JP4387139B2 - スエード調人工皮革および製造方法 - Google Patents

スエード調人工皮革および製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐光堅牢性、耐摩擦堅牢性、発色性を兼ね備えたスエード調人工皮革、およびその製造方法に関するものである。
従来から、スエード調人工皮革を発色させる方法として、染色する方法が一般的によく行われている。しかし繊維質基材として極細繊維を使用した場合、繊維が極細化するほど表面積が増え、白色光の散乱により着色光の光が弱められ発色性に劣るため多大な染料が必要であり、その結果コスト高につながり、また耐光堅牢性などが劣ったものとなる。従って本手法によって発色性、物性を同時に得るには限界がある。
これらの改良へ向け、繊維絡合体へ顔料を添加した高分子弾性体を含浸しその後染色を行う手法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照。)。あるいは繊維絡合体中へ顔料を添加し着色する手法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、前者の手法では結局染料を使用するため耐光性は劣ったものとなり、また後者の手法では極細繊維では充分な発色性は得られず、発色性を満たすために多量の顔料を添加した場合、紡糸工程性が不調となる。
更に、繊維絡合体中へ顔料を添加し、その後染色する手法の提案もなされている(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7を参照。)。これらの手法では極細繊維を比較的少ない染料で濃色化できるが、結局染料を使用しているため耐光堅牢性、耐摩擦堅牢性を有することは困難である。
また更なる改良として、繊維絡合体へ顔料を吸着し、バインダー樹脂を用いて固着し発色させる吸尽法が行われている(例えば、特許文献8参照)。しかしながらこの手法では一度繊維をカチオン性助剤で予備処理し、その後アニオン性顔料を吸着させる二段階の処理が必要となり工程数が増え、また顔料は助剤表面へ吸着するため繊維上で固定される力が弱く、耐摩擦堅牢性に劣ったものであった。これに対し、カチオン性助剤で予備処理しない吸尽法も提案されている(例えば、特許文献9参照。)。しかしながら、これは顔料着色する際、顔料水溶液へカチオン性重合体を添加したものであり、繊維が帯電によって負の電荷を有する場合では有効であるが、帯電による電荷を有しない場合は均一な顔料吸着が実現し難く斑のある発色状態となり易いため、発色性が満足できるレベルを得難い。従って充分な発色性を得るためには最終的に染料による染色を行う必要があり、その結果耐光堅牢性に劣ったものとなる。
以上、これまでの公知の技術では、発色性、耐光堅牢性、耐摩擦堅牢性を兼ね備えたスエード調人工皮革を得ることができなかった。
特開昭63-315683号公報(第1-6頁) 特開昭58-197389号公報(第1-4頁) 特公昭62-37252号公報(第1-4頁) 特開平5-331782号公報(第2-4頁) 特開2000-45186号公報(第1-7頁) 特開2002-146624号公報(第2-7頁) 特開平10-102385号公報(第2-6頁) 特開平6-136672号公報(第2-4頁) 特開平10-310718号公報(第2-4頁)
本発明は、上記問題点を解決し、耐光堅牢性、耐摩擦堅牢性などの物性を兼ね備えた発色性の良好なスエード調人工皮革を提供するものであり、またそのために必要な顔料吸着処理を簡便な手法で行うことを提供するものである。
すなわち、本発明は、平均単繊度0.1デシテックス以下の極細繊維が三次元絡合してなる繊維質基材とその内部に顔料を2〜20質量%含有した高分子弾性体からなるスエード調人工皮革において、該極細繊維がナトリウムスルホネート基含有モノマーを1〜10モル%共重合し、顔料を0〜8質量%含有したものであり、さらにカチオン性化合物と顔料を組み合せたカチオン性顔料が該極細繊維の表面に直接吸着していることを特徴とするスエード調人工皮革である。
また、下記I〜VIの工程を含むことを特徴とするスエード調人工皮革の製造方法である。
I.ナトリウムスルホネート基含有モノマーを1〜10モル%共重合し、顔料を0〜8質量%含有した極細繊維成分を含む極細繊維発生型繊維を三次元絡合して繊維質基材を製造する工程
II.繊維質基材の内部に顔料を2〜20質量%含有した高分子弾性体を付与する工程
III.極細繊維発生型繊維から0.1デシテックス以下の極細繊維を発生させる工程
IV.少なくとも片面に立毛を形成する工程
V.極細繊維表面にカチオン性化合物と顔料を組み合せたカチオン性顔料吸着処理する工程
本発明は、耐光堅牢性、耐摩擦堅牢性などに優れ、発色性の良好なスエード調人工皮革に関するものであり、また簡便な顔料吸着処理によってスエード調人工皮革を着色するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、発色性を良好なものにするため、極細繊維中、及び高分子弾性体中に顔料の含有量を規定し、加えて極細繊維表面を着色することを組み合わせたものである。更に極細繊維表面の着色として染料を用いず、極細繊維表面へ助剤を介すること無く、顔料を直接吸着することで、耐光堅牢性、耐摩擦堅牢性、良好な発色性を得ることに特徴がある。また極細繊維表面へ顔料を吸着させる場合において、極細繊維表面を吸着助剤で前処理すること無く吸着させることが可能であり、簡便な処理を実現することに第2の特徴がある。
本発明の極細繊維を得る方法として、吐出量と延伸倍率の調整から極細繊維を直接製糸する方法、また極細繊維発生型繊維を用いる方法があるが、前者では0.1デシテックス以下の極細繊維を安定的に紡糸することは困難であることから、後者の極細繊維発生型繊維を用いることが好ましい。そして極細繊維発生型繊維を用いる場合には、少なくとも1成分がアルカリ抽出処理、有機溶剤抽出処理で抽出除去されるもの、あるいは分割処理可能なものであれば、海島型複合繊維、混合紡糸型繊維、剥離分割型繊維などの多成分系複合繊維を指すことが出来る。また極細繊維発生型繊維の少なくとも1成分を除去する場合には、熱水抽出、アルカリ抽出、有機溶剤抽出処理などが挙げられ、分割処理する場合には、例えば、膨潤、収縮などで代表される化学的処理、もみ処理で代表される物理的処理が挙げられる。そして少なくとも1成分を除去する方法の場合、除去される成分としては、熱水で抽出可能なポリビニルアルコール類、ポリビニルアルコール共重合体類、共重合ポリエステル類、共重合ポリアミド類、アルカリ溶剤で抽出可能な易アルカリ抽出タイプポリエステル類、トルエンやパークレンなどの有機溶剤で抽出可能なポリエチレン類、ポリスチレン類等が挙げられる。中でも、環境配慮可能な点から、熱水で抽出可能なポリビニルアルコール共重合体類、アルカリ易溶出タイプポリエステル類、共重合ポリアミド類などが好ましい。
また本発明では極細繊維を助剤で予備処理すること無く、カチオン性顔料の吸着を可能とするため、極細繊維を構成する成分はナトリウムスルホネート基含有モノマーを1〜10モル%共重合変性したアニオン変性ポリマーである必要がある。その際、変性量が1モル%未満では、良好な発色性を得るための3要素の1つである極細繊維表面上の顔料吸着量が不足し、その結果発色性を満足することができない。また10モル%を越えるとカチオン性顔料の吸着量が発色性を満足するものの摩擦堅牢性が劣ったものとなる。このようなナトリウムスルホネート基含有モノマーからなる変性ポリマーとしては、繊維形成性があれば特に限定されない。例えば、イソフタル酸ナトリウムスルホネートを共重合したポリエチレンテレフタレートあるいはイソフタル酸ナトリウムスルホネートを共重合したポリブチレンテレフタレート、あるいはナトリウムスルホベンゾイックアシドを共重合したナイロン6、ナイロン11、ナイロン12などが好ましく挙げられる。中でもポリエステル類ではイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド類ではナイロン6が紡糸工程性に優れる点でより好ましい。
また発色性を良好にするために、極細繊維中には顔料を0〜8質量%添加する必要がある。この場合、最終製品として淡色系、すなわち、薄い色や淡い色としての発色性が必要な場合は顔料を必要としない場合が多く、極細繊維内部への顔料添加は不要あるいは低濃度である。そして、最終製品として要求される外観の色が淡色の場合には、極細繊維内部への顔料添加量は0〜1質量%が好ましく、中色の場合には1〜2質量%が好ましく、濃色の場合には2〜8質量%が好ましい。8質量%を越えると繊維強度が低下し、それに伴い得られる人工皮革の摩擦堅牢度が劣ったものとなる。またこの場合の顔料としては、フタロシアニン系、アントラキノン系などの有機顔料や酸化チタン、カーボンブラック、クロムレッド、モリブデンレッドなどの有機顔料や無機顔料など通常ポリマー原着に使用されているものを用いることができる。顔料の添加方法としては、極細繊維を構成するポリマー中における顔料の分散性を良好にするため、極細繊維を構成するポリマーと顔料を押出機などのコンパウンド設備を用いて混練した後ペレット化したマスターバッチ方式を採用することが好ましい。
またナトリウムスルホネート基含有モノマーを共重合、かつ顔料を0〜8質量%含有してなる極細繊維は、0.1デシテックス以下である必要がある。これは従来の染色による手法では、繊度が0.1デシテックス越えた場合であれば発色性が満足できるレベルであり、本発明での極細繊維でも0.1デシテックスを越えた場合では従来の染色と大きな発色性の違いは見られ難い。しかしながら、繊度が0.1デシテックス以下になると顕著な発色性向上効果を発揮するものである。そして得られる人工皮革が優れたスエード感、表面タッチを確保する点から、0.0001〜0.08デシテックスであることが好ましい。
また本発明の極細繊維からなる繊維質基材を製造する方法としては、公知の方法にて製造可能である。例えば、上記極細発生型複合繊維を捲縮付与した後、ステープル化し、カード、クロスラッパーまたはランダムウエバーによりウエブを形成し、ニードルパンチあるいは水流絡合法により繊維を三次元絡合処理し、必要に応じ乾熱収縮、熱水収縮、熱プレスすることで得られる。得られた繊維質基材は用途によって任意に選択でき特に制限されるものではないが、目付は800〜1100g/m、密度0.20〜0.65g/cmが好ましく、0.25〜0.60g/cmがより好ましい。0.20g/cm未満では繊維の立毛感、機械性能が不足し、さらには本発明の極細繊維による発色効果が低下する傾向がある。また、0.65g/cmを越えると人工皮革の風合いが硬くなってしまう。
本発明で用いられる高分子弾性体としてはウレタン系重合体、アクリル系重合体などが挙げられ、良好な発色性を得るために必要な3要素の2点目として、顔料を2〜20質量%含有している必要がある。顔料が2質量%未満では発色性が劣り、20質量%以上では、高分子弾性体の持つ形態保持性能が低下し、得られる人工皮革の引張強力、耐表面磨耗性などが低下する。
更に該高分子弾性体は、高分子弾性体:繊維質基材(極細繊維化後の繊維質量)=15:85〜60:40の質量比で付与することが好ましい。高分子弾性体は繊維を結束するバインダーとしての効果を得ると同時に、含有する顔料による発色性を得るものであり、比率が15未満の場合ではバインダー、発色性の両方を充分満足できない傾向がある。また60を越えた場合では前述した効果が得られるものの、引裂強力、引張強力などの物性が劣り、また風合いが硬く劣った傾向がある。
高分子弾性体を含浸した後、極細繊維発生型繊維を公知の方法にて0.1デシテックス以下の極細繊維とする。そして極細化する前あるいは後に、少なくとも片面を公知の方法にてバフィング処理などにより起毛処理し極細繊維からなる立毛面を形成させることで、スエード調人工皮革を得ることができる。得られたスエード調人工皮革は用途によって任意に選択でき特に制限されるものではないが、風合い等に優れる点から500〜800g/m、密度0.500〜0.700g/cmが好ましい。
高分子弾性体へ添加する顔料は、高分子弾性体を構成するポリマーで埋包されうることが良好な耐摩擦堅牢性を有する点で好ましい。例えば、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクドリン系、ジオキサジン系、ペリレン系、チオインジゴ系、アゾ系などの有機顔料や酸化チタン、カーボンブラック、べんがら、クロムレッド、モリブデンレッド、リサージ、酸化鉄などの無機顔料が挙げられる。
また発色性を良好なものとするために、前記した極細繊維中、及び高分子弾性体中に顔料を含有することに加え、良好な発色性を得るための3要素の3点目として極細繊維表面を顔料で着色する必要があり、これら3要素を全て満足する必要がある。この場合染色では耐光堅牢性に劣ることから、極細繊維表面へ顔料を吸着させる必要がある。なおその際の顔料としては、カチオン性顔料を用いる必要がある。本発明のカチオン性顔料とはカチオン性化合物と顔料を組み合わせた顔料である。そして、カチオン性顔料に用いられる顔料としては、カチオン性化合物を用いて顔料に正電荷を付与したものであれば有機顔料、無機顔料、蛍光増白顔料、蛍光顔料など全ての種類の顔料が使用できる。例えば、アゾ系顔料、染付レーキ系顔料、フタロシナニン系顔料、縮合多環顔料、キナクドリン顔料、ジオキサジン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料およびイソインドリノン顔料などの有機顔料が好ましく挙げられ、また、べんがら、酸化チタン、黄色酸化鉄、カーボンブラックおよび沈降性バリウムなどの無機顔料が挙げられる。また蛍光増白顔料としてジフェニルエチレン誘導体が好ましく挙げられ、蛍光顔料としてはベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂に有機顔料を含有させたものが好ましく挙げられる。
またカチオン性化合物は水性であり、カチオン化剤として一般に使用されているものであればよく、またカチオン性ポリマー重合体でもよい。カチオン性ポリマー重合体としてはジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド重合体、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド重合体、第3級アミノ基含有ウレタン系重合体などが好ましく挙げられる。顔料とカチオン性重合体の比率は、使用する両者の性質により異なるが、発色性と物性の点で100:5〜100:300が好ましい。
また本発明で前述したカチオン性顔料を繊維表面へ吸着させる場合、浴比1:50〜1:100、カチオン性顔料濃度0.5〜3質量%(対繊維質基材と高分子弾性体の合計質量)の水溶液中へ吸着前のスエード調人工皮革を浸漬する。また通常顔料吸着を行う場合、顔料分散剤の曇点まで加熱することで凝集を開始し、繊維表面への吸着を促進させる必要があるが、カチオン性顔料はアニオン性顔料等よりも凝集しやすい点で、30〜50℃と比較的低温加熱で吸着処理することが好ましい。なお吸着処理の際、混濁していた顔料溶液が徐々に透明性を増すことから、吸着が進行していることを確認できる。また極細繊維表面がナトリウムスルホネート基含有モノマーを共重合していることから、極細繊維表面をアニオン変性処理すること無くカチオン性顔料を極細繊維表面へ優先的に、かつ助剤を介すること無く吸着することが可能である。また極細繊維化後に極細繊維表面に助剤によってアニオン変性処理を行う場合、助剤と顔料はイオン結合により強固に吸着しているが、助剤と極細繊維表面は単なる吸着でありこの部分での吸着力は弱い。しかし本手法では極細繊維表面と顔料を直接イオン結合で吸着していることよって繊維表面と顔料を強固に固定することができる。
ただし、高分子弾性体表面へ付着した若干の顔料は表面へ強固に吸着しておらず、摩擦堅牢度を低下させる要因となるため、20〜30℃、5〜10分の条件にて水洗処理により脱落させることが好ましい。この場合、繊維表面へ吸着している顔料は、電荷を伴う吸着のため水洗後も強固な吸着状態の保持が可能である。そして顔料吸着処理および水洗処理後160℃、2分間乾燥処理を行う。
また、極細繊維表面へ吸着したカチオン性顔料に対しバインダー処理を行うことが好ましい。この場合、繊維表面へ吸着した顔料がカチオン性であるため、バインダーとしてはアニオン性重合体であるポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリル酸エステルなどを用いることが好ましい。これによってバインダー吸着が電荷を伴ったものとなり、バインダーが顔料表面へ選択的に吸着し、かつ顔料へのバインダー被覆を強固なものにすることが可能であり、摩擦堅牢度をさらに向上することが可能となる。バインダー処理条件としては、バインダー濃度0.5〜30質量%、より好ましくは1〜10質量%とした水溶液中に5分間浸漬させた後、160℃、5分間熱処理を行う。バインダー濃度が0.5質量%未満では繊維を被覆する樹脂量が少なく摩擦堅牢度のさらなる向上が認められない場合がある。30質量%を越えると繊維を被覆する樹脂量が多過ぎるため、得られた人工皮革のライティング効果が低下する傾向がある。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお以下の実施例、比較例中に記載されている性能、物性測定などの評価は以下の方法で行った。
[引張強力]
たて14cm×よこ2.5cmの試験片を切り取り短冊の両端をチャックに挟み、引張試
験機で25cm/minの速度で引張ったときの引張最大荷重を求め、あらかじめ求めた
試験片の厚みで除した値を引張強力値とする。そして、試験片3個の平均値で表す。
[引裂強力測定]
たて10cm×よこ4cmの試験片を切り取り短冊の中央によこの辺と直角に5cmの切
れ目をいれ、各切片をチャックに挟み引張試験機で10cm/minの速度で引裂く引裂
き最大荷重を求め、あらかじめ求めた試験片の厚みで除した値を引裂強力値とする。そし
て、試験片3個の平均値で表す。
[摩擦堅牢度測定]
JIS L0801に準じてウエット状態で測定し、級判定にて評価した。
[耐光性堅牢度測定]
人工皮革表面にキセノンアークランプを100時間照射(ブラックパネル温度:83℃、積算照射照度:20MJ、水スプレー無し)した後の変色度についてJIS L0804に規定する変退色グレースケールを用いて号判定を行い、その号判定を級として判定した。
カーボンブラックを1質量%添加したイソフタル酸ナトリウムスルホネートを2.3モル
%共重合したポリエチレンテレフタレートを島成分、ポリビニルアルコール共重合体(ク
ラレ社製 エクセバール)を海成分とし、質量比を海/島=30/70とした64島の繊維
を複合紡糸した後、延伸することで繊度5.5デシテックス、島成分繊度0.06デシテ
ックスの繊維を得た。この繊維を捲縮処理した後51mmへカットし、カード、ニードル
処理し、180℃の乾熱収縮により20%の面積収縮することで目付け1000g/m
の不織布を得た。
次にグレー水分散顔料(大日本インキ化学工業株式会社製 RyudyeWグレー)とポリ
エーテル系水分散高分子弾性体(日華化学株式会社製 エバファノール AP−12)を顔料
:エマルジョン=10:90の固形分質量比に混合した。これに対し感熱ゲル化剤GE東
芝シリコーン株式会社製 TPA−4390)を固形分で2質量部添加することで水分散高
分子弾性体を得た。この水分散高分子弾性体を上記不織布に対し、不織布/高分子弾性体
=100/30となるよう付与し、乾燥した。その後90℃の熱水で海成分を抽出し、厚
み方向に分割スライスした後、サンドペーパーでスライス面をバフィングし厚み0.8m
mとした後、スライス面に立毛を形成するための起毛処理を行ってスエード調人工皮革を
得た。
次に極細繊維の着色処理として、カチオン性顔料溶液であるポリウレタン系カチオン性ポ
リマー(市販品:BYK社製、Disperbyk−182)/水/防腐剤/消泡剤/C.
I.Pigment Blue 15=22/47.4/0.4/0.2/30(質量比率)
を用い顔料濃度2.0質量%(対スエード調人工皮革)となるよう、浴比1:80の水溶液
中へ上記スエード調人工皮革を浸漬し、その後40℃で顔料吸着処理を行い、2回25℃
で水洗し、160℃、2分間乾燥を行って、スエード調人工皮革を得た。得られたスエー
ド調人工皮革の顔料吸着処理後の極細繊維表面を電子顕微鏡で観察し、極細繊維表面へカ
チオン性顔料が吸着していることを確認した。その後アニオン性水性重合体であるポリエ
ーテルーポリウレタン系水分散エマルジョン(大日本インキ化学工業株式会社製 1840
NS)5質量%水溶液中に5分間浸漬した後、160℃で熱処理することでバインダー処
理を行い該顔料吸着した繊維を被覆した。得られたスエード調人工皮革は発色性が良好で
あると同時にスエード感、表面タッチ、風合いが良好であった。更に引張強力35kg/
2.5cm、引裂強力4.5kg、耐光堅牢性5級、摩擦堅牢度4−5級と物性も良好で
あった。



実施例1のカチオン性水性顔料中のカチオン性重合体としてポリジメチルアリルアンモニウムクロライド(市販品:Merck株式会社製、Merquat100)を使用し、その他は実施例1と同様の操作を行った。得られたスエード調人工皮革の顔料吸着処理後の極細繊維表面を電子顕微鏡で観察し、極細繊維表面へカチオン性顔料が吸着していることを確認した。そして、発色性、スエード感、表面タッチ、風合いが良好であり、引張強力35kg/2.5cm、引裂強力4.5kg、耐光堅牢性5級、摩擦堅牢度4−5級と物性も良好であった。
実施例1の島成分ポリマー中のカーボンブラックを2.5質量%とし、その他は実施例1と同様の操作を行った。得られたスエード調人工皮革の顔料吸着処理後の極細繊維表面を電子顕微鏡で観察し、極細繊維表面へカチオン性顔料が吸着していることを確認した。そして、発色性、スエード感、表面タッチ、風合いが良好であり、引張強力32kg/2.5cm、引裂強力4.0kg、耐光堅牢性5級、摩擦堅牢度4−5級と物性も良好であった。
実施例1の島成分ポリマーとして顔料無添加であるイソフタル酸ナトリウムスルホネート5モル共重合変性ポリエステルを使用し、その他実施例1と同様の操作を行った。得られたスエード調人工皮革の顔料吸着処理後の極細繊維表面を電子顕微鏡で観察し、極細繊維表面へカチオン性顔料が吸着していることを確認した。そして、スエード感、表面タッチ、風合いが良好であり、引張強力37kg/2.5cm、引裂強力5.0kg、耐光堅牢度5級、摩擦堅牢度4−5級と力学物性は良好であり、発色として淡色のものが得られた。
比較例1
実施例1の高分子弾性体に顔料を添加しない以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、スエード感、表面タッチ、風合いが良好であり、引張強力35kg/2.5cm、引裂強力4.5kg、耐光堅牢度5級、摩擦堅牢度4−5級と物性は良好であるものの、発色性に劣るものであった。
比較例2
実施例1の島成分ポリマーとしてイソフタル酸ナトリウムスルホネート共重合変性されていない通常ポリエステルを使用する以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、スエード感、表面タッチ、風合いが良好であり、引張強力38kg/2.5cm、引裂強力5.0kg、耐光堅牢度5級、摩擦堅牢度1−2級と物性、発色性に劣るものであった。
比較例3
比較例2の通常ポリエステルを顔料吸着処理する際、アルキルベンゼンスルホン酸を濃度0.5質量%owfで前処理し繊維表面をアニオン化した。その他は実施例1と同様の操作を行った。その結果、スエード感、表面タッチ、風合いが良好であり、かつ発色性は良好であるものの、摩擦堅牢性2級と劣ったものであった。
比較例4
実施例1の極細繊維の着色として、高圧染色機を用いて青色分散染料濃度15%owf、130℃、60分間染色を行い、温水洗浄後、還元処理、酸化処理、中和処理さらに温水洗浄後乾燥を行った。その結果、発色性、スエード感、表面タッチ、風合いが良好であるものの、引張強力20kg/2.5cm、引裂強力2.5kg、耐光堅牢性2級、摩擦堅牢性2級と物性が劣ったものであった。

Claims (2)

  1. 平均単繊度0.1デシテックス以下の極細繊維が三次元絡合してなる繊維質基材とその内部に顔料を2〜20質量%含有した高分子弾性体からなるスエード調人工皮革において、該極細繊維がナトリウムスルホネート基含有モノマーを1〜10モル%共重合し、顔料を0〜8質量%含有したものであり、さらにカチオン性化合物と顔料を組み合せたカチオン性顔料が該極細繊維の表面に直接吸着していることを特徴とするスエード調人工皮革。
  2. 下記I〜Vの工程を含むことを特徴とするスエード調人工皮革の製造方法。
    I.ナトリウムスルホネート基含有モノマーを1〜10モル%共重合し、顔料を0〜8質量%含有した極細繊維成分を含む極細繊維発生型繊維を三次元絡合して繊維質基材を製造する工程
    II.繊維質基材の内部に顔料を2〜20質量%含有した高分子弾性体を付与する工程
    III.極細繊維発生型繊維から0.1デシテックス以下の極細繊維を発生させる工程
    IV.少なくとも片面に立毛を形成する工程
    V.極細繊維表面にカチオン性化合物と顔料を組み合せたカチオン性顔料吸着処理する工程
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