JPH05263330A - 複合繊維からなるタスラン加工糸 - Google Patents

複合繊維からなるタスラン加工糸

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JPH05263330A
JPH05263330A JP4087960A JP8796092A JPH05263330A JP H05263330 A JPH05263330 A JP H05263330A JP 4087960 A JP4087960 A JP 4087960A JP 8796092 A JP8796092 A JP 8796092A JP H05263330 A JPH05263330 A JP H05263330A
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守 尾本
Kazuyoshi Horiba
堀場一義
Takashi Shimomura
下村高司
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶解処理によりピーチスキン調の風合いを発
現するタスラン加工糸を提供する。 【構成】 芯糸Aの周囲に鞘糸Bがループを形成して交
絡した構造を有し、芯糸Aが、1つの芯セグメント(繊
度0.2〜0.8デニール)と、それを取り囲む3つ以
上の極細セグメント(繊度0.05〜0.5デニール)
を含むフィラメントaで構成され、各セグメントは可溶
性ポリマーにより互いに分割接合されている。一方、鞘
糸Bは、3つ以上のセグメント(繊度0.05〜0.5
デニール)を含むフィラメントbで構成され、各セグメ
ントが可溶性ポリマーにより互いに分割接合されてい
る。又、芯糸Aの沸騰収縮率は、鞘糸Bの沸騰収縮率よ
りも10〜30%大きい。 【効果】 可溶性ポリマーを溶解除去することで、細い
セグメントが自由度を有して開繊した状態となるため
に、風合いが柔らかい織物が得られ、ブルゾンやコート
の素材として適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶解処理によりピーチ
スキン調の風合いを発現する、複合繊維からなるタスラ
ン加工糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日までに、表面が柔らかい毛羽タッチ
であるピーチスキン調の織物を製造する試みが数多く報
告されてきており、このような織物の製造に使用される
最も一般的な複合繊維は、極細糸を使用したものであ
る。例えば、特開平2−200836号公報には、芯糸に繊度
の太いものを使用し、鞘糸に直紡型の極細糸を使用し、
このような芯糸と鞘糸を流体処理(タスラン加工)する
ことによって、ループを形成して交絡した部分を有する
複合繊維を製造することが開示されており、この複合繊
維を製織して得られる織物は、柔らかな表面触感を有す
るものであることが開示されている。尚、この複合繊維
における芯糸の繊度は1.5〜3.0d/fで、鞘糸の
繊度は0.8d/f以下で、鞘糸の占める重量比は30
〜60%である。ところが、この複合繊維は、鞘糸に直
紡型の極細糸が使用された構造のものであるために、流
体処理を行った際に鞘糸が切断されて毛羽が発生し易
く、後処理の撚糸工程や製織工程においてもトラブルが
生じ易い。
【0003】又、特開昭64− 14367号公報には、芯糸に
繊度が3d/f以上の糸条を使用し、鞘糸に繊度が0.
2d/f以下のフィラメントからなる分割型複合繊維を
使用し、このような芯糸と鞘糸を流体処理した後、アル
カリ減量処理により鞘糸をフィブリル化してスパン調の
風合いを出すことが開示されている。更に、特開昭64−
20350号公報及び特開平2− 41429号公報には、芯糸に
繊度が1d/f以上のものを使用し、鞘糸に繊度が0.
4d/f以下のフィラメントからなる分割型複合繊維を
使用し、この芯糸と鞘糸を流体処理した後、アルカリ減
量処理により鞘糸をフィブリル化することが開示されて
いる。
【0004】しかしながら、これらに記載される複合繊
維ではいずれも、芯糸を高収縮させるのに大きな力が必
要なために、芯糸に太い繊度のものが使用されており、
しかも繊度の太さによって、繊維に張りと腰を持たせ、
高収縮性により脹らみ感を持たせようとしている。従っ
て、このような構造の複合繊維は、触感時において、太
い繊度の芯糸が手にゴツゴツとした感覚で当たり、滑ら
かな風合いが阻害され、高級感のある柔らかな風合いを
有するものではない。又、これらの分割型複合繊維で
は、芯糸の繊度が大きいために、分割後において、鞘糸
を構成する全ての単糸が完全に分割して環やたるみを形
成せずに芯糸と接触し、柔らかな風合いが低下するとい
う問題がある。
【0005】更に、上述の方法により製造された複合繊
維を染色する場合には、芯糸の繊度が大きいために、小
さい繊度の鞘糸にまで均一に濃色を施すことが困難で、
淡色気味になる傾向がある。これに対し、繊度の大きい
芯糸は濃色に染まるので、繊維全体に濃色差(杢調)が
生じる。
【0006】このようなことから、柔らかな風合いを有
する複合繊維を得る方法として、芯糸と鞘糸の両方に分
割型複合繊維を用い、これらをタスラン加工することも
考えられるが、通常の収縮性のものを芯糸と鞘糸に用い
ても、非常に柔らかい風合いの製品は得られるが、張り
と腰が不足したものとなり、シワになり易く、実用性に
欠ける。又、芯糸に高い収縮性のものを使用し、鞘糸に
通常の収縮性のものを使用した場合には、芯糸が割繊し
ないために風合いが非常に硬いものとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の従来
技術における問題点を解決し、溶解処理により、柔らか
な風合いで、しかも高級感のあるピーチスキン調の風合
いを発現することが可能な、複合繊維からなるタスラン
加工糸を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の、複合繊維から
なるタスラン加工糸は、芯糸Aの周囲に、鞘糸Bがルー
プを形成して交絡した構造を有するものであって、上記
芯糸Aが、1つの芯セグメントと、上記芯セグメントを
取り囲むように配置された3つ以上の鞘セグメントを含
むフィラメントaで構成されており、上記芯セグメント
の繊度が0.2〜0.8デニールであり、上記鞘セグメ
ントの繊度が0.05〜0.5デニールであり、しかも
上記芯セグメントと鞘セグメントが、可溶性ポリマーに
よって互いに分割接合されている状態で存在すること、
上記鞘糸Bが3つ以上のセグメントを含むフィラメント
bで構成されており、上記フィラメントbを構成するセ
グメントの繊度が0.05〜0.5デニールであり、か
つ上記セグメントが可溶性ポリマーによって互いに分割
接合されている状態で存在すること、及び上記芯糸Aの
沸騰収縮率が、上記鞘糸Bの沸騰収縮率よりも10〜3
0%大きいことを特徴とする。
【0009】まず、本発明の、複合繊維からなるタスラ
ン加工糸を構成する、芯糸Aと鞘糸Bの構造について図
面を用いて説明する。図1(I)及び(II)はそれぞ
れ、本発明のタスラン加工糸の一例における芯糸Aを構
成するフィラメントaの横断面構造を示す図であり、図
2(I)及び(II)はそれぞれ、本発明のタスラン加工
糸の一例における鞘糸Bを構成するフィラメントbの横
断面構造を示す図である。
【0010】本発明における芯糸Aは、芯セグメント1
と鞘セグメント2を含むフィラメントaより構成される
高収縮性複合繊維であって、芯糸Aを構成するフィラメ
ントaはそれぞれ、図1(I)又は(II)に示されるよ
うに、芯セグメント1の周囲を取り囲むようにして、3
つ以上の鞘セグメント2が配置された構造を有する。そ
して、芯セグメント1と鞘セグメント2が、可溶性ポリ
マー4によって互いに分割接合されている状態で存在し
ている。この際、可溶性ポリマー4の少なくとも一部が
フィラメントaの表面に露出して、製織後に溶解除去で
きる状態にあることが必要であり、可溶性ポリマー4を
製織後に除去することで、鞘セグメント2に自由度が付
与される。
【0011】図1(I)や(II)に示されるような断面
構造を有する、本発明のタスラン加工糸におけるフィラ
メントaを製造する際には、芯セグメント1と鞘セグメ
ント2を、可溶性ポリマー4(例えば、アルカリにより
溶解可能なポリマー)により分割されるような状態で一
緒に複合紡糸し、延伸加工する。そして、この図1
(I)や(II)に示されるフィラメントaを溶解処理
し、可溶性ポリマー4を除去することにより、図3
(I)や(II)に示されるような横断面構造を有するセ
グメント糸a’が得られる。このセグメント糸a’にあ
っては、芯セグメント1の周囲を、隙間を有した状態で
3つ以上の鞘セグメント2が取り囲むようにして配置さ
れた構造を有し、鞘セグメント2同士も互いに隙間を有
する状態で存在しており、各芯・鞘セグメントが一定の
自由度で移動可能になっている。
【0012】このように本発明のタスラン加工糸におけ
るフィラメントaでは、芯セグメント1が芯部分に存在
することによって、可溶性ポリマー4が製織後に除去し
た際、鞘セグメント2が芯部に集束することなく互いに
放射状に割繊する効果が得られ、セグメント糸a’にお
ける個々の鞘セグメント2は高い自由度を有した状態で
配置されるので、上記のフィラメントaを用いた織物
が、柔らかい風合いを有したものとなる。
【0013】本発明では、芯糸Aと鞘糸Bからなるタス
ラン加工糸を用いて製織された織物が、ソフトな風合い
を有し、かつこのような繊維を比較的簡単に製造できる
ものとするには、フィラメントaの鞘セグメント2の数
を、3〜20とするのが好ましく、4〜16とするのが
特に好ましい。この場合において、芯セグメント1と鞘
セグメント2は、同じ材質からなるものであっても良
く、異なる材質からなるものであっても良い。
【0014】この際、上記の鞘セグメント2を高い自由
度で分散させるには、芯セグメントの繊度=鞘セグメン
トの繊度×(1.5〜10.0)の範囲であることが好
ましく、具体的には、芯セグメント1の繊度は約0.2
〜0.8デニールであって、特に0.2〜0.7デニー
ルが好ましい。一方、鞘セグメント2の繊度は約0.0
5〜0.5デニールで、特に約0.08〜0.4デニー
ルが好ましい。この場合において、芯セグメント1の繊
度が、鞘セグメント2の1.5倍未満になると、芯部が
小さいために鞘セグメント2が芯部に集束し易くなり、
その結果、放射状に分散され難くなる。逆に10倍を越
えると、芯セグメント1の繊度が太いために染色時に濃
淡差が生じるという問題が生じる。このようなことか
ら、本発明において最も好ましい繊度の組合せは、芯セ
グメント1の繊度が、鞘セグメント2の繊度の2.0〜
7.0倍となる場合である。
【0015】本発明のタスラン加工糸におけるフィラメ
ントaを構成する主要な材質としては、フィラメントa
が高い収縮性を有したものとなるように、芯セグメント
1及び鞘セグメント2の材質として、ポリエチレンテレ
フタレートやナイロンを使用するのが一般的である。こ
の場合において、通常のポリアミド糸を延撚工程におい
てヒートセットを行わないと、高収縮性のものが得ら
れ、更に、イソフタル酸等の第2成分を共重合させる
と、非常に高い収縮率を有する糸が得られる。
【0016】例えば、高収縮性を有する芯セグメント1
と鞘セグメント2として、共重合ナイロンを使用する場
合には、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンを主要な
構造単位とするアモルファスポリアミドと脂肪族ポリア
ミドとのブレンドポリマーが使用でき、このポリマーの
沸騰収縮率は15%以上である。又、この際、芳香族ジ
カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、
1,2−ビス(4−カルボフェノキシ)エタン、2,6
−ナフタリンジカルボン酸等が使用でき、例えば、テレ
フタル酸10〜60モル%とイソフタル酸90〜40モ
ル%とを共重合したアモルファスポリアミド、より好ま
しくはテレフタル酸20〜40モル%とイソフタル酸8
0〜60モル%とを共重合したアモルファスポリアミド
が、曳糸性と沸騰収縮性の点で優れており好ましい。
【0017】又、アジピン酸、セバシン酸等の公知の脂
肪族ジカルボン酸を少量、例えば30モル%以下併用す
ることもできる。脂肪族ジアミンとしては、ヘキサメチ
レンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,10−ジ
アミノデカン等があり、中でもヘキサメチレンジアミン
はナイロン66の原料として大量に製造されてコスト的
に有利であり好ましい。尚、m−フェニレンジアミン、
p−フェニレンジアミン等の公知の芳香族ジアミンを少
量、例えば30モル%以下併用しても良い。
【0018】尚、最終的には除去される可溶性ポリマー
4は、芯セグメント1と鞘セグメント2の組み合わせを
考慮して適宜選ぶことができ、例えば、芯セグメント1
と鞘セグメント2がポリアミド、ポリエステル、ポリオ
レフィンの場合には、アルカリ加水分解性の大きい共重
合ポリエステルが有用であり、このようなものとして
は、ポリアルキレングリコールや金属スルホネート基を
有するテレフタル酸以外のジカルボン酸の1種又は2種
を共重合したポリエチレンテレフタレートが挙げられ
る。
【0019】一方、前述のフィラメントaによって構成
される芯糸Aの周囲に、ループを形成して交絡する鞘糸
Bは、3つ以上のセグメントを含むフィラメントbで構
成されるものであり、各フィラメントbが、その横断面
において、0.05〜0.5デニールの繊度を有する3
つ以上のセグメント3が可溶性ポリマーによって互いに
分割接合されている状態で存在した構造を有する。そし
て、この可溶性ポリマーの少なくとも一部がフィラメン
トbの表面に露出している。よって、前述のフィラメン
トaの場合と同様、製織後に可溶性ポリマーを溶解除去
することが可能であり、アルカリ減量処理等を行うこと
で各セグメント間に隙間が形成され、セグメント3に自
由度が付与される。
【0020】本発明におけるフィラメントbの具体的な
横断面構造としては、前述のフィラメントaと同様の構
造(図1参照)、即ちセグメント3のうちの1つが芯セ
グメントとなった構造のものであっても良いし、あるい
は図2(I)や(II)のように、セグメント3が芯部分
に存在しない状態で並んだ構造のものであっても良い。
尚、フィラメントbが芯セグメントを有する構造である
場合には、セグメント3の数は4以上である。
【0021】この場合において、フィラメントbを構成
する芯セグメント、鞘セグメント、セグメント3につい
ても、前述のフィラメントaと同様の材質を使用するこ
とができ、図2(I)や(II)に示されるような断面構
造を有するフィラメントbからは、図4(I)や(II)
に示されるような、セグメント間に隙間が形成された断
面構造を有するセグメント糸b’が製造できる。
【0022】このように、本発明のタスラン加工糸は、
図1及び図2に示されるアルカリ割繊型のフィラメント
a及びbからなり、このフィラメントa及びbが共に、
分割前において各セグメントが互いに可溶性ポリマー4
により分割接合された構造のものであるために、タスラ
ン加工時において鞘セグメント2やセグメント3が切断
されることがなく、毛羽が発生することもない。しか
も、後工程の撚糸工程や製織工程をスムースに実施する
ことができる。尚、本発明では、フィラメントaにおけ
る鞘セグメント2の数と、フィラメントbにおけるセグ
メント3の数を同じにしても、異なるものにしても良
い。
【0023】更に、本発明の、複合繊維からなるタスラ
ン加工糸にあっては、上述の芯糸Aの沸騰収縮率が、上
述の鞘糸Bの沸騰収縮率よりも10〜30%大きく、こ
のような収縮性の違いによって、細いセグメント間に大
きな隙間が形成され、柔らかな風合いが得られる。本発
明において好ましい芯糸Aの沸騰収縮率は20〜50%
で、好ましい鞘糸Bの沸騰収縮率は0〜10%である。
この際、もし、芯糸Aの沸騰収縮率が鞘糸Bの沸騰収縮
率よりも10%以上大きくないと、芯糸Aによる収縮が
少なくなって、織物にした際の脹らみ感が不足する。
又、逆に、上記の沸騰収縮率の差が極端に大きくなる
と、芯糸Aが収縮した際に繊維全体が硬くなり、繊度の
小さい芯・鞘セグメントが有する柔らかい触感が阻害さ
れる。本発明のタスラン加工糸では、糸全体が高い収縮
性を有するので、従来の場合のように、芯セグメントを
太くする必要はなく、柔らかな風合いが得られる。
【0024】次に、前述のフィラメントaで構成された
芯糸原糸A’と、フィラメントbで構成された鞘糸原糸
B’をタスラン加工して、本発明のタスラン加工糸を製
造する際の工程を図5に示して説明する。図5に示され
るように、芯糸原糸A’と鞘糸原糸B’は各々フィード
ローラ5a、5bを通ってタスランノズル7へ供給され
て流体加工されるが、この際、芯糸原糸A’の方には水
付与装置6により水が付与される。そして、芯糸原糸
A’と鞘糸原糸B’のオーバーフィード率は、フィード
ローラ5a、5bとデリベリローラ8の間で決定され、
デリベリローラ8から送り出された製品を巻き取って本
発明のタスラン加工糸Cを得る。ピーチスキン調の織物
を製造する場合には、上記の本発明のタスラン加工糸C
を製織した後、アルカリ減量処理を行い、可溶性ポリマ
ーを除去すれば良い。
【0025】上述の如く、本発明のタスラン加工糸の製
造においては、上述の芯糸原糸A’と鞘糸原糸B’とが
タスラン加工されるが、この際にインターレース加工さ
れると、タスランループが形成できないので、アルカリ
減量処理してもピーチスキン調の風合いを有する製品が
得られない。このようなことから、本発明のタスラン加
工糸を製造する際には、流体加工時のオーバーフィード
率が適宜調整され、鞘糸原糸B’のオーバーフィード率
が+20%〜+60%であるものが適当であり、+40
%前後が最も好ましい。この際、鞘糸原糸B’のオーバ
ーフィード率を+20%未満とすると、ループが小さ過
ぎ、逆に+60%を越えると、ループが大きくなり過ぎ
て細かい高級感のあるループ形状が得られなくなり、ピ
リングが発生し易くなる。尚、芯糸原糸A’のオーバー
フィード率に関しては5%以下が適当である。
【0026】上述の本発明のタスラン加工糸を用いて織
物を製造する際には、このタスラン加工糸を、経糸と緯
糸の両方に使用しても良いし、緯糸に使用して経糸には
通常の延伸糸を用いても良い。又、本発明ではサンディ
ングが不要であり、本発明の複合繊維から構成される織
物の組織は、平織やツイル織が良く、従来の通常のサン
ディング織物では耐引裂性が弱いために適さなかった平
組織も可能である。以下に、本発明の、複合繊維からな
るタスラン加工糸の実施例を示すが、本発明はこれに限
定されるものではない。
【0027】
【実施例】
実施例 可溶性ポリマー(アルカリ易溶解性ポリマー)として、
固有粘度(η)0.64のポリエチレンテレフタレート
にポリエチレングリコールを17重量%共重合したポリ
マーを製造した。一方、芯・鞘セグメントとしては、イ
ソフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの塩と、テレフタ
ル酸/ヘキサメチレンジアミンの塩を70:30で重合
して、アモルファスナイロンの乾燥チップを作製し、こ
の乾燥チップ25重量部をナイロン6の乾燥チップ(9
5.7%硫酸、25℃での相対粘度2.70)75重量
部にブレンドした高収縮ポリマーを用いた。そして、上
記の可溶性ポリマーと高収縮ポリマーを、接合比率1:
3で、図1(II)に示されるような横断面構造で溶融紡
糸して未延伸糸を得た。主な紡糸条件としては、溶融温
度280℃、口金温度272℃とし、孔径0.25m
m、孔数50個の口金を使用した。
【0028】その後、上記の未延伸糸を、延伸倍率3.
25、速度1000m/min.で冷延伸して100d/5
0fの芯糸原糸A’(高収縮分割型複合糸)を得た。こ
のようにして得られた、芯糸原糸A’の沸騰収縮率は3
3%であった。
【0029】一方、芯糸原糸A’の製造において使用し
た前記の可溶性ポリマーとナイロン6ポリマーを、接合
比率1:3で図2(II)に示されるような横断面構造で
複合紡糸し、その後、延撚工程でプレートヒータpH1
20℃で熱セットし、100d/50fの鞘糸原糸B’
(分割型複合糸)を得た。このようにして得られた鞘糸
原糸B’の沸騰収縮率は7.0%であった。
【0030】次に、図5に示される工程にて、鞘糸原糸
B’のフィード率を種々変化させてタスラン加工を実施
した。主なタスラン加工条件は、下記の通りである。 加工機 : 愛機製作所製 THA−800S 糸 速 : 100m/min. タスランノズル : ヘバーライン T−341 エアー圧: 6.0 kg/cm2 芯糸原糸A’のフィード率 : +5% 鞘糸原糸B’のフィード率 : +5〜70%
【0031】そして、このようにして得たタスラン加工
糸を緯糸として使用し、100d/50fのグライト丸
断面の通常延伸糸を経糸として使用し、生機密度(縦/
横)=147/66(本/インチ)で
【0032】
【数1】
【0033】のツイルを製織した。この生機を精練し、
ヒートセットし、アルカリ減量処理した後、染色を行
い、乾燥させて、撥水剤仕上げ処理を実施した。このよ
うにして得られた織物にあっては、芯糸Aを構成するフ
ィラメントの、アルカリ減量処理された際の芯セグメン
トの繊度は0.37dで、鞘セグメントの繊度は0.1
4dであった。一方、鞘糸Bを構成するフィラメント
の、セグメントの繊度は0.38dであった。各条件に
おいて得られたタスラン加工糸の糸質、及び織物の風合
い評価結果を、以下の表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】この結果、鞘糸原糸B’のフィード率が5
%の時には、織物表面に出ているループ形状が極めて小
さく、ピーチスキンの風合いとは程遠いものであった。
又、鞘糸原糸B’のフィード率を+10%にした場合に
は、ループが少し大きくなり、幾分ピーチスキンの風合
いを有した織物となったが、逆に+70%にした場合で
は、ループが大き過ぎて粗雑なものとなり、きめ細かい
触感に欠けるものとなった。又、糸の強度は+70%に
すると2.0g/d以下になり、工程上問題のある強度
となった。上記表1の実験結果から、最も好ましい鞘糸
原糸B’のフィード率は+40%前後であることがわか
り、この織物は非常に高級感を有した風合いのものであ
った。
【0036】比較例 実施例1で用いたのと同様の可溶性ポリマーと高収縮ポ
リマーを、接合比率1:3で図2(II)に示されるのと
同様の横断面構造で複合紡糸し、芯セグメントを有さな
いフィラメントで構成された芯糸原糸(高収縮分割型複
合糸)を製造した。この際の紡糸条件と延伸条件は実施
例1と同様にした。得られた芯糸原糸の繊度は100d
/50fで、沸騰収縮率は32%であった。
【0037】そして、上記の芯糸原糸と、実施例1に記
載される鞘糸原糸(分割型複合糸)をタスラン加工し、
タスラン加工糸を得た。この場合において、芯糸原糸と
鞘糸原糸のフィード率は、+5/+40%とした。この
ようにして得られたタスラン加工糸を用いて、更に、実
施例1と同様の条件にて製織し、その後、仕上げ処理を
行った。この比較例により得られた織物では、芯糸を構
成するフィラメントの各セグメントが放射状に開繊せ
ず、互いに中心部分へ集束した状態となるために、ピー
チスキン調の風合いを有したものにはならなかった。
尚、芯糸を構成するフィラメントにおけるアルカリ減量
処理後のセグメントの繊度は0.19dであった。
【0038】
【発明の効果】本発明の、複合繊維からなるタスラン加
工糸では、芯糸と鞘糸を構成するフィラメントa及びb
が共に、各セグメントが可溶性ポリマーによって分割接
合された状態となっており、アルカリ減量処理を行うこ
とで、各セグメント間に隙間が形成された状態となるた
めに、織物にした際、柔らかいピーチスキン調の風合い
が得られ、各セグメントの繊度は概ね似ていることで均
一な染色が行える。又、本発明のタスラン加工糸を用い
ることにより、従来のサンディング品に比べて高密度の
織物を製造することができ、このような織物は、耐水
圧、防水、防風性の点において優れたものである。従っ
て、このような織物は、ブルゾンやコートの素材として
最適な風合いを備えている。更に、本発明のタスラン加
工糸の場合にはサンディングしないために濃色を有する
ものが得られ、従来のサンディングの場合のような、端
糸が切断していることによる埃付着や、サンディングに
よる淡色傾向という問題がない。しかも、本発明では、
サンディングが不要なためにコストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(I)及び(II)は、本発明のタスラン加工糸
の一例における、芯糸Aを構成するフィラメントaの横
断面構造を示す図である。
【図2】(I)及び(II)は、本発明のタスラン加工糸
の一例における、鞘糸Bを構成するフィラメントbの横
断面構造を示す図である。
【図3】可溶性ポリマーをアルカリ減量除去して得られ
るセグメント糸a’の一例における横断面構造を示す図
であり、(I)は図1(I)に、(II)は図1(II)に
対応するものである。
【図4】可溶性ポリマーをアルカリ減量除去して得られ
るセグメント糸b’の一例における横断面構造を示す図
であり、(I)は図2(I)に、(II)は図2(II)に
対応するものである。
【図5】芯糸原糸A’と鞘糸原糸B’とをタスラン加工
して、タスラン加工糸Cを製造する際の工程を示す図で
ある。
【符号の説明】
a (芯糸を構成する)フィラメント b (鞘糸を構成する)フィラメント a’(アルカリ減量処理後の)セグメント糸 b’(アルカリ減量処理後の)セグメント糸 A’ 芯糸原糸 B’ 鞘糸原糸 C タスラン加工糸 1 芯セグメント 2 鞘セグメント 3 セグメント 4 可溶性ポリマー 5a、5b フィードローラ 6 水付与装置 7 タスランノズル 8 デリベリローラ
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D03D 15/00 F 7199−3B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯糸Aの周囲に、鞘糸Bがループを形成
    して交絡した構造を有するものであって、 上記芯糸Aが、1つの芯セグメントと、上記芯セグメン
    トを取り囲むように配置された3つ以上の鞘セグメント
    を含むフィラメントaで構成されており、上記芯セグメ
    ントの繊度が0.2〜0.8デニールであり、上記鞘セ
    グメントの繊度が0.05〜0.5デニールであり、し
    かも上記芯セグメントと鞘セグメントが、可溶性ポリマ
    ーによって互いに分割接合されている状態で存在するこ
    と、 上記鞘糸Bが3つ以上のセグメントを含むフィラメント
    bで構成されており、上記フィラメントbを構成するセ
    グメントの繊度が0.05〜0.5デニールであり、か
    つ上記セグメントが可溶性ポリマーによって互いに分割
    接合されている状態で存在すること、及び上記芯糸Aの
    沸騰収縮率が、上記鞘糸Bの沸騰収縮率よりも10〜3
    0%大きいことを特徴とする、複合繊維からなるタスラ
    ン加工糸。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08218227A (ja) * 1995-02-13 1996-08-27 Kuraray Co Ltd 分割型複合繊維
JP2017222955A (ja) * 2016-06-17 2017-12-21 東レ株式会社 分割型ポリアミド・ポリエステル複合繊維および織編物

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JPH08218227A (ja) * 1995-02-13 1996-08-27 Kuraray Co Ltd 分割型複合繊維
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