JP2003239738A - 強制空冷式の小型エンジン - Google Patents

強制空冷式の小型エンジン

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸気通路の構成部材によるエンジン本体から
の張出し量を少なくしてコンパクト化でき、種々の作業
機へ搭載する場合のスペース上の制約を回避できる強制
空冷式の小型エンジンを提供する。 【解決手段】 クランク軸４の一端に冷却ファン９が装
着され、シリンダ５の軸心Ｓが水平および鉛直方向に対
して傾斜している。冷却ファン９からの冷却風Ｗをシリ
ンダ５およびシリンダヘッド６に導くファンハウジング
１７に切欠部２２が形成され、切欠部２２を通して気化
器１５のフロートチャンバ２３がファンハウジング１７
内に臨んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷却ファンからの
冷却風によりシリンダおよびシリンダヘッドを冷却する
ようにした強制空冷式の小型エンジンに関する。
【０００２】
【従来の技術】この種の強制空冷式の小型エンジンの従
来例として、エンジン本体の一側部に、クランク軸の一
端に設けられた冷却ファンを覆うファンハウジングを設
けて、冷却ファンにより生起される冷却風をファンハウ
ジングでエンジン本体のシリンダとシリンダヘッドに誘
導すると共に、吸気通路となるエアクリーナおよび気化
器を前記ファンハウジングの外側に突出させてファンハ
ウジング内の冷却風通路を確保するようにしたものが知
られている（特開平１０−２２７２１４号公報）。この
場合、気化器と同一高さ位置で気化器よりもクランク軸
心寄りに配置される点火ユニットとの干渉を避けるため
に、前記エアクリーナおよび気化器は、クランク軸心か
ら離れるように、クランク軸心に対して斜め方向に向け
て突出させている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような構
成のエンジンでは、エンジン本体からのエアクリーナお
よび気化器の張り出しが大きくなるので、種々の作業機
にこのエンジンを搭載する場合にスペース上の制約が生
じていた。また、運転中にファンハウジングの外側に露
出する気化器が外部からの熱、例えば作業機からの輻射
熱の影響を受けて、エンジンの変調を招くこともある。
【０００４】本発明は、以上の事情に鑑みてなされたも
ので、吸気系のエンジン本体からの張出し量を少なくで
き、種々の作業機へ搭載する場合のスペース上の制約を
回避できる強制空冷式の小型エンジンを提供することを
目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の一構成に係る強制空冷式の小型エンジン
は、クランク軸の一端に冷却ファンが装着され、シリン
ダの軸心が水平および鉛直方向に対して傾斜しており、
前記冷却ファンからの冷却風をシリンダおよびシリンダ
ヘッドに導くファンハウジングに切欠部が形成され、前
記切欠部を通して気化器のフロートチャンバがファンハ
ウジング内に臨んでいる。
【０００６】この構成によれば、ファンハウジングの切
欠部を通して気化器のフロートチャンバがファンハウジ
ング内に臨んでいるから、気化器の全体をファンハウジ
ングの外側に配置する場合と比べて、気化器をエンジン
本体に近接して配置することができるので、エンジン本
体からの気化器の張出し量が少なくなり、エンジンがコ
ンパクトになる。その結果、種々の作業機にエンジンを
搭載する場合のスペース上の制約がそれだけ少なくな
る。また、ファンハウジングにより形成される冷却風通
路に導かれた冷却風によりフロートチャンバが冷却され
るので、従来例の場合のようにフロートチャンバが外部
の熱の影響を受けて運転不調に陥るのを回避することが
できる。
【０００７】本発明の好ましい実施形態では、前記ファ
ンハウジン内で前記気化器の下方に、点火プラグを駆動
する点火ユニットが配置されている。
【０００８】このように構成した場合には、点火ユニッ
トを、冷却性を確保しつつ、シリンダヘッド近傍、つま
り点火プラグ近傍で、かつ気化器と干渉しない位置に配
置できる。
【０００９】本発明の好ましい実施形態では、前記フロ
ートチャンバが、前記ファンハウジングにより形成され
た冷却風通路内におけるシリンダおよびシリンダヘッド
よりも上流側に位置している。
【００１０】このように構成した場合には、シリンダお
よびシリンダヘッドを冷却する前の低温の冷却風によっ
てフロートチャンバが効果的に冷却される。
【００１１】本発明の他の構成に係る強制空冷式の小型
エンジンは、クランク軸の一端に冷却ファンが装着さ
れ、シリンダの軸心が水平および鉛直方向に対して傾斜
しており、吸気通路における少なくともエアクリーナか
ら燃料供給装置の下流端に至る主要部が、クランク軸心
と平行に設定され、前記燃料供給装置の下方に、点火プ
ラグを駆動する点火ユニットが配置されている。
【００１２】この構成によれば、吸気通路の主要部がク
ランク軸心と平行に設置されているから、エンジン本体
からのエアクリーナおよび燃料供給装置の張出し量が少
なくなり、種々の作業機にエンジンを搭載する場合のス
ペース上の制約がそれだけ少なくなる。ここで、点火ユ
ニットは燃料供給装置の下方に配置されているので、燃
料供給装置と干渉しない。
【００１３】本発明の好ましい実施形態では、前記燃料
供給装置が気化器であり、前記冷却ファンからの冷却風
をシリンダおよびシリンダヘッドに導くファンハウジン
グに切欠部が形成され、前記切欠部を通して前記気化器
のフロートチャンバがファンハウジング内に臨んでい
る。
【００１４】このように構成した場合には、ファンハウ
ジングにより形成される冷却風通路に導かれた冷却風Ｗ
がフロートチャンバを十分に冷却することになり、従来
例の場合のようにフロートチャンバが外部の熱の影響を
受けて運転不調に陥るのを回避することができる。
【００１５】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施形態につい
て図面を参照しながら詳述する。図１に示す小型エンジ
ンは、強制空冷式の頭上弁型４サイクルエンジンであ
り、エンジン本体１が、クランクケース２と、このクラ
ンクケース２に一体形成されたシリンダ５と、このシリ
ンダ５の上部に接続されたシリンダヘッド６とを有して
いる。クランクケース２にはクランク軸４が回転自在に
支持されている。クランクケース２はその前面が開口し
ており、この前面開口がサイドカバー１０で閉塞されて
いる。シリンダ５は、図３に示すように、軸心Ｓが水平
および鉛直方向に対して傾斜した姿勢に配置されてい
る。前記クランク軸４に図示しないコンロッドを介して
連結されたピストンが、前記シリンダ５内を摺動する。
前記クランクケース２の上部には燃料タンク７が設置さ
れ、前記シリンダヘッド６の上部には排気マフラ８が設
置され、シリンダヘッド６の上部には点火プラグ３３が
装着されている。
【００１６】図１のクランク軸４の一端、すなわちエン
ジン本体１の背面側（図１の右側）に向く一端には、冷
却ファン９が固定され、クランク軸４の他端（図１の左
側）は出力端とされ、この出力端に発電機のような作業
機が連結される。エンジン本体１におけるシリンダヘッ
ド６の背面側には、図５に平面図で概略構成を示すよう
に、吸気系１２を構成するエアクリーナ１４および燃料
供給装置１５が、これらの順序で背面側から前面側に向
けて設置され、燃料供給装置１５の下流端がシリンダヘ
ッド６の吸気ポート１１に接続されている。シリンダ軸
心Ｓが傾斜しているために、シリンダヘッド６に接続さ
れる吸気系１２は、平面視で、クランク軸心から側方に
ずれて位置する。吸気通路１３におけるエアクリーナ１
４から燃料供給装置１５の下流端に至る主要部は、クラ
ンク軸４の軸心Ｃと平行に設定されている。燃料供給装
置１５は気化器からなる。
【００１７】さらに、図３に示すように、燃料供給装置
１５の下方位置で、後述するファンハウジング１７内に
は、点火プラグ３３を駆動する点火ユニット１６が配置
されている。この点火ユニット１６は、フライホイール
を兼ねる冷却ファン９に設けたマグネット（図示せず）
に対向して配置された磁性体のコア１６ａと、これに巻
装された点火コイルを含む点火回路を内蔵したモールド
からなるユニット本体１６ｂとを有している。点火ユニ
ット１６の位置は、従来、冷却ファン９の斜め上方（通
常、クランク軸心Ｃ方向から見てシリンダ軸心Ｓと重な
る位置）であったが、この実施形態では、これよりも低
くなっており、冷却ファン９の側方で、冷却ファン９の
軸心、つまりクランク軸４の軸心Ｃとほぼ同一高さにな
っている。したがって、燃料供給装置１５と点火ユニッ
ト１６とが干渉しない。
【００１８】図５に示すエンジン本体１の背面側には、
前記冷却ファン９からの冷却風Ｗをシリンダ５およびシ
リンダヘッド６に導くファンハウジング１７が取り付け
られている。このファンハウジング１７の冷却ファン９
と対向する部分には、図４の斜視図で示すように吸気口
１８が設けられ、この吸気口１８は、図２に示すよう
に、多数の吸気孔２０を有するファンカバー１９で覆わ
れている。このファンカバー１９の内側にリコイルスタ
ータ２１が取り付けられており、そのグリップ２１ａが
ファンカバー１９から外側に突出している。ファンハウ
ジング１７の背面の上部には、操作パネル３４が取り付
けられている。
【００１９】図４に示すように、前記ファンハウジング
１７における前記燃料供給装置１５の設置部に相当する
部分には、切欠部２２が形成されている。この切欠部２
２を通して、図５に示すように気化器である燃料供給装
置１５のフロートチャンバ２３の大部分がファンハウジ
ング１７内に臨んでいる。このフロートチャンバ２３
は、ファンハウジング１７により形成された冷却風通路
２８内におけるシリンダ５およびシリンダヘッド６より
も上流側に位置している。図４に示す燃料供給装置１５
の燃料ドレン２９、アイドリングセットスクリュー３
０、パイロットスクリュー３１、エアベント通路３２等
は、ファンハウジング１７で覆われずに外部に露出した
状態とされる。これにより、燃料ドレン２９、アイドリ
ングセットスクリュー３０およびパイロットスクリュー
３１の調整、並びに、エアベント通路３２のダストによ
る詰まりの除去などの作業を、ファンハウジング１７の
外から容易に行うことができる。
【００２０】前記エアクリーナ１４は、燃料供給装置１
５の上流側に接続されて、ファンハウジング１７の外側
に露出しており、図１に示すように、クリーナケース３
６の内部にクリーナエレメント３８を備えている。
【００２１】上記構成の強制空冷式の小型エンジンで
は、図５に示すように、冷却ファン９からの冷却風Ｗ
が、ファンハウジング１７により形成される冷却風通路
２８に導かれてシリンダ５およびシリンダヘッド６に供
給されることで、運転中にシリンダ５およびシリンダヘ
ッド６が効果的に空冷される。
【００２２】特に、この小型エンジンでは、ファンハウ
ジング１７の切欠部２２を通して、燃料供給装置である
気化器１５のフロートチャンバ２３がファンハウジング
１７内に臨んでいるから、気化器１５の全体をファンハ
ウジング１７の外側に配置する場合と比べて、気化器１
５をエンジン本体１に近接して配置することができるの
で、気化器１５およびこれに接続されるエアクリーナ１
４のエンジン本体１からの張出し量が小さくなり、エン
ジンをコンパクトにできる。したがって、種々の作業機
にエンジンを搭載する場合のスペース上の制約がそれだ
け少なくなる。
【００２３】また、ファンハウジング１７内には、その
切欠部２２を通して気化器からなる燃料供給装置１５の
フロートチャンバ２３が臨んでいるので、フロートチャ
ンバ２３も冷却ファン９からの冷却風Ｗを受けて十分に
冷却されることになり、従来例の場合のようにフロート
チャンバ２３が外部からの熱、例えば作業機からの熱の
影響を受けて運転不調に陥るのを回避することができ
る。しかも、ファンハウジング１７により形成された冷
却風通路２８内におけるシリンダ５およびシリンダヘッ
ド６よりも上流側に、フロートチャンバ２３が位置して
いるので、シリンダ５およびシリンダヘッド６を冷却前
の低温の冷却風Ｗによって、フロートチャンバ２３をよ
り効果的に冷却できる。
【００２４】さらに、吸気系１２の吸気通路１３におけ
る少なくともエアクリーナ１４から燃料供給装置１５の
下流端に至る主要部がクランク軸４の軸心Ｃと平行に設
定されているので、斜めに向けられた二点鎖線で示す従
来の場合と比較して、エアクリーナ１４および燃料供給
装置１５がエンジン本体１から側方および後方（図５の
左方および下方）へ張り出す量が少なくなり、種々の作
業機にエンジンを搭載する場合のスペース上の制約がそ
れだけ少なくなる。しかも、燃料供給装置１５の下方に
点火プラグを駆動する点火ユニット１６が配置されてい
るので、燃料供給装置１５の張出し量が少ないにもかか
わらず、燃料供給装置１５と点火ユニット１６とが干渉
しない。
【００２５】なお、前記実施形態においては、ファンハ
ウジング１７に切欠部２２を設け、この切欠部２２を通
して気化器１５のフロートチャンバ２３がファンハウジ
ング１７内に臨むように構成したが、これとは異なり、
ファンハウジング１７にフロートチャンバ２３に沿った
形状の窪部を形成し、この窪部にフロートチャンバ２３
の一部が位置するように気化器１５を配置するととも
に、窪部内にファンハウジング１７内の冷却風Ｗを導出
する空気導出口を設けて、フロートチャンバ２３周辺に
冷却風Ｗの一部を導くようにしてもよい。なお、フロー
トチャンバ２３の冷却を必要としない場合には、冷却風
Ｗの導出口は無くてもよい。
【００２６】また、前記燃料供給装置１５として、気化
器の代わりに燃料噴射装置を用いたものにも本発明を適
用できる。その場合、燃料噴射装置はファンハウジング
１７の外側に配置される。
【００２７】
【発明の効果】以上のように、本発明の一構成に係る強
制空冷式の小型エンジンによれば、ファンハウジングの
切欠部を通して気化器のフロートチャンバがファンハウ
ジング内に臨んでいるから、気化器をエンジン本体に近
接して配置することができるので、エンジン本体からの
気化器の張出し量が少なくなり、エンジンがコンパクト
になる。また、ファンハウジングにより形成される冷却
風通路に導かれた冷却風によりフロートチャンバが冷却
されるので、フロートチャンバが外部の熱の影響を受け
て運転不調に陥るのを回避することができる。
【００２８】本発明の他の構成に係る強制空冷式の小型
エンジンによれば、吸気通路の主要部がクランク軸心と
平行に設置されているから、エンジン本体からのエアク
リーナおよび燃料供給装置の張出し量が少なくなり、エ
ンジンがコンパクトになる。また、点火ユニットは燃料
供給装置の下方に配置されているので、燃料供給装置と
干渉しない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係る強制空冷式の小型エ
ンジンを示す一部破断側面図である。
【図２】同小型エンジンの背面図である。
【図３】同小型エンジンにおけるファンハウジングおよ
びエアクリーナを除いた状態を示す背面図である。
【図４】同小型エンジンにおけるファンハウジング、燃
料供給装置およびエアクリーナを示す分解斜視図であ
る。
【図５】同小型エンジンにおけるクランク軸と、エアク
リーナおよび燃料供給装置の位置関係を示す平面図であ
る。
【符号の説明】
１…エンジン本体、２…クランクケース、４…クランク
軸、５…シリンダ、６…シリンダヘッド、９…冷却ファ
ン、１３…吸気通路、１４…エアクリーナ、１５…燃料
供給装置、１６…点火ユニット、１７…ファンハウジン
グ、２２…切欠部、２３…フロートチャンバ、２８…冷
却風通路、３３…点火プラグ、Ｃ…クランク軸の軸心、
Ｓ…シリンダ軸心、Ｗ…冷却風
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｆ０２Ｂ 67/00 Ｆ０２Ｂ 67/00 Ｊ Ｆ０２Ｍ 35/04 Ｆ０２Ｍ 35/04 Ａ (72)発明者 三木 幸夫 兵庫県明石市川崎町１番１号 川崎重工業 株式会社明石工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 クランク軸の一端に冷却ファンが装着さ
    れ、シリンダの軸心が水平および鉛直方向に対して傾斜
    したエンジンであって、 前記冷却ファンからの冷却風をシリンダおよびシリンダ
    ヘッドに導くファンハウジングに切欠部が形成され、前
    記切欠部を通して気化器のフロートチャンバがファンハ
    ウジング内に臨んでいる強制空冷式の小型エンジン。
  2. 【請求項２】 請求項１において、前記ファンハウジン
    内で前記気化器の下方に、点火プラグを駆動する点火ユ
    ニットが配置されている強制空冷式の小型エンジン。
  3. 【請求項３】 請求項１または２において、前記フロー
    トチャンバは、前記ファンハウジングにより形成された
    冷却風通路内におけるシリンダおよびシリンダヘッドよ
    りも上流側に位置している強制空冷式の小型エンジン。
  4. 【請求項４】 クランク軸の一端に冷却ファンが装着さ
    れ、シリンダの軸心が水平および鉛直方向に対して傾斜
    したエンジンであって、 吸気通路における少なくともエアクリーナから燃料供給
    装置の下流端に至る主要部が、クランク軸心と平行に設
    定され、 前記燃料供給装置の下方に、点火プラグを駆動する点火
    ユニットが配置されている強制空冷式の小型エンジン。
  5. 【請求項５】 請求項４において、前記燃料供給装置は
    気化器であり、前記冷却ファンからの冷却風をシリンダ
    およびシリンダヘッドに導くファンハウジングに切欠部
    が形成され、前記切欠部を通して前記気化器のフロート
    チャンバがファンハウジング内に臨んでいる強制空冷式
    の小型エンジン。
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