JP2007262627A - スエード調人工皮革 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な発色性と耐光堅牢性、耐熱堅牢性、さらには優れたフォギング特性を併せ持つスエード調の人工皮革を提供すること。特に自動車シート・自動車内装材や家具の分野などの、過酷な日光の照射使用条件下でも、染色された美しい色が、変色や退色したり、あるいはフォギング特性で劣るなどのことがない、優れたスエード調の染色された人工皮革を提供すること。
【解決手段】表面に存在する0.5dtex以下の極細ポリエステル繊維からなる立毛及びポリウレタン樹脂からなるスエード調の人工皮革であって、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ耐光堅牢度がグレースケールで3級以上であるか、あるいは耐熱堅牢度がグレースケールで3級以上であるか、あるいは、耐光堅牢度及び耐熱堅牢度がグレースケールでいずれも3級以上である人工皮革。
【選択図】なし
【解決手段】表面に存在する0.5dtex以下の極細ポリエステル繊維からなる立毛及びポリウレタン樹脂からなるスエード調の人工皮革であって、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ耐光堅牢度がグレースケールで3級以上であるか、あるいは耐熱堅牢度がグレースケールで3級以上であるか、あるいは、耐光堅牢度及び耐熱堅牢度がグレースケールでいずれも3級以上である人工皮革。
【選択図】なし
Description
本発明は、スエード調の人工皮革に関し、さらに詳しくは、特に、染色の耐光堅牢性または/および耐熱堅牢性が良好なスエード調の人工皮革に関する。
極細繊維からなるスエード調の人工皮革は、その高級外観、表面タッチ、発色性などの点から、衣料分野はもとより、自動車内装材や家具用途に広く用いられている。
特に、これらの用途でも、その高級価格ゾーンにおいての使用に耐え得る人工皮革を得るには0.1dtex以下などの極細合成繊維が特に用いられている。
そして、近年、このような衣料分野や、また自動車シート・自動車内装材や家具用途において、色の耐久性のことが注目されることが多くなった。
特に、自動車シート・自動車内装材や家具の分野では、ガラスやカーテン越し等でもかなりの時間にわたり日光の照射を受けることがあり、そうした過酷な使用条件下でも、本来のその人工皮革が持つ美しい色が退色したりすることのない人工皮革が望まれる。
中でも、特に、自動車シート・自動車内装材の分野では、車内が日光の照射を受けるとともに、車内温度も非常に高温になるのであり、優れた耐熱安定性や優れたフォギング特性を有するものであることが要求される。ここで、フォギング特性とは、自動車シート・自動車内装材等に使用されている樹脂製資材(人工皮革も該当する)などから高温雰囲気下にわずかながらでもガスが発生し、それがフロントウィンドウやサイドウィンドウのガラスを曇らせる現象についての特性をいい、そのような曇りを生じさせない堅牢さを有するものが、フォギング特性に優れているものと言われるものである。
このような耐光堅牢性、耐熱堅牢性、さらにフォギング特性に関わる問題は、人工皮革が、一般的に、極細の合成繊維とポリウレタン樹脂などの高分子弾性体とが組合わされて、かつ表面には極細の立毛が存在するという3次元的な複合構造体であることにも大きな要因があり、染色による色の見え方、そして、その本来の色の耐光堅牢性や耐熱堅牢性は、スエード調の人工皮革が、極細の合成繊維とポリウレタン樹脂を主たる材料とした組合せからなる3次元的な複合構造体であることが前提で検討されるべきものなのである。
特に、近年は、発色性の点で非常に優れたスエード調の人工皮革が実現されてきているのであり、それに伴い、その優れた発色の一層の優れた耐光堅牢性・耐熱堅牢性、さらには良好なフォギング特性などが総合的にますます要求されるようになっている。
このようなスエード調の人工皮革が呈する色とその堅牢性の問題に関連しては、もちろん、従来から問題として存在し、例えば、発色性に優れ、かつ、高耐光性を有した人工皮革として、繊度0.7dtex以下のポリエステル類からなる極細繊維および/または極細繊維束に高分子弾性体が付与されてなる人工皮革であって、該極細繊維が紫外線吸収剤および/または無機系顔料を1〜30重量%含有し、さらに染色されてなる人工皮革が提案されている(特許文献1)。
しかし、かかる特許文献1にかかるスエード調の人工皮革においては、良好な発色性と耐光堅牢性を実現した上で優れたものであったが、総合特性の点ではまだ改善の余地があるものであった。
また、超極細の合成繊維からなるので、布中で変退色する傾向が強く、特にその点を改善した染色超極細繊維布帛として、内部に形成された超極細繊維(該超極細繊維は露出表面積を有する)を有する不織布基材と、超極細繊維の露出表面積に配置された非アゾ分散染料とを含んでなるものについての提案がされている(特許文献2)。
しかし、かかる特許文献2においては、良好な発色性と耐光堅牢性を実現した上で優れたものであったが、総合特性の点ではまだ改善が求められるものであった。
本発明の目的は、上述したような点に鑑み、従来知られている水準を超える、良好な発色性と耐光堅牢性、耐熱堅牢性、さらには優れたフォギング特性を併せ持つスエード調の人工皮革、より具体的には、自動車シート・自動車内装材や家具の分野では、ガラスやカーテン越し等でもかなりの時間にわたり日光の照射を受けることがあるが、そうした過酷な使用条件下でも、本来のその人工皮革が染色されて付与された美しい色が、変色や退色したり、あるいはフォギング特性で劣るなどのことがない、優れたスエード調の染色された人工皮革を提供することにある。
上述した目的を達成する本発明のスエード調の人工皮革は、以下の(1)、(2)または(3)のいずれかの構成からなるものである。
(1)表面に存在する0.5dtex以下の極細ポリエステル繊維からなる立毛及びポリウレタン樹脂からなるスエード調の人工皮革であって、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ、耐光堅牢度がグレースケールで3級以上であることを特徴とする人工皮革。
(2)表面に存在する0.5dtex以下の極細ポリエステル繊維からなる立毛及びポリウレタン樹脂からなるスエード調の人工皮革であって、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ、耐熱堅牢度がグレースケールで3級以上であることを特徴とする人工皮革。
(3)表面に存在する0.5dtex以下の極細ポリエステル繊維からなる立毛及びポリウレタン樹脂からなるスエード調の人工皮革であって、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ、耐光堅牢度および耐熱堅牢度がいずれもグレースケールで3級以上であることを特徴とする人工皮革。
(1)表面に存在する0.5dtex以下の極細ポリエステル繊維からなる立毛及びポリウレタン樹脂からなるスエード調の人工皮革であって、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ、耐光堅牢度がグレースケールで3級以上であることを特徴とする人工皮革。
(2)表面に存在する0.5dtex以下の極細ポリエステル繊維からなる立毛及びポリウレタン樹脂からなるスエード調の人工皮革であって、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ、耐熱堅牢度がグレースケールで3級以上であることを特徴とする人工皮革。
(3)表面に存在する0.5dtex以下の極細ポリエステル繊維からなる立毛及びポリウレタン樹脂からなるスエード調の人工皮革であって、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ、耐光堅牢度および耐熱堅牢度がいずれもグレースケールで3級以上であることを特徴とする人工皮革。
さらに、これらの本発明にかかる人工皮革において、より具体的に好ましいのは、以下の(4)または(5)の人工皮革である。
(4)波長260nmから350nmの範囲内に最大吸収波長を有する紫外線吸収剤が、総重量比で5重量%以上で、かつ2種類以上が付与されていることを特徴とする上記(1)、(2)または(3)に記載の人工皮革。
(5)フォギング特性が85%以上であることを特徴とする上記(1)、(2)、(3)または(4)のいずれかに記載の人工皮革。
(4)波長260nmから350nmの範囲内に最大吸収波長を有する紫外線吸収剤が、総重量比で5重量%以上で、かつ2種類以上が付与されていることを特徴とする上記(1)、(2)または(3)に記載の人工皮革。
(5)フォギング特性が85%以上であることを特徴とする上記(1)、(2)、(3)または(4)のいずれかに記載の人工皮革。
本発明のスエード調の人工皮革によれば、従来知られている水準を超える、良好な発色性と、耐光堅牢性、耐熱堅牢性、さらには優れたフォギング特性を併せ持つスエード調の人工皮革、より具体的には、自動車シート・自動車内装材や家具の分野では、ガラスやカーテン越し等でもかなりの時間にわたり日光の照射を受けることがあるが、そうした過酷な使用条件下でも、本来のその人工皮革が染色されて付与された美しい色が、変色や退色したり、あるいはフォギング特性で劣るなどのことがない、美しいスエード調の染色された人工皮革が提供されるものである。
以下、更に詳しく本発明のスエード調人工皮革について、説明する。
本発明のスエード調の人工皮革は、表面に0.5dtex以下の極細ポリエステル繊維からなる立毛を有し、この立毛が、後述するポリウレタン樹脂の存在と相俟ってスエード調の外観や触感をかもし出しているものであり、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ、耐光堅牢度がグレースケールで3級以上である人工皮革、あるいは、同様にアントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ、耐熱堅牢度がグレースケールで3級以上である人工皮革、あるいは、同様にアントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ、耐光堅牢度および耐熱堅牢度がいずれもグレースケールで3級以上である人工皮革である。すなわち、特に、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色をすることにより、アントラキノン系染料の耐候性の良さと、非アントラキノン系染料の耐熱性の良さを併せ持つ染色を行うことができるのである。
この組合せ染料レサイプにおいて、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料の配合比率を適宜に変えることにより、耐光堅牢度がグレースケールで3級以上であるか、あるいは、耐熱堅牢度がグレースケールで3級以上であるか、あるいは、耐光堅牢度と耐熱堅牢度のいずれもグレースケールで3級以上であるかを、所望に応じて得ることができる。
すなわち、アントラキノン系の染料は、耐光性は良好であるが、耐熱性はそれほどでもないこと、一方で、アゾ系などで代表される非アントラキノン系の染料は、耐熱性は良好であるが、耐光性はそれほどでもないことをうまく利用して、両者を組み合わせたレサイプの染料(配合染料)を用いて、両特性のバランスを所望に応じて良好に得ることが可能である。
本発明において、非アントラキノン系染料としては、アゾ系、メチン系、ナフトプリノン系、キノフタノン系、あるいはソルベント系などのものを使用することが好ましい。
配合レサイプの好ましい範囲は、実際に使用される染料にも応じて変わるべきものであり、特に限定されるものではないが、本発明者等の知見によれば、一般的には、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料とが、アントラキノン系染料/非アントラキノン系染料=1〜10/10〜1の比率であるのが好ましく、より好ましくは、2〜8/8〜2の範囲内である。
特に、耐光堅牢度がグレースケールで3級以上であるものを得るには、特に限定されるものではないが、アントラキノン系染料/非アントラキノン系染料=2〜8/8〜2の比率であるレサイプとすることで一般に製造可能なものである。
また、特に耐熱堅牢度がグレースケールで3級以上であるものを得るには、特に限定されるものではないが、アントラキノン系染料/非アントラキノン系染料=2〜8/8〜2の比率であるレサイプとすることで一般に製造可能なものである。
また、特に耐光堅牢度と耐熱堅牢度がいずれもグレースケールで3級以上であるものを得るには、特に限定されるものではないが、アントラキノン系染料/非アントラキノン系染料=2〜8/8〜2の比率であるレサイプとすることで一般に製造可能なものである。
本発明の人工皮革において、さらに、波長260nm〜350nmの範囲内に最大吸収波長を有する紫外線吸収剤が、対人工皮革総重量比で5重量%以上で、かつ2種類以上が付与されていることが好ましい。
この紫外線吸収剤は、1種類のものの使用ではなく、2種類以上の混合した使用であることが重要であり、本発明者等の知見によれば、染料が複数のレサイプであるためと解されるが、該紫外線吸収剤も複数種類を混合して使用することが、耐光性、耐熱性をバランス良くより良好なものにする上で好ましいものである。その使用量は、対人工皮革総重量比で5重量%以上と比較的多く使用することが重要であり、5%未満の少ない使用量であれば、本発明の上述したレサイプの染料を使用したとしても、特に耐光性の向上効果においてレサイプによる期待どおりの効果が得られないときもあり好ましくない。該紫外線吸収剤の使用量は、このようにある程度多いことが重要であるが、その上限は、極細繊維の持つ風合いや全体のスエード調タッチとの兼ね合いなどの点から、対人工皮革総重量比で15重量%である。
なお、本発明において、「紫外線吸収剤」とは、紫外線吸収効果があると知られている物質をいい、それ自体は公知の紫外線吸収剤でもよく、例えば、本発明で特に好ましく使用できるのは、波長260nm〜350nmの範囲内に最大吸収波長を有する紫外線吸収剤であって、いわゆるヒンダート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾトリアジン系、ベンゾフェノン系などの波長260nm〜350nmの範囲内に最大吸収波長を有するものである。
この紫外線吸収剤を付与するにあたっては、染料レサイプの中に含めておいて、染色加工によって付与するようにすればよいが、ポリウレタン樹脂の中に含有させておいて付与するようにしてもよい。また、仕上げ加工で付与してもよい。
本発明において、ポリウレタン樹脂の付与量・含浸量は、対人工皮革総重量比で5重量%〜10重量%である。本発明の人工皮革では、全体として耐光性、耐熱性が良好になる結果、このポリウレタン樹脂の付与量・含浸量も、良好に使用可能な範囲が広がるものであり、人工皮革製品としての性能設計が可能な幅が広がり、ひいては各種の新規な用途面にも幅が広がることとなる。
また、本発明の人工皮革において、好ましくは、フォギング特性が85%以上であることである。これも自動車用途(カーシート、内装材)に使用されるときには有効な評価パラメータである。より好ましくは、本発明の人工皮革において、該フォギング特性の上限値は100%程度までである。
通常、紫外線吸収剤を使用すると、フォギング特性は低下し、85%未満となってしまうが、波長260nm〜350nmの範囲内に最大吸収波長を有する2種類以上の紫外線吸収剤を組合わせることにより、フォギング特性を85%以上とすることができる。フォギング特性が85%以上となるような紫外線吸収剤の好ましい組合せとしては、ベンゾトリアゾル系紫外線吸収剤(例えば、サンライフLPS950)とトリアジン系紫外線吸収剤(例えば、チバファストPNEW)の組合せ等が挙げられる。
本発明のスエード調人工皮革を製造するに際しては、極細繊維および/または極細繊維束の絡合体に、必要に応じてポリウレタン樹脂が含浸付与された立毛シートを、まず形成する。具体的には、例えば、該極細繊維発生型の海島型等の複合繊維を短繊維化し、カードクロスラッパーもしくはランダムウエッバーなど常法によりウエブを作り、その後、ニードルパンチあるいはウォータジェットパンチなどを施すことにより絡合シートを形成する。
この絡合シートを必要に応じて高密度化処理あるいはポリビニルアルコールなどの糊剤を付与した後、海成分を除去し、次いで、必要に応じて、ポリウレタン樹脂を付与する。
このシートを必要に応じて半裁(半裁:厚み方向に何枚かに切断すること)し、少なくとも一面を起毛処理することにより、スエード調の立毛シートが得られる。
さらに好ましい実施態様として、製品強力を高めるために、前述した複合繊維のウエッブを織物もしくは編み物と積層し、ニードルパンチ、ウォータージェットパンチあるいはこれらの組み合わせにより絡合一体化する。積層方法としては、繊維ウエブの両方もしくは片面に、織物もしくは編み物を積層し絡合する方法、あるいは片面に積層し絡合処理した後さらに絡合体を複数重ねて再度絡合処理し、後工程でスライス(スライス:半裁と同じ意味、繊維絡合体シートあるいは繊維ウエブとと織物とが絡合一体化されたシートあるいは高分子弾性体が願芯されたシートを厚み方向に切断する)する方法などが用いられる。必要に応じて高密度化処理あるいはポリビニルアルコールなどの糊剤を付与した後、海成分を除去し、次いで高分子弾性体を付与する。このシートを必要に応じて半裁し、半裁面を起毛処理することにより高強力な立毛シートが得られる。
織物もしくは編物を構成する糸種としては、フィラメントヤーン、紡績糸、フィラメントと短繊維の混紡糸などを用いることができ、特に限定されるものではない。また、織物もしくは編み物の種類としては、経編、トリコット編みで代表される緯編、レース編みおよびそれらの編み方を基本とした各種編物、あるいは平織、綾織、朱子織およびそれらの織り方を基本とした各種織物などいずれも採用することができ、特に限定されるものではない。
糸種によっては、ニードルパンチで複合繊維と織物もしくは編物との絡合を強固にする場合、切断されやすいことがあり、これを防止する手段として、該織物または編物の構成糸の少なくとも一部に強撚糸を使用したものが、高強力を発揮するのに良い。強撚糸の撚り数としては500T/m以上、4500T/m以下が好ましく、より好ましくは、1500T/m以上、最も好ましくは2000T/m以上である。500T/m未満では糸を構成する単糸同士の絞まりが不十分であるため、ニードルに引っかかり損傷しやすく、また撚り数が多すぎても繊維が硬くなりすぎ、製品風合い柔軟化の点から好ましくなくなるので4000T/m以下が良い。
こうして得られたスエード調人工皮革は、本発明に従い、適宜の割合でアントラキノン系染料と非アントラキノン系染料の配合したレサイプで染色をする。紫外線吸収剤は、必要に応じて、ポリウレタン樹脂中に含有させるか、あるいは染色液中に含有させるのがよい。
以下、本発明のスエード調人工皮革を実施例に従って、より具体的に説明する。
各物性値は、以下に説明する方法によって測定された値である。
(1)耐光堅牢度(グレースケール値):
キセノンランプによる促進耐光性試験方法による。
設備名:アトラス4000、温度測定B.P.T.89±3℃、湿度設定50±5%、
放射強度:48〜162W/m(300〜400nmの範囲)
放射照度比率:320nm以下を300〜400nmの範囲で1.5%未満として、変退色用グレースケール(JIS L0804)で判定した。
(1)耐光堅牢度(グレースケール値):
キセノンランプによる促進耐光性試験方法による。
設備名:アトラス4000、温度測定B.P.T.89±3℃、湿度設定50±5%、
放射強度:48〜162W/m(300〜400nmの範囲)
放射照度比率:320nm以下を300〜400nmの範囲で1.5%未満として、変退色用グレースケール(JIS L0804)で判定した。
判定は、光照射後のサンプルの変退色を、0.5刻みの1〜5級までの9段階の級判定で行い、n数を3とし、最も良い等級と最も悪い等級を除いた残りの等級を評価結果とした。例えば、n=3の級判定が、3級、3級および4級であれば評価結果は3級であり、
3級、4級および4級であれば評価結果は4級となる。
(2)耐熱堅牢度(グレースケール値):
ギア式老化試験機(スガ製)を用いて、110℃で400時間老化させ、変退色用グレースケール(JIS L0804)で判定した。
3級、4級および4級であれば評価結果は4級となる。
(2)耐熱堅牢度(グレースケール値):
ギア式老化試験機(スガ製)を用いて、110℃で400時間老化させ、変退色用グレースケール(JIS L0804)で判定した。
判定は、耐熱劣化後のサンプルの変退色を、0.5刻みの1〜5級までの9段階の級判定で行い、n数を3とし、最も良い等級と最も悪い等級を除いた残りの等級を評価結果とした。例えば、n=3の級判定が、3級、3級および4級であれば評価結果は3級であり、3級、4級および4級であれば評価結果は4級となる。
(3)フォギング特性:
直径80cmのサンプルを3枚採取する。ガラス霞み促進試験装置(ウインドウスクリーンフォギングテスター WF−2、スガ社製)で、80℃×3時間加熱してフォギングテストを行う。次に、フォギングテスト後のガラスプレート(110mm×110mmの正方形状、厚さ3mm)の反射率を、ハロゲンランプを光源とする変角光沢計(スガ社製;UGV−5)で測定する。測定角(入射角及び受光角)は60度で、サンプルを90度ずつ回転させて、1つのサンプルにつき4回(90度の4回で360度分)測定し、得られた各データR1 、R2 、R3 、R4 として、次式によりフォギングテスト後の反射率Rを算出する。
R=(R1 +R2 +R3 +R4 )/4
(3)フォギング特性:
直径80cmのサンプルを3枚採取する。ガラス霞み促進試験装置(ウインドウスクリーンフォギングテスター WF−2、スガ社製)で、80℃×3時間加熱してフォギングテストを行う。次に、フォギングテスト後のガラスプレート(110mm×110mmの正方形状、厚さ3mm)の反射率を、ハロゲンランプを光源とする変角光沢計(スガ社製;UGV−5)で測定する。測定角(入射角及び受光角)は60度で、サンプルを90度ずつ回転させて、1つのサンプルにつき4回(90度の4回で360度分)測定し、得られた各データR1 、R2 、R3 、R4 として、次式によりフォギングテスト後の反射率Rを算出する。
R=(R1 +R2 +R3 +R4 )/4
本発明でいうフォギング特性は、このR値と下記R0 の値から下記式により求めるものである。
フォギング特性(%)=R/R0 ×100
フォギング特性(%)=R/R0 ×100
すなわち、ここで、R1 、R2 、R3 、R4 はフォギングテスト後のガラスプレートの反射率(%)であり、RはR1 、R2 、R3 、R4 の平均値であり、R0 はフォギングテスト前のガラスプレートの反射率(%)である。本発明では、n数を3(サンプル3枚)として平均値を算出し小数点以下は四捨五入した。
実施例・比較例(共通部分)
島成分がポリエチレンテレフタレート、海成分がポリスチレン、島/海比率=80/20重量%、島数16島、複合繊維太さ約4dtexの高分子相互配列体繊維のステープルを用い、このステープルをカード・クロスラッパーでウェブとし、ニードルパンチして目付600g/m2 のフェルトを作り、このフェルトを収縮処理し乾燥した。
島成分がポリエチレンテレフタレート、海成分がポリスチレン、島/海比率=80/20重量%、島数16島、複合繊維太さ約4dtexの高分子相互配列体繊維のステープルを用い、このステープルをカード・クロスラッパーでウェブとし、ニードルパンチして目付600g/m2 のフェルトを作り、このフェルトを収縮処理し乾燥した。
次いで、このフェルトにポリビニールアルコール水溶液に含浸し、乾燥した。このシートをトリクロールエチレン中に浸漬、圧搾し脱海し乾燥した。その後、ポリエステル−ポリエーテル系ポリウレタンをジメチルホルムアミドに溶解させた溶液を固形分として対島繊維当たり約35部となるように含浸し、湿式凝固し乾燥した。
次いで、このシートをスライスし、非スライス面をサンドペーパーで起毛処理を行ない、極細繊維の束の絡合体にポリウレタン樹脂が含浸が付与されたスエード調立毛シートを得た。ポリウレタン樹脂の付与量は、人工皮革総重量の20重量%であった。
次いで、このスエード調立毛シートを、以下の実施例1〜3、比較例1の4種類のレサイプの染色液を用いて、それぞれ染色し仕上げ処理した。
実施例1
実施例1は、アントラキノン染料と非アントラキノン染料(アゾ系、キノリン系)の組合せ(グレー)になる以下のレサイプによるものである。各染料の使用量の%表示は、繊維重量を100とした中での該染料成分の重量%を示したものである(以下、同様)。
アゾ系 Dianix Yellow AM-42 1.50%
キノリン系 Miketon Polyester Yellow 0.48%
アントラキノン系 Disperse Red ECL-2 1.05%
アントラキノン系 Disperse TurqBlue TGLL 1.38%
実施例1は、アントラキノン染料と非アントラキノン染料(アゾ系、キノリン系)の組合せ(グレー)になる以下のレサイプによるものである。各染料の使用量の%表示は、繊維重量を100とした中での該染料成分の重量%を示したものである(以下、同様)。
アゾ系 Dianix Yellow AM-42 1.50%
キノリン系 Miketon Polyester Yellow 0.48%
アントラキノン系 Disperse Red ECL-2 1.05%
アントラキノン系 Disperse TurqBlue TGLL 1.38%
実施例2
実施例2は、実施例1と同様のアントラキノン染料と非アントラキノン染料(アゾ系、キノリン系)の組合せ(グレー)と、さらに波長260nmから350nmの範囲内に最大吸収波長を有する紫外線吸収剤2種類の組合せになる以下のレサイプによるものである。 なお、ベンゾトリアゾル系紫外線吸収剤サンライフLPS950は、波長340nmにおいて最大吸収波長を示すものであり、トリアジン系紫外線吸収剤チバファストPNEWは、波長280nmにおいて最大吸収波長を示すものであった。各紫外線吸収剤の使用量の%表示は、繊維重量を100とした中での該紫外線吸収剤成分の重量パーセントを示したものである(以下、同様)。
アゾ系 Dianix Yellow AM-42 1.50%
キノリン系 Miketon Polyester Yellow 0.48%
アントラキノン系 Disperse Red ECL-2 1.05%
アントラキノン系 Disperse TurqBlue TGLL 1.38%
ベンゾトリアゾル系紫外線吸収剤 サンライフLPS950 3.50%
トリアジン系紫外線吸収剤 チバファストPNEW 3.50%
実施例2は、実施例1と同様のアントラキノン染料と非アントラキノン染料(アゾ系、キノリン系)の組合せ(グレー)と、さらに波長260nmから350nmの範囲内に最大吸収波長を有する紫外線吸収剤2種類の組合せになる以下のレサイプによるものである。 なお、ベンゾトリアゾル系紫外線吸収剤サンライフLPS950は、波長340nmにおいて最大吸収波長を示すものであり、トリアジン系紫外線吸収剤チバファストPNEWは、波長280nmにおいて最大吸収波長を示すものであった。各紫外線吸収剤の使用量の%表示は、繊維重量を100とした中での該紫外線吸収剤成分の重量パーセントを示したものである(以下、同様)。
アゾ系 Dianix Yellow AM-42 1.50%
キノリン系 Miketon Polyester Yellow 0.48%
アントラキノン系 Disperse Red ECL-2 1.05%
アントラキノン系 Disperse TurqBlue TGLL 1.38%
ベンゾトリアゾル系紫外線吸収剤 サンライフLPS950 3.50%
トリアジン系紫外線吸収剤 チバファストPNEW 3.50%
実施例3
実施例3は、実施例1と同様のアントラキノン染料と非アントラキノン染料の組合せ(グレー)と、さらに波長260nmから350nmの範囲内に最大吸収波長を有する紫外線吸収剤1種類の組合せになる以下のレサイプによるものである。
アゾ系 Dianix Yellow AM-42 1.50%
キノリン系 Miketon Polyester Yellow 0.48%
アントラキノン系 Disperse Red ECL-2 1.05%
アントラキノン系 Disperse TurqBlue TGLL 1.38%
ベンゾトリアゾル系紫外線吸収剤 サンライフLPS950 7.00%
実施例3は、実施例1と同様のアントラキノン染料と非アントラキノン染料の組合せ(グレー)と、さらに波長260nmから350nmの範囲内に最大吸収波長を有する紫外線吸収剤1種類の組合せになる以下のレサイプによるものである。
アゾ系 Dianix Yellow AM-42 1.50%
キノリン系 Miketon Polyester Yellow 0.48%
アントラキノン系 Disperse Red ECL-2 1.05%
アントラキノン系 Disperse TurqBlue TGLL 1.38%
ベンゾトリアゾル系紫外線吸収剤 サンライフLPS950 7.00%
比較例1
比較例1は、従来の一般的な人工皮革の染料処方として、アントラキノン染料のみ3種類の以下の染料レサイプ(グレー)になる以下のレサイプによるものである。
アントラキノン系 Sumikalon Yellow E-4GL 2.32%
アントラキノン系 Terasil 2GLA 0.26%
アントラキノン系 Terasil Blue BGF 0.85%
比較例1は、従来の一般的な人工皮革の染料処方として、アントラキノン染料のみ3種類の以下の染料レサイプ(グレー)になる以下のレサイプによるものである。
アントラキノン系 Sumikalon Yellow E-4GL 2.32%
アントラキノン系 Terasil 2GLA 0.26%
アントラキノン系 Terasil Blue BGF 0.85%
以上の各実施例1〜3と比較例1について、耐光堅牢度、耐熱堅牢度、フォギング特性を評価した結果は、表1のとおりであり、実施例1〜3品は耐光堅牢度、耐熱堅牢度において優れていることがわかる。
Claims (5)
- 表面に存在する0.5dtex以下の極細ポリエステル繊維からなる立毛及びポリウレタン樹脂からなるスエード調の人工皮革であって、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ、耐光堅牢度がグレースケールで3級以上であることを特徴とする人工皮革。
- 表面に存在する0.5dtex以下の極細ポリエステル繊維からなる立毛及びポリウレタン樹脂からなるスエード調の人工皮革であって、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ、耐熱堅牢度がグレースケールで3級以上であることを特徴とする人工皮革。
- 表面に存在する0.5dtex以下の極細ポリエステル繊維からなる立毛及びポリウレタン樹脂からなるスエード調の人工皮革であって、アントラキノン系染料と非アントラキノン系染料を組合せた染料レサイプで染色され、かつ、耐光堅牢度および耐熱堅牢度がいずれもグレースケールで3級以上であることを特徴とする人工皮革。
- 波長260nmから350nmの範囲内に最大吸収波長を有する紫外線吸収剤が、対人工皮革総重量比で5重量%以上で、かつ2種類以上が付与されていることを特徴とする請求項1、2または3のいずれかに記載の人工皮革。
- フォギング特性が85%以上であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の人工皮革。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006091326A JP2007262627A (ja) | 2006-03-29 | 2006-03-29 | スエード調人工皮革 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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ID=38635878
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010126853A (ja) * | 2008-11-28 | 2010-06-10 | Teijin Fibers Ltd | 染色された布帛の製造方法および染色された布帛 |
JP5506399B2 (ja) * | 2007-12-28 | 2014-05-28 | ミドリホクヨー株式会社 | 低voc革 |
WO2018003666A1 (ja) * | 2016-06-29 | 2018-01-04 | 東レ株式会社 | 自動車のインストルメントパネル表皮材およびその製造方法 |
-
2006
- 2006-03-29 JP JP2006091326A patent/JP2007262627A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JPWO2018003666A1 (ja) * | 2016-06-29 | 2019-04-18 | 東レ株式会社 | 自動車のインストルメントパネル表皮材およびその製造方法 |
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