JP2009242952A - ポリエステルマルチフィラメントおよびその製造方法ならびに粘着テープ用基布 - Google Patents

ポリエステルマルチフィラメントおよびその製造方法ならびに粘着テープ用基布 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、低タフネス、低強度、低伸度、繊維構造が均一であって、製糸性が良好なポリエステルマルチフィラメントおよびその製造方法ならびに粘着テープ用基布を提供することにある。
【解決手段】共重合成分を実質的に含まないポリエステルマルチフィラメントであって、固有粘度が0.6〜1.5、下記の式から算出されるタフネス(Tf)が6〜15、伸度が5〜20%、ウースター斑が1.5%以下であることを特徴とするポリエステルマルチフィラメント。
【選択図】なし

Description

本発明は低タフネス、低強度、低伸度、繊維構造が均一、製糸性が良好なポリエステルマルチフィラメントおよびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは手切れ性、工程通過性が良好な粘着テープ用基布に関するものである。
近年、粘着テープが梱包材料として汎用されているが該テープの要求特性の一つとしては低タフネスが求められており、経糸のタフネスが15を越えると高強度もしくは高伸度となり過ぎて、引裂きがたく、無理に引裂くと経糸および接着剤が露出し切口が汚くなる。
従来、粘着テープ用基布として経・緯糸にレーヨンスフによりなる紡績糸、またはビニロン繊維を用いたものが用いられているが、両者はいずれも前記の伸張特性を満足するものである。しかしながら、レーヨンスフからなる紡績糸では、湿潤時の強度が乾湿時に比べ45〜55%に低下すること、基布に厚み斑があること、表面がフラットでないこと、接着剤である樹脂の付着量が課題になり易い等の欠点があり、また、ビニロン繊維は素材が高価であり、製造工程が繁雑、さらに湿潤時強力も70〜80%に低下する等の欠点を有する。
上記問題を改善する方法としてポリエチレンテレフタレートにポリスルフォン系化合物を0.5〜20重量%添加した組成物を溶融紡糸して得た未延伸糸を延伸することにより得られる弱糸の製造方法(特許文献1)が提案されている。特許文献1では共重合ポリエステル未延伸糸を延伸・熱処理することにより、強度(g/d)×(伸度)1/2(%)の値(Tf)が5〜15となる弱糸が得られるとしている。しかしながら、製糸性不良や、コストアップ等の問題を有していた。
そこで、3000m/分以上の速度で紡糸巻取りされたポリエステル系高配向未延伸糸を熱処理することにより厚み斑がない、高品位の粘着テープ用基布を得る技術(特許文献2)が提案されている。特許文献2によれば高配向未延伸糸を延伸・熱処理することにより、Tfが17〜23の粘着テープ用基布が得られるとしている。しかしながら、実施例に示されているポリエチレンテレフタレート繊維の伸度は最低でも19%であり、当該技術の粘着テープ用繊維は良好な手切れ性を満足させるものではなかった。
また、長さ方向に太細があり、且つ太細比(デニール比)が2.0以上であるフィラメントからなるマルチフィラメント糸条であって、糸条としては、ノーマルテストで得られるスペクトログラフ上の周期50cmでの値(P50)が最大値(Pmax)の1/2以下であり、且つ破断強度が2.0g/de以下、破断伸度が25%以下であることを特徴とするポリエステル繊維を用いることにより、手切れ性が良好な粘着テープを得る技術(特許文献3)が提案されている。特許文献3によれば油剤を付与する際に油分量を少量にし、延伸倍率を低倍にすることにより長手方向に太細がある繊維が得られるとしている。しかしながら、該方法は油分量が少ないことにより製糸性に劣っており、さらには実施例に示されているポリエステル繊維の伸度は最低でも20.4%であり、当該技術の粘着テープ用繊維は良好な手切れ性を満足させるものではなかった。
さらに、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)が最大を示す温度Tmaxが120℃以下であり、伸度が10〜23%、タフネスが13〜20、沸水収縮率が6%以下であるポリエステル繊維を少なくとも経糸として用いてなる引裂き性に優れた粘着テープ用基布を得る技術(特許文献4)が提案されている。特許文献4によれば紡糸速度および加熱筒の長さと内温を適正化することにより、引き裂き性に優れた粘着テープ用基布が得られるとしている。しかしながら、該方法で得られる繊維の強度は最低でも3.2g/dであり、当該技術の粘着テープ用基布は良好な手切れ性を満足させるものではなかった。
特開昭58−81647号公報(特許請求の範囲) 特開昭61−218676号公報(特許請求の範囲) 特開昭62−299512号公報(特許請求の範囲) 特開昭62−28436号公報(特許請求の範囲)
本発明の課題は、上述した従来技術の有する問題点を鑑み、低タフネス、低強度、低伸度、繊維構造が均一であって、製糸性が良好なポリエステルマルチフィラメントおよびその製造方法ならびに粘着テープ用基布を提供することにある。
本発明は、上述した従来技術における問題の解決を課題として検討した結果、達成したものであり、本発明によれば、共重合成分を実質的に含まないポリエステルマルチフィラメントであって、固有粘度が0.6〜1.5、下記の式から算出されるタフネス(Tf)が6〜15、伸度が5〜20%、ウースター斑が1.5%以下であることを特徴とするポリエステルマルチフィラメントが得られる。
なお、本発明に用いられるポリエステルマルチフィラメントは強度が1.0〜3.5cN/dtexであることが好ましい条件としてあげられ、該繊維を製造する方法としては、ポリエステルを溶融紡糸後、冷却装置にて冷却・固化して油剤を付与し、1000〜6000m/分で引き取られた高配向未延伸糸を110℃〜250℃で熱セットした後、1.2〜3.0倍で延伸することが好ましい条件としてあげられ、粘着テープ用基布に適応した場合に最良の効果を発現する。
本発明は低タフネス、低強度、低伸度、繊維構造が均一、製糸性が良好なポリエステルマルチフィラメントを用いることにより、手切れ性、工程通過性が良好な粘着テープ用基布を得ることができる。
以下に、本発明を具体的に説明する。
本発明の繊維は、粘着テープ用基布として低タフネスや乾湿時の強度変化が少ない等の特性を得るためにポリエステル繊維であることが必須である。
本発明におけるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ乳酸またはそれらの共重合体などが挙げられる。この中でも、好ましくはポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体である。また、ポリエステル繊維には、本発明の効果を阻害しない範囲、好ましくは10重量%以下であれば、顔料、難燃剤、艶消剤、滑剤等の各種添加剤や異種ポリマを含有していても良い。また、本発明におけるポリエステルは強重合成分を実質的に含まないことが必要である。実質的に含まないとは共重合成分が1重量%以下であり、共重合成分としては2官能までの共重合化合物であることが好ましい。2官能の共重合化合物としては、テレフタル酸成分の一部を他の2官能性カルボン酸成分で置換したポリエステルであり、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−オキシエロキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き芳香族、脂肪酸および脂官族の2官能性カルボン酸を挙げることができる。
本発明のポリエステルマルチフィラメントの単糸断面は、丸断面以外にも、異型断面であっても良く、異形断面形状としては扁平型、三角型、C型、Y型、団子型、中空型、あるいはそれらの組合せ等を例示することができるがこれに限られるものではない。
本発明のポリエステルマルチフィラメントは、固有粘度(IV)が0.6〜1.5であることが必要である。固有粘度が0.6未満では、繊維製造工程での溶融紡糸時にフィラメント間で互いに融着を起こし、安定した紡糸ができず、糸切れが多発するとともに、製品製造工程でも毛羽発生や糸切れなどのトラブルが多発する可能性がある。また、固有粘度が1.5より高いと溶融紡糸時の吐出圧力上昇によるトラブルが発生しやすくなる。また、安定した製糸性および低タフネスを得るために0.6〜1.1のポリエステルマルチフィラメントであることがより好ましい。
本発明のポリエステルマルチフィラメントのタフネス(Tf)は6〜15であることが最も重要であり、7〜13であることが好ましい。タフネスが6未満では粘着テープ用基布として用いたときの手切れ性は良好となるものの、繊維製造工程で安定した紡糸ができず、さらに製品製造工程で糸切れ等が多発し、製織が困難となる。また、タフネスが15より大きいと、粘着テープの引き裂きが容易でなくなり、該粘着テープを使っての作業性が低下し、またその切り口にほつれが生じ、美しい切り口となり得ない。
また、伸度は5〜20%であることが必要であり、7〜18%であることが好ましい。また強度は1.0〜3.5cN/dtexであることが好ましく、1.5〜3.0cN/dtexであることがより好ましい。通常、未延伸糸を延伸する場合、低強度糸を得る目的で延伸比を低くすると伸度が高くなり、逆に低伸度糸を得る目的で延伸比を高くすると強度が高くなり、上記のタフネスを達成することが困難となる。また、強度が1.0cN/dtex未満、もしくは伸度が5%未満の場合には製品製造工程での糸切れ等が多発し、製織が困難であり、強度が3.5cN/dtexより大きい、もしくは伸度が20%より大きい場合は粘着テープの引き裂きが容易でなくなり、該粘着テープを使っての作業性が低下し、またその切り口にほつれが生じ、美しい切り口となり得ない。
本発明のポリエステルマルチフィラメントは、ポリエステルを溶融紡糸後、冷却装置にて冷却・固化して油剤を付与し、1500〜6000m/分、好ましくは2000〜5000m/分で引き取られた高配向未延伸糸を120℃〜250℃、好ましくは140〜220℃で熱セットした後、1.2〜3.0倍、好ましくは1.5〜2.5倍で延伸することが好ましい。この工程は一旦引き取った高配向未延伸糸を、別工程にて熱セットした後、延伸する2段プロセスでも、全工程を一括で行なう一段プロセスでもよい。1500〜6000m/分で引き取られた高配向未延伸糸を上述の温度にて熱セットすることにより、架橋点のような分子鎖拘束構造を熱結晶化により形成し、それをさらに延伸することで、非晶部の分子鎖がほとんど引き揃えられることなく、切断しながら伸張することとなる。それにより、得られた繊維は低強度、低伸度の低タフネス繊維となる。
また、本発明のポリエステルマルチフィラメントはウースター斑(U%)が1.5%以下であることが必要であり、1.2%以下であることが好ましい。ウースター斑が大きい場合には、粘着テープ用基布として用いた際に、繊維の細い部分に応力が集中し、粘着テープの手切れ性が良好になることが知られている。しかし、その方法では繊維製造工程での製糸性を最も大きく左右する延伸点を各単糸で異ならせることや、延伸ローラの温度を変化させるなどの方法を取ることが必要であり、製糸製造工程が繁雑となるだけではなく、製糸性を大きく悪化させる。ウースター斑が1.5%以下では通常の延伸方法が採用でき、一般的な装置を用いることができ、なおかつ優れた製糸性を得ることが可能となる。
さらに、本発明のポリエステルマルチフィラメントは総繊度が30〜200dtexであることが好ましく、50〜150dtexであることがより好ましい。30dtex未満では経糸密度を40〜70本/インチとした場合、基布強度が粘着テープ用基布としては低すぎて実用的ではない。200dtexを越えると逆に引裂き強力が高すぎて好ましくない。
次に、本発明のポリエステルマルチフィラメントおよびそれを用いた粘着テープ用基布の製造方法の一例を説明するが、ポリエステルマルチフィラメントの製造方法はこれに限られるものではない。
重合工程により上述の固有粘度に調整されたポリエステルチップを溶融紡糸装置に供給し溶融ポリマとする。溶融紡糸装置はエクストルーダー型、プレッシャーメルター型のどちらでも使用できる。続いて溶融ポリマは紡糸口金に送られ紡糸される。紡糸した糸条は、冷風等の冷却装置にて冷却・固化した後に油剤を付与され、1000〜6000m/分で回転する引き取りローラに捲回し一旦巻き取った後、120〜250℃のローラにて熱セットし、1段以上で延伸し、巻取り機にて巻取る。または引き取り後に連続して熱処理、熱延伸を施し、巻取り機にて巻取る。延伸倍率は、1.2〜3.0倍の範囲でそれぞれ行う。かくして、本発明の粘着テープ用基布として使用されるポリエステルマルチフィラメントが得られる。
本発明のポリエステルマルチフィラメントを少なくとも経糸に使用した粘着テープ用基布は、上述したポリエステルマルチフィラメントを常法によって製織することにより得られる。まず経糸用のポリエステルマルチフィラメントをクリールに並べて、整経を経てビームに巻き、経糸の準備をおこなう。続いて経糸を織機のオサに通し、緯糸を打ち込んで織物を仕立てる。織機はシャトル織機、エアジェットルーム織機、ウォータジェットルーム織機、レピア織機、グリッパシャトル織機などの種類があるがいずれの織機で製造しても良い。また製織の際に撚糸された経糸、緯糸にそれぞれ繊度などが異なる複数種のフィラメントを使用しても差し支えないが、工程の簡略さの点からは同一の糸を使用することが好ましい。また緯糸の打ち込み方により、平織、斜文織(ツイル)、朱子織(サテン)などのいくつかの方法があるが目的に応じていずれをも選ぶことができる。
このようにして得た基布は、次いで樹脂加工される。一般にはポリエチレン樹脂等をフィルム状に溶融押出し、これを一方の面にラミネートする。さらに、ラミネート後の樹脂表面に離型剤を塗布し、また樹脂のラミネート側とは反対側の基布面に接着剤を塗布することにより粘着テープが完成する。
以下、実施例によって本発明の態様を更に詳しく説明する。明細書本文および実施例に用いた特性の定義及び測定法は次の通りである。
(1)総繊度
JIS L−1013(1999)8.3.1正量繊度a)A法に従って、所定荷重5mN/tex×表示テックス数、所定糸長90mで測定した。
(2)強度・伸度
試料を気温20℃、湿度65%の温調室において、オリエンテック社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100でJIS L1013(1999)8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。試長250mm、引張速度300mm/分の条件で測定を行った。試験回数は10回とした。なお、伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。強度は強力を測定した試料の総繊度で除した値である。
(3)タフネス(Tf)
上記の方法で測定された強度・伸度から下式にて計算した。
Tf=強度(cN/dtex)×(伸度)1/2(%)
(4)固有粘度(IV)
オルソクロロフェノール100mlに対し試料8gを溶解した溶液の相対粘度ηをオストワルド式粘度計を用いて25℃で測定し、IV=0.0242η+0.2634の近似式によって求めた。
(5)ウースター斑
zellweger uster社製 USTER TESTER IIIを用いて試料長:300m、測定糸速度:100m/min、を12.5%HIで8サンプル測定した。8サンプルの繊維長手方向の太さの変動をそれぞれ求め、その平均値を用いた。
(6)製糸性
糸を製糸する際、1tあたりの製糸糸切れ回数を評価した。
(7)高次加工性
24時間あたりの織機の停止回数を評価した。
(8)手切れ性
粘着テープの手切れ性を下の基準により評価した。
◎:手切れ性が良好であり、切り口がきれいでほつれがない
○:手切れ性は良いが、ところどころ切り口にほつれや樹脂の露出がある。
△:手切れ性に劣り、切り口にほつれがあり、樹脂が露出する。
×:切れない、またはかなり伸びてから切断する。
[実施例1]
高純度テレフタル酸とエチレングリコールにアンチモン系触媒を添加し、減圧下において285℃まで徐々に加熱し所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止した。次いで得られたポリマを冷水中に押し出しカッティングすることでポリエチレンテレフタレートのペレットを作製した。得られたペレットを130℃にて3時間の予備結晶化を行った後、真空下230℃にて10時間の固相重合を行い高粘度のポリエチレンテレフタレートを製造した。
上記ポリエチレンテレフタレートのペレットを300℃でエクストルーダー式押し出し機に連続的に供給し連続的に溶融した。溶融ポリマを300℃の配管に通して、ギアポンプにて総繊度が100dtexとなるように計量した後、300℃の紡糸パックに導き、パック内では20ミクロンカットのフィルターを通過させ、L/D=2.0の吐出孔を有する紡糸口金から溶融吐出した。
紡出糸条を口金下に設けた長さ20cm、雰囲気温度300℃の加熱筒を通過させた後、環状チムニーを用いて30℃の冷風を30m/分の速度で固化させ、油剤ローラにて非含水系油剤(三洋化成製、SAB−5L)を0.7wt%付与した。
油剤を付与した糸条を2000m/分の表面速度を有する第1ローラ(90℃)で引き取った後、連続して延伸工程に供した。
第1ローラを通過した糸条を、速度2100m/分の第2ローラ(200℃)、速度4800m/分の第3ローラ(115℃)、速度4560m/分の第4ローラ(非加熱)に連続して供することにより総延伸倍率2.4倍で延伸を行なった後、交絡処理装置により1.5kg/cmの高圧空気を噴射して、ワインダーにより巻き取った。なお、第2ローラの温度が熱セット温度である。かくして、100dtex−34filのポリエステルマルチフィラメントを得た。得られた繊維は、固有粘度(IV)0.94、強度2.5cN/dtex、伸度10%、タフネス7.9、ウースター斑が0.7%であり、低タフネス糸として良好な糸物性を示した。
得られた繊維をクリールに並べ、ウォータージェット織機により経50本/インチ、緯26本/インチの平織物を製織し、生機を得た。この生機を基布として、厚さ50μmのポリエチレンフィルムを溶融押出して基布と張り合わせてラミネート加工した。次にラミネートされた基布の裏側に離型剤を、裏側にアクリル酸樹脂系接着剤を付与し、粘着テープを得た。得られた粘着テープ用基布は手切れ性に優れるものであった。繊維および基布の特性をまとめて表1に示す。
[実施例2]
第1ローラの速度を4000m/分とし、総延伸倍率を1.3倍とした以外は実施例1と同様に行った。得られた繊維は、強度3.4cN/dtex、伸度14%、タフネス12.7であり、低タフネス糸として良好な糸物性を示した。また、粘着テープ用基布としては、多少樹脂の露出があるものの手切れ性に優れるものであった。繊維および基布の特性をまとめて表1に示す。
[実施例3]
第1ローラの速度を1000m/分とし、総延伸倍率を2.9倍とした以外は実施例1と同様に行った。得られた繊維は、強度2.2cN/dtex、伸度15%、タフネス8.5であり、低タフネス糸として良好な糸物性を示した。また、粘着テープ用基布としても手切れ性に優れるものであった。繊維および基布の特性をまとめて表1に示す。
[実施例4]
第2ローラの温度を150℃にし、総延伸倍率を2.9倍とした以外は実施例1と同様に行なった。得られた繊維は強度2.6cN/dtex、伸度19%、タフネス11.3であり、低タフネス糸として良好な糸物性を示した。また、粘着テープ用基布としても手切れ性に優れるものであった。繊維および基布の特性をまとめて表1に示す。
[実施例5]
第2ローラの温度を230℃にしたこと、総延伸倍率を1.8倍とした以外は実施例1と同様に行なった。得られた繊維は、強度3.4cN/dtex、伸度9%、タフネス10.2であり、低タフネス糸として良好な糸物性を示した。また、粘着テープ用基布としても手切れ性に優れるものであった。繊維および基布の特性をまとめて表1に示す。
[実施例6]
固相重合を行なわず、冷水中に押し出され、カッティングされたポリエチレンテレフタレートのペレットを乾燥後にそのまま用いた以外は実施例1と同様に行なった。得られた繊維はIV0.69、強度2.3cN/dtex、伸度12%、タフネス8.0であり、低タフネス糸として良好な糸物性を示した。また、粘着テープ用基布としても手切れ性に優れるものであった。繊維および基布の特性をまとめて表1に示す。
[実施例7]
固相重合を15時間とした以外は実施例1と同様に行った。得られた繊維はIV1.17、強度3.0cN/dtex、伸度10%、タフネス9.5であり、低タフネス糸として良好な糸物性を示した。また、粘着テープ用基布としても手切れ性に優れるものであった。繊維および基布の特性をまとめて表1に示す。
Figure 2009242952
[比較例1]
第2ローラ(150℃)、第3ローラ(200℃)で延伸した以外は実施例1と同様に行なった。得られた繊維は、強度6.7cN/dtex、伸度20%、タフネス30であり、粘着テープ用原糸としては高強度のものであった。また、粘着テープとしての手切れ性は高強度繊維の影響により悪いものであった。繊維および基布の特性をまとめて表2に示す。
[比較例2]
L/D=1.2の口金孔を使用した以外は実施例1と同様に行なった。得られた繊維は、ウースター斑1.8、強度2.8cN/dtex、伸度11%、タフネス9.3であり、低タフネス糸であったが、製糸糸切れが30回/t発生し、製糸性不良であった。また、製織時の停機も多かった。繊維および基布の特性をまとめて表2に示す。
[比較例3]
第1ローラの速度を4000m/分として、そのまま巻き取った高配向未延伸糸を使用した。伸度が高く粘着テープ用基布としては手切れ性に劣るものであった。繊維および基布の特性をまとめて表2に示す。
[比較例4]
第2ローラの温度を100℃にした以外は実施例1と同様に行なった。得られた繊維は強度2.2cN/dtex、伸度50%、タフネス15.6であった。低タフネスではあったが、熱セット温度がポリエチレンテレフタレートの結晶化温度以下であることにより、結晶化が進行しておらず、非晶部分が多く存在する繊維となった。それにより、粘着テープ用基布としても手切れ性に劣るものであった。繊維および基布の特性をまとめて表2に示す。
Figure 2009242952

Claims (4)

  1. 共重合成分を実質的に含まないポリエステルマルチフィラメントであって、固有粘度が0.6〜1.5、下記の式から算出されるタフネス(Tf)が6〜15、伸度が5〜20%、ウースター斑が1.5%以下であることを特徴とするポリエステルマルチフィラメント。
    Tf=強度(cN/dtex)×(伸度)1/2(%)
  2. 強度が1.0〜3.5cN/dtexであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルマルチフィラメント。
  3. ポリエステルを溶融紡糸後、冷却装置にて冷却・固化して油剤を付与し、1000〜6000m/分で引き取られた高配向未延伸糸を120℃〜250℃で熱セットした後、1.2〜3.0倍で延伸することを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルマルチフィラメントの製造方法。
  4. 請求項1または2に記載のポリエステルマルチフィラメントを少なくとも経糸に用いることを特徴とする粘着テープ用基布。
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