JP2003235540A - 剥離細胞選別装置、剥離細胞選別方法及びそのプログラム - Google Patents
剥離細胞選別装置、剥離細胞選別方法及びそのプログラムInfo
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Abstract
離の有無を選別できる。 【解決手段】 剥離細胞選別装置10は、支持台11、
LEDランプ13、CCDカメラ15、制御装置17を
備えている。CCDカメラ15は、LEDランプ13に
よって上方から照らされた培養容器20の下方から底面
を撮影して投影画像を得、その投影画像のデータを制御
装置17に送信する。制御装置17は、この投影画像に
画像解析処理を施し、培養容器20内の個々の細胞21
が底面に投影された投影面積Acを算出し、予め記憶し
ておいた剥離開始前の投影面積Ac*を用いて面積比A
c/Ac*を算出し、この面積比Ac/Ac*を予め定
めておいた閾値Tと比較することにより、個々の細胞2
1が培養容器20の底面から剥離したか否かを選別す
る。
Description
置、剥離細胞選別方法及びそのプログラムに関する。
で培養し、培養した組織を患者に適用する技術が数多く
報告されている。特にヒト皮膚組織については、欧米に
おいて商品化レベルにまで達している。ここで、ヒト皮
膚組織、例えばヒト表皮角化細胞(Keratinocyte)による
培養細胞シートの製品化のフローを図8に基づいて説明
する。まず、患者又はドナーの健康な部位から少量の組
織片を採取し、酵素処理によって細胞を分散させた後、
角化細胞を分離・回収する(ステップS1)。次に、そ
の角化細胞を用いて初代培養を行う(ステップS2)。
その後、初代培養で増殖させた細胞を別の複数の培養容
器に分けて接種(播種)し(ステップS3)、培地交換
等の操作を必要に応じて行うと、細胞が培養面に接着し
たあと増殖して培養面での細胞の占める面積が徐々に増
加し、所定面積に達してコンフルエントな状態となる
(ステップS4)。このとき、製品として総合的に必要
となる十分な面積(細胞数)が確保されたか否かをチェ
ックし(ステップS5)、確保されていなければ培地を
除去したあと培養面に接着している細胞をトリプシンな
どのプロテアーゼによって培養面から剥離させたあと回
収し(ステップS6)、必要な面積が確保されるまで継
代培養を繰り返し行うことで面積を増やす。一方、必要
な面積が確保されたならば、組織構築のために三次元培
養(重層化)を施し(ステップS7)、これを移植用の
培養細胞シートとして病院へ輸送し、移植を行う(ステ
ップS8)。
の剥離操作において、プロテアーゼの処理時間が長い
と、細胞がダメージを受けてその後の継代培養に支障が
生じることがある。このため、剥離操作において、時間
経過に伴って細胞の剥離状況を逐次把握することによ
り、プロテアーゼ処理時間の最適化を図ることが望まし
い。
テアーゼの処理では、細胞が剥離するまでに要する時間
が個々の細胞で異なるため、この点も考慮して培養面か
ら剥離した細胞を回収することが望ましい。
課題とするものであり、培養容器で培養している細胞に
つき容易に剥離の有無を選別できる剥離細胞選別装置、
剥離細胞選別方法、及びそのプログラムを提供すること
を目的とする。
上述した目的を達成するために以下の構成を採用した。
依存性細胞につき前記培養容器の所定の面に投影された
投影面積を算出する投影面積算出手段と、前記投影面積
に基づいて個々の接着依存性細胞が前記培養容器から剥
離したか否かを選別する選別手段とを備えた剥離細胞選
別装置に関する。この装置では、培養容器内の個々の接
着依存性細胞につき、培養容器の所定の面に投影された
投影面積に基づいて培養容器から剥離したか否かを選別
するため、特別な熟練などを要することなく細胞が剥離
したか否かを容易に選別できる。
養容器の所定の面に直接接着するか又は細胞外マトリッ
クスを介して間接的に接着し、次いでその接着面積が広
がっていき、その後細胞分裂する細胞のことをいう。例
えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ハムスタ
ー、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、イ
ヌ、ネコ、サル等の温血動物から採取された種々の細胞
が挙げられる。この温血動物の細胞としては、例えば、
角化細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細
胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細
胞、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞、繊維細胞、筋細
胞、脂肪細胞、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細
胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞若しくは間質細胞、又
はこれらの細胞の前駆細胞、幹細胞若しくは接着依存性
のガン細胞が挙げられる。また、胚性幹細胞を使用する
こともできる。或いは、エリスロポエチン、成長ホルモ
ン、顆粒球コロニー刺激因子、インスリン、インターフ
ェロン、血液凝固第VIII因子等の血液凝固因子、グルカ
ゴン、組織プラスミノーゲンアクチゲーター、ドーパミ
ン、ガン遺伝子、ガン抑制遺伝子等をコードする外来遺
伝子を前記細胞に導入し、それらの遺伝子を種々のプロ
モータを用いて強制的に又は特定の条件下で発現させる
ように構成した形質転換細胞を使用してもよい。また、
細胞外マトリックスとしては、例えば、インテグリン、
コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、グリコサ
ミノグリカン、糖タンパク質等が挙げられる。
できるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボ
ネート、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン
等の合成樹脂、ヒドロキシアパタイトセラミックス、ア
ルミナセラミックス、ガラス等から構成されたものが好
適に使用される。
て、前記投影面積算出手段は、接着依存性細胞が接着し
ている培養容器内に剥離剤が投入されたあとの時間経過
に伴って前記投影面積を算出してもよい。こうすれば、
剥離剤が投入されたあとの経過時間と接着依存性細胞の
剥離状況との関係を把握できる。ここで、「剥離剤」と
は、接着している接着依存性細胞を剥離する作用を有す
るものであれば特に限定されないが、例えばトリプシン
やディスパーゼなどのプロテアーゼが挙げられる。
て、前記選別手段は、剥離開始前の前記投影面積と測定
時の前記投影面積との面積比に基づいて個々の接着依存
性細胞が前記培養容器から剥離したか否かを選別しても
よい。この面積比は接着依存性細胞の剥離状況を示すパ
ラメータとなり得るため、この面積比に基づいて剥離の
有無を選別すれば適切に接着依存性細胞の剥離状況を把
握できる。
接着依存性細胞が剥離した時点における前記面積比を求
めてこれを閾値と定め、測定時の前記面積比と前記閾値
とを比較することにより、個々の接着依存性細胞が前記
培養容器から剥離したか否かを選別してもよい。こうす
れば、測定時の前記面積比と前記閾値とを比較して、例
えば前者が後者以下又は後者未満ならば剥離している、
前者が後者以上又は後者を上回るならば剥離していない
という具合に選別できる。
培養容器内の個々の接着依存性細胞が前記所定の面に投
影された投影画像を撮影する撮影手段を備え、前記投影
面積算出手段は、前記撮影手段によって得られた投影画
像に基づいて前記投影面積を算出してもよい。こうすれ
ば、個々の接着依存性細胞の投影面積を容易且つ安価に
得ることができ、ひいては本装置全体のコストを低く抑
えることができる。このとき、前記培養容器を照らすこ
とにより前記培養容器内の個々の接着性細胞を前記所定
の面に投影させる照明手段を更に備え、前記撮影手段
は、前記照明手段によって前記培養容器が照らされてい
るときに前記培養容器内の個々の接着依存性細胞が前記
所定の面に投影された投影画像を撮影してもよい。
培養容器内の細胞を回収可能な細胞回収手段と、前記選
別手段によって剥離したと選別された接着依存性細胞を
前記細胞回収手段に回収させる細胞回収制御手段とを備
えていてもよい。こうすれば、培養容器から剥離した接
着依存性細胞を早期に回収できる。例えば剥離したあと
の接着依存性細胞を剥離剤で処理し続けるとダメージを
受けて増殖能力が低下することがあるが、この装置によ
れば早期に回収できるため、そのようなおそれは解消さ
れる。
と選別された接着依存性細胞の位置を検出する位置検出
手段を備え、前記細胞回収制御手段は、前記位置検出手
段によって検出された位置の接着依存性細胞を前記細胞
回収手段に回収させてもよい。こうすれば、剥離した接
着依存性細胞を的確に回収できる。
には、前記培養容器に剥離剤を投入したあとの経過時間
を計測する計時手段と、該計時手段による計時結果に基
づいて前記剥離剤により剥離した剥離細胞を分類分けし
て回収する分類回収手段を設けてもよい。これによれ
ば、回収した剥離細胞を計時情報に基づいて分類するこ
とができ、剥離した時間に基づいて剥離細胞に能力(例
えば増殖能等)の差がある場合などでは、その能力差に
応じて分取することができる。又、剥離した細胞から順
に回収できるので、剥離剤による細胞ダメージを抑える
ことができる。
の第1の剥離細胞選別装置の前記投影面積算出手段及び
前記選別手段として、又は前記投影面積算出手段、前記
選別手段及び前記細胞回収制御手段として機能させるた
めのプログラムに関する。また、本発明の第3は、コン
ピュータに、培養容器内の個々の接着依存性細胞が前記
培養容器の所定の面に投影された投影面積に基づいて個
々の接着依存性細胞につき前記培養容器から剥離したか
否かを選別する工程を実行させるためのプログラムに関
する。これらのプログラムは、コンピュータが読み取り
可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、F
D、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝
送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介し
てあるコンピュータから別のコンピュータへ送信されて
もよいし、その他どのような形で授受されてもよい。こ
れらのプログラムをコンピュータに実行させれば、本発
明の第1の剥離細胞選別装置と同様の作用効果を得るこ
とができる。
選別装置の概略構成図である。本実施形態の剥離細胞選
別装置10は、支持台11と、照明手段としてのLED
ランプ13と、撮影手段としてのCCDカメラ15と、
投影面積算出手段及び選別手段としての制御装置17と
を備えている。
性細胞(以下単に細胞という)21が底面に接着してい
る培養容器20を、その底面が下方に視覚的に露出した
状態で支持している。即ち、支持台22は、培養容器2
0の底面縁部のみを支持したり、培養容器20の底面部
分に相当する箇所を透明部材としたりすることで、CC
Dカメラ15による撮影が妨げられないように構成され
ている。
れた培養容器20を上方から照らすことにより培養容器
20内の個々の細胞21を培養容器20の底面に投影さ
せる。
を撮影できるように培養容器20の下方に設置されてい
る。このCCDカメラ15は、制御装置17からの指令
信号を受信すると、LEDランプ13によって上方から
照らされた培養容器20の下方から底面を撮影し、培養
容器20内の個々の細胞21が培養容器20の底面に投
影された投影画像を得、その投影画像のデータを制御装
置17に送信する。また、CCDカメラ15は、三次元
ステージ16に取り付けられ、上下・左右・前後に移動
可能である。この三次元ステージ16は制御装置17か
らの指令信号によって作動して所定の位置にCCDカメ
ラ15を位置決めする。
RAM等で構成されている。この制御装置17は、三次
元ステージ16に指令信号を出力してCCDカメラ15
を所定の位置に位置決めしたあと、CCDカメラ15に
指令信号を出力して投影画像を撮影させ、その投影画像
をCCDカメラ15から入力して画像解析処理を施し、
画像解析処理後の投影画像に基づいて培養容器20内の
個々の細胞21が底面に投影された投影面積Acを算出
し、予め記憶しておいた剥離開始前の投影面積Ac*を
用いて面積比Ac/Ac*を算出し、この面積比Ac/
Ac*を予め定めておいた閾値Tと比較することによ
り、個々の細胞21が培養容器20の底面から剥離した
か否かを選別する。
の論文(Biotech.Bioeng.,67,P2
34−239(2000))の画像解析手法を投影画像
に施すことにより得られる。この場合、原画像に対して
背景分離処理、ルックアップテーブル変換処理、平滑化
処理、二値化抽出処理、孤立点除去処理、クロージング
処理、穴埋め処理、エリア抽出処理、画素数計測処理の
順に画像解析を行い、個々の細胞像を抽出し、各細胞の
投影部分の画素数を計測し、この画素数に1画素あたり
の面積を乗算した値を投影面積Acとする。
図2に基づいて説明する。この図2において、Acは細
胞が底面に投影された投影面積を表し、Aaは細胞が底
面に接着している接着面積を表す。底面に細胞21が接
着している培養容器20に剥離剤を添加すると、時間の
経過に伴って、図2(a)に示すように細胞21と底面
との接着面積Aaが大きな状態から、図2(b)に示す
ように細胞21と底面との接着面積Aaが小さな状態を
経て、図2(c)に示すように細胞21が剥離して底面
に沈降した状態又は剥離して浮遊した状態(剥離状態)
に至る。この図2からわかるように、細胞21は接着状
態から剥離状態に至る過程で投影面積Ac及び接着面積
Aaの両方とも徐々に小さくなっていき、剥離状態では
両面積Ac,Aaはほぼ一定値となる。
り予め定めておいた。
型フラスコ(ヌンク社)、細胞21としてヒト角化細胞
であるテロメラーゼ活性化細胞(hTERT−HME
1,クロンテック社)、培地としてヒト角化細胞用無血
清培地(Humedia−KG2,倉敷紡績(株))を
用いて、温度37℃、5%CO2含有エアという条件下
でコンフルエント状態になるまで培養した。このような
底面に細胞が接着している培養容器20を複数作製し
た。次に、各培養容器20につき、剥離剤としてのトリ
プシン溶液を滴下する前に、培養容器20を支持台11
に載せてLEDランプ13を点灯し培養容器20の下方
に設置したCCDカメラ15により培養容器20の底面
に投影された細胞21の投影画像を撮影し、制御装置1
7によりこの投影画像のデータに画像解析処理を施し、
単位面積当たりに接着している細胞数をカウントし、こ
れを剥離処理前の接着細胞濃度Xa1(cell/cm
2)とした。次に、各培養容器20に培地を排出しリン
スしたあとトリプシン溶液を滴下し、トリプシン溶液滴
下後の経過時間(以下、トリプシン処理時間という)が
0.5分になった時点で1つの培養容器20にトリプシ
ンインヒビタを投入してトリプシンの作用を停止させ、
その後溶液(剥離状態の細胞を含む)を培養容器20か
ら回収し遠心分離したあと得られた剥離細胞につき増殖
能力の一指標である倍加時間を調べる一方、培養容器2
0の底面を緩衝液で2回リンスしたあと底面をCCDカ
メラ15で撮影し、画像解析処理を施し、トリプシン処
理時間が0.5分の接着細胞濃度Xa2(cell/c
m2)を求めた。また、トリプシン処理時間が1分、2
分、3分、6分、9分、12分、15分となった時点で
各1つの培養容器20に先ほどと同様の処理を施し、剥
離細胞の倍加時間を調べる一方、接着細胞濃度Xa2
(cell/cm2)を求めた。そして、下記数1式に
より剥離率を求め、横軸をトリプシン処理時間、縦軸を
剥離率(実測値)とするグラフを作成した。そのグラフ
を図3に示す。なお、テロメラーゼ活性化細胞はトリプ
シン処理時間によらず増殖能力に大きな差異は見られな
かった。
て、培地を排出しリンスしたあとトリプシン溶液を滴下
し、トリプシン処理時間0.5分における個々の細胞2
1(細胞数:20)の投影面積を初期投影面積Ac*と
した。この培養容器20についてはトリプシンインヒビ
タを投入せず、引き続き、トリプシン処理時間が1分、
2分、3分、6分、9分、12分、15分となった時点
で投影面積Acを求め、横軸を面積比Ac/Ac*、縦
軸を細胞数とするグラフつまり面積比と細胞数との関係
を表すグラフを作製した(図4(a)参照)。ここで、
面積比Ac/Ac*の閾値Tを適当に定め、この閾値T
を越えない細胞を剥離細胞としその細胞数をNSとし、
この閾値Tを越える細胞を未剥離細胞としその細胞数を
NLとし、推定の剥離率を下記数2式により求めた。そ
して、横軸をトリプシン処理時間、縦軸を剥離率とする
グラフとして、剥離率が実測値つまり数1式のもの(図
3参照)と剥離率が推定値つまり数2式のものとを作製
し、両グラフが一致するような閾値Tを求めたところ、
T=0.6のときに良好に一致した。そのときの様子を
図4に示す。なお、図4(a)は面積比と細胞数との関
係を表すグラフであり、図4(b)はトリプシン処理時
間と剥離率との関係を表すグラフである。また、図4
(a)における点線は閾値T(=0.6)を示す。
胞に代えて、ヒト角化細胞である0才(包皮)ドナー由
来の細胞(KK−4009,倉敷紡績(株))を用いて
本実施形態と同様の実験を行い、同様の手法により閾値
Tを求めたところ、T=0.6のときの良好な結果が得
られた。そのときの様子を図5に示す。なお、図5
(a)は面積比と細胞数との関係を表すグラフであり、
図5(b)はトリプシン処理時間と剥離率との関係を表
すグラフである。また、図5(a)における点線は閾値
T(=0.6)を示す。この結果、細胞特性の異なる株
に対しても面積比を指標とした剥離状況の評価は可能で
あることがわかった。
につき、トリプシン処理時間と増殖能力の一指標である
倍加時間との関係を調べたところ、表1に示す結果が得
られた。この表1からわかるように、トリプシン処理時
間が3分及び15分の剥離細胞では増殖能力が低くなっ
ている。これは、処理時間が3分では分化により接着能
力や増殖能力の低くなった細胞群が優先的に浮遊し、1
5分では過度のトリプシン処理による障害で活性の低下
が引き起こされたためと考えられる。このようにトリプ
シン処理時間は細胞の増殖能力と密接に関係しているこ
とから、トリプシン処理時間を細胞増殖能力の一指標と
見ることができる。したがって、トリプシン処理時間に
応じて剥離細胞を分類分けして回収すれば、同様の細胞
増殖能力を持つ細胞ごとの回収が可能となる。
別装置10によれば、培養容器20内の個々の細胞21
につき面積比Ac/Ac*と閾値Tとを比較することに
より、底面から剥離したか否かを特別な熟練など要する
ことなく容易且つ適切に選別することができる。また、
図4(b)や図5(b)の推定値のグラフを作製すれ
ば、トリプシン処理時間と細胞の剥離状況との関係を容
易に把握することができる。さらに、個々の細胞21の
投影画像をLEDランプ13とCCDカメラ15とによ
り容易且つ安価に得ることができ、ひいては剥離細胞選
別装置10の全体のコストを低く抑えることができる。
の概略構成図である。本実施形態の剥離細胞選別装置3
0は、支持台31と、照明手段としてのLEDランプ3
3と、撮影手段としてのCCDカメラ35と、細胞回収
手段としての吸引ノズル36と、投影面積算出手段、選
別手段、細胞回収制御手段及び位置検出手段としての制
御装置37とを備えている。
が底面に接着している培養容器43を、その底面が下方
に視覚的に露出した状態で支持している。この支持台3
1の近傍には、支持台31に支持された培養容器40内
に剥離剤であるトリプシン溶液を注入可能な注入管32
が設けられている。注入管32には注入管32の開閉を
行うソレノイドバルブ34が取り付けられ、このソレノ
イドバルブ34は制御装置37の指令信号に応じて開閉
する。
れた培養容器33を上方から照らすことにより培養容器
40内の個々の細胞41を培養容器40の底面に投影さ
せる。
を複数に区分したときの各区分に対応して培養容器40
の下方に複数個設置されている。このCCDカメラ35
は、制御装置37からの指令信号を受信すると、LED
ランプ33によって上方から照らされた培養容器40の
下方から底面を撮影し、培養容器40内の個々の細胞4
1が培養容器40の底面に投影された投影画像を得、そ
の投影画像のデータを制御装置37に送信する。
引可能なノズルであり、三次元アーム38によって上下
・左右・前後に動かされる。この三次元アーム38は制
御装置37からの指令信号によって作動して所定の位置
に吸引ノズル36を位置決めする。
RAM等で構成されている。この制御装置37は、各C
CDカメラ35に指令信号を出力して投影画像を撮影さ
せ、その投影画像をCCDカメラ35から入力して第1
実施形態と同様の画像解析処理を施し、画像解析処理後
の投影画像に基づいて培養容器40内の個々の細胞41
が底面に投影された投影面積Acを算出し、予め記憶し
ておいた剥離開始前の投影面積Ac*を用いて面積比A
c/Ac*を算出し、この面積比Ac/Ac*を予め定
めておいた閾値Tと比較することにより、個々の細胞4
1が培養容器40の底面から剥離したか否かを選別す
る。なお、閾値Tの定め方は第1実施形態で述べた通り
である。そして、剥離している細胞41の位置を認識
し、三次元アーム38を駆動制御して吸引ノズル36を
その位置に移動させたあとその位置にある細胞41を吸
引させる。なお、剥離した細胞41の位置は、CCDカ
メラ35の設置位置及び投影画像のデータに基づいて検
出する。
ついて説明する。オペレータにより入力装置であるキー
ボードから制御装置37に剥離操作開始の指令が入力さ
れると、制御装置37は内部メモリに記憶されている剥
離操作プログラムを読み出してこれを実行する。図7は
この剥離操作プログラムのフローチャートである。この
プログラムが開始されると、制御装置37は、まず培地
を排出しリンスしたあとの培養容器40内に注入管32
のソレノイドバルブ34を開放してトリプシン溶液を投
入し、所定量したあとでソレノイドバルブ34を閉鎖す
る(ステップS100)。そして、閉鎖すると同時にタ
イマによりトリプシン処理時間の計測を開始すると共に
LEDランプ33を点灯し(ステップS110)、トリ
プシン処理時間0.5分の時点で各CCDカメラ35か
ら初期の投影画像のデータを読み込んで画像解析処理を
施して各細胞41の初期の投影面積Ac*を算出し、所
定の記憶領域に記憶する(ステップS120)。続い
て、トリプシン処理時間が所定時間(例えば1分)経過
するごとに各CCDカメラ35から投影画像のデータを
読み込んで画像解析処理を施し各細胞の投影面積Acを
算出し(ステップS130)、さらに面積比Ac/Ac
*を算出してこの面積比Ac/Ac*と閾値Tとを比較
し(ステップS140)、この面積比Ac/Ac*が閾
値Tを下回ったものを剥離細胞とみなしてその剥離細胞
の位置を認識し、三次元アーム38を駆動制御してその
位置にある剥離細胞を吸引ノズル36により吸引して図
示しない回収容器に回収しトリプシンインヒビタを投入
してトリプシンの作用を停止させる(ステップS15
0)。このとき、同時期に回収した剥離細胞は同じ回収
容器に回収する。その後、すべての細胞41を回収した
か否かを判定し(ステップS160)、回収していない
ときには再びステップS130に戻り、回収し終わった
ときにはこのプログラムを終了する。なお、ステップS
160における全細胞が回収されたか否かの判定処理に
代え、所定時間(例えば、全細胞を回収するのに十分な
時間)を経過したか否かを判定するようにしてもよい。
置30によれば、培養容器40の底面から剥離した細胞
41を早期に回収できる。このため、例えば剥離したあ
と更にトリプシン溶液で処理し続けるとダメージを受け
て増殖能力が低下するおそれのある細胞にとっては、そ
のようなおそれが解消される。また、CCDカメラ35
の設置位置及び投影画像のデータに基づいて剥離した細
胞の位置を検出して吸引ノズル36でその細胞を吸引す
るため、剥離した細胞を的確に回収できる。
0.5分における投影面積を初期投影面積Ac*とした
が、これはトリプシン処理時間0.5分では剥離が開始
しておらず、トリプシン添加前の投影面積と実質同じと
判断したからである。もちろん、トリプシン添加前の投
影面積を初期投影面積Ac*としてもよい。
て説明したが、本発明はこれらに何等限定されるもので
はなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる形態で実施し得ることはいうまでもない。
である。
説明図である。
シン処理時間、縦軸を剥離率(実測値)としたグラフで
ある。
比と細胞数との関係を表すグラフであり、(b)はトリ
プシン処理時間と剥離率との関係を表すグラフである。
細胞数との関係を表すグラフであり、(b)はトリプシ
ン処理時間と剥離率との関係を表すグラフである。
である。
ャートである。
ランプ、15…CCDカメラ、17…制御装置、20…
培養容器、21…細胞、30…剥離細胞選別装置、31
…支持台、32…注入管、33…LEDランプ、34…
ソレノイドバルブ、35…CCDカメラ、36…吸引ノ
ズル、37…制御装置、38…三次元アーム、40…培
養容器、41…細胞。
Claims (10)
- 【請求項1】 培養容器内の個々の接着依存性細胞につ
き前記培養容器の所定の面に投影された投影面積を算出
する投影面積算出手段と、 前記投影面積に基づいて個々の接着依存性細胞が前記培
養容器から剥離したか否かを選別する選別手段とを備え
た剥離細胞選別装置。 - 【請求項2】 前記投影面積算出手段は、接着依存性細
胞が接着している培養容器内に剥離剤が投入されたあと
の時間経過に伴って前記投影面積を算出する請求項1記
載の剥離細胞選別装置。 - 【請求項3】 前記選別手段は、剥離開始前の前記投影
面積と測定時の前記投影面積との面積比に基づいて個々
の接着依存性細胞が前記培養容器から剥離したか否かを
選別する請求項1又は2記載の剥離細胞選別装置。 - 【請求項4】 前記選別手段は、予め経験的に接着依存
性細胞が剥離した時点における前記面積比を求めてこれ
を閾値と定め、測定時の前記面積比と前記閾値とを比較
することにより、個々の接着依存性細胞が前記培養容器
から剥離したか否かを選別する請求項3記載の剥離細胞
選別装置。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の剥離細
胞選別装置であって、 前記培養容器内の個々の接着依存性細胞が前記所定の面
に投影された投影画像を撮影する撮影手段を備え、 前記投影面積算出手段は、前記撮影手段によって得られ
た投影画像に基づいて前記投影面積を算出する剥離細胞
選別装置。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の剥離細
胞選別装置であって、 前記培養容器内の細胞を回収可能な細胞回収手段と、 前記選別手段によって剥離したと選別された接着依存性
細胞を前記細胞回収手段に回収させる細胞回収制御手段
とを備えた剥離細胞選別装置。 - 【請求項7】 請求項6記載の剥離細胞選別装置であっ
て、 前記選別手段によって剥離したと選別された接着依存性
細胞の位置を検出する位置検出手段を備え、 前記細胞回収制御手段は、前記位置検出手段によって検
出された位置の接着依存性細胞を前記細胞回収手段に回
収させる剥離細胞選別装置。 - 【請求項8】 コンピュータを、請求項1〜5のいずれ
かに記載の剥離細胞選別装置の前記投影面積算出手段及
び前記選別手段として機能させるか、請求項6又は7記
載の剥離細胞選別装置の前記投影面積算出手段、前記選
別手段及び前記細胞回収制御手段として機能させるため
のプログラム。 - 【請求項9】 コンピュータに、培養容器内の個々の接
着依存性細胞が前記培養容器の所定の面に投影された投
影面積に基づいて個々の接着依存性細胞につき前記培養
容器から剥離したか否かを選別する工程を実行させるた
めのプログラム。 - 【請求項10】 培養容器内の個々の接着依存性細胞が
前記培養容器の所定の面に投影された投影面積に基づい
て個々の接着依存性細胞につき前記培養容器から剥離し
たか否かを選別する工程を含む剥離細胞選別方法。
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