JP2003155583A - 電気化学的防汚方法及びその装置 - Google Patents

電気化学的防汚方法及びその装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被防汚面たる導電性基材の電極としての機能
を維持向上すると共に、被防汚導電性基材の電気化学的
防汚効果を長期に渡って安定的に得ることを目的として
脱離工程及び洗浄工程に関する自由度を高めることを課
題としたものである。 【解決手段】 少なくとも導電性基材と、対極と、前記
導電性基材と前記対極との間に電圧を印加する電源とか
らなり、前記導電性基材と生物との直接電子移動反応を
利用した電気化学的防汚方法において、前記導電性基材
は、被防汚面の一部又は全部が、少なくとも白金及び/
又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合金
属酸化物又は複合金属酸化物からなり、前記電源によ
り、少なくとも前記導電性基材に電解液中から電気化学
的に生成物を発生させない正電位を印加し、前記導電性
基材表面に直接または間接的に接触する水生生物の増殖
を抑制することを特徴とする電気化学的防汚方法及びこ
の方法に基づく装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海洋構造物、船
舶、水輸送用の配管又は水路、漁網、熱交換器あるい
は、海水取水口のスクリーンなどに生物やスケールなど
が付着することを電気化学的に防止する電気化学的防汚
方法及びこの方法を用いた電気化学的防汚装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】海水や淡水中には多くの生物が存在し、
水中構造物表面に付着し、様々な問題を引き起こしてい
る。例えば、船舶やブイに付着すると推進抵抗の増大と
いった問題が発生する。また、養殖用生け簀に付着する
と海水の交流阻害といった問題が発生する。更に、定置
網などの漁網に付着すると網成りの変形といった問題な
どが発生する。また、給排水のパイプ内やバルブ等に付
着した微生物は海水や淡水を介して人や生産物を汚染す
るといった問題を発生する。海水や淡水に接している構
造物表面への生物の一般的な付着機構は以下の通りであ
る。まず付着性のグラム陰性菌が構造物表面に吸着して
脂質に由来するスライム状物質を多量に分泌する。さら
にグラム陰性菌は、このスライム層に集まって増殖し、
微生物皮膜を形成する。そして、海水中ではこの微生物
皮膜上に大型生物である藻類、貝類、フジツボ等の大型
の生物が付着する。付着した大型生物が繁殖成長し、最
終的に水中構造物表面を覆い尽くすことになる。上記、
水中構造物および海水や淡水に接しているものの表面に
付着した生物による汚染に対する防汚手段としては、殺
菌性を有する物質を防汚面に添加したり、有機スズ系化
合物を含有した塗料で塗膜を形成し、有機スズ系化合物
を溶出させる方法や、海水を電気分解する事により発生
する塩素を利用した防汚方法が一般的に行われていた。
しかし、これらの方法は有害物質が発生し、水質の汚染
による生物への影響が懸念される。
【0003】近年、有害物質を発生させないで電気化学
的に水中構造物や海水や淡水に接しているものの表面な
どに付着する生物を制御する方法が提案されている。こ
の電気化学的な生物の制御方法は、微生物との直接電気
化学反応が確認されている所定電位以上の電位を微生物
に印加すると、微生物内部の酸化還元物質の一つである
補酵素Aが不可逆的に酸化され、微生物の呼吸活性及び
微生物膜の透過障壁の低下を誘発し、微生物を死滅させ
ることが可能であるというものである(特公平6−91
821号公報)。ちなみに、本発明で用いた海洋付着細
菌ビブリオ・アルギノリチクスでは、0.7VvsSC
Eにて酸化ピーク電流が確認できる。すなわち、微生物
との直接電気化学反応が確認される所定電位が、電解液
となる水や海水の分解電位以下で起こるため、化学物質
の生成が無く、導電性基材に付着する微生物のみを殺菌
し、その後の水生生物の付着を防止することができる。
そのため、海洋汚染が無く、さらに海洋生物の生態系へ
の影響がない優れた防汚方法となることが示されてい
る。また、特開平11−19249号公報には、水中に
おいて、導電性基板に正電位を印加することにより、水
中の微生物を前記導電性基板表面に吸着して殺菌する工
程と、前記導電性基板にさらに高い正電位を印加するこ
とにより、前記導電性基板表面に吸着している微生物の
細胞を破壊し、導電性基板に付着し殺菌された微生物や
その分解物を脱離する工程とを行うことを特徴とする水
中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されてい
る。また、特許3105024号公報には、水中におい
て、導電性基板に正電位を印加することにより、水中の
微生物を前記導電性基板表面に吸着して殺菌する工程
(+0〜1.5VvsSCE)と、前記導電性基板に負
電位を印加することにより、前記導電性基板表面に吸着
している殺菌された微生物を脱離する工程(−0〜0.
4VvsSCE)とを行うことを特徴とする水中微生物
の制御方法を要旨とする発明が記載されている。また、
特開2001−198572号公報には、水中におい
て、導電性基板に電気分解の起こらない正電位を印加す
ることにより、水中の微生物を前記導電性基板表面に吸
着して殺菌する工程と、前記導電性基板に電気分解の起
こる負電位を印加し導電基板表面を還元すると共に、ア
ルカリ性物質を導電性基板表面に誘導し、前記導電性基
板表面に吸着している殺菌された微生物やその分解物を
脱離する工程とを行うことを特徴とする水中微生物の制
御方法を要旨とする発明が記載されている。さらに、近
似した防汚方法としては、導電性基板に酸素を発生させ
て防汚する方法が、特公平1−46595号公報及び特
開平11−303041号公報に開示されている。これ
らの方法では、酸素発生電位を0.55V〜1.1V程
度とする範囲としている。しかしながら、前記電気化学
的防汚方法では、細胞と導電性基板とが直接接触したと
きのみに微生物の殺菌ができることを明らかにしている
のに対して、上記近似した防汚方法では、ほぼ同電位に
て発生する酸素が、導電性基材に接触しない微生物を殺
菌し、防汚できること示す明確な証明がない。従って、
導電性基板に微生物などが付着しないのは、前記電気化
学的防汚方法との概念的分離が難しい。また、導電性塗
膜皮膜に正電位を印加し、次亜塩素酸イオンや塩素イオ
ンを生成させる防汚方法が、特公平6−15069号公
報及び特公平8−14036号公報に記載されており、
海水電解装置による塩素注入方式による防汚効果を、被
防汚面で直接塩素などを発生させているものと考えられ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】海水や水の電気分解が
起こらない電位を、防汚しようとする導電性の基材に印
加することによって、微生物の殺菌や付着防止を行う方
法は、海洋汚染が無く、さらに海洋生物の生態系への影
響がないことから優れた防汚方法である。ところで、上
記電気化学的な防汚方法は、海水や水の電気分解が起こ
らない正電位を印加し付着微生物を殺菌する工程、海水
や水の電気分解が起こらない負電位を印加し殺菌された
微生物や帯電している有機物やスケールを脱離する工
程、及び海水や水の電気分解が起こる負電位を印加し被
防汚面を洗浄還元する工程からなる。電気化学的防汚方
法において、その効果を長期間維持するためには、洗浄
工程において、被防汚面たる導電性基材は、殺菌工程を
十分に行えるようにする必要がある。また一方で、洗浄
工程を行っている間は、殺菌工程及び脱離工程が実施で
きないことや、導電性基材の表面に水酸化マグネシウム
などの析出が起こり、電子移動反応を阻害したりするた
め、それぞれの工程の時間配分などは、環境に対応して
変更する必要があり最適な配分が難しいのが現状であ
る。また、被防汚面たる導電性基材が過度に酸化された
場合には、導電性基材表面での電気抵抗値の増加に伴う
微生物と導電性基材間での電子移動速度の低下が起こっ
たり、導電性基材全体に設定電位を均一に印加すること
が難しくなるといった場合がある。また、導電性基材の
表面は、構成される物質の劣化に伴う電極としての機能
低下などが起こる場合があるなど、実用化には今後とも
幾多の課題を有している。本発明はこれらの問題に鑑み
なされたものであり、被防汚面たる導電性基材の電極と
しての機能を維持向上すると共に、被防汚導電性基材の
電気化学的防汚効果を長期に渡って安定的に得ることを
目的として脱離工程及び洗浄工程に関する自由度を高め
ることを課題としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも導
電性基材と、対極と、前記被防汚導電性基材と前記対極
との間に電圧を印加する電源とからなり、前記被防汚導
電性基材と生物との直接電子移動反応を利用した電気化
学的防汚方法において、前記導電性基材は、被防汚面の
一部又は全部が、少なくとも白金及び/又は金属酸化物
から選ばれた単一金属酸化物又は混合金属酸化物又は複
合金属酸化物からなり、前記電源により、少なくとも前
記導電性基材に電解液中から電気化学的に生成物を発生
させない正電位を印加し、前記導電性基材表面に直接ま
たは間接的に接触する水生生物の増殖を抑制することを
特徴とする電気化学的防汚方法を第1の要旨とし、少な
くとも導電性基材と、対極と、前記導電性基材と前記対
極との間に電圧を印加する電源とからなり、前記導電性
基材表面に直接または間接的に接触する水生生物と前記
導電性基材との直接電子移動反応を制御する電気化学的
防汚装置であって、前記導電性基材に電解液中から電気
化学的に生成物を発生させる正電位を印加することによ
り、前記導電性基材表面に直接または間接的に接触する
水生生物およびスケールの脱離洗浄及び前記導電性基材
を再活性化する工程を設定でき、前記電気化学的防汚装
置は、前記導電性基材に電解液中から電気化学的に生成
物が発生しない正電位と、電解液中から電気化学的に生
成物が発生しない負電位と、電解液中から電気化学的に
生成物が発生する負電位とを任意に設定でき且つ周期的
に印加できることを特徴とする電気化学的防汚装置を第
2の要旨とする。
【0006】以下、本発明について詳述する。本発明に
係る電気化学的防汚方法における基本的防汚機能発現構
成は、 (1)殺菌工程:導電性基材に電解液中から電気化学的
に生成物を発生させない正電位を印加することにより殺
菌する工程(+0〜1.5VvsSCE)と、 (2)脱離工程:前記導電性基材に電解液中から電気化
学的に生成物を発生させない負電位を印加し、直接また
は間接的に付着接触する水生生物およびスケールを静電
的機能により脱離する工程(−0〜−0.6VvsSC
E)と、 (3)洗浄還元工程:前記導電性基材に電解液中から電
気化学的に生成物を発生させる負電位を印加し、前記導
電性基材に付着接触した水生生物およびスケールをアル
カリ分解洗浄及び前記導電性基材表面を還元する工程
(−0.6〜−2.0VvsSCE)と、 (4)分解洗浄再活性化工程:前記導電性基材に電解液
中から電気化学的に生成物を発生させる正電位を印加
し、前記導電性基材表面に直接または間接的に付着接触
した水生生物およびスケールを、塩素化合物もしくはラ
ジカルの生成により脱離分解洗浄し、前記導電性基材表
面をクリーニングし、再活性化する工程(+1.5Vv
sSCEより高い正電位) の内、少なくとも殺菌工程を含む任意の工程を被防汚面
たる導電性基材に対して実施し、最も電解生成化学物質
による水や海水への負荷が少なく、且つ、安定的に長期
の防汚効果を得るようにするものである。但し、これら
の電位は、使用される被防汚面たる導電性基材及び対極
の材料とその組み合わせや水や海水の基準電位を測定す
る基準電極により変化しうるものである。例えば、基準
電極として、SCE(飽和カンコウ電極)やAg/Ag
Cl(銀/塩化銀電極)など一般的に電気化学計測に使
用する照合電極が挙げられる。
【0007】次に各工程での電位印加条件について説明
する。 (1)殺菌工程 水生生物を含む水中において、導電性基材に正電位を印
加すると、水中の水生生物は基材表面に吸着する。さら
に基材に印加されている正電位には、基材表面に吸着し
て接触した水生生物を電気化学的に殺菌する作用があ
る。即ち、水生生物は、正電位によって基材表面に吸着
させられ、表面上で殺菌される。このとき、設定される
電位は電解液中から電気化学的に生成物が発生しない電
位であり、水や海水の分解に伴う酸素や塩素の発生電位
以下の電位である。好ましい電位は、+0〜1.5Vv
s.SCE、より好ましくは+0.5から+1.2Vv
s.SCEである。しかしながら、本電位は、使用され
る導電性基材の物性に依存するものであり、水の分解に
伴う酸素や塩素の発生電位以下であれば、水や海水中へ
の電解生成物質による汚染を最小限に抑制でき、長期に
渡り安定的な防汚効果を示すことができる。また、+0
Vvs.SCEから微生物との直接電子移動反応が確認
される正電位未満では、水生生物を基材に吸着させて殺
菌することができないが、導電性基材の劣化や消耗を考
慮し、間欠的に電位を変動させることが好ましい。電解
液中から電気化学的に生成物が発生しない正電位を印加
する時間は、導電性基材の特性によって適宜選択するこ
とができる。一般的には導電性基材の耐久性、導電性基
材表面に直接または間接的に接触する水生生物の付着量
によって異なるが0.5〜24時間程度でも、数年間で
も、防汚効果が維持されるのであれば、電解生成化学物
質による水や海水への負荷を少なくするため、なるべく
長く設定されることが好ましい。導電性基材によっては
その酸化物の形成速度にもよるが0.5〜18時間の印
加がより好ましい。 (2)脱離工程 次に、前記導電性基材表面に負電位を印加すると、直接
または間接的に接触する水生生物およびスケールが脱離
する。電解液中から電気化学的に生成物を発生しない負
電位は、0〜−1.0Vvs.Ag/AgClである。
好ましくは、−0〜−0.6Vvs.Ag/AgClで
ある。その際、導電性基材に付着した水生生物、その他
の細胞、殺菌された水生生物の細胞および/またはその
破損物や有機物は、静電的機構や電位変動による導電性
基材表面でのpH等の変動により脱離する。さらに、負
電位における電位を変動させることによって脱離と洗浄
をより効率よくさせることもできる。変動する電位の幅
は−0.3Vから−0.9V程度が好ましく、周期は1
0Hzから0.001Hzが好ましい。電解液中から電
気化学的に生成物が発生しない負電位を印加する時間
は、導電性基材の特性によって適宜選択することができ
る。一般的には導電性基材の耐久性、導電性基材表面に
直接または間接的に接触する水生生物の付着量によって
異なるが0.1〜24時間程度が好ましい。導電性基材
の劣化を考慮すると0.1〜2時間の印加がより好まし
い。
【0008】(3)(洗浄還元工程) さらに、水や海水などの電解液中から電気化学的に生成
物が発生する負電位は、−1.0Vvs.Ag/AgC
lより負電位で、好ましくは−1.0V〜−2.0Vv
s.Ag/AgCl程度である。この負電位を印加する
ことによって、導電性基材に付着した水生生物、その他
の細胞、殺菌された水生生物の細胞および/またはその
破損物や有機物の脱離が促進される。それは、電解液中
から電気化学的に生成物が発生する負電位が印加する
と、電解液の分解により導電性基材表面では水素が発生
し、この水素によって導電性基材表面の付着物が除去さ
れるためである。また、導電性基材近傍ではpHがアル
カリ性となる。さらに、強アルカリ雰囲気になることに
よって水酸化物の析出が起こる場合があり、印加する電
位及び印加時間を適宜選択する必要がある。しかし、該
水酸化物によって、有機物は溶解する。これらの除去及
び溶解によって、導電性基材表面は洗浄されることにな
る。また、導電性基材表面の酸化物を還元し、導電性基
材界面での電子移動反応を阻害する酸化物を還元し、殺
菌工程の機能を維持回復することが必要な場合がある。
さらに、負電位における電位を変動させることによって
脱離と洗浄をより効率よくさせることもできる。変動す
る電位の幅は−0.3Vから−2V程度が好ましく周期
は10Hzから0.001Hzが好ましい。電解液中か
ら電気化学的に生成物が発生する負電位を印加する時間
は、導電性基材の特性によって適宜選択することができ
る。一般的には導電性基材の耐久性、導電性基材表面に
直接または間接的に接触する水生生物の付着量によって
異なるが0.5〜24時間程度が好ましい。導電性基材
の劣化を考慮すると0.5〜2時間の印加がより好まし
い。 (4)(分解洗浄再活性化工程) また、電解液中から電気化学的に生成物が発生する正電
位とは、水や海水の分解にともない酸素や塩素の発生す
る電位であり、+1.5Vvs.SCEを越えた電位に
より、明確に確認される。これらの高い電位を長時間印
加すると水や海水が電気分解して塩素や未知の物質を発
生する可能性が高く、また、導電性基材の劣化が起こる
ことがあるので、長期に渡って安定的に防汚効果を維持
し、水や海水中への電解生成物質による汚染を最小限に
抑制するためには、不適切な場合がある。しかしなが
ら、長期間の防汚を目的とした本発明においては、被防
汚面となる導電性基材表面に各種電位印加を行っても排
除できない殺菌された微生物、有機物及びスケールが付
着することがあり、これらを導電性基材の交換などのコ
スト無く、再活性化させて長期間の防汚効果を再現させ
るためには、必要最小限の塩素化合物及びラジカル発生
機能を制御することが好ましい。ちなみに、導電性基材
表面の物性が、塩素過電圧が酸素過電圧より低い場合に
は、塩素化合物の生成が起こり、逆であれば酸素が先に
発生する現象が確認できる。塩素発生基材としては、貴
金属及びその酸化物などが挙げられる。酸素発生基材と
しては、バルブ金属やその酸化物及び酸化コバルトなど
が挙げられる。電解液中から電気化学的に生成物が発生
する正電位を印加する時間は、導電性基材の特性によっ
て適宜選択することができる。一般的には導電性基材の
耐久性、導電性基材表面に直接または間接的に接触する
水生生物の付着量によって異なるが、導電性基材の劣化
及び水や海水の電解物質による汚染を最小限とするため
の設定を行うことが好ましい。その点を考慮すると一ヶ
月あたり0.5〜24時間程度の印加がより好ましい。
また、(1)の殺菌工程の設定時間と比較して、10分
の1〜一万分の1程度の時間に設置して運用することも
可能である。
【0009】本発明では、化学物質による水や海水の汚
染を最小限となし、且つ、長期に渡り防汚効果を維持す
るため、上記(1)殺菌工程、(2)脱離工程、(3)
洗浄還元工程、(4)分解洗浄再活性化工程の各工程
は、印加電位及び印加時間を適宜設定したうえで、状況
に応じて任意の順序及び頻度で周期的に適用することが
できる。
【0010】本発明で用いる導電性基材は、全体が導電
性材料から形成されていてもよいが、少なくとも防汚面
たる導電性基材表面の一部及び/又は全部の水中に浸漬
している部分の表面が導電性であり、通電可能であるこ
とが必要である。導電性基材は金属やその酸化物、樹
脂、無機材料からなり、構造を維持する機能を有するも
のであれば特に限定されない。金属材料の例としては
鉄、アルミニウム、銅、およびそれらの合金、ステンレ
ス、貴金属及びその酸化物などが挙げられる。特に、耐
食性に優れたチタン、タンタル、ニオブ等のバルブ金属
が好ましい。樹脂材料の例としては、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−
スチレン共重合体、ナイロン、ポリエステル、ポリスチ
レン、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、繊維強
化プラスチック(FRP)等が挙げられる。無機材料の
例としては、ガラス、アルミナ、ジルコニア、セメント
等が挙げられる。
【0011】導電性基材として金属を用いる場合、海水
電解用電極や酸素発生電極などを製造する際に、一般的
に用いられる定法に従って導電性物質の微粒子で被覆し
たり、積層して用いることができる。被覆及び積層する
際には、導電性基材の母材との密着性を高める等の考慮
が必要である。また、導電性基材として、樹脂、無機材
料などの非導電性材料を用いる場合、導電性物質の微粒
子を材料に充填し、基材を形成することにより導電性を
付与し用いればよい。導電性物質の微粒子の例として
は、グラファイト、カーボンブラック、カーボン繊維か
らなる短繊維などの炭素微粒子、金、白金、ルテニウ
ム、ロジウム、パラジウムまたはこれらの貴金属酸化
物、チタン、ニオブ、タンタル等のバルブ金属またはそ
の酸化物及び酸化マンガン、酸化コバルト、酸化スズ、
酸化アンチモンなどの酸化物の微粒子、窒化チタン、窒
化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化タンタル、窒化
ニオブ、窒化クロム等の金属窒化物、炭化チタン、炭化
ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タン
タル、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化タングステン
等の金属炭化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、
ホウ化ハーフニウム、ホウ化バナジウム、ホウ化ニオ
ブ、ホウ化タンタル、ホウ化クロム、ホウ化モリブデ
ン、ホウ化タングステン等の金属ホウ化物、ケイ化チタ
ン、ケイ化ジルコニウム、ケイ化ニオブ、ケイ化タンタ
ル、ケイ化バナジウム、ケイ化タングステン等の金属ケ
イ化物などの微粒子が挙げられる。さらに、長期間の防
汚を目的とした本発明においては、被防汚面となる導電
性基材表面に各種電位印加を行っても排除できない殺菌
された微生物、有機物及びスケールが付着することがあ
り、これらを導電性基材の交換等のコスト無く、再活性
化させて長期間の防汚効果を再現させるために、必要最
小限の塩素化合物及びラジカル発生機能を有する導電性
基材表面に存在する物質として、白金、ルテニウム、ロ
ジウム、パラジウムなどの白金族酸化物、チタン、ニオ
ブ、タンタル等のバルブ金属酸化物及び酸化マンガン、
酸化コバルト、酸化スズ、酸化アンチモンなどの酸化物
を単一金属酸化物、複合金属酸化物や複合金属酸化物と
して用いることが好ましい。また、これらの素材をその
まま、もしくは成形して使用することも可能である。
【0012】また、上記導電性物質の微粒子をバインダ
ー樹脂に充填、分散させた導電性組成物を、前記非導電
性材料製基材表面に被覆して導電性を付与してもよい。
バインダー樹脂の例としては、フッ素樹脂、アクリル樹
脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、ポリエステル−ウ
レタン樹脂、シリコン−ウレタン樹脂、シリコン−アク
リル樹脂、エポキシ樹脂や、熱硬化型のメラミン−アル
キッド樹脂、メラミン−アクリル樹脂、メラミン−ポリ
エステル樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂、または天然
ゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ニトリルブチ
レンゴム、ポリエチレンエラストマー、ポリエステルエ
ラストマー、ポリプロピレンエラストマー等のゴム弾性
材料が挙げられる。導電性組成物は、導電性シートを形
成して非導電性基材上に接着剤を介して積層したり、塗
膜層として形成してもよい。
【0013】上記の導電性物質の微粒子の他に、生物の
細胞と電極との電子移動反応を促進する作用を有する特
定の化合物を添加してもよい。すなわち、微生物と電極
との電子移動を媒介する電子メディエータを導電性材料
と共に使用することによって、より効率的に水生生物の
殺菌を行うことができる。電子メディエータの例として
は、フェロセン、フェロセンモノカルボン酸、フェロセ
ンジカルボン酸または、〔(トリメチルアミン)メチ
ル〕フェロセン等のフェロセンおよびその誘導体、H4
Fe(CN)6、K4Fe(CN)6、Na4Fe(CN)
6等のフェロシアン類、2,6−ジクロロフェノールイ
ンドール、フェナンジンメトサルフェート、ベンゾキノ
ン、フタロシアニン、ブリリアントクレジルブルー、カ
ロシアニン、レゾルシン、チオニン、N,N−ジメチル
−ジスルフォネイティド・チオニン、ニューメチレンブ
ルー、トブシンブルーO、サフラニン−O、2,6−ジ
クロロフェノールインドフェノール、ベンジルビオロゲ
ン、アリザリンブリリアントブルー、フェノシアジノ
ン、フェナジンエトサルフェート等が挙げられる。この
様な電子メディエータを担持した導電性基材としてはフ
ェロセン修飾電極を挙げることができる。ちなみに、フ
ェロセン修飾カーボン電極を用いて、本発明で用いた海
洋付着細菌ビブリオ・アルギノリチクスからの酸化ピー
ク電流を確認すると、0.3VvsSCEにてピーク電
流が確認され、0.4VvsSCEで殺菌することがで
きる。
【0014】また、抗菌性を有する材料を添加してもよ
い。抗菌性を有する物質は、無機物に属するものと有機
物に属するものとがある。無機物としては、銀、銅、ニ
ッケル、亜鉛、鉛、ゲルマニウム等の金属およびこれら
の酸化物、酸素酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸
塩、有機キレート化合物などが挙げられる。有機物とし
ては、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、
4,5,6,7−テトラクロル−2−トリフルオロメチ
ルベンズイミダゾール、10,10’−オキシスフェノ
キシアルシン、トリメトキシシリル−プロピルオクタデ
シルアンモニウムクロライド、2−N−オクチル−4−
イソチアゾリン−3−オン、ビス(2−ピリジルチオ−
1−オキシド)亜鉛などが挙げられる。
【0015】特に、基材の防汚面の一部又は全部が、少
なくとも白金及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金
属酸化物又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物からな
り、水や海水から酸素や塩素の発生の無い正電位を印可
することにより、導電性基材表面に直接または間接的に
接触する水生生物を殺菌し、増殖を抑制すると共に、水
や海水などから塩素化合物もしくは、ラジカルを生成さ
せ、導電性基材表面に直接または間接的に接触する水生
生物およびスケールの脱離洗浄及び導電性基材を再活性
化ができ、また、導電性基材が対極としても使用可能な
物質で構成され、導電性膜となしたものが好ましく用い
られる。また、電解液が海水の場合には、塩素過電圧が
酸素過電圧より低い正電位となるように、白金及び/又
は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合金属
酸化物又は複合金属酸化物を構成することが好ましく、
電解液が塩素化合物を含まない水の場合には、酸素過電
圧が塩素過電圧より低い正電位となるように、白金及び
/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合
金属酸化物又は複合金属酸化物を構成することが好まし
い。この導電性膜は、金属又はその化合物から構成で
き、具体的には、白金族金属、バルブ金属及びそれらの
酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属
ケイ化物の何れかから構成することができる。特に、金
属酸化物が、酸化白金、酸化ロジウム、酸化パラジウ
ム、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化マンガン、
酸化コバルト、酸化スズおよび酸化アンチモン、酸化ニ
オブ、酸化タンタル及び酸化ジルコニウムから選ばれた
少なくとも1種又は2種以上から構成されることが好ま
しい。導電性膜を形成するに当たっては、溶射やスパッ
タリング、イオンプレーティングなどの方法を採用する
ことができる。金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、
金属ホウ化物、金属ケイ化物については既に記載してあ
るが、記載した材料はその一部であり、形成方法によっ
ては2種類以上の金属が含まれたり、酸化物の一部が含
まれたり、さらにはこれらの化合物が2種以上混合され
ることから、特に限定はされない。これらの金属酸化
物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ
化物は0.1μm以上の厚さの膜であればよく、最大の
厚さは特に限定しないが、金属酸化物、金属窒化物、金
属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物の形成方法や使
用目的により適宜設定すればよい。
【0016】導電性基材が電気化学的に溶解や腐食する
材料、例えば、鉄やアルミニウム、銅、亜鉛、マグネシ
ウムおよびそれらの合金、ステンレス等の金属材料から
なる場合では、該金属材料と接水面に形成された導電層
との間に、絶縁性樹脂塗膜層や絶縁性樹脂フィルム層、
アルミナ、チタニア酸化ケイ素などの絶縁無機物層、ま
たはチタン、ニオブ、タンタル等のバルブ金属などを設
けておくことが好ましい。これらの材料からなる層は1
種または2種以上多層として形成されてあってもよい。
特に、導電性基材が、耐食性導電性基材と、該耐食性導
電性基材の表面の一部又は全部に多孔質白金からなる、
又は、前記多孔質白金と該多孔質白金に3次元的に担持
された金属酸化物とからなる被覆層とよりなるもの、及
び、導電性基材が、耐食性導電性基材と、該耐食性導電
性基材の表面が部分的に露出する程度に分散被覆された
白金と、少なくとも耐食性導電性基材表面の露出部分を
被覆する少なくとも1種以上の金属酸化物及び/又はバ
ルブ金属酸化物の少なくとも1種以上からなる混合金属
酸化物とからなる中間層と、貴金属酸化物とバルブ金属
酸化物から選ばれた少なくとも1種以上の金属酸化物か
らなる混合金属酸化物層から構成された外層とよりなる
ものが好ましい。
【0017】導電性基材の形状は特に限定されるもので
はなく、水生生物を効率よく吸着して直接または間接的
に接触し、電位を付与でき、上記(4)分解洗浄再活性
化工程を実施できるものであればよい。
【0018】本発明の防汚装置は、上記導電性基材と接
触しないように対極が設置されている。対極基材は導電
性基材と同様のものを用いることもできることが好まし
いが、適宜選択可能で被防汚面の物性や形状により適宜
選択することができる。
【0019】上記、導電性基材と対極とはリード線によ
り電源装置に接続されている。この電源装置は、導電性
基材と対極との間に直流を通電する装置であって、極性
が変換できる機能を有しているものである。また、上記
(1)殺菌工程を実施するだけで防汚を維持できる程度
に、水や海水中に生息する生物が少ない場合には、定電
流発生装置(ガルバノスタット)を使用しても差し支え
ない。
【0020】上記構成以外、必要に応じて参照極を用い
たり、更に、ポテンショスタット又はガルバノスタット
を用いて導電性基材に定電位の印加や定電流を流すこと
もできる。使用できる参照極およびポテンショスタッ
ト、ガルバノスタットとしては、導電性基材に、予め定
められた電位を印加できるものや、定電流を流すことの
できるものであれば特に限定されない。特に、直流電源
装置に電圧の制御または電流の制御およびそのタイミン
グの制御手段を付加したもので実施することが好まし
い。また、電解セルを形成する電極配置は、作用極に対
し対極の設置位置は限定されない。参照極は、作用極の
近傍に設置することが好ましいが、導電性基材と対極間
で、防汚効果が発現される時の電流値が明らかである場
合などには参照極を使用しなくても差し支えない。
【0021】本発明により処理することができる電解液
は、水生生物を含有する水であれば特に限定されない。
例えば、海水、河川の水、湖沼の水、水道水、飲料水、
または各種緩衝液などが挙げられる。また、対象となる
生物も、それらの水中に存在する生物であれば特に限定
されるものではない。
【0022】
【作用】本発明は、導電性基材と生物との直接電子移動
反応を利用した電気化学的防汚方法及びこの方法を用い
る装置において、前記導電性基材は、その被防汚面の一
部又は全部が、少なくとも白金及び/又は金属酸化物か
ら選ばれた単一金属酸化物又は混合金属酸化物又は複合
金属酸化物からなるので、(1)殺菌工程、(2)脱離
工程、(3)洗浄還元工程、(4)分解洗浄再活性化工
程の各工程において、印加電位及び印加時間を適宜設定
したうえで、状況に応じて任意の順序及び頻度で周期的
に適用することができ、化学物質による水や海水の汚染
を最小限にとどめ、被防汚面たる導電性基材の電極とし
ての機能を維持向上すると共に、被防汚導電性基材の電
気化学的防汚効果を長期に渡って安定的に得るものであ
る。
【0023】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。 <装置例1>図1は以下の実施例に用いた装置の模式図
である。試験槽6内には、導電性基材3、参照極4、及
び対極5が配置されている。ポテンショスタット2は、
導電性基材3、参照極4、及び対極5のそれぞれと個々
に連結している。試験槽6内には滅菌海水が入ってお
り、また、その底部には攪拌器8および攪拌棒7が配置
されている。参照極4には飽和甘コウ電極(SCE)
を、対極5には導電性材料で形成した電極を用いた。制
御部1は、導電性基材3の参照極4に対する印加電位の
指示値をアナログ出力し、ポテンショスタット2は、導
電性基材3の参照極4に対する電位がアナログ入力した
指示値になるよう、導電性基材3と対極5に電圧を出力
する。また、電位を変動させるために、制御部1は、印
加電位の指示値のアナログ出力を少なくとも100H
z、好ましくは1kHz以上の時間分解能をもって出力
する。更に、ポテンショスタット2は、それに応じて、
電位のアナログ入力値に対し、少なくとも100Hz、
好ましくは1kHz以上の応答性能をもって反応する。
制御部1は、CPU、入出力ポート、デジタル/アナロ
グ変換器、及びROMやRAM等のメモリ(図示せず)
から構成された回路からなる。制御プログラムや後述す
る制御のためのタイミングチャートをROMに内蔵して
おり、CPUは、制御プログラム及びタイミングチャー
トに従って、電位の指示値をデジタル/アナログ変換器
によってアナログ変換し、ポテンショスタット2に出力
する。制御部1に前記構成部を内蔵したワンチップコン
ピュータを用いることにより、全体の回路構成を簡素化
し安価にすることが可能である。
【0024】次に、図2〜6に示す電位制御のタイミン
グチャートを詳細に説明する。タイミングチャートは横
軸が時間を、縦軸は導電性基材3の参照電極4に対する
電位の指示値を示す。ここでは明示的に、次の4種の工
程(6つの電位印加工程)の組み合わせをタイミングチ
ャートとして例示するが、特にこれ以外の電位の印加の
仕方による工程を除外するものではない。 (1)(殺菌工程)電気化学的生成物を発生しない正電
位印加工程(T1):正電位側電解生成物発生電位9よ
り低い正電位を印加する工程。工程によって印加する電
位値を変化させることが可能である。 (2)(脱離工程)電気化学的生成物を発生しない負電
位印加工程(T2)又は電気化学的生成物を発生しない
負電位領域での振幅電位印加工程(T3):両工程と
も、負電位側電解生成物発生電位10より高い負電位を
印加する。振幅電位印加工程(T3)においては、ほぼ
連続的に印加電位を変化させる。系の応答性によって
は、指示電位として三角波ではなく台形波的に変化させ
た電位を与えることも可能である。 (3)(洗浄還元工程)電気化学的生成物を発生する負
電位印加工程(T4)又は電気化学的生成物を発生する
負電位領域及び/又は発生しない負電位領域での振幅電
位印加工程(T5):両工程とも、負電位側電解生成物
発生電位10より低い負電位を印加する。 (4)(分解洗浄再活性化工程)電気化学的生成物を発
生する正電位印加工程(T6):正電位側電解生成物発
生電位9より高い正電位を印加する。図2のタイミング
チャートが示す電位印加パターンでは、電気化学的生成
物を発生しない正電位印加工程(T1)及び電気化学的
生成物を発生する正電位印加工程(T6)を交互に繰り
返す。それぞれの工程の印加電位及び印加期間は場合に
応じて適宜決定可能であり、例えば電気化学的生成物を
発生しない正電位印加工程(T1)においてそれぞれ異
なる複数の電位値を印加するパターンも作成可能であ
る。図3のタイミングチャートが示す電位印加パターン
では、電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程
(T1)、電気化学的生成物を発生しない負電位印加工
程(T2)、及び電気化学的生成物を発生する正電位印
加工程(T6)を交互に繰り返す。それぞれの工程の印
加電位及び印加期間は場合に応じて適宜決定可能であ
り、順序及び頻度も任意である。例えば、電気化学的生
成物を発生しない正電位印加工程(T1)と電気化学的
生成物を発生しない負電位印加工程(T2)とを交互に
ある回数だけ繰り返し、その後電気化学的生成物を発生
する正電位印加工程(T6)を適用する、というパター
ンを作成することができる。図4のタイミングチャート
が示す電位印加パターンでは、電気化学的生成物を発生
しない正電位印加工程(T1)、電気化学的生成物を発
生しない負電位領域での振幅電位印加工程(T3)、及
び電気化学的生成物を発生する正電位印加工程(T6)
を交互に繰り返す。それぞれの工程の印加電位及び印加
期間は場合に応じて適宜決定可能であり、順序及び頻度
も任意である。電気化学的生成物を発生しない負電位領
域での振幅電位印加工程(T3)における電位の振幅及
び変化速度は、系の応答性にもよるが、制御部1が出力
可能な範囲で設定することができる。図3同様、例え
ば、電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程(T
1)と電気化学的生成物を発生しない負電位領域での振
幅電位印加工程(T3)とを交互にある回数だけ繰り返
し、その後電気化学的生成物を発生する正電位印加工程
(T6)を適用する、というパターンを作成することも
可能である。
【0025】図5のタイミングチャートが示す電位印加
パターンでは、電気化学的生成物を発生しない正電位印
加工程(T1)、電気化学的生成物を発生しない負電位
印加工程(T2)、電気化学的生成物を発生する負電位
印加工程(T4)、及び電気化学的生成物を発生する正
電位印加工程(T6)を交互に繰り返す。それぞれの工
程の印加電位及び印加期間は場合に応じて適宜決定可能
であり、順序及び頻度も任意である。例えば、電気化学
的生成物を発生しない正電位印加工程(T1)と電気化
学的生成物を発生しない負電位印加工程(T2)とを交
互にある回数だけ繰り返し、その後電気化学的生成物を
発生する負電位印加工程(T4)と電気化学的生成物を
発生する正電位印加工程(T6)を適用する、というパ
ターンを作成することができる。図6のタイミングチャ
ートが示す電位印加パターンでは、電気化学的生成物を
発生しない正電位印加工程(T1)、電気化学的生成物
を発生する負電位領域及び/又は発生しない負電位領域
での振幅電位印加工程(T5)、及び電気化学的生成物
を発生する正電位印加工程(T6)を交互に繰り返す。
それぞれの工程の印加電位及び印加期間は場合に応じて
適宜決定可能であり、順序及び頻度も任意である。電気
化学的生成物を発生する/しない負電位領域での振幅電
位印加工程(T5)における電位の振幅及び変化速度
は、系の応答性にもよるが、制御部1が出力可能な範囲
で設定することができる。例えば、電気化学的生成物を
発生しない正電位印加工程(T1)と電気化学的生成物
を発生する/しない負電位領域での振幅電位印加工程
(T5)とを交互にある回数だけ繰り返し、その後電気
化学的生成物を発生する正電位印加工程(T6)を適用
する、というパターンを作成することができる。
【0026】<導電性基材の調製>以下実施例に用いた
導電性材料1〜24の作成手順を示す。 導電性基材1 チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L10
0mm)をトリクレンで脱脂、洗浄後、12重量%フッ
化水素水溶液中で5分間表層を溶解水洗し、表面酸化膜
の均一化を企り、ついで70重量%硫酸水溶液中120
℃加熱状態で1分半浸漬し、酸化膜の均一化とTiHx
皮膜形成を行い、次いで、引揚後アルゴンガス気流中で
急冷水洗して後1重量%フッ化アンモニウム水溶液中で
2分間浸漬し該TiHx皮膜の均一安定成長を企り、引
揚げて水洗した。水洗後、白金5g/Lを含有するジニ
トロジアミノ白金(Pt(NH32(NO22)を硫酸
水溶液に溶解し、pHを約2に調整した状態で、50
℃、2A/dm2で約20分間のメッキを行って2ミク
ロンの白金メッキ層を形成した。当該メッキ工程で上記
TiHx形成皮膜保護のためメッキ浴中に窒素ガス曝気
して気液撹拌し、溶存酸素の除去を行うと共に、陽極に
て発生する酸素のチタン基材への接触を隔膜により防止
するようにした。このようにして得られた白金メッキ処
理チタン基板を真空中で250℃、2時間加熱処理し、
TiHx皮膜の分解除去を行った。次いで、大気中で3
80℃、1時間の加熱を行い、最後に空冷し導電性基材
1とした。
【0027】導電性基材2 チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L10
0mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%HF
溶液中で2分間処理した後、水洗し乾燥した。次いで市
販のチタン粉末とパラジウム粉末をそれぞれ65:35
(重量比)となるように計量した粉体250gをV型混
合機で1時間混合した。直径10mmの穴が10ヶ有す
るカーボン型ダイスに混合粉末を24gおのおのの穴に
挿入し、両端をカーボン製パンチにて固定し、住友石炭
鉱業(株)製放電プラズマ焼結機(DR.SINTE
R)内の所定の位置に設置し、約350kgf/c
2、パルス印加電圧4V、パルス印加電流3500
A、焼結温度800℃、焼結時間5分の条件にて焼結し
た。その後表面研磨を行い約φ10mmで長さ50mm
の65重量%Ti−Pd放電被覆用電極を得た。次い
で、酸化皮膜を除去したチタン基板を陰極とし、65重
量%Ti−Pd電極を使用してアルゴン置換したグロー
ブボックス中で放電被覆加工を10分間行った。その
後、放電加工を行ったチタン基材をファインカッターに
てt1×10×10mmに切断した。EPMA(エレク
トロプローブマイクルアナライザー)にて、放電加工を
行ったチタン基材の断面の元素分析を行ったところ、チ
タンとパラジウムの合金が確認された。また、放電加工
表面を蛍光X線分析計を使用し、放電電極との比較測定
による成分分析を行ったところ、放電電極成分が被覆さ
れていることが確認された。また、このチタンとパラジ
ウム合金層の厚さは30〜50ミクロンであった。塩化
イリジウム酸のブタノール溶液と塩化タンタルのエタノ
ール溶液を混合し、イリジウム(Ir)4.6g/l及
びタンタル(Ta)50.0g/l(モル混合比:8I
r−92Ta)を含有する塗布液を調製し、マイクロピ
ペットで1cm2当たり3.0μl秤量し、それを上記
の様にして作製したチタンとパラジウム合金層を形成し
たチタン基板の合金層上に塗布した後、室温で30分間
真空乾燥させ、更に500℃の大気中で10分間焼成し
た。この工程を3回繰り返した。次に外層を得るため、
塩化イリジウム酸のブタノール溶液と塩化タンタルのエ
タノール溶液を混合し、イリジウム(Ir)50.0g
/l及びタンタル(Ta)20.2g/l(モル混合
比:70Ir−30Ta)を含有する塗布液を調製した
後、この塗布液を用いて前記と同様の工程を8回繰り返
して導電性基材2とした。
【0028】導電性基材3 チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L10
0mm)をトリクレンで脱脂洗浄後、90℃の10重量
%シュウ酸水溶液で20分間処理した。ついでチタン基
板をシュウ酸水溶液から取り出し、窒素雰囲気中で冷水
を噴霧し急冷した後、室温で減圧乾燥した。次いで、塩
化白金酸をブタノールに溶解して白金濃度50g/lを
含有する塗布液を調整した後、その溶液を上記で得たチ
タン基板上に筆で塗り、室温で減圧乾燥し、更に減圧下
に450℃で10分間焼成した。上記塗布−乾燥−焼成
工程を30回繰り返すことにより白金被覆量が1cm2
当たり約1.6mgの白金被覆層を形成した。次いで、
ロジウム濃度50g/l(金属換算)及び硝酸濃度95
g/lに調整された硝酸ロジウムの硝酸酸性水溶液とエ
タノールを混合しロジウム濃度25g/l(金属換算)
を含有する塗布液を調整した。その塗布液をマイクロピ
ペットで1cm2当たり2.7μl秤量し、それを上記
基材に塗布した後室温で30分間減圧乾燥し、更に60
0℃の大気中で10分間焼成した。この塗布−乾燥−焼
成工程を5回繰り返し、白金被覆層上にロジウム換算で
1cm2当たり0.4mgの酸化ロジウム被覆層を形成
した。更にパラジウム濃度100g/l(金属換算)及
び硝酸濃度445g/lに調整された硝酸パラジウムの
硝酸酸性水溶液とエタノールを混合しロジウム濃度25
g/l(金属換算)を含有する塗布液を調整した。この
塗布液を用いて前記と同様の塗布−乾燥−焼成工程を1
1回繰り返して酸化ロジウム層上にパラジウム換算で1
cm2当たり0.8mgの酸化パラジウム層を形成して
導電性基材3とした。
【0029】導電性基材4 チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L10
0mm)をトリクロロエチレンで脱脂洗浄後、20℃の
8重量%フッ化水素水溶液中で2分間処理し、次いで1
20℃の60重量%硫酸水溶液中で3分間処理した。次
いでチタン基板を硫酸水溶液から取り出し、窒素雰囲気
中で冷水を噴霧し急冷した。更に20℃の0.3重量%
フッ化水素水溶液に2分間浸漬した後、水洗した。水洗
後ジニトロジアミノ白金(Pt(NH32(NO22
を硫酸水溶液に溶解して白金含有量5g/l、pH約
2、温度50℃に調整した状態の白金メッキ液中で30
mA/cm2で約6分間のメッキを行って、見掛密度1
6g/cm3で電着量が1.7mg/cm2の多孔性の白
金被覆層をチタン基材上に形成した。このようにして多
孔性白金被覆層を設けたチタン基材を400℃の大気中
で1時間加熱処理した。次いで、白金濃度50g/lに
調整したジニトロジアミノ白金(Pt(NH32(NO
22)の硝酸水溶液を80℃に加熱し、白金濃度約30
0g/lに濃縮した後ブタノールに溶解し、白金濃度1
00g/lを含有する溶液−1を調整し、更にイリジウ
ム濃度42g/lに調整した塩化イリジウム酸ブタノー
ル溶液(溶液−2)を調整し、両溶液を等量配合し、白
金対イリジウムのモル比が7:3である溶液を調整し
た。この溶液をマイクロピペットで2.5μl秤量し、
それを多孔性白金被覆層に浸透させた後、室温で30分
間乾燥し、更に550℃の大気中で10分間焼成した。
この浸透−乾燥−焼成工程を3回繰り返して上記多孔性
白金被覆層に白金と酸化イリジウムがそれぞれ0.5m
g/cm2及び0.21mg/cm2(金属換算)からな
る酸化イリジウム−白金複合体を担持して導電性基材4
とした。
【0030】導電性基材5 チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L10
0mm)をトリクロロエチレンで脱脂洗浄後、20℃の
8重量%フッ化水素水溶液中で2分間処理し、次いで1
20℃の60重量%硫酸水溶液中で3分間処理した。次
いでチタン基板を硫酸水溶液から取り出し、窒素雰囲気
中で冷水を噴霧し急冷した。更に20℃の0.3重量%
フッ化水素水溶液に2分間浸漬した後、水洗した。水洗
後ジニトロジアミノ白金(Pt(NH32(NO22
を硫酸水溶液に溶解して白金含有量5g/l、pH約
2、温度50℃に調整した状態の白金メッキ液中で30
mA/cm2で約6分間のメッキを行って、見掛密度1
6g/cm3で電着量が1.7mg/cm2の多孔性の白
金被覆層をチタン基材上に形成した。このようにして多
孔性白金被覆層を設けたチタン基材を400℃の大気中
で1時間加熱処理した。次いで、ロジウム濃度50g/
l(金属換算)及び硝酸濃度95g/lに調整した硝酸
ロジウム水溶液とエタノールを混合し、ロジウム濃度2
5g/l(金属換算)を含有する塗布液を調整した。こ
の溶液をマイクロピペットで1cm2当たり2.7μl
秤量し、それを多孔性白金被覆層に塗布させた後、室温
で30分間乾燥し、更に600℃の大気中で10分間焼
成した。この塗布−乾燥−焼成工程を5回繰り返して上
記多孔性白金被覆層にロジウム換算で1cm2当たり
0.4mgからなる酸化ロジウム層を形成した。次い
で、パラジウム濃度100g/l(金属換算)及び硝酸
濃度445g/lに調整した硝酸パラジウム水溶液とエ
タノールを混合しパラジウム濃度25g/l(金属換
算)を含有する溶液を調整し、更にロジウム濃度50g
/l(金属換算)及び硝酸濃度95g/lに調整した硝
酸ロジウム水溶液を添加混合し、パラジウム対ロジウム
のモル比(金属換算)が20:1である硝酸パラジウム
と硝酸ロジウムを含有する塗布液を調整する。この塗布
液を用いて、上記と同様塗布−乾燥−焼成工程を8回繰
り返して金属換算で1cm2当たり0.6mgの酸化パ
ラジウムと0.03mgの酸化ロジウムを含有する酸化
物被覆層を形成した導電性基材を5とした。
【0031】導電性基材6 チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L10
0mm)をトリクロロエチレンで脱脂洗浄後、20℃の
8重量%フッ化水素水溶液中で2分間処理し、次いで1
20℃の60重量%硫酸水溶液中で3分間処理した。次
いでチタン基板を硫酸水溶液から取り出し、窒素雰囲気
中で冷水を噴霧し急冷した。更に20℃の0.3重量%
フッ化水素水溶液に2分間浸漬した後、水洗した。水洗
後ジニトロジアミノ白金(Pt(NH32(NO22
を硫酸水溶液に溶解して白金含有量5g/l、pH約
2、温度50℃に調整した状態の白金メッキ液中で15
mA/cm2で約50秒間のメッキを行って、白金を分
散析出させた。分散被覆量は1g/m3であった。ま
た、このときのチタン基板上への白金被覆率は約40%
であった。このようにして、白金を分散被覆したチタン
基板を40℃の大気中で1時間加熱処理した。次いで、
塩化イリジウム酸のブタノール溶液と塩化タンタルのエ
タノール溶液を混合し、イリジウム(Ir)13.0g
/l及びタンタル(Ta)50.0g/l(金属換算)
を含有する塗布液を調製し、マイクロピペットで1cm
2当たり2.7μl秤量し、それを上記の様にして作製
した白金を分散被覆したチタン基板上に塗布した後、室
温で30分間真空乾燥させ、更に500℃の大気中で1
0分間焼成した。この工程を2回繰り返した。次に外層
を得るため、塩化イリジウム酸のブタノール溶液と塩化
タンタルのエタノール溶液を混合し、イリジウム(I
r)50.0g/l及びタンタル(Ta)20.0g/
l(金属換算)を含有する塗布液を調製した後、この塗
布液を用いて前記と同様の工程を8回繰り返して導電性
基材6とした。
【0032】導電性基材7 チタン板(JIS2種相当、t1×w100×L100
mm)をサンドペーパーで研磨して表面の汚れを除去
し、更に有機溶剤に浸漬し超音波洗浄機で洗浄した。こ
のチタン板に260g/l硝酸コバルト六水和物(Co
(NO32 ・6H2 O)水溶液を表面に塗布した。塗
布後、20〜30分乾燥して、次いでガスバーナーで熱
活性化処理を施した。これを導電性基材7とした。
【0033】導電性基材8 低温溶射装置(アークテクノ(株)製、PC250iD
EX)を用いてチタンを次の条件で溶射した。チタンは
径が1.3mmの純チタン線材を用いた。40kHzの
高周波で、電圧は14V、チタン線材の送り速度は5.
2m/分、11℃に冷却した空気を8kg/cm2の圧
力で溶射ガンに導入し、表面をブラスト処理したセメン
ト板(50×300×300mm)上に200μmのチ
タン溶射皮膜を被覆した。チタン溶射皮膜は淡黄色の色
調であった。次にチタン溶射皮膜被覆セメント板に26
0g/l硝酸コバルト六水和物(Co(NO32 ・6
2 O)水溶液と18g/lの塩化イリジウム(IrC
4・H2 O)を添加した水溶液を塗布した。塗布後、
20〜30分乾燥してからガス火炎で皮膜を加熱乾燥し
て導電性基材8とした。
【0034】導電性基材9 チタン板(JIS2種相当、t1×w100×L100
mm)をサンドペーパーで研磨して表面の汚れを除去
し、更に有機溶剤に浸漬し超音波洗浄機で洗浄した。こ
のチタン板に260g/l硝酸マンガン六水和物(Mn
(NO32 ・6H2 O)溶液を表面に塗布した。塗布
後、20〜30分乾燥して、次いでガスバーナーで熱活
性化処理を施した。これを導電性基材9とした。
【0035】導電性基材10 チタン板(JIS2種相当、t1×w100×L100
mm)を有機溶剤に浸漬し、超音波洗浄器で洗浄した。
次いで、物理蒸着装置内にチタン板を配置し、0.13
mPaまで真空引きを行った後、アルゴンプラズマ中で
5分間エッチングし、メタンガスを真空度が1.3Pa
に低下するまで注入し、イオンプレーティング法により
窒化ジルコニウム膜を1μm形成した。次いで、ロジウ
ム濃度50g/l(金属換算)及び硝酸濃度95g/l
に調整した硝酸ロジウム水溶液とエタノールを混合し、
ロジウム濃度25g/l(金属換算)を含有する塗布液
を調整した。この溶液をマイクロピペットで1cm2
たり2.7μl秤量し、それを窒化ジルコニウム層に塗
布させた後、室温で30分間乾燥し、更に600℃の大
気中で10分間焼成した。この塗布−乾燥−焼成工程を
5回繰り返して該窒化ジルコニウム層にロジウム換算で
1cm2当たり0.4mgからなる酸化ロジウム層を形
成して導電性基材10とした。
【0036】導電性基材11 チタン板(JIS2種相当、t1×w100×L100
mm)を有機溶剤に浸漬し、超音波洗浄器で洗浄した。
次いで、物理蒸着装置内にチタン板を配置し、0.13
mPaまで真空引きを行った。チタン板は、アルゴンプ
ラズマ中で5分間エッチングし、窒素ガスを真空度が
1.3Paに低下するまで注入し、イオンプレーティン
グ法により窒化チタンと窒化ジルコニウムからなる窒化
化合物皮膜を1μm形成した。次いで、ロジウム濃度5
0g/l(金属換算)及び硝酸濃度95g/lに調整し
た硝酸ロジウム水溶液とエタノールを混合し、ロジウム
濃度25g/l(金属換算)を含有する塗布液を調整し
た。この溶液をマイクロピペットで1cm2当たり2.
7μl秤量し、それを窒化チタンと窒化ジルコニウムか
らなる窒化化合物皮膜層に塗布させた後、室温で30分
間乾燥し、更に600℃の大気中で10分間焼成した。
この塗布−乾燥−焼成工程を5回繰り返して、窒化チタ
ンと窒化ジルコニウムからなる窒化化合物皮膜層にロジ
ウム換算で1cm2当たり0.4mgからなる酸化ロジ
ウム層を形成して導電性基材11とした。
【0037】導電性基材12 タンタル板(30×50×1mm)を有機溶剤に浸漬
し、超音波洗浄器で洗浄した。洗浄したタンタル板をマ
ッフル炉内に配置し、窒素ガスを1L/分でマッフル炉
内に導入し、900℃、1時間処理することでタンタル
板上に窒化タンタル膜を形成した。次いで、ロジウム濃
度50g/l(金属換算)及び硝酸濃度95g/lに調
整した硝酸ロジウム水溶液とエタノールを混合し、ロジ
ウム濃度25g/l(金属換算)を含有する塗布液を調
整した。この溶液をマイクロピペットで1cm2当たり
2.7μL秤量し、それを窒化タンタル層に塗布させた
後、室温で30分間乾燥し、更に600℃の大気中で1
0分間焼成した。この塗布−乾燥−焼成工程を5回繰り
返して該窒化タンタル層にロジウム換算で1cm2当た
り0.4mgからなる酸化ロジウム層を形成して導電性
基材12とした。
【0038】導電性基材13 低温溶射装置(アークテクノ(株)製、PC250iD
EX)を用いてチタンを次の条件で溶射した。チタンは
径が1.3mmの純チタン線材を用いた。40kHzの
高周波で、電圧は14V、チタン線材の送り速度は5.
2m/分、11℃に冷却した空気を8kg/cm2の圧
力で溶射ガンに導入し、表面をブラスト処理したセメン
ト板(50×300×300mm)上に200μmのチ
タン溶射皮膜を被覆した。チタン溶射皮膜は淡黄色の色
調であった。次にチタン溶射皮膜被覆セメント板に26
0g/l硝酸マンガン六水和物(Mn(NO32 ・6
2 O)水溶液と18g/lの塩化イリジウム(IrC
4・H2 O)を添加した水溶液を塗布した。塗布後、
20〜30分乾燥してからガス火炎で皮膜を加熱乾燥し
て導電性基材13とした。
【0039】導電性基材14 低温溶射装置(アークテクノ(株)製、PC250iD
EX)を用いてチタンを次の条件で溶射した。チタンは
径が1.3mmの純チタン線材を用いた。40kHzの
高周波で、電圧は14V、チタン線材の送り速度は5.
2m/分、11℃に冷却した空気を8kg/cm2の圧
力で溶射ガンに導入し、表面をブラスト処理したセメン
ト板(50×300×300mm)上に200μmのチ
タン溶射皮膜を被覆した。チタン溶射皮膜は淡黄色の色
調であった。次にチタン溶射皮膜被覆セメント板をトリ
クロロエチレンで脱脂洗浄後、20℃の8重量%フッ化
水素水溶液中で2分間処理し、次いで120℃の60重
量%硫酸水溶液中で3分間処理した。次いでチタン溶射
皮膜被覆セメント板を硫酸水溶液から取り出し、窒素雰
囲気中で冷水を噴霧し急冷した。更に20℃の0.3重
量%フッ化水素水溶液に2分間浸漬した後、水洗した。
水洗後ジニトロジアミノ白金(Pt(NH32(N
22)を硫酸水溶液に溶解して白金含有量5g/l、
pH約2、温度50℃に調整した状態の白金メッキ液中
で30mA/cm2で約6分間のメッキを行って、見掛
密度16g/cm3で電着量が1.7mg/cm2の多孔
性の白金被覆層をチタン溶射皮膜被覆セメント板に形成
した。このようにして多孔性白金被覆層を設けたチタン
溶射皮膜被覆セメント板を400℃の大気中で1時間加
熱処理した。次いで、ロジウム濃度50g/l(金属換
算)及び硝酸濃度95g/lに調整した硝酸ロジウム水
溶液とエタノールを混合し、ロジウム濃度25g/l
(金属換算)を含有する塗布液を調整した。この溶液を
マイクロピペットで1cm2当たり2.7μl秤量し、
それを多孔性白金被覆層に塗布した後、室温で30分間
乾燥し、更に600℃の大気中で10分間焼成した。こ
の塗布−乾燥−焼成工程を5回繰り返して上記多孔性白
金被覆層にロジウム換算で1cm2当たり0.4mgか
らなる酸化ロジウム層を形成した。次いで、パラジウム
濃度100g/l(金属換算)及び硝酸濃度445g/
lに調整した硝酸パラジウム水溶液とエタノールを混合
しパラジウム濃度25g/l(金属換算)を含有する溶
液を調整し、更にロジウム濃度50g/l(金属換算)
及び硝酸濃度95g/lに調整した硝酸ロジウム水溶液
を添加混合し、パラジウム対ロジウムのモル比(金属換
算)が20:1である硝酸パラジウムと硝酸ロジウムを
含有する塗布液を調整する。この塗布液を用いて、上記
と同様塗布−乾燥−焼成工程を8回繰り返して金属換算
で1cm2当たり0.6mgの酸化パラジウムと0.0
3mgの酸化ロジウムを含有する酸化物被覆層を形成し
て導電性基材14とした。
【0040】導電性基材15 ステンレス板(30×50×1mm)の表面に、ポリエ
ステル系接着剤(東亜合成(株)製、PES360S
K)にイソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン
(株)製コロネートL)を5重量%添加したものを、ス
プレー法にて塗布した後、100℃、5分間乾燥した。
次に、絶縁樹脂フィルムとして50μmの厚さのポリエ
ステル樹脂フィルム(リンテック(株)製)を加熱圧着
により積層した。次いで、ポリエステル樹脂フィルムを
ステンレス基材上に接着するために用いたポリエステル
系接着剤を同様の条件でポリエステル樹脂フィルム上に
被覆し、乾燥した。次に、0.1mmのチタン箔からな
る導電性シートを加熱圧着することで、ポリエステル樹
脂フィルム上に積層した。このチタン箔被覆ステンレス
板のステンレス側をレジストインクで保護して、トリク
レンで脱脂、洗浄後、12%フッ化水素水溶液中で5分
間表層を溶解水洗し、表面酸化膜の均一化を企り、つい
で70重量%硫酸水溶液中120℃加熱状態で1分半浸
漬し、酸化膜の均一化とTiHx皮膜形成を行い、次い
で、引揚後アルゴンガス気流中で急冷水洗して後1重量
%フッ化アンモニウム水溶液中で2分間浸漬し該TiH
x皮膜の均一安定成長を企り、引揚げて水洗した。水洗
後、白金5g/lを含有するジニトロジアミノ白金(P
t(NH32(NO22)を硫酸に溶解し、pH約2に
調整した状態で50℃、2A/dm2で約20分間のメ
ッキを行って2ミクロンの白金メッキ層が得られた。当
該メッキ工程で上記TiHx形成皮膜保護のためメッキ
浴中に窒素ガス曝気して気液撹拌し溶存酸素の除去を行
うと共に、陽極にて発生する酸素のチタン基材への接触
を隔膜により防止するようにした。このように得られた
白金メッキ処理チタン基板を真空中で250℃2時間加
熱処理しTiHx皮膜の分解除去を行った。更に、ロジ
ウム濃度50g/l(金属換算)及び硝酸濃度95g/
lに調整された硝酸ロジウムの硝酸酸性水溶液とエタノ
ールを混合しロジウム濃度25g/l(金属換算)を含
有する塗布液を調整した。その塗布液をマイクロピペッ
トで1cm2当たり2.7μl秤量し、それを上記基材
に塗布した後室温で30分間減圧乾燥し、更にバーナー
により最表面が600℃になる様大気中で10分間焼成
した。この塗布−乾燥−焼成工程を5回繰り返し、白金
被覆層上にロジウム換算で1cm2当たり0.4mgの
酸化ロジウム被覆層を形成した。更にパラジウム濃度1
00g/l(金属換算)及び硝酸濃度445g/lに調
整された硝酸パラジウムの硝酸酸性水溶液とエタノール
を混合しロジウム濃度25g/l(金属換算)を含有す
る塗布液を調整した。この塗布液を用いて前記と同様の
塗布−乾燥−焼成工程を11回繰り返して酸化ロジウム
層上にパラジウム換算で1cm2当たり0.8mgの酸
化パラジウム層を形成して導電性基材15とした。
【0041】導電性基材16 ステンレス板(SUS316、30×50×5mm)の
表面をエメリーペーパー(100番)で粗面化した。次
いで、ポリエステル系接着剤(東亜合成(株)製、PE
S・360S30)にイソシアネート系硬化剤(日本ポ
リウレタン工業(株)製、コロネートL)を5重量部と
溶剤(トルエンとメチルエチルケトンが8:2の容量で
混合されたもの)を100重量部加えて十分に撹拌混合
し、この接着剤を粗面化したステンレス表面にスプレー
法で塗布した後、80℃、10分間乾燥した。次に、ガ
ラス繊維で織られた布(ユニチカグラスファイバー
(株)製、H201M104F)を接着剤が塗布された
ステンレス板上に置き、200℃、10kg/cm2
圧力で2分間加熱圧着した。次に、低温溶射装置(アー
クテクノ(株)製、PC250iDEX)を用いてチタ
ンを次の条件で溶射した。尚、チタンは、径が1.3m
mの純チタン線材を用いた。電圧は、14V、チタン線
材の送り速度は5.2m/分、空気圧は8kg/cm2
としてガラス繊維布が積層されたステンレス板上にチタ
ンを溶射することにより200μmの窒化チタン溶射皮
膜を形成した。次にチタン溶射皮膜被覆ステンレス板の
ステンレス側をレジストインクで保護して、トリクロロ
エチレンで脱脂洗浄後、20℃の8重量%フッ化水素水
溶液中で2分間処理し、次いで120℃の60重量%硫
酸水溶液中で3分間処理した。次いでチタン溶射皮膜被
覆ステンレス板を硫酸水溶液から取り出し、窒素雰囲気
中で冷水を噴霧し急冷した。更に20℃の0.3重量%
フッ化水素水溶液に2分間浸漬した後、水洗した。水洗
後ジニトロジアミノ白金(Pt(NH32(NO22
を硫酸溶液に溶解して白金含有量5g/l、pH約2、
温度50℃に調整した状態の白金メッキ液中で30mA
/cm2で約6分間のメッキを行って、見掛密度16g
/cm3で電着量が1.7mg/cm2の多孔性の白金被
覆層をチタン溶射皮膜被覆ステンレス板に形成した。こ
のようにして多孔性白金被覆層を設けたチタン溶射皮膜
被覆ステンレス板を400℃の大気中で1時間加熱処理
した。次いで、ロジウム濃度50g/l(金属換算)及
び硝酸濃度95g/lに調整した硝酸ロジウム水溶液と
エタノールを混合し、ロジウム濃度25g/l(金属換
算)を含有する塗布液を調整した。この溶液をマイクロ
ピペットで1cm2当たり2.7μl秤量し、それを多
孔性白金被覆層に塗布させた後、室温で30分間乾燥
し、更に600℃の大気中で10分間焼成した。この塗
布−乾燥−焼成工程を5回繰り返して上記多孔性白金被
覆層にロジウム換算で1cm2当たり0.4mgからな
る酸化ロジウム層を形成した。次いで、パラジウム濃度
100g/l(金属換算)及び硝酸濃度445g/lに
調整した硝酸パラジウム水溶液とエタノールを混合しパ
ラジウム濃度25g/l(金属換算)を含有する溶液を
調整し、更にロジウム濃度50g/l(金属換算)及び
硝酸濃度95g/lに調整した硝酸ロジウム水溶液を添
加混合し、パラジウム対ロジウムのモル比(金属換算)
が20:1である硝酸パラジウムと硝酸ロジウムを含有
する塗布液を調整する。この塗布液を用いて、上記と同
様塗布−乾燥−焼成工程を8回繰り返して金属換算で1
cm2当たり0.6mgの酸化パラジウムと0.03m
gの酸化ロジウムを含有する酸化物被覆層を形成して導
電性基材16とした。
【0042】導電性基材17 ステンレス板(30×50×1mm)を有機溶剤に浸漬
し、超音波洗浄器で洗浄した。次いで、物理蒸着装置内
にチタン板を配置し、0.13mPaまで真空引きを行
った。ステンレス板は、アルゴンプラズマ中で5分間エ
ッチングし、チタン層を2μm形成した。その後、窒素
ガスを1.3Paに真空度が低下するまで注入し、イオ
ンプレーティング法により窒化チタン膜を1μm形成し
た。次いで、ロジウム濃度50g/l(金属換算)及び
硝酸濃度95g/lに調整した硝酸ロジウム水溶液とエ
タノールを混合し、ロジウム濃度25g/l(金属換
算)を含有する塗布液を調整した。この溶液をマイクロ
ピペットで1cm2当たり2.7μL秤量し、それを窒
化チタン層に塗布させた後、室温で30分間乾燥し、更
に600℃の大気中で10分間焼成した。この塗布−乾
燥−焼成工程を5回繰り返して該窒化チタン層にロジウ
ム換算で1cm2当たり0.4mgからなる酸化ロジウ
ム層を形成して導電性基材17とした。
【0043】導電性基材18 ガラス繊維強化プラスチック(FRP)板(30×50
×5mm)をアルコールに浸漬し、超音波洗浄器で洗浄
した。次いで、物理蒸着装置内にガラス繊維強化プラス
チック(FRP)板を配置し、0.13mPaまで真空
引きを行った。ガラス繊維強化プラスチック(FRP)
板は、アルゴンプラズマ中で5分間エッチングし、その
後アルゴンガスを1.3Paに真空度が低下するまで注
入しスパッタリング法によりチタン膜を50μm形成し
た。次に上記チタン被覆ガラス繊維強化プラスチック
(FRP)板をトリクレンで脱脂、洗浄後、12重量%
フッ化水素水溶液中で5分間表層を溶解水洗し、表面酸
化膜の均一化を企り、ついで70重量%硫酸水溶液中1
20℃加熱状態で1分半浸漬し、酸化膜の均一化とTi
Hx皮膜形成を行い、次いで、引揚後アルゴンガス気流
中で急冷水洗して後1重量%フッ化アンモニウム水溶液
中で2分間浸漬し該TiHx皮膜の均一安定成長を企
り、引揚げて水洗した。水洗後、白金5g/lを含有す
るジニトロジアミノ白金(Pt(NH32(NO22
を硫酸に溶解し、pH約2に調整した状態で、温度50
℃、電流密度2A/dm2で約20分間のメッキを行っ
て2ミクロンの白金メッキ層が得られた。当該メッキ工
程で上記TiHx形成皮膜保護のためメッキ浴中に窒素
ガス曝気して気液撹拌し溶存酸素の除去を行うと共に陽
極にて発生する酸素のチタン基材への接触を隔膜により
防止するようにした。このように得られた白金メッキ処
理チタン基板を真空中で250℃2時間加熱処理しTi
Hx皮膜の分解除去を行った。次いで、ロジウム濃度5
0g/l(金属換算)及び硝酸濃度95g/lに調整さ
れた硝酸ロジウムの硝酸酸性水溶液とエタノールを混合
し、ロジウム濃度25g/l(金属換算)を含有する塗
布液を調整した。その塗布液をマイクロピペットで1c
2当たり2.7μl秤量し、それを上記基材に塗布し
た後、室温で30分間減圧乾燥し、更にバーナーにより
最表面が600℃になる様、大気中で10分間焼成し
た。この塗布−乾燥−焼成工程を5回繰り返し、白金被
覆層上にロジウム換算で1cm2当たり0.4mgの酸
化ロジウム被覆層を形成した。更にパラジウム濃度10
0g/l(金属換算)及び硝酸濃度445g/lに調整
された硝酸パラジウムの硝酸酸性水溶液とエタノールを
混合しロジウム濃度25g/l(金属換算)を含有する
塗布液を調整した。この塗布液を用いて前記と同様の塗
布−乾燥−焼成工程を11回繰り返して酸化ロジウム層
上にパラジウム換算で1cm2当たり0.8mgの酸化
パラジウム層を形成して導電性基材18とした。
【0044】導電性基材19 アルミニウム板(30×50×1mm)を5重量%、温
度50℃の水酸化ナトリウム水溶液中で30秒間エッチ
ング処理した後、30重量%硝酸水溶液に1分間浸漬し
た。その後、15重量%硫酸水溶液中で1.5A/dm
2の電流密度で60分間陽極酸化処理し、24μmの厚
さの多孔質酸化皮膜を形成した。次に、アニオン系電着
塗料(ハニー化成化(株)製)に多孔質酸化皮膜を形成
したアルミニウム板を陽極として浸漬し、180Vの電
圧を3分間印加した後水洗し、180℃、30分間加熱
乾燥して多孔質酸化皮膜上に絶縁性の樹脂層を形成し
た。次に物理蒸着装置内に絶縁樹脂層を形成したアルミ
ニウム板を配置し、1.3mPaまで真空引きを行っ
た。その後、アルゴンプラズマ中で5分間エッチング
し、チタン層を2μm形成した後、窒素ガスを1.3P
aに真空度が低下するまで注入し、イオンプレーティン
グ法により窒化チタン膜を1μm形成した。次いで、ロ
ジウム濃度50g/l(金属換算)及び硝酸濃度95g
/lに調整した硝酸ロジウム水溶液とエタノールを混合
し、ロジウム濃度25g/l(金属換算)を含有する塗
布液を調整した。この溶液をマイクロピペットで1cm
2当たり2.7μl秤量し、それを窒化チタン層に塗布
させた後、室温で30分間乾燥し、更に600℃の大気
中で10分間焼成した。この塗布−乾燥−焼成工程を5
回繰り返して前記窒化チタン層にロジウム換算で1cm
2当たり0.4mgからなる酸化ロジウム層を形成して
導電性基材19とした。
【0045】導電性基材20 低温溶射装置(アークテクノ(株)製、PC250iD
EX)を用いてチタンを次の条件で溶射した。チタンは
径が1.3mmの純チタン線材を用いた。40kHzの
高周波で、電圧は14V、チタン線材の送り速度は5.
2m/分、11℃に冷却した空気を8kg/cm2の圧
力で溶射ガンに導入し、表面をブラスト処理したセメン
ト板(50×300×300mm)上に200μmのチ
タン溶射皮膜を被覆した。チタン溶射皮膜は淡黄色の色
調であった。これを導電性基材20とした。
【0046】導電性基材21 ガラス繊維強化プラスチック(FRP)板(30×50
×5mm)の表面をエメリーペーパー(100番)で粗
面化した。次いで、ポリエステル系接着剤(東亜合成
(株)製、PES360S30)にイソシアネート系硬
化剤(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL)
を5重量部と溶剤(トルエンとメチルエチルケトンが
8:2の容量で混合されたもの)を100重量部加えて
十分に撹拌混合し、この接着剤を粗面化したガラス繊維
強化プラスチック(FRP)板表面にスプレー法で塗布
した後、80℃、10分間乾燥した。次に、ガラス繊維
で織られた布(ユニチカグラスファイバー(株)製、H
201M104F)を接着剤が塗布されたガラス繊維強
化プラスチック(FRP)板上に置き、温度200℃、
10kg/cm2の圧力で2分間加熱圧着した。次に、
低温溶射装置(アークテクノ(株)製、PC250iD
EX)を用いてチタンを次の条件で溶射した。尚、チタ
ンは、径が1.3mmの純チタン線材を用いた。電圧は
14V、チタン線材の送り速度は5.2m/分、空気圧
は8kg/cm2としてガラス繊維布が積層されたガラ
ス繊維強化プラスチック(FRP)板上にチタンを溶射
することにより200μmの窒化チタン溶射皮膜を形成
した。これを導電性基材21とした。
【0047】導電性基材22 チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L10
0mm)をトリクロロエチレンで脱脂洗浄後、これを導
電性基材22とした。
【0048】導電性基材23 ステンレス板(30×50×1mm)を有機溶剤に浸漬
し、超音波洗浄器で洗浄した。次いで、物理蒸着装置内
にチタン板を配置し、0.13mPaまで真空引きを行
った。ステンレス板は、アルゴンプラズマ中で5分間エ
ッチングし、チタン層を2μm形成した。その後、窒素
ガスを1.3Paに真空度が低下するまで注入し、イオ
ンプレーティング法により窒化チタン膜を1μm形成し
た。これを導電性基材23とした。
【0049】導電性基材24 アルミニウム板(30×50×1mm)を5重量%、5
0℃の水酸化ナトリウム水溶液中で30秒間エッチング
処理した後、30重量%硝酸水溶液に1分間浸漬した。
その後、15重量%硫酸水溶液中で1.5A/dm2
電流密度で60分間陽極酸化処理し、24μmの厚さの
多孔質酸化皮膜を形成した。次に、アニオン系電着塗料
(ハニー化成化(株)製)に多孔質酸化皮膜を形成した
アルミニウム板を陽極として浸漬し、180Vの電圧を
3分間印加した後水洗し、180℃、30分間加熱乾燥
して多孔質酸化皮膜上に絶縁性の樹脂層を形成した。次
に物理蒸着装置内に絶縁樹脂層を形成したアルミニウム
板を配置し、1.3mPaまで真空引きを行った。その
後、アルゴンプラズマ中で5分間エッチングし、チタン
層を2μm形成した後、窒素ガスを1.3Paに真空度
が低下するまで注入し、イオンプレーティング法により
窒化チタン膜を1μm形成した。これを導電性基材24
とした。
【0050】<微生物懸濁液の調整>海洋付着細菌ビブ
リオ・アルギノリチクス(Vibrio・algino
lyticus:ATCC 17749)を、マリンブ
ロス(Marine broth)2216(DIFC
O Laboratory社製)中30℃で1次培養
後、100μl採取し、25mlの遠沈管に培地(マリ
ンブロス15ml)と共に30℃、150rpm、2時
間好気的に培養した。培養後の菌体を遠心集菌し、その
後、滅菌海水で洗浄後滅菌海水中に懸濁させ、菌数をヘ
マタイトメーターにてカウントし、1×107cel l
/ml濃度の菌体懸濁液を作製した。
【0051】<導電性基材への微生物付着と電位印加>
導電性基材は、200rpmで撹拌した懸濁液中に室温
で90分間浸漬し、導電性基材表面に菌体を付着させ
た。試験槽6に入っている滅菌海水中に浸漬し、200
rpmの撹拌速度で滅菌海水を撹拌しながら各種電位を
印加した。電位印加条件は、図2〜6に示した各パター
ンを印加した。また、T1の電位は、0.9VvsAg
/AgCl、60分間印加とした。T2の電位は、−
0.6VvsAg/AgCl、30分間印加とした。T
3の電位は、−0.3V〜−0.6VvsAg/AgC
l、30分間印加し、電位を2分間隔で振幅させた。T
4の電位は、−1.4VvsAg/AgCl、60分間
印加とした。T5の電位は、−0.3V〜−1.4Vv
sAg/AgCl、60分間印加し、電位を2分間隔で
振幅させた。T6の電位は、1.6VvsAg/AgC
l、5分間印加とした。
【0052】<微生物の殺菌評価と各工程の効果判定>
殺菌効果確認と死滅した付着微生物の脱離、洗浄効果の
判定には、Propidium Iodide(以下、
PIと略記する)と、4,6−Diamidino−2
−Phenylindole(以下、DAPIと略記す
る)の2重染色法により行った。PIとDAPIは、微
生物の細胞膜浸透性の違いにより、微生物の核酸に付着
し、青色の蛍光を示すものを生菌体、赤色の蛍光を示す
ものを死菌体とする微生物の生死判定法として使用され
ている。また、殺菌された赤色の蛍光を発する微生物の
導電性基材表面での存在量を比較することによって、ス
ケールや有機物の脱離、洗浄機能の判定を行った。微生
物の染色は、電位を印加した導電性基材を滅菌海水で洗
浄し、導電性基材上の付着菌体をPIの250μg/m
l水溶液、DAPI20μg/ml水溶液(染色前に調
整)を各々30μl滴下して行った。その後、紫外線の
励起光を照射し、蛍光顕微鏡観察下で、青色の蛍光を示
すものを生菌体、赤色の蛍光を示すものを死菌体とし
て、電位印加前に導電性膜に吸着した菌体数に対する死
菌体数により評価した。尚、判定は、○は殺菌率80%
以上、△は殺菌率20〜80%、×は20%未満を示
す。図2〜6に示した電位印加パターンにおいて、T1
工程を終了後、微生物の殺菌効果を判定した。脱離工程
T2及びT3の判定は、電位印加後の付着生物量が殺菌
判定後のT1工程時からの減少比として、○は減少率7
0%以上、△は減少率30〜70%、×は30%未満と
して示した。T4、T5及びT6工程の判定は、各パタ
ーンのT4,T5及びT6工程前の状態と各工程実施後
の死菌体の存在有無によって判定した。尚、試験結果の
優位さを判定するため、電位印加時間及び印加電圧につ
いては、各種行った。従って、試験結果は、総合的に短
時間で完全に低い電位で等を考慮した結果を優先するこ
とが望ましく、本実施例に限定されるものではない。以
下、図2〜6に示した電位印加パターンの各工程におけ
る、導電性基材1〜24について実施例に基づきその効
果を示す。
【0053】実施例1 装置例1において、導電性基材として、上記導電性基材
1〜24を用い、図2に示した電位印加パターンにて実
験を行った。その結果を表1に示す。T1工程では、
0.9VvsAg/AgClを60分間印加し、殺菌効
率を判定した。また、T1工程のみにて付着していた死
細胞の数とT6工程を1.6VvsAg/AgCl、5
分間印加とした後に付着していた有機物と見なした死菌
体の存在有無によって、分解洗浄効果を判定した。
【0054】
【表1】
【0055】殺菌効果の判定は、○は殺菌率80%以
上、△は殺菌率20〜80%、×は20%未満を示す。
また、短時間でも殺菌率が80%を越えたことを確認で
きたものは、◎で表記した。尚、すべての基材に対して
実施したものではない。分解洗浄効果は、付着死細胞の
有無を○は洗浄率80%以上、△は洗浄率20〜80
%、×は洗浄率20%未満を示す。また、短時間でも洗
浄率が80%を越えたことを確認できたものは、◎で表
記した。尚、すべての基材に対して実施したものではな
い。
【0056】実施例2 装置例1において、導電性基材として、上記導電性基材
1〜24を用い、図3、4に示した電位印加パターンに
て実験を行った。その結果を表2に示す。殺菌効果は、
実施例1とほぼ同様の殺菌効率を示していたので、T1
工程で0.9VvsAg/AgClを30分間印加し、
死菌と生菌が混在して、付着している導電性基材を調整
した。その後、図3に示した電位印加パターンでのT2
電位は−0.6VvsAg/AgCl、30分間印加と
し、図4に示した電位印加パターンT3の電位は、−
0.3V〜−0.6VvsAg/AgCl、30分間印
加し、電位を2分間隔で振幅させた。その際のT2工程
及びT3工程の前後にて、死菌と生菌の総和である付着
微生物数に対して、脱離した微生物数の比較し、減少比
を求め、脱離効果を判定した。
【0057】
【表2】
【0058】減少率は、○は減少率70%以上、△は減
少率30〜70%、×は30%未満として示した。ま
た、短時間でも減少率が80%を越えたことを確認でき
たものは、◎で表記した。尚、その後T6工程を実施し
た導電性基材のすべてで洗浄効果が確認でき、組み合わ
せによる洗浄促進効果が期待できた。
【0059】実施例3 装置例1において、導電性基材として、上記導電性基材
1〜24を用い、図5、6に示した電位印加パターンに
て実験を行った。その結果を表3に示す。殺菌効果は、
実施例1とほぼ同様の殺菌効率を示していたので、T1
工程で0.9VvsAg/AgClを30分間印加し、
死菌と生菌が混在して、付着している導電性基材を調整
した。その後、T2電位は−0.6VvsAg/AgC
l、30分間印加とした。次いで、図5に示した電位印
加パターンでのT4の電設定を、−1.4VvsAg/
AgCl、60分間印加とした。また、図6に示した電
位印加パターンでのT5の電位設定を−0.3V〜−
1.4VvsAg/AgCl、60分間印加とし、電位
を2分間隔で振幅させた。T4及びT5工程の前後に
て、付着していた有機物と見なした死菌体の存在有無に
よって、分解洗浄効果を判定した。
【0060】
【表3】
【0061】分解洗浄効果は、付着死細胞の有無を○は
洗浄率80%以上、△は洗浄率20〜80%、×は洗浄
率20%未満を示す。また、短時間でも洗浄率が80%
を越えたことを確認できたものは、◎で表記した。尚、
すべての基材に対して実施したものではない。また、そ
の後T6工程を実施した場合、短時間で導電性基材のす
べてでほぼ完全な洗浄効果が確認でき、組み合わせによ
る洗浄促進効果が期待できた。
【0062】<生成物(塩素、酸素)発生の確認>導電
性基材1,5、6、7,9,11,22について、海水
50mlに浸し、1.6Vvs.Ag/AgClの電位
を印加した場合の海水中の塩素濃度を測定した。電位を
印加した海水中の塩素濃度は、残留塩素電極(97−7
0BN;Orion Research社製)を用いて
測定した。電位印加後の海水を10mlサンプリング
し、沃素試薬(Orion Research社製)及
び酸試薬(OrionResearch社製)をそれぞ
れ100μl添加し、撹拌した。溶液を2分間放置した
後、マルチメーター(83MULTIMETER;FL
UKE社製)を接続し残留塩素電極により電位を測定
し、標準サンプルとの電極電位差から検量線を用いて塩
素濃度を求めた。尚、塩素測定限界は、0.2ppmで
ある。標準サンプルは、残留塩素標準液(Orion
Research社製)、沃素試薬、酸試薬を各々10
0μl混ぜ2分間撹拌した後、9900μlの蒸留水を
添加し再度撹拌することにより作成した。その結果、導
電性基材1,5、6、11について貴金属酸化物が導電
性基材表面に存在する場合に、塩素発生を確認した。ま
た、導電性基材、7,9,22などの酸化物及びバルク
金属では、水の分解に伴う酸素発生が確認され、ラジカ
ル生成過程の存在が示された。
【0063】<導電性基材の再活性化の検証>導電性基
材5を例として、(A)電位を印加しない未使用の導電
性基材5、(B)1.0Vvs.Ag/AgCl、10
0時間印加した導電性基材5、(C)1.0Vvs.A
g/AgCl、100時間印加した後、−1.4Vv
s.Ag/AgCl、30分印加した導電性基材5を用
いて、電極活性としての塩素の発生を測定した。測定方
法は前記塩素測定方法と同様に行った。その結果、
(A)と(C)は、ほぼ同程度の塩素発生が確認され
た。しかし、(B)は、塩素発生の反応が(A)と
(C)より劣っていた。これは、1.0Vvs.Ag/
AgCl、100時間印加したことにより電極表面が酸
化され塩素発生効率が低下したためと考えられる。従っ
て、導電性材料により詳細な検討を必要とするが、少な
くともT2,T3,T4及びT5における負電位を印加
する事により、導電性基材を再活性化する事ができる。
また、導電性基材1においては、負電位の印加により、
白金酸化物が還元され、白金の溶出が起こることが、反
応電流量の減少として確認されている。しかし、それら
を再びT1及びT6工程とすることで、安定した導電性
を示し、再活性化された。従って、導電性基材表面に存
在する物質によって、各工程を様々な組み合わせにより
その性能を比較し、防汚効果を長期間安定させる必要が
ある。
【0064】<走査型プローブ顕微鏡による酸化物形成
及びその還元消失制御による導電性基材の再活性化確認
の検証>導電性基材22を代表例として、図5のタイミ
ングチャートに合わせて電位を印加したときの電極表面
を走査型プローブ顕微鏡(セイコーインスツルメンツ
(株)製、SPI3800N)により観察を行った。印
加条件は、T1が0.9Vvs.Ag/AgCl、90
分間、T2が−0.6Vvs.Ag/AgCl、45分
間、T4が−1.4Vvs.Ag/AgCl、120分
間で行った。サンプルは電位を印加していない新規電
極、T1印加終了時の電極、T4印加終了時の電極の表
面状態観察を行った。その結果、T1終了時には酸化被
膜成長に伴う凹凸が見られたが、T4終了後のサンプル
にはその凹凸が消滅しており、電位を印加していない電
極表面とほぼ同じ状態に戻っていた。これより正電位印
加により形成した酸化被膜は低い負電位を印加すること
により電位を印加していない新規電極表面と同じ位に復
元することがわかった。
【0065】
【発明の効果】本発明に係る電気化学的防汚方法によれ
ば、被防汚面たる導電性基材の電極としての機能を維持
向上すると共に、被防汚導電性基材の電気化学的防汚効
果を長期に渡って安定的に得ることが可能となり、更
に、脱離工程及び洗浄工程に関する自由度を高めること
も可能となる。そして、本電気化学的防汚方法に基づい
た装置は、導電性基材の交換などのコスト無く、再活性
化させて長期間の防汚効果を再現させる事が可能である
ので、極めて有用な装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の装置の模式図である。
【図2】 電位制御のタイミングチャート図である。
【図3】 電位制御のタイミングチャート図である。
【図4】 電位制御のタイミングチャート図である。
【図5】 電位制御のタイミングチャート図である。
【図6】 電位制御のタイミングチャート図である。
【符号の説明】
1 制御部 2 ポテンショスタット 3 導電性基材 4 参照極 5 対極 6 試験槽 7 攪拌棒 8 攪拌器 9 正電位側電解生成物発生電位 10 負電位側電解生成物発生電位 T1 電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程 T2 電気化学的生成物を発生しない負電位印加工程 T3 電気化学的生成物を発生しない負電位領域での振
幅電位印加工程 T4 電気化学的生成物を発生する負電位印加工程 T5 電気化学的生成物を発生する/しない負電位領域
での振幅電位印加工程 T6 電気化学的生成物を発生する正電位印加工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01K 75/00 A01K 75/00 B B63B 59/04 B63B 59/04 A (72)発明者 高橋 弘道 埼玉県草加市吉町4−1−8 ぺんてる株 式会社草加工場内 (72)発明者 和気 仁志 埼玉県草加市吉町4−1−8 ぺんてる株 式会社草加工場内 (72)発明者 高柳 博一 埼玉県草加市吉町4−1−8 ぺんてる株 式会社草加工場内 (72)発明者 門井 英夫 埼玉県草加市吉町4−1−8 ぺんてる株 式会社草加工場内 (72)発明者 松永 是 東京都小金井市本町4−20−15 Fターム(参考) 2B104 CC35 CG17 2B106 HA16 HA18 4K060 AA03 CA02 CA10 CA30 DA07 DA10 EA01 EA02 EA04 EA11 EA15 EA20 EB01 FA03

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも導電性基材と、対極と、前記
    導電性基材と前記対極との間に電圧を印加する電源とか
    らなり、前記導電性基材と生物との直接電子移動反応を
    利用した電気化学的防汚方法において、前記導電性基材
    は、被防汚面の一部又は全部が、少なくとも白金及び/
    又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合金
    属酸化物又は複合金属酸化物からなり、前記電源によ
    り、少なくとも前記導電性基材に電解液中から電気化学
    的に生成物を発生させない正電位を印加し、前記導電性
    基材表面に直接または間接的に接触する水生生物の増殖
    を抑制することを特徴とする電気化学的防汚方法。
  2. 【請求項2】 更に、前記導電性基材に電解液中から電
    気化学的に生成物を発生させる正電位を印加することに
    より前記導電性基材表面に直接または間接的に接触する
    水生生物およびスケールの脱離洗浄及び前記導電性基材
    を再活性化する工程を含むことを特徴とする請求項1に
    記載の電気化学的防汚方法。
  3. 【請求項3】 導電性基材に電解液中から電気化学的に
    生成物を発生させる正電位を印加することにより、前記
    導電性基材表面に直接または間接的に接触する水生生物
    およびスケールの脱離洗浄及び前記導電性基材を再活性
    化する工程において、電位の印加により、塩素化合物も
    しくは、ラジカルが生成されることを特徴とする請求項
    2に記載の電気化学的防汚方法。
  4. 【請求項4】 更に、前記導電性基材に電解液中から電
    気化学的に生成物を発生させない負電位を印加すること
    により、前記導電性基材表面に直接または間接的に接触
    する水生生物を脱離する工程を含むことを特徴とする請
    求項1乃至3の何れかに記載の電気化学的防汚方法。
  5. 【請求項5】 更に、前記導電性基材に電解液中から電
    気化学的に生成物を発生させる負電位を印加することに
    より、前記導電性基材表面に直接または間接的に接触す
    る水生生物およびスケールを脱離洗浄する工程を含むこ
    とを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電気化
    学的防汚方法。
  6. 【請求項6】 導電性基材が対極としても使用可能であ
    ることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電
    気化学的防汚方法。
  7. 【請求項7】 前記導電性基材が、耐食性導電性基材
    と、該耐食性導電性基材の表面の一部又は全部に形成さ
    れた白金及び/又は白金族金属酸化物又はバルブ金属酸
    化物から選ばれた1種または2種以上からなる単一金属
    酸化物又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物とから構
    成されたものであることを特徴とする請求項1乃至6の
    何れかに記載の電気化学的防汚方法。
  8. 【請求項8】 前記導電性基材が、耐食性導電性基材
    と、該耐食性導電性基材の表面の一部又は全部に多孔質
    白金からなる、又は、前記多孔質白金と該多孔質白金に
    3次元的に担持された金属酸化物とからなる被覆層とよ
    りなるものであることを特徴とする請求項1乃至6の何
    れかに記載の電気化学的防汚方法。
  9. 【請求項9】 前記導電性基材が、耐食性導電性基材
    と、該耐食性導電性基材の表面が部分的に露出する程度
    に分散被覆された白金と、少なくとも耐食性導電性基材
    表面の露出部分を被覆する少なくとも1種以上の金属酸
    化物及び/又はバルブ金属酸化物の少なくとも1種以上
    からなる混合金属酸化物とからなる中間層と、貴金属酸
    化物とバルブ金属酸化物から選ばれた少なくとも1種以
    上の金属酸化物からなる混合金属酸化物層から構成され
    た外層とよりなるものであることを特徴とする請求項1
    乃至6の何れかに記載記載の電気化学的防汚方法。
  10. 【請求項10】 金属酸化物が、酸化白金、酸化ロジウ
    ム、酸化パラジウム、酸化ルテニウム、酸化イリジウ
    ム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化スズ、酸化アン
    チモン、酸化ニオブ、酸化タンタル及び酸化ジルコニウ
    ムから選ばれた少なくとも1種又は2種以上からなるこ
    とを特徴とする請求項8又は9記載の電気化学的防汚方
    法。
  11. 【請求項11】 耐食性導電性基材がバルブ金属からな
    ることを特徴とする請求項7及至10の何れかに記載の
    電気化学的防汚方法。
  12. 【請求項12】 少なくとも導電性基材と、対極と、前
    記導電性基材と前記対極との間に電圧を印加する電源と
    からなり、前記導電性基材表面に直接または間接的に接
    触する水生生物と前記導電性基材との直接電子移動反応
    を制御する電気化学的防汚装置であって、前記導電性基
    材に電解液中から電気化学的に生成物を発生させる正電
    位を印加することにより、前記導電性基材表面に直接ま
    たは間接的に接触する水生生物およびスケールの脱離洗
    浄及び前記導電性基材を再活性化する工程を設定でき、
    前記電気化学的防汚装置は、前記導電性基材に電解液中
    から電気化学的に生成物が発生しない正電位と、電解液
    中から電気化学的に生成物が発生しない負電位と、電解
    液中から電気化学的に生成物が発生する負電位とを任意
    に設定でき且つ周期的に印加できることを特徴とする電
    気化学的防汚装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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