JP4660969B2 - 熱可塑性合成繊維とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性合成繊維およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、新規な高強度・高弾性率の熱可塑性合成繊維、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルやナイロン、ポリオレフィンを代表とする熱可塑性合成繊維は、安価で種々の特性に優れることから多量にかつ広い分野にわたって用いられている。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプラミド、ポリプロピレン繊維は、強度・弾性率など優れた物理特性を有することから工業的に重要な位置を占め、衣料用途のみならず、タイヤコードなどのゴム補強資材、漁網などの水産資材用途、ロープなどの農業資材用途など、各種産業資材に好適に利用されている。
【0003】
かかる熱可塑性合成繊維の製造には、経済的に有利な溶融紡糸法が広く採用されている。繊維の強度・弾性率は一般に高い方が高次加工工程の通過性や最終製品の性能に優れるが、それぞれの用途に応じた強度・弾性率を発現させるために、使用するポリマーの重合度や、溶融紡糸・延伸の条件が設定される。例えば衣料用途であれば、液相重合で得られる最高重合度に近いポリマーを得、しかる後に溶融紡糸して、必要があれば延伸される。また、更なる高強度・高弾性率化が必要な産業用繊維においては、液相重合で得られたポリマーを固相重合して更に高重合度化し、これを溶融紡糸した後に限界近い倍率で延伸し、融着温度直下で熱セットする。
【0004】
しかしながら通常の溶融紡糸・延伸のプロセスを使用して、例えばポリエチレンテレフタレート(以下PET)繊維を製造した場合、強度が10cN/dtex、弾性率が150cN/dtexを超えるような高強度・高弾性率繊維を工業的に製造することは極めて困難であった。
【0005】
また、衣料用途においては、6000m/分を越える紡糸速度で繊維を引き取った場合、繊維の強度が著しく低下して満足がいく高次加工通過性や製品特性が得られないこと、また繊維の紡糸工程中に糸切れが頻発することが問題となっていた。
【0006】
これらの問題を解決するために、いくつかの技術が開示されている。例えば特開昭59−47423号公報や特開昭63−190015号公報では、高速紡糸時に起こる配向結晶化を抑制することで、機械的特性の優れた繊維を得る方法が開示されている。該公報によると、ポリエステルに特定の化合物を共重合することによって、紡速6000m/分を越える引き取り速度の繊維の製糸性が向上し、衣料用途に十分供しうる機械的特性の繊維を得ることができるとしている。しかしながら、これらの方法では高価な化合物を多量に添加する必要があるためコストアップが避けられず、またポリエステルが持つ本来の特性を失ってしまうという欠点があった。
【0007】
また、Polymer ,37 ,p4421 (1996)には、IVが2.0程度という従来より高重合度のポリエステルに、ポリエステルに相溶な化合物を多量に添加し、低温で溶融紡糸することによって高強度・高弾性率糸を製造する方法が開示されている。この方法によれば、ポリエステルに2−メチルアントラキノンに代表される低分子化合物を添加することで低温紡糸を実現し、ポリエステルの分子量低下を抑制することで、溶融紡糸によって引張強度が2GPaを越える繊維を得ることができるとの記載がある。
【0008】
しかしながらこれら低分子化合物を多量に添加すると、溶融紡糸などの過程で発煙が激しく、到底生産技術として使用できるものではない。また、これらの物質は製品中に取り残され、高次加工工程や最終製品の使用中に徐々に放出されるため、環境に与える影響も大きい。また、原糸機械特性としては高いものが得られても、高次加工工程で様々な熱履歴や化学的処理を受けるうちに物理特性が低下してしまい、最終製品での強度・弾性率は不満足なものとなる。
【0009】
これに対し、ポリエステルを有機溶媒に溶解させて紡糸し、IVが1.2以上という従来よりも高重合度のポリエステルの分子量を低下させることなく繊維化することによって繊維の高強度・高弾性率化を実現しようという試みが、特開平6―200410号、特開平6―330406号公報等で提案されている。該公報には、引張強度10cN/dtex、弾性率150cN/dtex程度の繊維を得ることができる旨の記載があるが、有機溶媒を使用する湿式または半乾半湿式紡糸による製造となるため、生産効率が低く、製造コストが高くなるという欠点がある。また、ポリエステルが可溶な溶媒は極めて特殊なものであり、その溶媒コストは高く、溶媒の回収・精製は極めて困難である。
【0010】
また、繊維学会誌vol.35 No.8 T328には、ポリエチレンテレフタレート繊維を固相重合することによってポリマーの分子量を高め、機械的物性を改善する試みが記載されている。しかし、糸の固相重合は非常に低生産性のプロセスであるため、製造コストの上昇は不可避であり、工業的な展開は到底望めない。また、この技術によれば分子量増加が達成されるものの、繊維構造が変化してかえって強度が低下してしまう。
【0011】
ポリオレフィンについては、やはり溶媒を使用したゲル膨潤延伸によって分子量100万以上のポリマーを用いて20cN/dtexを越える強度、1500cN/dtexを越える弾性率の繊維が製造されていることは周知の事実である。しかし、上記プロセスと同様に溶媒を用いたプロセスであるため、製造効率が低く、極めてコストが高いという欠点がある。また、このプロセスが使用できるポリマーはエチレンやポリプロピレンなどのごく一部のポリマーに限られており、多くの縮合系化合物には展開できないという欠点を持っている。
【0012】
また、成型加工シンポジア'00講演B107では、ポリエチレンテレフタレートを芯に、ポリスチレンを鞘に使用した芯鞘複合繊維において、芯成分のポリエチレンテレフタレート繊維のタフネスが向上するデーターが報告されている。しかしながらこの方法は、芯成分の重量と等倍以上、好ましくは4倍程度の鞘成分を複合することが必要であり、工業的に応用することは難しい。また、鞘成分を除去する場合にも、得られるポリエチレンテレフタレート繊維と同量またはそれ以上におよぶ大量のポリスチレンを溶出させる必要があり、工業的に応用することは極めて困難である。
【0013】
以上のように、熱可塑性樹脂を成型して高い引張強度・弾性率を持つ繊維を得ようとする試みはほとんどの場合繊維を構成するポリマーを高重合度化するものである。これらは有機溶媒などの低分子化合物にポリマーを希釈したり、あるいは固相重合を行うなどの生産性が低いプロセスを採用することが必要であり、製造効率の低下や製品のコストアップが避けられない。また、溶媒を回収・精製するための設備に多大な投資を行う必要があり、製品のコストアップのみならず、万一の事故が起こったときには環境に甚大な被害を及ぼす恐れがある。
【0014】
このように、繊維の高強度・高弾性率化はあらゆる用途の繊維に求められているにもかかわらず、その実現の方法は、溶融紡糸であれば製品本来の特性を失わせるような多量の添加剤によってポリマーを希釈するか、あるいは有機溶媒を使用した湿式、半乾・半湿式紡糸など低効率なプロセスに頼らざるを得ないのが現状である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解消し、有機溶剤を使用するプロセスや低分子化合物による希釈を伴わない溶融紡糸によって、従来に比べて高い引張強度・弾性率を有する熱可塑性合成繊維を高効率で製造する方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、繊維の強度を向上するためには口金吐出孔内で存在する流路断面方向のポリマーの流速分布を低減することが重要であることを突き止めた。そこで、口金孔内で壁面部分に低粘度のポリマーを配し、繊維強度を担う実質部分を構成する高粘度ポリマーの流速分布を低減することによって、従来の溶融紡糸で得られる繊維よりも物理特性に優れた繊維を製造することが可能であることを見出し、本発明に至った。
【0017】
すなわち、以下の要件を満たす複数の熱可塑性樹脂を別々に溶融・計量した後、合流させ、吐出・成形することを特徴とする熱可塑性合成繊維の製造方法により、本発明の目的が達成される。本発明は、下記の(1)と(2)の要件を満たすように、複数の熱可塑性樹脂を別々に溶融・計量した後、合流させ、吐出・成形し、5000m/分以下の速度で引き取った後、1.5倍以上延伸することを特徴とする熱可塑性合成繊維の製造方法である。
(1)1種類以上の熱可塑性樹脂群が、繊維を構成する単繊維の内部に配置される(熱可塑性樹脂群A)。
(2)以下の要件を満たす1種類の熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂B)が、熱可塑性樹脂群Aを覆う。
154>ηA/ηB≧10
ηA:熱可塑性樹脂群Aのうち、最も低い溶融粘度を有する熱可塑性樹脂の溶融粘度(poise)
ηB:熱可塑性樹脂Bの溶融粘度(poise)
η、ηBの測定条件:
温度:TS+30℃
ただしTSは熱可塑性樹脂群A、熱可塑性樹脂Bのうち、最も高い軟化温度を有する熱可塑性樹脂の軟化温度
剪断速度:1×103(s-1)
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性合成繊維は、熱分解温度以下にガラス転移点を有する複数の熱可塑性樹脂から構成され、これらは熱可塑性樹脂群Aと熱可塑性樹脂Bに分類される。熱可塑性樹脂群Aは実質的に本発明の繊維の機械的強度を発現する役割を担っている。該熱可塑性樹脂群Aは本発明の繊維の引張強度・弾性率を高くするという目的のためには、少なくとも1種類は結晶性熱可塑性樹脂で構成されることが好ましい。また、熱可塑性樹脂群Aが1種類の結晶性熱可塑性樹脂から構成されると、最も高強度・高弾性率化を達成することが容易であるため好ましい。
【0019】
熱可塑性樹脂群Aを構成する熱可塑性樹脂は上記の通り、熱分解温度以下にガラス転移点を有するものであれば特に限定しないが、経済的な理由や高強度・高弾性率化を達成しやすいことから、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン系の結晶性熱可塑性樹脂を使用することが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプラミド、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレンであるとさらに好ましい。中でもポリエチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプラミドは耐熱性、耐薬品性、機械的特性に優れ、経済的にも最も好ましい熱可塑性樹脂である。
【0020】
熱可塑性樹脂群Aを構成する熱可塑性樹脂の重合度は特に制限はなく、用途に応じて設定されればよい。例えば衣料用途として用いる場合には、従来使用されている熱可塑性樹脂の粘度範囲で構わず、ポリエチレンテレフタレートであればIVで0.5〜0.8程度、ナイロンであればηで2.0〜3.0程度である。また、産業用途であれば繊維の高強度・高弾性率化という目的から溶融紡糸可能な限り高いことが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレートであればIVにして1.0以上、ポリヘキサメチレンアジパミドやポリカプラミドであればηにして3.0以上である。なお、本発明によれば、樹脂の成型時に最も圧力損失が高い口金吐出部での剪断変形が小さくなるため、従来よりも高粘度の熱可塑性樹脂を低圧にて押し出すことができるほか、口金面温度を低下させてもメルトフラクチャーなどの不安定流動を起こしにくいため、口金面に付着する熱分解物の発生を抑制することができる。従って、熱可塑性樹脂群Aを構成する樹脂としては従来よりもさらに高重合度の樹脂を使用することが可能であり、また従来と同等の重合度の樹脂を使用しても操業性の安定化に役立てることができる。
【0021】
本発明の熱可塑性樹脂群Aの断面形状には特に制約はなく、丸、三角、Yなど様々な形を用いることができ、また同心円、偏心、多芯など、繊維断面の中での位置や個数にも制限はない。ただし、高強度・高弾性率の繊維を得るという目的からは、熱可塑性樹脂群Aと熱可塑性樹脂Bがすべて円形断面であり、それらが同心円に配列されることが好ましい。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂Bは、口金吐出孔内で存在する流路断面方向の熱可塑性樹脂群Aの流速分布を低減する役割を担っている。熱可塑性樹脂Bは本発明の重要な技術的位置を占めているので、その詳細について述べる。本発明者らは繊維の機械的強度を改良するためには、口金から吐出された後のポリマーの温度や巻取り速度を変更して変形挙動を制御するだけでは不十分であり、口金孔内部の構造形成に遡る必要があることを突き止めた。すなわち、溶融ポリマーは吐出直前に口金孔内部で強い剪断変形を受け、特に口金部材との接面のポリマーは流動が許されないため大きな剪断変形を強いられることになる。従ってこの部分は剪断応力が非常に高いものとなり、応力と分子配向の比例則によって高配向化する結果、微細な結晶核が生成することになる。また、剪断変形は口金部材との接面では大きいにも関わらず流路中心部では極めて小さいものであり、これが繊維構造の断面内部での不均一性をもたらしている。本発明者らは鋭意検討した結果、口金部材の接面近傍を構成するポリマーに剪断変形を集中し、繊維の機械的強度を実質的に担う熱可塑性樹脂群Aの剪断変形を減じることによって、熱可塑性樹脂群Aの断面内での構造が均一となり、表層の微結晶を生成することなくポリマーを吐出可能であり、これによって繊維の高強度・高弾性率化が可能になることを見出した。
【0023】
なお、J.Rheol. vol.38 p831 (1994)やJ.Appl.Polym.Sci. Vol.59 p1305 (1996)によれば、溶融体を成型部材に流すに当たって、その樹脂−金属界面に低粘度のポリマーを配置することによって、樹脂実質部の流速分布を抑制することが可能であることが述べられている。しかしながらこれまでの繊維成型技術では、口金孔内での流速分布が繊維の力学的特性に影響を与えうることは知られておらず、今回我々が詳細な検討を行った結果初めて明らかになった事実である。また、上記報告には繊維に対する応用技術は記されておらず、具体的な繊維の形状、樹脂の種類、工業的な応用に対する記述は一切見られない。
【0024】
本発明によれば、従来の溶融紡糸に使用している樹脂に他の低分子化合物などを混入することなく、経済的に最も好ましい溶融紡糸によって容易に繊維の機械的強度・弾性率を向上することが可能である。
【0025】
このような口金孔内のポリマー変形を実現するためには、熱可塑性樹脂群Aのうち最も溶融粘度が低い樹脂の溶融粘度ηAと、熱可塑性樹脂Bの溶融粘度ηBの関係が、154>ηA/ηB≧10となる熱可塑性樹脂を使用することが必要であり、154>ηA/ηB≧100となることがさらに好ましい。この溶融粘度の測定条件は口金孔内部の流動条件に近いことが好ましいことから、剪断速度は1×103(s-1)、温度としては熱可塑性樹脂群Aおよび熱可塑性樹脂Bのうち最も軟化温度が高い樹脂の軟化温度+30℃を採用する。
【0026】
上記のように口金孔内の温度や剪断速度に近い条件下でηA/ηBが10未満であると、熱可塑性樹脂群Aのうち最も高い溶融粘度を有する熱可塑性樹脂の表層に微結晶が生成したり、断面方向に構造分布ができるため、繊維の強度・弾性率が不十分となり好ましくない。また、ηA/ηBが100以上であると効果は特に顕著であり、高い引張強度・弾性率の繊維を得ることができる。
【0027】
ここでいう軟化温度とは熱可塑性樹脂が結晶性高分子の場合には融解温度のことを指し、室温から300℃まで昇温速度15℃にて測定したDSCの結晶融解曲線のピーク温度をいう。また、熱可塑性樹脂がDSCの測定で結晶融解ピークを与えないような非晶性高分子の場合には、ビカット軟化点(JIS K 7206)によって軟化温度を定義する。
【0028】
本発明の熱可塑性樹脂Bは、熱可塑性樹脂群Aを覆う必要がある。熱可塑性樹脂Bの役割は繊維の機械特性を担う熱可塑性樹脂群Aを壁面から離すことによって剪断変形の断面方向内分布を低減することが目的であり、これらは熱可塑性樹脂Bが単繊維の表面を完全に覆うことでのみ達成される。従って熱可塑性樹脂群Aは単繊維内層に配置される形態となる必要がある。
【0029】
本発明の熱可塑性合成繊維に使用される熱可塑性樹脂Bの割合は特に制限はないが、この部分が実質的に繊維強度・弾性率への貢献がないことから、熱可塑性樹脂Bの重量構成比が繊維全体の20%以下であることが好ましく、10%以下であるとさらに好ましい。熱可塑性樹脂Bの重量構成比が20%以下であれば、この部分が繊維の強度・弾性率を担わなくとも、熱可塑性樹脂群Aの内外構造差を十分低減することができ、十分な強度・弾性率の繊維を得ることができる。
【0030】
本発明の熱可塑性樹脂Bに用いられる樹脂の化学的組成には特に制限はないが、熱可逆性樹脂Bの軟化温度が、熱可塑性樹脂群Aのうち最も高い軟化温度を示す樹脂の軟化温度より20℃以上低くないことが好ましく、10℃以上低くないことがさらに好ましい。また、熱可塑性樹脂Bが、熱可塑性樹脂群Aのうち、最も高い溶融粘度を有する熱可塑性樹脂と実質的に同一の化学的組成を有することがさらに好ましい。熱可逆性樹脂Bの軟化温度が、熱可塑性樹脂群Aのうち最も高い軟化温度を示す樹脂の軟化温度より20℃以上低くない場合、特に熱可塑性樹脂群Aが1種類の結晶性熱可塑性樹脂から構成される場合には、繊維全体が類似または単一の熱特性を有する熱可塑性樹脂から構成されることとなり、高次加工工程や製品となった後の取り扱いが容易であり、好ましい。
【0031】
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、発明の主旨を損ねない範囲で他の第3成分が共重合されていても良い。例えばポリエチレンテレフタレートを熱可塑性樹脂Aとして用いる場合、ポリエステルを構成するジカルボン酸化合物として例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホソホニウムイソフタル酸等の芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸およびそれらの誘導体を少量用いてもよい。またジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのような芳香族、脂肪族、脂環族のジオール化合物またはその誘導体を用いることができる。
【0032】
さらに、本発明の熱可塑性樹脂は本発明の主旨を損ねない範囲で、艶消剤、難燃剤等の添加剤を少量含有しても良い。特に熱可塑性樹脂Bは繊維の強度・弾性率を担うことがなく、繊維を構成する単繊維の表面を覆っていることから、例えば接着剤、離型剤、撥水剤などを含有させることによって繊維の表面を改質しておくと、高次加工工程の省略が可能となるなどの利点がある。
【0033】
本発明の熱可塑性合成繊維は、上記の熱可塑性樹脂群Aと熱可塑性樹脂Bを別々に溶融・計量した後、合流させ、吐出することにより製造される。本発明の目的は溶融紡糸によって従来よりも機械的特性が高い繊維を得ることにあり、高効率で環境負荷の小さい製造を実現することが可能である。
【0034】
本発明の製造方法には、いわゆる複合紡糸法が用いられる。樹脂の合流部は、口金孔内での剪断流動を制御する目的から、口金内部で行われることが好ましい。
【0035】
口金から吐出された繊維は、冷却風にて冷却・固化され、必要があれば冷却以前の段階または冷却以後に再加熱された後に給油されることが好ましい。その後、本発明の目的である高強度・高弾性率繊維を得るためには、任意の速度で一旦引き取った糸を延伸するか、または一旦巻き取らずにそのまま直接延伸する。さらに高強度・高弾性率化するためには、繊維の融着が起こらない範囲の高温で熱セットする事が好ましく、必要があれば弛緩処理を施してもよい。
【0036】
巻き取られた糸はそのまま製品として用いられることが好ましいが、更に高強度化が必要であれば、繊維の強度・弾性率と関係しない熱可塑性樹脂B成分を取り除くこともできる。熱可塑性樹脂Bを取り除いた繊維は、その分軽量化され、単位重量当たりの強力や弾性率が増すため、さらに高強度・高弾性率化必要な用途に本発明の繊維を適用することができる。熱可塑性樹脂Bの除去は、例えば力学的に熱可塑性樹脂Bを分割したり破砕するなどの物理的な手段で行ってもよいし、何らかの溶剤で溶出するような化学的手段を採用してもよい。ただし、化学的な手段によって熱可塑性樹脂Bを溶出する場合には、熱可塑性樹脂Bとして水溶性の樹脂を使用し、水や温水、熱水、あるいは無機塩の水溶液などを使用して熱可塑性樹脂Bを溶出することが好ましい。つまり、有機溶媒による熱可塑性樹脂Bの溶出・除去など環境付加が大きな手法をは避けることが好ましい。
【0037】
本発明の熱可塑性合成繊維の製造方法によれば、従来溶融紡糸法によって行われていたあらゆる熱可塑性樹脂の引張強度・弾性率を向上することが可能であり、本発明の方法によって得られた熱可塑性合成繊維を使用することによって、最終製品の品位の向上が可能となる。また、本発明の方法で得られた熱可塑性合成繊維の引張強度・弾性率の向上により、繊維の製糸性向上や高次加工工程の通過性向上がもたらされ、生産性の飛躍的な向上に貢献することができる。
【0038】
特に、従来は溶融紡糸によって引張強度が10cN/dtex以上、弾性率が150cN/dtex以上の熱可塑性合成繊維を得ることはきわめて困難であったが、本発明の熱可塑性合成繊維の製造方法によって、引張強度10cN/dtex以上、弾性率が150cN/dtex以上の熱可塑性合成繊維を容易にかつ高生産性にて製造することができ、高品質かつ低コストの製品を提供することが可能となる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は実施例に制限されるものではない。なお、実施例中の物性値は以下の方法によって測定した。
(1)熱可塑性樹脂の溶融粘度
(株)東洋精機製キャピログラフ1Bにて測定を行った。検出される圧力をすべてキャピラリー部の圧力損失とし、ハーゲンポアズイユの式から剪断粘度を見積もった。
【0040】
なお、剪断速度1×103の時の溶融粘度は、ピストン降下速度を変化させることによって剪断速度を変化させ、これらの値から推定した。
【0041】
条件は以下の通り。
【0042】
(1) ノズルのキャピラリー:長さ10mm、内径1mmφ
(2) シリンダー:径9.55mmφ
(3) ピストン降下速度:50、100、200mm/分
(2)ポリエステル繊維の強度、弾性率、伸度
東洋ボールドウイン(株)社製テンシロン引張り試験器により、試長250mm、引張り速度300mm/分でS−S曲線を求め、強伸度を算出した。
(3)乾熱収縮率
試料をカセ状にとって20℃、65%RHにて24時間以上放置したのち、試料の0.1g/dの荷重をかけて測定した長さL0の試料を、150℃のオーブン中に30分間処理した後、取り出して4時間以上放冷した。その後、再び0.1g/dの荷重をかけて長さL1を測定し、以下の式で収縮率Sを測定した。
【0043】
S(%)=(L0−L1)/L0×100
(4)繊維断面形状の観察
直径1mmφの孔が空いた金属板を用意し、その孔に試料を黒綿と共に通して固定して断面方向にカットし、光学顕微鏡にて観察した。
(5)軟化温度
PERKIN−ELMER社製 DSC7RSeにて測定を行った。測定は室温から300℃まで毎分15℃の割合で昇温し、得られた結晶融解曲線のピーク温度を読みとった。
【0044】
実施例1
定法によってエステル化および重縮合を行い、以下に記載する2種類の重合度のPETを合成した。両者とも軟化温度は260℃であった。290℃での溶融粘度が9800poiseのPET(以下PET−A)を熱可塑性樹脂A、290℃での溶融粘度が82poiseのPET(以下PET−B)を熱可塑性樹脂Bとして用いるため、それぞれのペレットを乾熱炉にて120℃で3時間結晶化させ、さらにこれらのペレットを150℃で12時間真空乾燥した。これらを2つのエクストルーダを備えた紡糸機に供給し、295℃の紡糸温度で別々に溶融・計量した後パック内に導入し、口金内部で合流させた。口金は3枚構成であり、第1プレートの丸孔で熱可塑性樹脂Bの計量、第2プレートの丸孔で熱可塑性樹脂Aの計量を行った後、第2プレートと第3プレートの間で両樹脂を合流させて、第3プレートの丸孔で単糸断面形状を円形に成型して吐出した。
【0045】
PET−AとPET−Bの重量比率は95:5とし、PET−Aが芯成分、PET−Bが鞘成分となる同心円の芯鞘複合紡糸を行った。口金の吐出孔は0.4mmφの丸孔を144備えた口金を用いた。吐出した糸条を25℃・30m/分のチムニー冷却風を当てて冷却固化し、オイリングローラーにて給油した後、引き取り速度500m/分で引き取り、一旦巻き取ることなく90℃、120℃にて合計延伸倍率6.2倍の2段延伸を行い、200℃にて熱セット、3%のリラックス処理を行って巻き取った。このようにして巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認した。
【0046】
巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例1、2、3、7、8に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0047】
実施例2
熱可塑性樹脂Bとして軟化温度260℃、290℃での溶融粘度920poiseのPETを使用した以外は実施例1と同様の方法にて製糸した。
【0048】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認でき、また糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例1、2、3、7、8に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0049】
実施例3、4
芯成分と鞘成分の重量比率を変更した他は実施例1と同様の方法にて製糸した。
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認でき、また糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例1、2、3、7、8に比べて改善されていることが確認された。
【0050】
実施例5
鞘成分をポリメチルペンテンとした以外は実施例1と同様の方法にて製糸した。ポリメチルペンテンは三井化学(株)製"TPX"DX820を使用し、乾燥することなくそのまま用いた。この樹脂のDSC融解ピーク温度は240℃であり、290℃でのポリメチルペンテンの溶融粘度は220poiseであった。
【0051】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認でき、また糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例1、2、3、7、8に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0052】
実施例6
鞘成分をポリプロピレンとした以外は実施例1と同様の方法にて紡糸した。ポリプロピレンは(株)グランドポリマー社製"ハイポール"J108を使用し、乾燥することなくそのまま用いた。この樹脂のDSC融解ピーク温度は165℃であった。290℃でのポリプロピレンの溶融粘度は310poiseであった。
【0053】
延伸は熱セット温度を140℃とし、延伸倍率を5.8倍とした以外は実施例1と同様の方法で行った。
【0054】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認でき、また糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例1、2、3、7、8に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0055】
実施例7
鞘成分に水溶性ポリエステルを用いた以外は実施例1同様の方法にて製糸した。水溶性ポリエステルはテレフタル酸成分の30%がイソフタル酸、20%がスルホイソフタル酸ナトリウムで置換された共重合物を使用した。この樹脂のDSC結晶融解ピークは250℃であり、290℃での水溶性ポリエステルの溶融粘度は91poiseであった。水溶性ポリエステルのペレットは、乾熱炉にて80℃で6時間結晶化させ、さらにこれらのペレットを120℃で24時間真空乾燥した。
【0056】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認でき、また糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例1、2、3、7、8に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0057】
実施例8
第2プレートの計量孔の形状をY型とすることで、熱可塑性樹脂Aの断面形状を三角形とすること以外は実施例1と同様の方法にて製糸した。
【0058】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸の断面形状は丸で、芯成分の形状は三角形であった。また、芯成分の三角形の重心は、単糸丸断面の中心と一致していた。
【0059】
さらに、糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例1、2、3、7、8に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0060】
実施例9
第2プレートの計量孔を、1単糸あたり10孔配置することで、熱可塑性樹脂Aを多芯とすること以外は実施例1と同様の方法にて製糸した。
【0061】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸内部に円形の島が10個存在することを確認した。また、糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例1、2、3、7、8に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0062】
実施例10
第3プレートの吐出孔の形状をY型とすることで、単糸の断面形状を三角形とする以外は、実施例1と同様の方法で製糸した。
【0063】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸の断面形状は三角形で、芯成分の形状も三角形であった。また、芯成分の三角形の重心は、単糸の三角断面の重心と一致していた。
【0064】
さらに、糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例1、2、3、7、8に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0065】
実施例11
引き取り速度を2000m/分とし、合計延伸倍率を2.5倍とする以外は実施例1と同様の方法で製糸した。
【0066】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認でき、また糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例9に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0067】
実施例12
引き取り速度を5000m/分とし、合計延伸倍率を1.5倍とする以外は実施例1と同様の方法で製糸した。
【0068】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認でき、また糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例10に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0069】
実施例13
熱可塑性樹脂Aとして使用するPETを変更し、軟化温度260℃、290℃での溶融粘度が2800poiseのPETを使用し、実施例1と同様に重量比率95:5の芯鞘複合紡糸を行った。口金の吐出孔は0.2mmφの丸孔を36備えた口金を用いた。吐出した糸条を25℃・30m/分のチムニー冷却風を当てて冷却固化し、給油ガイドにて給油・収束した後、引き取り速度3000m/分で引き取り、延伸することなく一旦巻き取った。次に、90℃に加熱したローラーにて延伸倍率2.0倍の1段延伸を行い、130℃にて熱セットを行って巻き取った。
【0070】
このようにして巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認した。
【0071】
巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例11に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0072】
比較例19
実施例13と同様の方法で吐出・冷却・給油した糸条を紡糸速度6000m/分で引き取り、延伸することなく巻き取った。
【0073】
このようにして巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認した。
巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例12に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0074】
比較例20
紡糸速度を10000m/分とする以外は比較例19と同様の方法で繊維を製造した。
【0075】
このようにして巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認した。
【0076】
巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例13に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0077】
比較例21
熱可塑性樹脂Bをポリエチレンとした以外は比較例19と同様の方法で製糸を行った。
【0078】
ポリエチレンは三井化学(株)社製"ミラソン"FL60を用い、そのDSCでの融解ピーク温度は110℃であった。また、290℃での溶融粘度は130poiseであった。ポリエチレンは乾燥することなくそのまま用いた。
【0079】
このようにして巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認した。
【0080】
巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例12に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0081】
比較例22
熱可塑性樹脂Bをポリスチレンとした以外は比較例19と同様の方法で製糸を行った。
【0082】
ポリエチレンはエー・アンド・エム・スチレン(株)社製"スタイロン"679Rを用い、そのビカット軟化点温度は93℃であった。この樹脂の290℃での溶融粘度は135poiseであった。ポリスチレンは乾燥することなくそのまま用いた。
【0083】
このようにして巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認した。
巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例12に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0084】
実施例14
熱可塑性樹脂Aとして、DSC融解ピーク温度が260℃、290℃での溶融粘度が3200poiseのポリヘキサメチレンアジパミド(N66)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で繊維を製造した。N66は定法によって重縮合し、実施例1と同様の方法で乾燥を行った。
【0085】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認でき、また糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例4、14に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0086】
実施例15
熱可塑性樹脂Aとして、DSC融解ピーク温度が230℃、290℃での溶融粘度が3000poiseのポリカプラミド(N6)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で繊維を製造した。N6は定法によって重縮合し、実施例1と同様の方法で乾燥を行った。
【0087】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認でき、また糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例5、15に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0088】
比較例23
熱可塑性樹脂Aとして(株)島津製作所社製のポリ乳酸"ラクティー"5000(PLA)を用いた以外は、比較例19と同様の方法で繊維を製造した。PLAのDSC融解ピーク温度は170℃であり、290℃での溶融粘度は900poiseであった。PLAのペレットは予備結晶化することなしに、100℃で12時間真空乾燥して用いた。
【0089】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認でき、また糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例16に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0090】
比較例24
熱可塑性樹脂AとしてShell社製のポリプロピレンテレフタレート樹脂"CORTERRA"(PPT)を用いた以外は、比較例19と同様の方法で繊維を製造した。PPTのDSC結晶融解ピークは225℃であり、290℃での溶融粘度は900poiseであった。PPTのペレットは予備乾燥なしに150℃で5時間真空乾燥して用いた。
【0091】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認でき、また糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例17に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0092】
実施例16
熱可塑性樹脂Aとして(株)グランドポリマー社製のポリプロピレン"グランドポリプロ"E101を用いた以外は、実施例1と同様の方法で繊維を製造した。ただし、延伸ローラーの温度は50および100℃とし、熱セット温度を140℃に変更した。
【0093】
この樹脂のDSC融解ピーク温度は165℃であり、290℃での溶融粘度は12600poiseであった。PPのペレットは、乾燥することなくそのまま用いた。
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認でき、また糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例6、18に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0094】
実施例17
いずれもDSC結晶融解ピークが260℃のPETとN66を用い、290℃での溶融粘度が9800poiseのPET(PET−A)と290℃での溶融粘度が3200poiseのN66(N66−A)を熱可塑性樹脂群A、290℃での溶融粘度が82poiseのPET(PET−B)を熱可塑性樹脂Bとして、それぞれのペレットを乾熱炉にて120℃で3時間結晶化させ、さらにこれらのペレットを150℃で12時間真空乾燥した。これらを2つのエクストルーダを備えた紡糸機に供給し、295℃の紡糸温度で別々に溶融・計量した後パック内に導入し、口金内部で合流させた。口金は3枚構成であり、第1プレートの丸孔で熱可塑性樹脂Bの計量、第2プレートの丸孔で熱可塑性樹脂群Aの計量を行った後、第2プレートと第3プレートの間でこれら樹脂を合流させて、第3プレートの丸孔で単糸断面形状を円形に成型して吐出した。
【0095】
PET−A、N66−A、PET−Bの重量比率は45:45:10とし、PET−AとN66−Aが単糸あたりそれぞれ5島を構成する多芯成分、PET−Bが海成分となる海島型の芯鞘複合紡糸を行った。口金の吐出孔は0.4mmφの丸孔を144備えた口金を用いた。吐出・冷却・給油・延伸条件は実施例1と同様の方法を用いた。
【0096】
このようにして巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で10個の島が単糸内部に配置されていることを確認した。
【0097】
巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例1、2、3、7、8に比べて飛躍的に改善されていることが確認された。
【0098】
実施例18
実施例7の方法によって得られた繊維を、パンチ穴を有する金属製ボビンに巻き返し、98℃の熱水に浸して鞘部の水溶性ポリエステルを溶出した後、50℃にて24時間真空乾燥機した。繊維の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で鞘部が溶出していることを確認した。巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに実施例7よりもさらに改善されていることが確認された。
【0099】
比較例25
比較例22の方法によって得られた繊維を、パンチ穴を有する金属製ボビンに巻き返し、トルエンに浸して鞘部のポリスチレンを溶出した後、50℃にて24時間真空乾燥機した。繊維の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で鞘部が溶出していることを確認した。巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに比較例22よりもさらに改善されていることが確認された。
【0100】
比較例1、2、3
熱可塑性樹脂AおよびBとして使用するPETを変更し、軟化温度260℃、290℃での溶融粘度が表1で示されるような、芯/鞘を構成するPETの粘度比が10以下の組合せのPETを使用し、実施例1と同様にして芯鞘複合紡糸を行った。吐出した糸条を25℃・30m/分のチムニー冷却風を当てて冷却固化し、オイリングローラーにて給油した後、引き取り速度500m/分で引き取り、一旦巻き取ることなく90℃、120℃にて2段延伸を行い、200℃にて熱セット、3%のリラックス処理を行って巻き取った。このようにして巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認した。
【0101】
巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに不十分なものであった。
【0102】
比較例4
熱可塑性樹脂Bとして、260℃、290℃での溶融粘度が2800poiseのPETを用いた以外は、実施例18と同様の方法で繊維を製造した。N66は定法によって重縮合し、実施例18と同様の方法で乾燥を行った。
【0103】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認できた。糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに不満足なものであった。
【0104】
比較例5
熱可塑性樹脂Bとして、260℃、290℃での溶融粘度が2800poiseのPETを用いた以外は、実施例19と同様の方法で繊維を製造した。N6は定法によって重縮合し、実施例19と同様の方法で乾燥を行った。
【0105】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認できた。糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに不満足なものであった。
【0106】
比較例6
熱可塑性樹脂Bとして、260℃、290℃での溶融粘度が9800poiseのPETを用いた以外は、実施例22と同様の方法で繊維を製造した。
【0107】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認できた。糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度・弾性率ともに不満足なものであった。
【0108】
比較例7
定法によってエステル化および重縮合を行い、290℃での溶融粘度が9800poiseのPETを乾熱炉にて120℃で3時間結晶化させ、さらにこれらのペレットを150℃で12時間真空乾燥した。これらをエクストルーダを備えた紡糸機に供給し、295℃の紡糸温度で溶融・計量した後パック内に導入し、0.6mmφの丸孔を144備えた口金から吐出した。吐出した糸条を口金直下で300℃に加熱した長さ30cmのフードに通した後、25℃・30m/分のチムニー冷却風を当てて冷却固化し、オイリングローラーにて給油した後、引き取り速度500m/分で引き取り、一旦巻き取ることなく90℃、120℃にて合計延伸倍率5.4倍の2段延伸を行い、200℃にて熱セット、3%のリラックス処理を行って巻き取った。
【0109】
巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度は10cN/dtex未満、弾性率は150cN/dtex未満であり、ともに不満足なものであった。
【0110】
比較例8
熱可塑性樹脂Bとして290℃での溶融粘度が1300poiseのPETを使用した以外は実施例1と同様の方法にて製糸した。
【0111】
巻き取った糸の断面を顕微鏡写真で観察した結果、すべての単糸で芯成分と鞘成分が同心円状に配置していることを確認できた。糸の引張特性をテンシロンにて測定したが、強度・弾性率ともに不満足なものであった。
【0112】
比較例9
紡糸速度を2000m/分とし、延伸倍率を2.3倍とする以外は比較例7と同様の方法で製糸を行った。その結果、繊維の強度・弾性率とも不満足なものであった。
【0113】
比較例10
紡糸速度を5000m/分とし、延伸倍率を1.2倍とする以外は比較例7と同様の方法で製糸を行った。その結果、繊維の強度・弾性率とも不満足なものであった。
【0114】
比較例11
290℃での溶融粘度が2800poiseのPETを乾熱炉にて120℃で3時間結晶化させ、さらにこれらのペレットを150℃で12時間真空乾燥した。これらをエクストルーダを備えた紡糸機に供給し、295℃の紡糸温度で溶融・計量した後パック内に導入し、0.23mmφの丸孔を36備えた口金から吐出した。吐出した糸条を25℃・30m/分のチムニー冷却風を当てて冷却固化し、給油ガイドにて給油・収束した後、引き取り速度3000m/分で引き取り、延伸することなく一旦巻き取った。次に、90℃に加熱したローラーにて延伸倍率1.7倍の1段延伸を行い、130℃にて熱セットを行って巻き取った。
【0115】
糸の引張特性をテンシロンにて測定したが、強度・弾性率ともに不満足なものであった。
【0116】
比較例12
比較例11と同様の方法で吐出・冷却・給油した糸条を紡糸速度6000m/分で引き取り、延伸することなく巻き取った。
【0117】
糸の引張特性をテンシロンにて測定したが、強度・弾性率ともに不満足なものであった。
【0118】
比較例13
紡糸速度を10000m/分とする以外は比較例6と同様の方法で繊維を製造した。
【0119】
糸の引張特性をテンシロンにて測定したが、強度・弾性率ともに不満足なものであった。
【0120】
比較例14
290℃での溶融粘度3200poiseのN66を乾熱炉にて120℃で3時間結晶化させ、さらにこれらのペレットを150℃で12時間真空乾燥した。これらをエクストルーダを備えた紡糸機に供給し、295℃の紡糸温度で溶融・計量した後パック内に導入し、0.3mmφの丸孔を144備えた口金から吐出した。吐出した糸条を口金直下で300℃に加熱した長さ30cmのフードに通した後、25℃・30m/分のチムニー冷却風を当てて冷却固化し、オイリングローラーにて給油した後、引き取り速度500m/分で引き取り、一旦巻き取ることなく90℃、120℃にて合計延伸倍率5.4倍の2段延伸を行い、200℃にて熱セット、3%のリラックス処理を行って巻き取った。
【0121】
巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度は10cN/dtex未満、弾性率は100cN/dtex未満であり、ともに不満足なものであった。
【0122】
比較例15
290℃での溶融粘度3000poiseのN6を乾熱炉にて120℃で3時間結晶化させ、さらにこれらのペレットを150℃で12時間真空乾燥した。これらをエクストルーダを備えた紡糸機に供給し、295℃の紡糸温度で溶融・計量した後パック内に導入し、0.3mmφの丸孔を144備えた口金から吐出した。吐出した糸条を口金直下で300℃に加熱した長さ30cmのフードに通した後、25℃・30m/分のチムニー冷却風を当てて冷却固化し、オイリングローラーにて給油した後、引き取り速度500m/分で引き取り、一旦巻き取ることなく90℃、120℃にて合計延伸倍率5.4倍の2段延伸を行い、200℃にて熱セット、3%のリラックス処理を行って巻き取った。
【0123】
巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度は10cN/dtex未満、弾性率は100cN/dtex未満であり、ともに不満足なものであった。
【0124】
比較例16
溶融粘度(株)島津製作所社製のPLA"ラクティー"5000を用い、ペレットを100℃で12時間真空乾燥した。これらをエクストルーダを備えた紡糸機に供給し、230℃の紡糸温度で溶融・計量した後パック内に導入し、0.23mmφの丸孔を36備えた口金から吐出した。吐出した糸条を25℃・30m/分のチムニー冷却風を当てて冷却固化し、給油ガイドにて給油・収束した後、引き取り速度6000m/分で引き取り、延伸することなく巻き取った。糸の引張特性をテンシロンにて測定したが、強度・弾性率ともに不満足なものであった。
【0125】
比較例17
溶融粘度シェル社製のPPT"CORTERRA"を用い、ペレットを150℃で5時間真空乾燥した。これらをエクストルーダを備えた紡糸機に供給し、260℃の紡糸温度で溶融・計量した後パック内に導入し、0.23mmφの丸孔を36備えた口金から吐出した。吐出した糸条を25℃・30m/分のチムニー冷却風を当てて冷却固化し、給油ガイドにて給油・収束した後、引き取り速度6000m/分で引き取り、延伸することなく巻き取った。糸の引張特性をテンシロンにて測定したが、強度・弾性率ともに不満足なものであった。
【0126】
比較例18
溶融粘度12600poiseの(株)グランドポリマー社製PP"グランドポリプロ"E101を乾燥せずにエクストルーダを備えた紡糸機に供給し、295℃の紡糸温度で溶融・計量した後パック内に導入し、0.6mmφの丸孔を144備えた口金から吐出した。吐出した糸条を25℃・30m/分のチムニー冷却風を当てて冷却固化し、オイリングローラーにて給油した後、引き取り速度500m/分で引き取り、一旦巻き取ることなく50℃、100℃にて合計延伸倍率5.4倍の2段延伸を行い、140℃にて熱セット、3%のリラックス処理を行って巻き取った。
【0127】
巻き取った糸の引張特性をテンシロンにて測定したところ、強度は10cN/dtex未満、弾性率は100cN/dtex未満であり、ともに不満足なものであった。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
【表3】
【0131】
【表4】
【0132】
【発明の効果】
口金吐出孔内で存在する流路断面方向のポリマーの流速分布を低減することが重要であり、口金孔内で壁面部分に低粘度のポリマーを配し、繊維強度を担う実質部分を構成する高粘度ポリマーの流速分布を低減することによって、有機溶剤を使用するプロセスや低分子化合物による希釈を伴わない溶融紡糸によって、従来に比べて高い引張強度・弾性率を有する熱可塑性合成繊維を高効率で製造する方法を提供する。
【0133】
特に、従来は溶融紡糸によって引張強度が10cN/dtex以上の熱可塑性合成繊維を得ることはきわめて困難であったが、本発明の熱可塑性合成繊維の製造方法によって、引張強度10cN/dtex以上の熱可塑性合成繊維を容易にかつ高生産性にて製造することができ、高品質かつ低コストの製品を提供することが可能となる。
Claims (11)
- 下記の(1)と(2)の要件を満たすように、複数の熱可塑性樹脂を別々に溶融・計量した後、合流させ、吐出・成形し、5000m/分以下の速度で引き取った後、1.5倍以上延伸することを特徴とする熱可塑性合成繊維の製造方法。
(1)1種類以上の熱可塑性樹脂群が、繊維を構成する単繊維の内部に配置される(熱可塑性樹脂群A)。
(2)以下の要件を満たす1種類の熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂B)が、熱可塑性樹脂群Aを覆う。
154>ηA/ηB≧10
ηA:熱可塑性樹脂群Aのうち、最も低い溶融粘度を有する熱可塑性樹脂の溶融粘度(poise)
ηB:熱可塑性樹脂Bの溶融粘度(poise)
ηA、ηBの測定条件:温度:
TS+30℃
ただしTSは熱可塑性樹脂群A、熱可塑性樹脂Bのうち、最も高い軟化温度を有する熱可塑性樹脂の軟化温度
剪断速度:1×103(s-1) - 熱可塑性樹脂を吐出し、引き取った糸条を一旦巻き取るか、または巻き取ることなく延伸することを特徴とする請求項1の熱可塑性合成繊維の製造方法。
- 熱可塑性樹脂群Aが一種類の結晶性熱可塑性樹脂からなり、請求項1または2記載の方法で製造される熱可塑性合成繊維。
- 熱可塑性樹脂群Aがポリエチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプラミド、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレン系樹脂から選ばれた熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項3項記載の熱可塑性合成繊維。
- 熱可塑性樹脂Bの重量構成比が、繊維全体の20%未満であることを特徴とする請求項3または4記載の熱可塑性合成繊維。
- 熱可塑性樹脂Bが、熱可塑性樹脂群Aの結晶性熱可塑性樹脂と実質的に同一の化学的組成を有することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項記載の熱可塑性合成繊維。
- 単繊維の断面形状が実質的に円形であり、熱可塑性樹脂群Aと熱可塑性樹脂Bが同心円で配列することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項記載の熱可塑性合成繊維。
- 繊維強度が10cN/dtex以上である請求項3〜7のいずれか1項記載の熱可塑性合成繊維。
- 請求項3〜7のいずれか1項記載の熱可塑性合成繊維の熱可塑性樹脂Bを取り除く熱可塑性合成繊維の製造方法。
- 熱可塑性樹脂群Aが非水溶性樹脂、熱可塑性樹脂Bが水溶性樹脂であることを特徴とする請求項8記載の熱可塑性合成繊維の製造方法。
- 繊維強度が10cN/dtex以上であり、請求項9または10記載の方法で製造される熱可塑性合成繊維。
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JP2001155359A JP4660969B2 (ja) | 2001-05-24 | 2001-05-24 | 熱可塑性合成繊維とその製造方法 |
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