JP6822210B2 - 高熱収縮性ポリアミド繊維、混繊糸および織編物 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドからなる沸騰水収縮率35%以上である高収縮性ポリアミド繊維が開示されている。
さらに、特許文献3には、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドからなる沸騰水収縮率15%以上である高収縮性ポリアミド繊維が開示されている。
(1)沸騰水収縮率が20〜50%、温度70〜100℃での最大熱収縮応力(H1)が0.20cN/dtex以上、温度130〜160℃での最大熱収縮応力(H2)が0.20cN/dtex以上であることを特徴とする高収縮性ポリアミド繊維。
(2)温度70〜100℃での熱収縮応力の最大値(H1)と温度130〜160℃での熱収縮応力の最大値(H2)がH1<H2の関係を満たすことを特徴とする(1)記載の高収縮性ポリアミド繊維。
(3)混繊糸の一部に(1)または(2)に記載の高収縮性ポリアミド繊維を用いることを特徴とする混繊糸。
(4)織編物の一部に(1)または(2)に記載の高収縮性ポリアミド繊維および/または(3)に記載の混繊糸を用いることを特徴とする織編物。
結晶性ポリアミドは、結晶を形成し融点を有するポリアミドであり、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結されたポリマーであり、ポリカプラミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリテトラメチレンアジパミド、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)と線状脂肪族ジカルボン酸との縮合重合型ポリアミドなど、及び、これらの共重合体もしくはこれらの混合物が挙げられる。ただし、均一な系を再現しやすく、安定した機能発現の点からホモのポリアミドを用いることが好ましい。
発明の高収縮性ポリアミド繊維の繊維断面形状は、特に限定はないが、用途等に応じて任意の形状とすることができるが、円形、三角、扁平、Y型、星形が好ましい。
結晶性ポリアミドおよび非晶性ポリアミドを混合・溶融するに際し、プレッシャーメルター、単軸エクストルーダーや二軸エクストルーダーを使用する溶融混練法が挙げられる。結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドとで相溶系を形成し、高い熱収縮応力を得るためには、単軸エクストルーダーを用いることが好ましい。プレッシャーメルターを使用すると、均一に混合されないため、海島の相分離構造を形成し、高い熱収縮応力を得られない。また、二軸エクストルーダーを用いる場合、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドとが反応し過ぎてしまい、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの非晶部に形成される高歪み帯が少なくなり、高い熱収縮応力が得られない。紡糸パックへ流入した結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの混合ポリマーは、公知の紡糸口金より吐出される。また、溶融温度、紡糸温度(いわゆるポリマー配管や紡糸パックまわりの保温温度)は、ポリアミドの融点+10℃〜融点+60℃が好ましい。
紡糸口金から吐出されたポリアミド糸条を、通常の溶融紡糸と同様、冷却、固化され、給油した後に第一ゴデットローラーで引き取り、未延伸糸を一旦ドラムに巻き取る。
この際、紡糸口金直下に加熱筒を設置することが好ましい。加熱筒を設置することにより、紡糸口金から吐出されたポリアミド糸条の冷却速度が遅くなり、未延伸糸の配向を抑えることができるため、後述する第一ホットローラーと第二ホットローラー間で高い延伸倍率で未延伸糸を延伸することができ、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの非晶部で高歪み帯が生成され、高い熱収縮応力を発現する。加熱筒を設置しない場合、未延伸糸の配向が進むため、高い延伸倍率で未延伸糸を延伸することができず、熱収縮応力の劣るポリアミド繊維となる。
この際、第一ホットローラーの温度(延伸温度)は120〜170℃であることが好ましい。かかる範囲とすることにより、ポリマーの流動性が高まり、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの非晶部で高歪み帯が生成され、熱収縮応力が向上する。延伸温度は130〜170℃であることがより好ましい。
また、第一ホットローラーと第二ホットローラー間の延伸倍率は4.0〜5.0倍であることが好ましい。かかる範囲とすることにより、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの非晶部の配向が進み、非晶性ポリアミドの芳香環同士で相互作用し、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの非晶部が拘束されるため、高い熱収縮応力を発現する。延伸倍率が4.0倍未満では、非晶性ポリアミドの芳香環同士の相互作用が弱く、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの非晶部の拘束力が弱いため、熱収縮応力に劣るポリアミド繊維となる。延伸倍率は4.2〜4.8倍であることがより好ましい。
また、巻き取りまでの工程で公知の交絡装置を用い、交絡を施すことも可能である。必要であれば複数回交絡を付与することで交絡数を上げることも可能である。
さらには、巻き取り直前に、追加で油剤を付与するのも可能である。
また、本発明の高収縮性ポリアミド繊維と収縮特性の異なる繊維との熱収縮応力差は、0.10〜0.40cN/dtexであることが、ソフト感とふくらみ感の点で好ましい。さらに好ましくは、熱収縮応力差が0.15〜0.30cN/dtexであるとよい。
示差走査熱量計(DSC)にTA Instrument社製Q1000を用いUniversal Analysis2000にてデータ処理を実施した。測定は窒素流下(50mL/min)で、温度範囲−50〜300℃、昇温速度10℃/min、試料重量約5g(熱量データは測定後重量で規格化)にて測定を実施した。融解ピークから融点を測定した。
試料0.25gを、濃度98質量%の硫酸25mlに対して1g/100mlになるように溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、濃度98質量%の硫酸のみの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
JIS L1013に準じ総繊度および単糸繊度を測定した。繊維試料を、1/30(g)の張力で枠周1.125mの検尺機にて200回巻かせを作成する。105℃で60分乾燥しデシケーターに移し、20℃、相対湿度55%の環境下で30分放冷し、かせの重量を測定して得られた値から10000m当たりの重量を算出し、公定水分率を4.5%として繊維の総繊度を算出した。測定は4回行い、平均値を総繊度とした。また、総繊度をフィラメント数で除した値を単糸繊度とした。
示差走査熱量計(DSC)にTA Instrument社製Q1000を用いUniversal Analysis2000にてデータ処理を実施した。測定は窒素流下(50mL/min)で、温度範囲−50〜270℃、昇温速度2℃/min、温度変調周期60秒、温度変調振幅±1℃、試料重量約5g(熱量データは測定後重量で規格化)にて測定を実施した。段状の基線のずれとして観測される吸熱ピーク温度をガラス転移温度(Tg)とした。
繊維試料を50cmのループにし、繊度の1/30(g)の初荷重を掛けて長さAを求め、次いでフリーにして沸騰水中に30分間浸漬した後、自然乾燥し、再び繊度の1/30(g)の初荷重を掛けて長さBを求め、次の式で沸騰水収縮率を算出した。
沸騰水収縮率(%)=〔(A−B)/A〕×100 。
カネボウエンジニアリング社製KE−2型熱収縮応力測定機を用い、巻き取ったパッケージから解舒した繊維糸条を結び周長16cmのループとし、糸条の繊度の1/30gの初荷重を掛け、室温から210℃まで昇温速度100℃/分で測定した。温度70〜100℃および130〜160℃の熱収縮応力の最大値を、それぞれH1’およびH2’とした。また、巻き取ったパッケージから解舒した繊維糸条を、張力の掛かっていない状態で、温度20℃、相対湿度65%に24時間保管し、その後周長16cmのループとし、糸条の繊度の1/30gの初荷重を掛け、室温から210℃まで昇温速度100℃/分で測定した。温度70〜100℃および130〜160℃の熱収縮応力の最大値を、それぞれH1およびH2とした。
(a)NMR測定
核磁気共鳴分光法(1H−NMR)を用いテトラメチルシラン(TMS)を内部標準物質(0ppm)として測定した。アミド結合を形成するカルボキシル基のα位の水素に由来するシグナル(通常3ppm付近)のピーク面積(A)と、芳香族炭化水素に由来するシグナル(通常7ppm付近)のピーク面積(B)から結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの繰り返し比を求める(A=結晶性ポリアミドの繰り返し数×2+非晶性ポリアミドの繰り返し数×2、B=非晶性ポリアミドの繰り返し数×4)。
(b)質量分析
マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、飛行時間型質量分析法(TOF−MS)、飛行時間型マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−TOF−MS)を用い繰り返し単位の質量数を決定した。
(c)重量比率
結晶性ポリアミドの重量比率(%)=(A/2)×(結晶性ポリアミドの質量数)
非晶性ポリアミドの重量比率(%)=(A/2−B/4)×(非晶性ポリアミドの質量数) 。
糸条をRuO4蒸気に曝し、糸と包埋樹脂との境界を明確にするためのコートをする。その後樹脂に包埋し、薄切片を製作、リンタングステン酸(PTA)水溶液で15min染色する。以上のようにして得られた観察対象物を、透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−7100)を用い、加圧電圧100kVで観察した。観察倍率は3000倍で繊維横断面を観察した。TEM観察結果において、直径10nm以上の分散相を有する海島の相分離構造が観察されたときは非相溶系(×)、直径10nm以上の分散相を有する海島の相分離構造が観察されなかったときは相溶系(○)と判定した。
(a)鞘糸の製造
相対粘度2.70のポリカプロラクタム(N6)を使用し、口金吐出孔を60個有する紡糸口金から紡糸温度275℃で溶融吐出させた。溶融吐出させた後、糸条を冷却、給油、交絡した後に2560m/minのゴデットローラーで引き取り、続いて1.7倍に延伸した後に熱セット温度155℃で熱固定し、4000m/minで巻き取り、80dtex60フィラメントのナイロン6糸条を得た。なお、得られたナイロン6糸条は、繊度78.8dtex、強度4.0cN/dtex、伸度59%、沸騰水収縮率10%、熱収縮応力0.09cN/dtexであった。
(b)混繊糸の製造
上記(a)で得られたナイロン6糸条と実施例1〜8および比較例1〜9で得られたポリアミド糸条を、インターレース加工機を用いて、交絡圧2.0kg/cm2の交絡処理を施して混繊加工を行い、113dtexの混繊糸を得た。
(c)筒編地作製
混繊糸試料を、筒編機にて度目50となるように調整して筒編地を作製した。作製した筒編地を無荷重の状態で、温度20℃、相対湿度65%で24時間保管した。その後、筒編地を80℃で20分精練を行い、続いてKayanol Yellow N5G 1%owf、酢酸を用いてpH4に調整し、100℃で30分間染色を行い、その後、80℃で20分間Fix処理を行い、最後に風合いの改良のため150℃で30秒間仕上げ熱セットを行った。
(d)筒編地評価
筒編地を熟練技術者(5名)の触感により嵩高感(ふくらみ感)について、以下の5段階で実施した。各技術者の評価点の平均値の小数点一桁を四捨五入した。4点以上を、嵩高感(ふくらみ感)ありとした。
5点:非常に優れる
4点:優れる
3点:どちらでもない
2点:やや劣る
1点:劣る 。
(a)経糸の製造
相対粘度2.70のポリカプロラクタム(N6)を使用し、口金吐出孔を20個有する紡糸口金から紡糸温度275℃で溶融吐出させた。溶融吐出させた後、糸条を冷却、給油、交絡した後に2560m/minのゴデットローラーで引き取り、続いて1.7倍に延伸した後に熱セット温度155℃で熱固定し、4000m/minで巻き取り、22dtex20フィラメントのナイロン6糸条を得た。
(b)織物の製造
上記(a)で得られたナイロン6糸条を経糸(経糸密度90本/2.54cm)に用い、実施例1〜8および比較例1〜9で得られたポリアミド糸条を緯糸に用い平織物を製織した(目付け40g/cm2)。
得られた織物を無荷重の状態で、温度20℃、相対湿度65%で24時間保管した。その後、織物を80℃で20分精練を行い、続いてKayanol Yellow N5G 1%owf、酢酸を用いてpH4に調整し、100℃で30分間染色を行い、その後、80℃で20分間Fix処理を行い、最後に風合いの改良のため150℃で30秒間仕上げ熱セットを行った。
(c)織物評価(高密度感、ソフト感、ふくらみ感)
織物を熟練技術者(5名)の触感により高密度感、ソフト感およびふくらみ感それぞれについて、以下の5段階で実施した。各技術者の評価点の平均値の小数点一桁を四捨五入した。4点以上を高密度感、ソフト感およびふくらみ感ありとした。
5点:非常に優れる
4点:優れる
3点:どちらでもない
2点:やや劣る
1点:劣る 。
結晶性ポリアミドとしてポリカプロラクタム(N6)(相対粘度ηr:2.62、融点222℃)と、非晶性ポリアミドとしてイソフタル酸/ω−ラウロラクタム/4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)の重縮合体(相対粘度ηr:2.05、ガラス転移温度:160℃)を、結晶性ポリアミド/非晶性ポリアミドの重量比が70/30で単軸エクストルーダーを用い250℃で溶融混練し、26孔、丸孔の吐出孔を有する紡糸口金を用いて溶融吐出した(紡糸温度:250℃)。溶融吐出させた後、ポリアミド糸条を長さ50mmおよび温度290℃の加熱筒内を通過させ、冷却、給油、交絡した後に600m/minの第1ゴデットローラーで引き取り、未延伸糸をドラムに巻き取った。続いて、巻き取った未延伸糸を延伸温度170℃で4.2倍に延伸した後に熱セット温度190℃で熱固定し、500m/minでボビンに巻き取り、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.46)を得た。
結晶性ポリアミド/非晶性ポリアミドの重量比を90/10としたこと以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.54)を得た。
結晶性ポリアミド/非晶性ポリアミドの重量比を50/50としたこと以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.39)を得た。
非晶性ポリアミドとして、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体(相対粘度ηr:2.10、ガラス転移温度:125℃)を用い、延伸温度を130℃、熱セット温度を150℃とした以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.48)を得た。
非晶性ポリアミドとして、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体(相対粘度ηr:2.10、ガラス転移温度:125℃)を用い、結晶性ポリアミド/非晶性ポリアミドの重量比を90/10として、延伸温度を130℃、熱セット温度を150℃とした以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.57)を得た。
非晶性ポリアミドとして、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体(相対粘度ηr:2.10、ガラス転移温度:125℃)を用い、結晶性ポリアミド/非晶性ポリアミドの重量比を50/50として、延伸温度を130℃、熱セット温度を150℃とした以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.41)を得た。
結晶性ポリアミドとして、ポリヘキサメチレンアジパミド(N66)(相対粘度ηr:2.80、融点263℃)を用い、単軸エクストルーダーでの溶融混練温度を280℃、紡糸温度を280℃とした以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.64)を得た。
結晶性ポリアミドとして、ポリヘキサメチレンセバシミド(N610)(相対粘度ηr:2.80、融点219℃)、非晶性ポリアミドとして、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体(相対粘度ηr:2.10、ガラス転移温度:125℃)を用い、延伸温度を130℃、熱セット温度を150℃とした以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.62)を得た。
加熱筒の温度を250℃、延伸倍率を3.8倍とした以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.46)を得た。
第1ゴデットローラーの引取速度を1500m/min、延伸倍率を3.1倍とした以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.47)を得た。
結晶性ポリアミド/非晶性ポリアミドの重量比を30/70としたこと以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.28)を得た。
結晶性ポリアミド/非晶性ポリアミドの重量比を95/5としたこと以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.61)を得た。
結晶性ポリアミドとして、ポリカプロラクタム(N6)(相対粘度ηr:2.62、融点222℃)とポリヘキサメチレンアジパミド(N66)(相対粘度ηr:2.80、融点263℃)の共重合体で、ポリカプロラクタムとヘキサメチレンアジパミドの共重合比率が85/15の共重合体(相対粘度ηr:2.69、融点:198℃)を用い、非晶性ポリアミドとして、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体(相対粘度ηr:2.10、ガラス転移温度:125℃)を用い、延伸温度を室温にしたこと以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.66)を得た。
結晶性ポリアミドとして、ポリカプロラクタム(N6)(相対粘度ηr:2.62、融点:222℃)と、ナイロンMXD6(三菱ガス化学製、相対粘度ηr:2.70、融点:237℃)を、ポリカプロラクタム/ナイロンMXD6の重量比を50/50として、非晶性ポリアミドを含有せず、延伸温度を90℃、熱セット温度を170℃としたこと以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.66)を得た。
非晶性ポリアミドとして、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体(相対粘度ηr:2.10、ガラス転移温度:125℃)を用い、二軸エクストルーダーを用いて溶融混練し、加熱筒を設置せず、800m/minの第1ゴデットローラーで引き取り、延伸温度120℃で3.3倍に延伸した後に熱セット温度150℃で熱固定した以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.95)を得た。
非晶性ポリアミドとして、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体(相対粘度ηr:2.10、ガラス転移温度:125℃)を用い、二軸エクストルーダーを用いて溶融混練し、加熱筒を設置せず、延伸温度90℃で3.5倍に延伸した後に熱セット温度150℃で熱固定した以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.95)を得た。
非晶性ポリアミドとして、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体(相対粘度ηr:2.10、ガラス転移温度:125℃)を用い、加熱筒を設置せず、延伸温度を室温として3.5倍に延伸した後に熱セット温度150℃で熱固定した以外は、実施例1と同様に紡糸・延伸を実施し、33dtex26フィラメントのポリアミド糸条(相対粘度ηr:2.95)を得た。
表1、表2に実施例1〜8、比較例1〜9のポリマー組成と製糸性、紡糸・延伸条件、および原糸特性と混繊糸、織物評価結果を示した。
比較例2では、第一ゴデットローラーの引取速度が高いために、熱収縮応力(H2)が低く、嵩高性に劣った混繊糸であった。また、十分な密度も得られず、ふくらみ感に劣った織物であった。
比較例3では、非晶性ポリアミドの重量比が多いために、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドが非相溶系となり、熱収縮応力(H1’、H2’)が低く、嵩高性に劣った混繊糸であった。また、十分な密度も得られず、ふくらみ感に劣った織物であった。
比較例4では、非晶性ポリアミドの重量比が少ないために、沸騰水収縮率と熱収縮応力(H1’、H2’)が低く、嵩高性に劣った混繊糸であった。また、十分な密度も得られず、ふくらみ感に劣った織物であった。
比較例5では、結晶性ポリアミドとしてポリカプロラクタム(N6)とポリヘキサメチレンアジパミド(N66)の共重合体を用いており、また延伸温度が低いため、沸騰水収縮率が高く、また、熱収縮応力(H1’、H2’)が低く、嵩高性に劣った混繊糸であった。また、十分な密度も得られず、ふくらみ感に劣った織物であった。
比較例6では、ポリアミド糸条が、結晶性ポリアミドのみで構成されるため、高い熱収縮応力(H1’、H2’)が得られず、嵩高性に劣った混繊糸であった。また、十分な密度も得られず、ふくらみ感に劣った織物であった。
比較例7〜9では、加熱筒を設置していないために、熱収縮応力(H2’)が低く、嵩高性に劣った混繊糸であった。また、十分な密度も得られず、ふくらみ感に劣った織物であった。
Claims (4)
- 沸騰水収縮率が20〜50%、温度70〜100℃での最大熱収縮応力(H1)が0.20cN/dtex以上、温度130〜160℃での最大熱収縮応力(H2)が0.20cN/dtex以上であることを特徴とする高収縮性ポリアミド繊維。
- 温度70〜100℃での熱収縮応力の最大値(H1)と温度130〜160℃での熱収縮応力の最大値(H2)がH1<H2の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の高収縮性ポリアミド繊維。
- 混繊糸の一部に請求項1または2に記載の高収縮性ポリアミド繊維を用いることを特徴とする混繊糸。
- 織編物の一部に請求項1または2に記載の高収縮性ポリアミド繊維および/または請求項3に記載の混繊糸を用いることを特徴とする織編物。
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