JP2017222955A - 分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維および織編物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベンジルアルコール溶液処理を施すことなく、高密度感、ふくらみ感、およびソフト感のある防風性を兼ね備えた分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維織編物の提供。【解決手段】分割型ポリアミド1・ポリエステル2複合繊維において、繊維断面形状がポリアミド1によって3層以上の鋭利な多葉形星状構造に分割されており、沸騰水収縮率(B)が25〜50%、熱収縮応力(H)が0.20cN/dtex以上であり、ポリアミド1のガラス転移温度(Tg)が85〜95℃である分割型ポリアミド1ポリエステル複合繊維。前記分割型ポリアミド1・ポリエステル2複合繊維を少なくとも一部に使用してなる織編物。【選択図】図1

Description

本発明はポリアミドおよびポリエステルからなる分割型複合繊維の改良に関するものである。更に詳しくは、極めて緻密でありながら、嵩高性やふくらみ感、ソフト感を有する織編物構造を得るために良好な分割型複合繊維および少なくとも一部に用いた織編物に関するものである。
近年、ジャケット、コート、スカート、パンツ等のアウターには、風合いや防風性等が求められている。ポリエステル繊維は高密度に製織することで、優れた防風性を有するものの、ポリアミド繊維と比較してヤング率が高い特性があるために、熱処理して収縮させた後の風合いが硬く、アウターとしての快適性に問題があった。一方、ポリアミド繊維はヤング率が低く柔らかな風合いが得られるが、アウターに求められる張り腰がなく、また、ある程度の高密度の製織は可能であるが、染色工程などの熱処理による収縮が低いため、高密度にすることは困難であった。
かかる問題に対して、従来からポリエステルポリマーとポリアミドポリマーを繊維縦軸方向に複合して製糸し、後加工工程において両成分を剥離・分割させることで、単一のポリマーからなる繊維では得られなかった風合いと防風性を兼ね備えた織編物の開発が行われている。
例えば特許文献1には、ポリアミド・ポリエステル複合繊維を用いた織物をベンジルアルコール溶液で処理することで、ポリアミド成分を収縮させ、ポリアミド繊維とポリエステル繊維を分割させた織物が開示されている。また、特許文献2には、沸騰水収縮率が20〜40%のポリアミド成分を繊維表面に一部露出させた共重合ポリアミド・ポリエステル複合繊維を提案しており、この繊維を用いた織物をベンジルアルコール溶液での処理と染色とで、ポリアミド成分を収縮させ、ポリアミド繊維とポリエステル繊維を分割させた織物が開示されている。
特開2004−60006号公報 特開2009−270207号公報
しかしながら、特許文献1および2に開示されているポリアミド・ポリエステル複合繊維を用いた場合、風合いと防風性を兼ね備えた織編物を得るためには、ベンジルアルコール溶液を使用する必要があり、コストアップの面から工業生産する上で好ましい方法とは言えない。さらに、特許文献1および2に開示されているポリアミド・ポリエステル複合繊維は、熱収縮応力が小さいため、該ポリアミド繊維を製織・製編した織編物に熱処理をしても、十分に収縮されず、ふくらみ感のある高密度な織物は得られなかった。
そこで、本発明では上記問題点を解決するものであり、ベンジルアルコール溶液での処理が不要で、熱収縮応力(H)、沸騰水収縮率(B)が高い収縮特性を有する分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維を提供すること、およびこれによって、少なくとも一部に分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維を用いた織編物が、ふくらみ感、ソフト感のある防風性を兼ね備えた高密度な織編物とすることを提供することを課題とする。
上記目的を達成するために、本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維は、主として、次の構成を有する。
(1)分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維において、繊維断面形状が、前記ポリアミドによって3層以上の鋭利な多葉形星状構造に分割されており、沸騰水収縮率(B)が25〜50%、熱収縮応力(H)が0.20cN/dtex以上であることを特徴とする分割型複合繊維。
(2)前記ポリアミドのガラス転移温度(Tg)が85〜95℃であることを特徴とする(1)記載の分割型複合繊維。
(3)(1)または(2)記載の分割型複合繊維を少なくとも一部に使用してなる織編物。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維は、ベンジルアルコール溶液での処理が不要で、熱収縮応力(H)、沸騰水収縮率(B)が高く収縮特性に優れるため、該分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維によって、少なくとも一部に分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維を用いた織編物は、ふくらみ感、ソフト感があり、通気性を兼ね備えた高密度な織編物とすることができる。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維の単糸繊維断面を例示する平面図である。(8葉星状構造)
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維は、芯部を構成するポリアミド成分が、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドからなる繊維である。
結晶性ポリアミドは、結晶を形成し融点を有するポリアミドであり、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結されたポリマーであり、ポリカプラミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリテトラメチレンアジパミド、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)と線状脂肪族ジカルボン酸との縮合重合型ポリアミドなど、及び、これらの共重合体もしくはこれらの混合物が挙げられる。ただし、均一な系を再現しやすく、安定した機能発現の点からホモのポリアミドを用いることが好ましい。
結晶性ポリアミドは、ジアミン類、二塩基酸類からなる高分子量体であり、具体的なジアミン類としてはテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミンなどがあげられる。二塩基酸類としてはグルタル酸、ピメリン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、ヘキサデセンジオン酸、エイコサンジオン酸、ジグリコール酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、キシリレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。本発明の高収縮性ポリアミド繊維に用いる結晶性ポリアミドはいかなるものでもよいが、製造コスト、繊維の強度保持の両面からポリカプラミド、ポリヘキサメチレンアジパミドが好ましい。
非結晶性ポリアミドは、結晶を形成せず融点をもたないポリアミドであり、例えば、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体、イソフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、テレフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン/ω−ラウロラクタムの重縮合体、テレフタル酸/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン/ω−ラウロラクタムの重縮合体等がある。また、これらの重縮合体を構成するテレフタル酸成分及び/又はイソフタル酸成分のベンゼン環が、アルキル基やハロゲン原子で置換されたものも含まれる。さらに、これらの非晶性ポリアミドは2種類以上併用してもよい。本発明の高収縮性ポリアミド繊維に用いる非晶性ポリアミドは、高いガラス転移温度(Tg)を有している点からイソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体が好ましい。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維における、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの重量比率は、結晶性ポリアミド/非晶性ポリアミド=90/10〜50/50である。非晶性ポリアミドの重量比率が10重量%未満の場合、熱収縮応力(H)および沸騰水収縮率(B)の収縮特性が小さくなり、複合加工糸を作製した際には、熱処理を施しても糸長差が発現しにくく十分な嵩高性を得ることができず、また、織物を作製した際には、熱処理を施しても十分に収縮されずふくらみ感、ソフト感のある高密度な織物を得ることができない。また、非晶性ポリアミドの重量比率が50重量%を超えると、曳糸性に乏しく安定製糸できない。そのため、結晶性ポリアミド/非晶性ポリアミド=80/20〜60/40であることが好ましく、70/30〜60/40であることがより好ましい。
ここでいう重量比率とは、分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維の芯部を構成するポリアミド成分のプロトンNMRを測定し、アミド結合を形成するカルボキシル基のα位の水素に由来するシグナル(通常3ppm付近)のピーク面積(A)と、芳香族炭化水素に由来するシグナル(通常7ppm付近)のピーク面積(B)から結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの繰り返し比を求める(A=結晶性ポリアミドの繰り返し数×2+非晶性ポリアミドの繰り返し数×2、B=非晶性ポリアミドの繰り返し数×4)。同じ高収縮性ポリアミド繊維について、質量分析を行うことで、ポリアミドの繰り返し単位の質量数を測定する。求めた繰り返し比とそれぞれのポリアミドの繰り返し単位の質量数の積から重量比率を算出されるものである。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維は、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドが互いに相溶している相溶系である。相溶系と非相溶系の判断は、3000倍のTEM観察結果において、直径10nm以上の分散相を有する海島の相分離構造が観察されたときは非相溶系、直径10nm以上の分散相を有する海島の相分離構造が観察されなかったときは相溶系と判定した。相溶系においては、結晶性ポリアミドに非晶性ポリアミドが繊維構造形成した際に絡み合いを形成することで、結晶性ポリアミドの非晶部に高歪み帯を形成することができ、所望する沸騰水収縮率(B)と熱収縮応力(H)を発現させることができる。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維は、鞘部を構成するポリエステル成分が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等の通常のポリエステルを用いればよい。
また、分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維には、必要に応じて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤、発泡剤、帯電防止剤、成形性改良剤、強化剤等を添加してもよい。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維の繊維断面形状は、ポリアミド成分が、3層以上の鋭利な多葉形星状構造に分割されていることが必要である。3層以上の鋭利な多葉形星状構造とは、図1に例示したように、連続して存在しているポリアミド層によりポリエステル成分が3層以上の独立した層に分断されている。連続して存在しているポリアミド層によりポリエステル成分が複数層に分散されるとは、例えば、ポリアミド層を繊維中心部から放射線方向に層をなし、繊維外周部にかけて層が細くなっていくように配置し、その間にポリエステル層を配すればよい。この独立したポリエステル成分の層の数は3〜12個、さらに好ましくは4〜10個である。また、具体的なポリエステル成分の層の数は、得られる織編物に要求される緻密さ、ふくらみ感、ソフト感などの官能特性等を勘案して決定すればよい。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維は、沸騰水収縮率(B)が25〜50%である。かかる範囲とすることにより、複合捲縮糸を作製した際には、沸騰水やスチーム等で熱処理した際に収縮特性の異なる繊維との収縮差により糸長差が発現し、嵩高い複合捲縮糸が得られる。また、織物を作製した際には、沸騰水やスチーム等で熱処理した際や染色した際に十分に収縮しふくらみ感のある高密度な織物を得ることができる。沸騰水収縮率(B)が25%未満の場合、複合加工糸を作製した際には、熱処理を施しても糸長差が発現しにくく十分な嵩高性を得ることができず、また、織物を作製した際には、熱処理や染色処理を施しても十分に収縮されずふくらみ感、ソフト感のある防風性の兼ね備えた高密度な織物を得ることができない。沸騰水収縮率(B)が50%を超えると、織物を作製した際には、熱処理や染色処理を施した際に寸法変化が大きくなり過ぎ、織物の密度が過密になり、風合いが硬くなり、ふくらみ感、ソフト感が劣ることに加えて、織物の交錯点での目の詰まりかたに斑が生じ、収縮斑が生じるため、得られる織物の品位が劣る。分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維の沸騰水収縮率(B)は好ましくは、30〜45%である。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維は、熱収縮応力(H)が0.20cN/dtex以上である。ここでいう熱収縮応力(H)とは、カネボウエンジニアリング社製KE−2型熱収縮応力測定機を用い、測定する繊維糸条を結び周長16cmのループとし、糸条の繊度(デシテックス)の1/30gの初荷重を掛け、昇温速度100℃/分で測定して、得られた熱応力曲線のピーク値を最大熱応力(cN/dtex)として測定されるものである。熱収縮応力(H)をかかる範囲とすることにより、複合加工糸を作製した際には、沸騰水やスチーム等で熱処理した際に収縮特性の異なる繊維をひきつれて収縮することによって、より嵩高い複合加工糸が得られる。また、織物を作製した際には、沸騰水やスチーム等で熱処理した際や染色した際に収縮特性の異なる繊維を糸ひきつれて十分に収縮し、よりふくらみ感、ソフト感のある防風性の兼ね備えた高密度な織物を得ることができる。0.20cN/dtex未満の場合、複合加工糸を作製した際には、熱処理を施しても熱収縮応力(H)が足りず、糸長差が発現しにくく十分な嵩高性を得ることができず、また、織物を作製した際には、熱処理や染色処理を施しても均一に収縮されず収縮斑を生じ、ふくらみ感のある高密度な織物を得ることができない。分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維の熱収縮応力(H)は好ましくは0.25cN/dtex以上、より好ましくは0.30cN/dtex以上である。また、熱収縮応力が高くなりすぎると、織物を作製した際には、収縮するパワーが高くなり過ぎ、織物の交錯点での目が詰まりすぎるため、摩擦に弱くなり、毛羽や毛玉等が発生しやすくなるため、得られる織物の品位が低下する傾向がある。このため分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維の熱収縮応力(H)の上限は好ましくは0.50cN/dtexである。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維は、沸騰水収縮率(B)と熱収縮応力(H)が前記範囲で収縮特性を発現することが重要である。つまり、沸騰水やスチーム等で熱処理した際の寸法変化を表す沸騰収縮率(B)と収縮するパワー(力)を表す熱収縮応力(H)を同時に満たすことが重要である。かかる範囲とすることにより、複合加工糸を作製した際には、沸騰水やスチーム等で熱処理した際に収縮特性の異なる繊維との糸長差が発現し、さらに収縮特性の異なる繊維をひきつれて収縮することによって、より嵩高い複合加工糸が得られる。また、織物を作製した際には、沸騰水やスチーム等で熱処理した際や染色した際に収縮特性の異なる繊維を糸ひきつれて十分に収縮し、よりふくらみ感、ソフト感のある防風性を兼ね備えた高密度な織物を得ることができる。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維におけるポリアミド成分は、ガラス転移温度(Tg)が85〜95℃であることが好ましい。本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維のガラス転移温度(Tg)は、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの反応性の指標であり、繊維構造形成した際の結晶性ポリアミドの非晶部で生成した高歪み帯の形成に依存する。ガラス転移温度(Tg)をかかる範囲とすることにより、該分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維が張力の掛かっていない状態で保管されていても、結晶性ポリアミドで生成した高歪み帯を非晶性ポリアミドが拘束することで維持することができ、所望する熱収縮応力(H2)を発現させることができる。分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維におけるポリアミド成分のガラス転移温度(Tg)は好ましくは、87〜93℃である。高収縮性ポリアミド繊維の熱収縮応力(H2)は好ましくは0.20cN/dtex以上、より好ましくは0.25cN/dtex以上、最も好ましくは0.30cN/dtex以上である。また、熱収縮応力が高くなりすぎると、織物を作製した際には、収縮するパワーが高くなり過ぎ、織物の交錯点での目が詰まりすぎるため、摩擦に弱くなり、毛羽や毛玉等が発生しやすくなるため、得られる織物の品位が低下する傾向がある。このため高収縮性ポリアミド繊維の熱収縮応力(H2)の上限は好ましくは0.50cN/dtexである。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維の強伸度は、衣料用途の場合、通常使用される強伸度であればよく、高次加工の観点から伸度25〜50%、強度2.5cN/dtex以上がより好ましい。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維の製造方法について説明する。
ポリアミド(240〜300℃)とポリエステル(250〜300℃)を別々に溶融し、所定の複合比(重量%)に計量されて紡糸パックへ流入し、紡糸口金により合流して分割型複合断面に形成されて、紡糸口金より吐出される。このとき、結晶性ポリアミドおよび非晶性ポリアミドを混合・溶融するに際し、プレッシャーメルター、単軸エクストルーダーや二軸エクストルーダーを使用する溶融混練法が挙げられる。結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドとで相溶系を形成し、高い熱収縮応力(H)を得るためには、単軸エクストルーダーを用いることが好ましい。プレッシャーメルターを使用すると、均一に混合されないため、海島の相分離構造を形成し、高い熱収縮応力(H)を得られない。また、二軸エクストルーダーを用いる場合、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドとが反応し過ぎてしまい、結晶性ポリアミドの非晶部に形成される高歪み帯が少なくなり、高い熱収縮応力(H)が得られない。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維の製造方法プロセスについて、紡糸−延伸工程を連続して行う方法(直接紡糸延伸法)、未延伸糸を一旦巻き取った後に延伸する方法(2工程法)、あるいは紡糸速度を3000m/min以上のように高速として実質的に延伸工程を省略する方法(高速紡糸法)等、いずれの方法においても製造可能であるが、高効率生産、製造コストの面から直接紡糸延伸法、高速紡糸法の一工程法が好ましい。
溶融紡糸の直接紡糸延伸法での製造について例示する。
紡糸口金から吐出された分割型複合繊維は、通常の溶融紡糸と同様、冷却、固化され、給油した後に第一ゴデットローラーにて500〜4000m/minで引き取り、第一ゴデットローラーと第二ゴデットローラー間にて1.0〜4.0倍で延伸を行った後で、2000m/min以上、好ましくは3000〜4500m/minでパッケージに巻き取る。
この際、第一ゴデットローラーと第二ゴデットローラー間の周速度の比率(延伸倍率)や、巻き取り速度(ワインダー速度)を適切に設計することにより、狙いとするポリアミド糸条の強伸度を得ることが可能となる。
また、第一ゴデットローラーを加熱ローラーとして熱延伸を施すことで、ポリマーの流動性が高まり、結晶性ポリアミドの非晶部で高歪み帯が生成され、熱収縮応力(H)が向上する。熱延伸温度は、80〜160℃であることが好ましく、90〜150℃であることがより好ましい。
また、第二ゴデットローラーを加熱ローラーとして熱セットを施すことで、糸条の熱収縮応力を適切に設計することができる。熱セット温度は130〜180℃であることが好ましく、150〜170℃であることがより好ましい。
また、巻き取りまでの工程で公知の交絡装置を用い、交絡を施すことも可能である。必要であれば複数回交絡を付与することで交絡数を上げることも可能である。
さらには、巻き取り直前に、追加で油剤を付与するのも可能である。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維の形態は特に限定されるものではないが、フラットヤーン、仮撚加工糸、複合加工糸が好ましく用いられる。フラットヤーンとは、合成繊維のなかで加工が施されていない長繊維であり、繊維は屈曲していない状態の糸である。
仮撚加工糸とは、直線的なフィラメントに平面的もしくは立体的な捲縮を与える加工が施され、大きな伸縮性と嵩高性を持たせた糸である。その製造方法は特に限定するものではないが、一般的な仮撚加工法により製造することができる。例えば、仮撚加工糸の場合、2対のローラー間にヒーターと仮撚りスピンドルを設置し、フィラメントを連続的に加撚、熱固定、解撚を行うことにより、伸縮性の良好で不規則な三次元構造を発生させ、巻き取り製造される。加撚機構は特に限定はなく、中空スピナー方式、摩擦直撚方式、ベルトニップ方式などがある。
複合加工糸とは、2種類または2品種以上の繊維(長繊維、短繊維)をインターレース、同時仮撚り、合撚などの公知の複合加工法で、異種の素材、品種を混繊させた糸である。その製造方法は特に限定されるものではないが、2本以上のフィラメント糸条からなる構造嵩高加工糸において、少なくとも1本のフィラメント糸条が、ポリアミドとポリエステルからなる芯鞘複合糸を使用する他は、それ自体は一般的な複合加工法により製造することができる。
本発明の織編物は、公知の方法に従い製織、製編可能である。また、織編物の組織は限定されるものではない。織物の場合、その組織は、使用される用途によって平組織、綾組織、朱子組織やそれらの変化組織、混合組織のいずれであっても構わないが、織物の地合いがしっかりしたふくらみ感のある織物とするには、拘束点の多い平組織、平組識と石目、ナナコ組識を組み合わせたリップストップ組識が好ましい。編物の場合、その組織は、使用される用途によって丸編地の天竺組織、インターロック組織、経編地のハーフ組織、サテン組織、ジャカード組織やそれらの変化組織、混合組織のいずれであっても構わないが、編地が薄くて安定性が有り、かつ、伸長率にも優れる点からシングルトリコット編地のハーフ組織地などが好ましい。
本発明の織編物を製造する染色工程において、分割・染色が行われる。染色機には、液流染色機、ジッガー染色機、ビーム染色機、ウインス染色機などの種類があり、いずれの染色機で染色してもよいが、生産性の高い液流染色機が好ましく用いられる。また、液流染色機はもみ効果により、分割剥離しやすくなる効果もある。染色はポリエステルのみを染色、ポリエステルとポリアミド両方を染色する同浴または2段階染めを行ってもよい。
ヒートセットは、織編物の形態の固定、寸法安定性、外観や風合いの調整、染色性の均一化を行うために行われ、分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維を用いた織物は、染色温度以上の温度で乾熱セット、スチームセットされることが好ましい。また、本発明の織物は、必要に応じて仕上げおよび処理加工を施してもよい。
本発明の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維からなる織編物を少なくとも一部に用いた縫製品は、その用途を限定されるものでない。衣料用が好ましく、より好ましくは、ダウンジャケット、ウインドブレイカー、ゴルフウエアー、レインウエアなどに代表されるスポーツ、カジュアルウェアや婦人紳士衣料に好適である。また、スポーツウエア、ダウンジャケットに好適に用いることができる。
次に実施例によって本発明を具体的に説明する。
A.ポリアミドの相対粘度
試料0.25gを、濃度98質量%の硫酸25mlに対して1g/100mlになるように溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、濃度98質量%の硫酸のみの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
B.ポリエステルの固有粘度IV
オルソクロロフェノール(以下OCPと略す)10ml中に試料ポリマーを0.8g溶解し、25℃にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度[ηr]を次式により算出した値(IV)である。
相対粘度[ηr]=η/η=(t×q)/(t×q
固有粘度[IV]=0.0242ηr+0.2634
ただし、η:ポリマー溶液の粘度、η:OCPの粘度、t:溶液の落下時間(秒)、q:溶液の密度(g/cm)、t:OCPの落下時間(秒)、q:OCPの密度(g/cm)。
C.総繊度、単糸繊度
JIS L1013に準じ総繊度および単糸繊度を測定した。
E.ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(DSC)にTA Instrument社製Q1000を用いUniversal Analysis2000にてデータ処理を実施した。測定は窒素流下(50mL/min)で、温度範囲−50〜270℃、昇温速度2℃/min、温度変調周期60秒、温度変調振幅±1℃、試料重量約5g(熱量データは測定後重量で規格化)にて測定を実施した。段状の基線のずれとしえ観測される吸熱ピーク温度をガラス転移温度(Tg)とした。
D.沸騰水収縮率(B)
繊維試料を50cmのループにし、繊度の1/30(g)の初荷重を掛けて長さAを求め、次いでフリーにして沸騰水中に30分間浸漬した後、自然乾燥し、再び繊度の1/30(g)の初荷重を掛けて長さBを求め、次の式で沸騰水収縮率(B)を算出した。
沸騰水収縮率(B)(%)=〔(A−B)/A〕×100 。
E.熱収縮応力(H)
カネボウエンジニアリング社製KE−2型熱収縮応力測定機を用い、巻き取ったパッケージから解舒した繊維糸条を結び周長16cmのループとし、糸条の繊度の1/30gの初荷重を掛け、室温から210℃まで昇温速度100℃/分で測定して、得られた熱応力曲線のピーク値を最大熱応力(H)とした。また、巻き取ったパッケージから解舒した繊維糸条を結び周長16cmのループとし、無荷重の状態で、20℃、相対湿度65%に24時間保持し、その後、糸条の繊度の1/30gの初荷重を掛け、室温から210℃まで昇温速度100℃/分で測定して、得られた熱応力曲線のピーク値を経時収縮応力(H2)とした。
F.結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの重量比率
NMR測定から結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの繰り返し比を、質量分析からそれぞれのポリアミドの繰り返し単位の質量数を算出し、重量比率を求めた。
(a)NMR測定
核磁気共鳴分光法(H−NMR)を用いテトラメチルシラン(TMS)を内部標準物質(0ppm)として測定した。アミド結合を形成するカルボキシル基のα位の水素に由来するシグナル(通常3ppm付近)のピーク面積(A)と、芳香族炭化水素に由来するシグナル(通常7ppm付近)のピーク面積(B)から結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの繰り返し比を求める(A=結晶性ポリアミドの繰り返し数×2+非晶性ポリアミドの繰り返し数×2、B=非晶性ポリアミドの繰り返し数×4)。
(b)質量分析
マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、飛行時間型質量分析法(TOF−MS)、飛行時間型マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−TOF−MS)を用い繰り返し単位の質量数を決定した。
(c)重量比率
結晶性ポリアミドの重量比率(%)=(A/2)×(結晶性ポリアミドの質量数)
非晶性ポリアミドの重量比率(%)=(A/2−B/4)×(非晶性ポリアミドの質量数) 。
G.相溶性
糸条をRuO蒸気に曝し、糸と包埋樹脂との境界を明確にするためのコートをする。その後樹脂に包埋し、薄切片を製作、リンタングステン酸(PTA)水溶液で15min染色する。以上のようにして得られた観察対象物を、透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−7100)を用い、加圧電圧100kVで観察した。観察倍率は3000倍で繊維横断面を観察した。TEM観察結果において、直径10nm以上の分散相を有する海島の相分離構造が観察されたときは非相溶系(×)、直径10nm以上の分散相を有する海島の相分離構造が観察されなかったときは相溶系(○)と判定した。
H.編物の評価
(a)鞘糸の製造
相対粘度2.70のポリカプロラクタム(N6)を使用し、口金吐出孔を60個有する紡糸口金から紡糸温度275℃で溶融吐出させた。溶融吐出させた後、糸条を冷却、給油、交絡した後に2560m/minのゴデローラーで引き取り、続いて1.7倍に延伸した後に155℃で熱固定し、巻取速度4000m/minで80dtex60フィラメントのナイロン6糸条を得た。なお、得られたナイロン6糸条は、繊度78.8dtex、強度4.0cN/dtex、伸度59%、沸騰水収縮率10%、熱収縮応力0.09cN/dtexであった。
(b)複合加工糸の製造
上記(a)で得られたナイロン6糸条と実施例1〜6および比較例1〜6で得られた分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維を、インターレース加工機を用いて、交絡圧2.0kg/cmの交絡処理を施して混繊加工を行い、136dtexの複合加工糸を得た。
(c)筒編地作製
複合加工糸試料を、筒編機にて度目50となるように調整して筒編地を作製した。
得られた筒編地を80℃で20分精練を行い、続いてKayanol Yellow N5G 1%owf、酢酸を用いてpH4に調整し、100℃で30分間染色を行い、その後、80℃で20分間Fix処理を行い、最後に風合いの改良のため170℃で30秒間熱処理を行った。
(d)編物評価
筒編地を熟練技術者(5名)の触感により嵩高感(ふくらみ感)それぞれについて、以下の5段階で実施した。各技術者の評価点の平均値の小数点一桁を四捨五入して、5点を◎、4点を○、3点を△、1〜2点を×とした。
5点:非常に優れる
4点:やや優れる
3点:どちらでもない
2点:やや劣る
1点:劣る 。
I.織物の評価
(a)経糸の製造
極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを使用し、口金吐出孔を144個有する紡糸口金から紡糸温度285℃で溶融吐出させた。溶融吐出させた後、糸条を冷却、給油、交絡した後に1200m/minのゴデローラーで引き取り、続いて3.7倍に延伸した後に175℃で熱固定し、巻取速度4400m/minで56dtex144フィラメントのポリエチレンテレフタレート糸条を得た。
(b)織物の製造
上記(a)で得られたポリエチレンテレフタレート糸条を経糸に用い、実施例および比較例で得られた分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維を緯糸に用い平織物(経糸密度201本/2.54cm、緯糸密度130本/2.54cm、幅170cm、長さ65m)を製織した。
得られた織物を95℃で2分精練を行い、引き続き、液流染色機で、125℃で20分の熱水処理をした。これを織物の幅方向、長さ方向に緊張することなく、ピンテンターで160℃で乾熱セットした。次いで、赤の分散染料を用いて液流染色機で120℃で60分染色し、仕上げ染色織物を得た。
(c)織物の高密度感、ソフト感およびふくらみ感の評価
織物を熟練技術者(5名)の触感により高密度感、ソフト感およびふくらみ感それぞれについて、以下の5段階で実施した。各技術者の評価点の平均値の小数点一桁を四捨五入して、5点を◎、4点を○、3点を△、1〜2点を×とした。
5点:非常に優れる
4点:やや優れる
3点:どちらでもない
2点:やや劣る
1点:劣る 。
(d)織物の防風性の評価
通気量はJIS−L1096(フラジール形法)の評価に従う評価方法であり、n=5枚の平均で測定し、値が小さいほど防風性は優れており、良好である。
[実施例1]
結晶性ポリアミドとしてポリカプロラクタム(N6)(相対粘度ηr:2.62)と、非結晶性ポリアミドとしてイソフタル酸(6I)/テレフタル酸(6T)/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体でイソフタル酸/テレフタル酸の共重合比率が7/3の共重合体(相対粘度ηr:2.10)を、結晶性ポリアミド/非結晶性ポリアミドの重量比が70/30で単軸エクストルーダーを用い265℃で溶融混練し、ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート(固有粘度IV:0.60)を、単軸エクストルーダーを用い285℃で溶融混練し、紡糸パック、紡糸口金に合流させ、ポリアミド成分により、ポリエステル成分が8分割の星状芯鞘複合構造(図1)、ポリアミド成分30重量%、ポリエステル成分70重量%の複合割合を有する複合繊維を形成させ、紡糸口金より吐出させた。溶融吐出させた後、糸条を冷却、給油、交絡した後に1700m/minの第1ゴデローラー(延伸温度:110℃)で引き取り、続いて2.5倍に延伸した後に150℃で熱固定し、巻取速度4100m/minで56dtex18フィラメントの8分割の星状芯鞘複合繊維糸条(ガラス転移温度(Tg):90℃)を得た。
[実施例2]
結晶性ポリアミド/非結晶性ポリアミドの重量比を85/15としたこと以外は、実施例1と同様に紡糸を実施し、56dtex18フィラメントの8分割の星状芯鞘複合繊維糸条(ガラス転移温度(Tg):86℃)を得た。
[実施例3]
結晶性ポリアミド/非結晶性ポリアミドの重量比を55/45としたこと以外は、実施例1と同様に紡糸を実施し、56dtex18フィラメントの8分割の星状芯鞘複合繊維糸条(ガラス転移温度(Tg):92℃)を得た。
[実施例4]
結晶性ポリアミドとして、ポリヘキサメチレンアジパミド(N66)(相対粘度ηr:2.80)を用い、紡糸温度を285℃に変更したこと以外は、実施例1と同様に紡糸を実施し、56dtex18フィラメントの8分割の星状芯鞘複合繊維糸条(ガラス転移温度(Tg):93℃)を得た。
[実施例5]
結晶性ポリアミドとして、ポリヘキサメチレンセバシミド(N610)(相対粘度ηr:2.80)を用いたこと以外は、実施例1と同様に紡糸を実施し、56dtex18フィラメントの8分割の星状芯鞘複合繊維糸条(ガラス転移温度(Tg):94℃)を得た。
[実施例6]
結晶性ポリアミド/非結晶性ポリアミドの重量比が75/25としたこと、2.7倍で延伸したこと以外は、実施例1と同様に紡糸を実施し、56dtex18フィラメントの8分割の星状芯鞘複合繊維糸条(ガラス転移温度(Tg):88℃)を得た。
[比較例1]
結晶性ポリアミド/非結晶性ポリアミドの重量比を95/5とした以外は、実施例1と同様に紡糸を実施し、56dtex18フィラメントの8分割の星状芯鞘複合繊維糸条(ガラス転移温度(Tg):21℃)を得た。
[比較例2]
結晶性ポリアミド/非結晶性ポリアミドの重量比を30/70とした以外は、実施例1と同様に紡糸を実施し、56dtex18フィラメントの8分割の星状芯鞘複合繊維糸条(ガラス転移温度(Tg):24℃)を得た。
[比較例3]
結晶性ポリアミドとしてポリカプロラクタム(N6)(相対粘度ηr:2.62)のみを用いたこと以外は、実施例1と同様に紡糸を実施し、56dtex18フィラメントの8分割の星状芯鞘複合繊維糸条(ガラス転移温度(Tg):19℃)を得た。
[比較例4]
結晶性ポリアミドとして、ポリカプロラクタムとヘキサメチレンアジパミドの共重合体でポリカプロラクタムとヘキサメチレンアジパミドの共重合比率が85/15の共重合体(相対粘度ηr:2.69)を用いたこと以外は、実施例1と同様に紡糸を実施し、56dtex18フィラメントの8分割の星状芯鞘複合繊維糸条(ガラス転移温度(Tg):28℃)を得た。
Figure 2017222955
Figure 2017222955
表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜6の8分割の星状芯鞘複合繊維糸条を一部(緯糸)に用いた織物は、熱処理や染色工程を経ることで、経糸と緯糸の収縮差によって緯糸が収縮する作用と、緯糸が経糸をひきつれて収縮する作用の相乗効果により優れた収縮を発現し、衣料用に好適なソフト感、ふくらみ感のある高密度な防風性のある織物が得られた。
表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜6の8分割の星状芯鞘複合繊維糸条を一部に用いた複合加工糸は、熱処理や染色工程を経ることで、芯糸と鞘糸の収縮差によって芯糸が収縮する作用と、芯糸が鞘糸をひきつれて収縮する作用の相乗効果により優れた収縮を発現し、嵩高い複合加工糸が得られた。
比較例1では、非晶性ポリアミド重量比が少ないために、熱収縮応力(H)と沸騰水収縮率(B)いずれも低く、嵩高性に劣った複合加工糸であった。また、十分な高密度感も得られず、ふくらみ感、ソフト感、防風性に劣った織物であった。
比較例2では、非晶性ポリアミド重量比が多いために、熱収縮応力(H)と沸騰水収縮率(B)のいずれも低く、嵩高感に劣った複合加工糸であった。また、十分な密度も得られず、ふくらみ感、ソフト感、防風性に劣った織物であった。
比較例3では、熱収縮応力(H)と沸騰水収縮率(B)のいずれも低く、嵩高感に劣った複合加工糸であった。また、十分な密度も得られず、ふくらみ感、ソフト感、防風性に劣った織物であった。
比較例4では、沸騰水収縮率(B)は高いものの、熱収縮応力(H)が低いため、嵩高感に劣った複合加工糸であった。また、十分な高密度感も得られず、ふくらみ感、ソフト感、防風性に劣った織物であった。
1:ポリアミド
2:ポリエステル

Claims (3)

  1. 分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維において、繊維断面形状が、前記ポリアミドによって3層以上の鋭利な多葉形星状構造に分割されており、沸騰水収縮率(B)が25〜50%、熱収縮応力(H)が0.20cN/dtex以上であることを特徴とする分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維。
  2. 前記ポリアミドのガラス転移温度(Tg)が85〜95℃であることを特徴とする請求項1記載の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維。
  3. 請求項1または2記載の分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維を少なくとも一部に使用してなる織編物。
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