JP2003253572A - スエード調人工皮革 - Google Patents

スエード調人工皮革

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JP2003253572A
JP2003253572A JP2002053038A JP2002053038A JP2003253572A JP 2003253572 A JP2003253572 A JP 2003253572A JP 2002053038 A JP2002053038 A JP 2002053038A JP 2002053038 A JP2002053038 A JP 2002053038A JP 2003253572 A JP2003253572 A JP 2003253572A
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artificial leather
suede
pigment
less
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JP2002053038A
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Kyoko Yokoi
京子 横井
Takashi Hashimoto
貴史 橋本
Koji Watanabe
幸二 渡邊
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】イラツキがなく優美な表面品位を有し、かつ、
高耐光堅牢性を有したスエード調人工皮革を提供するこ
と。 【解決手段】主として繊維太さが0.7dtex以下の
ポリエステル極細繊維を含む繊維絡合体とポリウレタン
からなるスエード調人工皮革であって、該顔料が、明細
書中に記載の方法で測定した還元洗浄脱落率20%以下
でかつ、850nmにおける赤外線反射率60%以上で
あることを特徴とするスエード調人工皮革。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐光堅牢性に優
れ、かつ、良好な発色性・外観品位を有するスエード調
人工皮革に関するものである。
【0002】
【従来の技術】極細繊維からなるスエード調人工皮革は
その高級外観、表面タッチ、発色性の点から、衣料分野
はもとより、自動車内装材や家具用途に幅広く適用され
ている。しかしながら、これら人工皮革に対する感性、
機能面からの要求はますます高度になっている。感性面
の要求としては柔軟性の向上、表面品位の向上、優美な
色調といったものが、また機能面の要求としては耐光堅
牢性の向上があげられ特に自動車内装材用途では最も重
要な要求特性のひとつである。
【0003】通常、該スエード調人工皮革はポリエステ
ルの染色条件下で染色し、その後、染色堅牢性を向上さ
せるために還元洗浄が行われるが、ポリウレタンにいっ
たん着色した染料はこの還元洗浄で脱色あるいは変色
し、ポリウレタンが白く目立ってしまい、特に中濃色分
野では品位が著しく低下するという問題があった。
【0004】かかる問題を克服するため、ポリウレタン
中にあらかじめカーボンブラックあるいは顔料などの着
色剤を添加しておくという手段が一般に知られている
が、ポリウレタンにカーボンブラックを添加した従来の
人工皮革はカーボンブラック未添加の人工皮革と比べる
と耐光堅牢性が低下する。これに対し、特開平5−32
1159号公報では900から1500nmの近赤外線
反射率60%以上のペリレン系あるいはアゾメチンアゾ
系等の黒色顔料をポリウレタンに添加させ、蓄熱による
発熱を抑制する技術が提案されているが、これらの黒色
顔料は、黒の発色レベル(漆黒度合い)が非常に低く、
顔料濃度を上げても深みのある黒色がでない、また、あ
る程度着色させることはできても、その後の還元洗浄等
の染色加工工程において脱色や変色し、最終製品として
ポリウレタンはほとんど着色していない等の問題点があ
った。
【0005】すなわち、これまでポリエステル極細繊維
を用いた該人工皮革では耐光堅牢性と良好な発色性、外
観品位を兼ね備えた人工皮革は知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優美
な色調の表面品位を有し、かつ、高耐光堅牢性を有する
スエード調人工皮革を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、本発明は以下の構成を有する。
【0008】すなわち、主として繊維太さが0.7d
tex以下のポリエステル極細繊維を含む繊維絡合体と
ポリウレタンからなるスエード調人工皮革であって、該
ポリウレタンが顔料によって着色されてなり、該顔料が
明細書中に記載の方法で測定した還元洗浄脱落率が20
%以下でかつ、850nmにおける赤外線反射率が60
%以上であることを特徴とするスエード調人工皮革であ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0010】本発明のスエード調人工皮革は主として平
均繊度0.7dtex以下のポリエステル極細繊維を含
む繊維絡合体とポリウレタンとで構成されるものであっ
て、該ポリエステル極細繊維としては、例えば、ポリエ
チレンテレフタレートおよびこれらの共重合体類、ポリ
ブチレンテレフタレートおよびこれらの共重合体類、ポ
リプロピレンテレフタレートおよびこれらの共重合体
類、ポリ乳酸およびこれらの共重合体類が例示できる
が、物性や耐久性のバランスの点でポリエチレンテレフ
タレートが好ましい。
【0011】本発明に用いられる極細繊維は、従来法に
よる直接紡糸法、あるいは極細繊維発生型繊維を割繊、
あるいは少なくとも1成分を溶解除去する方法により得
られる。また、その断面形状は特に限定されるものでは
ない。
【0012】本発明に用いる極細繊維の単繊維繊度は、
繊度0.7dtex以下であるが、表面の平滑性や柔軟
な風合いを出すためには0.5dtex以下であること
が好ましい。さらには緻密性、発色性の点から0.01
dtex以上0.3dtex以下の範囲が好ましい。
【0013】極細繊維発生型繊維から少なくとも1成分
を除去して極細繊維を発生させる場合、除去するポリマ
ー成分は、極細繊維に実質的な損傷を与えずに化学的も
しくは物理的に除去できる組み合わせであればよく、特
に限定されるものではなく、極細繊維のポリマーと溶剤
溶解性、または分解性を異にするのが好ましい。具体例
としては、ポリオレフィン、ポリスチレンおよびその共
重合体類、ポリビニルアルコール、ポリアミド、アルカ
リ可溶型共重合ポリエステル類などが好ましい。
【0014】かかる繊維の形態としては、通常の丸断面
の他に、中空断面、三角型やY型の異形断面や芯鞘複合
構造繊維等を採用することができる。これらの中から極
細繊維の断面形成性、紡糸性、延伸性などを考慮して組
み合わせればよい。
【0015】本発明において、繊維絡合体を形成するに
当たり、カードクロスラッパーもしくはランダムウエッ
バーなど常法によりウェブを形成した後、ニードルパン
チあるいはウォータジェットパンチ、もしくはこれを組
み合わせて行うことにより絡合シートを形成する。この
絡合シートをより高強度化するために、繊維絡合体が極
細繊維を含む不織布と織物、もしくは編物とが一体化し
た構造とすることが好ましい。かかる構造体は、上記ウ
ェブ中の繊維と織物もしくは編物との絡合一体化によっ
て得ることができる。極細繊維発生可能型繊維を使用す
る場合、その後、溶剤、熱処理、あるいは機械的処理に
より極細化する。
【0016】なお、この際、ウェブの両面もしくは片面
に織物を積層し絡合処理する方法や、さらに該繊維絡合
体を複数重ねて再度絡合処理し、後工程で、厚み方向に
直角にスライスして1/2厚さのものを2枚取りとする
方法など、目的に応じ使用可能である。
【0017】織物もしくは編物を構成する糸種として
は、フィラメントヤーン、紡績糸、フィラメントと短繊
維の混紡糸などを用いることができ、特に限定されるも
のではない。また、織物もしくは編み物の種類として
は、経編、トリコット編みで代表される緯編、レース編
みおよびそれらの編み方を基本とした各種編み物、ある
いは平織、綾織、朱子織およびそれらの織り方を基本と
した各種織物などいずれも採用することができ、特に限
定されるものではない。
【0018】糸種によっては、ニードルパンチで複合繊
維と織物もしくは編み物との絡合を強固にする場合、切
断されやすいことがあり、これを防止する手段として、
該織物または編み物の構成糸の少なくとも一部に強撚糸
を使用したものが好ましい。強撚糸の撚り数としては5
00T/m以上、4500T/m以下が好ましく、より
好ましくは、1500T/m以上、最も好ましくは20
00T/m以上である。500T/m未満では糸を構成
する単糸同士の絞まりが不十分であるため、ニードルパ
ンチ時にニードルに引っかかり損傷しやすく十分な強力
が得られない場合がある。また、撚り数が4000T/
m以上になると繊維が硬くなりすぎ、製品風合いや柔軟
化の点から好ましくない場合がある。
【0019】織物もしくは編物を構成する繊維は、ポリ
エステル類、ポリアミド類、ポリエチレン類、ポリプロ
ピレン類およびそれらの共重合体類を用いるのが好まし
い。
【0020】次いで、本発明はこれらの極細繊維を含む
繊維絡合体にポリウレタンを付与する。
【0021】本発明に用いられるポリウレタンとして
は、基本的にはいずれのものも使用可能だが、耐久性や
染色堅牢性の点からソフトセグメントとしてポリカーボ
ネートジオールを50%〜95%含んでなるポリウレタ
ンが好ましい。
【0022】本発明でいうポリカーボネートジオールと
は、ジオール骨格がカーボネート結合を介して連結され
て高分子鎖を形成し、その両末端に水酸基を有するもの
である。該ジオール骨格は、原料として用いるグリコー
ルにより決定されるが、その種類は特に制限されること
はなく、例えば、1,6−ヘキサンジオール、1,5−
ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチ
ル−1,5−ペンタンジオールを用いることができる。
これらのグリコール群から選ばれた少なくとも2種以上
のグリコールを原料として用いた共重合ポリカーボネー
トジオールは、特に柔軟性と外観に優れた皮革様シート
状物を得ることができるので好ましい。
【0023】また、特に柔軟性に優れた皮革様シート状
物を得る場合は、耐久性を損なわない範囲でポリマージ
オール中にカーボネート結合以外の結合、例えば、エス
テル結合、エーテル結合等を導入することが好ましい。
かかる化学結合を導入する形態としては、ポリカーボネ
ートジオールを重合する際にエーテル結合やエステル結
合を有する化合物を混合して共重合せしめる方法や、ポ
リカーボネートジオールとそれ以外のポリマージオール
をそれぞれ単独で重合した後に混合して、ポリウレタン
の重合に用いる方法を採用することができる。
【0024】かかるポリカーボネートジオールに混合す
るポリマージオールとしては、ポリテトラメチレングリ
コール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリカ
プロラクトンジオール、ポリ2,5−ジエチルペンタン
アジペートが、風合いと耐久性のバランスがとれるため
好ましい。これらのポリマージオールの混合比率は、好
ましくは5重量%以上50重量%以下、さらに好ましく
は5重量%以上30重量%以下である。また、この比率
の範囲内であれば、2種以上のポリマージオールを混合
して、ポリカーボネートジオールと併用することもでき
る。
【0025】これらポリマージオールの分子量は特に制
限されることはなく、目標とする皮革様シート状物の特
性に合わせて適宜選択することができるが、分子量が5
00未満の場合は、物性は向上するが風合いが硬くな
り、3000より大きいと、風合いは柔らかくなるが物
性が低下する傾向があるため、500以上3000以下
が好ましい。
【0026】また、これらポリウレタンはポリエステル
繊維重量に対して固形分で10〜60重量%含有するこ
とが好ましい。10重量%以下では得られる人工皮革の
強力が弱く、60重量%以上では風合いが固くなるため
好ましくない。
【0027】本発明は、これらポリウレタンの溶液ある
いは分散液を上記繊維絡合体に含浸させ凝固させる。凝
固方法は湿式、乾式いずれでもよいが、柔軟な風合いを
得ようとする場合は湿式が好ましい。ポリウレタン中に
は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定
剤、制電剤、難燃剤、柔軟剤、凝固調整剤、着色剤など
の添加剤を配合するが、本発明は繊維絡合体に付与する
これらポリウレタン中に顔料が含有することが必要であ
る。顔料によるポリウレタンへの着色がない場合、染色
後の還元洗浄でポリウレタンにいったん着色した染料が
変色あるいは脱色され、ポリウレタンが白く目立ってし
まい、特に中濃色分野では表面品位が著しく低下し、優
美な高級感を得ることができない。
【0028】本発明にかかる人工皮革は、蓄熱による耐
光劣化を防止した高い耐光堅牢性とイラツキ(ポリウレ
タンのスペック)のない優れた発色性を併せ持つ人工皮
革であり、このような人工皮革はポリウレタンを着色す
る顔料として、赤外線を反射し、かつ、還元洗浄で脱色
あるいは変色しにくい顔料を用いることにより得ること
ができるものであり、このような性能を有する本発明の
人工皮革は、上記顔料を用いるにあたって、還元洗浄脱
落率20%以下でかつ850nmにおける赤外線反射率
が60%以上である顔料をポリウレタンに添加すること
により製造する事ができる。顔料は単独で用いても2種
以上を混合して用いても構わない。
【0029】2種以上を混合して用いる場合は、850
nmにおける赤外線反射率が、混合した顔料全体として
60%以上、ならびに還元洗浄脱落率が、混合した顔料
全体として20%以下であれば、単独では上記赤外線反
射能ならびに還元洗浄脱落率を有しない顔料を組み合わ
せて用いることができる。
【0030】なお、ここでいう還元洗浄脱落率とは、本
発明の人工皮革を構成するポリウレタン中に該顔料が混
合された状態での特性値のことを言い、以下のようにし
て測定されるものである。
【0031】本発明の人工皮革を構成するポリウレタン
を25重量%、溶剤を75重量%、顔料固形分を該ポリ
ウレタン固形分に対し3重量%(顔料を2種以上混合す
る場合はポリウレタンに添加する比率に合わせ、顔料ト
ータル量が該ポリウレタンに対し3重量%)になるよう
に混合した後、ガラス板上30センチメートル四方にキ
ャストし、30℃〜35℃の水に3時間浸漬・凝固させ
湿式凝固方式で厚さ100〜150μmの湿式膜を作成
し、20〜30℃の水で20分間水洗後40℃以下で乾
燥する。この膜を10センチメートル四方にカットし、
以下の条件で還元洗浄処理する。 <還元洗浄> (1)処理剤: 苛性ソーダ(固形): 10g/l ハイドロサルファイト: 20g/l グランアップUS20(三洋化成工業(株)社製): 5g/l 液量300ml (2)処理温度、時間: 80℃、30分(昇温2℃/分) (3)処理装置: UR・ミニカラー(テクサム技研株式会社製) 還元洗浄処理後膜を水洗し40℃以下の温度で乾燥す
る。還元洗浄処理前後のポリウレタンのL*値を測定
し、それぞれ処理前をL* 1、処理後をL* 2とし、次式に
よって求められるA値を本発明における還元洗浄脱落率
と呼ぶ。
【0032】A=(L* 2−L* 1)/L* 1×100 <L値の測定>測定機として、MINOLTA SPE
CTROPHTOMETER CMー3700dまたは
これと同等の機能を有する装置を用いる。光源はハロゲ
ンランプを用い、D65光源を測定光源とする。視野角
は10度、基準となる白板には酸化マグネシウム、測定
径は25.4mm、正反射光処理はSCE、これらの条
件に基づきCIE(国際照明委員会)規定のL*値を測
定する。
【0033】また、本発明でいう顔料の赤外線反射率と
は、本発明の人工皮革を構成するポリウレタン中に該顔
料が混合された状態での特性値のことを言い、以下のよ
うにして測定する。
【0034】上記の還元洗浄脱落率の測定時と同様にし
て作成した湿式膜を、5センチメートル四方にカット
し、分光光度計積分球で測定した850nmにおける反
射率のことをいう。反射率の測定方法は以下の方法に従
って行う。測定機として、自記分光光度計U3400
((株)日立製作所製)またはこれと同等の機能を有す
る装置を用いる。基準となる白板には酸化マグネシウム
を用い、まず、分光光度計から850nmの光を白板に
照射し、反射した光を積分球で集めて反射光の強度を測
定し、その値をR100とする。次に白板を測定したい
試料に替えて同様の測定を行い、得られた値をRSam
pとする。これらの値を用いて求めた(Rsamp)/
(R100)×100を、本発明における反射率とす
る。
【0035】さらに、本発明における還元洗浄脱落率2
0%以下でかつ、850nmにおける赤外線反射率が6
0%以上である顔料としては、ジケトピロロピロール
系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナ
クリドン系、アゾ系、ポリアゾ系、縮合アゾ系、イミダ
ゾロン系、フタロシアニン系、アントラキノン系、イソ
インドリン系、インジゴ系、チオインジゴ系、アゾメチ
ン系、アゾメチンアゾ系、ジオキサジン系、インダント
ロン系、フラバントロン系、ピラントロン系などの化合
物がそれぞれ上げられるが、これらに限定されるもので
はない。このうち赤系顔料ではジケトピロロピロール系
が、青系顔料ではフタロシアニン系が、黄色系顔料では
アゾ系がそれぞれ特に好ましく用いられる。ジケトピロ
ロピロール系、フタロシアニン系、ならびにアゾ系とは
おのおのの構造中に以下の構造を含むものをいう。
【0036】<ジケトピロロピロール系構造>
【0037】
【化1】
【0038】<フタロシアニン系構造>Meは金属を示
【0039】
【化2】
【0040】<アゾ系構造> −N=N− 本発明の人工皮革はポリウレタンとして、黄色系、赤色
系、青色系顔料のそれぞれを少なくとも1種ずつ用いて
着色されていて、かつ、該顔料が混合された後のポリウ
レタンの彩度が10以下、さらに好ましくは6.5以下
であるものを用いることが好ましい。かかるポリウレタ
ンを用いることにより、単独の顔料を用いて着色された
ポリウレタンを用いる場合に比べ、人工皮革の色相に深
みが増し高級感のある外観が得られる。かかる彩度のポ
リウレタンを得るためには、繊維絡合体に含浸する混合
溶液(ポリウレタン、顔料、溶剤)を用いて作成した湿
式膜の彩度が、好ましくは10以下、さらに好ましくは
6.5以下であるように混合溶液を作成することによっ
て得ることができる。
【0041】ここでいう顔料が混合された後のポリウレ
タンの彩度とは、本発明の人工皮革製造において繊維絡
合体に含浸する混合溶液(ポリウレタン、顔料、溶剤)
をガラス板上30センチメートル四方にキャストし、3
0℃〜35℃の水に3時間浸漬・凝固させ湿式凝固方式
で厚さ70〜100μmの湿式膜を作成し、20〜30
℃の水で20分間水洗後40℃以下の温度で乾燥する。
この膜を10センチメートル四方にカットする。その後
以下の条件で測定して得られた彩度を言う。
【0042】測定機として、MINOLTA SPEC
TROPHTOMETER CM−3700dまたはこ
れと同等の機能を有する装置を用いる。光源はハロゲン
ランプを用い、D65光源を測定光源とする。視野角は
10度、基準となる白板には酸化マグネシウム、測定径
は25.4mm、正反射光処理はSCE、これらの条件
に基づきCIE(国際照明委員会)規定のa*およびb*
を求め、得られた値を用いて求めた(a*2+b*21/2
を本発明における彩度とする。
【0043】顔料の総添加量はポリウレタン固形分に対
して0.03〜20%含有できる範囲が好ましい。より
好ましくは0.05〜15%の範囲である。0.03%
未満ではポリウレタンが着色されずイラツキ防止効果が
得られない。また20%を越えると製品の物性に影響を
及ぼす。
【0044】このシートを必要に応じて厚み方向にスラ
イスし、少なくとも一面を起毛処理することにより、着
色された立毛シートが得られる。
【0045】また、本発明のスエード調人工皮革は染色
されてなることが好ましい。すなわち、染色されている
ことによって高級感のある優美な表面品位の人工皮革が
得られるのである。染色にあたって使用する染色機は通
常用いるものが使用でき、液流染色機が特に好ましく用
いられる。使用される染料は分散染料、バット染料など
から選ばれた耐光堅牢性の優れたものを用いることが好
ましい。
【0046】本発明は、このように人工皮革を構成する
ポリウレタンにおける顔料を還元洗浄で脱落しにくく、
かつ、赤外線を反射するものとすることにより、耐光堅
牢性と良好な発色性、外観品位を兼ね備えたスエード調
人工皮革を得ることを可能としたものである。
【0047】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。
【0048】実施例および比較例における製品の耐光堅
牢性、イラツキ、顔料の還元洗浄脱落率、顔料の赤外線
反射率、および顔料の彩度の評価は以下に示す方法によ
り行った。 (1)耐光堅牢性:JASO(日本自動車技術会) M
346−93規定のキセノンウェザーメータ(SC75
0−WAP(スガ試験器(株)社製))を用い、厚み1
0mm、比重0.02±0.005のウレタンフォーム
裏打ちを行い、以下の(A)+(B)の処理を1サイク
ルとし、38サイクル光照射後、JIS L0804規
定の変褪色用グレースケールで等級を判定した。 (A)放射照度150W/m2 、ブラックパネル73
℃、湿度50%RH、3.8時間照射。 (B)放射照度0W/m2 、ブラックパネル38℃、湿
度95%RH、1時間照射 (2)イラツキ:肉眼で評価し、イラツキ(スペックに
よる外観品位低下)の発生がないものを○、やや発生す
るものを△、非常に目立つものを×で示した。 (3)還元洗浄脱落率:人工皮革を構成するポリウレタ
ンを25重量%、溶剤を75重量%、顔料固形分を該ポ
リウレタン固形分に対し3重量%(顔料を2種以上混合
する場合は混合比率に合わせ配合し、顔料トータル量が
該ポリウレタンに対し3重量%)になるように混合した
後、ガラス板上30センチメートル四方にキャストし、
30℃〜35℃の水に3時間浸漬・凝固させ湿式凝固方
式で厚さ100〜150μmの湿式膜を作成し、20〜
30℃の水で20分間水洗後40℃以下の温度で乾燥す
るする。この膜を10センチメートル四方にカットし、
その後以下の条件で還元洗浄処理した。
【0049】 <還元洗浄> (1)処理剤: 苛性ソーダ(固形): 10g/l ハイドロサルファイト: 20g/l グランアップUS20(三洋化成工業(株)社製)5g/l 液量300ml (2)処理温度、時間: 80℃、30分(昇温2℃/分) (3)処理装置: UR・ミニカラー(テクサム技研株式会社製) 還元洗浄処理後膜を水洗し40℃以下の温度で乾燥す
る。還元洗浄処理前後のポリウレタンのL* 値を測定
し、それぞれ処理前をL* 1、処理後をL* 2とし、次式に
よって求められるA値を本発明における還元洗浄脱落率
と呼ぶ。
【0050】A=(L* 2−L* 1)/L* 1×100 <L値の測定>測定機として、MINOLTA SPE
CTROPHTOMETER CM−3700dまたは
これと同等の機能を有する装置を用いる。光源はハロゲ
ンランプを用い、D65光源を測定光源とする。視野角
は10度、基準となる白板には酸化マグネシウム、測定
径は25.4mm、正反射光処理はSCE、これらの条
件に基づきCIE(国際照明委員会)規定のL*値を測
定する。 (4)顔料の赤外線反射率:上記顔料の還元洗浄脱落率
測定時と同様にして作成した湿式膜を10センチメート
ル四方にカットし日立自記分光光度計U3400
((株)日立製作所製)積分球を用いて850nmにお
ける反射率を測定した。測定に当たっては、以下の方法
に依った。
【0051】基準となる白板には酸化マグネシウムを用
い、まず、分光光度計から850nmの光を白板に照射
し、反射した光を積分球で集めて反射光の強度を測定
し、その値をR100とする。次に白板を測定したい試
料に代えて同様の測定を行い、得られた値をRSamp
とする。これらの値を用いて求めた(Rsamp)/
(R100)×100を、本発明における反射率とし
た。 (5)彩度:人工皮革製造において繊維絡合体に含浸す
る混合溶液(ポリウレタン、顔料、溶剤)をガラス板上
30センチメートル四方にキャストし、30℃〜35℃
の水に3時間浸漬・凝固させ湿式凝固方式で厚さ70〜
100μmの湿式膜を作成し、20〜30℃の水で20
分間水洗する。この膜を10センチメートル四方にカッ
トし、以下の条件で彩度を測定した。
【0052】測定機として、MINOLTA SPEC
TROPHTOMETER CM−3700dまたはこ
れと同等の機能を有する装置を用いる。光源はハロゲン
ランプを用い、D65光源を測定光源とする。視野角は
10度、基準となる白板には酸化マグネシウム、測定径
は25.4mm、正反射光処理はSCE、これらの条件
に基づきCIE(国際照明委員会)規定のa**を求め
得られた値を用いて求めた(a*2+b*21/2を本発明
における彩度とした。 実施例1 島成分がポリエチレンテレフタレート、海成分がポリス
チレン、島/海比率=80/20重量%、島数25島、
複合繊維太さ約5dtexの高分子相互配列体繊維のス
テープルを用い、このステープルをカード・クロスラッ
パーでウェブとし、ニードルパンチして目付600g/
2 のフェルトを作り、このフェルトを収縮処理し乾燥
した。
【0053】次いで、このフェルトにポリビニールアル
コール水溶液に含浸し、乾燥した。このシートをトリク
ロールエチレン中に浸漬、圧搾し脱海し乾燥した。その
後、アゾ系黄色顔料ならびにアントラキノン系赤顔料お
よび、フタロシアニン系青顔料、(上記3種の顔料混合
後の還元洗浄脱落率4.6%、ならびに赤外線反射率8
6%)をポリウレタン固形分に対して、それぞれ固形分
で0.2重量%、0.3重量%、0.2重量%、ポリカ
ーボネート系ポリウレタン12重量%をジメチルホルム
アミドに溶解させた。この溶液を、固形分で対島繊維当
たり約29部となるようにフェルトに含浸し、湿式凝固
し乾燥した。
【0054】次いで、このシートを厚み方向に垂直なス
ライス方向で2枚にスライス(厚み中間部でスライス)
し、片面をサンドペーパーで起毛処理を行ない立毛シー
トを得た。この立毛シートを、耐光堅牢性の優れた分散
染料を用いグレーに染色し、常法にて還元洗浄、仕上げ
処理を施した。このスエード調人工皮革は、イラツキす
なわちポリウレタンのスペックのない高級感のある落ち
着いた色調のスエード調の人工皮革であった。このスエ
ード調人工皮革の耐光堅牢性を評価したところ4級と優
れた性能を示した。結果を表1に示す。 実施例2、比較例1〜3 ポリウレタンに添加する顔料および濃度を表1に記載の
内容で行った以外は実施例1と同様にしてスエード調人
工皮革を得た。結果を表1に示す。 比較例4 ポリウレタンに顔料を添加しない以外は実施例1と同様
にしてスエード調人工皮革を得た。このスエード調人工
皮革は表1に示したごとく、耐光堅牢性は優れているも
ののイラツキが目立ち高級感が劣ったスエード調人工皮
革であった。
【0055】結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明により、極細繊維を用いたスエー
ド調人工皮革の課題であったイラツキのない優美な表面
品位を有し、かつ、高耐光堅牢性を有したスエード調人
工皮革の実現を可能としたものである。
【0058】かくして得られた本発明のスエード調人工
皮革は、自動車内装材、家具用途、鞄、靴、手袋などの
資材用途としてはもちろんのこと、衣料用途としても好
適に用いることができるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F055 AA02 BA12 CA16 DA07 DA13 DA14 EA04 EA07 EA12 EA24 EA34 FA20 FA39 GA02 HA04 HA11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主として繊維太さが0.7dtex以下の
    ポリエステル極細繊維を含む繊維絡合体とポリウレタン
    からなるスエード調人工皮革であって、該ポリウレタン
    が顔料によって着色されてなり、該顔料が明細書中に記
    載の方法で測定した還元洗浄脱落率が20%以下でか
    つ、850nmにおける赤外線反射率が60%以上であ
    ることを特徴とするスエード調人工皮革。
  2. 【請求項2】ポリウレタンとして、黄色系、赤色系、青
    色系顔料のそれぞれを少なくとも1種ずつ用いて着色さ
    れていて、かつ、該顔料が混合された後のポリウレタン
    の彩度が10以下であるものを用いることを特徴とする
    請求項1記載のスエード調人工皮革。
  3. 【請求項3】ポリウレタンに含有する顔料固形分の総重
    量が、ポリウレタン固形分重量に対して0.03〜20
    重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載
    のスエード調人工皮革。
  4. 【請求項4】ポリウレタンに含有する顔料がフタロシア
    ニン系青色顔料を少なくとも1種以上含有することを特
    徴とする請求項1記載のスエード調人工皮革。
  5. 【請求項5】ポリウレタンに含有する顔料がアゾ系黄色
    顔料を少なくとも1種以上含有することを特徴とする請
    求項1記載のスエード調人工皮革。
  6. 【請求項6】ポリウレタンに含有する顔料がジケトピロ
    ロピロール系赤色顔料を少なくとも1種以上含有するこ
    とを特徴とする請求項1記載のスエード調人工皮革。
  7. 【請求項7】ポリウレタンがポリカーボネート系ポリウ
    レタンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    に記載のスエード調人工皮革。
  8. 【請求項8】繊維絡合体が、極細繊維と織物もしくは編
    み物とが絡合一体化された構造を有していることを特徴
    とする請求項1記載のスエード調人工皮革。
  9. 【請求項9】織物もしくは編み物の構成糸の少なくとも
    一部に500T/m以上、4500T/m以下の強撚糸
    が用いられて構成されてなることを特徴とする請求項8
    記載のスエード調人工皮革。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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