JP4349145B2 - 複合糸およびその製造方法ならびに織編物 - Google Patents

複合糸およびその製造方法ならびに織編物 Download PDF

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Description

本発明は、複合糸およびその製造方法ならびに織編物に関するものである。
従来より、糸条に交絡処理を施すことにより複合糸を得る方法はごく一般的に使われている。例えば、収縮率の異なる2つの糸条を交絡したり(特許文献1参照。)、複数の糸条をフィード差を与えてノズルに供給し交絡して複合糸に糸長差を付与し嵩高な複合糸を得ることができること(特許文献2参照。)などはよく知られている。しかしながら、従来のこれらの交絡処理を施した複合糸ではストレッチ性がほとんどなく、スポーツ衣料等のストレッチ性が要求される用途には全く用いられていないのが現状である。
また、ストレッチ素材として、ポリウレタン系弾性繊維糸をプレ延伸した後にポリアミド繊維糸やポリエチレンテレフタレート繊維糸などの他の繊維糸と合流せしめ、エアー加工して交絡させた複合糸が、ストッキング、インナーあるいはアウターなど一般衣料用途に使用されてきた(特許文献3参照。)このように、芯糸としてポリウレタン系弾性繊維糸を用いたループヤーンで編織物を形成する場合、フィット性と伸縮性に優れたものを得ることができるが、風合いが硬くなり、ドレープ性が低下し、織編物が厚くなる。また一般に、ポリウレタン系弾性繊維はその化学構造から、塩素により脆化しやすく、光やガスにより黄化しやすい欠点を有するため、従来から、その塩素、光、ガスに対する耐久性、耐黄化性を向上させる技術が開示されてきたが、成果はなお不十分であり、これら欠点を改善した複合糸の開発が急がれている。
特開2002−180343号公報 特開平05−247757号公報 特開2001−123360号公報
そこで本発明の目的は、高次加工して、衣服などに使用する際、従来の技術では得られなかったソフトな風合い、耐久性、耐塩素性および耐光性に優れ、生地が薄くフラット感のあるストレッチ布帛を得ることができる複合糸およびその製造方法を提供することにある。
本発明の複合糸は、前記課題を解決するため以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の複合糸は、構成成分の少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型または偏芯シース・コア型であるポリエステル系複合繊維糸と他のフィラメント糸が交絡せしめられてなる複合糸であって、交絡数が50〜200個/mであることを特徴とする複合糸である。
また、本発明の複合糸の製造方法は、構成成分の少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型または偏芯シース・コア型であるポリエステル系複合繊維糸を5%以上20%以下のオーバーフィード率で供給し、他のフィラメント糸を前記ポリエステル繊維以上のオーバーフィード率で供給して両糸を合流せしめ、交絡処理を施すことを特徴とする複合糸の製造方法である。
本発明においては、上記の複合糸を用いて、上述した特異な織編物を製編織することができる。
本発明により、高次加工して、衣服などに使用する際、従来の技術では得られなかった。ソフトな風合い、耐久性、耐塩素性および耐光性に優れ、生地が薄くフラット感のあるストレッチ布帛を得ることができる複合糸が得られる。
以下、本発明の複合糸について具体的に説明する。図1は本発明の複合糸の一例を示す概略側面図である。本発明の複合糸(ハ)は、ポリエステル系複合繊維糸(イ)とポリエチレンテレフタレート繊維糸等の他のフィラメント糸(ロ)が交絡せしめられ、交絡部(ニ)と開繊部(ホ)を交互に有した形状を呈している。
交絡は、基本的にはこのようにポリエステル系複合繊維糸(イ)と他のフィラメント糸(ロ)の交絡であるが、部分的にはポリエステル系複合繊維糸(イ)を構成する単繊維同士の交絡や、他のフィラメント糸(ロ)を構成する単繊維同士の交絡も含まれる。
図2は、98℃で30分間、無荷重状態で沸騰水処理した本発明の複合糸(チ)の概略側面図である。ポリエステル系複合繊維糸(ヘ)が、沸騰水処理されることにより潜在捲縮が発現し、他のフィラメント糸(ト)を構成するフィラメントが開繊して、本発明の複合糸はかさ高でストレッチ性に富んだものとなる。
本発明の複合糸は、交絡数が50個/m以上、200個/m以下の範囲であることが重要である。交絡数が200個/mより多いと交絡部における拘束力が大きくなり複合糸の伸縮性が低減する。一方、交絡数が50個/m未満であると糸割れが発生し工程通過性が悪化し、糸表面にタルミが発生するため織編物等の布帛を形成したときに外観品位が悪いものとなる。より好ましい交絡数は、70個/m以上、130個/m以下の範囲である。
本来、本発明のようにポリエステル系複合繊維糸のようにコイル状の捲縮を有するフィラメント糸と他のフィラメント糸を交絡することは極めて難しく、本発明の上記範囲の交絡数を得るには、ポリエステル系複合繊維糸を5%以上20%以下のオーバーフィード率で供給することにより、コイル状の捲縮を更に顕在化させることにより、他のフィラメント糸との絡合を良化させることが重要不可欠である。
本発明におけるポリエステル系複合繊維糸には、構成成分の少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型または偏芯シース・コア型であるポリエステル系複合繊維糸が使用される。
前記ポリエステル系複合繊維糸において極限粘度の異なる重合体が貼り合わされることによって、紡糸、延伸時に高粘度側に応力が集中するため、2成分間で内部歪みが異なる。そのため、延伸後の弾性回復率差および織編物等布帛の熱処理工程での熱収縮差により高粘度側が大きく収縮し、単繊維内で歪みが生じて3次元コイル捲縮の形態をとる。この3次元コイルの径および単繊維長当たりのコイル数は、高収縮成分と低収縮成分との収縮差(弾性回復率差を含む)によって決まるといってもよく、収縮差が大きいほどコイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が多くなる。
ストレッチ素材として要求されるコイル捲縮は、コイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が多い(伸長特性に優れ、見映えがよい)、コイルの耐へたり性がよい(伸縮回数に応じたコイルのへたり量が小さく、ストレッチ保持性に優れる)、さらにはコイルの伸縮特性は、低収縮成分を支点とした高収縮成分の伸縮特性が支配的となるため、高収縮成分に用いる重合体には高い伸長性および回復性が要求される。
そこで、高収縮成分(高粘度成分)にポリトリメチレンテレフタレートを主成分としたポリエステル複合繊維を用いる。ポリトリメチレンテレフタレートからなる繊維は、代表的なポリエステル繊維であるポリエチレンテレフタレート繊維やポリブチレンテレフタレート繊維と同等の力学的特性や化学的特性を有しつつ、伸長回復性がきわめて優れている。これは、ポリトリメチレンテレフタレートの結晶構造においてアルキレングリコール部のメチレン鎖がゴーシュ−ゴーシュ構造(分子鎖が90度に屈曲)であること、さらにはベンゼン環同士の相互作用(スタッキング、並列)による拘束点密度が低く、フレキシビリティーが高いことから、メチレン基の回転により分子鎖が容易に伸長・回復するためと考えている。本発明の複合糸に使用されるポリエステル系複合繊維糸の他の構成成分であるポリトリメチレンテレフタレートとは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とする重合体成分からなるものが好ましい。
本発明におけるポリトリメチレンテレフタレートとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3プロパンジオールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルが好ましい。ただし、他のエステル結合を形成可能な共重合成分が20モル%以下の割合で含まれるものも好ましく、10モル%以下の割合で含まれるものはより好ましい。共重合可能な化合物としては、例えば、イソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオール類が好ましく使用される。
また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを添加してもよい。
本発明におけるポリエステル系複合繊維糸には、構成成分のもう一方(低収縮成分)は高収縮成分として用いたポリトリメチレンテレフタレートよりも低収縮であれば特に限定されないがポリエステルで構成されることが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、また高収縮成分として用いたポリトリメチレンテレフタレートと特性の異なる、特に粘度の異なるポリトリメチレンテレフタレートを用いることもできる。なかでも、高収縮成分であるポリトリメチレンテレフタレートに対して、低収縮成分(低粘度成分)には、界面接着性が良好で、力学的特性、化学的特性及び原料価格を考慮した結果、ポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。
本発明におけるポリエステル系複合繊維糸の構成成分に用いられるポリエチレンテレフタレートとは、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とする重合体成分からなるものが好ましい。
すなわち、本発明においてポリエチレンテレフタレートとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルが好ましい。ただし、他のエステル結合を形成可能な共重合成分が20モル%以下の割合で含まれるものも好ましく、10モル%以下の割合で含まれるものはより好ましい。共重合可能な化合物としては、例えば、スルフォン酸、ナトリウムスルフォン酸、硫酸、硫酸エステル、硫酸ジエチル、硫酸エチル、脂肪族スルフォン酸、エタンスルフォン酸、クロロベンゼンスルフォン酸、脂環式スルフォン酸、イソフタル酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、アジピン酸、シュウ酸、デカンジカルボン酸などのジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸などのジカルボン酸類、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ハイドロキノン、ビスフェノールAなどのジオール類が好ましく使用される。
また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを添加してもよい。
すなわち、本発明において、コイル状捲縮を発現させ、編織物を形成した際に所望の伸縮性を得る観点から、ポリトリメチレンテレフタレートの極限粘度は1.0以上であることが好ましく、1.2以上、1.6以下であることがより好ましい。もう一方の構成成分をポリエチレンテレフタレートとする場合はポリエチレンテレフタレートの極限粘度は0.45以上、0.85以下であることが好ましく、両者間の極限粘度差が0.4以上、1.1以下であることが好ましい。
本発明で使用するポリエステル系複合繊維糸を構成する単繊維の断面形状は、サイドバイサイド型または偏芯シース・コア型とするものである。断面形状がサイドバイサイド型または偏芯シース・コア型でないと、ポリエステル系複合繊維糸に熱が付与された際に、コイル状捲縮が発現せず、糸条に好適な伸縮性を付与することができない。
本発明におけるポリエステル系複合繊維において構成成分の重量比率は、製糸性および繊維長さ方向のコイルの寸法均質性の観点からポリトリメチレンテレフタレート(高収縮成分)/低収縮成分(その他のポリマー、特にポリエステル)が30/70以上70/30以下の範囲であることが好ましい。
ポリエステル系複合繊維糸の繊度は、用途目的に応じて20デシテックス以上600デシテックス以下の範囲が好ましい。また、ポリエステル系複合繊維糸を構成するの単繊維繊度は、用途に応じて0.4デシテックス以上18デシテックス以下の範囲が好ましい。
本発明の複合糸は、前記ポリエステル系複合繊維糸の他に、他のフィラメント糸が使用し、これらを交絡した複合糸である。
他のフィラメント糸としては、ポリエチレンテレフタレート繊維またはポリトリメチレンテレフタレート繊維またはポリアミド繊維からなるフィラメント糸が好ましく用いられる。フィラメント糸の態様は原糸、仮ヨリ加工糸、もしくは先染め糸などのいずれであってもよく、また、これらの複合糸であってもよい。 他のフィラメント糸の種類、繊度および態様は、用途目的に応じて適宜選択することができる。また、他のフィラメント糸としては、単糸条でも良いが複数本の糸条からなるものを用いることができる。
他のフィラメント糸の糸繊度は、用途目的に応じて20デシテックス以上1000デシテックス以下の範囲が好ましい。また、他のフィラメント糸を構成する単繊維の繊度は用途に応じて0.4デシテックス以上16デシテックス以下の範囲が好ましい。
本発明の複合糸は、上述のポリエステル系複合繊維と他のフィラメント糸が交絡せしめられてなる複合糸であって、10%伸長時の伸長回復率が90%以上であることが好ましい。10%伸長時の伸長回復率が90%未満であると、織編物等の布帛を形成したとき適度な伸縮性を得ることができないからである。より好ましい伸張回復率は、95%以上である。
次に、本発明の複合糸の製造方法について説明する。
図3は、本発明の複合糸の製造方法の一例を示す概略模式図である。本発明の複合糸の製造方法では、構成成分の少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型または偏芯シース・コア型であるポリエステル系複合繊維を5%以上20%以下のオーバーフィード率で供給し、他のフィラメント糸を前記ポリエステル繊維以上のオーバーフィード率で供給して両糸を合流せしめ、交絡処理を施す。
交絡処理には、市販のエアー加工機等が好ましく用いられる。交絡処理の際、芯糸となる前記ポリエステル系複合繊維糸1に5%以上、20%以下、より好ましくは6%以上、12%以下のオーバーフィード率を施すことが必要である。
従来より、前記ポリエステル繊維糸はそのポリエステル繊維糸を構成する各単繊維がコイル状の捲縮を有しており、このような捲縮を持った繊維糸の交絡加工は極めて難しいとされてきた。しかしながら、発明者らは鋭意検討の結果、ポリエステル系複合繊維糸に5%以上20%以下でオーバーフィード率を施しながら、交絡ノズルに供給することにより、コイル状の捲縮を更に顕在化させることにより、他のフィラメント糸との絡合が顕著に良化することを見出した。
ポリエステル系複合繊維糸のオーバーフィード率が5%未満であれば、交絡処理直前で、コイル状の捲縮が十分に発現されないため50個/m以上の交絡を得ることは極めて困難である。一方、ポリエステル系複合繊維糸のオーバーフィード率が20%より大きいとノズルの交絡性能の限界により走行上の糸にたるみが発生し糸切れが発生する傾向を示す。
一方、複合される他のフィラメント糸は、本発明の複合糸の鞘糸となるべく、ポリエステル繊維糸以上のオーバーフィード率を施すことが必要である。
ポリエステル複合繊維糸と他のフィラメント糸の供給は、図3のように、ポリエステル複合繊維糸1と他のフィラメント糸2を、それぞれフィードローラ3とフィードローラ4で別々に交絡ノズル5に供給して合流させても良いが、図4のように、ポリエステル複合繊維糸1と他のフィラメント糸2とを引き揃えた後にフィードローラ3で交絡ノズル5に供給して合流させても良い。
本発明においてオーバーフィード率とは、デリベリローラ6に対するフィードローラ3またはフィードローラ4における糸速度の過供給率を意味する。
本発明の複合糸の加工速度であるデリベリローラ上の表面速度は、コスト面あるいは複合糸の交絡形態を鑑みて100m/分〜650m/分の範囲が好ましく、さらに好ましくは300m/分〜500m/分の範囲である。
ポリエステル系複合繊維糸1と他のフィラメント糸2は交絡ノズル5において交絡処理を施され混繊される。交絡ノズル5としては市販の交絡ノズルが用いられる。また、交絡処理圧力は、0.15MPa〜0.8MPaが好ましい。
本発明において、他のフィラメント糸2は通常の延伸糸でも良いが、仮撚り捲縮を有するフィラメント糸の方がより好ましく、他のフィラメント糸2を仮撚りした後にポリエステル系複合繊維糸1を交絡したり、ポリエステル系複合繊維糸1と他のフィラメント糸2を交絡処理した後に仮撚りすることも好ましく用いることができる。交絡された複合糸はテイクアップローラ7を経て、チーズ8に巻き取られる。
本発明の複合糸は、必要に応じ流体乱流処理を施した後に熱セットを施すことができる。熱セットにより、繊維の熱劣化による単繊維切れによる糸強力の低下を抑える観点から、熱セット温度は、チューブヒータ8の温度で130℃以上210℃以下の範囲とすることが好ましい。
本発明の複合糸は、それを製編織して織編物とすることができる。本発明の複合糸を用いた織編物は、染色性、染色堅牢度、ソフトな風合い、耐久性、耐塩素性、耐光性、外観品位および形態安定性に優れ、生地が薄く、表面変化の富むストレッチ布帛を得ることができ、特に、セーターなどに好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明の複合糸とその製造方法をより詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例中の極限粘度(η)等の特性は、次の方法で求めた。
[極限粘度(η)]
オルソクロロフェノール10mlに対し試料0.10gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて測定した。
[交絡数(個/m)]
JIS L1013−1981,7.13により測定した。具体的には、試料(複合糸)の一端を適正な性能を有する垂下装置の上部つかみに取り付け、つかみ部より1m(注1)下方の位置におもり(注2)をつり下げ、試料を垂直に垂らす。試料の上部つかみより1cm下部の点に糸束を2分割するようにフック(注3)を挿入する。フックの他端に所定荷重(注4)を取り付け、約2cm/秒の速度でフックを降下させる。フックが試料の複合糸の絡みにより停止した点までのフックの下降距離を求め、次の式により交絡度を求める。試験回数は50回とし、その平均値で表す(小数点以下1けたまで)。
交絡度(数)=1000/L、ここに L:フックが下降した距離(mm)
(注1)フックが下端に達した場合は、試料から除く。ただし、試験結果には、下端に達した回数を付記する。
(注2)おもりの荷重は試料の表示繊度(dtex)に0.18を乗じたグラム数とし、100gf{980mN}を限度とする。
(注3)直径が0.5〜1.0mmの針状のもので、側面がなめらかに仕上げ処理されているもの。
(注4)試料の表示繊度(dtex)に0.9を乗じ、フィラメント数で除したグラム数(単糸デニ−ル数に相当するグラム数)とする。ただし、2gf{19.6mN}を下限、10gf{980mN}を上限とし、この範囲とする。
[10%伸長時の伸長回復率(%)]
自記記録装置付定速伸長型引張試験機を用い、1デシテックス当たり0.08826cNの初荷重をかけた状態で20cmのつかみの間隔に取付、引張速度を20cm/minとして、10%の伸度まで引き伸ばし、直ちに、同じ速度で除重した。完全に除重した後、直ちに、初荷重まで引き伸ばし、この時の回復伸びを伸長回復率とした。
[実施例1]
極限粘度が1.31のポリトリメチレンテレフタレートと極限粘度が0.52のポリエチレンテレフタレートをそれぞれ別々に溶融し、紡糸温度260℃で24孔の複合紡糸口金からポリエチレンテレフタレート/ポリトリメチレンテレフタレートの重量比率が50/50となるように吐出し、紡糸速度1400m/分で引き取り、165dtex24フィラメントの未延伸糸を得た。さらに、ホットロール−熱板系延伸機を用い、ホットロール温度70℃、熱板温度145℃、延伸倍率3.0で延伸して、56dtex24フィラメントのサイドバイサイド型ポリエステル系複合繊維糸(延伸糸)を得た。次いで、得られたポリエステル系複合繊維糸を芯糸とし、56dtex48フィラメントのポリエチレンテレフタレートウーリー加工糸を鞘糸として用い、図3に示した流体処理工程を使用して、以下の条件で、エアー(流体)加工を施し、交絡数が85個/m、10%伸長時の伸長回復率が98.5%の複合糸を得た。
糸速 :400m/min(デリベリローラ6における糸速度)
オーバーフィ−ド率 :芯糸 +7%
オーバーフィ−ド率 :鞘糸 +10%
交絡圧力 :0.4MPa
得られた複合糸を用いて、28ゲージ、1口編機で編成し、ポリエステル用分散染料で染色し、仕上げ加工した結果、従来の複合糸で得られなかったソフトな風合い、着用時の耐久性、耐塩素性および耐光性に優れ、生地が薄くフラット感があり、かつ、ストレッチ性が良好な編地を得た。
[実施例2]
実施例1で使用したものと同じ56dtex24フィラメントのサイドバイサイド型ポリエステル系複合繊維糸と、56dtex48フィラメントのポリトリメチレンテレフタレートウーリー加工糸を用い、図4に示した流体処理工程を使用して、以下の条件で、エアー(流体)加工を施し、交絡数が95個/m、10%伸長時の伸長回復率が98.8%の複合糸を得た。
糸速 :400m/min(デリベリローラ6における糸速度)
オーバーフィ−ド率 : +10%
交絡圧力 :0.4MPa
得られた複合糸を用いて、28ゲージ、1口編機で編成し、ポリエステル用分散染料で染色し、仕上げ加工した結果、従来の複合糸で得られなかったソフトな風合い、着用時の耐久性、耐塩素性および耐光性に優れ、生地が薄くフラット感があり、かつ、ストレッチ性が良好な編地を得た。
[実施例3]
実施例1で使用したものと同じ56dtex24フィラメントのサイドバイサイド型ポリエステル系複合繊維糸と、70dtex52フィラメントのポリアミドウーリー加工糸を用い、実施例2と同様に図4に示した流体処理工程を使用して、以下の条件で、エアー(流体)加工を施し、交絡数が111個/m、10%伸長時の伸長回復率が97.8%の複合糸を得た。
糸速 :400m/min(デリベリローラ6における糸速度)
オーバーフィ−ド率 :+10%
交絡圧力 :0.4MPa
得られた複合糸を用いて、28ゲージ、1口編機で編成し、ポリエステル用分散染料、酸性染料で一浴染色し、仕上げ加工した結果、従来の複合糸で得られなかったソフトな風合い、着用時の耐久性、耐塩素性および耐光性に優れ、生地が薄くフラット感があり、かつ、ストレッチ性が良好な編地を得た。
[実施例4]
実施例1で使用したものと同じ56dtex24フィラメントのサイドバイサイド型ポリエステル系複合繊維糸と、56dtex48フィラメントのポリトリメチレンテレフタレートウーリー加工糸を用い、図4に示した流体処理工程を使用して、以下の条件で、エアー(流体)加工を施し、交絡数が86個/m、10%伸長時の伸長回復率が98.3%の複合糸を得た。
糸速 :400m/min(デリベリローラ6における糸速度)
オーバーフィ−ド率 : +6%
交絡圧力 :0.4MPa
得られた複合糸を用いて、28ゲージ、1口編機で編成し、ポリエステル用分散染料で染色し、仕上げ加工した結果、従来の複合糸で得られなかったソフトな風合い、着用時の耐久性、耐塩素性および耐光性に優れ、生地が薄くフラット感があり、かつ、ストレッチ性が良好な編地を得た。
[比較例1]
実施例1で使用したものと同じ56dtex24フィラメントのサイドバイサイド型ポリエステル系複合繊維糸を芯糸とし、鞘糸として70dtex52フィラメントのポリアミド延伸糸を用い、実施例1と同様に図3に示した流体処理工程を使用して、以下の条件で、エアー加工を施し、交絡数が39個/m、10%伸長時の伸長回復率が98.8%の複合糸を得た。
糸速 :400m/min(デリベリローラ6における糸速度)
オーバーフィ−ド率 :芯糸 +3%
オーバーフィ−ド率 :鞘糸 +8%
交絡圧力:0.4MPa
得られた複合糸は、交絡数が少なく交絡ムラとタルミを発生し、工程通過性の著しく悪いものであった。実施例1と同様に、28ゲージ、1口編機で編成し、ポリエステル用分散染料と酸性染料で一浴染色、仕上げ加工した結果、交絡ムラとタルミがあるため、外観品位の悪いものとなった。
[比較例2]
56dtex24フィラメントのポリエチレンテレフタレートウーリー加工糸糸とし、56dtex48フィラメントのポリエチレンテレフタレートウーリー加工糸を3本引き揃えたものを鞘糸として用い、実施例2と同様に以下の条件で流体処理加工を施し、交絡数が95個/m、10%伸長時の伸長回復率が64.8%の複合糸を得た。
糸速 :400m/min(デリベリローラ6における糸速度)
オーバーフィ−ド率 :+7%
交絡圧力 :0.4MPa
得られた複合糸を用いて、実施例1と同様に、28ゲージ、1口編機で編成し、ポリエステル用分散染料で染色し、仕上げ加工した結果、得られた編地は、着用時の耐久性、耐塩素性および耐光性に優れていたが、生地が薄くフラット感があり、ソフトな風合いとストレッチ性に欠ける編地であった。
本発明の複合糸の一例を示す概略側面図である。 無荷重状態で沸騰水処理された本発明の複合糸の一例を示す概略側面図である。 本発明のファンシーヤーンの製造方法の一例を示す概略模式図である。 本発明のファンシーヤーンの製造方法の他の一例を示す概略模式図である。
符号の説明
(イ):ポリエステル系複合繊維糸
(ロ):他のフィラメント糸
(ハ):複合糸
(ニ):交絡部
(ホ):開繊部
(ヘ):ポリエステル系複合繊維糸
(ト):他のフィラメント糸
(チ):複合糸
1:ポリエステル系複合繊維糸
2:他のフィラメント糸
3:フィードローラ
4:フィードローラ
5:交絡ノズル
6:デリベリローラ
7:テイクアップローラ
8:チーズ

Claims (8)

  1. 構成成分の少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型または偏芯シース・コア型であるポリエステル系複合繊維糸と他のフィラメント糸が交絡せしめられてなる複合糸であって、交絡数が50個/m以上、200個/m以下であり、10%伸長時の伸長回復率が90%以上であることを特徴とする複合糸。
  2. ポリエステル系複合繊維糸の構成成分のもう一方がポリエチレンテレフタレートで構成される請求項1に記載の複合糸。
  3. ポリエステル系複合繊維のポリエチレンテレフタレート/ポリトリメチレンテレフタレートの重量比率が30/70〜70/30である請求項1または2に記載の複合糸。
  4. 他のフィラメント糸がポリエチレンテレフタレートフィラメント糸、ポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸またはポリアミドフィラメント糸である請求項1〜3のいずれかに記載の複合糸。
  5. 他のフィラメント糸が仮撚り捲縮を有する請求項1〜のいずれかに記載の複合糸。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の複合糸を用いた織編物。
  7. 構成成分の少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型または偏芯シース・コア型であるポリエステル系複合繊維糸を5%以上20%以下のオーバーフィード率で供給し、他のフィラメント糸を前記ポリエステル繊維糸以上のオーバーフィード率で供給して両糸を合流せしめ、交絡処理を施して交絡数を50個/m以上、200個/m以下とすることを特徴とする複合糸の製造方法。
  8. 請求項に記載の複合糸の製造方法により製造された複合糸を用いた織編物。
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