JP2000136434A - 熱可塑性合成繊維の製造方法 - Google Patents

熱可塑性合成繊維の製造方法

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JP2000136434A
JP2000136434A JP10311966A JP31196698A JP2000136434A JP 2000136434 A JP2000136434 A JP 2000136434A JP 10311966 A JP10311966 A JP 10311966A JP 31196698 A JP31196698 A JP 31196698A JP 2000136434 A JP2000136434 A JP 2000136434A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 品位に優れた高強力・高タフネス繊維を、高
生産性の下に製造できる方法を提供する。 【解決手段】 溶融吐出糸条を、口金下加熱長が300
〜500mmで雰囲気温度が350〜500℃の加熱帯
域を通過させた後、糸条入側のほぼ内周全面に長さが4
00〜600mm、内径が150〜300mmの冷却風
吹出し部、出側に冷却風排出部を有する全長が3〜8m
の筒型冷却装置を通過させ、その際冷却風の速度を0.
15〜0.50m/秒、整流値を2.0以下にすると共
に、走行糸条と冷却風吹出し面との距離を50mm以下
にして冷却固化させ、次いでオイリングした後に100
0m/分以上の速度で引取り、引続いて一旦巻取ること
なく連続して延伸する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直接紡糸延伸する
ことによって熱可塑性合成繊維を製造する方法に関す
る。さらに詳しくは、本発明は、円筒型の冷却装置を使
用して紡糸し、次いで連続して延伸することによって、
品質斑が少なく且つ毛羽の発生が少ない高品位の繊維を
効率よく提供することができる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維、ナイロン繊維等の合
成繊維は、高強力、高タフネスであると共に寸法安定性
も優れていることから、近年産業資材用途に広く使用さ
れている。しかし、高強力・高タフネスの繊維、例えば
強度が9.2g/d以上、伸度が12.5%以上といっ
た高強力・高タフネスポリエステル繊維を製造するに
は、固有粘度の高いポリエステルを使用し、一旦できる
だけ低複屈折の未延伸糸を製造し、次いで可能な限り高
倍率で延伸する方法が好ましいとされている。
【0003】従来このような方法として、例えば特開昭
59−1714号公報には、固有粘度が高いポリエステ
ルを、口金下に加熱帯域を設けて遅延冷却すると共に低
い速度で引取ることによって低複屈折の未延伸糸を得、
これを高倍率で延伸する方法が提案されている。しか
し、ここで採用されている紡糸速度は350m/分程度
と極めて低いため、生産性が低くてコストが高くなると
いう問題がある。
【0004】この生産性を改善するには、特開平9−1
11534号公報等に提案されているように紡糸速度を
上げればよいが、単に紡糸速度を上げるだけでは、使用
するポリマーの重合度(固有粘度)が高い場合には紡糸
張力の変動や糸揺れが大きくなるため、得られる未延伸
糸の配向度が高くなるだけでなく、そのバラツキが大き
くなり、また未延伸糸の太さ斑も大きくなるため、高倍
率延伸する際に毛羽の発生が多くなったり断糸しやすく
なり、品位に優れた高強力・高タフネス繊維を得ること
ができないという問題がある。
【0005】一方、特開昭55−132709号公報に
は、紡糸糸条の集束距離を短くして糸条にかかる空気抵
抗を軽減させると共に各単糸にかかる空気抵抗の変動も
少なくし、これによって紡糸張力の低下及び変動幅の減
少を達成する方法が提案されている。しかし、重合度の
高い重合体を溶融紡糸する場合には、ポリマーの溶融粘
度が高いため、集束距離を短くしすぎると断糸しやすく
なり、また糸条の融着も発生しやすくなるという別の問
題が発生する。このように、従来、毛羽が少ない高強力
・高タフネス繊維を1000m/分以上の紡糸速度で安
定して製造できる方法は知られていないのが実情であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する問題を鑑みなされたもので、その目的は、品
位に優れた高強力・高タフネス繊維を高生産性の下に製
造することができる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者の研究によれ
ば、紡糸速度を高めると冷却風の流れに斑を生じ、これ
が原因で冷却斑や紡糸張力斑が発生することが見出さ
れ、このような斑発生を解消する方法についてさらに鋭
意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
【0008】かくして、本発明によれば、「熱可塑性重
合体を紡糸口金から溶融吐出し、該吐出糸条を口金下加
熱長が300〜500mm、雰囲気温度が350〜50
0℃の加熱帯域を通過させ、次いで該加熱帯域に連続し
て設けられた、糸条入側のほぼ内周全面に冷却風吹出し
部、出側に冷却風排出部を有する全長が3.0〜8.0
mの筒型冷却装置を通過させ、その際、該冷却風吹出し
部長さを400〜600mm、内径を150〜300m
mとすると共に、冷却風の吹出し線速度を0.15〜
0.50m/秒、整流値を2.0以下にし、且つ、走行
糸条と冷却風吹出し面との距離を50mm以下にして冷
却固化させ、次いでオイリングした後に1000m/分
以上の速度で引取り、引続いて一旦巻取ることなく連続
して延伸することを特徴とする熱可塑性合成繊維の製造
方法。」が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明でいう熱可塑性重合体は、
繊維形成性で溶融紡糸できるものであれば特に限定され
ないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6
6等のポリアミドが好ましい。なかでもポリエチレンテ
レフタレートが好ましく、特に引取り未延伸糸の固有粘
度が0.80〜0.98の範囲になる高重合度のものが
好適である。なお、これらのポリエステル、ポリアミド
などは、ホモポリマーであっても、難燃性等の性能を付
与するために少量の共重合成分を有するコポリマーであ
ってもよい。
【0010】本発明においては、このような熱可塑性重
合体を常法にしたがって紡糸口金から溶融吐出するが、
以下、ポリエチレンテレフタレートを例として詳述す
る。該ポリマーを例えばエクストルーダーで溶融し、2
90℃以上、好ましくは300℃以上に加熱された溶融
ポリマーを紡糸口金から吐出する。吐出孔は円周上に配
列するのが好ましく、その際複数の同心円周上に配列し
てもよい。
【0011】吐出された糸条は、先ず口金直下に設けら
れた長さが300〜500mm、好ましくは400〜4
50mmで、雰囲気温度が350〜500℃、好ましく
は400〜450℃の加熱帯域を通過させる必要があ
る。この加熱帯域の長さが300mm未満の場合には低
配向未延伸糸を得ることは困難で高強力・高タフネス繊
維は得られず、一方500mmを越える場合には、吐出
糸条の冷却固化位置が下がりすぎて安定しなくなり、配
向斑や繊度斑が大きくなってやはり高強力・高タフネス
繊維を得ることが困難になる。また、この雰囲気温度が
350℃未満の場合にも、低配向未延伸糸は得難くなっ
て高強力・高タフネス繊維を得ることが困難になり、一
方500℃を越える場合には、ポリマーが熱分解しやす
くなる。
【0012】加熱帯域を通過させた糸条は、次いで、該
加熱帯域に連続して設けられた筒型冷却装置を通過させ
て冷却固化させる。ここで使用する筒型の冷却装置は、
長さが3.0〜8.0m、好ましくは5.0〜7.0m
で、糸条入側のほぼ内周全面にわたって、長さ400〜
600mm、好ましくは450〜550mmで、内径が
150〜300mm、好ましくは200〜270mmの
冷却風吹出し部を有し、反対の糸条出側には冷却風排出
部を有する必要があり、その際、該冷却風排出部の長さ
は特に限定されないが、300〜400mmの範囲が適
当である。
【0013】ここで冷却風吹出し部がほぼ内周全面に存
在せず、円周方向に配置斑がある場合には、冷却斑が発
生して得られる未延伸糸の配向斑や繊度斑を引き起こす
ため好ましくない。また、冷却風の吹出し長が400m
m未満の場合には冷却が不十分となるため好ましくな
く、一方600mmを越える場合には、上部吹出し部か
ら吹き出される冷却風が下方に流れる影響のために下部
吹出し部から吹き出される冷却風が下方に吹き出される
ようになり、糸条を有効に冷却することができなくなる
ので好ましくない。さらに、円周状に冷却風吹出し部が
配置されている吹出し面の内径が150mm未満になる
と、吹出された冷却風が互いに衝突して流れに斑を生ず
るようになるので、やはり冷却斑が大きくなる。一方、
300mmを越える場合には、工業的な実用性が低下す
る。
【0014】さらに、冷却装置の全長が3.0m未満の
場合には、糸条を完全に固化させることが困難になり、
一方8.0mを越える場合には、紡糸張力が高くなりす
ぎて高強力・高タフネスの繊維を得ることが困難になる
ので好ましくない。なお、冷却風排出部の長さ及び該排
出部からの冷却風排出速度は、冷却風の流れに乱れが生
じない範囲内で、後述する冷却風吹出し線速度に応じて
適宜変更する。
【0015】本発明においては、上記の筒型冷却装置を
通過させ、冷却風を吹き当てて糸条を冷却固化させる
際、該冷却風の吹出し線速度を0.15〜0.50m/
秒、好ましくは0.25〜0.40m/秒とし、且つそ
の整流値を2.0以下、好ましくは1.0〜1.5の範
囲にすることが肝要である。ここで冷却風の整流値は、
スモーク法で定量評価したものであって、冷却風吹出し
面よりスモークを出してその流れの軌跡を写真に撮り、
吹出し直後のスモークの巾をW1 、吹出し先5cmの所
でのスモークの巾をW2 とした時、整流値はW2 /W1
で定義される。なお、冷却風を整流にする方法は特に限
定されないが、例えば実開昭47−33217号公報に
提案されているような、内部に規則正しい形状の整流格
子を設けた整流筒を備えればよく、金網、パンチングプ
レート、金属不織布等の積層物では満足できる整流値を
達成することは通常困難である。
【0016】上記冷却風の吹出し線速度が0.15m/
秒未満の場合には、走行するフィラメント間を冷却風が
貫通し難くなるために冷却斑が発生しやすくなるので好
ましくなく、一方、0.50m/秒を越える場合には、
走行フィラメントの糸揺れが大きくなって、やはり冷却
斑が大きくなり、フィラメントの太さ斑も大きくなるの
で好ましくない。また冷却風の整流値が2.0を越える
場合には、スモークの軌跡が波型状になり、走行糸条を
均一に冷却固化させることが困難となって冷却斑を生ず
ることとなる。
【0017】本発明においては、上記に加えて、前記冷
却風吹出し面と走行糸条(各単糸)との間の距離(最短
距離)は50mm以下とすることも大切である。この距
離が50mmを越える場合には、内周面から吹出された
冷却風の乱れが大きくなると同時に、本発明では吹出さ
れた冷却風は冷却装置出側に設けられた排出部から強制
的に排出されるため、該冷却風は放物線を描いて出側に
向かって流れ、糸条を十分に冷却することができなくな
って冷却斑が大きくなるので好ましくない。なお、冷却
風吹出し面と走行糸条との間の距離はあまりに短すぎる
と、走行糸条が冷却装置内面に付着しやすくなるので5
mm以上とするのが望ましく、特に好ましい範囲は10
〜40mmである。
【0018】次いで、冷却装置を通過させて冷却固化さ
せた糸条は、オイリングした後に1000m/分以上の
速度で引き取る必要がある。引取速度が1000m/分
未満では、従来の冷却方法でも冷却斑や繊度斑の発生は
少なく、本発明の冷却方法を採用する必要はないので本
発明の対象外である。なお、引取速度を上げすぎると未
延伸糸の結晶化が進行して高倍率延伸しにくくなり、高
強力・高タフネスの繊維を得ることが困難になるので、
好ましくは1500m/分以下にするのが適当である。
オイリング方法に関しては特に限定する必要はなく、従
来公知の方法を適宜選択して使用すればよい。
【0019】上記の方法で製造された未延伸糸は、低配
向であると同時に配向斑や繊度斑が小さいので、高倍率
延伸しても毛羽の発生が少なく、高品質の高強力繊維が
得られるのであるが、発明では、この未延伸糸を一旦巻
き取ることなく連続して延伸する、いわゆる直延を対象
とする。
【0020】延伸条件は、高強力・高タフネス繊維を得
るための従来公知の条件を採用すればよく、例えば未延
伸糸の最大延伸倍率(DRMAX )の0.80〜0.95
倍、好ましくは0.85〜0.90倍の全延伸倍率で2
段以上に多段延伸する方法が例示できる。ここで全延伸
倍率がDRMAX の0.80倍未満の場合には、得られる
繊維の強度が低下する傾向にあり、一方DRMAX の0.
95倍を越える場合には、毛羽や断糸が多発して得られ
る繊維の品位が低下したり、生産性が低下するようにな
る。なお、延伸を一段で行う場合には、全延伸倍率を大
きくすると毛羽が発生しやすくなるので、高強力・高タ
フネスの繊維を得るのはそれだけ難しくなる。
【0021】多段延伸の条件は、引取り速度の大きさに
もよるが、第1段延伸での延伸倍率を全延伸倍率の40
〜70%の範囲にすることが好ましく、また、延伸温度
は80〜180℃の範囲が適当であり、特に後段になる
ほど延伸温度は高くするのが好ましい。さらに、得られ
た延伸糸は、必要に応じて弛緩熱処理を施しても構わな
い。
【0022】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。なお、実施例中の各物性値及び測定値は次のよう
にして求めた。 <固有粘度>引き取られた未延伸糸を、オルソクロロフ
ェノールを溶媒とし、オストワルド粘度計を用いて25
℃で測定した。 <強伸度>テンシロン引張試験機を使用して、糸長25
0mm、引張速度250mm/分で測定した。 <チーズ表面毛羽>延伸糸を10kg巻きチーズに巻き
取り、そのチーズ10本の表面毛羽を測定し、その平均
値で表した。
【0023】[実施例1〜4、比較例1〜4]固有粘度
が0.60のポリエチレンテレフタレートチップを、得
られる未延伸糸の固有粘度が表1に記載となるように減
圧下220℃で重合時間を調整して固相重合した。得ら
れた固相重合ポリマーを温度305℃で溶融し、紡糸パ
ックに送液して濾過した後、表1記載の円周配列吐出孔
群を有する円形紡糸口金から紡糸温度310℃で吐出さ
せた。吐出された糸条は、表1記載の加熱筒(加熱帯
域)を通過させた後、該加熱筒に連結して設置された表
1記載の筒型冷却装置を通過させた。この際、冷却風は
13mmの厚みを持つ中空円筒状の整流機能を持つ整流
筒を通過させて線速度及び整流値を表1記載のとおりと
し、冷却風温度は25℃とした。冷却固化させた糸条は
オイルを付与した後、表1記載の速度で引取り、引き続
き100℃の予熱ローラーで予熱後、表1記載の全延伸
倍率で2段延伸(第2段延伸温度は120℃)した後に
巻き取り延伸糸を得た。結果を合わせて表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、紡糸速度が
高くとも、冷却斑の小さい未延伸糸を得ることができる
ので安定して高倍率延伸が可能となり、毛羽のない高品
質の高強力・高タフネス繊維が高生産性の下に得られ、
その工業的価値は極めて大である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 AA08 BB31 BB36 BB52 BB56 BB59 BB77 BB81 BB89 BB91 EE08 EE20 GG05 HH10 4L045 AA05 BA03 BA60 CA25 DA08 DA14 DA15 DA23 DA24 DA42 DA46 DA48 DA60 DC02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性重合体を紡糸口金から溶融吐出
    し、該吐出糸条を口金下加熱長が300〜500mm、
    雰囲気温度が350〜500℃の加熱帯域を通過させ、
    次いで該加熱帯域に連続して設けられた、糸条入側のほ
    ぼ内周全面に冷却風吹出し部、出側に冷却風排出部を有
    する全長が3.0〜8.0mの筒型冷却装置を通過さ
    せ、その際、該冷却風吹出し部長さを400〜600m
    m、内径を150〜300mmとすると共に、冷却風の
    吹出し線速度を0.15〜0.50m/秒、整流値を
    2.0以下にし、且つ、走行糸条と冷却風吹出し面との
    距離を50mm以下にして冷却固化させ、次いでオイリ
    ングした後に1000m/分以上の速度で引取り、引続
    いて一旦巻取ることなく連続して延伸することを特徴と
    する熱可塑性合成繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱可塑性重合体がポリエチレンテレフタ
    レートであり、且つ引取り未延伸糸の固有粘度が0.8
    0〜0.98である請求項1記載の熱可塑性合成繊維の
    製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007063689A (ja) * 2005-08-30 2007-03-15 Teijin Fibers Ltd 糸条冷却装置
JP2008163484A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Teijin Fibers Ltd 不織布用バインダー繊維およびその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007063689A (ja) * 2005-08-30 2007-03-15 Teijin Fibers Ltd 糸条冷却装置
JP2008163484A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Teijin Fibers Ltd 不織布用バインダー繊維およびその製造方法

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