JP2020117826A - 芯鞘複合繊維 - Google Patents

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慎也 河角
Shinya Kawasumi
慎也 河角
中塚 均
Hitoshi Nakatsuka
均 中塚
貴志 池田
Takashi Ikeda
貴志 池田
祥玄 小野木
Yoshiharu Onoki
祥玄 小野木
俊介 水光
Shunsuke Suiko
俊介 水光
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Abstract

【課題】 撥水性、紫外線遮蔽性、発色性を有し、かつ耐久性に優れた複合繊維を提供することである。【解決手段】 ポリオレフィン樹脂を鞘成分とし、芯成分は平均粒子径が0.2〜1.0μmである二酸化チタン粒子を1.0〜25.0重量%含有するポリエステル樹脂により構成される芯鞘複合繊維であって、前記芯鞘複合繊維の断面形状が下記条件を満たすことを特徴とする、芯鞘複合繊維。(A) 芯成分が、鞘成分との界面において10個以上の突起部を有する。(B) 芯鞘複合繊維の外周と芯成分の外周との最短距離Lと、芯鞘複合繊維の直径Dとの比率(L/D×100)が10〜25%である。【選択図】 図3

Description

本発明は、撥水性、紫外線遮蔽性、発色性、耐剥離性を有し、かつ耐久性に優れた芯鞘複合繊維に関するものである。
合成繊維は、機械的特性をはじめ、様々な優れた特性から一般衣料分野をはじめインテリア、産業資材製品等の各種分野に幅広く利用されている。合成繊維に機能を付与する方法として、種々の機能剤を添加する方法が知られており、紫外線遮蔽性や抗菌性を有する機能剤として酸化亜鉛、艶消しや紫外線遮蔽性を有する機能剤として酸化チタンが知られている。
機能剤を含有する繊維として、酸化チタンによる紫外線遮蔽性を維持させつつ、酸化亜鉛の糸中の分散性を向上させるため、表面被覆処理を施した酸化亜鉛を用いることが提案されている(特許文献1)。しかしながら、繊維に添加される無機粒子の含有量が多くなるにつれ、ポリエステル繊維が本来有する発色性が阻害されるとともに、繊維化工程性が低下する。さらに、ポリエステル繊維のみでは、撥水性が不十分であった。
また、撥水性に優れる繊維としてポリプロピレン繊維が知られているが、繊維に撥水性を付与するためにポリプロピレンを鞘成分とする芯鞘構造とした場合、ポリオレフィン樹脂と鞘成分のポリエステル樹脂やポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂との相溶性が低いことに起因して、樹脂の接合面で剥離が生じ易いという問題があった。これに対して、特許文献2では、上記問題をポリオレフィン樹脂と熱可塑性樹脂との繊維の断面構造において、芯鞘の芯部分に突起構造を設けることで耐摩擦性が改善できることが提案されているものの、耐久性は不十分であった。
特開2011−111704号公報 特開2016−194169号公報
本発明の目的は、前記した従来技術の問題を解決し、繊維化工程性が良好であり、撥水性、紫外線遮蔽性、発色性、耐剥離性を有し、かつ耐久性に優れた芯鞘複合繊維を提供することである。
本発明は、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
[1]ポリオレフィン樹脂を鞘成分とし、芯成分は平均粒子径が0.2〜1.0μmである二酸化チタン粒子を1.0〜25.0重量%含有するポリエステル樹脂により構成される芯鞘複合繊維であって、前記芯鞘複合繊維の断面形状が下記条件を満たすことを特徴とする、芯鞘複合繊維。
(A) 芯成分が、鞘成分との界面において10個以上の突起部を有する
(B) 芯鞘複合繊維の外周と芯成分の外周との最短距離Lと、芯鞘複合繊維の直径Dとの比率(L/D×100)が10〜25%である
[2]芯成分の突起部の長さHと芯鞘複合繊維の単糸直径Dとの比率(H/D×100)が10〜20%であることを特徴とする、前記[1]に記載の芯鞘複合繊維。
[3]鞘成分と芯成分との重量複合比率が、鞘:芯=25:75〜75:25であることを特徴とする、前記[1]または[2]に記載の芯鞘複合繊維。
[4]前記最短距離Lが1.5〜4.5μmであることを特徴とする、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の芯鞘複合繊維。
[5]前記突起部の長さHが1.5〜3.5μmであることを特徴とする、前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の芯鞘複合繊維。
[6]前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の芯鞘複合繊維を少なくとも一部に用いた織編物。
本発明によれば、以下に説明するとおり、繊維化工程性が良好であり、撥水性、紫外線遮蔽性、発色性、耐剥離性を有し、かつ耐久性に優れた芯鞘複合繊維を提供することができる。
本発明の芯鞘複合繊維の複合断面形態の一例を示す断面の模式図。 本発明の芯鞘複合繊維の複合断面形態の一例を示す断面の部分模式図。 実施例1の芯鞘複合繊維の断面写真。 比較例2の芯鞘複合繊維の断面写真。
以下、本発明を実施するための形態について具体的に説明する。本発明の複合繊維は、ポリオレフィン樹脂を鞘成分とし、特定の平均粒子径の二酸化チタン粒子を特定量含有するポリエステル樹脂を芯成分として構成される芯鞘複合繊維であって、前記芯鞘複合繊維の断面形状が下記条件を満たすことを特徴とする。
(A) 芯成分が、鞘成分との界面において10個以上の突起部を有する。
(B) 芯鞘複合繊維の外周と芯成分の外周との最短距離Lと、芯鞘複合繊維の直径Dとの比率(L/D×100)が10〜25%である。
(ポリオレフィン樹脂)
まず、上記芯鞘複合繊維におけるポリオレフィン樹脂について説明する。本発明の芯鞘複合繊維は、撥水性の観点から鞘成分にポリオレフィン樹脂を用いることが重要である。本発明におけるポリオレフィン樹脂としては、一般的に繊維用に用いられているようなポリオレフィンであれば特に制限はない。例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテンなどのホモポリマー、コポリマー或いはその変性体が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。特に、溶融複合紡糸上好ましいものとして、ポリプロピレン、ポリエチレンを主成分とするものが挙げられる。
(ポリエステル樹脂)
本発明の芯鞘複合繊維は、発色性、糸強度、繊維化工程性の観点から芯成分にポリエステル樹脂を用いることが重要である。本発明におけるポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とする繊維形成能を有するポリエステルを指し、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等を挙げることができる。また、これらポリエステルは第3成分として、ブタンジオール等のアルコール成分又はイソフタル酸等のジカルボン酸成分を共重合させた共重合体でも良く、更にこれら各種ポリエステルの混合体でも良い。これらのうちポリエチレンテレフタレート系重合体またはイソフタル酸を共重合させたポリエチレンテレフタレート系共重合体が最適である。
本発明の複合繊維におけるポリエステル樹脂は、固有粘度〔η〕が0.60〜0.75であることが好ましく、より好ましくは0.63〜0.72、さらに好ましくは0.65〜0.70である。固有粘度を0.75以下とすることで、繊維化時の高速紡糸性に優れ、筒編染色生地で染色斑や筋が発生せず、織編物の風合いに優れるなど、得られた織編繊維の表面品位が良好であり衣料用として好ましい。また、固有粘度を0.60以上とすることで、紡糸中に断糸しにくく生産性が良好であり、得られた繊維の強度も高くなる。更に、筒編染色生地で染色斑や筋が発生せず、織編物の風合いに優れるなど、得られた織編繊維の表面品位が良好であり衣料用として好ましい。
(二酸化チタン粒子)
本発明の芯鞘複合繊維では、紫外線遮蔽性、繊維化工程性を得る観点から芯成分のポリエステル樹脂に二酸化チタン粒子を含有させることが重要である。二酸化チタンとしては、例えば、非晶質、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等が挙げられる。このうち、アナターゼ型あるいはルチル型を用いてもよく、これらの混合物を用いてもよい。また、これらに非晶質が少量含まれていてもかまわない。二酸化チタン粒子は特に280〜315nmの波長領域(UV−B領域)の紫外線において、優れた紫外線遮蔽性を有することが知られており、上記ポリエステル樹脂に二酸化チタン粒子を含有させることで、特にUV−B領域の紫外線を十分に遮蔽する芯鞘複合繊維を得ることができる。
本発明に用いられるポリエステル樹脂に含有させる二酸化チタン粒子の含有量は、芯成分のポリエステル樹脂の良好な発色性を維持しつつ、紫外線遮蔽性を発現させる観点から、ポリエステル樹脂の重量に基づいて1.0〜25.0重量%であることが重要である。さらに、1.5〜20.0重量%であることが好ましく、2.0〜15.0重量%がより好ましい。二酸化チタン粒子の含有量を1.0重量%以上とすることで、十分な紫外線遮蔽性が得られ、また繊維化工程性が低下することなく、該複合繊維を得ることができる。また、二酸化チタン粒子の含有量を25.0重量%以下とすることで、紡糸時の曳糸性が良好となり、延伸工程での糸切れ発生の問題もなく、延伸後の品質も満足なものが得られる。
本発明に用いられるポリエステル樹脂に含有させる二酸化チタン粒子の平均粒子径は、0.2〜1.0μmであることが重要であり、0.2〜0.5μmであることが好ましい。二酸化チタン粒子の平均粒子径を1.0μm以下とすることで、紡糸する際に断糸、フィルター詰りが発生しにくく、また、芯成分と鞘成分との界面での突起部形成を阻害することがないため、断面不良などが起きにくくなる。また、二酸化チタン粒子の平均粒子径を0.2μm以上とすることで、練り込みの際に二酸化チタン粒子間の凝集などが生じにくく、ポリエステル樹脂中に均一に分散させることができる。
(複合繊維)
本発明の芯鞘複合繊維においては、繊維の太さは特に限定されず、任意の太さにすることができるが、撥水性、発色性に優れた繊維を得るためには複合繊維の単糸繊度は1〜10dtexであることが好ましく、より好ましくは2〜7dtexである。つまり、繊維直径としては10〜40μmであることが好ましく、より好ましくは15〜35μmである。また、総繊度も特に限定されないが、22〜250dtexであることが好ましく、特に56〜168dtexにしたものであれば、スポーツ衣料用途、傘用途として低密度の織編物にしたときの撥水性、紫外線遮蔽性、耐久性を最も良好にすることができる。また、長繊維のみならず短繊維でも本発明の効果が期待される。
本発明の複合繊維の断面形状は、例えば、図1の繊維断面写真に見られるような形態をしており、芯成分は鞘成分との界面において、突起部が10個以上形成されていることが重要である。好ましくは突起部を15個以上、さらに好ましくは20個以上配列した状態にする事で、複合成分間の界面剥離に対する抵抗が十分に得られる。さらに、突起部の個数を多くする事で隣接する突起部間隔を1.5μm以下にすることによって、染色した場合のより良好な発色性が得られる。また、突起部が図1に見られるように例えば同心円状に配列することにより、あらゆる方向から作用する外力に対して耐剥離性が得られる。なお、上記突起部の数の上限に関しては特に制限はないが、耐剥離性や発色性の観点から70個以下であることが好ましく、50個以下であることがより好ましい。
また、本発明の芯鞘複合繊維においては、芯鞘複合繊維の外周と芯成分の外周との最短距離Lと、芯鞘複合繊維の直径Dとの比率(L/D×100)が10〜25%であることが重要である。好ましくはLとDの比率が15〜25%で、さらに好ましくは20〜24%である。LとDの比率を10%以上とすることで、断面形状における鞘成分が肉厚となり、耐久性に優れた芯鞘複合繊維が得られる。LとDの比率を25%以下とすることで、芯成分の発色性に優れ、繊維化工程性も良好な芯鞘複合繊維が得られる。また、LとDの比率を25%以下とすることで、断面形成性の悪化がなく、芯成分の突起部による芯鞘界面へのアンカー効果により、耐剥離性に優れた芯鞘複合繊維が得られる。芯鞘複合繊維の外周と芯成分の外周との最短距離Lは、複合比率によって変化するが、例えば、繊維直径Dが15〜20μmである場合においては、前記最短距離Lは1.5〜4.5μmであることが好ましく、2.0〜4.3μmであることがさらに好ましい。
また、本発明の芯鞘複合繊維においては、芯成分の突起部の長さHと芯鞘複合繊維の単糸直径Dとの比率(H/D×100)が10〜20%であることが好ましい。さらに好ましくは11〜18%である。HとDの比率が10%以上20%以下とすることで、突起部でのアンカー効果で芯鞘界面での界面剥離を抑制しつつ、鞘成分の厚さを肉厚にする事ができるため、耐剥離性、耐久性に優れた芯鞘複合繊維が得られる。芯成分の突起部の長さHは、複合比率によって変化するが、例えば、繊維直径Dが15〜20μmである場合においては、前記突起部の長さHは1.5〜3.5μmであることが好ましく、1.8〜3.0μmであることがさらに好ましい。なお、突起部の長さHは後述する繊維断面形状の測定において、全突起部の長さの平均値を算出することで求めることができる。ここで、突起部の長さHとは、図2のように突起部の底辺(つまり、前記突起部と、前記突起部に隣接した突起部との間に形成される溝部同士を結んだ線)に対して、突起部から下ろした垂線の長さを指す。
本発明においては、図1の複合形態において、隣接する襞状の突起部間隔が1.5μm以下であることが好ましい。また、該突起部の長軸はいずれも繊維断面外周に対して90°±15°の角度をなすように配置されていることが好ましい。隣接する突起部間隔が1.5μmを越える場合、染色処理した場合の発色性や均染性が不十分となる場合がある。また、突起部の長軸を延長し繊維断面外周と交わる角度が75°未満で配列している場合又は105°を超えて配列している場合は、繊維に作用する外力によって界面剥離が生じやすく、それに伴う染色物の白化に繋がるので好ましくない。以上の点から、本発明においては、隣接する突起部間隔は1.5μm以下であることが好ましく、1.2μm以下がより好ましい。なお、ここで隣接する突起部間隔とは、隣接するそれぞれの突起部先端の間隔の平均値を示すものであり、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、多数存在する突起部間隔のうち1.5μmを越える間隔の部分が繊維断面の一部に存在していてもなんら差支えない。上記の角度についても、本発明の効果が奏される範囲であれば、一部に75°未満または105°を越える角度のものが存在していても差支えない。
ポリオレフィン樹脂(鞘成分)とポリエステル樹脂(芯成分)の複合比率は、最短距離Lが上記の範囲を満たすものであれば、適宜設定可能であるが、鞘:芯=25:75〜75:25(重量比率)であることが好ましく、40:60〜75:25がより好ましく、50:50〜70:30が特に好ましい。ポリオレフィン樹脂(鞘成分)の複合比率を25重量%以上とすることで、安定な芯鞘断面形成が得られ、また、鞘成分であるポリオレフィン樹脂の十分な撥水性能が得られる。また、ポリオレフィン樹脂(鞘成分)の複合比率を75重量%以下とすることで、芯成分ポリエステルの発色性も十分となり、物性としても糸強度の低下がなく加工工程通過性が良好となる。
本発明においては、複合繊維にポリオレフィン樹脂(鞘成分)を使用することによって優れた撥水性が得られるが、スポーツ衣料や傘用途にかかる繊維を用いる場合、撥水性のみならず発色性や紫外線遮蔽性を併せ持つことが要求されている。通常、繊維に添加剤等を用いて紫外線遮蔽性を付与させると発色性が低下し、逆に発色性を優先させると紫外線遮蔽性を付与することが難しい。しかし、本発明では繊維断面においてポリオレフィン樹脂(鞘成分)とポリエステル樹脂(芯成分)との芯鞘複合繊維とし、鞘成分では撥水性を発現させ、かつ芯成分では発色性、紫外線遮蔽性を発現させながら、該複合繊維の芯鞘界面構造を前述のように突起部配列体とすることにより、芯成分の発色性、紫外線遮蔽性が鞘成分によって阻害されずに、芯鞘両成分の特性が両立した繊維を得られることを見出した。さらに、スポーツ衣料や傘用途であれば、繊維自体の耐久性も求められるが、本発明では芯鞘界面に突起部を設け、かつ鞘成分に厚みを持たせることにより、耐剥離性と耐久性を有する芯鞘複合繊維が得られることを見出した。
本発明の複合繊維は、糸強度が2.0cN/dtex以上であることが好ましく、2.5cN/dtex以上であることがより好ましい。なお、糸強度の上限に関しては特に制限はないが、6cN/dtex以下が好ましい。また、伸度が20〜200%であることが好ましく、20〜100%であることがより好ましい。糸強度が2.0cN/dtex以上の場合、製編織時にガイド摩耗等による糸切れや毛羽が少なく操業性が良好であり、また、布帛にした際に破れにくく実用的な安定性に優れる。伸度が20%以上の場合、布帛にした際に伸縮性の点から安定性に優れる。また、伸度が200%以下の場合、高次工程での染めムラなどの異常が発生しにくく実用性に優れる。
本発明の複合繊維の製造方法は、本発明の規定を満足する複合繊維が得られる方法であれば特に制限されるものではない。複合紡糸装置を用いノズル導入口へポリオレフィン樹脂(鞘成分)とポリエステル樹脂(芯成分)の複合流を導入するに際し、ポリエステル樹脂(芯成分)からなる突起部の数に相当する数の細孔が円周上に設けられた分流板からポリエステル樹脂(芯成分)を流し、次いで、それぞれの細孔から流れるポリエステル樹脂(芯成分)の流れ全体をポリオレフィン樹脂(鞘成分)で覆いながら、複合流をノズル導入口の中心に向けて導入しノズルより溶融吐出させることにより製造することができる。また、最終製品に求められる品質や良好な工程通過性を確保するために、最適な紡糸・延伸方法を選択することができる。より具体的には、スピンドロー方式や、紡糸原糸を採取した後に別工程で延伸を行う2−Step方式を採用することもできる。また延伸を行わず非延伸糸のまま引き取り速度が2000m/分以上の速度で捲取る方式においても、任意の糸加工工程を通過させた後に製品化することで、良好な常圧可染性品位を有する該複合繊維製品を得ることができる。
本発明で得られる複合繊維は、各種繊維集合体(繊維構造物)として用いることができる。ここで繊維集合体とは、本発明の繊維単独よりなる織編物はもちろんのこと、本発明の繊維を一部に使用してなる織編物、例えば、天然繊維、化学繊維、合成繊維など他の繊維との交編織布、あるいは混紡糸、混繊糸として用いた織編物などであってもよい。織編物に占める本発明繊維の割合は10重量%以上が好ましく、30重量%以上であることがより好ましい。
本発明の繊維の主な用途は、単独で又は一部に使用して織編物等を作製し、良好な風合いを発現させた衣料用素材とすることができる。撥水性、紫外線遮蔽性、発色性、耐久性を活かした衣料用途全般に適しており、特にスポーツ衣料用途や傘用途に適している。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の測定、評価項目は以下に述べる方法で測定した。
・固有粘度〔η〕
溶媒としてフェノール/テトラクロロエタン(体積比1/1)混合溶媒を用い30℃でウベローデ型粘度計(林製作所製HRK−3型)を用いて測定した。
・繊維断面形状
24フィラメントをそのままの状態で糸条を切断し、切断面のフィラメントの単糸直径D、芯鞘複合繊維の外周と芯成分の外周との最短距離L、芯成分の突起部の長さHを電子顕微鏡(JEOL社製 JCM−6000Plus)で観察した。切断箇所10ヶ所について計測し、その平均値を求めた。
・繊維化工程性
100kg紡糸した際の毛羽・断糸の発生状況で評価した。
◎:毛羽、断糸の発生なく良好
○:断糸はなく、毛羽の発生が僅かに認められる
△:断糸1〜2回発生
×:断糸が3回以上発生
・発色性
得られた複合繊維の筒編地を精練した後、130℃でプレセットし、プレセット後、カセイソーダでアルカリ処理した(濃度10%owf、温度80℃、時間40分)。この時、編地の減量率は約10%とした後、以下の条件で染色し、還元洗浄をした後の編地でL*値を求めた。
(染色)
染料:Kayalon Polyester Black EXCN300 4.0%owf
助剤:ULTRA MT LEVEL 1.0g/L
浴比:1/50
染色温度×時間:130℃×40分
(還元洗浄)
炭酸ナトリウム:1.0g/L
ハイドロサルファイトナトリウム:1.0g/L
アミラジンD:1.0g/L
浴比:1/50
還元洗浄温度×時間:80℃×20分
(L*値)
L*値は、分光光度計コニカミノルタ社製「CM−3700A」を用いて、正反射処理:SCE、測定径:LAV(25.4mm)、UV条件:100%Full、視野:2度、主光源:C光源の条件で測定した。
・洗濯10回後の撥水性
得られた複合繊維84dtex/24フィラメントを、丸編機を用いて筒編にした筒編サンプルに精練を行った後、洗濯を10回行い、JIS L 1092(スプレー試験)に準じ、以下の級判定を行った。
1級:表面全体に湿潤を示すもの。
2級:表面の半分に湿潤を示し、小さな個々の湿潤が布を浸透する状態を示すもの。
3級:表面に小さな個々の水滴状の湿潤を示すもの。
4級:表面に湿潤しないが、小さな水滴の付着を示すもの。
5級:表面に湿潤及び水滴の付着がないもの。
級判定が3級以上は撥水性を有する。また、好ましくは4級以上である。
・紫外線遮蔽性
84dtex/24フィラメントの延伸糸を用い、丸編機により筒編地を作製し、次いで厚さ1mmになるよう精練・乾熱加工処理を施した。分光光度計(U−3400:日立製作所)を用いて波長280〜380nm域の紫外線透過度を測定し、測定試料なし(ブランク)との面積差を紫外線吸収率(紫外線遮蔽率)とした。紫外線遮蔽率85%以上を合格とした。
◎:90%以上、○:85%以上、△:70%以上、×:70%未満
・耐剥離性
得られた複合繊維24フィラメントに500〜1000T/mの撚りをかけ、そのままの状態で糸条を切断し、切断面のフィラメントの剥離状態を電子顕微鏡(JEOL社製 JCM−6000Plus)で観察した。切断箇所10ヶ所について、下記の基準により評価した。
◎:剥離程度が1割未満の場合
○:剥離程度が1割〜2割未満の場合
△:剥離程度が2割〜5割未満の場合
×:剥離程度が5割以上の場合
・耐久性
試験片として、84dtex/24フィラメントの延伸糸を用いて、丸編機により筒編地を作製した。ついで、試験片を20℃、65%RHの雰囲気下で24時間以上調湿したもので評価を行なった。摩擦に対する染色堅ろう度試験方法JIS L 0849に使用される摩擦試験機II形(学振形)に試験片を固定し、先端に綿布を固定し2Nの荷重をかけた摩擦子で、試験片上を1000回の往復運動をさせた。この処理前後で、JIS L 0801の箇条10(染色堅ろう度の判定)に従って、摩擦用白綿布の着色の級数判定を行った。
(実施例1)
鞘成分はポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製「プライムポリプロ Y−2005GP」)と、平均粒子径0.3μmの二酸化チタン3.0重量%含有したポリエチレンテレフタレート(固有粘度〔η〕=0.68)を芯成分とした。
鞘成分と芯成分の複合比率(重量比率)70:30の条件で、紡糸温度290℃、巻取り速度3000m/分で溶融複合紡糸し、芯鞘断面形状の複合フィラメント糸142dtex/24フィラメントで紡出した後、この未延伸糸を80℃の熱ローラー及び120℃の熱プレートに接触させ、延伸倍率1.7倍で延伸することにより、84dtex/24フィラメントの芯鞘複合繊維を得た。前記芯鞘複合繊維における単糸直径は18.5μmであって、芯成分の突起部の個数は30個であり、繊維断面形状における最短距離Lが4.1μmでL/Dの比率22.2%、突起部の長さHが2.2μmでH/Dの比率11.9%であった。得られた芯鞘複合繊維の強度は3.4cN/dtexであった。ついで筒編物を作製し発色性、撥水性、紫外線遮蔽性、耐剥離性、耐久性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2〜10)
芯成分に含まれる二酸化チタンの粒子径、含有量、複合比率、繊維断面形状を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして複合繊維を得た。発色性、撥水性、紫外線遮蔽性、耐剥離性、耐久性の評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた性能を有していた。
(比較例1〜7)
芯成分に含まれる二酸化チタンの粒子径、含有量、複合比率、繊維断面形状を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして複合繊維を得た。発色性、撥水性、紫外線遮蔽性、耐剥離性、耐久性の評価結果を表1に示す。
表1より、実施例1〜10の複合繊維は、いずれも繊維化工程性は良好であり、発色性、撥水性、紫外線遮蔽性、耐久性に優れた複合繊維であることが分かった。しかし、比較例1では、最短距離Lが長く、鞘成分が肉厚であるため、耐久性は十分であったが、直径Dに対するLの比率が大きいため、断面形成性が悪化して突起部の長さHの比率が低くなり、芯成分の突起部による芯鞘界面へのアンカー効果の寄与が小さく、耐剥離性に劣るものであった。また、芯成分の比率が低いことにより発色性が劣る結果となった。比較例2では、突起部の長さHが長く、最短距離Lが短く、直径Dに対するLの比率が小さいため、鞘成分に充分な厚みを設けることができず、繊維にかかる外部負荷に耐えられずに耐久性に劣る結果となった。さらに外部負荷が芯鞘界面にまで到達しており、界面剥離を起こし、耐剥離性にも劣る結果となった。比較例3では、芯成分の二酸化チタン含有量が少ないため、紫外線遮蔽性に劣る結果となった。比較例4では、芯成分の二酸化チタン含有量が多いため、紡糸工程での二酸化チタンの凝集が起こり、繊維化工程性が劣る結果となった。比較例5では、繊維断面において、芯成分に突起部を設けなかったため、芯鞘界面でのアンカー効果の寄与がなく、耐剥離性、耐久性ともに劣る結果であった。比較例6では、芯成分に含まれる二酸化チタンの粒子径が小さいため、二酸化チタンの凝集による繊維化工程性の悪化と、充分な紫外線遮蔽性が得られなかった。比較例7では、芯成分に含まれる二酸化チタンの粒子径が大きいため、繊維化工程性が劣る結果となった。
本発明により得られる芯鞘複合繊維は、撥水性、紫外線遮蔽性、発色性、耐剥離性を有し、かつ耐久性に優れた芯鞘複合繊維であるため、衣料全般に適している。特に、スポーツ衣料、傘などの資材用途に適している。

Claims (6)

  1. ポリオレフィン樹脂を鞘成分とし、芯成分は平均粒子径が0.2〜1.0μmである二酸化チタン粒子を1.0〜25.0重量%含有するポリエステル樹脂により構成される芯鞘複合繊維であって、前記芯鞘複合繊維の断面形状が下記条件を満たすことを特徴とする、芯鞘複合繊維。
    (A) 芯成分が、鞘成分との界面において10個以上の突起部を有する。
    (B) 芯鞘複合繊維の外周と芯成分の外周との最短距離Lと、芯鞘複合繊維の直径Dとの比率(L/D×100)が10〜25%である。
  2. 芯成分の突起部の長さHと芯鞘複合繊維の単糸直径Dとの比率(H/D×100)が10〜20%であることを特徴とする、請求項1に記載の芯鞘複合繊維。
  3. 鞘成分と芯成分との重量複合比率が、鞘:芯=25:75〜75:25であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の芯鞘複合繊維。
  4. 前記最短距離Lが1.5〜4.5μmであることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の芯鞘複合繊維。
  5. 前記突起部の長さHが1.5〜3.5μmであることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の芯鞘複合繊維。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の芯鞘複合繊維を少なくとも一部に用いた織編物。
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