エチレン−2,6−ナフタラート)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタラート)、ポリ(ラクチド)、ポリ(エチレン−アゼラート)、ポリ[エチレン−2,7−ナフタラート]、ポリ(グリコール酸)、ポリ(エチレン−スクシナート)、ポリ(アルファ,アルファ−ジメチルプロピオラクトン)、ポリ(パラ−ヒドロオキシベンゾアート)、ポリ(エチレン−オキシベンゾアート)、ポリ(エチレン−イソフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタラート)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラート)、ポリ(デカメチレンテレフタラート)、ポリ(1,4−シクロへキサンジメチレンテレフタラート)(トランス)、ポリ(エチレン−1,5−ナフタラート)、ポリ(エチレン−2,6−ナフタラート)、ポリ(1,4−シクロヘキシリデンジメチレンテレフタラート)(シス)、およびポリ(1,4−シクロヘキシリデンジメチレンテレフタラート)(トランス)が含まれる。
【0033】
好適な非弾性ポリエステルには、ポリ(エチレン−テレフタラート)、ポリ(トリメチレンテレフタラート)、およびポリ(1,4−ブチレンテレフタラート)およびそれらの共重合体が含まれる。ポリ(エチレン−テレフタラート)などの比較的に高融点のポリエステルを用いる場合、換算温度で紡糸できるように、コモノマーをポリエステルに組み入れることも可能である。上記のコモノマーには、炭素数4〜12を有する直鎖、環状、および分岐の脂肪族ジカルボン酸(例えば、ペンタン二酸)、テレフタル酸以外で炭素数8〜12を有する芳香族ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸)、炭素数3〜8を有する直鎖、環状、および分岐の脂肪族ジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、および2,2−ジメチル1,3−プロパンジオール)、および炭素数4〜10を有する脂肪族およびアリール脂肪族エーテルグリコール(例えば、ヒドロキノンビス(2−ヒドロオキシエチル)エーテル)が含まれる。約0.5〜15モル%の濃度範囲でポリエステル中にコモノマーが存在することが可能である。イソフタル酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、1,3−プロパンジオール、および1,4−ブタンジオールは、市販されており、手軽に入手でき、高価でないので、ポリ(エチレン−テレフタラート)の好適なコモノマーである。
【0034】
ウィングポリエステルは、コモノマーが繊維特性に悪作用を有さないならば、僅かの量の別コモノマーを含んで成ってもよい。上記と別のコモノマーには、例えば、約0.2〜5モル%の濃度範囲で、5−ナトリウムスルホイソフタレートが含まれる。非常に少量、例えば、総含有成分を基準として、約0.1重量%〜約0.5重量%の三官能基のコモノマー、例えば、トリメリト酸を粘性制御のために組み入れることが可能である。
【0035】
有用な熱可塑性非弾性ウィングのポリアミドには、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン66)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリエナントアミド(ナイロン7)、ナイロン10、ポリ(12−ドデカノラクタム)(ナイロン12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンセバクアミド(ナイロン6,10)、ポリ(ヘキサメチレンドデカンアミド)(ナイロン6,12)、ドデカメチレンジアミンおよびn−ドデカン二酸酸(ナイロン12,12)のポリアミド、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンとドデカン二酸から誘導されたPACM−12ポリアミド、ヘキサメチレンジアンモニウムイソフタレート30%とヘキサメチレンジアンモニウムアジパート70%のコポリアミド、ビス−(P−アミドシクロヘキシル)メチレン30%までのコポリアミド、およびテレフタル酸とカプロラクタム、ポリ(4−アミノ酪酸)(ナイロン4)、ポリ(8−アミノオクタン酸)(ナイロン8)、ポリ(ヘプタ−メチレンピメリンアミド)(ナイロン7,7)、ポリ(オクタメチレンスベリンアミド)(ナイロン8,8)、ポリ(ノナメチレンアゼルアミド)(ナイロン9,9)、ポリ(デカメチレンアゼルアミド)(ナイロン10,9)、ポリ(デカメチレンセバクアミド(ナイロン10,10)、ポリ[ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)メタン−1,10−デカンジカルボキサミド]、ポリ(m−キシレンアジパミド)、ポリ(p−キシレンセバクアミド)、ポリ(2,2,2−トリメチルヘキサメチレンピメリンアミド)、ポリ(ピペラジンセバクアミド)、ポリ(11−アミノ−ウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、およびポリ(9−アミノノナン酸)(ナイロン9)ポリカプロアミドが含まれる。コポリアミドは、例えば、ヘキサメチレン成分が、誘導されたジアミン総成分の約75〜90モル%存在することが可能であるポリ(ヘキサメチレンコ−2−メチル−ペンタメチレンアジパミド)を用いることも可能である。
【0036】
有用なポリオレフィンには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンタン、1種以上のエチレンまたはプロピレンと別の不飽和モノマーとの共重合体およびターポリマーが含まれる。例えば、非弾性ポリプロピレンウィングと弾性ポリプロピレンコアを含んでなる繊維は、本発明の範囲内であり、上記の繊維は二成分繊維である。
【0037】
弾性ポリマーと非弾性ポリマーの組み合わせは、ポリエーテルアミド(例えば、ポリエーテルエステルアミド)エラストマーのコアとポリアミドのウィング、ポリエーテルエステルエラストマーコアとポリエステルウィングの組み合わせを含むことが可能である。例えば、ウィングポリマーは、ナイロン6−6、およびそれらの共重合体、例えば、ヘキサメチレン成分が約80モル%存在し、場合によっては、約1重量%〜約15重量%までのナイロン−12を混合したポリ(ヘキサメチレンコ−2−メチル−ペンタメチレンアジパミド)を含有することが可能であり、コアポリマーは、弾性のセグメント化ポリエーテルエステルアミドを含有することが可能ある。「セグメント化ポリエーテルエステルアミド」は、ハードセグメント(短鎖ポリアミド)とソフトセグメント(長鎖ポリエーテル)が共有接合したポリマーを意味する。同様の定義がセグメント化ポリエーテルエステル、セグメント化ポリウレタンなどに当てはまる。特にコアが、PEBAXTM3533SN(Atofina)に基づく場合、ナイロン12により、ウィングとコアの接着は改善できる。別の好適なウィングポリマーは、ポリ(エチレン−テレフタラート)、およびそれらの共重合体、ポリ(トリメチレンテレフタラート)、ポリ(テトラメチレンテレフタラート)の群から選択される非弾性ポリエステルを含有することが可能であり、ウィングポリマーと共に用いるのに適切な弾性コアは、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールおよびポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコールの群から選択されるポリエーテルグリコールとテレフタル酸またはジメチルテレフタラートとの反応生成物を含んでなるポリエーテルエステルと、および1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールの群から選択される低分子量のジオールとを含んでなる。
【0038】
本明細書に記載の通り、弾性ポリエーテルエステルコアを、非弾性ポリアミドウィングと共に用いることも可能であり、特に、接着促進添加剤を用いる場合に可能である。例えば、上記の繊維のウィングは、(a)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)およびそれらと2−メチル−ペンタメチレンジアミンの共重合体と(b)ポリカプロラクタムとの群から選択され、上記繊維のコアは、(a)ポリエーテルエステルアミドおよび(b)ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールまたはポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコールとテレフタル酸またはジメチルテレフタラートとの反応生成物、および1,3−プロパンジオールと1,4−ブテンジオールの群から選択されるジオール、の群から選択されること可能である。
【0039】
上記記載のポリマーを生成する方法は、当技術分野では周知であり、当技術分野において周知である触媒、共触媒、および鎖分岐剤の使用を含んでもよい。
【0040】
繊維を伸張し、弛緩する場合に、コアの優れた弾性により、接合するウィングがコアを撚り合わせるように、コアは圧縮力および伸長力を取り入れることが可能である。それらの接合が非常に弱いならば、上記の力は、2種のポリマーの層間剥離の原因と成りうる。本発明は、場合によっては、ウィングとコアポリマーを機械的固定する方法を用い、結合力を高め、繊維処理および使用時に、層間剥離をさらに最小限に抑える。ウィングおよびコア組成の選択および/またはどちらか一方または両方のポリマーに接着促進添加剤を使用することによって、コアとウィング間の接合をなおさらに強化することが可能である。各々ウィングに、或いは一部だけのウィングに、接着プロモーターを使用することが可能である。従って、個々のウィングは、コアへ異なる程度で積層を有することが可能であり、例えば、ウィングの一部を意図的に層間剥離することが可能である。上記の添加剤の一例は、総ウィングポリマーを基準として、例えば5重量%のナイロン12であり、つまりポリ(12−ドデカノラクタム)、また「12」または「N12」として周知であり、Rilsan(登録商標)「AMNO」としてAtofinaから市販されている。また、無水マレイン酸の誘導体(例えば、Bynel(登録商標)CXA、E.I.du Pont de Nemours and Companyの登録商標、或いはAtofina社のLotader(登録商標)エチレン/アクリルエステル/無水マレイン酸ターポリマー)を用いてポリアミドへの接着を改善するポリエーテル−アミドエラストマーに改質することが可能である。
【0041】
別の実施例の通り、約400〜約5000範囲の平均分子量を有する熱可塑性ボラック樹脂、例えば、HRJ12700(Schenectady International)を弾性(コ)ポリエーテルエステルコアに添加して、(コ)ポリアミドウィングへの接着を改善し得る。ノボラック樹脂の量は、1〜20重量%範囲で、さらに好ましくは、2〜10重量%であるべきである。本明細書において有用なノボラック樹脂の例には、非限定ではあるが、フェノール−ホルムアルデヒド、レソルシノール−ホルムアルデヒド、p−ブチルフェノール−ホルムアルデヒド、p−エチルフェノール−ホルムアルデヒド、p−ヘキシルフェノール−ホルムアルデヒド、p−プロピルフェノール−ホルムアルデヒド、p−ペンチルフェノール−ホルムアルデヒド、p−オクチルフェノール−ホルムアルデヒド、p−ヘプチルフェノール−ホルムアルデヒド、p−ノニルフェノール−ホルムアルデヒド、ビスフェノール−A−ホルムアルデヒド、ヒドロオキシナプタレンホルムアルデヒド、およびアルキル−(t−ブチル−など)ロジン(特に、部分的にマレイン酸エステル化されたロジン)のフェノール改質エステル(ペンテリトリトールエステルなど)が挙げられる。コポリエステルエラストマーとポリアミド間の改善された接着を提供する技術の例に関しては、米国特許出願公開第09/384,605号(1999年8月27日出願)を参照のこと。
【0042】
無水マレイン酸(「MA」)と官能基を形成するポリエステルを、接着促進添加剤として使用してもよい。例えば、ポリ(ブチレンテレフタラート)(「PBT」)は、J.M.Bhattacharya著「ポリマー・インターナショナル(PolymerInternational)」2000年8月,49:8,pp.860−866に基づいて、ツインスクリュー押出機内で、フリーラジカルグラフトによって、MAと官能基を形成することが可能であり、J.M.Bhattacharyaは、結果として生成したPBT−g−MAの数重量%を、ナイロン66を有するポリ(ブチレンテレフタラート)とナイロン66を有するポリ(エチレン−テレフタラート)との二成分ブレンド用の相溶化剤として、用いたことも報告した。例えば、上記の添加剤を使用して、(コ)ポリアミドウィングを本発明の繊維のポリエーテルエステルコアにさらにしっかりと接着しうる。
【0043】
本発明に用いるポリマーおよび結果として生じる繊維、ヤーン、および製品は、従来の添加剤を含有することが可能であり、添加剤は重合方法中、或いは、生成したポリマーまたは製品に添加され、ポリマーまたは繊維の特性の改善に寄与する。上記の添加剤の例には、静電防止剤、酸化防止剤、抗菌剤、防炎化剤、染料、耐光剤、重合触媒および補助剤、接着助触媒、艶消剤(二酸化チタンなど)、艶消剤(matting agents)および有機リンが挙げられる。
【0044】
例えば、紡糸および/または延伸方法中に、繊維に加えてもよい他の添加剤には、静電防止剤、滑面剤(slickening agent)、接着助触媒、親水性酸化剤防止剤、抗菌剤、防炎化剤、潤滑剤およびそれらの組み合わせが挙げられる。さらに、上記の追加の添加剤を、当技術分野では周知である方法の様々な工程中に添加してもよい。
【0045】
上記の記載は、繊維がほぼ放射相称な(対称性など)断面を有す場合の利益を中心に取り扱い、望まれることが多いが、以下の本発明の実施形態に関しては必要でない。
(a)伸縮可能な合成高分子繊維は、約1未満の層間剥離の等級、少なくとも約20%のボイルオフ後収縮率を有する。
(b)伸縮可能な合成高分子繊維は、少なくとも約20%のボイルオフ後収縮率を有し、繊維をほぼまっすぐに伸ばすために約10%未満の伸度が必要である。
(c)伸縮可能な合成高分子繊維は、弾性ポリマーを含んで成る軸となるコアと、コアに接合し、非弾性ポリマーを含んでなる複数のウィングを備え、コアは、その外面上に、ウィングがコアに接触する点間の非弾性ポリマーの鞘を含む。
(d)伸縮可能な合成高分子繊維は、弾性ポリマーを含んでなる軸となるコアと、コアに接合し、非弾性ポリマーを含んでなる複数のウィングを備え、コアは、ほぼ円形または正多面体断面有す。または、
(e)伸縮可能な合成高分子繊維は、弾性ポリマーを含んでなる軸となるコアと、コアに接合し、非弾性ポリマーを含んでなる複数のウィングを備え、少なくとも1つのウィングがT、C、またはS形状を有する。
【0046】
本発明の繊維は、連続フィラメント(マルチフィラメント糸またはモノフィラメントのどちらか)または(例えば、トウまたはスパンヤーンをはじめとする)スフ形状で存在することが可能である。本発明の延伸繊維は、約1.5〜約60の繊維当たりのデニール(約1.7−67dtex)を有することが可能である。ポリアミドウィングを有する本発明の完全延伸繊維は、通常、ウィング/コア比に応じて、約1.5〜3.0g/dtexの靭性を有し、ポリエステルウィングを有する繊維は、約1〜2.5g/dtexを有する。最終繊維は、少なくとも約20%のボイルオフ後の伸度を有することが可能である。本発明の繊維から成形される布帛でのさらに高い伸縮性および回復性を得るために、本繊維は、少なくとも約45%のボイルオフ後の伸度を有することが可能である。
【0047】
複数の繊維を含んでなるヤーンを成形する場合、繊維は、いかなる所望の繊維番手、いかなる所望のdpfでもよく、弾性ポリマー対非弾性ポリマーの比は、繊維によって異なってもよい。マルチフィラメント糸は、複数の異なる繊維、例えば、2〜100の繊維を含有することが可能である。さらに、本発明の繊維を含んでなるヤーンは、繊維当たりの線密度範囲を有することができ、本発明でない繊維も含んでなる。
【0048】
本発明の合成高分子繊維を用いて、製織、たて編み、横編み(円形を含む)またはメリヤス編みをはじめとする周知の方法によって、布帛を成形してもよい。上記の布帛は、優れた伸縮性および回復力を有する。本繊維は、室内装飾用品などの織物および布帛において、および(ランジェリーおよび靴下をはじめとする)被服などにおいて有用であり、狭義の衣類を含めて全てまたは一部の衣類を成形することが可能である。本発明の繊維およびヤーンを用いて成形したメリヤスおよび布帛などのアパレルは、良好な伸張および回復性を有すると共に、平滑、軽量、およびかなり均一(「さらにほぐれがない」)と確認されている。
【0049】
さらに本発明に基づいて、連続ポリマー繊維を紡糸する溶融紡糸方法を提供する。本方法を、本発明の繊維の製造に使用可能な装置の概略図である図7を参照して説明する。しかしながら、他の装置を使用してもよいことを理解しておくべきである。本発明の方法は、弾性ポリマーを含んで成る軸であるコアと、コアに接合し、非弾性ポリマーを含有する複数のウィングとを含む複数の伸縮可能な合成高分子繊維を成形するために、弾性ポリマーを含有する溶融物を紡糸口金へ通すことを備える。図7を参照すると、熱可塑性硬質ポリマー供給材料(図示せず)を20で導入し、積み重ねプレート紡糸口金の組み立て部品35へ送り、熱可塑性弾性ポリマーの供給材料(図示せず)を22で導入し、紡糸パック組み立て部品30へと送る。前合体または後合体の紡糸口金パックを使用することが可能である。所望の断面を得られるよう設計されたオリフィスを有する積み重ねプレート紡糸口金組み立て部品35から、上記の2種のポリマーを、未延伸フィラメント40として押し出すことが可能である。本発明の方法には、さらに、フィラメントが紡糸口金の毛細管を出た後、例えば、図7の50で冷却空気を用いるなどの既知の方法で、繊維を冷却するためのフィラメントの急冷も含まれる。横流空気または半径方向に流れる空気など、いかなる適切な急冷方法をも使用してもよい。
【0050】
場合によっては、図7に示す通りの仕上げ用アプリケータ60で、既知の技術を用いて、シリコーン油または状況に応じてステアリン酸マグネシウム等の仕上げ剤でフィラメントを処理する。上記のフィラメントを、急冷後、延伸し、少なくとも約20%のボイルオフ後の伸度を呈する。例えば、延伸フィラメント100を成形するのに、図7に示す、供給ロール80(運転速度:150〜1000メートル/分)と延伸ロール90の間に、少なくとも1回、延伸工程で、フィラメントを延伸してもよい。完全延伸糸を成形するには、延伸工程は紡糸と共に行われ、或いは、部分延伸糸を所望するならば、紡糸と延伸の間で時間的ずれがある層剥離方法において行われる。ヤーンのたて糸として、フィラメントを巻き取り中に、延伸を完了することも可能であり、当業者に「延伸整経(draw warping)」と呼ばれている。(フィラメントを破壊することにより処理に支障を来たすもの以外の)いかなる所望の延伸比をフィラメントに付与することが可能であり、例えば完全延伸糸は約3.0〜4.5倍、部分延伸糸は1.2〜3.0倍の延伸比で、成形可能である。本明細書において、延伸比は、延伸ロール90の周速を供給ロール80の周速で割ったものである。約15〜100℃で延伸を実施可能であり、通常は、約15〜40℃で実施する。
【0051】
場合によって、例えば、図7の110で水蒸気を用いて、延伸フィラメント100を、部分的に弛緩することが可能である。紡糸中は、いかなる量の熱弛緩も実施可能である。弛緩の量が多いほど、フィラメントの弾性はさらに強くなり、以後の工程での収縮が少なくなる。下記の通りに弛緩後、最終延伸フィラメントは、少なくとも約20%のボイルオフ後の伸度を有することが可能である。巻き取り前に、紡糸直後のフィラメントを、延伸フィラメントの長さを基準にして約1〜35%まで熱弛緩するのが好ましく、その結果、通常の硬質糸として扱うことができる。
【0052】
急冷、延伸、場合によっては弛緩が施されたフィラメントを、その後、図7のワインダー130で、200〜約3500メートル/分、最大4000メートル/分の速度で、巻き取って回収できる。または複合繊維を紡糸し、急冷するならば、繊維を集束し、場合によっては交錯することが可能であり、例えば、最大4000メートル/分まで、例えば、約200〜3500メートル/分の範囲で、巻き取ることができる。図7のワインダー130で、モノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸も同じ方法で巻き取りうる。マルチフィラメントを紡糸し、急冷する場合、当技術分野において施されている巻き取りに先立って、集束し、場合によっては交錯することが可能である。
【0053】
所望の伸縮性および回復性に高めるために十分に弛緩が行われる間、延伸後であればいつでも、二成分フィラメントに、乾式または湿式熱処理を施してもよい。フィラメント成形中(例えば、上記に記載の弛緩工程)、または、フィラメントをヤーンまたは布帛に組み込み後(例えば、精錬、染色の間など)に、上記の弛緩を実施することが可能である。繊維またはヤーン形状における熱処理を、例えば、熱間ロール、温チェストを用いて、またはジェットスクリーン嵩高工程において実施することができる。上記の弛緩熱処理を非弾性繊維のやり方で処理できるように、繊維がヤーンまたは布帛状になった後に行うのが好ましいが、望むならば、高伸度繊維として巻き取る前に、熱処理および完全弛緩することが可能である。さらに均一に、繊維を熱処理および弛緩して、さらに高い均一性の最終布帛を得ることが可能である。熱処理および弛緩温度は、熱媒体がドライエアの場合約80℃〜120度、熱媒体が温水の場合約75℃〜100℃、熱媒体が加圧水蒸気(例えば、オートクレーブ内)の場合約101℃〜115℃の範囲である。温度が低すぎると熱処理が僅かか、或いは全く行われないという結果を招き、温度が高すぎると弾性コアポリマーを溶融しうる。熱処理/弛緩工程を、概して数秒以内に完了できる。
【0054】
上記に記載の通り、紡糸口金毛細管は、本発明の所望の繊維断面に対応した、または上記記載通り、他の(異なる分類に属する)二成分繊維または(弾性が著しく異なる同じ分類に属する)二成分繊維を製造するための設計を有する。米国特許第5,168,143号に記載されているレーザー切削、当技術分野では、既知の穿孔、放電加工(EDM)、および打ち抜きなどのいずれかの適切な方法を用いて、毛細管または紡糸口金毛細管を切削してもよい。本発明の繊維断面の対称性を適切に保つようにレーザー光線を用いて、毛細管オリフィスを切削することができる。紡糸口金毛細管のオリフィスはいかなる適切な寸法をも有することが可能で、連続毛細管(前合体)または不連続毛細管(後合体)に切削することが可能である。ポリマーが、紡糸口金表面下で接合し、本発明の複数のウィング断面を形成するようなパターンで、小さな孔を開けることにより、不連続毛細管を獲得してもよい。
【0055】
例えば、図8、8A、8Bおよび8Cに例示するように、前合体の紡糸口金パックで、本発明のフィラメントを成形することが可能である。図8は、図7に示す積み重ねプレート紡糸口金組み立て部品の断面図であるが、図8のポリマーの流れは矢印F方向である。紡糸口金組み立て部品の1段目のプレートは、ポリマー溶融プールを含むプレートDで、従来型の設計である。プレートDは、調量プレートC(図8Cに断面図を示す)の上に載り、プレートCは、順番に、任意の分配プレートB(図8Bに断面図を示す)の上に載り、プレートBは、紡糸口金プレートA(図8Aに断面図を示す)の上に載り、紡糸口金組み立て部品支持プレートEが支えている。調量プレートCはその下に分配プレートBになるように位置決めされてプレートBと接触し、分配プレートは毛細管を有するが十分な座ぐりのない紡糸口金プレートAの上に位置決めされてプレートAと接触し、紡糸口金プレートは位置決めされて、毛細管より大きい孔を有する紡糸口金支持プレート(E)と接触する。調量プレートCへ供給されるポリマーが、分配プレートB、紡糸口金プレートAおよび紡糸口金支持プレートEを通過して、繊維を成形するように位置決めされている。調量プレートに供給するのに、従来型のプレートである溶融プールプレートDを用いる。ポリマー溶融プールプレートDおよび紡糸口金組み立て部品支持プレートEは、紡糸口金組み立て部品の積み重ねプレート間からのポリマーの漏れを防止するために互いにしっかりと圧着されるように、十分に厚く、剛体である。プレートA、BおよびCは、レーザー光線の手法でオリフィスを切削できるように、十分に薄い。紡糸口金支持プレート(E)の孔は、紡糸直後の繊維が孔の縁に接触しないように、例えば、45°〜60°のフレアであるのが好ましい。また、ポリマーの前合体を望む場合、調量プレートC、任意の分配プレートDおよび紡糸口金設計Eの意図する断面形状が、繊維にさらに正確に現れるように、繊維が形成される前に、ポリマーを互いに約0.30cm未満、概して0.15cm未満接触させる(前合体)のが好ましい。固体レーザーからのマルチモード光線が、好ましいシングルモード光線(例えば、TM00モード)に弱まり、直径100ミクロン未満で、金属板の0.2〜0.3mm上の地点に焦点を合わせる、米国特許第5,168,143に記載の通り、プレートに孔を切削することで、繊維断面のさらに明確な定義を促すことができる。レーザー光線と同軸方向に流れる加圧された流体によって、結果として生じる溶解金属を金属板の下面から排出する。最上層の分配プレートの最上部から紡糸口金面までの距離を約0.30cm未満に縮小することが可能である。
【0056】
対称的に配置されるウィングポリマー部をいくつか有するフィラメントを成形するには、各プレートで、対称的に配置された同数のオリフィスを用いる。例えば、図8Aに、紡糸口金プレートAを、図7の積み重ねプレート紡糸口金組み立て部品に対して90°方向づけた平面図で示す。図8AのプレートAは、中央の円形紡糸口金孔142に接続する、対称的に配置された6つのウィング紡糸口金オリフィス140からなる。ウィングオリフィス140各々が、異なる幅144および146を有する。図8Bに、中央の円形の孔156に分配オリフィスを接続する任意のスロット154に向って開放端152が先細りする分配オリフィス150を有する補助的な分配プレートBを示す。図8Cに、ウィングポリマー用の調量毛細管160およびコアポリマー用の調量毛細管162を有する調量プレートCを示す。ポリマー溶融プールプレートDは、当技術分野における従来設計のいずれのものでもよい。図7および図8に側面図で示すように、紡糸口金支持プレートEは、フィラメントが孔の縁に接触しないように十分な大きさで、新たに紡糸されるフィラメントの経路から(例えば45°〜60°で)フレアをつけた通し孔を有する。コアポリマーが、ポリマー溶融プールプレートDから、調量プレートCの中央の調量孔162および6つの小さな毛細管164を通過して、分配プレートBの中央の円形毛細管156を通り、紡糸口金組み立て部品プレートAの中央の円形毛細管142を経て、紡糸口金支持プレートEの大型のフレア孔を通過して流れるように、積み重ねプレート紡糸口金組み立て部品のプレートA〜Dは、位置決めされている。同時に、ウィングポリマーは、ポリマー溶融プールプレートDから、調量プレートCのウィングポリマー調量毛細管160を通り、分配プレートB(任意のスロット154がある場合は、2種のポリマーが互いに最初に接触する)の分配オリフィス150を経て、紡糸口金プレートAのウィングポリマーオリフィス140を経て、最後に紡糸口金組み立て部品支持プレートEの孔を通って流れる。
【0057】
本発明の紡糸口金パックを多種の合成ポリマーの溶融押出に利用して、繊維を製造することが可能である。本発明の紡糸口金パックでは、紡糸口金プレートに十分な座ぐりがないので、ポリマーを紡糸口金毛細管に直接供給できる。十分な座ぐりがないということは、(多数の毛細管の入り口に接続する全てのくぼみを含んで)存在するいずれの座ぐりの長さも、紡糸口金毛細管の長さの約60%未満であり、約40%未満であるのが好ましいことを意味する。従来技術の紡糸口金プレートの断面図である図9Aと、本発明の紡糸口金プレートの断面図である図9BおよびCを参照のこと。繊維形成オリフィスの後部入り口の特定箇所で、多成分ポリマーストリームを直接に調量することにより、規定通りではあるが、基本的に紡糸口金オリフィスの前に供給チャネルで多成分ポリマーストリームを混合する場合に生じる、ポリマー移動の問題を回避できる。
【0058】
引き込み溝を接続するプレートを通る適切な通し穴を有する単一プレートの片側または両側にある引き込み溝を利用して2つのプレートの機能を一体化させることは有用である。例えば、くぼみ、溝および凹部は、紡糸口金プレートの上流側で(例えば放電加工で)切削可能であり、分配チャネルまたは浅く不十分な座ぐりとしての役割を果たすことが可能である。
【0059】
本発明の紡糸口金パックで、2種以上のポリマーを含んでなる様々な繊維を成形できる。例えば、米国特許第4,861,660、同3,458,390号、および同3,671,379号に開示される断面をはじめとして、本明細書に開示および/または記載されていない他の(異なる分類に属する)二成分および(弾性が著しく異なる同分類に属する)二成分繊維をも成形可能である。結果として生じる繊維断面は、例えばサイド・バイ・サイド型、偏心シース・コア型、同心シース・コア型、ウィング・コア型、ウィング・シース・コア型などの断面でありうる。さらに、本発明の紡糸口金パックを用いて、分裂可能な繊維(スプリット繊維)または非分裂繊維を紡糸することが可能である。
【0060】
本発明の紡糸口金パックを修正して、様々なマルチウィング繊維を実現することが可能であり、例えば、フィラメントまたはヤーンの番手ごとに異なるデニールを有する製品を求める必要性に応じて、または多種の合成ポリマーでの使用に対する願望に応じて幾何学的パラメーターを変更するために、様々な所望のウィング番手に合わせて毛細管の数を変えることによって、スロットの寸法を変更するなどして、実現される。例えば、図10の実施形態に、以下のの実施例7で例証する通り、3つのウィングを有する繊維を成形するのに用いる相対的に薄い紡糸口金パックを示す。図10Aにおいて、紡糸口金プレートは厚さ0.015インチ(0.038cm)であり、本明細書に開示するレーザー光線の方法で、十分に厚みのあるステンレス鋼を切削し、各々2つの幅(各々長さ144と146)を有す3つのまっすぐなウィング140の形状で、対称中心の周りで120°離れて対称的に配置されたオリフィスを有し、毛細管オリフィス上に座ぐりは存在しなかった。各ウィング140は、先端から、中心が対称中心と一致する直径0.012インチ(0.030cm)の中央の円形紡糸口金孔142の外周まで、0.040インチ(0.102cm)の長さであった。次に図10Bを参照すると、厚さ0.010インチ(0.025cm)の分配プレートBは、分配プレートBの他の全てのウィングオリフィス150が紡糸口金プレートAのウィング140と共に位置決めされるように、紡糸口金プレートAと同軸方向に位置決めされ、分配プレートBの各ウィングオリフィス150の先端から対称中心までの長さは0.1375インチ(0.349cm)であった。調量プレートC(図10C)は、厚さ0.010インチ(0.025cm)で、直径0.025インチ(0.064cm)の孔160、直径0.015インチ(0.038cm)の孔162、および直径0.010インチ(0.025cm)の中央の孔164を有した。プレートCは、分配プレートBと共に位置決めされ、その結果、使用時に、溶融プールプレートD(図10参照)によって、孔160に供給されるウィングポリマー、および分配プレートCの孔162および164に供給されるコアポリマーを、プレートBが、プレートAに分配して、ウィングがコアに貫入した繊維が形成される。紡糸口金プレートAには座ぐりは存在せず、プレートA、BおよびCを合体した厚みは、たった約0.035インチ(0.089cm)であった。
【0061】
別の紡糸口金パック組み立て部品の実施形態において、紡糸口金支持プレートE(図8参照)を使用しなかった。これは、以下の実施例8で例証する。図11Aにおいて、紡糸口金プレートAは、厚さ0.3125インチ(0.794cm)であり、各紡糸オリフィスは、直径0.100インチ(0.254cm)の座ぐりを有し、座ぐりの下部に、長さ0.015インチ(0.038cm)の毛細管を有した。図11Aで示す通り、紡糸口金プレートAの各紡糸口金オリフィスは、6つのまっすぐなウィングオリフィス170を有し、各ウィングオリフィスは、対称中心を通過する長軸中心線を有し、先端から中心の孔172の外周まで、0.035インチ(0.089cm)の長さを有した。各ウィングの先端から0.015インチ(0.038cm)の長さ174は、幅0.004インチ(0.010cm)であり、長さ176は、長さ0.020インチ(0.051cm)、幅0.0028インチ(0.007cm)であった。各ウィングの先端は、先端幅の2分の1に半径で切り取られている。分配プレートB(図11B参照)は、厚さ0.015インチ(0.038cm)であり、6つのウィングオリフィスを有し、プレートBの各ウィングオリフィスは、紡糸口金プレートAの対応する座ぐりの上に中心を置き、方向を合わせ、各ウィングオリフィスをプレートAのウィングオリフィスと共にアリメントした。プレートBの各ウィングオリフィス150は、長さ0.060インチ(0.152cm)、幅0.020インチ(0.051cm)であり、その先端を半径0.010インチ(0.254cm)に丸くした。プレートBの中央の孔152は、半径0.100インチ(0.254cm)であった。調量プレートC(図11Cを参照)も厚さ0.015インチ(0.038cm)であった。プレートCにおいて、孔160は、半径0.008インチ(0.020cm)であり、プレートB、プレートAの繊維のコアが形成される中央の孔162の中心からは0.100インチ(0.254cm)であった。非弾性ウィングポリマーを、プレートCの孔160に供給し、プレートBおよびAのウィングオリフィスを通過させて繊維のウィングを形成する。ウィングおよびコアポリマーを、(直径0.080インチ(0.203cm)であった)繊維が押し出される紡糸口金プレートAの表面より0.328インチ(0.833cm)上にある分配プレートBの最上部で最初に接触させる。プレートCの6つの孔160が、プレートBのウィングオリフィス150の中心線上部にあるように、プレートCはプレートBと共に位置決めされる。プレートCの孔162に供給される弾性コアポリマーが、中心を通過するように、プレートを位置決めした。
【0062】
以下の非限定の実施例によって、本発明を例証する。以下の試験方法を用いた。
【0063】
(試験方法)
用語ボイルオフ後の伸度は、当技術分野において、以下の用語、「伸張%」、「回復可能な伸張」、「回復可能な収縮」および「潜在的捲縮」とそれぞれ交換して使用できる。用語「回復不可能な収縮」は、以下の用語、「収縮%」、「見かけの収縮」および「絶対収縮」とぞれぞれ交換して使用できる。
【0064】
実施例1.A、B、C、およびDで調整した繊維の伸縮性(ボイルオフ後の伸度、ボイルオフ後収縮率およびボイルオフ後の伸縮回復)を、以下の通り検定した。5000デニール(5550dtex)かせを54インチ(137cm)のリール上に巻いた。ループかせの両側を総デニールに含んだ。初期のかせ長を、2グラム重(長さCB)と1000グラム重(0.2g/デニール)(長さLB)で測定した。かせを95℃の温水中に30分間浸漬して(「ボイルオフ後」)、初期(ボイルオフ後)の長さを、2グラム重(長さCA初期)と1000グラム重(長さLA初期)で、測定した。1000グラム重で測定後、30秒後(長さCA30 秒)および2時間後(長さCA2 時間)に、2グラム重で、追加の長さを測定した。ボイルオフ後の収縮を、100x(LB−LA)/LBとして、計算した。ボイルオフ後の伸張パーセント(伸度)を100x(LA−CA@30秒)/CA@30秒として、計算した。ボイルオフ後の回復率を、100x(LACA2 時間)/(LA−CA初期)として計算した。
【0065】
20%および35%の有効伸度での無負荷試験を以下の通り実施した。ボイルオフ後5000(5550dtex)の総デニールを有する二成分繊維かせを調整した。ループかせの両側を総デニールに含んだ。21℃、65%相対湿度で、インストロン引張試験機(Canton,MA)を使用した。3インチ(76mm)隙間で、かせを試験機のジョーに置いた。試験機を3周期の伸張−弛緩(負荷−無負荷)で循環し、各負荷サイクルが、最大値500グラム重(0.2グラム/デニール)を有した後、3回目の無負荷サイクルにおける力を検定した。実効デニール(つまり、試験伸長時の実測線密度)を、3回目の無負荷サイクルでの20%および35%の有効伸度に関して決定した。「20%および35%有効伸度」とは、かせが、3回目のサイクルでの500グラム重から、各々20%と35%弛緩されることを意味する。20%および35%の有効伸度での無負荷重をミリグラム/実効デニール(mg/デニール)で記録した。
【0066】
5000デニール(5550dtex)かせ(かせのサイズは結果として現れたループを含む)を1.25メートルのリール上で巻いて、1回目の巻きで、繊維のコアからのウィングの層間剥離を検定した。オートクレーブ中で102℃の水蒸気に、かせを30分間さらした。20m長の個々の繊維かせから選んで、半分に1回折りたたんだ。結果として現れたループの開放端を下部で一緒にテープで巻き、テープで巻いたループをフックに垂直にかけた。1グラム/デニール(25デニールループに対して50グラム)の重りをループの端(テープで巻かれた)下部に取り付けた。ループが緩む点まで重りを増加後、ループを伸張し、全重をかけるために徐々に重りを減らた。10回の上記サイクル後、拡大して層間剥離を検査し、評価した。上記のサンプルを以下の通りに評価した。
0=繊維の辺りに肉眼ではウィング/コア層間剥離を観察しない
1=1つ以上のノード反転に僅かな層間剥離を観察
2=繊維が懸かっているフックに擦れ合う際に層間剥離を観察
3=周縁の層間剥離(小さなループで、2,3の箇所だけで)
4=小さいループが全繊維に沿って層間剥離を示す
5=大層間剥離(繊維に沿った全体で大きなループ)
【0067】
3つのサンプルの結果を平均した。
【0068】
円(R1)がコアポリマーのおよそ最外側に外接し、(R2)がウィングポリマーのおよそ最内側に内接するように、繊維断面の顕微鏡写真に重ね合わせて、R1およびR2を測定した。
【0069】
(実施例)
実施例1
各延伸繊維は、26デニール(28.6dtex)の線密度を有し、ほぼ放射相称であった。ボイルオフ後特性を表1に公表する。
【0070】
(実施例1.A(比較例))
図7に図示する装置および図8の積重ねプレート紡糸口金アセンブリを用いて、二成分繊維を紡糸した。繊維のコアを形成する第一ポリマーを図7の20で紡糸フィルターパック30に導入した。コアポリマーは、ポリエーテルエステルアミド(PEBAXTM3533SN、Atofina社から)であり、容積を測定して、各繊維51重量%のコアを成形した。図7の22で、紡糸フィルターパック30に、溶融ナイロン共重合体を導入した。6つのウィングを形成したナイロン共重合体は、ヘキサメチレン成分がジアミン誘導成分80モル%で存在するポリ(ヘキサメチレンコ−2−メチルペンタメチレンアジパミド)であった。コアがウィングへのかなり貫入またはウィングがコアへのかなり貫入はなかった(R1/R2=1.09)。
【0071】
前合体の紡糸口金パックアセンブリは、A〜Eのラベル付積重ねプレートからなり、図8に側面図を示す。米国特許第5,168,143号に記載される通りの方法を用いて、6つのウィングが対称中心の周りに、60°で対称的に配置されるように、0.015インチ(0.038cm)厚のステンレス鋼の紡糸口金プレートAを通り抜けてオリフィスを切削した。図8Aに図示するように、各ウィングオリフィス140は、対称の中心を通過する長軸中心線に垂直であり、端から、対称の中心と同じ半径原点を有する中央の円形紡糸口金孔142(直径0.012インチ[0.030cm])の外周まで、0.049インチ(0.124cm)の長さを有した。紡糸口金の毛細管への入口に座ぐりはなかった。端から0.027インチ(0.069cm)までのウィングの長さ144は、0.0042インチ(0.0107cm)幅であり、0.022インチ(0.056cm)の残りの長さ146は、0.0032インチ(0.0081cm)幅であった。各ウィングの端は、端の幅の2分の1に半径で切り取られている。分配オリフィスが紡糸口金プレートAの紡糸口金オリフィスと相合するように、0.015インチ(0.038cm)厚の分配プレートB(図8B)を、紡糸口金プレートA(図8A)と共に位置決めした。プレートBの6つウィングオリフィス150は、長さ0.094インチ(0.239cm)、幅0.020インチ(0.051cm)であり、それらのウィング端を、それらの幅の2分の1の半径に丸みをつけた。図8Bに図示する通り、分配プレートBの各6つのウィングオリフィス150は、丸みのある0.006インチ(0.015cm直径)の開放端で先細にした後、長さ0.013インチ(0.033cm)と長さ0.0018インチ(0.0046cm)のスロット154として、中央の孔156まで延ばした。このプレートの中央の孔156は、直径0.0125インチ(0.032cm)であった。スロット154は、中央の孔を各ウィングの分配オリフィスの端に接続した。調量プレートCは、0.010インチ(0.025cm)の厚さである(図8C参照)。各調量孔をウィングの長軸中心線の上または分配プレートBの対称中心の上の中央に置いた。中央の調量孔162とウィング当たり1つの孔160は、直径0.010インチ(0.025cm)で、孔160の中心は、孔162の中心から0.120インチ(0.305cm)であった。中央の調量孔に、従来の溶融プールプレートD(図7参照)から溶融弾性ポリマーを濾過して供給し、最終繊維内にコア要素を形成した。プレートCの外側の6つの調量孔160に溶融プールプレートDからポリマーウィングになる非弾性ポリマーを供給した。紡糸口金の支持プレートE(図8参照)の大きな孔(通常、直径0.1875インチ(0.4763cm))を紡糸口金プレートAの紡糸口金オリフィスと共に位置決めして、45°フレアさせた。図8に示す通り、紡糸口金プレートA、分配プレートB、および調量プレートCを、溶融プールのプレートDと紡糸口金の支持プレートEによって、サンドイッチ状に挟み込んだ。通常、プレートEは、厚さ0.2〜0.5インチ(0.4〜1.3cm)、プレートDは、厚さ0.02〜0.03インチ(0.05〜0.08cm)であった。
【0072】
紡糸口金プレートAに座ぐりは無く、プレートA、B、およびCを合わせた厚さは、僅か約0.040インチ(0.102cm)であった。ウィングとコアポリマーを最初に分配プレートB上で互いに接触させ、繊維が形成される前に、約0.076cm(分配プレート0.038cm+紡糸口金プレート0.038cm)間を互いに前合体した。
【0073】
新たに紡糸された繊維40(図7参照)を空気流50で冷却して凝固させ、シリコーン油とステアリン酸の金属塩を含有する(繊維の重量を基準にして)5重量%の仕上げ剤を60で加えた。繊維を原料ロール80と延伸ロール90の間の延伸域へ送り、各ロールの周りの数ラップを巻き取った。延伸ロール90の速度は、延伸比4.0に対して、原料ロール80の4倍(後者は、350メートル/分)だった。フィラメントを、6ポンド/平方インチ(0.87キロパスカル)で、チャンバ110内で水蒸気処理した。延伸ロールペア90の速度よりも20%遅い速度で、巻き取り機130を稼動して、最終繊維の収縮を減少するために、繊維を部分的に(20%)弛緩した。延伸繊維および部分弛緩繊維120を、巻き取り機130で巻取り、線密度26デニール(29dtex)を有した。
【0074】
(実施例1.B(比較例))
ナイロン12[ポリ(ドデカノラクタム)「N12」](Rilsan(登録商標)AMNO Atofina社)を、総ウィングポリマー重量を基準として、総ウィングポリマーの5重量%、ウィングポリマーに添加して、ウィングとコアの接合を助長したことを除いて、ヘキサメチレン成分が80モル%存在するポリ(ヘキサメチレンコ−2−メチル−ペンタメチレンアジパミド)の6つのウィングと、PEBAXTM3553SNのコアを有する繊維をほぼ実施例1.Aの通りに紡糸した。ウィング/コアの重量比は、48/52、R1/R2は、1.05であった。
【0075】
(実施例1.C(本発明))
調量プレートCが、ウィングの中心線上にウィング当たり1つ、各孔の直径0.005インチ(0.013cm)、孔の対称中心から0.0475インチ(0.121cm)の別の孔1組164(図8Cに示す通り)を有することを除いて、ポリ(ヘキサメチレンコ−2−メチル−ペンタメチレンアジパミド)(2−メチル−ペンタメチレン成分を、ジアミン誘導成分を基準として20モル%)の6つのウィングとPEBAXTM33SNのコア(曲げ弾性率2800psi(19,300キロパスカル)を有する繊維をほぼ実施例1.Aの通りに調整した。これらの追加の孔および中央の孔に、共通の溶融プールから溶融ポリマーを供給して、ウィング内にコアおよび突出コア部を成形した。結果として、コアポリマー(R1/R2=1.6、同様に調整した繊維比から推定)がウィングに貫入し、ウィングとコアがさらに良好に接着した。繊維断面は、ほぼ図2に図示す通りであった。
【0076】
(実施例1.D(本発明))
繊維をほぼ実施例1.Cの通りに紡糸したが、ナイロン12[ポリ(ドデカノラクタム)](Rilsan(登録商標)AMNO)接合添加剤5重量%をウィングに添加した。繊維は、コアポリマー(R1/R2=1.5)が部分的にウィングに貫入し、ウィングとコアがさらに良好に接合した。繊維断面は、ほぼ図2に図示す通りであった。
【0077】
【表1】
【0078】
上記のデータから、本繊維が靴下類および衣料への適用に非常に良好であることがわかる。コアと接着するウィングを有する本繊維の優れた性能は、層間剥離のデータにより明らかである。本発明の繊維 は、約1.0未満の層間剥離の等級を有することが可能である。さらに、N12などの接合添加剤をウィングポリマーに使用することは有益な効果であることがデータによりわかる。
【0079】
(実施例2.A)
本発明の3フィラメント二成分糸を、ほぼ実施例1.Dの通り、以下の相違点で、紡糸した。各プレートは、各繊維が5ウィングを有すように、対称に72°離れて配置されたウィングポリマーに対して、5つの孔を有した。5つのウィングのポリマーは、5重量%のナイロン12添加剤を添加した、95重量%のポリカプロラクタム(3.14IV、従来のように調整、Du Pont do Brasilから入手)であった。ウィング/コア比は、表2.Aに示すように様々であった。仕上げ剤は、やし油、第4級アミン、水、および非イオン界面活性剤の混合物であり、繊維を基準として、2重量%使用した。原料ロールの速度は、420メートル/分であり、巻き取る前に、延伸繊維に15%の弛緩を施した。断面は、ほぼ図2に示す通りであり、R1/R2は、約1.4であり、延伸繊維は23デニール(25dtex)であった。
【0080】
様々なウィングコア比のヤーンに関するボイルオフ後の伸度%を前記の通りに検定した。
【0081】
【表2】
【0082】
表2.Aの結果から、ウィング/コアの重量比が、実施例の繊維で、約50/50未満の場合、さらに高いボイルオフ後の伸度に達することがわかり、もう一方の繊維に本発明の繊維を使用しない場合に好適である。もう一方の繊維に本発明の繊維を使用して、ヤーンの組み合わせにおいて、回復力が増加する場合は、さらに低いウィング/コア比(例えば、約20/80〜約40/60)が好ましい場合も多い。
【0083】
(実施例2.B)
メリヤス耐久性、薄さおよび伸張性を、ウィングの総線密度(デニール、デシテックス)の関数として評価した。実施例2.Aからの繊維でメリヤスを編んだ。他の繊維は使用しなかった。繊維の総デニールおよびウィング/コアの容量比を変えた。検査官がメリヤスを以下に関して主観的に評価した。a)損耗寿命に基づいた耐久性、b)美的感覚での薄さ(7デニール(8dtex)ナイロン6−6の5繊維で被膜した10デニールLYCRATMスパンデックスから同様に編んだ標準ゲージのメリヤスと対比して)、c)ボイルオフ後の伸張パーセント(伸度)。耐久性が7日を超えるならば、許容範囲の耐久性と評価した。標準ゲージに等しいならば、許容範囲の薄さと評価した。伸度が40〜120%で、メリヤスのたるみおよび「耳まくれ(ride−down)」を防ぐならば、許容範囲の伸度と評価した。表2.Bにおいて、アステリスク(*)のついた数字および太字の数字は、3つの評価領域を標準として、性質的に好ましいデシテックスおよびウィング/コア比を示す。表の本文書体の数字は、各繊維のウィングの合計デシテックスである。
【0084】
【表3】
【0085】
総デシテックスが、約33より大きくなると、メリヤスは、薄くなった。総デシテックスが、約22未満に減少し、ウィングデシテックスの合計が、約11未満に下がると、耐久性が損なわれ始めた。ウィング/コアの重量比が約50/50を上回って大きくなると、(実施例2.Aに既に示す通り)伸度は下がり始めた。
【0086】
本試験の結果として、本発明の好適な二成分繊維は、約22〜33dtexの範囲での総線密度、少なくとも合計約11dtexのウィング部分、および35/65〜50/50のウィング/コアの重量比を有すことが可能であると結論付けた。
【0087】
(実施例3A)
(繊維の重量を基準として)4重量%のポリシロキサンベースの仕上げ剤(米国特許第4,999,120号に記載の通り)を実施例2Aの仕上げ剤の代わりに使用し、巻取る前に繊維を20%弛緩させ、弛緩工程中に用いた水蒸気が、3psi(20.7キロパスカル)であったことを除いて、本発明二成分繊維をほぼ実施例2Aに記載の通り紡糸した。ウィング/コア/突出コアの重量比は、38/53/9であり、R1/R2は、約1.4であった。図5は、繊維断面の顕微鏡写真であり、その繊維は、32デニール(36dtex、延伸繊維として)、108%のボイルオフ後の伸度、24%のボイルオフ後収縮率、および92%ボイルオフ後回復を有した。
【0088】
(実施例3.B)
通常、全コース機械的に二重被膜のスパンデックスでの脚組み立てに設定された工業用機械で、メリヤス生地を実施例3Aの繊維から編んだ。機械は、MATEC HSE4.5であり、太腿部を約700RPMで、足首部を800RPMで編み、サイズFとして設定した。1脚用生地を約2分以内で編んだ。硬質糸用の通常の方法で、ヤーンを機械に供給した。電子テンション装置は使用しなかった。生機メリヤス生地(greige hose blanks)を、大気圧で30分間タンブル蒸しによって仕上げ加工した。標準工業自動オートクレーブ型入れ装置を用いて、102℃で4秒間被服を型入れし、95℃で30秒間乾燥した。皺のよらない状態に布帛を維持する間、型入れの布帛の長さをできる限り短くするように選択した。標準酸性染料を用いて、98℃で45分間、被服を染色し、同寸法の型入れおよび条件を用いて、型仕上げをした。
【0089】
結果として成形された布帛は、意外にも、3.38x10−4ワット/cm−℃の高い熱伝導性を有した。
【0090】
(実施例4)
本発明に係る3フィラメント二成分糸を、図7に図示した装置を用い、ポリエステルウィングとポリエーテルエステルコアで、調整した。繊維4.Aのコアポリマーは、HYTREL(登録商標)3078ポリエーテルエステルエラストマー(E.I.du Pont de Nemours and Companyの登録商標;曲げ弾性率4000psi(27,600キロパスカル)であった。実施例4.Bおよびの実施例4.Cの繊維のコアポリマーは、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコールソフトセグメントとブチレンテレフタラート(4G−T)ハードセグメントを有するポリエーテルエステルエラストマーであり、ほぼ米国特許第4,906,721号に記載の通りに調整した。ポリエーテルグリコールに組み入れた3−メチルテトラヒドロフランの量は、9モル%であり、グリコールの総平均分子量は、2750であり、4G−T/コポリエーテルグリコールのモル比は、4.6:1であった。表4において、本ポリマーを「2MePO4G:4G−T」と明示する。実施例4Aおよび4Bの繊維に含まれるウィングポリマーは、ポリ(ブチレンテレフタラート)(4G−T,Crastin(登録商標)6129、E.I.du Pont de Nemours and Companyの登録商標、曲げ弾性率350,000psi(2.4ミリオンキロパスカル))であり、繊維4.cでは、ポリ(トリメチレンテレフタラート)(3G−T)であった。3G−Tを、テトライソプロピルチタネート触媒、Tyzor(登録商標)TPT(E.I.du Pontde Nemours and Companyの登録商標)を、ポリマーを基準として60ppmで用いて、2槽方法で、1,3−プロパンジオールとジメチルテレフタラートから調整した。溶融DMTを、エステル交換反応槽内、185℃、3Gおよび触媒に添加し、温度は、メタノールが除去する間、210℃まで上昇した。結果として生じた中間生成物を重縮合槽に移し、重縮合槽の圧力を1ミリバール(10.2kg/cm2)まで下げ、温度を255℃まで上げた。所望の溶融粘度に達した時、圧力を上げて、ポリマーを押し出し、冷却して、ペレットに切断した。212℃で稼動させるタンブル乾燥機で、ペレットをさらに1.04dl/gの固有の粘性まで固相で重合した。本実施例の各繊維の紡糸口金パックおよび紡糸条件は、ウィング中にポリマー添加剤を添加しないこと、ウィングは、総繊維の40重量%であり、実施例3Aに記載の仕上げ剤(繊維を基準として)4重量%を使用し、繊維を巻取る前に、水蒸気の働きによって、3ポンド/平方インチ圧(20.7キロパスカル)で、20%弛緩したこと以外は、実施例2.Aとほぼ同一であった。本繊維は、表4に公表する特性を有した。
【0091】
【表4】
【0092】
実施例4Bの繊維に対する層間剥離の等級は、0.0であった。実施例4A、4Bおよび4Cの繊維から薄手のメリヤス生地を編み、水蒸気で型入れし、染色して、仕上げ加工し、均一な外観および良好な伸縮性と回復率を有した。
【0093】
(実施例5.A)
繊維の重量を基準として13重量%の仕上げ剤を使用したことを除いて、図7の装置と、実施例3Aの紡糸口金パックおよび紡糸条件を用いて、実施例1.Dのポリマーと仕上げ剤で、本発明に係る二成分繊維を紡糸した。ウィングとコアポリマーを繊維に紡糸する前に、最初に互いに約0.076cm接触させた。
【0094】
コアがウィングに貫入し、その結果、ウィング/コア/突出コアの重量比は、39/51/10であった(R1/R2は約1.5であった)。繊維は、20デニール(22dtex)の線密度、100%のボイルオフ後の伸度、23%のボイルオフ後収縮率、94%のボイルオフ後弛緩を有した。
【0095】
(実施例5B)
実施例5の繊維の4端を、エアジェットで混ぜ合わせ、二成分糸を成形した。SULZER RUTI 5100(エアジェットルーム)で、よこ糸として、38ヤーン/cm(96picks/インチ)でエアジェットで混合した二成分糸を用い、たて糸として、48たて糸端/cm(121/インチ)で44デニール(48dtex)/34フィラメントTACTELTM(E.I.du Pontde Nemours and Companyの登録商標)Type 6342 ナイロンを用いて、3/1構成で布帛を織った。115℃で水蒸気弛緩し、70℃でMCFジェット精練して、ナイロン用の標準酸性染料を用いて、100℃で60分間MCFジェット染料し、190℃で30秒間熱硬化して、織布を仕上げ加工した。これらの布帛は、空気乾燥でしわにならずに、嵩高でなく、平滑であり、良好な伸縮性および回復性を示し、優れた硬質繊維の手触りおよび視覚的美観を示す。弛緩仕上げの織布は、以下の特性を有する。
坪量=3.29オンス/平方ヤード(sq yd)(112グラム/m2)
厚=0.079インチ(2mm)
よこ糸数=160/インチ(63/cm)
たて糸数=208/インチ(82/cm)
【0096】
5cm幅x10cm長の布帛を手動で、40%伸張後、布帛は95%を上回って回復した。
【0097】
(実施例6)
本実施例は、本発明の繊維を成形する全層紡糸口金の使用を例証する。紡糸口金プレートA(図8A)および0.1406インチ(0.357cm)直径の丸形座ぐりのオリフィスと同一パターン、サイズ、アキシアルレジストリ(axial registry)および放射配向を有し、支持プレートEを、紡糸口金の毛細管(0.015インチ(0.038cm)長さ)を有する厚さ0.3125インチ(0.794cm)の紡糸口金(図11A)と置き換えたこと以外、同一の前合体の紡糸口金パックを実施例1Cの通り用いた。繊維が形成される前に、ウィングおよびコアポリマーを最初に互いに約0.87cm(0.794cmの紡糸口金+0.038cmのプレートA+0.038cmのプレートB)間、接触させた。ヘキサメチレン成分がジアミン誘導成分(従来の調整、相対粘性90)の80モル%存在するポリ(ヘキサメチレンコ−2−メチルペンタメチレンアジパミド)の6つのウィングと、PEBAX 3533SN ポリエーテルエステルアミドのコアとを有する25デニール(28dtex)の二成分繊維を、4X延伸比で、図7の装置を用いて紡糸し、1400メートル/分で巻取った。ウィング/コア/突出コアの重量比は、45/48/7、R1/R2は、約1.4であった。上記のように紡糸された繊維では、図3に示す通り、コアがウィングに貫入するが、好適であることが多いとされる縮小されたネック部は存在しなかった。
【0098】
(実施例7)
本実施例は、ウィングがコアに貫入した3つのウィングを有する二成分繊維を例証し、本繊維を成形するための薄い紡糸口金パックの使用も例証する。ウィングポリマーは、ポリ(ヘキサメチレンドデカンアミド)(固有の粘性1.18、Zytel(登録商標)158、E.I.du Pont de Nemours and Companyの登録商標)で、コアポリマーは、PEBAX(登録商標)3533SAポリエーテルエステルアミドであった。70デニール(78dtex)の10フィラメント糸を、ウィング/コア容量比40/60、265℃の紡糸口金の温度で、紡糸した。概略を図10に示す前合体の紡糸口金パックを使用したが、前記の実施例の紡糸口金パックとは、個々のプレートにおいて異なっていた。図10Aに示す、ステンレス鋼の紡糸口金プレートAは、0.015インチ(0.038cm)の厚さで、実施例1Aの方法で、紡糸口金プレートを通り抜けて切削したオリフィスを有し、3つのまっすぐなウィング形状において、2幅に各1つ、対称中心の周りに対称的に120°離れて配置され、毛細管オリフィス上に座ぐりは存在しなかった。各ウィング140は、その端から、中心が対称中心と一致する、直径0.012インチ(0.030cm)の中央の円形紡糸口金孔142の円周まで、0.040インチ(0.102cm)の長さ(図10Aにおいて、長さ144+長さ146)であった。次に、図10Bに関して、厚さ0.010インチ(0.025cm)分配プレートBは、紡糸口金プレートA上に同軸で位置決めされ、その結果、分配プレートBの他の全てのウィングオリフィス150は、紡糸口金プレートAのウィング140と位置決めされ、分配プレートBの各ウィングオリフィス150は、その端から対称中心まで0.1375インチ(0.349cm)の長さであった。調量プレートC(図10C)は、0.010(0.025cm)インチの厚さで、直径0.025インチ(0.064m)の孔160、直径0.015インチ(0.03cm)の孔162、直径0.010インチ(0.025m)の中央の孔164を有した。プレートCを分配プレートBと位置決し、使用時に、溶融プールプレートD(簡略図10参照)によって孔160に供給されるウィングポリマーと、分配プレートCの孔162および164に供給されるコアポリマーを、プレートBによってプレートAに分配し、ウィングがコアに貫入したフィラメントが形成された。紡糸口金プレートAには座ぐりは存在せず、プレートA、B、およびCの合体した厚さは、僅か約0.035インチ(0.089cm)であった。1225メートル/分の延伸ロール速度で、ヤーンを3.5X延伸し、大気圧の水蒸気ジェットで、1045メートル/分の巻き取り速度まで、弛緩した。ヤーンに弛緩された状態で水蒸気処理を施して、ヤーンが優れた伸縮性および回復性を有する場合、ヤーンの螺旋撚りは強まった。本実施例に基づいて成形した繊維断面の顕微鏡写真を図13に示す。
【0099】
(実施例8)
本実施例は、本発明の繊維成形において、従来の厚さの紡糸口金プレートの使用を例証する。
【0100】
以下の相違点で、実施例1.Aを繰り返した。紡糸口金の支持プレートEを使用しなかった(図8参照)。紡糸口金プレートAは、0.3125インチ(0.794cm)の厚さで、各紡糸オリフィスは、直径0.100インチ(0.254cm)の座ぐりと、座ぐりの下部に0.015インチ(.038cm)の長さの毛細管を有した。図11Aに示す通り、紡糸口金プレートAの各紡糸口金オリフィスは、6つのまっすぐなウィングオリフィス170を有し、その各々は、対称中心を通過し、その端から中央の円形孔172の円周まで、0.035インチ(0.089cm)の長さを有する長軸中心線を有した。各ウィング端から0.015インチ(0.038cm)の長さ174は、幅0.004インチ(0.010cm)であり、長さ176は、0.020インチ(0.051cm)の長さ、0.0028インチ(0.007cm)幅であった。各ウィングの端は、先端幅の2分の1に半径で切り取られている。分配プレートB(図11B参照)は、0.015インチ(0.038cm)の厚さで、6つのウィングオリフィス150を有し、その各々は、紡糸口金プレートAの対応する座ぐりの上方に中心を置き、プレートBの各ウィングオリフィス150をプレートAのウィングオリフィス170と位置決めした。プレートBの各ウィングオリフィス150は、長さ0.060インチ(0.152cm)、幅0.020インチ(0.051cm)であり、0.010インチ(0.025cm)の半径で、端に丸みをつけた。プレートBの中央の孔152は、直径0.100インチ(0.254cm)であった。調量プレートC(図11C参照)も、0.015インチ(0.038cm)の厚さであった。プレートCにおいて、孔160は、直径0.008インチ(0.020cm)を有し、直径0.080インチ(0.203cm)の中央の孔162の中心から0.100インチ(0.254cm)であった。プレートCをプレートBと位置決めして、プレートCの6つの孔160が、プレートBのウィングオリフィス150の中心線上方であるようにした。プレートを位置決めして、弾性コアポリマーをプレートBおよびAの中心を通過するプレートCの孔162に供給し、繊維のコアを成形した。非弾性ウィングポリマーをプレートCに孔160に供給し、プレートBおよびAのウィングオリフィスを通過させ、繊維のウィングを成形した。ウィングとコアポリマーを、繊維が押し出される紡糸口金プレートA面の上方0.328インチ(0.833cm)にある分配プレートBの上面で、最初に接触させる。
【0101】
紡糸口金の温度は、247℃であった。前に使用の仕上げ剤の代わりに、ポリエーテルエステルベースの仕上げ剤を5重量%用いて、14フィラメント糸を紡糸し、巻取る前に、(延伸糸の長さを基準として)15%ヤーンを弛緩した。延伸および部分的に弛緩されたヤーンは、線密度75デニール(83デシテックス)を有し、R1/R2は1.20であった。繊維断面の顕微鏡写真を図6に示す。
【0102】
本発明は、発明の詳細な説明と関連して記載されているが、前述の記載は、本質的に、典型的で説明的であると理解されるべきであり、本発明およびその好適な実施形態を例証する意図がある。日常の実験を通して、当業者は、本発明の範囲から逸脱しない明白な変更形態および変形形態を理解するだろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】コアに突出するウィングポリマーを有する本発明の繊維の断面図である。
【図2】ウィングに突出するコアポリマーを有する本発明の繊維の断面図である。
【図3】突出ポリマー(例えばウィングポリマー)が、貫入されるポリマー(例えばコアポリマー)の中に、歯根のように突出する、本発明の繊維の実施形態における断面図である。
【図4】突出ポリマー(例えば、コアポリマー)が、貫入されるポリマー(例えばウィングポリマー)に、貫入ポリマーがスプラインであるように、遠くへ突出する、本発明の繊維の実施形態における断面図である。
【図5】コアポリマーが、ウィングポリマーの中に突出して、僅かに遠方へ伸びた端部と、少なくとも1箇所のくびれた部分を形成する、コアポリマーの残部に接合する縮小されたネック部を含む、本発明の繊維の実施形態における断面図である。
【図6】1つ以上のウィングの一部面を、コアが取り囲んで、ウィングがコアに貫入している、本発明の繊維の実施形態における断面図である。
【図7】本発明の繊維を成形するのに有用な方法装置の概略図である。
【図8】本発明の繊維の成形に使用可能な積重ねプレート紡糸口金のアセンブリの側面図である。
【図8A】図8に示す積重ねプレート紡糸口金のアセンブリに対して90°で、図8の線8A−8AでのオリフィスのプレートAの平面図である。
【図8B】図8に示す積重ねプレート紡糸口金のアセンブリに対して90°で、図8の線8B−8BでのオリフィスのプレートBの平面図である。
【図8C】図8に示す積重ねプレート紡糸口金のアセンブリに対して90°で、図8の線8C−8CでのオリフィスのプレートCの平面図である。
【図9A】従来技術の紡糸口金プレートの切断面図を示す。
【図9B】本発明の紡糸口金プレートの切断面図を示す。
【図9C】本発明の紡糸口金プレートの切断面図を示す。
【図10】本発明の別の実施形態における繊維を成形するのに使用可能である、積重ねプレート紡糸口金のアセンブリの側面図である。
【図10A】本発明の別の実施形態における繊維を成形するために、本発明の紡糸口金パックのアセンブリに使用可能である、図10の積重ねプレート紡糸口金のアセンブリに対して90°での別の実施形態の紡糸口金プレートの平面図を示す。
【図10B】本発明の別の実施形態における繊維を成形するために、本発明の紡糸口金パックのアセンブリに使用可能である、図10の積重ねプレート紡糸口金のアセンブリに対して90°での別の実施形態の分配プレートの平面図を示す。
【図10C】本発明の別の実施形態における繊維を成形するために、本発明の紡糸口金パックのアセンブリに使用可能である、図10の積重ねプレート紡糸口金のアセンブリに対して90°での別の実施形態の調量プレートの平面図を示す。
【図11A】本発明のまた別の実施形態における繊維を成形するために、本発明の紡糸口金パックのアセンブリを使用可能である紡糸口金プレートの平面図を示す。
【図11B】本発明のまた別の実施形態における繊維を成形するために、本発明の紡糸口金パックのアセンブリを使用可能である分配プレートの平面図を示す。
【図11C】本発明のまた別の実施形態における繊維を成形するために、本発明の紡糸口金パックのアセンブリを使用可能である調量プレートの平面図を示す。
【図12】実施例6で例証した通りの本発明における繊維の断面図である。
【図13】実施例7で例証した通りの本発明における繊維の断面図である。
(技術分野)
本発明は、熱可塑性弾性ポリマーを含んで成る軸であるコアと、熱可塑性非弾性ポリマーを含んで成り、コアの外縁に接合された、放射状に配置された複数のウィングとを有する伸縮可能な合成高分子繊維に関する。ウィングポリマーまたはコアポリマーの少なくとも一方が、他方のポリマーに突出して、コアへのウィングの接合を改善する。本発明は、また、上記の繊維の製造法、上記の繊維を製造するのに有用な紡糸口金パックにも関する。本発明は、また、ヤーン、被服などをはじめとする、繊維から製造される製品にも関する。
【0002】
(背景技術)
スポーツウェアや靴下類などの様々な被服をはじめとする合成繊維から製造される多くの製品に伸縮可能性を付与することが望まれている。米国特許第4,861,660号(イシイ(Ishii))の発明の背景に開示されている通り、合成フィラメントに伸縮可能性を付与する様々な方法が公知である。一方法において、繊維に2次元または3次元けん縮が発現する。別の方法において、弾性ポリマー(例えば、天然または合成ゴム、またはポリウレタンエラストマーなどの合成エラストマー)から伸縮可能なフィラメントを製造する。このタイプの伸縮可能なフィラメントは、ゴムまたはポリウレタンエラストマーのフィラメントそれ自体が、かなり不良な消耗性および編み加工性と、不良な染料特性を呈する点で欠点がある。従って、納得のいく加工性および染料特性を有する別のタイプのフィラメントで、ゴムまたはエラストマーフィラメントを被覆して、ポリウレタンエラストマーフィラメントのゴムの欠点を回避している。
【0003】
しかしながら、上記の被膜されたエラストマーフィラメントに関する欠点がある。イシイ(Ishii)は、2種のポリマーから成形されるフィラメントに対称性を付与して、このような欠点を克服することを試みる。それにもかかわらず、上記の繊維は、加工中、2種のポリマーが互いに容易に層間剥離することが多いという深刻な欠点がある。その結果成形されたスプリット繊維は、低い破壊靭性を有し、意図しているものよりも劣る薄さや熱伝導性を有する布帛を生じる結果となる。2種の異なる非弾性ポリマーから成形され、上記の欠点がある繊維を開示する、米国特許第3,017,686号(Breenら)も参照のこと。
【0004】
実際、米国特許第3,418,200号(Tanner)において、コアポリマーがウィングポリマーに突出する特定の条件では、コアおよびウィングの突出部分とは異なるポリマーから形成されるウィングの一部が、突出部分からさらに容易に分離できると認められている。対照的に、ある種の機械的な固定を用いて、2種の高弾性率、低弾性ポリマーを一緒に接合すると米国特許第3,458,390号に開示されるように、フィラメント中の2種の異なるポリマーの接合を改善することがしばしば望まれる。しかしながら、このようなポリマーおよびBreenおよびTannerが開示したポリマーは、ポリマーの低い弾性のために、伸縮性の高い被服が望まれる今日では、不適切な伸縮性および回復性を有することになる。
【0005】
2種のポリマーを含有する繊維は、米国特許第3,418,200号および米国特許第5,344,297号に開示される紡糸口金で、紡糸することができる。しかしながら、基本的に紡糸口金の前に供給チャネルで、多成分ポリマーストリームを混合する際に、上記特許の紡糸口金は、ポリマー移動を呈する。これらの問題は、「ジャーナルオブポリマーサイエンス(Journal Of Polymer Science)」物理編,13(5)巻,1975年,p.863に記載され、具体的に示され、またごく最近では、「International Fiber Journal」13(5)巻,1998年,p.48に、コアから分裂するように設計された端部を有する3葉繊維に関する別の方法による最先端の紡糸に関して記載されている。
【0006】
優れた伸縮性および回復性を有し、加工処理中や使用中に靭性を維持する、繊維およびそれらの繊維から製造される製品に関して依然として必要性があり、また上記の繊維および製品の便宜な製造法にも依然として必要性がある。多成分ポリマーストリームが、基本的に紡糸口金オリフィスの前に供給チャネルで、混合される際のポリマー移動の問題を解消する2種ポリマーを紡糸するための紡糸口金に関しても必要性がある。
【0007】
(発明の要約)
2種のポリマーのうち一方が、他方のポリマーに貫入するならば、即ち、1つ以上のウィングのうち、ウィングポリマーの少なくとも一部がコアポリマーに突出するか、或いは、コアポリマーの少なくとも一部が、1つのウィングポリマーに突出するならば、伸縮可能な2種のポリマー繊維内での層剥離(層間剥離)を、かなり減少させるか、或いは回避することが可能であることが、現在では発見されている。特に上記Tannerの教示の観点から、ストレス下では、弾性ポリマーは容易に変形し、そして非弾性ポリマーとの相互接合から離れると予想されていたので、上記の挙動は、予想に反した。
【0008】
これらの発見に基づいて、本発明は、熱可塑性弾性ポリマーを含んで成る軸となるコアと、熱可塑性非弾性ポリマーを含んで成り、コアに接合する複数のウィングを含む伸縮可能な合成高分子繊維を提供し、ウィングポリマーまたはコアポリマーの少なくとも一方が、他方のポリマーに突出する。一実施形態において、軸となるコアは、外半径R1、内半径R2を包含し、R1/R2は、約1.2より大きい。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、第一ポリマーを含んで成る軸となるコアと、第二ポリマーを含んで成りコアに接合する複数のウィングとを含む伸縮可能な合成高分子繊維を提供し、該繊維は、約1未満の層間剥離の等級、少なくとも約20%のボイルオフ後の伸度を有する。
【0010】
さらに、本発明の紡糸口金パックに関して、紡糸口金プレートの、繊維を形成するオリフィスの後部入り口の特定箇所で、多成分ポリマーストリームを直接調量することが可能である。この紡糸口金パックによって、多成分ポリマーストリームが、基本的に紡糸口金オリフィスの前の供給チャネルで混合される場合に生じるポリマー移動の問題が解消される。
【0011】
さらに、本発明に従って、繊維を製造する多種の合成ポリマーの溶融押出のための紡糸口金パックを提供し、第一ポリマー溶融物を受け入れるのに適合した第一組の孔と、第二ポリマー溶融物を受け入れるのに適合した第二組の孔を含む調量プレートと、位置決めされて調量プレートと接触し、紡糸口金プレートを通る毛細管を有し、前記紡糸口金の毛細管の長さの約60%未満の端ぐり長さを有する紡糸口金プレートと、および毛細管より大きい孔を有し、位置決めされて紡糸口金プレートと接触する紡糸口金の支持プレートとを備え、調量プレートに供給される多種のポリマーが、紡糸口金プレート、および紡糸口金の支持プレートを通過して繊維が形成されるようにプレートは位置決めされる。
【0012】
(好適な実施形態の説明)
本発明は、図1、2、3、4、5、6、11および12の10に概して示す伸縮可能な合成高分子繊維提供する。本発明の繊維は、図1、2の12に示す軸となるコア、および図1、2の14に示す複数のウィングを包含する。軸となるコアは、熱可塑性弾性ポリマーを含んで成り、ウィングは、軸となるコアに接合した熱可塑性非弾性ポリマーを少なくとも1種含んで成る。熱可塑性非弾性ポリマーは、永続的に延伸可能であるのが好ましい。
【0013】
本明細書に用いる用語「繊維」は、用語「フィラメント」と交換できる。用語「ヤーン」には、モノフィラメントのヤーンが含まれる。用語「マルチフィラメント糸」は、一般的に2種以上のフィラメントのヤーンに関する。用語「熱可塑性」は、繰り返しの溶融処理が可能であるポリマー(例えば、メルト・スパン)に関する。「弾性ポリマー」は、単成分繊維形状において、無希釈で、100%を越える破断時伸びを有し、その長さの2倍まで伸張させて、1分間保った後、弛緩し、弛緩して1分以内に、その元の長さの1.5倍未満にまで収縮するポリマーを意味する。本発明の繊維の弾性ポリマーは、RTまたは23℃、ほぼ本明細書に記載の通りの条件下で、ASTM標準D790曲げ特性(ASTM Standard D790 Flexural Properties)に従って紡糸した単成分繊維が存在する場合、約14,000ポンド/平方インチ(96,500キロパスカル)未満、さらに典型的には約8500ポンド/平方インチ(58,600キロパスカル)未満の曲げ弾性率を有することが可能である。本明細書に用いる「非弾性ポリマー」は、弾性ポリマーではないいずれかのポリマーを意味する。上記のポリマーを、「低弾性」、「硬弾性率」および「高弾性率」と定義することができる。「永続延伸可能」とは、ポリマーが降伏点を有し、ポリマーがこの降伏点を越えて伸張させると、ポリマーがその元の長さのに戻らないことを意味する。
【0014】
本発明の繊維は、繊維の長さに沿って互いに接着する少なくとも2種のポリマーからなり、各ポリマーが異なる分類(例、ポリアミド、ポリエステルまたはポリオレフィン)に属する場合、本発明の繊維を「二成分」繊維と定義する。ポリマー弾性が著しく異なるならば、同じ分類のポリマーを使用することが可能であり、その結果成形された繊維は「二成分繊維」である。上記の二成分繊維もまた、本発明の範囲内である。
【0015】
本発明に従って、ウィングポリマーおよびコアポリマーの少なくとも1つがもう一方のポリマーに突出する。図1にコアポリマーに突出するウィングポリマーを示し、図2にウィングポリマーに突出するコアポリマーを示す。繊維の層剥離が減少するのに効果的ないずれかの方法によって、コアおよびウィングポリマーの貫入を実現できる。例えば、一実施形態において、貫入するポリマー(例えば、ウィングポリマー)は、歯根のように、貫入されるポリマー(例えば、コアポリマー)の中に突出することが可能なので、複数の突出部が形成される(図3参照)。別の実施形態において、貫入するポリマー(例えば、コアポリマー)は、貫入されるポリマー(例えば、ウィングポリマー)のかなり中まで突出することが可能なので、貫入するポリマーは、スプラインのようである(図4参照)。スプラインは、ほぼ均一な直径を有する。さらに別の実施形態において、ポリマーの少なくとも1種は、1つの単一ウィングがコアに突出するか、或いはコアがウィングに突出する部位を少なくとも1種を有し、突出部には、僅かに遠方へ伸びた端部と、ポリマー残部の少なくとも1種に端部を接合する、縮小されたネック部が含まれ、くびれた部分の少なくとも1箇所をネック部に形成する。図5に、各ウィングポリマーに突出して、上記の遠方へ伸びた端部16および縮小されたネック部18を有するコアポリマーを示す。このように遠方へ伸びた端部と縮小されたネック部によって、互いに接合するウィングおよびコアは、「機械的に固定される」と呼ばれる。製造が簡単で、ウィングとコア間のさらに効果的な接着に関しては、最後に記載した縮小されたネック部を有する実施形態が好ましいことが多い。当業者ならば、他の突出方法を想定することができる。例えば、図6に示すように、コアが1つ以上のウィングの側面の一部を取り囲むことが可能であり、その結果ウィングがコアに貫入する。
【0016】
本発明の繊維には、外半径と内半径(例えば、図1、図2において、各々「R1」および「R2」)を有する軸となるコアが含まれる。外半径は、コアの最も外側の部分に外接する円の半径であり、内半径は、ウィングの最も内側の部分に内接する円の半径である。本発明の繊維において、R1/R2は、概して約1.2より大きい。R1/R2が、約1.3〜約2.0の範囲であるのが好ましい。層間剥離に対する抵抗を低率に下げることが可能であり、高率において、ウィング内の高濃度の弾性ポリマー(またはコア内の高濃度の非弾性ポリマー)が、繊維の伸縮性および回復力を低下させる。コアがウィング内にスプラインを形成する場合、R1/R2は、2に近づく。対照的にウィングまたはコアポリマーのうちの一方が他方のポリマーに突出しない繊維においては、R1はR2に近いので、ウィングもコアも、他方のポリマーに貫入しない。複数のウィングのうち、一部のウィング内のポリマーがコアポリマーに貫入し、コアポリマーが他のウィングのポリマーに貫入する場合には、図2に示すように、R1とR2を、各ウィングに対応して対として定め、各比R1/R2およびR’1/R’2は、概して約1.2より大きく、約1.3〜2.0の範囲が好ましい。別の実施形態において、コアポリマーがウィングの一部に貫入し、隣接したウィングには貫入せず、貫入されたウィングに関して、R1とR2を定める。同様に、ウィングポリマーがコアの一部にだけ貫入する場合、貫入するウィングに関してR1とR2を定める。ウィングの少なくとも1つがコアに貫入するか、或いは、コアがウィングの少なくとも1つに貫入する限り、ウィングに貫入するコア、コアに貫入するウィング、および無貫入のいずれかの組み合わせを、ウィングに用いることが可能である。
【0017】
本発明の繊維は、2次元または3次元のな捲縮をあまり生じることなく、繊維の軸線を旋回しながら撚られる。(上記のような高次の捲縮においては、繊維の軸線自体、Z字形または螺旋形配置であると推定するが、このような繊維は本発明の繊維ではない。)本発明の繊維を、実質的に螺旋撚りを有し、1次元の螺旋撚りを有すると特徴づけうる。「実質的螺旋撚り」には、完全な360°の螺旋撚りは、繊維の所望な伸縮性を達成するためには必要でないと認められているので、弾性コアに完全に巻きつける螺旋撚りと、コアに部分的に巻きつける螺旋撚りの両方が含まれる。実質的螺旋撚りは、ほぼ全て環状であっても、或いは、ほぼ全て非環状であってもよい。「1次元」螺旋撚りとは、2次元または3次元の捲縮を有する繊維と比較すると、繊維のウィングはかなり螺旋状であり、繊維の軸が、低張力である場合でさえも、ほぼまっすぐであることを意味する。しかしながら、一部たるみを有する繊維は、本発明の範囲内である。
【0018】
(まっすぐでない繊維を引っ張ることによって、)繊維をほぼまっすぐにするのに必要な伸縮性から、2次元または3次元の捲縮の有無を判断することが可能であり、螺旋撚りを有する繊維の放射相称の測定である。本発明の繊維は、繊維をほぼまっすぐにするには、約10%未満の伸度が必要であり、さらに典型的には約7%未満の伸度、例えば、約4%〜約6%が必要である。
【0019】
本発明の繊維は、殊に図1および2からわかる通り、ほぼ放射相称断面を有する。「ほぼ放射相称断面」とは、繊維が360/n次(式中、nは繊維の「n次」対称性を表す整数である)まで繊維の軸線の周りを回転すると、前回の回転とほぼ同一断面となるように、ウィングを配置した、次元を有する断面を意味する。サイズ、ポリマーおよびコアの周りの角間隔点から、上記断面はほぼ対称的である。上記のほぼ放射相称の断面は、2次元または3次元の捲縮を殆ど生じることなく、優れた伸縮性および優れた均一性という予期しない組み合わせを付与する。上記の均一性は、繊維を高速で処理する際に、例えば、ガイドおよび編み針を介して、平滑、「ほぐれ」のない布帛、特にメリヤスのような薄手の布帛を成形する際に有益な効果である。ほぼ放射相称な断面を有する繊維、繊維自体は、捲縮の潜在性を備えていない。つまり、本繊維は、2次元または3次元の捲縮をかなり生じる特性を備えていない。一般的には、「Textile Research Journal」1967年6月、p.449参照のこと。
【0020】
最大断面の放射相称に関しては、コアは、例えば、図1および2からわかるように、ほぼ円形または正多面体断面を有すことが可能である。「ほぼ円形」とは、繊維断面の中心で、互いに90°で交差する2本の軸の長さの比が、約1.2:1以下であることを意味する。ウィングの数に関して後に記載するが、米国特許第4,861,660号のコアとは対照的に、ほぼ円形または正多面体のコアの使用により、エラストマーはロール、ガイドなどとの接触から保護される。複数のウィングを、コアの周りに所望のいずれかの方法で、例えば、図1および2に示すように不連続的に、配置することが可能である。つまり、ウィングポリマーは、米国特許第3,418,200号の図4および5に例示する通り、コア上に連続的なマントルを形成しないし、コア表面で交わる隣接するウィングとも連続的なマントルを形成しない。ほぼ放射相称が維持されるならば、ウィングは、同一サイズでも、異なるサイズでもよい。さらに、各ウィングは、ほぼ放射状幾何およびポリマー組成の対称性が、さらにまた維持されるならば、別のウィングの異種ポリマーであってもよい。しかしながら、製造が単純化され、放射相称が容易に達成できるためには、ウィングがほぼ同じ寸法で、同じポリマーもしくはポリマーのブレンドからなるのが好ましい。製造の単純化のためには、ウィングが不連続にコアを取り囲むのが好ましい。
【0021】
繊維断面は、サイズ、ポリマーおよびコアの周りの角間隔点から、ほぼ対称的であるが、不規則な急冷または欠陥のあるポリマー溶融流または欠陥のある紡糸オリフィスのような要因のために、完全な対称性から少し変形した断面が、一般的に、紡糸方法のいずれかで生じると理解されている。例えば、2次元および3次元の捲縮を最小限に抑える一方、1次元の螺旋撚りによって、所望の伸縮性および回復性を有する繊維を提供するといった本発明の目的から逸脱しない範囲であるならば、上記の変形は、許容されると理解する。即ち、米国特許第4,861,660号においてのように、上記繊維は、意図的に非対称に成形されたのではない。
【0022】
ウィングは、接合しているコアから外へ突出して、少なくともコアの回りの一部で、特に効果的な加熱後、複数の螺旋を形成する。繊維が伸張すると、上記螺旋のピッチは、増加する。本発明の繊維は、複数のウィングを有し、好ましくは3〜8つ、さらに好ましくは5〜6つのウィングを有する。使用するウィングの数は、繊維の他の特徴、および繊維成形および使用下における条件によって異なる。例えば、モノフィラメントを、特にさらに高い延伸比および繊維張力で、成形する場合は、5〜6つのウィングを用いる。この場合、ロール、ガイドなどとの接触からエラストマーを保護するのに十分なくらいのウィング間隔が、コアの周りにあることが多いので、たとえ少数のウィングしか使用しないとした場合よりも、破壊、ロール巻付けおよび損耗の影響を受けることが少ない。さらに高い延伸比および繊維張力の効果によって、繊維は、ロール、ガイドにさらに堅固に押し付けられ、ウィングを外側に広げ、弾性コアをロールまたはガイドと接触させる。故に、さらに高い延伸比および繊維張力において、3つ以上のウィングが好ましい。モノフィラメントにおいて、5つまたは6つのウィングが、製造の簡易さおよび縮小されたコアの接触の最適な組み合わせのために、好ましい場合が多い。多繊維糸を望む場合、他の繊維が存在すると、弾性コアとロールまたはガイドとの接触の可能性が減少されるので、僅か2または3つのウィングが使用される。
【0023】
製造の容易さのために、ウィングが不連続にコアを取り囲み、一方コアは、その外面上に、ウィングがコアに接触する点間の非弾性ポリマーの鞘を含むのが好ましい。鞘の厚さは、コア繊維の最大半径の約0.5%〜約15%範囲となりうる。コアとウィングポリマー間にさらに多くの接触点を提供することによって、鞘がウィングのコアへの接着を助長する。二成分繊維中のポリマーが、互いに十分接着しないならば、特に有用な特徴である。特に繊維が少ない数のウィングを有する場合、鞘によって、コアとロール、ガイドなどとの研磨接触も減少できる。
【0024】
本発明の複数のウィングがついた断面を有するコアおよび/またはウィングは、中身が詰まっていてもよいし、或いは中空または空孔を含んでもよい。通常、コアとウィングは両方とも中身が詰まっている。さらに、ウィングは、楕円形状、T形状、C形状、またはS形状などのいずれの形状を有してもよい(例えば、図4参照)。有用なウィング形状の例は、米国特許第4,385,886号に記載されている。前記記載の通り、T形状、C形状、またはS形状は、ガイドおよびロールとの接触から弾性コアを保護する一助となりうる。
【0025】
コアポリマーに対する総ウィングポリマーの重量比を変えて、所望の特性の組み合わせ(例えば、コアの所望の弾性とウィングポリマーの低粘着性のような他の特性)を付与することが可能である。例えば、約10/90〜約70/30、好ましくは約30/70〜約40/60のウィング/コアの重量比を用いることが可能である。繊維を関連のヤーン(例えば、メリヤス)で用いる必要がない場合の使用において、優れた伸縮性と優れた耐久性の組み合わせには、ウィング/コアの重量比が約35/65〜約50/50が好ましい。コアとウィング間の最も良好な接着のためには、通常、総繊維重量の約5重量%〜約30重量%が、コアに貫入する非弾性ポリマーか、或いはウィングに貫入する弾性コアポリマーでありうる。
【0026】
上記に記載の通り、いずれの熱可塑性弾性ポリマーからも本発明の繊維のコアを成形できる。有用なエラストマーの例には、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステルアミドエラストマー、熱可塑性ポリエーテルエステルアミドエラストマーが挙げられる。
【0027】
有用な熱可塑性ポリウレタンコアエラストマーには、グリコールポリマー、ジイソシアナート、およびジオールまたはジアミン鎖増量剤の少なくとも1種から調整されるポリウレタンエラストマーが含まれる。ジオール鎖を使って生成されたポリウレタンは、ジアミン鎖増量剤を用いたポリウレタンよりも低い融点を有すので、ジオール鎖増量剤が好ましい。ポリウレタンエラストマーの調整に有用なグリコールポリマーには、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、およびそれらの共重合体が含まれる。上記のグリコールの例には、ポリ(エチレン−エーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(エチレン−コ−1,4−ブチレンアジパート)グリコール、ポリ(エチレン−コ−1,2−プロピレンアジパート)グリコール、ポリ(ヘキサメチレン−コ−2,2−ジメチル−1,3−プロピレンアジパート)、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジパート)グリコール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンノナネート)グリコール、ポリ(2,2−ジメチル−1,3−プロピレンドデカネート)グリコール、ポリ(ペンタン−1,5−カーボネート)グリコール、およびポリ(ヘキサン−1,6−カーボネート)グリコールが挙げられる。有用なジイソシアナートには、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、1−イソシアナト−2−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、イソホロンジイソシアナート、1,6−ヘキサンジイソシアナート、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)プロパン,1,4−ビス(p−イソシアナト、アルファ,アルファ−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)、2,4−トリレンジイソシアナートが含まれる。有用なジオール鎖増量剤には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル1,3−プロピレンジオール、ジエチレングリコール、およびそれらの組み合わせが含まれる。好適なグリコールポリマーは、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(エチレン−コ−1,4−ブチレンアジパート)グリコール、およびポリ(2,2−ジメチル−1,3−プロピレンドデカネート)グリコールである。1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンは、好適なジイソシアナートである。好適なジオール鎖増量剤は、1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールである。1−ブタノールおよび同類のものなどの単官能基鎖の停止剤を添加して、ポリマーの分子量を制御することが可能である。
【0028】
有用な熱可塑性ポリエステルエラストマーには、低分子量(例えば、分子量約250未満)のジオールを有するポリエーテルグリコールとジカルボン酸またはジカルボン酸のジエステル(例えば、テレフタル酸またはジメチルテレフタラート)の反応によって生成されるポリエーテルエステルが含まれる。有用なポリエーテルグリコールには、ポリ(エチレン−エーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、[テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフランとの共重合によって誘導された]ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコールおよびポリ(エチレン−コ−テトラメチレンエーテル)グリコールが含まれる。有用な低分子量のジオールには、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロピレンジオール、およびそれらの組み合わせが含まれ、1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールが好ましい。有用なジカルボン酸には、テレフタル酸、場合によっては僅かの量(例えば、20モル%未満)のイソフタル酸およびイソフタル酸のジエステルを含有するテレフタル酸が含まれる。
【0029】
本発明の繊維のコアを成形するのに使用される有用な熱可塑性ポリエステルアミドエラストマーには、米国特許第3,468,975号に記載される熱可塑性ポリエステルアミドエラストマーが含まれる。例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−ジ(メチロール)シクロへキサン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールと、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチル−アジピン酸、3−メチルアジピン酸、3,4−ジメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、またはドデカ二酸、またはそれらの酸のエステルとの反応によって生成されたポリエステルセグメントで、上記のエラストマーを調整することができる。上記のポリエステルアミド中のポリアミドセグメントには、ヘキサメチレンジアミンまたはドデカメチレンジアミンと、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸、またはセバシン酸との反応によって調整されるポリアミドセグメント、およびカプロラクタムの開環重合によって調整されたポリアミドセグメントが含まれる。
【0030】
米国特許第4,230,838号に記載されるような熱可塑性ポリエーテルエステルアミドエラストマーを用いて繊維のコアを成形することが可能である。例えば、低分子量(例えば、約300〜約15,000)のポリカプロラクタム、ポリエナントラクタム、ポリドデカノラクタム、ポリウンデカンラクタム、ポリ(11−アミノウンデカン酸)、ポリ(12−アミノドデカン酸)、ポリ(ヘキサメチレンアジパート)ポリ(ヘキサメチレンアゼラート)、ポリ(ヘキサメチレンセバケート)、ポリ(ヘキサメチレンウンデカネート)、ポリ(ヘキサメチレンドデカネート)、ポリ(ノナメチレンアジパート)などと、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、テレフタル酸、ドデカン二酸など、からのジカルボン酸末端基を有するポリアミドプレポリマーを調整することによって、上記のエラストマーを調整できる。プレポリマーは、ヒドロオキシ末端基を有するポリエーテル、例えば、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(エチレン−エーテル)グリコールなどと反応可能である。
【0031】
上記に記載の通り、いずれの非弾性ポリマーまたは硬質ポリマーからも、ウィングを成形できる。上記のポリマーの例には、非弾性ポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィンが含まれる。
【0032】
有用な熱可塑性非弾性ウィングポリエステルには、ポリ(エチレン−テレフタラート)(「2G−T」)およびそれらの共重合体、ポリ(トリメチレンテレフタラート)(「3G−T」)、ポリブチレンテレフタラート(「4G−T」)と、ポリ(エチレン−2,6−ナフタラート)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタラート)、ポリ(ラクチド)、ポリ(エチレン−アゼラート)、ポリ[エチレン−2,7−ナフタラート]、ポリ(グリコール酸)、ポリ(エチレン−スクシナート)、ポリ(アルファ,アルファ−ジメチルプロピオラクトン)、ポリ(パラ−ヒドロオキシベンゾアート)、ポリ(エチレン−オキシベンゾアート)、ポリ(エチレン−イソフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタラート)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラート)、ポリ(デカメチレンテレフタラート)、ポリ(1,4−シクロへキサンジメチレンテレフタラート)(トランス)、ポリ(エチレン−1,5−ナフタラート)、ポリ(エチレン−2,6−ナフタラート)、ポリ(1,4−シクロヘキシリデンジメチレンテレフタラート)(シス)、およびポリ(1,4−シクロヘキシリデンジメチレンテレフタラート)(トランス)が含まれる。
【0033】
好適な非弾性ポリエステルには、ポリ(エチレン−テレフタラート)、ポリ(トリメチレンテレフタラート)、およびポリ(1,4−ブチレンテレフタラート)およびそれらの共重合体が含まれる。ポリ(エチレン−テレフタラート)などの比較的に高融点のポリエステルを用いる場合、換算温度で紡糸できるように、コモノマーをポリエステルに組み入れることも可能である。上記のコモノマーには、炭素数4〜12を有する直鎖、環状、および分岐の脂肪族ジカルボン酸(例えば、ペンタン二酸)、テレフタル酸以外で炭素数8〜12を有する芳香族ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸)、炭素数3〜8を有する直鎖、環状、および分岐の脂肪族ジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、および2,2−ジメチル1,3−プロパンジオール)、および炭素数4〜10を有する脂肪族およびアリール脂肪族エーテルグリコール(例えば、ヒドロキノンビス(2−ヒドロオキシエチル)エーテル)が含まれる。約0.5〜15モル%の濃度範囲でポリエステル中にコモノマーが存在することが可能である。イソフタル酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、1,3−プロパンジオール、および1,4−ブタンジオールは、市販されており、手軽に入手でき、高価でないので、ポリ(エチレン−テレフタラート)の好適なコモノマーである。
【0034】
ウィングポリエステルは、コモノマーが繊維特性に悪作用を有さないならば、僅かの量の別コモノマーを含んで成ってもよい。上記と別のコモノマーには、例えば、約0.2〜5モル%の濃度範囲で、5−ナトリウムスルホイソフタレートが含まれる。非常に少量、例えば、総含有成分を基準として、約0.1重量%〜約0.5重量%の三官能基のコモノマー、例えば、トリメリト酸を粘性制御のために組み入れることが可能である。
【0035】
有用な熱可塑性非弾性ウィングのポリアミドには、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン66)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリエナントアミド(ナイロン7)、ナイロン10、ポリ(12−ドデカノラクタム)(ナイロン12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンセバクアミド(ナイロン6,10)、ポリ(ヘキサメチレンドデカンアミド)(ナイロン6,12)、ドデカメチレンジアミンおよびn−ドデカン二酸酸(ナイロン12,12)のポリアミド、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンとドデカン二酸から誘導されたPACM−12ポリアミド、ヘキサメチレンジアンモニウムイソフタレート30%とヘキサメチレンジアンモニウムアジパート70%のコポリアミド、ビス−(P−アミドシクロヘキシル)メチレン30%までのコポリアミド、およびテレフタル酸とカプロラクタム、ポリ(4−アミノ酪酸)(ナイロン4)、ポリ(8−アミノオクタン酸)(ナイロン8)、ポリ(ヘプタ−メチレンピメリンアミド)(ナイロン7,7)、ポリ(オクタメチレンスベリンアミド)(ナイロン8,8)、ポリ(ノナメチレンアゼルアミド)(ナイロン9,9)、ポリ(デカメチレンアゼルアミド)(ナイロン10,9)、ポリ(デカメチレンセバクアミド(ナイロン10,10)、ポリ[ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)メタン−1,10−デカンジカルボキサミド]、ポリ(m−キシレンアジパミド)、ポリ(p−キシレンセバクアミド)、ポリ(2,2,2−トリメチルヘキサメチレンピメリンアミド)、ポリ(ピペラジンセバクアミド)、ポリ(11−アミノ−ウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、およびポリ(9−アミノノナン酸)(ナイロン9)ポリカプロアミドが含まれる。コポリアミドは、例えば、ヘキサメチレン成分が、誘導されたジアミン総成分の約75〜90モル%存在することが可能であるポリ(ヘキサメチレンコ−2−メチル−ペンタメチレンアジパミド)を用いることも可能である。
【0036】
有用なポリオレフィンには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンタン、1種以上のエチレンまたはプロピレンと別の不飽和モノマーとの共重合体およびターポリマーが含まれる。例えば、非弾性ポリプロピレンウィングと弾性ポリプロピレンコアを含んでなる繊維は、本発明の範囲内であり、上記の繊維は二成分繊維である。
【0037】
弾性ポリマーと非弾性ポリマーの組み合わせは、ポリエーテルアミド(例えば、ポリエーテルエステルアミド)エラストマーのコアとポリアミドのウィング、ポリエーテルエステルエラストマーコアとポリエステルウィングの組み合わせを含むことが可能である。例えば、ウィングポリマーは、ナイロン6−6、およびそれらの共重合体、例えば、ヘキサメチレン成分が約80モル%存在し、場合によっては、約1重量%〜約15重量%までのナイロン−12を混合したポリ(ヘキサメチレンコ−2−メチル−ペンタメチレンアジパミド)を含有することが可能であり、コアポリマーは、弾性のセグメント化ポリエーテルエステルアミドを含有することが可能ある。「セグメント化ポリエーテルエステルアミド」は、ハードセグメント(短鎖ポリアミド)とソフトセグメント(長鎖ポリエーテル)が共有接合したポリマーを意味する。同様の定義がセグメント化ポリエーテルエステル、セグメント化ポリウレタンなどに当てはまる。特にコアが、PEBAXTM3533SN(Atofina)に基づく場合、ナイロン12により、ウィングとコアの接着は改善できる。別の好適なウィングポリマーは、ポリ(エチレン−テレフタラート)、およびそれらの共重合体、ポリ(トリメチレンテレフタラート)、ポリ(テトラメチレンテレフタラート)の群から選択される非弾性ポリエステルを含有することが可能であり、ウィングポリマーと共に用いるのに適切な弾性コアは、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールおよびポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコールの群から選択されるポリエーテルグリコールとテレフタル酸またはジメチルテレフタラートとの反応生成物を含んでなるポリエーテルエステルと、および1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールの群から選択される低分子量のジオールとを含んでなる。
【0038】
本明細書に記載の通り、弾性ポリエーテルエステルコアを、非弾性ポリアミドウィングと共に用いることも可能であり、特に、接着促進添加剤を用いる場合に可能である。例えば、上記の繊維のウィングは、(a)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)およびそれらと2−メチル−ペンタメチレンジアミンの共重合体と(b)ポリカプロラクタムとの群から選択され、上記繊維のコアは、(a)ポリエーテルエステルアミドおよび(b)ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールまたはポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコールとテレフタル酸またはジメチルテレフタラートとの反応生成物、および1,3−プロパンジオールと1,4−ブテンジオールの群から選択されるジオール、の群から選択されること可能である。
【0039】
上記記載のポリマーを生成する方法は、当技術分野では周知であり、当技術分野において周知である触媒、共触媒、および鎖分岐剤の使用を含んでもよい。
【0040】
繊維を伸張し、弛緩する場合に、コアの優れた弾性により、接合するウィングがコアを撚り合わせるように、コアは圧縮力および伸長力を取り入れることが可能である。それらの接合が非常に弱いならば、上記の力は、2種のポリマーの層間剥離の原因と成りうる。本発明は、場合によっては、ウィングとコアポリマーを機械的固定する方法を用い、結合力を高め、繊維処理および使用時に、層間剥離をさらに最小限に抑える。ウィングおよびコア組成の選択および/またはどちらか一方または両方のポリマーに接着促進添加剤を使用することによって、コアとウィング間の接合をなおさらに強化することが可能である。各々ウィングに、或いは一部だけのウィングに、接着プロモーターを使用することが可能である。従って、個々のウィングは、コアへ異なる程度で積層を有することが可能であり、例えば、ウィングの一部を意図的に層間剥離することが可能である。上記の添加剤の一例は、総ウィングポリマーを基準として、例えば5重量%のナイロン12であり、つまりポリ(12−ドデカノラクタム)、また「12」または「N12」として周知であり、Rilsan(登録商標)「AMNO」としてAtofinaから市販されている。また、無水マレイン酸の誘導体(例えば、Bynel(登録商標)CXA、E.I.du Pont de Nemours and Companyの登録商標、或いはAtofina社のLotader(登録商標)エチレン/アクリルエステル/無水マレイン酸ターポリマー)を用いてポリアミドへの接着を改善するポリエーテル−アミドエラストマーに改質することが可能である。
【0041】
別の実施例の通り、約400〜約5000範囲の平均分子量を有する熱可塑性ボラック樹脂、例えば、HRJ12700(Schenectady International)を弾性(コ)ポリエーテルエステルコアに添加して、(コ)ポリアミドウィングへの接着を改善し得る。ノボラック樹脂の量は、1〜20重量%範囲で、さらに好ましくは、2〜10重量%であるべきである。本明細書において有用なノボラック樹脂の例には、非限定ではあるが、フェノール−ホルムアルデヒド、レソルシノール−ホルムアルデヒド、p−ブチルフェノール−ホルムアルデヒド、p−エチルフェノール−ホルムアルデヒド、p−ヘキシルフェノール−ホルムアルデヒド、p−プロピルフェノール−ホルムアルデヒド、p−ペンチルフェノール−ホルムアルデヒド、p−オクチルフェノール−ホルムアルデヒド、p−ヘプチルフェノール−ホルムアルデヒド、p−ノニルフェノール−ホルムアルデヒド、ビスフェノール−A−ホルムアルデヒド、ヒドロオキシナプタレンホルムアルデヒド、およびアルキル−(t−ブチル−など)ロジン(特に、部分的にマレイン酸エステル化されたロジン)のフェノール改質エステル(ペンテリトリトールエステルなど)が挙げられる。コポリエステルエラストマーとポリアミド間の改善された接着を提供する技術の例に関しては、米国特許出願公開第09/384,605号(1999年8月27日出願)を参照のこと。
【0042】
無水マレイン酸(「MA」)と官能基を形成するポリエステルを、接着促進添加剤として使用してもよい。例えば、ポリ(ブチレンテレフタラート)(「PBT」)は、J.M.Bhattacharya著「ポリマー・インターナショナル(PolymerInternational)」2000年8月,49:8,pp.860−866に基づいて、ツインスクリュー押出機内で、フリーラジカルグラフトによって、MAと官能基を形成することが可能であり、J.M.Bhattacharyaは、結果として生成したPBT−g−MAの数重量%を、ナイロン66を有するポリ(ブチレンテレフタラート)とナイロン66を有するポリ(エチレン−テレフタラート)との二成分ブレンド用の相溶化剤として、用いたことも報告した。例えば、上記の添加剤を使用して、(コ)ポリアミドウィングを本発明の繊維のポリエーテルエステルコアにさらにしっかりと接着しうる。
【0043】
本発明に用いるポリマーおよび結果として生じる繊維、ヤーン、および製品は、従来の添加剤を含有することが可能であり、添加剤は重合方法中、或いは、生成したポリマーまたは製品に添加され、ポリマーまたは繊維の特性の改善に寄与する。上記の添加剤の例には、静電防止剤、酸化防止剤、抗菌剤、防炎化剤、染料、耐光剤、重合触媒および補助剤、接着助触媒、艶消剤(二酸化チタンなど)、艶消剤(matting agents)および有機リンが挙げられる。
【0044】
例えば、紡糸および/または延伸方法中に、繊維に加えてもよい他の添加剤には、静電防止剤、滑面剤(slickening agent)、接着助触媒、親水性酸化剤防止剤、抗菌剤、防炎化剤、潤滑剤およびそれらの組み合わせが挙げられる。さらに、上記の追加の添加剤を、当技術分野では周知である方法の様々な工程中に添加してもよい。
【0045】
上記の記載は、繊維がほぼ放射相称な(対称性など)断面を有す場合の利益を中心に取り扱い、望まれることが多いが、以下の本発明の実施形態に関しては必要でない。
(a)伸縮可能な合成高分子繊維は、約1未満の層間剥離の等級、少なくとも約20%のボイルオフ後収縮率を有する。
(b)伸縮可能な合成高分子繊維は、少なくとも約20%のボイルオフ後収縮率を有し、繊維をほぼまっすぐに伸ばすために約10%未満の伸度が必要である。
(c)伸縮可能な合成高分子繊維は、弾性ポリマーを含んで成る軸となるコアと、コアに接合し、非弾性ポリマーを含んでなる複数のウィングを備え、コアは、その外面上に、ウィングがコアに接触する点間の非弾性ポリマーの鞘を含む。
(d)伸縮可能な合成高分子繊維は、弾性ポリマーを含んでなる軸となるコアと、コアに接合し、非弾性ポリマーを含んでなる複数のウィングを備え、コアは、ほぼ円形または正多面体断面有す。または、
(e)伸縮可能な合成高分子繊維は、弾性ポリマーを含んでなる軸となるコアと、コアに接合し、非弾性ポリマーを含んでなる複数のウィングを備え、少なくとも1つのウィングがT、C、またはS形状を有する。
【0046】
本発明の繊維は、連続フィラメント(マルチフィラメント糸またはモノフィラメントのどちらか)または(例えば、トウまたはスパンヤーンをはじめとする)スフ形状で存在することが可能である。本発明の延伸繊維は、約1.5〜約60の繊維当たりのデニール(約1.7−67dtex)を有することが可能である。ポリアミドウィングを有する本発明の完全延伸繊維は、通常、ウィング/コア比に応じて、約1.5〜3.0g/dtexの靭性を有し、ポリエステルウィングを有する繊維は、約1〜2.5g/dtexを有する。最終繊維は、少なくとも約20%のボイルオフ後の伸度を有することが可能である。本発明の繊維から成形される布帛でのさらに高い伸縮性および回復性を得るために、本繊維は、少なくとも約45%のボイルオフ後の伸度を有することが可能である。
【0047】
複数の繊維を含んでなるヤーンを成形する場合、繊維は、いかなる所望の繊維番手、いかなる所望のdpfでもよく、弾性ポリマー対非弾性ポリマーの比は、繊維によって異なってもよい。マルチフィラメント糸は、複数の異なる繊維、例えば、2〜100の繊維を含有することが可能である。さらに、本発明の繊維を含んでなるヤーンは、繊維当たりの線密度範囲を有することができ、本発明でない繊維も含んでなる。
【0048】
本発明の合成高分子繊維を用いて、製織、たて編み、横編み(円形を含む)またはメリヤス編みをはじめとする周知の方法によって、布帛を成形してもよい。上記の布帛は、優れた伸縮性および回復力を有する。本繊維は、室内装飾用品などの織物および布帛において、および(ランジェリーおよび靴下をはじめとする)被服などにおいて有用であり、狭義の衣類を含めて全てまたは一部の衣類を成形することが可能である。本発明の繊維およびヤーンを用いて成形したメリヤスおよび布帛などのアパレルは、良好な伸張および回復性を有すると共に、平滑、軽量、およびかなり均一(「さらにほぐれがない」)と確認されている。
【0049】
さらに本発明に基づいて、連続ポリマー繊維を紡糸する溶融紡糸方法を提供する。本方法を、本発明の繊維の製造に使用可能な装置の概略図である図7を参照して説明する。しかしながら、他の装置を使用してもよいことを理解しておくべきである。本発明の方法は、弾性ポリマーを含んで成る軸であるコアと、コアに接合し、非弾性ポリマーを含有する複数のウィングとを含む複数の伸縮可能な合成高分子繊維を成形するために、弾性ポリマーを含有する溶融物を紡糸口金へ通すことを備える。図7を参照すると、熱可塑性硬質ポリマー供給材料(図示せず)を20で導入し、積み重ねプレート紡糸口金の組み立て部品35へ送り、熱可塑性弾性ポリマーの供給材料(図示せず)を22で導入し、紡糸パック組み立て部品30へと送る。前合体または後合体の紡糸口金パックを使用することが可能である。所望の断面を得られるよう設計されたオリフィスを有する積み重ねプレート紡糸口金組み立て部品35から、上記の2種のポリマーを、未延伸フィラメント40として押し出すことが可能である。本発明の方法には、さらに、フィラメントが紡糸口金の毛細管を出た後、例えば、図7の50で冷却空気を用いるなどの既知の方法で、繊維を冷却するためのフィラメントの急冷も含まれる。横流空気または半径方向に流れる空気など、いかなる適切な急冷方法をも使用してもよい。
【0050】
場合によっては、図7に示す通りの仕上げ用アプリケータ60で、既知の技術を用いて、シリコーン油または状況に応じてステアリン酸マグネシウム等の仕上げ剤でフィラメントを処理する。上記のフィラメントを、急冷後、延伸し、少なくとも約20%のボイルオフ後の伸度を呈する。例えば、延伸フィラメント100を成形するのに、図7に示す、供給ロール80(運転速度:150〜1000メートル/分)と延伸ロール90の間に、少なくとも1回、延伸工程で、フィラメントを延伸してもよい。完全延伸糸を成形するには、延伸工程は紡糸と共に行われ、或いは、部分延伸糸を所望するならば、紡糸と延伸の間で時間的ずれがある層剥離方法において行われる。ヤーンのたて糸として、フィラメントを巻き取り中に、延伸を完了することも可能であり、当業者に「延伸整経(draw warping)」と呼ばれている。(フィラメントを破壊することにより処理に支障を来たすもの以外の)いかなる所望の延伸比をフィラメントに付与することが可能であり、例えば完全延伸糸は約3.0〜4.5倍、部分延伸糸は1.2〜3.0倍の延伸比で、成形可能である。本明細書において、延伸比は、延伸ロール90の周速を供給ロール80の周速で割ったものである。約15〜100℃で延伸を実施可能であり、通常は、約15〜40℃で実施する。
【0051】
場合によって、例えば、図7の110で水蒸気を用いて、延伸フィラメント100を、部分的に弛緩することが可能である。紡糸中は、いかなる量の熱弛緩も実施可能である。弛緩の量が多いほど、フィラメントの弾性はさらに強くなり、以後の工程での収縮が少なくなる。下記の通りに弛緩後、最終延伸フィラメントは、少なくとも約20%のボイルオフ後の伸度を有することが可能である。巻き取り前に、紡糸直後のフィラメントを、延伸フィラメントの長さを基準にして約1〜35%まで熱弛緩するのが好ましく、その結果、通常の硬質糸として扱うことができる。
【0052】
急冷、延伸、場合によっては弛緩が施されたフィラメントを、その後、図7のワインダー130で、200〜約3500メートル/分、最大4000メートル/分の速度で、巻き取って回収できる。または複合繊維を紡糸し、急冷するならば、繊維を集束し、場合によっては交錯することが可能であり、例えば、最大4000メートル/分まで、例えば、約200〜3500メートル/分の範囲で、巻き取ることができる。図7のワインダー130で、モノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸も同じ方法で巻き取りうる。マルチフィラメントを紡糸し、急冷する場合、当技術分野において施されている巻き取りに先立って、集束し、場合によっては交錯することが可能である。
【0053】
所望の伸縮性および回復性に高めるために十分に弛緩が行われる間、延伸後であればいつでも、二成分フィラメントに、乾式または湿式熱処理を施してもよい。フィラメント成形中(例えば、上記に記載の弛緩工程)、または、フィラメントをヤーンまたは布帛に組み込み後(例えば、精錬、染色の間など)に、上記の弛緩を実施することが可能である。繊維またはヤーン形状における熱処理を、例えば、熱間ロール、温チェストを用いて、またはジェットスクリーン嵩高工程において実施することができる。上記の弛緩熱処理を非弾性繊維のやり方で処理できるように、繊維がヤーンまたは布帛状になった後に行うのが好ましいが、望むならば、高伸度繊維として巻き取る前に、熱処理および完全弛緩することが可能である。さらに均一に、繊維を熱処理および弛緩して、さらに高い均一性の最終布帛を得ることが可能である。熱処理および弛緩温度は、熱媒体がドライエアの場合約80℃〜120度、熱媒体が温水の場合約75℃〜100℃、熱媒体が加圧水蒸気(例えば、オートクレーブ内)の場合約101℃〜115℃の範囲である。温度が低すぎると熱処理が僅かか、或いは全く行われないという結果を招き、温度が高すぎると弾性コアポリマーを溶融しうる。熱処理/弛緩工程を、概して数秒以内に完了できる。
【0054】
上記に記載の通り、紡糸口金毛細管は、本発明の所望の繊維断面に対応した、または上記記載通り、他の(異なる分類に属する)二成分繊維または(弾性が著しく異なる同じ分類に属する)二成分繊維を製造するための設計を有する。米国特許第5,168,143号に記載されているレーザー切削、当技術分野では、既知の穿孔、放電加工(EDM)、および打ち抜きなどのいずれかの適切な方法を用いて、毛細管または紡糸口金毛細管を切削してもよい。本発明の繊維断面の対称性を適切に保つようにレーザー光線を用いて、毛細管オリフィスを切削することができる。紡糸口金毛細管のオリフィスはいかなる適切な寸法をも有することが可能で、連続毛細管(前合体)または不連続毛細管(後合体)に切削することが可能である。ポリマーが、紡糸口金表面下で接合し、本発明の複数のウィング断面を形成するようなパターンで、小さな孔を開けることにより、不連続毛細管を獲得してもよい。
【0055】
例えば、図8、8A、8Bおよび8Cに例示するように、前合体の紡糸口金パックで、本発明のフィラメントを成形することが可能である。図8は、図7に示す積み重ねプレート紡糸口金組み立て部品の断面図であるが、図8のポリマーの流れは矢印F方向である。紡糸口金組み立て部品の1段目のプレートは、ポリマー溶融プールを含むプレートDで、従来型の設計である。プレートDは、調量プレートC(図8Cに断面図を示す)の上に載り、プレートCは、順番に、任意の分配プレートB(図8Bに断面図を示す)の上に載り、プレートBは、紡糸口金プレートA(図8Aに断面図を示す)の上に載り、紡糸口金組み立て部品支持プレートEが支えている。調量プレートCはその下に分配プレートBになるように位置決めされてプレートBと接触し、分配プレートは毛細管を有するが十分な座ぐりのない紡糸口金プレートAの上に位置決めされてプレートAと接触し、紡糸口金プレートは位置決めされて、毛細管より大きい孔を有する紡糸口金支持プレート(E)と接触する。調量プレートCへ供給されるポリマーが、分配プレートB、紡糸口金プレートAおよび紡糸口金支持プレートEを通過して、繊維を成形するように位置決めされている。調量プレートに供給するのに、従来型のプレートである溶融プールプレートDを用いる。ポリマー溶融プールプレートDおよび紡糸口金組み立て部品支持プレートEは、紡糸口金組み立て部品の積み重ねプレート間からのポリマーの漏れを防止するために互いにしっかりと圧着されるように、十分に厚く、剛体である。プレートA、BおよびCは、レーザー光線の手法でオリフィスを切削できるように、十分に薄い。紡糸口金支持プレート(E)の孔は、紡糸直後の繊維が孔の縁に接触しないように、例えば、45°〜60°のフレアであるのが好ましい。また、ポリマーの前合体を望む場合、調量プレートC、任意の分配プレートDおよび紡糸口金設計Eの意図する断面形状が、繊維にさらに正確に現れるように、繊維が形成される前に、ポリマーを互いに約0.30cm未満、概して0.15cm未満接触させる(前合体)のが好ましい。固体レーザーからのマルチモード光線が、好ましいシングルモード光線(例えば、TM00モード)に弱まり、直径100ミクロン未満で、金属板の0.2〜0.3mm上の地点に焦点を合わせる、米国特許第5,168,143に記載の通り、プレートに孔を切削することで、繊維断面のさらに明確な定義を促すことができる。レーザー光線と同軸方向に流れる加圧された流体によって、結果として生じる溶解金属を金属板の下面から排出する。最上層の分配プレートの最上部から紡糸口金面までの距離を約0.30cm未満に縮小することが可能である。
【0056】
対称的に配置されるウィングポリマー部をいくつか有するフィラメントを成形するには、各プレートで、対称的に配置された同数のオリフィスを用いる。例えば、図8Aに、紡糸口金プレートAを、図7の積み重ねプレート紡糸口金組み立て部品に対して90°方向づけた平面図で示す。図8AのプレートAは、中央の円形紡糸口金孔142に接続する、対称的に配置された6つのウィング紡糸口金オリフィス140からなる。ウィングオリフィス140各々が、異なる幅144および146を有する。図8Bに、中央の円形の孔156に分配オリフィスを接続する任意のスロット154に向って開放端152が先細りする分配オリフィス150を有する補助的な分配プレートBを示す。図8Cに、ウィングポリマー用の調量毛細管160およびコアポリマー用の調量毛細管162を有する調量プレートCを示す。ポリマー溶融プールプレートDは、当技術分野における従来設計のいずれのものでもよい。図7および図8に側面図で示すように、紡糸口金支持プレートEは、フィラメントが孔の縁に接触しないように十分な大きさで、新たに紡糸されるフィラメントの経路から(例えば45°〜60°で)フレアをつけた通し孔を有する。コアポリマーが、ポリマー溶融プールプレートDから、調量プレートCの中央の調量孔162および6つの小さな毛細管164を通過して、分配プレートBの中央の円形毛細管156を通り、紡糸口金組み立て部品プレートAの中央の円形毛細管142を経て、紡糸口金支持プレートEの大型のフレア孔を通過して流れるように、積み重ねプレート紡糸口金組み立て部品のプレートA〜Dは、位置決めされている。同時に、ウィングポリマーは、ポリマー溶融プールプレートDから、調量プレートCのウィングポリマー調量毛細管160を通り、分配プレートB(任意のスロット154がある場合は、2種のポリマーが互いに最初に接触する)の分配オリフィス150を経て、紡糸口金プレートAのウィングポリマーオリフィス140を経て、最後に紡糸口金組み立て部品支持プレートEの孔を通って流れる。
【0057】
本発明の紡糸口金パックを多種の合成ポリマーの溶融押出に利用して、繊維を製造することが可能である。本発明の紡糸口金パックでは、紡糸口金プレートに十分な座ぐりがないので、ポリマーを紡糸口金毛細管に直接供給できる。十分な座ぐりがないということは、(多数の毛細管の入り口に接続する全てのくぼみを含んで)存在するいずれの座ぐりの長さも、紡糸口金毛細管の長さの約60%未満であり、約40%未満であるのが好ましいことを意味する。従来技術の紡糸口金プレートの断面図である図9Aと、本発明の紡糸口金プレートの断面図である図9BおよびCを参照のこと。繊維形成オリフィスの後部入り口の特定箇所で、多成分ポリマーストリームを直接に調量することにより、規定通りではあるが、基本的に紡糸口金オリフィスの前に供給チャネルで多成分ポリマーストリームを混合する場合に生じる、ポリマー移動の問題を回避できる。
【0058】
引き込み溝を接続するプレートを通る適切な通し穴を有する単一プレートの片側または両側にある引き込み溝を利用して2つのプレートの機能を一体化させることは有用である。例えば、くぼみ、溝および凹部は、紡糸口金プレートの上流側で(例えば放電加工で)切削可能であり、分配チャネルまたは浅く不十分な座ぐりとしての役割を果たすことが可能である。
【0059】
本発明の紡糸口金パックで、2種以上のポリマーを含んでなる様々な繊維を成形できる。例えば、米国特許第4,861,660、同3,458,390号、および同3,671,379号に開示される断面をはじめとして、本明細書に開示および/または記載されていない他の(異なる分類に属する)二成分および(弾性が著しく異なる同分類に属する)二成分繊維をも成形可能である。結果として生じる繊維断面は、例えばサイド・バイ・サイド型、偏心シース・コア型、同心シース・コア型、ウィング・コア型、ウィング・シース・コア型などの断面でありうる。さらに、本発明の紡糸口金パックを用いて、分裂可能な繊維(スプリット繊維)または非分裂繊維を紡糸することが可能である。
【0060】
本発明の紡糸口金パックを修正して、様々なマルチウィング繊維を実現することが可能であり、例えば、フィラメントまたはヤーンの番手ごとに異なるデニールを有する製品を求める必要性に応じて、または多種の合成ポリマーでの使用に対する願望に応じて幾何学的パラメーターを変更するために、様々な所望のウィング番手に合わせて毛細管の数を変えることによって、スロットの寸法を変更するなどして、実現される。例えば、図10の実施形態に、以下のの実施例7で例証する通り、3つのウィングを有する繊維を成形するのに用いる相対的に薄い紡糸口金パックを示す。図10Aにおいて、紡糸口金プレートは厚さ0.015インチ(0.038cm)であり、本明細書に開示するレーザー光線の方法で、十分に厚みのあるステンレス鋼を切削し、各々2つの幅(各々長さ144と146)を有す3つのまっすぐなウィング140の形状で、対称中心の周りで120°離れて対称的に配置されたオリフィスを有し、毛細管オリフィス上に座ぐりは存在しなかった。各ウィング140は、先端から、中心が対称中心と一致する直径0.012インチ(0.030cm)の中央の円形紡糸口金孔142の外周まで、0.040インチ(0.102cm)の長さであった。次に図10Bを参照すると、厚さ0.010インチ(0.025cm)の分配プレートBは、分配プレートBの他の全てのウィングオリフィス150が紡糸口金プレートAのウィング140と共に位置決めされるように、紡糸口金プレートAと同軸方向に位置決めされ、分配プレートBの各ウィングオリフィス150の先端から対称中心までの長さは0.1375インチ(0.349cm)であった。調量プレートC(図10C)は、厚さ0.010インチ(0.025cm)で、直径0.025インチ(0.064cm)の孔160、直径0.015インチ(0.038cm)の孔162、および直径0.010インチ(0.025cm)の中央の孔164を有した。プレートCは、分配プレートBと共に位置決めされ、その結果、使用時に、溶融プールプレートD(図10参照)によって、孔160に供給されるウィングポリマー、および分配プレートCの孔162および164に供給されるコアポリマーを、プレートBが、プレートAに分配して、ウィングがコアに貫入した繊維が形成される。紡糸口金プレートAには座ぐりは存在せず、プレートA、BおよびCを合体した厚みは、たった約0.035インチ(0.089cm)であった。
【0061】
別の紡糸口金パック組み立て部品の実施形態において、紡糸口金支持プレートE(図8参照)を使用しなかった。これは、以下の実施例8で例証する。図11Aにおいて、紡糸口金プレートAは、厚さ0.3125インチ(0.794cm)であり、各紡糸オリフィスは、直径0.100インチ(0.254cm)の座ぐりを有し、座ぐりの下部に、長さ0.015インチ(0.038cm)の毛細管を有した。図11Aで示す通り、紡糸口金プレートAの各紡糸口金オリフィスは、6つのまっすぐなウィングオリフィス170を有し、各ウィングオリフィスは、対称中心を通過する長軸中心線を有し、先端から中心の孔172の外周まで、0.035インチ(0.089cm)の長さを有した。各ウィングの先端から0.015インチ(0.038cm)の長さ174は、幅0.004インチ(0.010cm)であり、長さ176は、長さ0.020インチ(0.051cm)、幅0.0028インチ(0.007cm)であった。各ウィングの先端は、先端幅の2分の1に半径で切り取られている。分配プレートB(図11B参照)は、厚さ0.015インチ(0.038cm)であり、6つのウィングオリフィスを有し、プレートBの各ウィングオリフィスは、紡糸口金プレートAの対応する座ぐりの上に中心を置き、方向を合わせ、各ウィングオリフィスをプレートAのウィングオリフィスと共にアリメントした。プレートBの各ウィングオリフィス150は、長さ0.060インチ(0.152cm)、幅0.020インチ(0.051cm)であり、その先端を半径0.010インチ(0.254cm)に丸くした。プレートBの中央の孔152は、半径0.100インチ(0.254cm)であった。調量プレートC(図11Cを参照)も厚さ0.015インチ(0.038cm)であった。プレートCにおいて、孔160は、半径0.008インチ(0.020cm)であり、プレートB、プレートAの繊維のコアが形成される中央の孔162の中心からは0.100インチ(0.254cm)であった。非弾性ウィングポリマーを、プレートCの孔160に供給し、プレートBおよびAのウィングオリフィスを通過させて繊維のウィングを形成する。ウィングおよびコアポリマーを、(直径0.080インチ(0.203cm)であった)繊維が押し出される紡糸口金プレートAの表面より0.328インチ(0.833cm)上にある分配プレートBの最上部で最初に接触させる。プレートCの6つの孔160が、プレートBのウィングオリフィス150の中心線上部にあるように、プレートCはプレートBと共に位置決めされる。プレートCの孔162に供給される弾性コアポリマーが、中心を通過するように、プレートを位置決めした。
【0062】
以下の非限定の実施例によって、本発明を例証する。以下の試験方法を用いた。
【0063】
(試験方法)
用語ボイルオフ後の伸度は、当技術分野において、以下の用語、「伸張%」、「回復可能な伸張」、「回復可能な収縮」および「潜在的捲縮」とそれぞれ交換して使用できる。用語「回復不可能な収縮」は、以下の用語、「収縮%」、「見かけの収縮」および「絶対収縮」とぞれぞれ交換して使用できる。
【0064】
実施例1.A、B、C、およびDで調整した繊維の伸縮性(ボイルオフ後の伸度、ボイルオフ後収縮率およびボイルオフ後の伸縮回復)を、以下の通り検定した。5000デニール(5550dtex)かせを54インチ(137cm)のリール上に巻いた。ループかせの両側を総デニールに含んだ。初期のかせ長を、2グラム重(長さCB)と1000グラム重(0.2g/デニール)(長さLB)で測定した。かせを95℃の温水中に30分間浸漬して(「ボイルオフ後」)、初期(ボイルオフ後)の長さを、2グラム重(長さCA初期)と1000グラム重(長さLA初期)で、測定した。1000グラム重で測定後、30秒後(長さCA30 秒)および2時間後(長さCA2 時間)に、2グラム重で、追加の長さを測定した。ボイルオフ後の収縮を、100x(LB−LA)/LBとして、計算した。ボイルオフ後の伸張パーセント(伸度)を100x(LA−CA@30秒)/CA@30秒として、計算した。ボイルオフ後の回復率を、100x(LACA2 時間)/(LA−CA初期)として計算した。
【0065】
20%および35%の有効伸度での無負荷試験を以下の通り実施した。ボイルオフ後5000(5550dtex)の総デニールを有する二成分繊維かせを調整した。ループかせの両側を総デニールに含んだ。21℃、65%相対湿度で、インストロン引張試験機(Canton,MA)を使用した。3インチ(76mm)隙間で、かせを試験機のジョーに置いた。試験機を3周期の伸張−弛緩(負荷−無負荷)で循環し、各負荷サイクルが、最大値500グラム重(0.2グラム/デニール)を有した後、3回目の無負荷サイクルにおける力を検定した。実効デニール(つまり、試験伸長時の実測線密度)を、3回目の無負荷サイクルでの20%および35%の有効伸度に関して決定した。「20%および35%有効伸度」とは、かせが、3回目のサイクルでの500グラム重から、各々20%と35%弛緩されることを意味する。20%および35%の有効伸度での無負荷重をミリグラム/実効デニール(mg/デニール)で記録した。
【0066】
5000デニール(5550dtex)かせ(かせのサイズは結果として現れたループを含む)を1.25メートルのリール上で巻いて、1回目の巻きで、繊維のコアからのウィングの層間剥離を検定した。オートクレーブ中で102℃の水蒸気に、かせを30分間さらした。20m長の個々の繊維かせから選んで、半分に1回折りたたんだ。結果として現れたループの開放端を下部で一緒にテープで巻き、テープで巻いたループをフックに垂直にかけた。1グラム/デニール(25デニールループに対して50グラム)の重りをループの端(テープで巻かれた)下部に取り付けた。ループが緩む点まで重りを増加後、ループを伸張し、全重をかけるために徐々に重りを減らた。10回の上記サイクル後、拡大して層間剥離を検査し、評価した。上記のサンプルを以下の通りに評価した。
0=繊維の辺りに肉眼ではウィング/コア層間剥離を観察しない
1=1つ以上のノード反転に僅かな層間剥離を観察
2=繊維が懸かっているフックに擦れ合う際に層間剥離を観察
3=周縁の層間剥離(小さなループで、2,3の箇所だけで)
4=小さいループが全繊維に沿って層間剥離を示す
5=大層間剥離(繊維に沿った全体で大きなループ)
【0067】
3つのサンプルの結果を平均した。
【0068】
円(R1)がコアポリマーのおよそ最外側に外接し、(R2)がウィングポリマーのおよそ最内側に内接するように、繊維断面の顕微鏡写真に重ね合わせて、R1およびR2を測定した。
【0069】
(実施例)
実施例1
各延伸繊維は、26デニール(28.6dtex)の線密度を有し、ほぼ放射相称であった。ボイルオフ後特性を表1に公表する。
【0070】
(実施例1.A(比較例))
図7に図示する装置および図8の積重ねプレート紡糸口金アセンブリを用いて、二成分繊維を紡糸した。繊維のコアを形成する第一ポリマーを図7の20で紡糸フィルターパック30に導入した。コアポリマーは、ポリエーテルエステルアミド(PEBAXTM3533SN、Atofina社から)であり、容積を測定して、各繊維51重量%のコアを成形した。図7の22で、紡糸フィルターパック30に、溶融ナイロン共重合体を導入した。6つのウィングを形成したナイロン共重合体は、ヘキサメチレン成分がジアミン誘導成分80モル%で存在するポリ(ヘキサメチレンコ−2−メチルペンタメチレンアジパミド)であった。コアがウィングへのかなり貫入またはウィングがコアへのかなり貫入はなかった(R1/R2=1.09)。
【0071】
前合体の紡糸口金パックアセンブリは、A〜Eのラベル付積重ねプレートからなり、図8に側面図を示す。米国特許第5,168,143号に記載される通りの方法を用いて、6つのウィングが対称中心の周りに、60°で対称的に配置されるように、0.015インチ(0.038cm)厚のステンレス鋼の紡糸口金プレートAを通り抜けてオリフィスを切削した。図8Aに図示するように、各ウィングオリフィス140は、対称の中心を通過する長軸中心線に垂直であり、端から、対称の中心と同じ半径原点を有する中央の円形紡糸口金孔142(直径0.012インチ[0.030cm])の外周まで、0.049インチ(0.124cm)の長さを有した。紡糸口金の毛細管への入口に座ぐりはなかった。端から0.027インチ(0.069cm)までのウィングの長さ144は、0.0042インチ(0.0107cm)幅であり、0.022インチ(0.056cm)の残りの長さ146は、0.0032インチ(0.0081cm)幅であった。各ウィングの端は、端の幅の2分の1に半径で切り取られている。分配オリフィスが紡糸口金プレートAの紡糸口金オリフィスと相合するように、0.015インチ(0.038cm)厚の分配プレートB(図8B)を、紡糸口金プレートA(図8A)と共に位置決めした。プレートBの6つウィングオリフィス150は、長さ0.094インチ(0.239cm)、幅0.020インチ(0.051cm)であり、それらのウィング端を、それらの幅の2分の1の半径に丸みをつけた。図8Bに図示する通り、分配プレートBの各6つのウィングオリフィス150は、丸みのある0.006インチ(0.015cm直径)の開放端で先細にした後、長さ0.013インチ(0.033cm)と長さ0.0018インチ(0.0046cm)のスロット154として、中央の孔156まで延ばした。このプレートの中央の孔156は、直径0.0125インチ(0.032cm)であった。スロット154は、中央の孔を各ウィングの分配オリフィスの端に接続した。調量プレートCは、0.010インチ(0.025cm)の厚さである(図8C参照)。各調量孔をウィングの長軸中心線の上または分配プレートBの対称中心の上の中央に置いた。中央の調量孔162とウィング当たり1つの孔160は、直径0.010インチ(0.025cm)で、孔160の中心は、孔162の中心から0.120インチ(0.305cm)であった。中央の調量孔に、従来の溶融プールプレートD(図7参照)から溶融弾性ポリマーを濾過して供給し、最終繊維内にコア要素を形成した。プレートCの外側の6つの調量孔160に溶融プールプレートDからポリマーウィングになる非弾性ポリマーを供給した。紡糸口金の支持プレートE(図8参照)の大きな孔(通常、直径0.1875インチ(0.4763cm))を紡糸口金プレートAの紡糸口金オリフィスと共に位置決めして、45°フレアさせた。図8に示す通り、紡糸口金プレートA、分配プレートB、および調量プレートCを、溶融プールのプレートDと紡糸口金の支持プレートEによって、サンドイッチ状に挟み込んだ。通常、プレートEは、厚さ0.2〜0.5インチ(0.4〜1.3cm)、プレートDは、厚さ0.02〜0.03インチ(0.05〜0.08cm)であった。
【0072】
紡糸口金プレートAに座ぐりは無く、プレートA、B、およびCを合わせた厚さは、僅か約0.040インチ(0.102cm)であった。ウィングとコアポリマーを最初に分配プレートB上で互いに接触させ、繊維が形成される前に、約0.076cm(分配プレート0.038cm+紡糸口金プレート0.038cm)間を互いに前合体した。
【0073】
新たに紡糸された繊維40(図7参照)を空気流50で冷却して凝固させ、シリコーン油とステアリン酸の金属塩を含有する(繊維の重量を基準にして)5重量%の仕上げ剤を60で加えた。繊維を原料ロール80と延伸ロール90の間の延伸域へ送り、各ロールの周りの数ラップを巻き取った。延伸ロール90の速度は、延伸比4.0に対して、原料ロール80の4倍(後者は、350メートル/分)だった。フィラメントを、6ポンド/平方インチ(0.87キロパスカル)で、チャンバ110内で水蒸気処理した。延伸ロールペア90の速度よりも20%遅い速度で、巻き取り機130を稼動して、最終繊維の収縮を減少するために、繊維を部分的に(20%)弛緩した。延伸繊維および部分弛緩繊維120を、巻き取り機130で巻取り、線密度26デニール(29dtex)を有した。
【0074】
(実施例1.B(比較例))
ナイロン12[ポリ(ドデカノラクタム)「N12」](Rilsan(登録商標)AMNO Atofina社)を、総ウィングポリマー重量を基準として、総ウィングポリマーの5重量%、ウィングポリマーに添加して、ウィングとコアの接合を助長したことを除いて、ヘキサメチレン成分が80モル%存在するポリ(ヘキサメチレンコ−2−メチル−ペンタメチレンアジパミド)の6つのウィングと、PEBAXTM3553SNのコアを有する繊維をほぼ実施例1.Aの通りに紡糸した。ウィング/コアの重量比は、48/52、R1/R2は、1.05であった。
【0075】
(実施例1.C(本発明))
調量プレートCが、ウィングの中心線上にウィング当たり1つ、各孔の直径0.005インチ(0.013cm)、孔の対称中心から0.0475インチ(0.121cm)の別の孔1組164(図8Cに示す通り)を有することを除いて、ポリ(ヘキサメチレンコ−2−メチル−ペンタメチレンアジパミド)(2−メチル−ペンタメチレン成分を、ジアミン誘導成分を基準として20モル%)の6つのウィングとPEBAXTM33SNのコア(曲げ弾性率2800psi(19,300キロパスカル)を有する繊維をほぼ実施例1.Aの通りに調整した。これらの追加の孔および中央の孔に、共通の溶融プールから溶融ポリマーを供給して、ウィング内にコアおよび突出コア部を成形した。結果として、コアポリマー(R1/R2=1.6、同様に調整した繊維比から推定)がウィングに貫入し、ウィングとコアがさらに良好に接着した。繊維断面は、ほぼ図2に図示す通りであった。
【0076】
(実施例1.D(本発明))
繊維をほぼ実施例1.Cの通りに紡糸したが、ナイロン12[ポリ(ドデカノラクタム)](Rilsan(登録商標)AMNO)接合添加剤5重量%をウィングに添加した。繊維は、コアポリマー(R1/R2=1.5)が部分的にウィングに貫入し、ウィングとコアがさらに良好に接合した。繊維断面は、ほぼ図2に図示す通りであった。
【0077】
【表1】
【0078】
上記のデータから、本繊維が靴下類および衣料への適用に非常に良好であることがわかる。コアと接着するウィングを有する本繊維の優れた性能は、層間剥離のデータにより明らかである。本発明の繊維 は、約1.0未満の層間剥離の等級を有することが可能である。さらに、N12などの接合添加剤をウィングポリマーに使用することは有益な効果であることがデータによりわかる。
【0079】
(実施例2.A)
本発明の3フィラメント二成分糸を、ほぼ実施例1.Dの通り、以下の相違点で、紡糸した。各プレートは、各繊維が5ウィングを有すように、対称に72°離れて配置されたウィングポリマーに対して、5つの孔を有した。5つのウィングのポリマーは、5重量%のナイロン12添加剤を添加した、95重量%のポリカプロラクタム(3.14IV、従来のように調整、Du Pont do Brasilから入手)であった。ウィング/コア比は、表2.Aに示すように様々であった。仕上げ剤は、やし油、第4級アミン、水、および非イオン界面活性剤の混合物であり、繊維を基準として、2重量%使用した。原料ロールの速度は、420メートル/分であり、巻き取る前に、延伸繊維に15%の弛緩を施した。断面は、ほぼ図2に示す通りであり、R1/R2は、約1.4であり、延伸繊維は23デニール(25dtex)であった。
【0080】
様々なウィングコア比のヤーンに関するボイルオフ後の伸度%を前記の通りに検定した。
【0081】
【表2】
【0082】
表2.Aの結果から、ウィング/コアの重量比が、実施例の繊維で、約50/50未満の場合、さらに高いボイルオフ後の伸度に達することがわかり、もう一方の繊維に本発明の繊維を使用しない場合に好適である。もう一方の繊維に本発明の繊維を使用して、ヤーンの組み合わせにおいて、回復力が増加する場合は、さらに低いウィング/コア比(例えば、約20/80〜約40/60)が好ましい場合も多い。
【0083】
(実施例2.B)
メリヤス耐久性、薄さおよび伸張性を、ウィングの総線密度(デニール、デシテックス)の関数として評価した。実施例2.Aからの繊維でメリヤスを編んだ。他の繊維は使用しなかった。繊維の総デニールおよびウィング/コアの容量比を変えた。検査官がメリヤスを以下に関して主観的に評価した。a)損耗寿命に基づいた耐久性、b)美的感覚での薄さ(7デニール(8dtex)ナイロン6−6の5繊維で被膜した10デニールLYCRATMスパンデックスから同様に編んだ標準ゲージのメリヤスと対比して)、c)ボイルオフ後の伸張パーセント(伸度)。耐久性が7日を超えるならば、許容範囲の耐久性と評価した。標準ゲージに等しいならば、許容範囲の薄さと評価した。伸度が40〜120%で、メリヤスのたるみおよび「耳まくれ(ride−down)」を防ぐならば、許容範囲の伸度と評価した。表2.Bにおいて、アステリスク(*)のついた数字および太字の数字は、3つの評価領域を標準として、性質的に好ましいデシテックスおよびウィング/コア比を示す。表の本文書体の数字は、各繊維のウィングの合計デシテックスである。
【0084】
【表3】
【0085】
総デシテックスが、約33より大きくなると、メリヤスは、薄くなった。総デシテックスが、約22未満に減少し、ウィングデシテックスの合計が、約11未満に下がると、耐久性が損なわれ始めた。ウィング/コアの重量比が約50/50を上回って大きくなると、(実施例2.Aに既に示す通り)伸度は下がり始めた。
【0086】
本試験の結果として、本発明の好適な二成分繊維は、約22〜33dtexの範囲での総線密度、少なくとも合計約11dtexのウィング部分、および35/65〜50/50のウィング/コアの重量比を有すことが可能であると結論付けた。
【0087】
(実施例3A)
(繊維の重量を基準として)4重量%のポリシロキサンベースの仕上げ剤(米国特許第4,999,120号に記載の通り)を実施例2Aの仕上げ剤の代わりに使用し、巻取る前に繊維を20%弛緩させ、弛緩工程中に用いた水蒸気が、3psi(20.7キロパスカル)であったことを除いて、本発明二成分繊維をほぼ実施例2Aに記載の通り紡糸した。ウィング/コア/突出コアの重量比は、38/53/9であり、R1/R2は、約1.4であった。図5は、繊維断面の顕微鏡写真であり、その繊維は、32デニール(36dtex、延伸繊維として)、108%のボイルオフ後の伸度、24%のボイルオフ後収縮率、および92%ボイルオフ後回復を有した。
【0088】
(実施例3.B)
通常、全コース機械的に二重被膜のスパンデックスでの脚組み立てに設定された工業用機械で、メリヤス生地を実施例3Aの繊維から編んだ。機械は、MATEC HSE4.5であり、太腿部を約700RPMで、足首部を800RPMで編み、サイズFとして設定した。1脚用生地を約2分以内で編んだ。硬質糸用の通常の方法で、ヤーンを機械に供給した。電子テンション装置は使用しなかった。生機メリヤス生地(greige hose blanks)を、大気圧で30分間タンブル蒸しによって仕上げ加工した。標準工業自動オートクレーブ型入れ装置を用いて、102℃で4秒間被服を型入れし、95℃で30秒間乾燥した。皺のよらない状態に布帛を維持する間、型入れの布帛の長さをできる限り短くするように選択した。標準酸性染料を用いて、98℃で45分間、被服を染色し、同寸法の型入れおよび条件を用いて、型仕上げをした。
【0089】
結果として成形された布帛は、意外にも、3.38x10−4ワット/cm−℃の高い熱伝導性を有した。
【0090】
(実施例4)
本発明に係る3フィラメント二成分糸を、図7に図示した装置を用い、ポリエステルウィングとポリエーテルエステルコアで、調整した。繊維4.Aのコアポリマーは、HYTREL(登録商標)3078ポリエーテルエステルエラストマー(E.I.du Pont de Nemours and Companyの登録商標;曲げ弾性率4000psi(27,600キロパスカル)であった。実施例4.Bおよびの実施例4.Cの繊維のコアポリマーは、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコールソフトセグメントとブチレンテレフタラート(4G−T)ハードセグメントを有するポリエーテルエステルエラストマーであり、ほぼ米国特許第4,906,721号に記載の通りに調整した。ポリエーテルグリコールに組み入れた3−メチルテトラヒドロフランの量は、9モル%であり、グリコールの総平均分子量は、2750であり、4G−T/コポリエーテルグリコールのモル比は、4.6:1であった。表4において、本ポリマーを「2MePO4G:4G−T」と明示する。実施例4Aおよび4Bの繊維に含まれるウィングポリマーは、ポリ(ブチレンテレフタラート)(4G−T,Crastin(登録商標)6129、E.I.du Pont de Nemours and Companyの登録商標、曲げ弾性率350,000psi(2.4ミリオンキロパスカル))であり、繊維4.cでは、ポリ(トリメチレンテレフタラート)(3G−T)であった。3G−Tを、テトライソプロピルチタネート触媒、Tyzor(登録商標)TPT(E.I.du Pontde Nemours and Companyの登録商標)を、ポリマーを基準として60ppmで用いて、2槽方法で、1,3−プロパンジオールとジメチルテレフタラートから調整した。溶融DMTを、エステル交換反応槽内、185℃、3Gおよび触媒に添加し、温度は、メタノールが除去する間、210℃まで上昇した。結果として生じた中間生成物を重縮合槽に移し、重縮合槽の圧力を1ミリバール(10.2kg/cm2)まで下げ、温度を255℃まで上げた。所望の溶融粘度に達した時、圧力を上げて、ポリマーを押し出し、冷却して、ペレットに切断した。212℃で稼動させるタンブル乾燥機で、ペレットをさらに1.04dl/gの固有の粘性まで固相で重合した。本実施例の各繊維の紡糸口金パックおよび紡糸条件は、ウィング中にポリマー添加剤を添加しないこと、ウィングは、総繊維の40重量%であり、実施例3Aに記載の仕上げ剤(繊維を基準として)4重量%を使用し、繊維を巻取る前に、水蒸気の働きによって、3ポンド/平方インチ圧(20.7キロパスカル)で、20%弛緩したこと以外は、実施例2.Aとほぼ同一であった。本繊維は、表4に公表する特性を有した。
【0091】
【表4】
【0092】
実施例4Bの繊維に対する層間剥離の等級は、0.0であった。実施例4A、4Bおよび4Cの繊維から薄手のメリヤス生地を編み、水蒸気で型入れし、染色して、仕上げ加工し、均一な外観および良好な伸縮性と回復率を有した。
【0093】
(実施例5.A)
繊維の重量を基準として13重量%の仕上げ剤を使用したことを除いて、図7の装置と、実施例3Aの紡糸口金パックおよび紡糸条件を用いて、実施例1.Dのポリマーと仕上げ剤で、本発明に係る二成分繊維を紡糸した。ウィングとコアポリマーを繊維に紡糸する前に、最初に互いに約0.076cm接触させた。
【0094】
コアがウィングに貫入し、その結果、ウィング/コア/突出コアの重量比は、39/51/10であった(R1/R2は約1.5であった)。繊維は、20デニール(22dtex)の線密度、100%のボイルオフ後の伸度、23%のボイルオフ後収縮率、94%のボイルオフ後弛緩を有した。
【0095】
(実施例5B)
実施例5の繊維の4端を、エアジェットで混ぜ合わせ、二成分糸を成形した。SULZER RUTI 5100(エアジェットルーム)で、よこ糸として、38ヤーン/cm(96picks/インチ)でエアジェットで混合した二成分糸を用い、たて糸として、48たて糸端/cm(121/インチ)で44デニール(48dtex)/34フィラメントTACTELTM(E.I.du Pontde Nemours and Companyの登録商標)Type 6342 ナイロンを用いて、3/1構成で布帛を織った。115℃で水蒸気弛緩し、70℃でMCFジェット精練して、ナイロン用の標準酸性染料を用いて、100℃で60分間MCFジェット染料し、190℃で30秒間熱硬化して、織布を仕上げ加工した。これらの布帛は、空気乾燥でしわにならずに、嵩高でなく、平滑であり、良好な伸縮性および回復性を示し、優れた硬質繊維の手触りおよび視覚的美観を示す。弛緩仕上げの織布は、以下の特性を有する。
坪量=3.29オンス/平方ヤード(sq yd)(112グラム/m2)
厚=0.079インチ(2mm)
よこ糸数=160/インチ(63/cm)
たて糸数=208/インチ(82/cm)
【0096】
5cm幅x10cm長の布帛を手動で、40%伸張後、布帛は95%を上回って回復した。
【0097】
(実施例6)
本実施例は、本発明の繊維を成形する全層紡糸口金の使用を例証する。紡糸口金プレートA(図8A)および0.1406インチ(0.357cm)直径の丸形座ぐりのオリフィスと同一パターン、サイズ、アキシアルレジストリ(axial registry)および放射配向を有し、支持プレートEを、紡糸口金の毛細管(0.015インチ(0.038cm)長さ)を有する厚さ0.3125インチ(0.794cm)の紡糸口金(図11A)と置き換えたこと以外、同一の前合体の紡糸口金パックを実施例1Cの通り用いた。繊維が形成される前に、ウィングおよびコアポリマーを最初に互いに約0.87cm(0.794cmの紡糸口金+0.038cmのプレートA+0.038cmのプレートB)間、接触させた。ヘキサメチレン成分がジアミン誘導成分(従来の調整、相対粘性90)の80モル%存在するポリ(ヘキサメチレンコ−2−メチルペンタメチレンアジパミド)の6つのウィングと、PEBAX 3533SN ポリエーテルエステルアミドのコアとを有する25デニール(28dtex)の二成分繊維を、4X延伸比で、図7の装置を用いて紡糸し、1400メートル/分で巻取った。ウィング/コア/突出コアの重量比は、45/48/7、R1/R2は、約1.4であった。上記のように紡糸された繊維では、図3に示す通り、コアがウィングに貫入するが、好適であることが多いとされる縮小されたネック部は存在しなかった。
【0098】
(実施例7)
本実施例は、ウィングがコアに貫入した3つのウィングを有する二成分繊維を例証し、本繊維を成形するための薄い紡糸口金パックの使用も例証する。ウィングポリマーは、ポリ(ヘキサメチレンドデカンアミド)(固有の粘性1.18、Zytel(登録商標)158、E.I.du Pont de Nemours and Companyの登録商標)で、コアポリマーは、PEBAX(登録商標)3533SAポリエーテルエステルアミドであった。70デニール(78dtex)の10フィラメント糸を、ウィング/コア容量比40/60、265℃の紡糸口金の温度で、紡糸した。概略を図10に示す前合体の紡糸口金パックを使用したが、前記の実施例の紡糸口金パックとは、個々のプレートにおいて異なっていた。図10Aに示す、ステンレス鋼の紡糸口金プレートAは、0.015インチ(0.038cm)の厚さで、実施例1Aの方法で、紡糸口金プレートを通り抜けて切削したオリフィスを有し、3つのまっすぐなウィング形状において、2幅に各1つ、対称中心の周りに対称的に120°離れて配置され、毛細管オリフィス上に座ぐりは存在しなかった。各ウィング140は、その端から、中心が対称中心と一致する、直径0.012インチ(0.030cm)の中央の円形紡糸口金孔142の円周まで、0.040インチ(0.102cm)の長さ(図10Aにおいて、長さ144+長さ146)であった。次に、図10Bに関して、厚さ0.010インチ(0.025cm)分配プレートBは、紡糸口金プレートA上に同軸で位置決めされ、その結果、分配プレートBの他の全てのウィングオリフィス150は、紡糸口金プレートAのウィング140と位置決めされ、分配プレートBの各ウィングオリフィス150は、その端から対称中心まで0.1375インチ(0.349cm)の長さであった。調量プレートC(図10C)は、0.010(0.025cm)インチの厚さで、直径0.025インチ(0.064m)の孔160、直径0.015インチ(0.03cm)の孔162、直径0.010インチ(0.025m)の中央の孔164を有した。プレートCを分配プレートBと位置決し、使用時に、溶融プールプレートD(簡略図10参照)によって孔160に供給されるウィングポリマーと、分配プレートCの孔162および164に供給されるコアポリマーを、プレートBによってプレートAに分配し、ウィングがコアに貫入したフィラメントが形成された。紡糸口金プレートAには座ぐりは存在せず、プレートA、B、およびCの合体した厚さは、僅か約0.035インチ(0.089cm)であった。1225メートル/分の延伸ロール速度で、ヤーンを3.5X延伸し、大気圧の水蒸気ジェットで、1045メートル/分の巻き取り速度まで、弛緩した。ヤーンに弛緩された状態で水蒸気処理を施して、ヤーンが優れた伸縮性および回復性を有する場合、ヤーンの螺旋撚りは強まった。本実施例に基づいて成形した繊維断面の顕微鏡写真を図13に示す。
【0099】
(実施例8)
本実施例は、本発明の繊維成形において、従来の厚さの紡糸口金プレートの使用を例証する。
【0100】
以下の相違点で、実施例1.Aを繰り返した。紡糸口金の支持プレートEを使用しなかった(図8参照)。紡糸口金プレートAは、0.3125インチ(0.794cm)の厚さで、各紡糸オリフィスは、直径0.100インチ(0.254cm)の座ぐりと、座ぐりの下部に0.015インチ(.038cm)の長さの毛細管を有した。図11Aに示す通り、紡糸口金プレートAの各紡糸口金オリフィスは、6つのまっすぐなウィングオリフィス170を有し、その各々は、対称中心を通過し、その端から中央の円形孔172の円周まで、0.035インチ(0.089cm)の長さを有する長軸中心線を有した。各ウィング端から0.015インチ(0.038cm)の長さ174は、幅0.004インチ(0.010cm)であり、長さ176は、0.020インチ(0.051cm)の長さ、0.0028インチ(0.007cm)幅であった。各ウィングの端は、先端幅の2分の1に半径で切り取られている。分配プレートB(図11B参照)は、0.015インチ(0.038cm)の厚さで、6つのウィングオリフィス150を有し、その各々は、紡糸口金プレートAの対応する座ぐりの上方に中心を置き、プレートBの各ウィングオリフィス150をプレートAのウィングオリフィス170と位置決めした。プレートBの各ウィングオリフィス150は、長さ0.060インチ(0.152cm)、幅0.020インチ(0.051cm)であり、0.010インチ(0.025cm)の半径で、端に丸みをつけた。プレートBの中央の孔152は、直径0.100インチ(0.254cm)であった。調量プレートC(図11C参照)も、0.015インチ(0.038cm)の厚さであった。プレートCにおいて、孔160は、直径0.008インチ(0.020cm)を有し、直径0.080インチ(0.203cm)の中央の孔162の中心から0.100インチ(0.254cm)であった。プレートCをプレートBと位置決めして、プレートCの6つの孔160が、プレートBのウィングオリフィス150の中心線上方であるようにした。プレートを位置決めして、弾性コアポリマーをプレートBおよびAの中心を通過するプレートCの孔162に供給し、繊維のコアを成形した。非弾性ウィングポリマーをプレートCに孔160に供給し、プレートBおよびAのウィングオリフィスを通過させ、繊維のウィングを成形した。ウィングとコアポリマーを、繊維が押し出される紡糸口金プレートA面の上方0.328インチ(0.833cm)にある分配プレートBの上面で、最初に接触させる。
【0101】
紡糸口金の温度は、247℃であった。前に使用の仕上げ剤の代わりに、ポリエーテルエステルベースの仕上げ剤を5重量%用いて、14フィラメント糸を紡糸し、巻取る前に、(延伸糸の長さを基準として)15%ヤーンを弛緩した。延伸および部分的に弛緩されたヤーンは、線密度75デニール(83デシテックス)を有し、R1/R2は1.20であった。繊維断面の顕微鏡写真を図6に示す。
【0102】
本発明は、発明の詳細な説明と関連して記載されているが、前述の記載は、本質的に、典型的で説明的であると理解されるべきであり、本発明およびその好適な実施形態を例証する意図がある。日常の実験を通して、当業者は、本発明の範囲から逸脱しない明白な変更形態および変形形態を理解するだろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】コアに突出するウィングポリマーを有する本発明の繊維の断面図である。
【図2】ウィングに突出するコアポリマーを有する本発明の繊維の断面図である。
【図3】突出ポリマー(例えばウィングポリマー)が、貫入されるポリマー(例えばコアポリマー)の中に、歯根のように突出する、本発明の繊維の実施形態における断面図である。
【図4】突出ポリマー(例えば、コアポリマー)が、貫入されるポリマー(例えばウィングポリマー)に、貫入ポリマーがスプラインであるように、遠くへ突出する、本発明の繊維の実施形態における断面図である。
【図5】コアポリマーが、ウィングポリマーの中に突出して、僅かに遠方へ伸びた端部と、少なくとも1箇所のくびれた部分を形成する、コアポリマーの残部に接合する縮小されたネック部を含む、本発明の繊維の実施形態における断面図である。
【図6】1つ以上のウィングの一部面を、コアが取り囲んで、ウィングがコアに貫入している、本発明の繊維の実施形態における断面図である。
【図7】本発明の繊維を成形するのに有用な方法装置の概略図である。
【図8】本発明の繊維の成形に使用可能な積重ねプレート紡糸口金のアセンブリの側面図である。
【図8A】図8に示す積重ねプレート紡糸口金のアセンブリに対して90°で、図8の線8A−8AでのオリフィスのプレートAの平面図である。
【図8B】図8に示す積重ねプレート紡糸口金のアセンブリに対して90°で、図8の線8B−8BでのオリフィスのプレートBの平面図である。
【図8C】図8に示す積重ねプレート紡糸口金のアセンブリに対して90°で、図8の線8C−8CでのオリフィスのプレートCの平面図である。
【図9A】従来技術の紡糸口金プレートの切断面図を示す。
【図9B】本発明の紡糸口金プレートの切断面図を示す。
【図9C】本発明の紡糸口金プレートの切断面図を示す。
【図10】本発明の別の実施形態における繊維を成形するのに使用可能である、積重ねプレート紡糸口金のアセンブリの側面図である。
【図10A】本発明の別の実施形態における繊維を成形するために、本発明の紡糸口金パックのアセンブリに使用可能である、図10の積重ねプレート紡糸口金のアセンブリに対して90°での別の実施形態の紡糸口金プレートの平面図を示す。
【図10B】本発明の別の実施形態における繊維を成形するために、本発明の紡糸口金パックのアセンブリに使用可能である、図10の積重ねプレート紡糸口金のアセンブリに対して90°での別の実施形態の分配プレートの平面図を示す。
【図10C】本発明の別の実施形態における繊維を成形するために、本発明の紡糸口金パックのアセンブリに使用可能である、図10の積重ねプレート紡糸口金のアセンブリに対して90°での別の実施形態の調量プレートの平面図を示す。
【図11A】本発明のまた別の実施形態における繊維を成形するために、本発明の紡糸口金パックのアセンブリを使用可能である紡糸口金プレートの平面図を示す。
【図11B】本発明のまた別の実施形態における繊維を成形するために、本発明の紡糸口金パックのアセンブリを使用可能である分配プレートの平面図を示す。
【図11C】本発明のまた別の実施形態における繊維を成形するために、本発明の紡糸口金パックのアセンブリを使用可能である調量プレートの平面図を示す。
【図12】実施例6で例証した通りの本発明における繊維の断面図である。
【図13】実施例7で例証した通りの本発明における繊維の断面図である。
Claims (20)
- 熱可塑性弾性ポリマーを含んで成る軸となるコアと、前記コアに接合され、熱可塑性非弾性ポリマーを含んで成る複数のウィングとを含む伸縮可能な合成高分子繊維であって、ウィングポリマーまたはコアポリマーの少なくとも一方が、他方のポリマーの中に突出していることを特徴とする繊維。
- 前記コアが、外半径R1、内半径R2を含み、R1/R2が、約1.2より大きいことを特徴とする請求項1に記載の繊維。
- R1/R2が、約1.3〜約2.0の範囲であり、非弾性ウィングポリマーの弾性コアポリマーに対する重量比が、約10/90〜約70/30の範囲であり、ボイルオフ後の伸度が、少なくとも約20%であることを特徴とする請求項2に記載の繊維。
- 前記の突出ポリマーが、遠方へ伸びた端部と、前記端部を前記の突出ポリマーの残部に接合している縮小されたネック部とを含み、前記突出ポリマーの中に少なくとも1箇所くびれた部分が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の繊維。
- 前記ウィングが、ほぼ同一寸法であり、軸となるコアの周りにほぼ対称的に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の繊維。
- 前記非弾性ポリマーが、ポリアミド、非弾性ポリオレフィン、およびポリエステルからなる群から選択され、かつ前記弾性ポリマーが、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステルアミドエラストマー、および熱可塑性ポリエーテルエステルアミドエラストマーからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の繊維。
- 前記コアへの前記ウィングの接着性を改善するために前記ウィングポリマーに添加される添加剤をさらに含んで成り、前記繊維の層間剥離の等級が約2.5未満であることを特徴とする請求項1に記載の繊維。
- 前記非弾性ポリマーが、(a)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)およびポリ(ヘキサメチレンアジパミド)と2−メチルペンタメチレンジアミンの共重合体と、(b)ポリカプロラクタムとからなる群から選択され、かつ前記弾性ポリマーがポリエーテルエステルアミドであることを特徴とする請求項7に記載の繊維。
- 請求項1に記載の繊維を含んでなる被服。
- 熱可塑性弾性ポリマーを含んで成る軸となるコアと、前記コアに接合された、少なくとも1種の熱可塑性非弾性ポリマーを含んで成る複数のウィングとを含む伸縮可能な合成高分子繊維であって、前記繊維の層間剥離の等級が約1未満であり、ボイルオフ後の伸度が少なくとも約20%であることを特徴とする繊維。
- 連続高分子繊維を紡糸するための溶融紡糸方法であって、
非弾性ポリマーを含む溶融物と弾性ポリマーを含む溶融物を紡糸口金に通過させて、コアに接合されている複数のウィングを有し、前記ウィングポリマーまたはコアポリマーの少なくとも一方が他方のポリマーに突出している伸縮性合成高分子繊維を形成することと;前記紡糸口金を出た前記繊維を急冷して該繊維を冷却することと;前記繊維を回収することとから成る方法。 - 前記急冷後、、ボイルオフ後少なくとも約20%の伸度を呈するように前記繊維を熱弛緩する追加の工程を含む請求項11に記載の方法。
- 前記熱弛緩工程が、ドライエア、温水、または加圧水蒸気の熱媒体を用い、前記熱媒体が前記ドライエアの場合約80℃〜約120℃、前記熱媒体が前記温水の場合約75℃〜約100℃、熱媒体が前記加圧水蒸気の場合約101℃〜約115℃の温度範囲で実行されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
- 前記急冷後、弛緩前の前記繊維の長さを基準として、約1%〜約35%の範囲で、前記繊維を弛緩する追加の工程を含む請求項11に記載の方法。
- 第一および第二合成ポリマーの溶融押出により繊維を製造するための紡糸口金パックであって、
第一ポリマー溶融物を受け入れるのに適合した第一組の孔と、第二ポリマー溶融物を受け入れるのに適合した第二組の孔を含む調量プレートと、
前記分配プレートと位置合わせされ、これと接触している紡糸口金プレートであって、該紡糸口金プレートを貫通する毛細管を有し、前記紡糸口金の毛細管の長さの約60%未満の端ぐり長さを有する紡糸口金プレートと、
前記毛細管より大きい孔を有し、前記紡糸口金プレートと位置合わせされ、これと接触している紡糸口金支持プレートとを備えてなり、
前記調量プレートに供給される第一および第二ポリマーが、前記分配プレート、前記紡糸口金プレート、および前記紡糸口金の支持プレートを通過して繊維を形成するように前記各プレートが、位置合わせされていることを特徴とする紡糸口金パック。 - 前記紡糸口金プレートの端ぐりの長さが、前記紡糸口金の毛細管の長さの約40%未満であることを特徴とする請求項15に記載の紡糸口金パック。
- 前記紡糸口金の支持プレートの孔がフレアされていることを特徴とする請求項15に記載の紡糸口金パック。
- 前記孔および毛細管が、レーザーで切削されていることを特徴とする請求項15に記載の紡糸口金パック。
- 分配プレートをさらに含む請求項15に記載の紡糸口金パック。
- 前記分配プレートと前記紡糸口金プレートを合わせた厚さの最大値が約0.3cm未満であることを特徴とする請求項19に記載の紡糸口金パック。
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