JP2005320647A - 皮革様シート状物ならびにその製造方法 - Google Patents

皮革様シート状物ならびにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】色濃度が高く、かつ、堅牢性に優れた皮革様シート状物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細短繊維を含む皮革様シート状物であって、該皮革様シート状物が不織布で構成され、実質的に繊維素材からなり、かつ、該皮革様シート状物が染色されてなり、表面のL値が下式(1)を満足するものであることを特徴とする皮革様シート状物。
値≦12 ・・・(1)
【選択図】なし

Description

本発明は、高い色濃度を有し、かつ、染色堅牢性に優れた皮革用シート状物およびその製造方法に関するものである。より詳細には、高い色濃度を有した主として繊維素材からなる、優れた染色堅牢性、十分な物性、柔軟性、滑らかなタッチを有する皮革様シート状物およびその製造方法に関するものである。
従来より、極細繊維が交絡してなるスエード調の皮革様シート状物としては、高分子弾性体を付与した不織布の表面に極細繊維を立毛させたものが知られており、不織布基体に付与する高分子弾性体としてポリウレタンが一般に用いられている。このような皮革様シート状物分野においては、近年益々高級化が要求され、外観、風合い、発色性等の感性面と耐摩耗性などの表面物性を満足するものが求められている。滑らかなタッチや高級な表面品位を得るためには用いる繊維を細くする必要がある。しかしながら、繊維が細くなれば細くなるほど、繊維表面積が増加するため表面反射光が増加し、見かけの色濃度は低くなり、色濃度の高いシート状物が得られにくいという欠点がある。
この問題に対し、これまで、極細繊維の発色性の改良については、多くの試みがなされている。
例えば、繊維立毛シートの表面に易染性樹脂を付与して染色することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では発色性はある程度改良されるものの、立毛面の滑らかさが低下し風合いが硬化するといった欠点が生じる。
また、繊度0.01〜0.6dtexの極細繊維を30%以上含有した繊維が編織物からなる基布と交絡して絡合構造を形成し、黒色に着色され、かつ、高分子弾性体が付与され、L*値が12以下、aおよびb値が−1〜+1の範囲にある黒色着色不織布が提案されている(例えば特許文献2参照)。しかしながら、これは発色性に優れるアクリロニトリル系繊維とカチオン染料の組合せでは達成することができても、その他の繊維や染料では達成することが困難であった。
また、繊度の異なる極細繊維の混在した極細繊維束を用い、その繊度および分布を制御して、発色性と風合いおよび表面物性を併せ持つことが提案されている。例えば、繊維束の外周から半径の1/4以内には細繊維(繊度Ds)を、中心から半径の2/3以内には極細繊維(繊度Dc)を配し、繊度比を規定(3.0Dc≦Ds)した繊維束よりなる絡合不織布を形成し、その後高分子弾性体を付与し染色してなる皮革様シート状物の製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、本発明者らの知見によると、この方法ではある程度の発色性向上効果は認められるものの、繊度の高い繊維がシート表面に局在化するため、滑らかなタッチを有したシート状物が得にくいという欠点がある。
極細繊維よりなる皮革様シート状物において、柔軟な風合い、強度、発色性のバランスを取ることはこれら従来の提案では困難であった。本発明者らは鋭意検討の結果、このバランスを取るためには高分子弾性体を実質的に含まないことで達成できることを見いだし、本発明に至ったものである。
特開昭55−506号公報 特開2003−27380号公報 特開2002−180329号公報
本発明は、靴、家具、衣料等に用いることができる、高分子弾性体を実質的に含まないでも、十分な物性、柔軟な風合い、滑らかなタッチを有する色濃度が高く、かつ、堅牢度に優れた皮革様シート状物およびその製造方法を提供するものである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を有する。すなわち、
(1)単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細短繊維を含む皮革様シート状物であって、該皮革様シート状物が不織布で構成され、実質的に繊維素材からなり、かつ、該皮革様シート状物が染色されてなり、表面のL値が下式(1)を満足するものであることを特徴とする皮革様シート状物。
値≦12 ・・・(1)
(2)繊維長10cm以下、目付が100〜550g/m、繊維見掛け密度が0.29〜0.7g/cmである極細短繊維不織布を含み、引き裂き強力が3〜50Nであり、かつ下式(2)を満足することを特徴とする前記(1)に記載の皮革様シート状物。
引張強力(N/cm)≧0.45×目付(g/m)−40 ・・・(2)
(3)極細繊維の繊度が0.001〜0.3デシテックスであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の皮革様シート状物。
(4)JIS L0860(1996)8.1A.法にて測定したドライクリーニングにおける変褪色が4級以上であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の皮革様シート状物。
(5)JIS L0844(1997)AI法に基づいて測定した洗濯堅牢度における変褪色が4級以上、汚染が3級以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の皮革様シート状物。
(6)JIS L0849(1996)6.1.2に基づいて測定した乾摩擦堅牢度が4級以上、JIS L0849(1996)6.2.2法に基づいて測定した湿摩擦堅牢度が3級以上であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の皮革様シート状物。
(7)JIS L0842(1996)6法に基づいて測定した耐光堅牢度が4級以上であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の皮革様シート状物。
(8)JIS L1096(1999)8.17.5E.(12kpa)マーチンデール法における摩耗試験において、20000回摩耗した時の摩耗減量が20mg以下であり、かつ毛玉の数が5個以下であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の皮革様シート状物。
(9)極細繊維がポリエステル系繊維であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の皮革様シート状物。
(10)0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な極細繊維発生型短繊維をニードルパンチ法により絡合させた後に、極細繊維を発生させて極細短繊維不織布とし、次いで少なくとも10MPaの圧力で高速流体処理を行って再度絡合させ、その後染料濃度15〜70%owfで染色し、次いで洗浄を行うことを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。
(11)用いる染料のうち、少なくとも1種がアゾ系であることを特徴とする前記(10)に記載の皮革様シート状物の製造方法。
(12)極細繊維がポリエステル系繊維であり、かつ、用いる染料が分散染料であることを特徴とする前記(10)または(11)に記載の皮革様シート状物の製造方法。
(13)染色の温度が125〜150℃の範囲であることを特徴とする前記(12)に記載の皮革様シート状物の製造方法。
(14)染色前にサンドペーパーにより起毛処理を施すことを特徴とする前記(10)〜(13)のいずれかに記載の皮革様シート状物の製造方法。
本発明によれば、色濃度が高く、かつ、染色堅牢性に優れた皮革様シート状物を提供することができる。
また、本発明によれば、靴、家具、カーシート、衣料等に用いることができる発色性、堅牢度に優れた皮革様シート状物を得ることができる。
本発明の皮革様シート状物は、染色されてなり、高い色濃度を有することを特徴とするものであり、皮革様シート状物表面のL値が下式(1)を満足することが重要である。
値≦12 ・・・(1)
値がこの式を満足しないと、色濃度の高い皮革様シート状物が得られない。また、皮革様シート状物表面のL値が下式(3)を満足することが好ましい。
値≦11.5 ・・・(3)
上記L値を得るため本発明の皮革様シート状物は、高分子弾性体を実質的に含まず繊維素材からなることが重要である。さらに、例えば、染料濃度15〜70重量%を用い、温度125〜150℃の範囲で染色を行い、用いる染料のうち少なくとも1種が発色性の高いアゾ系染料である等の組合せとすることが好ましいものである。
なお、L値は、MINOLTA SPECTROPHTOMETER CMー3700d(ミノルタ(株)社製)で測定し、D65光源、視野角は10度とし、JIS Z8729で表色したものである。
また、本発明の皮革様シート状物は、少なくとも不織布で構成されているものであり、これにより革のような風合いを得ることが可能となる。不織布を含むものであれば織編物を積層などして含むものであってもよい。
上述した本発明の皮革様シート状物が、不織布で構成され、実質的に繊維素材からなるためには、皮革様シート状物自体の強度を向上させることが有効な手段となり、特に染色時のアクションに耐えうる強力、製品となった場合の十分な品位や物性等を有することが重要である。
皮革様シート状物とは、天然皮革のようなスエード、ヌバック、銀面の優れた表面外観を有してなるものであり、特に本発明において好ましいものはスエードやヌバックといった立毛調の外観において、滑らかなタッチと優れたライティングエフェクトを有するものである。
本発明の皮革様シート状物は、不織布を構成する繊維の単繊維繊度は0.0001〜0.5デシテックスの範囲のものである。好ましくは0.001〜0.3デシテックス、より好ましくは0.005〜0.15デシテックス、さらに好ましくは0.005〜0.09デシテックスである。0.0001デシテックス未満であると、色濃度の高い皮革様シート状物が得られず、また強度が低下するため好ましくない。また0.5デシテックスを越えると、風合いが堅くなり、また、表面品位が低下する等の問題も発生するため好ましくない。また、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の範囲を越える繊度の繊維が含まれていてもよい。
本発明の皮革様シート状物は、品位や風合いが優れる点で、短繊維不織布からなり、繊維長が10cm以下であることが好ましく、7cm以下であることがより好ましい。10cmを越える繊維長のものも、本発明の効果を損なわない限り含まれていても良い。また下限は特に限定されず、不織布の製造方法によって適宜設定できるが、0.1cm未満であると脱落が多くなり、また強度や摩耗等の特性が低下する傾向があるため、好ましくなく、0.1cm以上であることが好ましい。また、強度等の物性、品位等を考慮した場合、繊維長が均一でない方が好ましい。すなわち0.1〜10cmの繊維長の範囲内において、短い繊維と長い繊維が混在することが好ましい。例えば0.1〜1cm、好ましくは0.1〜0.5cmの短い繊維と、1〜10cm、好ましくは2〜7cmの長い繊維が混在する不織布を例示することができる。ここで例えば短い繊維は表面品位の向上や緻密化等のために、また長い繊維は高い物性を得るため等の役割がある。
また、本発明の皮革様シート状物は、目付が100〜550g/mであることが好ましい。120〜450g/mであることがより好ましく、140〜350g/mであることがさらに好ましい。100g/m未満であると、不織布構造体のみでは物性が低下し、織物および/または編み物を積層している場合は、表面に織物および/または編み物の外観が見えやすくなり、品位が低下するため好ましくない。また550g/mを越える場合は、耐摩耗性が低下する傾向があるため好ましくない。
本発明の皮革様シート状物は、繊維見掛け密度は、0.29〜0.7g/cmであることが好ましい。繊維見掛け密度は0.3〜0.65g/cmであることがより好ましく、0.33〜0.6g/cmであることがさらに好ましい。0.29g/cm未満であると、特に耐摩耗性が低下するため好ましくない。また0.7g/cmを越えると風合いが堅くなり好ましくない。
本発明の皮革様シート状物は、タテおよびヨコ方向のいずれの引き裂き強力も3〜50Nの範囲であることが好ましく、5〜30Nであることがより好ましい。さらに好ましくは10〜25Nである。3N未満であると、破れやすくなる他、工程通過性も低下し、安定した生産が困難になる。また50Nを越えると、一般に柔軟化しすぎる傾向があり、風合いとのバランスが取りにくくなるため好ましくない。これらの引き裂き強力を得るためには、繊維見掛け密度を適正な範囲に調整することで達成でき、一般に高密度化すると強力は低下する傾向がある。また揉み加工等によって柔軟化することで向上させることもできる。
本発明の皮革様シート状物は、タテおよびヨコ方向のいずれの引張強力も下式(2)を満足することが好ましい。
引張強力(N/cm)≧0.45×目付(g/m)−40 ・・・(2)
また、タテおよびヨコ方向のいずれの引張強力も下式(4)を満足することがより好ましい。
引張強力(N/cm)≧0.5×目付(g/m)−40 ・・・(4)
また、タテおよびヨコ方向のいずれの引張強力も下式(5)を満足することがさらに好ましい。
引張強力(N/cm)≧0.6×目付(g/m)−40 ・・・(5)
引張強力が次式(2)の
引張強力(N/cm)≧0.45×目付(g/m)−40 ・・・(2)
を満足しない範囲であると、特に実質的に高分子弾性体を含まない皮革様シート状物においては、やぶれ等の問題が発生する可能性があるため好ましくない。また上限は特に限定されるものではないが、通常250N/cm以下となる。
本発明の皮革様シート状物は、JIS L 0860(1996)8.1A.法に基づいて測定されるドライクリーニング試験において、JIS L0804規定のグレースケールにて判定した試験布の変褪色が4級以上であることが好ましい。変褪色が4級を満たない場合、ドライクリーニング後の色あせが大きく品位が低下するため好ましくない。
また、JIS L0844(1997)AI法に基づいて測定される洗濯堅牢度試験において、JIS L0804規定のグレースケールにて判定した試験布の変褪色が4級以上、かつL0805規定のグレースケールにて判定した添付布の汚染が3級以上であることが好ましい。変褪色が4級を満たない場合、洗濯後の色あせにより品位が低下するため好ましくない。また、添付布の汚染が3級を満たない場合は裏地や同浴で洗濯した他の製品が汚染される場合があるため好ましくない。
また、本発明の皮革様シート状物は、JIS L0849(1996)6.1.2にて測定した乾摩擦堅牢度が4級以上、ならびに、JIS L0849(1996)6.2.2にて測定した湿摩擦堅牢度が3級以上であることが好ましい。乾摩擦堅牢度が4級を満たない場合は、実使用において衣服等が汚染される傾向にあるため好ましくない。また湿摩擦堅牢度が3級を満たない場合は雨、汗など湿潤条件下で使用した場合に衣服等が汚染される傾向にあるため好ましくない。
また、本発明の皮革様シート状物のいずれの態様も、JIS L0842(1996)6に基づいて測定した耐光堅牢度が4級以上であることが好ましい。4級を満たない場合、洗濯後の屋外乾燥や家具、カーシート等、太陽光の照射を受ける使用下においては色あせが大きく外観品位が低下する傾向にあるため好ましくない。
また、本発明の皮革様シート状物は、JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に基づいて測定される耐摩耗試験において、20000回の回数を摩耗した後の試験布の摩耗減量が好ましくは20mg以下、より好ましくは15mg以下、さらに好ましくは10mg以下であり、かつ毛玉の数が5個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましく、1個以下であることがさらに好ましい。摩耗減量が20mgを越える場合、実使用において毛羽が服等に付着する傾向があるため好ましくない。一方、下限は特に限定されず、本発明の皮革様シートであればほとんど摩耗減量がないものも得ることができる。また発生する毛玉の数については、5個を越えると、使用した時の外観変化によって品位が低下するため好ましくない。
このような耐摩耗性を得るためには、特に繊維見掛け密度が重要であり、高密度化する程良好になる。また柔軟剤等を多量に使用すると低下する傾向が見られる。したがって、風合いとのバランスをとりながら、これらの条件を設定することが重要である。
以下、本発明の皮革様シート状物を製造する方法の一例について説明する。
本発明の皮革様シート状物を得るのに好ましい方法は、0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な極細繊維発生型短繊維をニードルパンチ法により絡合させた後に、極細繊維を発生させて極細短繊維不織布とし、次いで少なくとも10MPaの圧力で高速流体処理を行って再度絡合させ、その後に染料濃度15〜70%owfで染色し、さらにその後還元洗浄を行うことである。
単繊維繊度が上述の範囲にある、いわゆる極細繊維の製造方法は特に限定されず、例えば直接極細繊維を紡糸する方法、通常繊度の繊維であって極細繊維を発生することができる繊維(極細繊維発生型繊維)を紡糸し、次いで極細繊維を発生させる方法がある。そして極細繊維発生型繊維を用いる方法としては、例えば海島型複合繊維を紡糸してから海成分を除去する方法、分割型複合繊維を紡糸してから分割して極細化する方法等の手段で製造することができる。これらの中で、本発明においては極細繊維を容易に安定して得ることができる点で、海島型複合繊維または分割型複合繊維によって製造することが好ましく、さらには皮革様シート状物とした場合、同種の染料で染色できる同種ポリマーからなる極細繊維を容易に得ることができる点で、海島型複合繊維によって製造することがより好ましい。
本発明でいう海島型複合繊維とは、2成分以上の成分を任意の段階で複合、混合して海島状態とした繊維をいい、この繊維を得る方法としては、特に限定されず、例えば(1)2成分以上のポリマーをチップ状態でブレンドして紡糸する方法、(2)予め2成分以上のポリマーを混練してチップ化した後、紡糸する方法、(3)溶融状態の2成分以上のポリマーを紡糸機のパック内で静止混練器等で混合する方法、(4)特公昭44−18369号公報、特開昭54−116417号公報等の口金を用いて製造する方法、等が挙げられる。本発明においてはいずれの方法でも良好に製造することができるが、ポリマーの選択が容易である点で上記(4)の方法が好ましく採用される。
かかる(4)の方法において、海島型複合繊維および海成分を除去して得られる島繊維の断面形状は特に限定されず、例えば丸、多角、Y、H、X、W、C、π型等が挙げられる。また用いるポリマー種の数も特に限定されるものではないが、紡糸安定性や染色性を考慮すると2〜3成分であることが好ましく、特に海1成分、島1成分の2成分で構成されることが好ましい。またこのときの成分比は、島繊維の海島型複合繊維に対する重量比で0.3〜0.99であることが好ましく、0.4〜0.97がより好ましく、0.5〜0.8がさらに好ましい。0.3未満であると、海成分の除去率が多くなるためコスト的に好ましくない。また0.99を越えると、島成分同士の合流が生じやすくなり、紡糸安定性の点で好ましくない。
また用いるポリマーは特に限定されるものではなく、例えば島成分としてポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等適宜用途に応じて使用することができるが、染色性や強度、ならびに堅牢度の点で、ポリエステルであることが好ましい。
本発明に用いることのできるポリエステルとしては、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであって、複合繊維として用いることが可能なものであれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。本発明は、中でも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体が好適に使用される。
本発明に用いることのできるポリアミドとしては、たとえばナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、等のアミド結合を有するポリマーを挙げることができる。
海島型複合繊維の海成分として用いるポリマーは、島成分を構成するポリマーとは異なる溶解性、分解性等の化学的性質を有するものであれば特に限定されるものではない。島成分を構成するポリマーの選択にもよるが、例えばポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ポリエチレングリコール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビスフェノールA化合物、イソフタル酸、アジピン酸、ドデカジオン酸、シクロヘキシルカルボン酸等を共重合したポリエステル等を用いることができる。紡糸安定性の点ではポリスチレンが好ましいが、有機溶剤を使用せずに容易に除去できる点でスルホン基を有する共重合ポリエステルが好ましい。かかる共重合比率としては、処理速度、安定性の点から5モル%以上、重合や紡糸、延伸のしやすさから20モル%以下であることが好ましい。本発明において好ましい組み合わせとしては、島成分にポリエステルまたはポリアミド、あるいはその両者を用い、海成分にポリスチレンまたはスルホン基を有する共重合ポリエステルである。
これらのポリマーには、隠蔽性を向上させるためにポリマー中に酸化チタン粒子等の無機粒子を添加してもよいし、その他、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱材、抗菌剤等、種々目的に応じて添加することもできる。
また海島型複合繊維を得る方法については、特に限定されず、例えば上記(4)の方法に示した口金を用いて未延伸糸を引き取った後、湿熱または乾熱、あるいはその両者によって1〜3段延伸することによって得ることができる。
次いで、この繊維を適当な長さにカットする。本発明の皮革様シート状物は品位や風合いが優れる点で極細短繊維不織布よりなることが重要である。そのため、上述の繊維は適当な長さにカットする必要があり、生産性や得られるものの風合いを考慮して10cm以下とする。好ましくは7cm以下である。10cmを越える繊維長のものも、本発明の効果を損なわない限り含まれていても良い。また下限は特に限定されずに不織布の製造方法によって適宜設定できるが、0.1cm未満であると脱落が多くなり、強度や耐摩耗性等の特性が低下する傾向があるため、0.1cm以上とすることが好ましい。
次いで、該短繊維を不織布化する。不織布化の方法としてウェブをカードやクロスラッパー、ランダムウエバーを用いて得る乾式法や、抄紙法等による湿式法を採用することができるが、本発明では、ニードルパンチ法と高速流体流処理の2種の絡合方法を容易に組み合わせることができる乾式法が好ましい。絡合処理の際に、適度な伸びまたは伸び止まりを付与するため、または得られる不織布の強度等の物性を向上させるために他の織物、編物、不織布と一体化させることもできる。本発明におけるニードルパンチでは、上記のように単なる工程通過性を得るための仮止めとしての役割ではなく、繊維を十分に絡合させることが好ましい。従って好ましくは、100本/cm以上のニードルパンチの打ち込み密度がよく、より好ましくは500本/cm以上、さらに好ましくは1000本/cm以上である。
このようにして得られた複合短繊維不織布は、乾熱または湿熱、あるいはその両者によって収縮させ、さらに高密度化し、極細化処理を行う。次いで、厚み方向に対して垂直に2枚以上にスプリット処理を行うことが好ましい。
さらに、極細化処理をした後または極細化処理と同時に、あるいは極細化処理と同時かつその後に、高速流体流処理を行って、極細繊維同士の絡合を行うことが好ましい。高速流体流処理を極細化処理と兼ねることは可能であるが、少なくとも極細化処理が大部分終了した後にも高速流体流処理を行うことが、より極細繊維同士の絡合を進める上で好ましく、さらに、極細化処理を行った後に高速流体流処理を行うことが好ましい。
極細化処理の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば機械的方法、化学的方法が挙げられる。機械的方法とは、物理的な刺激を付与することによって極細化する方法であり、例えば上記のニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法等の衝撃を与える方法の他に、ローラー間で加圧する方法、超音波処理を行う方法等が挙げられる。また化学的方法とは、例えば、複合繊維を構成する少なくとも1成分に対し、薬剤によって膨潤、分解、溶解等の変化を与える方法が挙げられる。特にアルカリ易分解性海成分を用いて成る極細繊維発生型繊維で複合短繊維不織布を作製し、次いで中性〜アルカリ性の水溶液で処理して極細化する方法は、溶剤を使用せず作業環境上好ましいことから、本発明の好ましい態様の一つである。ここでいう中性〜アルカリ性の水溶液とは、pH6〜14を示す水溶液であり、使用する薬剤等は特に限定されるものではない。例えば有機または無機塩類を含む水溶液で上記範囲のpHを示すものであれば良く、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、必要によりトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミンや減量促進剤、キャリアー等を併用することもできる。中でも水酸化ナトリウムが価格や取り扱いの容易さ等の点で好ましい。さらにシートに上述の中性〜アルカリ性の水溶液処理を施した後、必要に応じて中和、洗浄して残留する薬剤や分解物等を除去してから乾燥を施すことが好ましい。
高速流体流処理としては、作業環境の点で水流を使用するウォータージェットパンチ処理を行うことが好ましい。この時、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。柱状流を得るには、通常、直径0.06〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで噴出させることで得られる。かかる処理は、効率的な絡合性と良好な表面品位を得るために、ノズルの直径は0.06〜0.15mm、間隔は5mm以下であることが好ましく、直径0.06〜0.12mm、間隔は1mm以下がより好ましい。
これらのノズルスペックは、複数回処理する場合、すべて同じ条件にする必要はなく、例えば大孔径と小孔径のノズルを併用することも可能であるが、少なくとも1回は上記構成のノズルを使用することが好ましい。特に直径が0.15mmを超えると極細繊維同士の絡合性が低下し、表面がモモケやすくなるとともに、表面平滑性も低下するため好ましくない。従ってノズル孔径は小さい方が好ましいが、0.06mm未満となるとノズル詰まりが発生しやすくなるため、水を高度に濾過する必要性からコストが高くなる問題があり好ましくない。
また、厚さ方向に均一な交絡を達成する目的、および/または不織布表面の平滑性を向上させる目的で、好ましくは多数回繰り返して処理する。また、その水流圧力は処理する不織布の目付によって適宜選択し、高目付のもの程高圧力とすることが好ましい。さらに、極細繊維同士を高度に絡合させる目的で、少なくとも1回は10MPa以上の圧力で処理することが好ましく、15MPa以上がより好ましい。また上限は特に限定されないが、圧力が上昇する程コストが高くなり、また低目付であると不織布が不均一となったり、繊維の切断により毛羽が発生する場合もあるため、好ましくは40MPa以下であり、より好ましくは30MPa以下である。こうすることによって、例えば複合繊維から得た極細繊維の場合、繊維同士が集束した極細繊維束が主として絡合しているものが一般的であるが、本発明においては極細繊維束による絡合がほとんど観察されない程度にまで極細繊維同士が高度に絡合した極細短繊維不織布を得ることができ、またこれにより耐摩耗性等の表面特性を向上させることもできる。なお、ウォータージェットパンチ処理を行う前に、水浸積処理を行ってもよい。さらに表面の品位を向上させるために、ノズルヘッドと不織布を相対的に移動させたり、交絡後に不織布とノズルの間に金網等を挿入して散水処理する等の方法を行うこともできる。
次いで、本発明の皮革様シート状物は、スエード調やヌバック調の皮革様シート状物を得る場合は、この極細短繊維不織布をサンドペーパーやブラシ等による起毛処理を行うことが好ましい。かかる起毛処理は染色の前または後、あるいは染色前および染色後に行うことができるが、染色前に行うことがより好ましい。
次いで、この極細短繊維不織布を染色する。染色する方法は特に限定されるものではなく、用いる染色機としても、液流染色機の他、サーモゾル染色機、高圧ジッガー染色機等いずれでもよいが、得られる皮革様シート状物の風合いが優れる点で液流染色機を用いて染色することが好ましい。
また、使用する染料濃度は15〜70%owf(皮革様シート状物重量に対する染料の重量%)である。好ましくは20〜60%owf、より好ましくは25〜50%owfである。15%owf未満であると上述したL値を得ることが困難となり、色濃度の高いシート状物が得られない。また、70%owfを越える場合は染料の分散状態が不良となり、二次凝集による色むらやスペックが発生し、表面品位の低下、ならびに各種堅牢度の低下につながるため好ましくない。一般に繊維の染色に使用される染料は、通常色素成分に均染性を得るための分散剤や浸透剤、濃度を一定にするための無機塩などの添加物が混合されている場合が多く、一概にいえないが、これら添加物は例えば染料のトータル重量に対して50〜80%程度含有されている場合が多い。ここでいう染料の重量とは、これら混合されている助剤等を含むトータルの染料の重量のことをいう。リキッドタイプの染料は含まれる固形分の重量のことをいう。添加物の比率が少なく色素成分の比率の高い染料を用いる場合は、上記範囲内で染料濃度を低めに設定するのが好ましい。
用いる染料の種類としては、皮革様シート状物のポリマー種によって、分散染料、バット染料、含金染料などから適宜選ばれた発色性と堅牢度の優れたものが好ましい。さらに、高い色濃度を得るために、用いる染料のうち少なくとも1種が発色性に優れるアゾ系染料であることが好ましく、アゾ系が2種以上であることがより好ましい。ここでいうアゾ系染料とは染料の色素成分の構造中にアゾ基(−N=N−)を含む染料をいい、アゾ基1個のモノアゾ染料、2個のジスアゾ染料、3個以上のポリアゾ染料、ならびに、アゾ基の他に発色団であるスチルベン基を含むスチルベン染料、ピラゾロン環をもつピラゾロン染料、チアゾール環をもつチアゾール染料などもアゾ染料に含まれ、いずれのアゾ染料も好ましく用いることができる。また、染色浴に酢酸、酢酸ソーダなどのpH調整剤、均染剤、分散剤等を適宜添加することができる。
ドライクリーニング、洗濯、摩擦、耐光の各種染色堅牢度が上述の範囲にある本発明の皮革様シート状物を得るのに好ましい方法は、ポリウレタン等の高分子弾性体を実質的に含まず、繊維素材からなる皮革様シート状物とすることである。高分子弾性体中の染料は移行しやすく、高分子弾性体の含有量が多いと、各種堅牢度の低下につながるため好ましくない。本発明でいう高分子弾性体を実質的に含まないとは、繊維素材に対する高分子弾性体の含有量が例えば20重量%以上などのように、積極的に多量に付与されたものではないことをいい、風合い・タッチ・質感の改善等の目的で、例えば0.1〜3重量%程度の少量を付与する場合は実質的に含まないという。
また、用いる染料としても、極細繊維がポリエステル系繊維である場合は分散染料が好ましく、ポリアミド系である場合は含金染料、バット染料などが好ましい。さらに、極細繊維としてはポリエステル系繊維とすることが堅牢度面からは好ましい。また、染色後、皮革様シート状物表面および繊維交絡点に付着している染料や助剤を除去し、製品の堅牢度を向上させるため洗浄を行うことも本発明の堅牢度を得るために好ましく行われる。洗浄方法は通常行われている方法を用いることができ、例えば、ハイドロサルファイト、水酸化ナトリウム、界面活性剤等を適宜用い80〜85℃近辺の温度で20〜30分程度行うことが好ましい。
本発明の皮革様シート状物の染色は、極細繊維がポリエステル系繊維である場合、染色温度が125〜150℃の範囲であることが好ましい。125℃を越える温度であれば、容易に本発明の高い色濃度を得ることができる。ただし、150℃を越えると得られた皮革様シート状物の品位や風合いが悪くなるため好ましくない。また、染色時間は、上記温度で30〜60分間程度処理することが好ましく、その後60〜70℃近辺までは徐徐に降温することがシワ防止上好ましい。
次いで、本発明の皮革様シート状物は、機能性付与、風合い調整などを目的とした仕上げ剤を付与することができる。用いる仕上げ剤は、ピリング防止剤、柔軟剤、難燃剤、帯電防止剤、撥水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤など通常用いる仕上げ剤等から、目的とする風合いや機能に応じて1種または2種以上適宜選択し付与することができるが、例えば、柔軟性や平滑性等を伴う処理剤は、条件によっては、皮革様シート状物の製品の物性、特に耐摩耗性が悪くなる傾向にあるため、物性と風合いとのバランスをとりながら条件を設定する必要がある。また、付与する方法は、例えば、浴中法および/またはパディング法などいずれでも行うことができる。
このようにして、本発明により、高い色濃度を有し、かつ、堅牢度に優れた、十分な物性、品位の皮革様シート状物を得ることが可能となる。
また、本発明の皮革様シート状物は、衣料、家具、カーシート、雑貨等の用途、特にカーシートや衣料に好ましく使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。評価は、大寸法のものから、少なくとも5カ所で任意にサンプル採取して測定を行い、それらの平均値により判断をした。
(1)L
MINOLTA SPECTROPHTOMETER CMー3700d(ミノルタ(株)社製)にて測定し、D65光源、視野角は10度とし、L表色系(JIS Z8729)にて表色した。
(2)目付、繊維見掛け密度
繊維見掛け密度は、JIS L1096 8.4.2(1999)によって目付を測定し、次いでその厚みを測定して、これらから得られる単位体積(cm)あたりの重量の平均値をもって繊維見かけ密度とした。なお、厚みの測定にはダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所、製品名“ピーコックH”)を用い、サンプルを10点測定して、その平均値を用いた。
(3)引張強力
JIS L 1096 8.12.1(1999)により、幅5cm、長さ20cmのサンプルを採取し、つかみ間隔10cmで定速伸長型引張試験器にて、引張速度10cm/分にて伸長させた。得られた値を幅1cm当たりに換算して引張強力とした。
(4)引き裂き強力
JIS L 1096 8.15.1(1999)D法(ペンジュラム法)に基づいて測定した。
(5)マーチンデール摩耗試験
JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に準じて測定される耐摩耗試験において、20000回の回数を摩耗した後の試験布の重量減を評価すると共に外観から毛玉の数を数えた。
(6)ドライクリーニング堅牢度
JIS L 0860(1996)8.1A.法に基づいて測定した。
(7)洗濯堅牢度
JIS L0844(1997)AI法に基づいて測定した。
(8)乾摩擦堅牢度
JIS L0849(1996)6.1.2法に基づいて測定した。
(9)湿摩擦堅牢度
JIS L0849(1996)6.2.2法に基づいて測定した。
(10)耐光堅牢度
JIS L0842(1996)6法に基づいて測定した
(11)単繊維の直径(d)
走査型電子顕微鏡を用い、皮革様シート状物の断面を3000倍に拡大した写真を撮影し、この写真から直接測定し算出した。任意の100本を選定し測定しその平均値を求めた。ただし、断面が真円でない場合は断面の直径の最大と最小を測定しその平均を求めた。
実施例1
海成分としてポリスチレン45部、島成分としてポリエチレンテレフタレート55部からなる複合繊度3デシテックス、36島、繊維長51mmの海島型複合短繊維を用い、カード、クロスラッパーを通してウェブを作製した。ついで1バーブ型のニードルパンチにて1500本/cmの打ち込み密度で処理し、繊維見掛け密度0.21g/cmの複合短繊維不織布を得た。次に約95℃に加温した重合度500、ケン化度88%のポリビニルアルコール(PVA)12%の水溶液に固形分換算で不織布重量に対し25%の付着量になるように浸漬し、PVAの含浸と同時に2分間収縮処理を行い、100℃にて乾燥して水分を除去した。得られたシートを約30℃のトリクレンでポリスチレンを完全に除去するまで処理し、単繊維繊度約0.04デシテックスの極細短繊維不織布を得た。ついで、室田製作所(株)製の標準型漉割機を用いて、厚み方向に対して垂直に2枚にスプリット処理した後、0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で表裏ともに10MPaと20MPaで処理し、PVAの除去とともに絡合を行った。ついでサンドペーパーにて起毛処理した後、液流染色機(サーキュラ染色機(日阪製作所(株)製))を用い、アゾ系染料を2種含有する黒色染料を30%owfの濃度で、120℃、45分で染色後、ハイドロサルファイト4g/l、水酸化ナトリウム1.5g/l、界面活性剤0.2g/lの液浴中で80℃、20分間洗浄を行い、さらに40℃で20分間湯洗い後マングルで脱水し、シルスタット1173(三洋化成(株)製)1g/lと、ベビナーS−783(丸菱油化工業(株)製)3g/lを混合した仕上げ剤をマングルを用いパッドドライ法にて付与した。この時の液のウエットピックアップ率はシート状物に対して153重量%であった。その後100℃で乾燥しスエード調の皮革様シート状物を得た。得られたシート状物は、非常に充実感のある風合で高級な外観を有し、L値を測定したところL値が11.3で、深みのある黒色のシート状物であった。また、物性ならびに染色堅牢度を評価した結果を表1に示した。表に示すごとく、物性・染色堅牢性も非常に優れた皮革様シート状物であった。
実施例2
染色温度を125℃、洗浄温度を85℃とした以外は実施例1と同様に処理して皮革様シート状物を得た。この物性ならびに堅牢度を評価した結果を表1に示した。表に示すごとく、L値が低く深みのある黒色のシート状物であり、また物性・染色堅牢性にも優れた皮革様シート状物であった。
実施例3
ウェブの作製時に原綿供給量を半減し、スプリット処理を行わなかった以外は実施例1と同様に処理して皮革様シート状物を得た。この物性ならびに堅牢度を評価した結果を表1に示した。表に示すごとく、L値が低く深みのある黒色のシート状物であり染色堅牢性にも優れ、また、実施例1よりさらに高い物性を有した皮革様シート状物であった。
実施例4
海成分としてポリスチレン20部、島成分としてポリエチレンテレフタレート80部からなる複合繊度5デシテックス、25島、繊維長51mmの海島型複合繊維(島成分の繊度が約0.16デシテックス)を用いた以外は実施例1と同様に処理して皮革様シート状物を得た。このシートの物性ならびに堅牢度を評価した結果を表1に示した。物性・染色堅牢性に優れ、また実施例1〜3よりL値が低く、さらに深みのある黒色のシート状物であった。
比較例1
海成分としてポリスチレン45部、島成分としてポリエチレンテレフタレート55部からなる単繊維繊度3デシテックス、36島、繊維長51mmの海島型複合短繊維を用い、カード、クロスラッパーを通してウェブを作製した。ついで1バーブ型のニードルパンチにて3000本/cmの打ち込み密度で処理し複合短繊維不織布を得た。次に約95℃に加温した重合度500、ケン化度88%のポリビニルアルコール(PVA)12%の水溶液に固形分換算で不織布重量に対し25%の付着量になるように浸漬し、PVAの含浸と同時に2分間収縮処理を行い、100℃にて乾燥して水分を除去した。得られたシートを約30℃のトリクレンでポリスチレンを完全に除去するまで処理し、単繊維繊度約0.04デシテックスの極細短繊維不織布を得た。
その後、ポリカーボネート系ポリウレタンを固形分が12重量%になるようにジメチルホルムアミドで希釈させた溶液を、ポリウレタン固形分として対島繊維当たり約35部となるように含浸、湿式凝固し、95℃の熱水中でPVAを除去後乾燥した。次いで、室田製作所(株)製の標準型漉割機を用いて、厚み方向に対して垂直に2枚にスプリット処理した。その後、サンドペーパーにて起毛処理した後、実施例1と同様に染色ならびに後加工を行いスエード調の皮革様シート状物を得た。得られたシート状物のL値を測定したところL値が16.9で、深みに欠ける黒色のシート状物であった。また、物性ならびに染色堅牢度を評価した結果を表1に示した。表に示すごとく、染色堅牢性に欠ける皮革様シート状物であった。
比較例2
海成分としてポリスチレン45部、島成分としてポリエステル55部からなる複合繊度3デシテックス、36島、繊維長51mmの海島型複合繊維を用い、カード、クロスラッパーを通してウェブを作製した。ついで1バーブ型のニードルパンチにて1500本/cmの打ち込み密度で処理し、繊維見掛け密度0.21g/cmの複合短繊維不織布を得た。ついで0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で両面ともに10MPa、20MPaで処理し、絡合を行った。次に約95℃に加温したポリビニルアルコール(PVA)12%の水溶液に固形分換算で不織布重量に対し25%の付着量になるように浸漬し、PVAの含浸と同時に2分収縮処理を行い、100℃にて乾燥して水分を除去した。得られたシートを約30℃のトリクレンでポリスチレンを完全に除去するまで処理し、単繊維繊度約0.04デシテックスの極細短繊維不織布シート状物を得た。ついでサンドペーパーにて起毛処理した後、実施例1と同様に染色を行ったところ、染色中に破れてしまい、皮革様シート状物を得ることができなかった。
比較例3
海成分としてポリスチレン45部、島成分としてポリエステル55部からなる複合繊度3デシテックス、36島、繊維長51mmの海島型複合繊維を用い、カード、クロスラッパーを通してウェブを作製した。ついで1バーブ型のニードルパンチにて1500本/cmの打ち込み密度で処理し、繊維見掛け密度0.21g/cmの複合短繊維不織布を得た。ついで0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で両面ともに10MPa、20MPaで処理し、絡合を行った。次に約95℃に加温したポリビニルアルコール(PVA)12%の水溶液に固形分換算で不織布重量に対し25%の付着量になるように浸漬し、PVAの含浸と同時に2分収縮処理を行い、100℃にて乾燥して水分を除去した。得られたシートを約30℃のトリクレンでポリスチレンを完全に除去するまで処理し、単繊維繊度約0.04デシテックスの極細短繊維不織布シート状物を得た。次いで、エマルジョンポリウレタン(日華化学(株)製“エバファノールAPC−55”)を固形分で20%付与するように含浸した後、150℃、10分で熱処理した。次いで液流染色機で実施例1と同様に染色を行い皮革様シート状物を得た。得られたシート状物の物性ならびに堅牢度を評価した結果を表1に示した。表に示すごとく、黒色の深みに欠け、堅牢度の劣ったシート状物であった。
Figure 2005320647

Claims (14)

  1. 単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細短繊維を含む皮革様シート状物であって、該皮革様シート状物が不織布で構成され、実質的に繊維素材からなり、かつ、該皮革様シート状物が染色されてなり、表面のL値が下式(1)を満足するものであることを特徴とする皮革様シート状物。
    値≦12 ・・・(1)
  2. 繊維長10cm以下、目付が100〜550g/m、繊維見掛け密度が0.29〜0.7g/cmである極細短繊維不織布を含み、引き裂き強力が3〜50Nであり、かつ下式(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載の皮革様シート状物。
    引張強力(N/cm)≧0.45×目付(g/m)−40 ・・・(2)
  3. 極細繊維の繊度が0.001〜0.3デシテックスであることを特徴とする請求項1または2に記載の皮革様シート状物。
  4. JIS L0860(1996)8.1A.法にて測定したドライクリーニングにおける変褪色が4級以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  5. JIS L0844(1997)AI法に基づいて測定した洗濯堅牢度における変褪色が4級以上、汚染が3級以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  6. JIS L0849(1996)6.1.2に基づいて測定した乾摩擦堅牢度が4級以上、JIS L0849(1996)6.2.2法に基づいて測定した湿摩擦堅牢度が3級以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  7. JIS L0842(1996)6法に基づいて測定した耐光堅牢度が4級以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  8. JIS L1096(1999)8.17.5E.(12kpa)マーチンデール法における摩耗試験において、20000回摩耗した時の摩耗減量が20mg以下であり、かつ毛玉の数が5個以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  9. 極細繊維がポリエステル系繊維であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  10. 0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な極細繊維発生型短繊維をニードルパンチ法により絡合させた後に、極細繊維を発生させて極細短繊維不織布とし、次いで少なくとも10MPaの圧力で高速流体処理を行って再度絡合させ、その後染料濃度15〜70%owfで染色し、次いで洗浄を行うことを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。
  11. 用いる染料のうち、少なくとも1種がアゾ系であることを特徴とする請求項10に記載の皮革様シート状物の製造方法。
  12. 極細繊維がポリエステル系繊維であり、かつ、用いる染料が分散染料であることを特徴とする請求項10または11に記載の皮革様シート状物の製造方法。
  13. 染色の温度が125〜150℃の範囲であることを特徴とする請求項12に記載の皮革様シート状物の製造方法。
  14. 染色前にサンドペーパーにより起毛処理を施すことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の皮革様シート状物の製造方法。
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