JP2003215344A - 偏光子、およびこの偏光子を用いた光学機器 - Google Patents
偏光子、およびこの偏光子を用いた光学機器Info
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- G—PHYSICS
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Abstract
のできる偏光子、およびこの偏光子を用いた光学機器を
提供すること。 【解決手段】 入射した光束を直線偏光光束に変換する
偏光子42は、低線膨張係数、高熱伝導率、低光弾性定
数のいずれかの材質から構成される基板421と、この
基板421の光出射側表面に微細な金属製の凸条部をス
トライプ条に配列して構成される複屈折部422と、こ
の複屈折部422を覆うように配置され、基盤421と
同様の材質からなる保護基板423とを備え、基板42
1および保護基板423は、その周縁部分で弾性接着剤
424により接着されて、複屈折部422は、保護基板
423および弾性接着剤424によって密閉封入されて
いる。
Description
線偏光光束に変換する偏光子、およびこの偏光子を用い
た光学機器に関する。
器として、光源と、この光源から出射れた光束を画像情
報に応じて変調する電気光学装置と、この電気光学装置
で変調された光束を拡大投写する投写光学系とを備えた
プロジェクタが利用されている。この電気光学装置とし
て液晶装置が知られており、液晶装置は、一対の透明基
板間に液晶等の電気光学材料を密閉封入した電気光学素
子と、この電気光学素子の入射側および出射側に配置さ
れる偏光子となる2枚の偏光板とを含んで構成される。
そして、従来、この偏光板は、ヨウ素や染料を含んだP
VA(ポリビニルアルコール)等の有機系材料からな
り、一定方向に延伸したフィルムを、ガラス基板等の支
持体で挟み込んだり、支持体に張り付けることにより構
成されていた。
系の材料から構成されているため、高温に弱く、70℃
以上の環境で継続的に使用されると、色が抜けてしまい
偏光機能が徐々に失われるという問題がある。このた
め、無機系材料から構成される偏光板として構造複屈折
型偏光子が提案されている。この構造複屈折型偏光子
は、ガラス等の透明基板の表面にアルミニウム等の金属
で微細な線状の凸条部をストライプ状に複数配列した複
屈折部を形成することにより構成され、凸条部間の空間
の回折現象を利用することにより、入射する光束を直線
偏光光束に変換することができる。
うな構造複屈折型偏光子は、複屈折部において入射した
光束の一部を熱として吸収するため、ガラス基板が熱歪
を起こし、適切な偏光変換を行えないという問題があ
る。特に、ガラス基板が出射側に配置されるような形で
使用すると、複屈折部で変換された偏光光束の偏光軸が
ガラス基板内で回転し、光抜け現象を起こすという問題
がある。
偏光変換を行うことのできる偏光子、およびこの偏光子
を用いた光学機器を提供することにある。
偏光子の基板材料を取捨選択することにより、前記目的
を達成しようとするものである。具体的には、本発明の
偏光子は、入射した光束を直線偏光光束に変換する偏光
子であって、光線透過率が97%以上の材料からなる基
板と、この基板の光出射側表面に微細な金属製の凸条部
をストライプ状に配列して構成される複屈折部とを備え
ていることを特徴とする。ここで、97%以上の光線透
過率を有する基板材料としてはサファイア、LBC3N
(HOYAオプティクス製)、ネオセラム(日本電気ガ
ラス製)等がある。
×10-7/K以下の材料が好ましく、このような材料と
しては石英ガラス、ネオセラム、クリアセラム(オハラ
製)等があるが、なかでも結晶化ガラスや石英ガラスを
採用するのがより好ましい。また、複屈折部を構成する
金属製の凸条部としては、アルミニウムからなる凸条部
を採用することができ、偏光子の偏光特性は、凸条部の
ピッチ、高さ、およびデューティ比により定められる。
例えば、幅65nm、高さ120〜170nmの凸条部
を、144nmのピッチで複数配列することにより、複
屈折部を構成することができる。
に配置されることとなるため、偏光変換後の光束が基板
の熱歪等の影響を受けて偏光軸が回転することもなく、
適切な偏光変換を行うことができる。また、基板材料と
して線膨張係数の低い材料を採用することにより、複屈
折部で吸収された熱が基板材料に作用しても歪が生じに
くくなるため、偏光子の光抜け現象等の発生を防止する
ことができる。さらに、複屈折部が金属から構成されて
いるため、十分な耐久性を確保することができる。
K)以上の熱伝導率を有することが好ましい。この場
合、具体的な基板材料としては、サファイアや水晶を採
用することができる。
て熱伝導率の高い材料を採用することにより、複屈折部
で吸収された熱が基板材料に作用しても偏光子の保持枠
等を介して直ちに放熱することができるため、基板に熱
歪が生じにくくなり、前述と同様に偏光子の光抜け現象
等の発生を防止することができる。
/Pa以下の光弾性定数を有すること好ましい。ここ
で、光弾性定数は、基板に作用した応力と、その応力が
作用した状態で基板を透過した光の複屈折による光路差
との関係を与える比例定数であり、具体的には、複屈折
による光路差をδ(nm)、光の進行方向に直角な成分
の基板の内部応力をPs(×105Pa)、基板の厚さ
をd(mm)とすると、[数1]のような関係が成立す
る。
弾性定数であり、通常(10-12/Pa)の単位で表示
する。前述の光弾性定数を有する基板材料としては、例
えば、低光弾性ガラスであるHOYAオプティクス製L
BC3N等を採用することができる。このような本発明
によれば、基板材料が光弾性定数の低い材料から構成さ
れることにより、[数1]から判るように、複屈折部で
吸収された熱が基板に作用して熱歪により内部応力Ps
が生じても、光弾性定数Bが小さいため結果として光路
差δを小さく抑えることができ、光抜け現象等の発生を
防止することができる。
は、反射防止処理が施されているのが好ましい。このよ
うに反射防止処理が施されることにより、反射する光を
低減して入射光束の利用率を向上させることができるた
め、偏光子を透過する光の損失を少なくすることができ
る。
覆う保護基板が設けられているのが好ましい。保護基板
の材質としては、前述の複屈折部が形成される基板と同
様のものを採用するのが好ましい。具体的には、結晶化
ガラス、石英ガラス、サファイア、水晶等があげられ
る。前述したように、複屈折部は、アルミニウム等の金
属製の凸条部をストライプ状に配列して構成されるた
め、高温でかつ高湿な環境では、凸条部の劣化を招くこ
とがある。従って、このように保護基板が設けられるこ
とにより、凸条部の劣化を防止することができるため、
偏光子の耐久性を一層向上させることができ、このよう
な偏光子を含む光学機器が、輸送時高温高湿環境に晒さ
れたり、高温高湿環境下で使用されても、偏光子が劣化
することもない。
板と同様な線膨張係数、熱伝導率および光弾性定数とす
ることが望ましい。更に、保護基板の板厚は、前記線膨
張係数、熱伝導率および光弾性定数との関係から適切な
範囲が特定される。すなわち、前記保護基板は、その厚
さをd(mm)、光弾性定数をB(10-1 2/Pa)、
ヤング率をE(Pa)、線膨張係数をα(1/K)、熱
伝導率をρ(W/(m・K))とした時、次式で表され
るものとすることが望ましい。
反射防止処理が施されているのが好ましい。このように
保護基板の光入出射面にも反射防止処理が施されること
により、前記と同様に光の利用率を向上することができ
るうえ、透過面での不要な反射光を防ぐことができるた
め、信号のS/Nを向上させることができる。
端部で弾性接着剤により接着され、複屈折部が保護基板
および弾性接着剤で封止されているのが好ましい。ここ
で、弾性接着剤は、両基板の動きの違いを吸収し、かつ
複屈折部を密閉封入するために用いられ、材質としては
耐久性の点からシリコーン系のものを用いるのが好まし
く、さらに未反応オイル成分抑制タイプのものを採用す
るのがより好ましい。
着剤により全面接着すると、複屈折部の凸条部間の空間
が弾性接着剤で埋められてしまい、複屈折部の光の回折
能力が低下して偏光変換効率が悪くなってしまう。従っ
て、このように保護基板および基板が外周端部で弾性接
着剤により接着されることにより、凸条部間の空間が接
着剤で埋められてしまうことを防止することができるた
め、該空間で適切な偏光変換を実現することができ、光
学的に優れた偏光子とすることができる。また、未反応
オイル成分抑制タイプのシリコーン系接着剤を用いるこ
とにより、接着後、溶剤が凸条部の間の空間に染み出し
てくることを防止することができるため、光学的に一層
優れた偏光子とすることができる。
の形状に形成してもよく、基板よりも大きな形状に形成
してもよい。保護基板を基板と略同一の形状とすること
により、偏光子を偏光変換に必要な最小限の大きさとす
ることができるため、偏光子の小型化を図ることができ
る。尚、この場合、保護基板および基板の端面部分に弾
性接着剤を塗布することにより、両基板を接着すること
ができる。一方保護基板を基板よりも大きな形状とする
ことにより、基板の端面と、保護基板の表面との間で弾
性接着剤による接着を行うことができるため、接着面積
が増加し、内部の封止性を向上させる上で好ましい。
には、スペーサが介在しているのが好ましい。そして、
このスペーサは、光硬化型接着剤または表裏面が弾性粘
着面とされる両面テープから構成されているのが好まし
い。光硬化型接着剤をスペーサとする場合、基板および
保護基板の間に光硬化型接着剤を点状に塗布して基板お
よび保護基板を重ね合わせ、保護基板を設計上の離間位
置に移動させた後、紫外線等を照射して接着剤を硬化さ
せればよい。両面テープをスペーサとする場合、弾性粘
着面にアクリル系樹脂や、シリコーンを用いたものが考
えられる。また、この両面テープは複屈折部の全周に貼
り付けられることが好ましい。
り、複屈折部で偏光変換するに際して最も適切な位置に
保護基板を配置することができるため、光学的に一層優
れた偏光子とすることができる。また、両面テープをス
ペーサとした場合には、両面テープを貼り付けるだけで
スペーサを設置することができるので作業性が良好とな
る。さらに、両面テープを複屈折部の全周に貼り付けれ
ば、保護基板及び基板を接着したシリコーン系接着剤か
ら未反応オイル成分が染み出したとしても両面テープに
より堰き止められるため、未反応オイル成分により複屈
折部が汚れてしまうことがない。
ン系粘着剤から構成されていることが好ましい。シリコ
ーンは接着面の耐紫外線性が良好であるため、紫外線に
より劣化するおそれがない。また、耐熱性も良好である
ため、複屈折部で吸収された熱により影響をうけ、変形
等が起こるおそれがない。
支持体を有しており、前記支持体の表裏面には、シリコ
ーン系粘着剤が塗布された粘着面が設けられているこ
と、または、前記スペーサはシリコーン系粘着剤のみか
らなることが好ましい。支持体が設けられている場合に
は、両面テープの強度を支持体で確保できるため、両面
テープを貼り付ける際の作業性が良好となる。一方、ス
ペーサがシリコーン系粘着剤のみからなる場合には、保
護基板と基板との熱による挙動の違いを吸収することが
でき、基板に形成された複屈折部と保護基板との適切な
距離を保つことができる。また、シリコーン系粘着剤の
みからなるので、スペーサの厚さが薄くなり、偏光子の
薄型化を図ることができる。
成立するだけでなく、このような偏光子を備えた光学機
器としても成立するものであり、具体的には、光源から
出射された光束を画像情報に応じて変調する電気光学装
置を備えた光学機器であって、前記電気光学装置は、一
対の基板間に電気光学材料が狭持された電気光学素子
と、この電気光学素子の光入射側および/または光出射
側に配置される前述のいずれかの偏光子とを備えている
ことを特徴とする。そして、このような光学機器によれ
ば、耐久性が高くかつ適切な偏光変換を行うことのでき
る偏光子を備えているため、耐久性、光学的特性に優れ
た光学機器とすることができる。
面に基づいて説明する。図1には、本発明の実施形態に
係る光学機器となるプロジェクタ1の光学系の構造を表
す模式図が示されている。このプロジェクタ1は、イン
テグレータ照明光学系10、色分離光学系20、リレー
光学系30、電気光学装置40、色合成光学系であるク
ロスダイクロイックプリズム50、および投写光学系で
ある投写レンズ60を備えている。前記インテグレータ
照明光学系10は、光源装置11および均一照明光学系
15を備え、光源装置11は、メタルハライドランプ、
高圧水銀ランプ等の光源ランプ12、および、光源ラン
プ12から出射された光束の出射方向を揃えて平行化す
る放物面リフレクタ13から構成されている。均一照明
光学系15は、光源装置11から出射された光束を複数
の部分光束に分割するとともに、各部分光束の偏光方向
を、P偏光光束またはS偏光光束に揃える機能を具備
し、第1レンズアレイ16、第2レンズアレイ17、P
BSアレイ18、およびコンデンサレンズ19を含んで
構成されている。
から出射された光束を複数の部分光束に分割する光束分
割光学素子としての機能を有し、照明光軸Aと直交する
面内にマトリクス状に配列される複数のレンズを備えて
構成され、各レンズの縦横比は、後述する電気光学装置
40を構成する液晶パネル41R、41G、41Bの画
像形成領域の縦横比と対応している。第2レンズアレイ
17は、前述の第1レンズアレイ16により分割された
部分光束を集光する光学素子であり、第1レンズアレイ
16と同様に照明光軸Aに直交する面内にマトリクス状
に配列される複数のレンズを備えている。各レンズの配
列は、第1レンズアレイ16を構成するレンズと対応し
ているが、その大きさは、第1レンズアレイ16のよう
に液晶パネル41R、41G、41Bの画像形成領域の
縦横比と対応する必要はない。
は、第1レンズアレイ16により分割された各部分光束
の偏光方向を一方向に揃える光学素子であり、入射した
光束をP偏光光束およびS偏光光束のうち、一方を透過
させ、他方を反射して両偏光光束に分離する偏光分離膜
と、この偏光分離膜で反射した偏光光束の進行方向を折
り曲げて、透過した偏光光束の出射方向に揃える反射ミ
ラーと、偏光分離膜で分離された偏光光束のいずれかの
出射側端面に配置され、該偏光光束の偏光変換を行う位
相差板とを含んで構成される。コンデンサレンズ19
は、第1レンズアレイ16、第2レンズアレイ17、お
よびPBSアレイ18を経た複数の部分光束を集光し
て、液晶パネル41R、41G、41Bの画像形成領域
上に重畳させる機能を有するレンズである。
イックミラー21、22と、反射ミラー23とを備え、
これらのミラー21、22、23によりインテグレータ
照明光学系10から出射された複数の部分光束を、赤、
緑、青の3色の色光に分離する機能を有し、具体的に
は、ダイクロイックミラー21によって赤色光Rとその
他の色光G、Bとが分離され、ダイクロイックミラー2
2によって緑色光Gおよび青色光Bが分離される。前記
リレー光学系30は、入射側レンズ31、リレーレンズ
33、反射ミラー35、37、および出射側レンズ39
を備え、色分離光学系20で分離された色光、例えば、
本例では青色光Bを液晶パネル41Bまで導く機能を有
している。
R、41G、41Bと、この各液晶パネル41R、41
G、41Bの入射側および出射側に配置される偏光子と
しての偏光板42、43と、偏光板42の入射側に配置
されるフィールドレンズ44とを備えている。液晶パネ
ル41R、41G、41Bは、一対の透明なガラス基板
間に電気光学物質である液晶を密閉封入したものであ
り、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子と
して、与えられた画像信号に従って、偏光板42から出
射された偏光光の偏光方向を変調する。
に変換する光学素子であり、例えば、本例では、入射し
た光束のうちS偏光光束のみを透過するように構成され
ている。偏光板43は、液晶パネル41R、41G、4
1Bで変調された光束のうち、P偏光光束のみを透過す
るように構成されている。尚、これらの偏光板42、4
3の構造の詳細は後述する。フィールドレンズ44は、
インテグレータ照明光学系10のコンデンサレンズ19
で絞り込まれた出射光束を照明光軸に対して平行にする
ための光学素子であり、液晶パネル41R、41Gの前
段に配置されているが、液晶パネル41Bについては、
リレー光学系30の出射側レンズ39がこのフィールド
レンズを兼用している。
ックプリズム50は、3枚の液晶パネル41R、41
G、41Bから出射された各色光ごとに変調された画像
を合成してカラー画像を形成するものである。このクロ
スダイクロイックプリズム50には、赤色光を反射する
誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4
つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に形成され、
これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され
る。投写レンズ60は、複数の組レンズからなるレンズ
ユニットから構成され、クロスダイクロイックプリズム
50で合成されたカラー画像をスクリーン上に拡大投写
する機能を有する。
て、液晶パネル41R、41G、41Bの入射側に配置
される偏光板42は、図2および図3に示すように、基
板421と、この基板421上に形成される複屈折部4
22と、複屈折部422を覆うように配置される保護基
板423とを備えている。基板421は、線膨張係数が
4.8×10-7/K、熱伝導率が1.35W/(m・
K)の石英ガラスから構成され、その光出射面には、複
屈折部422が形成されているとともに、図示を略した
が、その光入射面には、反射防止膜が形成されている。
基板421の材質として石英ガラスを採用することによ
り、光の内部吸収を0.1%以下に抑えることができ、
反射防止膜を形成することにより、界面反射を0.5%
以下に抑えることができ、基板421の光線透過率は、
98.9%(100%−0.1%−0.5%×2)以上
とされている。
部422は、図4および図5に示すように、基板421
の略全面に形成され、微細なアルミニウム製の凸条部と
なるリブ422Aをストライプ状に複数配列して構成さ
れ、偏光変換はリブ422Aで挟まれた空間で行われ
る。複屈折部422を構成するリブ422Aの幅寸法W
は略65nm、高さ寸法Hは、120〜170nm、配
列ピッチPは略144nmに設定され、これらW、H、
Pを調整することにより、偏光板42の偏光特性を変化
させることができる。
形状を有し、図3に示されるように、その周縁部分でシ
リコーン系接着剤424により基板421と接着され、
基板421上に形成された複屈折部422は、シリコー
ン系接着剤424および保護基板423によって密閉封
入されている。前述した基板421を光入射側に配置す
るため、保護基板423は光束の出射側に配置される。
なお、図示を省略したが保護基板423はその光入射面
および光出射面に反射防止膜が形成されている。ここ
で、偏光変換後の光束が通過する保護基板の厚さd(m
m)と、保護基板として使用する材料の光弾性定数B
(10-12/Pa)、ヤング率E(Pa)、線膨張係数
α(1/K)、熱伝導率ρ(W/(m・K))との関係
は前記[数2]で表される。
を用いる場合、石英ガラスの光弾性定数B=3.61×
10-12/Pa)、ヤング率E=7.3×1010Pa、
線膨張係数α=4.8×10-7/K、熱伝導率ρ=1.
35W/(m・K)であり、前記[数2]より厚さd≦
1mmとなり、1mm程度までの保護基板とすることが
できる。また、シリコーン系接着剤424は、未反応オ
イル成分抑制タイプのものであり、基板421および保
護基板423が加熱等により異なる動きをした場合、そ
の変形はこのシリコーン系接着剤424の部分で吸収す
る。さらに、基板421および保護基板423の間に
は、スペーサ425が介在していて、複屈折部422に
対して一定距離離間した状態で保護基板423が配置さ
れる。このスペーサ425は、紫外線硬化型接着剤が硬
化したものである。
明する。まず、保護基板423の周縁部分に点状に紫外
線硬化型接着剤を塗布しておき、塗布面を基板421の
複屈折部422の形成面と対向させて、基板421に紫
外線硬化型接着剤を付着させる。次に、両基板421、
423を設計上の距離まで離間させた後、接着面に紫外
線を照射して硬化させて両基板421、423の間隔を
維持する。最後に、シリコーン系接着剤424を両基板
421、423の周縁部分に塗布してシリコーン系接着
剤424を硬化させる。
な効果がある。すなわち、基板421が入射側に配置さ
れることとなるため、偏光変換後の光束が基板421の
熱歪等の影響を受けて偏光軸が回転することもなく、適
切な偏光変換を行うことができる。また、基板材料とし
て線膨張係数の低い石英ガラスを採用することにより、
複屈折部422で吸収された熱が基板材料に作用しても
歪が生じにくくなるため、偏光板42の光抜け現象等の
発生を防止することができる。さらに、複屈折部422
が金属から構成されているため、十分な耐久性を確保す
ることができる。
3が設けられ、シリコーン系接着剤424および保護基
板423によって複屈折部422が密閉封入されること
により、リブ422Aの劣化を防止することができるた
め、偏光板42の耐久性を一層向上させることができ、
プロジェクタ1が輸送時高温高湿環境に晒されたり、高
温高湿環境下で使用されても、偏光板42が劣化するこ
ともない。さらに、基板421の光入射面および保護基
板423の光入出射面に反射防止膜が形成されることに
より、光の利用率を向上することができるうえ、透過面
での不要な反射光を防ぐことができ、信号のS/Nを向
上させることができる。
が複屈折部422の形成されていない周縁部分で接着さ
れることにより、リブ422A間の空間が接着剤で埋め
られてしまうことを防止することができるため、該空間
で適切な偏光変換を実施することができ、光学的に優れ
た偏光板42とすることができる。また、未反応オイル
成分抑制タイプのシリコーン系接着剤424としている
ため、接着後、溶剤がリブ422Aの間に染み出してく
ることを防止できる。さらに、保護基板423を基板4
21と略同一の形状とすることにより、偏光板42の大
きさを偏光変換に必要な最小限の大きさとすることがで
きるため、偏光板42の小型化を図ることができる。ま
た、保護基板423は偏光子の出射側に配置されるた
め、偏光子により偏光変換された光束が通過するので、
基板421に比べて偏光変換後の光束に対する熱応力に
よる影響が大きくなる。そこで、保護基板423の厚さ
dを前記[数2]を満たすようにすることで、保護基板
の熱応力による光学歪を最小限に抑えられる。特に、石
英ガラスやネオセラムを用いた場合には、[数2]の条
件で設定することにより厚みを1mm程度まで厚くで
き、光学歪の影響を殆ど発生させずに強度的にも十分な
保護基板とすることができ、大変有利である。また、他
の材料についても[数2]を満たすように基板厚みを選
定すればよい。
尚、以下の説明では、既に説明した部分と同一の部分に
ついては、同一符号を付してその説明を省略する。前記
第1実施形態に係る偏光板42は、保護基板423が基
板421と略同一の形状とされ、シリコーン系接着剤4
24による接着は、両基板421、423の端面部分で
行われていた。
52は、図6および図7に示されるように、基板521
よりも保護基板523の方が大きく設定されている点が
相違する。基板521および保護基板523の接着は、
基板521の端面と、保護基板523の表面部分でシリ
コーン系接着剤424によって行われ、シリコーン系接
着剤424の量は、保護基板523への塗布量を増やす
ことによって任意に設定できる。
は、基板421および保護基板423の材質を石英ガラ
スとしていた。これに対して、第2実施形態に係る偏光
板52は、基板521および保護基板523の材質をサ
ファイアとしている点が相違する。尚、図示を略した
が、基板521の光入射面および保護基板523の光入
出射面には、反射防止膜が形成されていて、97%以上
の光線透過率が確保される。
係数が高いものの、熱伝導率が42W/(m・K)と非
常に高いことが特徴である。このような偏光板52をプ
ロジェクタ1の光路上に配置する場合、金属板等の保持
枠に偏光板52を取り付け、放熱用の経路を形成してお
き、複屈折部422で吸収された熱を基板521または
保護基板523を介して保持枠から放熱するのが好まし
い。
1実施形態で述べた効果に加えて、次のような効果があ
る。すなわち、基板521、保護基板523の材質とし
て熱伝導率の高いサファイアを採用することにより、複
屈折部422で吸収された熱が基板521、保護基板5
23に作用しても、保持枠等を介して直ちに放熱するこ
とができるため、基板521、保護基板523に熱歪が
生じにくくなり、偏光板52の光抜け現象の発生を防止
できる。
大きな形状とされていることにより、基板521の端面
と、保護基板523の表面との間でシリコーン系接着剤
424による接着を行うことができるため、接着面積が
増加して両基板521、523を強固に張り付けること
ができる上、接着剤量を増加することにより、内部の封
止性を向上させることができる。さらに、保護基板52
3の外形を用いて偏光板52を精度よく位置決めでき
る。
図8及び図9に示されるように、第3実施形態の偏光板
62は、基板621よりも保護基板623の方が大きく
設定されており、各基板の材質がサファイアである点で
第2実施形態の偏光板52と共通するが、基板621と
保護基板623との間に介在するスペーサ625が両面
テープである点で偏光板52と異なっている。
に亘って設けられ、複屈折部422の保護基板623側
の面から基板621の光出射面にかけて貼り付けられて
いる。このスペーサ625上に保護基板623を配置す
ることにより、保護基板623と複屈折部422とが一
定距離離間した状態となる。図示しないが、両面テープ
であるスペーサ625は、保護基板623と当接する第
1面及び基板621と当接する第2面がシリコーン系粘
着剤で形成されており、第1面及び第2面(表裏面)は
弾性粘着面となっている。また、第1面と第2面との間
には、ガラスクロスの支持体が設けられている。この両
面テープの厚さは約0.15mm、粘着力は11.77N
/20mm、剪断接着力は196.1N/4cm2となっ
ている。なお、両面テープはこの構成に限らず、第1面
及び第2面がアクリル系樹脂からなり、支持体が不織布
からなるものでもよい。さらに、支持体がないものを使
用してもよい。支持体がないものを使用すれば、スペー
サの厚さを薄くすることができるので、偏光板の薄型化
を図ることができる。スペーサとして使用可能な両面テ
ープを表1に例示する。
説明する。まず、基板621の複屈折部422の周囲に
両面テープを貼り付ける。この際、両面テープの端部を
複屈折部422の保護基板623側の面上に載せる。次
に、両面テープの第1面に保護基板623を貼り付け
る。さらに、基板621の端面と、保護基板623表面
部分とをシリコーン系接着剤424により接着する。
1実施形態及び第2実施形態で述べた効果に加えて、次
のような効果がある。すなわち、スペーサ625を両面
テープとしたため、両面テープを貼り付けるだけでスペ
ーサ625を設置することができるので、スペーサ62
5の取り付け作業性が良好となる。また、両面テープを
複屈折部422の全周に貼り付けたため、保護基板62
3及び基板621を接着したシリコーン系接着剤424
から未反応オイル成分が染み出したとしても両面テープ
により堰き止められ、未反応オイル成分により複屈折部
422が汚れてしまうことがない。スペーサ625の第
1面及び第2面はシリコーン系粘着剤であり、シリコー
ンは接着面の耐紫外線性が良好であるため、紫外線によ
り劣化するおそれがない。また、耐熱性も良好であるた
め、複屈折部422で吸収された熱により影響をうけ、
変形等が起こるおそれがない。さらに、このスペーサ6
25の第1面と第2面との間にはガラスクロスの支持体
が設けられており、スペーサ625に適度な剛性が生じ
るため、スペーサ625を取り付ける際の作業性が良好
となる。
れるものではなく、以下に示すような変形をも含むもの
である。前記実施形態では、液晶パネル41R、41
G、41Bの入射側に配置される偏光板として、構造複
屈折型の偏光板42を採用していたが、これに限らず、
出射側の偏光板43にも構造複屈折型の偏光板を採用し
てもよい。この場合、複屈折部422を構成するリブ4
22Aを、透過しない偏光光束を反射するアルミ製のも
のではなく、黒色等の光を吸収するリブとすることによ
り、出射側に配置される偏光板として用いることができ
る。
数の材料として石英ガラスを採用していたが、これに限
らず、光学ガラスや結晶化ガラスを採用してもよく、前
記第2実施形態及び第3実施形態では、高熱伝導率の材
料としてサファイアガラスを採用していたが、水晶を採
用してもよく、要するに、偏光子の加熱の程度に応じ
て、低線膨張係数または高熱伝導率の材料を適宜選択す
ればよい。なお、保護基板に光学ガラスを採用する場合
には、保護基板の厚さ寸法は0.1mm程度が好ましい。
数、高熱伝導率という観点から基板421、521、6
21および保護基板423、523、623の材質を選
定していたが、本発明はこれに限られない。すなわち、
光弾性定数の低い無機物質を基板、保護基板の材質とし
て選定してもよく、光弾性定数が0.43×10-12/
Pa以下の材料を採用するのが好ましく、具体的には、
低光弾性ガラスであるHOYAオプティクス製LBC3
N等を採用することができる。このような光弾性定数の
低い材料を採用することにより、複屈折部で吸収された
熱が基板に作用しても、透過光の光路差を小さくできる
ため、光抜け現象等の発生を防止できる。
基板621よりも大きく形成されている偏光板62に両
面テープであるスペーサ625を使用したが、第1実施
形態の偏光板42のように、保護基板423と基板42
1とが略同じ大きさである場合にスペーサ625を使用
してもよい。
1の液晶パネル41R、41G、41Bの偏光板42、
52、62として本発明を採用していたが、本発明はこ
れに限られない。すなわち、他の光学機器に本発明に係
る偏光子を用いてもよく、また液晶装置以外の光変調装
置に本発明に係る偏光子を採用しても、前記実施形態で
述べた作用および効果と同様の作用および効果を享受す
ることができる。その他、本発明の実施の際の具体的な
構造および材質等は、本発明の目的を達成できる範囲で
他の構造等としてもよい。
射側に配置されることとなるため、偏光変換後の光束が
基板の熱歪等の影響を受けて偏光軸が回転することもな
く、適切な偏光変換を行うことができる。また、基板材
料として低線膨張係数、高熱伝導率、低光弾性定数のい
ずれかの材料を採用することにより、複屈折部で吸収さ
れた熱が基板材料に作用しても、偏光子の光抜け現象等
の発生を防止することができる。
造を表す模式図である。
斜視図である。
図である。
正面図である。
を表す部分斜視図である。
す概要斜視図である。
図である。
す概要斜視図である。
図である。
Claims (28)
- 【請求項1】入射した光束を直線偏光光束に変換する偏
光子であって、 光線透過率が97%以上の材料からなる基板と、 この基板の光出射側表面に微細な金属製の凸条部をスト
ライプ状に配列して構成される複屈折部とを備えている
ことを特徴とする偏光子。 - 【請求項2】請求項1に記載の偏光子において、 前記基板は線膨張係数が4.8×10-7/K以下の材料
からなることを特徴とする偏光子。 - 【請求項3】請求項2に記載の偏光子において、 前記基板は結晶化ガラスからなることを特徴とする偏光
子。 - 【請求項4】請求項3に記載の偏光子において、 前記基板は石英ガラスからなることを特徴とする偏光
子。 - 【請求項5】請求項1に記載の偏光子において、 前記基板は、熱伝導率が6.21W/(m・K)以上の
材料からなることを特徴とする偏光子。 - 【請求項6】請求項5に記載の偏光子において、 前記基板は、サファイアからなることを特徴とする偏光
子。 - 【請求項7】請求項5に記載の偏光子において、 前記基板は、水晶からなることを特徴とする偏光子。
- 【請求項8】請求項1に記載の偏光子において、 前記基板は、光弾性定数が0.43×10-12/Pa以
下の材料からなることを特徴とする偏光子。 - 【請求項9】請求項1〜請求項8のいずれかに記載の偏
光子において、 前記基板の光入射面には、反射防止処理が施されている
ことを特徴とする偏光子。 - 【請求項10】請求項1〜請求項9のいずれかに記載の
偏光子において、 前記複屈折部を覆う保護基板が設けられていることを特
徴とする偏光子。 - 【請求項11】請求項10に記載の偏光子において、 前記保護基板は、光線透過率97%以上の材料から構成
されていることを特徴とする偏光子。 - 【請求項12】請求項11に記載の偏光子において、 前記保護基板は、線膨張係数が4.8×10-7/K以下
の材料からなることを特徴とする偏光子。 - 【請求項13】請求項11に記載の偏光子において、 前記保護基板は、熱伝導率が6.21W/(m・K)以
上の材料からなることを特徴とする偏光子。 - 【請求項14】請求項11に記載の偏光子において、 前記保護基板は、光弾性定数が0.43×10-12/P
a以下の材料からなることを特徴とする偏光子。 - 【請求項15】請求項10に記載の偏光子において、 前記保護基板の厚さをd(mm)、光弾性定数をB(1
0-12/Pa)、ヤング率をE(Pa)、線膨張係数を
α(1/K)、熱伝導率をρ(W/(m・K))とした
時、次式 B×E×α/ρ×d≦9.8×10-5(m2/W) で表されることを特徴とする偏光子。 - 【請求項16】請求項10〜請求項15のいずれかに記
載の偏光子において、 前記保護基板の光入出射面に反射防止処理が施されてい
ることを特徴とする偏光子。 - 【請求項17】請求項10〜請求項16のいずれかに記
載の偏光子において、 前記保護基板は、前記基板と外周端部で弾性接着剤によ
り接着され、前記複屈折部が該保護基板および弾性接着
剤で封止されていることを特徴とする偏光子。 - 【請求項18】請求項17に記載の偏光子において、 前記弾性接着剤は、シリコーン系接着剤であることを特
徴とする偏光子。 - 【請求項19】請求項18に記載の偏光子において、 前記弾性接着剤は、未反応オイル成分抑制タイプのシリ
コーン系接着剤であることを特徴とする偏光子。 - 【請求項20】請求項10〜請求項19のいずれかに記
載の偏光子において、 前記保護基板は、前記基板と略同一の形状を有すること
を特徴とする偏光子。 - 【請求項21】請求項10〜請求項19のいずれかに記
載の偏光子において、 前記保護基板は、前記基板よりも大きな形状を有するこ
とを特徴とする偏光子。 - 【請求項22】請求項10〜請求項21のいずれかに記
載の偏光子において、 前記基板と前記保護基板との間には、スペーサが介在し
ていることを特徴とする偏光子。 - 【請求項23】請求項22に記載の偏光子において、 前記スペーサは、光硬化型接着剤からなることを特徴と
する偏光子。 - 【請求項24】請求項22に記載の偏光子において、 前記スペーサは、表裏面が弾性粘着面とされる両面テー
プであることを特徴とする偏光子。 - 【請求項25】請求項24に記載の偏光子において、 前記スペーサの粘着面はシリコーン系粘着剤から構成さ
れていることを特徴とする偏光子。 - 【請求項26】請求項25に記載の偏光子において、 前記スペーサは、織布又は不織布からなる支持体を有し
ており、前記支持体の表裏面には、シリコーン系粘着剤
が塗布された粘着面が設けられていることを特徴とする
偏光子。 - 【請求項27】請求項25に記載の偏光子において、 前記スペーサはシリコーン系粘着剤のみからなることを
特徴とする偏光子。 - 【請求項28】光源から出射された光束を画像情報に応
じて変調する電気光学装置を備えた光学機器であって、 前記電気光学装置は、一対の基板間に電気光学材料が狭
持された電気光学素子と、 この電気光学素子の光入射側および/または光出射側に
配置される請求項1〜請求項27のいずれかに記載の偏
光子とを備えていることを特徴とする光学機器。
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