JP2008163484A - 不織布用バインダー繊維およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性に優れ、高温で、引き裂き強度やモジュラスといった力学特性の低下が少ない不織布用バインダー繊維とその製造法の提供。
【解決手段】エチレン−2,6−ナフタレート単位を90モル%以上含むポリエチレンナフタレートからなる不織布用バインダー繊維において、固有粘度が0.45〜1.0、単糸繊度が0.5〜2.0dtex、強度が1.5〜2.5cN/dtex、伸度が80〜200%、複屈折率が0.05〜0.10、結晶化温度が190〜200℃である繊維とする。また、該ポリマーを紡糸口金から溶融吐出し、紡糸口金直下に設けた、長さ150〜400mm、温度300〜450℃の加熱域を通過させ、引取速度1500〜3000m/分、紡糸ドラフト比500〜1500として未延伸糸を引き取り、該未延伸糸を連続的して、温度120℃以下、延伸倍率1.00〜1.01にて延伸し、巻き取り、不織布用バインダー繊維を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、不織布用バインダー繊維およびその製造方法に関するものである。より詳細には耐熱性と力学特性に優れた不織布を成形することができる、ポリエチレンナフタレートからなる不織布用バインダー繊維およびその製造方法に関するものである。
近年コストと物性のバランスに優れる不織布の用途が種々の分野で広がっており、最近では特殊な環境下で使用される高機能の素材に対しても不織布が使用されるようになってきている。とりわけ、保温材料、フィルター、電気絶縁材料など多くの分野で高い耐熱性と強度を同時に満足するような不織布の開発が強く要望されている。
一般に不織布は、メインとなる不織布構造体を構成する主体繊維と、それらを接着するためのバインダー繊維を混合し、加熱圧縮してバインダー繊維の表面を融解させることによって得られる。従来、不織布用のバインダー繊維には非晶質、または低融点の結晶性繊維を少なくとも繊維表面に有する短繊維が使用されている。例えば特許文献1には、融点が220℃以上のポリアルキレンテレフタレートを繊維形成性成分とし、ガラス転移点が50〜100℃の範囲でかつ結晶融点を持たない非晶性共重合ポリエステルをバインダー成分とする複合繊維が提案されている。このようなバインダー繊維は低温での加工を可能とし、不織布の生産コストを低減できるメリットはあるが、耐熱性に乏しく高温で使用される特殊用途の不織布には適さない。
高温で使用できる耐熱性の不織布を得るための1つの方策は、主体繊維とバインダー繊維の双方を耐熱性の素材で構成することである。耐熱性の素材としては例えばアラミド繊維、カーボン繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などが代表的であり、これまでにも種々の提案がなされている。この中で溶融紡糸によって比較的安価に製造でき、強度物性とのバランスに優れたポリエチレンナフタレート繊維は、耐熱性の不織布材料として好適に使用できることが知られている。特許文献2には、ポリエチレンナフタレート繊維から実質的になり、平均繊維径が0.1μm〜10μmであり、縦横の引張り強力に優れた不織布が提案されている。しかしながら、この不織布は、具体的にはジェット紡糸(メルトブロー)法で製造されたものであり、繊維径が不均一で細いものであり、その繊維強度は十分高いとは言えず、厳しい条件下で使用される産業資材用の不織布としては不適当である。
また、特許文献3には、ポリエチレンナフタレート長繊維を用い、複屈折率(Δn)が0.22以上である高配向の長繊維と、Δnが0.01以下である低配向の長繊維を混繊し、熱圧着した耐熱性不織布が提案されている。該不織布は低配向のポリエチレンナフタレート繊維が実質的に接着成分として作用し、得られた不織布はポリエチレンテレフタレート繊維などの汎用ポリエステル繊維の不織布に比して高い強度を有し、耐熱性に優れたものとなる。しかしながら低配向繊維はモジュラスが低いため、高い接着性能を得るためにバインダー繊維の混率を多くすると、素材のもつ高モジュラス特性を十分に発揮できない問題がある。また低配向の繊維は明確なガラス転移を示し、ポリエチレンナフタレート繊維のガラス転移温度である112℃付近で急激にモジュラスが低下するため、高温での力学特性に劣ったものとなり、主体繊維の優れた力学特性や耐熱性を十分に発揮する不織布を得ることができない。
特開2002−227089号公報 特開平4−146251号公報 特許第3605231号公報
本発明の目的は、耐熱性に優れ、高温での引き裂き強度やモジュラスといった力学特性の低下が少ない不織布を成形することができるバインダー繊維を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記バインダー繊維を容易に製造する方法を提供することにある。
本発明者らの鋭意検討した結果、不織布のバインダー繊維として、ポリエチレンナフタレート繊維を用い、しかもそれらの力学特性、配向度と結晶化温度が特定範囲にあるとき、高温においてもモジュラスの低下が極めて少ない不織布が得られることを見出した。
かくして、本発明によれば、エチレン−2,6−ナフタレート単位を90モル%以上含むポリエチレンナフタレートからなる繊維であって、下記(a)〜(f)を満足することを特徴とする不織布用バインダー繊維、が提供される。
(a)固有粘度 0.45〜1.0
(b)単糸繊度 0.5〜2.0dtex
(c)強度 1.5〜2.5cN/dtex
(d)伸度 80〜200%
(e)複屈折率 0.05〜0.10
(f)結晶化温度 190〜200℃
さらに、本発明によれば、エチレン−2,6−ナフタレート単位を90モル%以上含むポリエチレンナフタレートを紡糸口金から溶融吐出し、
(ア)紡糸口金直下に設けた、長さ150〜400mm、温度300〜450℃の加熱域を通過させ、
(イ)引取速度1500〜3000m/分、紡糸ドラフト比500〜1500として未延伸糸を引き取り、
(ウ)該未延伸糸を連続的して、温度120℃以下、延伸倍率1.00〜1.01にて延伸し、巻き取ることを特徴とする不織布用バインダー繊維の製造方法、が提供される。
本発明のバインダー繊維によれば、耐熱性に優れ、高温での引き裂き強度やモジュラスといった力学特性の劣化が少ない不織布を成形することができる。
本発明のバインダー繊維は、主体繊維等と混合し熱圧着し、該バインダー繊維を溶融し、両繊維の接合点で溶融結合することにより、不織布を成形することができるものである。
本発明のバインダー繊維は、エチレン−2,6−ナフタレート単位を90モル%以上含むポリエチレンナフタレートからなる繊維であり、10モル%未満で第3成分を含んでいてもよい。
一般にポリエチレン−2,6−ナフタレートは、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸またはその機能的誘導体と、エチレングリコールまたはその機能的誘導体とを、触媒の存在下で適当な反応条件の下に結合せしめることによって合成される。この場合、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの重合完結前に適当な1種または2種以上の第3成分を添加すれば、第3成分を共重合または混合したポリエチレンナフタレートが合成される。かかる第3成分としては(a)2個のエステル形成官能基を有する化合物;例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウム等のカルボン酸;グリコール酸、p−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸;プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、p−キシレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、p,p−ジフェノキシスルホン1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(p−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレングリコール、p−フェニレンビス(ジメチルシロキサン)等のオキシ化合物、あるいはその機能的誘導体;前記カルボン酸類、オキシカルボン酸類、オキシ化合物類またはその機能的誘導体から誘導せられる高重合度化合物等や、(b)1個のエステル形成官能基を有する化合物、例えば安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコール等、(c)3個以上のエステル形成官能基を有する化合物、例えばグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等も実質的に線状である程度に使用せられる化合物として挙げられる。
本発明においては、上記ポリエチレンナフタレートに、必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサンなどの消泡剤を配合してもよい。
本発明においては、上記バインダー繊維が次に述べる、(a)固有粘度、(b)単糸繊度、(c)強度、(d)伸度、(e)複屈折率、(b)結晶化温度を同時に満足していることが肝要である。
すなわち、前記ポリエチレンナフタレートは、(a)固有粘度が0.45〜1.0のものを使用する。ここで固有粘度[η]は、ポリマーをフェノールとオルトジクロロベンゼンとの混合溶媒(混合比6:4)に溶解し、35℃で測定した粘度から求めた値である。固有粘度[η]が1.0を越えると溶融粘度が異常に高くなって溶融紡糸が困難となり、[η]が0.45未満では目的とする高モジュラスを有し耐熱性に優れた繊維が得られない。
本発明のバインダー繊維は、(b)単糸繊度が0.5〜2.0dtexである。フィルター、電気絶縁紙などの用途においては、繊維間の空隙率を極力小さくすることが求められるため、単糸繊度も小さいものが好ましい。2.0dtexを越えるような単糸繊度では不織布としての用途が限定され、好ましくない。一方で0.5dtexより小さい単糸繊度の繊維は、溶融紡糸時に口金からの吐出が極めて不安定となり、製造することが困難である。
バインダー繊維は(c)強度が1.5〜2.5cN/dtex、伸度が80〜200%である。従来のバインダー繊維の強度は高々1.0cN/dtex、伸度は300%以上の未延伸低配向繊維が使用されていた。このような低強度、高伸度のバインダー繊維を使用した不織布は、不織布に外力が作用した際に変形率が大きく、使用時の変形、損傷が大きくなる。よって、本発明においては、上記の高強度、低伸度のバインダー繊維を用いることにより、主体繊維の接合点に作用する外力に対して効果的に変形を抑えることができ、十分な耐熱性を発揮する。同時に、上記特性をするとき、得られる不織布は、高い引き裂き強度やモジュラスを高温下でも有している。
このようなバインダー繊維は(d)複屈折率(Δn)を0.05〜0.10とすることによって達成することができる。Δnが0.05以下の低配向繊維では、目的とする高温における高い引き裂き強度やモジュラスが得られず、また1.0を越えるΔnを有する高配向繊維では接着性能が低下するため好ましくない。
さらにバインダー繊維として十分な接着力を得るには、該バインダー繊維の(e)結晶化温度が190〜200℃であることが必要である。結晶化温度が200℃を越えるような低配向の繊維では本発明の目的とする高温における高い引き裂き強度やモジュラスが得られず、190℃より低い結晶化温度では接着性能が低下するため好ましくない。
本発明においては、これらの効果があいまって、上記特性を有するバインダー繊維と主体繊維を混合し熱圧着して、耐熱性に優れ、高温においても、引き裂き強度やモジュラスといった力学特性の低下が少ない不織布を成形することができる。
以上に説明した本発明のバインダー繊維は次の方法により容易に製造することができる。ポリエチレンナフタレート繊維は溶融粘度が非常に高く、紡糸による繊維の成形性がポリエチレンテレフタレート繊維に比べて難しい。これに対して本発明者らが検討の結果、下記の条件を満たしたときに良好な紡糸性を有しながら目的の繊維が得られることを見出した。すなわち、上記不織布用バインダー繊維は、エチレン−2,6−ナフタレート単位を90モル%以上含むポリエチレンナフタレートを紡糸口金から溶融吐出し、
(ア)紡糸口金直下に設けた、長さ150〜400mm、温度300〜450℃の加熱域を通過させ、
(イ)引取速度1500〜3000m/分、紡糸ドラフト比500〜1500として未延伸糸を引き取り、
(ウ)該未延伸糸を連続的して、温度120℃以下、延伸倍率1.00〜1.01にて延伸し、巻き取ることにより製造することができる。
紡糸口金直下に加熱域、すなわち遅延冷却帯域を設けることにより、細化の際の曳糸性が向上するが、その加熱域の長さが150mm未満であるとその効果が不十分であり、400mmを越えるとこのゾーン中において単糸同士が密着するため好ましくない。より好ましくは200〜300mmである。また加熱域の温度は300〜450℃、より好ましくは350℃〜400℃であり、加熱域の温度が300℃未満では加熱効果が不充分で吐出むらが発生するため好ましくない。また加熱域の温度が450℃を越えると口金面に残留触媒の昇華物が堆積し、糸切れが発生しやすくなるため好ましくない。
また本発明の高配向バインダー繊維を得るには紡糸速度を1500〜3000m/分、さらに好ましくは2000〜2500m/分にすることが必要である。また紡糸ドラフト比を500〜1500、さらに好ましくは1000〜1500の範囲である。紡糸速度が1500m/分に満たない、または紡糸ドラフトが500に満たない場合、本発明の高配向繊維が得られない。逆に紡糸速度が3000m/分を越える、または紡糸ドラフトが1500を越える場合には、紡糸張力が高くなりすぎ糸切れの原因となるため好ましくない。
また良好な接着性能を得るには繊維の結晶化をできるだけ抑える必要があり、延伸温度は120℃以下、総延伸倍率は1.01以下にしなければならない。延伸温度は低いほど良いが、糸条の温度より低くなると得られる繊維の物性にばらつきが生じるようになるため、80℃以上の温度で延伸することがこのましい。なお上記延伸は、延伸ロールによる延伸が好ましく、該延伸ロールの表面温度を上記温度とすることが望ましい。また延伸倍率が1.00を下回る場合、即ち弛緩方向に設定された場合、走行糸の張力がゼロとなり糸ゆれが顕著になるため糸切れが発生しやすくなる。
本発明のバインダー繊維は、耐熱性繊維である主体繊維と共に不織布とし、これを熱圧着して不織布とすることができる。かかる主体繊維は特に限定されないが、同一素材であるポリエチレンナフタレートの高配向延伸糸を用いることによって強固な結節点が得られ、結果として高耐熱性で温度による力学物性の変化が少なく、高モジュラスの不織布を得ることができる。また本発明のバインダー繊維を用いる不織布は乾式であっても湿式であっても良いが、湿式不織布用のバインダー繊維として特に優れている。
本発明のバインダー繊維は、主体繊維と、バインダー繊維:主体繊維の比率を15:85〜40:60で混抄して不織布とすることができる。バインダー繊維の混合比率が低すぎると接着強度が不足し、混合比率が高すぎる場合には不織布としての強度、モジュラスが低くなる傾向にある。
上記の不織布は、例えば次の方法で成形することができる。本発明のバインダー繊維を必要に応じて所望の長さにカットして短繊維とする。得られた短繊維を耐熱性の主体繊維の短繊維と所定の割合となるように水中にてパルパーなどで混合分散した後、円網、短網あるいは長網抄紙機で抄造し、次いで熱カレンダー圧着することで不織布を成形することができる。また、バインダー繊維の短繊維と主体繊維の短繊維とを混綿し、カードでウェブを成形し、これを熱圧着してもよい。さらに、エアレイド法により、ウェブを形成し、これを熱圧着してもよい。なお、バインダー繊維と主体繊維は、両方とも短繊維あるいは長繊維であってもよく、一方が長繊維で他方が短繊維であってもよい。
実施例における測定方法は次のとおりである。
(1)結晶化温度
パーキンエルマー社製示差走査熱量分析装置にて、昇温速度10℃/minで測定したときの結晶化ピーク温度を結晶化温度とした。
(2)繊維複屈折率
白色光下で、偏光顕微鏡レベックス式コンペンセーターを用いて測定した。
(3)強伸度
カットする前の長繊維を、島津製作所製オートグラフS−100型を用い、JIS L−1087に従い測定した。
(4)引裂き強度
JIS L 1096に準じ、定速伸度型引張り試験機にて引裂き強力を測定し、それを目付けで除した値とした。
(5)剛軟度
JIS L−1096の測定法に準拠して測定を行い、45度カンチレバー法により剛軟度(柔軟性)を測定した。また雰囲気温度100℃においても剛軟度を測定した。
[実施例1]
(バインダー用繊維の製造)
固有粘度が0.64のポリエチレンナフタレートプレポリマーを真空下、240℃で固相重合し、固有粘度0.75のポリエチレンナフタレート(PEN)チップを得た。このチップを300℃で溶融し、孔径0.4mm、孔数1000ホールの細孔から溶融吐出し、長さ250mm、温度390℃に加熱された遅延冷却ゾーンを通過させた後に、25℃の冷却風を吹きつけて冷却固化させた。固化した未延伸糸は紡糸油剤を付与した後、1990m/分の速度で引き取り、引き続き表面温度80℃のローラーに1.2秒接触させ、2000m/分の速度で巻き取り、繊維径8μmの未延伸糸を得た。この繊維を5mmに切断し、バインダー繊維とした。得られた繊維の物性を表1に示す。
(主体繊維用短繊維の製造)
固有粘度が0.64のポリエチレンナフタレートチップを300℃で溶融し、孔数が1000の口金を通して295℃で吐出し、600m/分の速度で巻き取った。次にこの未延伸糸を3.5倍の倍率で95℃の温水中で延伸し、200℃で緊張熱処理、さらに150℃で弛緩熱処理して、平均繊維径5μmで複屈折が0.22の延伸繊維を得、これを5mmに切断して延伸短繊維とした。
(抄紙)
延伸短繊維と未延伸短繊維とを65:35の重量比率でパルパー中にて十分混合分散せしめた後、円網抄紙機で速度9m/分、ヤンキードライヤー表面温度130℃で加熱乾燥した。抄上げ目付量は10g/m2であった。
次いで金属/弾性ロール系カレンダー加工機で金属ロール表面温度260℃、線圧60kg/cmの条件下圧着し、厚さ1mmの不織布を得た。この不織布のDSCを測定したところ、271℃に未延伸短繊維のピーク温度が、279℃に延伸短繊維のピーク温度がそれぞれ観察された。結果を表1に示す。なお、不織布の引裂き強度、強度、伸度はいずれも不織布の長さ方向の物性を示す。
[実施例2]
主体繊維をパラ系アラミド繊維(帝人テクノプロダクツ製 テクノーラ)にした以外は実施例1と同様に不織布を得た。結果を表1に示す。
[比較例1]
未延伸短繊維の製造方法において、紡糸速度を600m/分とし、平均繊維径8μmとなるように吐出量を調整した以外は、実勢例1と同様にして未延伸短繊維を得た。この未延伸繊維の複屈折は0.03であった。得られた結果を表1に示す。
Figure 2008163484
本発明のバインダー繊維によれば、耐熱性に優れ、高温でも引き裂き強度やモジュラスといった力学特性の低下が少ない不織布を成形することができる。このため、本発明のバインダー繊維を用いて不織布とし、特に高い耐熱性と強度が同時に要求される、高性能の、保温材料、フィルター、電気絶縁材料などに用途に幅広く用いることができる。

Claims (2)

  1. エチレン−2,6−ナフタレート単位を90モル%以上含むポリエチレンナフタレートからなる繊維であって、下記(a)〜(f)を満足することを特徴とする不織布用バインダー繊維。
    (a)固有粘度 0.45〜1.0
    (b)単糸繊度 0.5〜2.0dtex
    (c)強度 1.5〜2.5cN/dtex
    (d)伸度 80〜200%
    (e)複屈折率 0.05〜0.10
    (f)結晶化温度 190〜200℃
  2. エチレン−2,6−ナフタレート単位を90モル%以上含むポリエチレンナフタレートを紡糸口金から溶融吐出し、
    (ア)紡糸口金直下に設けた、長さ150〜400mm、温度300〜450℃の加熱域を通過させ、
    (イ)引取速度1500〜3000m/分、紡糸ドラフト比500〜1500として未延伸糸を引き取り、
    (ウ)該未延伸糸を連続的して、温度120℃以下、延伸倍率1.00〜1.01にて延伸し、巻き取ることを特徴とする不織布用バインダー繊維の製造方法。
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