JP4586294B2 - スエード調人工皮革およびその製造方法 - Google Patents

スエード調人工皮革およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐光堅牢性に優れ、かつ、イラツキがなく優美な表面品位に優れたスエード調人工皮革に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
極細繊維からなるスエード調もしくはヌバック調人工皮革はその高級外観、表面タッチ、発色性の点から、衣料分野はもとより、自動車内装材や家具用途に幅広く適用されている。しかしながら、これら人工皮革に対する感性、機能面からの要求はますます高度になっている。感性面の要求としては柔軟性の向上、表面品位の向上といったものが、また機能面の要求としては耐光性の向上があげられ特に自動車内装材用途では最も重要な要求特性のひとつである。
【0003】
高級感のある表面品位を得るため、特に中濃色分野においては表面に未着色の高分子弾性体が露出し品位が低下するいわゆるイラツキ現象を緩和し色濃度の補完を行う目的でこれまで高分子弾性体にカーボンブラックを添加し着色することが一般に行われてきた。しかしながら、高分子弾性体にカーボンを添加した従来の人工皮革はカーボン未添加の人工皮革と比べると耐光堅牢性が低下する。
【0004】
従来の耐光堅牢性向上技術としては染料の改善、紫外線吸収剤や酸化防止剤ならびに光安定剤などの耐光剤を用いることなどが知られている。これら従来技術により、衣料分野などさほど耐光堅牢性を必要とされない分野ではある程度満足のゆくレベルのものが得られるようになったが、高温で長時間光照射される自動車内装材用途などの分野に対しては未だ満足のゆくものは得られていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況から鑑み、感性、機能両面からの要求を満足する耐光性に優れた人工皮革が強く望まれていた。
【0006】
本発明の目的は、イラツキのない優美な表面品位を有し、かつ、高耐光性を有するスエード調人工皮革を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
すなわち、主として繊維太さが0.7dtex以下のポリエステル極細繊維を含む繊維絡合体と高分子弾性体からなるスエード調人工皮革において、該高分子弾性体が黄色系、赤色系、青色系顔料のそれぞれを少なくとも1種ずつ含んでなり、該人工皮革が染色されてなり、かつ、該人工皮革表面の850nmにおける赤外線反射率が60%以上であり、明細書中に記載の条件で光照射したときの該人工皮革の表面温度が105℃以下であるスエード調人工皮革および主として繊維太さが0.7d tex以下のポリエステル極細繊維を含む繊維絡合体と高分子弾性体からなるスエード調人工皮革の製造方法であって、該高分子弾性体に黄色系、赤色系、青色系のそれぞれ少なくとも1種づつの顔料が含まれてなる高分子弾性体の溶液を前記繊維絡合体に付与する工程を有し、かつ、該高分子弾性体の溶液を用いて作成した湿式膜の彩度を10以下とするスエード調人工皮革の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明のスエード調人工皮革は主として平均繊度0.7dtex以下のポリエステル極細繊維を含む繊維絡合体と高分子弾性体とで構成されるものであって、本発明のポリエステル極細繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびこれらの共重合体類、ポリブチレンテレフタレートおよびこれらの共重合体類、ポリプロピレンテレフタレートおよびこれらの共重合体類が好ましく用いられる。
【0010】
本発明に用いられる極細繊維は従来法による直接紡糸法、あるいは極細繊維発生型繊維を割繊、あるいは少なくとも1成分を溶解除去する方法により得られる。また、その断面形状は特に限定されるものではない。
【0011】
本発明に用いる極細繊維の単繊維繊度は、繊度0.7d tex以下であるが、表面の平滑性や柔軟な風合いを出すためには0.5dtex以下であることが好ましい。さらには緻密性、発色性の点から0.01dtex以上0.3dtex以下の範囲が好ましい。
【0012】
極細繊維発生型繊維から少なくとも1成分を除去して極細繊維を発生させる場合、除去するポリマー成分は、極細繊維に実質的な損傷を与えずに化学的もしくは物理的に除去できる組み合わせであれば特に限定されることはなく、極細繊維のポリマーと溶剤溶解性、または分解性を異にするのが好ましい。具体例としては、ポリオレフィン、ポリスチレンおよびその共重合体類、ポリビニルアルコール、ポリアミド、アルカリ可溶型共重合ポリエステル類などが好ましい。
【0013】
かかる繊維の形態としては、通常の丸断面の他に、中空断面、三角型やY型の異形断面や芯鞘複合構造繊維を採用することができる。これらの中から極細繊維の断面形成性、紡糸性、延伸性などを考慮して組み合わせればよい。
【0014】
本発明において、繊維絡合体を形成するに当たり、カードクロスラッパーもしくはランダムウエッバーなど常法によりウェブを形成した後、ニードルパンチあるいはウォータジェットパンチ、もしくはこれを組み合わせて行うことにより絡合シートを形成する。この絡合シートをより高強度化するために、繊維絡合体が極細繊維を含む不織布と織物、もしくは編物とが一体化した構造とすることが好ましい。かかる構造体は、上記ウェブ中の繊維と織物もしくは編物との絡合一体化によって得ることができる。極細繊維発生可能型繊維を使用する場合、その後、溶剤、熱処理、あるいは機械的処理により極細化する。
【0015】
なお、この際、ウェブの両面もしくは片面に織物を積層し絡合処理する方法や、さらに該繊維絡合体を複数重ねて再度絡合処理し、後工程で、厚み方向に直角にスライスして1/2厚さのものを2枚取りとする方法など、目的に応じ使用可能である。
【0016】
織物もしくは編物を構成する糸種としては、フィラメントヤーン、紡績糸、フィラメントと短繊維の混紡糸などを用いることができ、特に限定されるものではない。また、織物もしくは編み物の種類としては、経編、トリコット編みで代表される緯編、レース編みおよびそれらの編み方を基本とした各種編み物、あるいは平織、綾織、朱子織およびそれらの織り方を基本とした各種織物などいずれも採用することができ、特に限定されるものではない。
【0017】
糸種によっては、ニードルパンチで複合繊維と織物もしくは編み物との絡合を強固にする場合、切断されやすいことがあり、これを防止する手段として、該織物または編み物の構成糸の少なくとも一部に強撚糸を使用したものが好ましい。強撚糸の撚り数としては500T/m以上、4500T/m以下が好ましく、より好ましくは、1500T/m以上、最も好ましくは2000T/m以上である。500T/m未満では糸を構成する単糸同士の絞まりが不十分であるため、ニードルパンチ時にニードルに引っかかり損傷しやすく十分な強力が得られない。また撚り数が4000T/m以上になると繊維が硬くなりすぎ、製品風合い柔軟化の点から好ましくない。
【0018】
織物もしくは編物を構成する繊維は、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリエチレン類、ポリプロピレン類およびそれらの共重合体類を用いるのが好ましい。
【0019】
次いで、本発明はこれらの極細繊維を含む繊維絡合体に高分子弾性体を付与する。
【0020】
本発明に用いられる高分子弾性体としては、例えばポリウレタンエラストマー、アクリロニトリル、ブダジエンラバー、天然ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリアミドなどを用いることができる。
【0021】
特に加工性および製品品位などの観点からポリウレタンエラストマーが好ましく、特に平均分子量500〜3000のポリエステルジオール系、ポリエーテルジオール系、ポリカーボネートジオール系を用いてなるポリウレタンを単独もしくは組み合わせて用いることができるが、耐久性の観点から全ポリマージオール中ポリカーボネートジオールを30重量%以上含有されてなるポリウレタンエラストマーを用いるのがさらに好ましい。30重量%未満であると耐久性が不十分なので好ましくない。ここでいうポリカーボネートジオールとは、ジオール骨格がカーボネート結合を介して連結されて高分子鎖を形成し、その両末端に水酸基を有するものである。該ジオール骨格は、原料として用いるグリコールにより決定されるが、その種類は特に制限されることはなく、例えば、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及びこれらの混合物などを用いることができる。
【0022】
また、これら高分子弾性体はポリエステル繊維重量に対して固形分で10〜60重量%含有することが好ましい。10重量%以下では得られる人工皮革の強力が弱く、60重量%以上では風合いが固くなるため好ましくない。
【0023】
本発明は、これら高分子弾性体を溶剤あるいは分散剤で分散させた溶液を上記繊維絡合体に含浸させ凝固させる。凝固方法は湿式、乾式いずれでもよいが柔軟な風合いを得ようとする場合は湿式が好ましい。高分子弾性体中には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、制電剤、難燃剤、柔軟剤、凝固調整剤、着色剤などの添加剤を配合するが、本発明は繊維絡合体に付与するこれら高分子弾性体中に顔料が含有することが必要である。顔料による着色がない場合、スエード調人工皮革の表面に露出した高分子弾性体によるイラツキ現象が発生し優美な高級感を得ることができない。
【0024】
本発明に依る人工皮革は、その表面が赤外線を反射することにより光照射時の蓄熱による温度上昇を抑制し耐光劣化を防止するものであり、該人工皮革表面の850nmにおける赤外線反射率は60%以上必要である。
60%以上でないと本発明の高い耐光堅牢性が得られず、より高い耐光堅牢性を得るためには80%以上であることが好ましい。
このような赤外線反射能を有する本発明の人工皮革は、上記顔料を用いるにあたって、850nmにおける赤外線反射率が60%以上である顔料を高分子弾性体に添加することにより製造することができる。
【0025】
本発明者らは鋭意検討の結果、高分子弾性体とポリエステルからなる人工皮革の赤外線反射率が主として高分子弾性体に添加される着色剤により決定され、かつ、かかる赤外線反射率が人工皮革の耐光堅牢性に極めて強い影響を及ぼしていることを見いだし本発明に至った。例えば、高分子弾性体に添加される着色剤として最も一般的に使用されているカーボンブラックを添加させた人工皮革の該反射率は30%前後の値を示し、カーボンブラックを高分子弾性体の着色剤として添加すると人工皮革の耐光堅牢性は大きく低下する。このことより850nmにおける赤外線反射率60%以上を有する本発明の人工皮革の製造には高分子弾性体に添加される顔料の850nmにおける赤外線反射率が60%以上であることが必要であり、赤外線反射率80%以上の人工皮革の製造には顔料の850nmにおける赤外線反射率が80%以上であることが必要である。
【0026】
ここでいう顔料の赤外線反射率とは、ポリウレタン中にポリウレタン樹脂固形分に対して顔料を3%配合しDMFで溶解した溶液を、ガラス板上にコーティングし、温度20℃の水中で1時間湿式凝固しその後乾燥して得られた厚さ50μmのフィルム状のものを、分光光度計積分球で測定した850nmの反射率をいう。
【0027】
本発明でいう850nmにおける赤外線反射率は、以下のようにして測定する。
【0028】
測定機として、日立自記分光光度計U3400を用いる。
【0029】
基準となる白板には酸化マグネシウムを用い、まず、分光光度計から850nmの光を白板に照射し、反射した光を積分球で集めて反射光の強度を測定し、その値をR100とする。次に白板を測定したい試料に替えて同様の測定を行い、得られた値をRSampとする。これらの値を用いて求めた(Rsamp)/(R100)×100を、本発明における反射率とする。
【0030】
この赤外線を反射する顔料としては、赤色系顔料では、例えばアントラキノン系、ペリレン系、DPP系、キナクリドン系、ポリアゾ系、イミダゾロン系などが、青色系顔料では例えばフタロシアニン系、スレン系などが、黄色系顔料では例えばアントラキノン系、アゾ系、イソインドリン系などの化合物がそれぞれ上げられるがこれらに限定されるものではない。
【0031】
また、本発明の人工皮革を得るにあたっては、繊維絡合体に高分子弾性体を付与する工程において、黄色系、赤色系、青色系顔料の少なくとも1種づつを高分子弾性体に混合した溶液を用いて作成した湿式膜の彩度が10以下であるように調合した溶液を含浸することにより製造することができる。
かかる顔料を混合して用いることにより単独で用いる場合に比べ色相に深みが増し、高級感のある外観が得られる。また、該顔料混合の比率については、上記混合溶液を用いて作成した湿式膜の彩度が、好ましくは10以下、さらに好ましくは6.5以下であるように混合するのがよい。このような比率で混合することで高分子弾性体が無彩色に近い落ち着いた色相に着色され、人工皮革を何色に染色してもイラツキのない外観品位の良好な人工皮革が得られるのである。ここでいう顔料の混合後の彩度とは、繊維絡合体に含浸する混合溶液(高分子弾性体、顔料、溶剤、その他添加剤)をガラス板上にコーティングしたものを湿式凝固方式で厚さ50μmのフィルム状にしたものを5センチメートル四方にカットし以下のようにして測定して得られた彩度を言う。
【0032】
測定機として、MINOLTA SPECTROPHTOMETER CMー3700dまたはこれと同等の機能を有する装置を用いる。光源はハロゲンランプを用い、D65光源を測定光源とする。視野角は10度、基準となる白板には酸化マグネシウム、測定径は25.4mm、正反射光処理はSCE、これらの条件に基づき、まず、分光測色計光源から白板にD65光源を照射し、反射した光を積分球で集めて反射光の強度を測定し、これを100%とした時の、同様にして測定した試料の反射光の強度を測定する。この値をもとにCIE(国際照明委員会)L***規定のa**を求め得られた値を用いて求めた(a*2+b*21/2を本発明における彩度とする。
【0033】
顔料の総添加量は高分子弾性体固形分に対して0.03〜20%含有できる範囲が好ましい。より好ましくは0.05〜15%の範囲である。0.03%未満では高分子弾性体が着色されずイラツキ防止効果が得られない。また20%を越えると製品の物性に影響を及ぼす。
【0034】
このシートを必要に応じて厚み方向に半裁(1/2厚みになるようにスライス裁断すること)し、少なくとも一面を起毛処理することにより、着色された立毛シートが得られる。
【0035】
また、本発明のスエード調人工皮革は染色されてなることが必要である。すなわち、染色されていることによって、高級感のある優美な表面品位の人工皮革が得られるのである。
【0036】
染色にあたって、使用する染色機は通常用いるものが使用でき、液流染色機が特に好ましく用いられる。使用される染料は分散染料、バット染料などから選ばれた耐光性の優れたものを用いることが好ましい。さらに、本発明に依る人工皮革はその表面の850nmにおける赤外線反射率を60%以上とするものであり、用いられる染料は850nmにおける赤外線反射率が60%以上であることが好ましい。
【0037】
ここでいう染料の赤外線反射率とは、ポリウレタン中に染料をポリウレタン樹脂固形分に対して3%配合したものを厚さ50μmのフィルム状にし分光光度計積分球で測定した850nmにおける反射率が60%以上を示すことをいう。反射率の測定方法は前記の方法に従って行う。
【0038】
本発明のさらなる重要なポイントは、以下の条件で光照射時の人工皮革の表面温度が105℃以下となることである。105℃を越えると耐光堅牢性が不十分となり高い耐光堅牢性が得られない。表面温度の測定にあたっては、光照射される試料表面にサーモラベル(サーモラベル5E:日油技研工業(株)社製)を貼付し、光照射後サーモラベルの変色を観察することによって行う。
【0039】
<光照射条件>
JASO(日本自動車技術会) M346−93規定のキセノンウェザーメータ(SC750−WAP(スガ試験器(株)社製))を用い、厚み10mm、比重0.02±0.005のウレタンフォーム裏打ちを行い、下記(1)〜(4)の条件で光照射した。
(1) 放射照度150W/m2
(2) ブラックパネル73℃
(3) 湿度50%RH
(4) 照射時間5時間
光照射時の人工皮革の表面温度が105℃以下となる人工皮革を得るためには、人工皮革表面の850nmにおける赤外線反射率を60%以上とすること、すなわち高分子弾性体に添加する顔料として、850nmにおける赤外線反射率が60%以上のものを用いることにより製造することができる。
【0040】
本発明はこのように、スエード調人工皮革表面の光照射時の温度上昇を抑制することによって、本発明の目的とするイラツキがなく、かつ高耐光性に優れたスエード調人工皮革を得ることを可能としたものである。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0042】
実施例および比較例における製品の耐光性、表面温度、イラツキの評価、ならびに赤外線反射率、彩度の測定は以下に示す方法により行った。
(1)耐光性
JASO(日本自動車技術会) M346−93規定のキセノンウェザーメータ(SC750−WAP(スガ試験器(株)社製))を用い、厚み10mm、比重0.02±0.005のウレタンフォーム裏打ちを行い、以下の(A)+(B)の処理を1サイクルとし、38サイクル光照射後、JIS L0804規定の変褪色用グレースケールで等級を判定した。
(A)放射照度150W/m2 、ブラックパネル73℃、湿度50%RH、3.8時間照射。
(B)放射照度0W/m2 、ブラックパネル38℃、湿度95%RH、1時間照射
(2) 表面温度
光照射される試料表面にサーモラベル(サーモラベル5E:日油技研工業(株)社製)を貼付し、以下の条件で光照射後サーモラベルの変色を観察することによって測定した。
【0043】
<光照射条件>
JASO(日本自動車技術会) M346−93規定のキセノンウェザーメータ(SC750−WAP(スガ試験器(株)社製))を用い、厚み10m、比重0.02±0.005のmのウレタンフォーム裏打ちを行い、放射照度150W/m2 、ブラックパネル73℃、湿度50%RH、5時間照射。
(3)赤外線反射率
日立自記分光光度計U3400(日立製作所製)積分球を用いて850nmにおける反射率を測定した。
【0044】
測定に当たっては、人工皮革、顔料、染料のそれぞれにおいて、以下の方法に依った。
【0045】
人工皮革の場合は、人工皮革を5cm四方にカットしたものを作成し、基準となる白板には酸化マグネシウム用い、まず、分光光度計から850nmの光を白板に照射し、反射した光を積分球で集めて反射光の強度を測定し、その値をR100とする。次に白板をこの試料に替え、表面である立毛面が光照射されるようにして同様の測定を行い、得られた値をRSampとする。これらの値を用いて求めた(Rsamp)/(R100)×100を、本発明における反射率とした。
【0046】
顔料の場合は、ポリウレタン中に顔料をポリウレタン樹脂固形分に対して3重量%配合したものを湿式凝固方式で厚さ50μmのフィルム状にしたものを作成し、これを5cm四方にカットし、人工皮革と同様にして測定した。
【0047】
染料の場合は、ポリウレタン中に染料をポリウレタン樹脂固形分に対して3重量%配合したものを湿式凝固方式で厚さ50μmのフィルム状にしたものを作成し、これを5cm四方にカットし、人工皮革と同様にして測定した。
(4) イラツキ
肉眼で評価し、イラツキ(スペックによる外観品位低下)の発生がないものを○、やや発生するものを△、非常に目立つものを×で示した。
(5)彩度
MINOLTA SPECTROPHTOMETER CMー3700dを用いて顔料の彩度を測定した。
測定にあたっては、繊維絡合体に含浸する混合溶液(高分子弾性体、顔料、溶剤、その他添加剤)をガラス板上にコーティングしたものを湿式凝固方式で厚さ50μmのフィルム状にしたものを5センチメータ四方にカットし、以下の条件でこれを測定した。
【0048】
光源はハロゲンランプを用い、D65光源を測定光源とする。視野角10度、基準となる白板には酸化マグネシウム、測定径25.4mm、正反射光処理はSCEとし、これらの条件に基づき、まず、分光測色計光源から白板にD65光源を照射し、反射した光を積分球で集めて反射光の強度を測定し、これを100%とした時の、同様にして測定した試料の反射光の強度を測定する。この値をもとにCIE(国際照明委員会)La**規定のa**を求め。得られた値を用いて求めた(a*2+b*21/2 を本発明における彩度とする。
実施例1
島成分がポリエチレンテレフタレート、海成分がポリスチレン、島/海比率=80/20重量%、島数25島、複合繊維太さ約5d texの高分子相互配列体繊維のステープルを用い、このステープルをカード・クロスラッパーでウェブとし、ニードルパンチして目付600g/m2 のフェルトを作り、このフェルトを収縮処理し乾燥した。次いで、このフェルトにポリビニールアルコール水溶液に含浸し、乾燥した。このシートをトリクロールエチレン中に浸漬、圧搾し脱海し乾燥した。その後、アゾ系黄色顔料(850nmにおける赤外線反射率88%)ならびにアントラキノン系赤顔料(850nmにおける赤外線反射率85%)および、フタロシアニン系青顔料(850nmにおける赤外線反射率86%)をポリウレタン固形分に対して、それぞれ固形分で0.2重量%、0.3重量%、0.2重量%、ポリカーボネート系ポリウレタン12重量%をジメチルホルムアミドに溶解させた。この溶液を、固形分で対島繊維当たり約29部となるように含浸し、湿式凝固し乾燥した。
【0049】
次いで、このシートを厚み方向に2枚にスライスし、片面をサンドペーパーで起毛処理を行ない立毛シートを得た。この立毛シートを、850nmにおける赤外線反射率が83%の耐光性の優れた分散染料を用いワインレッドに染色し仕上げ処理した。このスエード調人工皮革を構成するポリエステル極細繊維の平均単繊維繊度は約0.2d texであり、用いたポリウレタン溶液を湿式凝固して得られた彩度は2.5であった。
【0050】
このスエード調人工皮革はイラツキがなく、高級感のある落ち着いた色調のスエード調の人工皮革であった。
【0051】
このスエード調人工皮革の850nmにおける赤外線反射率を測定したところ85%であった。また、耐光性を評価したところ4級と優れた性能を示した。
実施例2〜3、比較例1〜2
高分子弾性体に添加する顔料および濃度を表1に記載の内容で行う以外は実施例1と同様にしてスエード調人工皮革を得た。
比較例3
高分子弾性体に顔料を添加しない以外は実施例1と同様にしてスエード調人工皮革を得た。この人工皮革の850nmにおける反射率を測定したところ88%であった。このスエード調人工皮革は表1に示したごとく、耐光性は優れているもののイラツキが目立ち高級感が劣ったスエード調人工皮革であった。
比較例4
高分子弾性体に添加する顔料および濃度を表1に記載の内容で行う以外は実施例1と同様にしてスエード調人工皮革を得た。
【0052】
以上の結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
Figure 0004586294
【0054】
【発明の効果】
本発明により、極細繊維を用いたスエード調人工皮革の課題であった、イラツキのない優美な表面品位を有し、かつ、高耐光性を有したスエード調人工皮革を可能としたものである。
【0055】
かくして得られた本発明のスエード調人工皮革は、自動車内装材、家具用途、鞄、靴、手袋などの資材用途としてはもちろんのこと、衣料用途としても好適に用いることができるものである。

Claims (7)

  1. 主として繊維太さが0.7dtex以下のポリエステル極細繊維を含む繊維絡合体と高分子弾性体からなるスエード調人工皮革において、該高分子弾性体が黄色系、赤色系、青色系顔料のそれぞれを少なくとも1種ずつ含んでなり、該人工皮革が染色されてなり、かつ、該人工皮革表面の850nmにおける赤外線反射率が60%以上であり、明細書中に記載の条件で光照射したときの該人工皮革の表面温度が105℃以下であることを特徴とするスエード調人工皮革。
  2. 高分子弾性体に含有される顔料の総重量が、高分子弾性体重量に対して0.03〜20重量%であることを特徴とする請求項1に記載のスエード調人工皮革。
  3. 高分子弾性体がポリカーボネート系ポリウレタンであることを特徴とする請求項1または2に記載のスエード調人工皮革。
  4. 高分子弾性体に含有される顔料が有機系顔料であることを特徴とする請求項1または2に記載のスエード調人工皮革。
  5. 極細繊維が織物もしくは編み物と絡合一体化された構造を有することを特徴とする請求項1に記載のスエード調人工皮革。
  6. 織物もしくは編み物の構成糸の少なくとも一部に500T/m以上4500T/m以下の強撚糸が用いられてなることを特徴とする請求項5に記載のスエード調人工皮革。
  7. 主として繊維太さが0.7d tex以下のポリエステル極細繊維を含む繊維絡合体と高分子弾性体からなるスエード調人工皮革の製造方法であって、該高分子弾性体に黄色系、赤色系、青色系のそれぞれ少なくとも1種づつの顔料が含まれてなる高分子弾性体の溶液を前記繊維絡合体に付与する工程を有し、かつ、該高分子弾性体の溶液を用いて作成した湿式膜の彩度を10以下とすることを特徴とするスエード調人工皮革の製造方法。
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