JPH11244861A - 水中構造物の防汚装置および生物の電気化学的な制御方法 - Google Patents

水中構造物の防汚装置および生物の電気化学的な制御方法

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JPH11244861A
JPH11244861A JP10062159A JP6215998A JPH11244861A JP H11244861 A JPH11244861 A JP H11244861A JP 10062159 A JP10062159 A JP 10062159A JP 6215998 A JP6215998 A JP 6215998A JP H11244861 A JPH11244861 A JP H11244861A
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underwater structure
conductive film
potential
sce
counter electrode
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JP10062159A
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English (en)
Inventor
Tsuruo Nakayama
鶴雄 中山
Hitoshi Wake
仁志 和気
Kinichi Ozawa
欣一 小澤
Tokuyuki Nakamura
徳幸 中村
Tadashi Matsunaga
是 松永
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Pentel Co Ltd
Original Assignee
Pentel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気化学的な生物の制御により水中構造物表
面への生物やスケールなどの付着を防止し、長期間防汚
効果を維持させるための装置と新たな制御方法を提供す
ること。 【解決手段】 5V vs.SCE以下の電位を印加し
ても塩素が発生しない導電性膜が、少なくとも水中構造
物の防汚面に形成され、該水中構造物と接触しないよう
に対極が配置され、前記導電性膜が形成された水中構造
物と対極との間に、直流を通電する電源装置とを備えた
水中構造物の防汚装置。5V vs.SCE以下の電位
を印加しても塩素が発生しない導電性膜が形成された水
中構造物に、0.1乃至5V vs.SCE電位を印加
し、該導電性膜表面に付着した生物の直接電子移動反応
およびまたは電気分解により発生したOHラジカルによ
り生物を電気化学的に殺菌または制御するようなした生
物の電気化学的な制御方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶や冷却用配
管、配水管などの接水面に付着した生物を、電気化学的
に防汚するために好適な装置および生物の電気化学的な
制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】海水や淡水中には多くの生物が存在し、
病原性を示したり、水中構造物表面に付着し、様々な問
題を引き起こしている。例えば、船舶では生物が付着す
ると推進抵抗の増大、火力発電所で用いられている冷却
用配管では熱交換効率の低下や冷却用配管内面に付着し
て増殖した大型生物が脱離して冷却管の閉塞を招く。さ
らに、定置網や養殖用生け簀では、海水の交流阻害や網
成りの変形が生じる。また、食品加工や飲料水、化粧品
製造では多量の水が用いられており、これらの水は配水
管を通して供給されているが、配水管内面に微生物が付
着して増殖すると製品へ微生物が混入し、製品の品質に
重大な欠陥をもたらす。
【0003】一般に接水面に生物が付着する機構は次の
通りである。まず、付着性のグラム陰性菌が表面に吸着
して脂質に由来するスライム状物質を多量に分泌する。
さらに、グラム陰性菌は、このスライム層に集まって増
殖し、微生物皮膜を形成する。そして、この微生物皮膜
層上に大型の生物である藻類、貝類、フジツボ等が付着
し、付着した大型の生物が繁殖し成長し、最終的に接水
面を覆い尽くすことになる。
【0004】こうした船体や漁網などの水中構造物や配
水管などの接水面に付着した生物の防汚手段としては、
海水中に次亜塩素酸塩などの殺菌性を有する物質を添加
して生物を殺菌させる方法や、有機錫系化合物を含有し
た塗料で船舶や漁網に塗膜を形成し、有機錫系化合物を
溶出させることにより防汚する方法が一般に行われてい
た。しかし、次亜塩素酸塩の殺菌性を有する物質の添加
や有機錫系化合物を使用すると、水中の有機物などと反
応し、トリハロメタン等の有害物質の発生や有機錫化合
物の溶出などによる海洋の汚染や有用な海洋生物への影
響が懸念される。また、最近では、有機錫系化合物の代
替えとして非有機錫系の防汚剤が用いられているが、非
有機錫系防汚剤では、付着防止効果の維持時間が短いた
め、塗料の塗り替え作業に要する労力が大幅に増大し、
コストアップにつながる等の問題があり、新たな生物の
殺菌方法や生物防汚方法が望まれている。
【0005】最近、塩素などの有害物質を発生させない
で電気化学的に船舶や漁網などに付着する生物を制御す
る方法が提案されている。この電気化学的制御方法で
は、微生物の直接反応が確認されている所定電位以上の
電位を微生物に印加すると、微生物内部の酸化還元物質
の一つである補酵素Aが不可逆的に酸化され、微生物の
呼吸活性及び微生物膜の透過障壁の低下を誘発し、微生
物を死滅させることが可能であるというものである(特
公平6−91821号公報)。すなわち、グラム陰性菌
の付着を電気化学的に制御することにより、大型の生物
の付着を防止する方法が示されている。また、特開平4
−341392号公報には、導電性を有する被防汚面に
+0〜+1.5V vs.SCEの正電位を印加し付着
する微生物を殺菌する行程と、−0〜−0.4V v
s.SCEの負電位を印加して生物を脱離する工程から
なる防汚方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの方法を利用し
た海水や淡水が接する水中構造物の防汚装置は、接水面
に導電性ゴムや導電性塗膜などの導電性樹脂層を、その
接水面に被覆した水中構造物と、導電性樹脂層と接触し
ないように対向して設置した対極と、導電性樹脂層と電
極間に直流を通電する電源よりなるものである。また、
導電性樹脂層に印加する電位を正確に制御するために、
照合電極が設けられ、照合電極と導電性樹脂層間の電位
差を制御し、且つ、導電性樹脂層と対極間に電流を通電
するための電源(ポテンショスタット)が設けられてい
る。
【0007】導電性樹脂層は、カーボンブラックやグラ
ファイト或いは白金、ロジウム、ルテニウム等の貴金属
またはそれらの酸化物などの導電性微粒子を、合成樹脂
に分散して形成されたものであり、コストを考慮する
と、一般には、カーボンやグラファイトが用いられてい
る。これらの導電性微粒子を含んだ導電性樹脂層に海水
中で電位を印加すると、海水の電気分解により有毒な塩
素ガスが発生する。発生した塩素ガスは金属からなる水
中構造物の腐食を促進したり、或いは有用な養殖魚の成
長阻害、さらには生態系への影響が懸念される。従っ
て、これらの導電性樹脂層を水中構造物表面に形成して
電気化学的に生物汚損を防止するためには、塩素が発生
しない電位を正確に制御する必要がある。
【0008】電気化学的方法における電位制御方法とし
ては、2電極系と3電極系の2種類が一般的に用いられ
ている。2電極系は、作用極と対極とから構成され、作
用極と対極間に直流電圧を印加した場合、作用極の電位
は対極との電位の差となる。しかし、対極に電流が流れ
ると、分極に起因する対極の酸化還元電位のズレが発生
し、作用極電位が変動する。したがって、正確な電位制
御ができなくなり、さらに、生物が制御できる電位を作
用極に印加しても作用極の電位が変動することから、海
水が分解して塩素が発生したり、或いは電位が低下して
生物を制御できない場合が発生する。また、2電極系で
は、作用極に正電位を印加すると、対極は負に分極す
る。したがって、2電極系で作用極と対極の極性を周期
的に変換して電圧を印加することで、対極も作用極とし
て機能することから、水中構造物表面に形成した導電性
膜を2分割し(2分割した作用極は互いに接触しないよ
うにする)、2分割した導電性膜に直流電圧の極性を周
期的に変換して印加することにより、対極が不要となる
というメリットがある。
【0009】3電極系は、作用極と対極および照合電極
から構成されている。作用極の電位は照合電極と作用極
の電位差を電位として制御し、電流は対極を通して流
れ、照合電極には電流がほとんど流れない。したがっ
て、照合電極は分極しないことから、精度良く作用極の
電位が制御できる。しかし、3電極系では対極の電位は
制御されず、作用極面積よりも対極面積を小さくする
と、対極の電流密度が上昇して対極の抵抗値の増加し、
さらには対極電位の上昇による電解質の分解が発生する
ことから、3電極系では対極面積をできる限り大きくす
ることが一般に行われている。しかしながら、水中構造
物表面を電極化して3電極系で電位を制御する場合、船
体では、船体に対向して大面積の対極を設置すると、対
極による推進抵抗の増大や、寄港時に対極が桟橋に接触
して対極やさらには船体が破損する等の新たな問題が発
生する。また、冷却用取水管などでは配管内の容積に制
限があることから、大面積の対極の設置は不可能であ
り、さらに、対極を配管内面に対向して設置することに
より給水能力の低下、また、水中構造物の種類や構造に
よっては対極の設置が不可能な場合もあり、新たな水中
構造物の防汚装置が望まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、これらの問題
に鑑みなされたものであり、電気化学的な生物の制御に
より水中構造物表面への生物やスケールなどの付着を防
止し、長期間防汚効果を維持させるための装置と新たな
制御方法を提供することを目的とするものであって、5
V vs.SCE以下の電位を印加しても塩素が発生し
ない導電性膜が、少なくとも水中構造物の防汚面に形成
され、該水中構造物と接触しないように対極が配置さ
れ、前記導電性膜が形成された水中構造物と対極との間
に、直流を通電する電源装置とを備えた水中構造物の防
汚装置を第1の要旨とし、5V vs.SCE以下の電
位を印加しても塩素が発生しない導電性膜が、水中構造
物の防汚面と、水中構造物と接触しないように設置され
た対極との表面に形成され、該導電性膜が形成された水
中構造物と対極との間に、直流を通電する電源装置とを
備えた水中構造物の防汚装置を第2の要旨とし、第2の
要旨において、5Vvs.SCE以下の電位を印加して
も塩素が発生しない導電性膜が、水中構造物の防汚面
と、水中構造物と接触しないように設置された対極との
表面に形成され、該導電性膜が形成された水中構造物と
対極との間に、直流を通電する電源装置と、水中構造物
表面に形成された導電性膜との電位差を制御するための
照合電極が配置された水中構造物の防汚装置を第3の要
旨とし、第1乃至第3の要旨の何れかにおいて、5V
vs.SCE以下の電位を印加しても塩素が発生しない
導電性膜が、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、
金属ケイ化物の何れかである水中構造物の防汚装置を第
4の要旨とし、5V vs.SCE以下の電位を印加し
ても塩素が発生しない導電性膜が形成された水中構造物
に、0.1乃至5Vvs.SCE電位を印加し、該導電
性膜表面に付着した生物の直接電子移動反応およびまた
は電気分解により発生したOHラジカルにより生物を電
気化学的に殺菌または制御するようなした生物の電気化
学的な制御方法を第5の要旨とし、5V vs.SCE
以下の電位を印加しても塩素が発生しない導電性膜が形
成された水中構造物に、1.5V乃至5V vs.SC
E電位を印加し、電気分解により発生したOHラジカル
により該導電性膜に付着した生物を電気化学的に殺菌ま
たは制御するようなした生物の電気化学的な制御方法を
第6の要旨とするものである。
【0011】
【作用】この様な構成から成る水中構造物の防汚装置
は、水中構造物および対極の少なくとも接水面に電位を
印加しても、塩素の発生がない導電性膜が形成されてい
ることから、正確な電位が制御できない2電極系で電位
を印加しても、電位の変動による塩素の発生がないこと
から、有毒な塩素による海洋汚染の心配がなく、また、
2電極系での構成を変えることにより対極が不要とな
る。また、3電極系では、対極電位が変動しても塩素が
発生しないことから、対極の面積を小さくすることがで
き、複雑な水中構造物の防汚装置が構築できる。さら
に、海水中で電位を印加しても塩素の発生がない導電性
膜が、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケ
イ化物の何れかからなることから、これらの導電性膜
は、耐食性が高く、また、電位印加による溶解がなく非
常に安定で、且つ、耐摩耗性が高いことから、長期的に
生物の制御および汚損の防止が可能となる。さらに、こ
れらの金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケ
イ化物からなる導電性膜は、抵抗値が低いことから導電
性膜の抵抗値による電位の低下が少なく、従って、広い
面積を有する各種の水中構造物の生物汚損が防止可能と
なる。また、5V vs.SCE以下の電位を導電性膜
に印加しても、塩素の発生がないことから、導電性膜に
+5.0V vs.SCE以下の電位を印加して水を電
気分解させ、電気分解により発生したOHラジカルを積
極的に用いることが可能となり、OHラジカルによる細
胞膜の損傷と、従来の細胞ー電極間の電子移動反応の両
方の作用またはOHラジカルにより生物を電気化学的に
従来よりもより効果的に殺菌または制御することができ
る。また、電極表面に発生したOHラジカルは付着した
水生生物以外の有機物も分解できることから、長期的に
生物汚損を防止できる等、様々な利点を有するものであ
る。
【0012】本発明による水中構造物の防汚装置および
生物の電気化学的な制御方法は、船舶や船舶用の取水
管、漁網、港湾設備、ブイ、発電所の取水管や冷却管な
ど、食品加工や化粧品、医薬品製造での水を供給するた
めの配水管などに用いられる。
【0013】
【実施例】本発明を添付図面に基づき詳述する。図1
は、本発明の水中構造物の2電極系での防汚装置の説明
図であり、参照符号1は水中構造物の基材を示し、該基
材1の海水や淡水7に接する面には、電位を印加しても
塩素の発生がない導電性膜2(導電性膜については後述
する)が形成されている。尚、導電性膜2を基材1上に
形成した水中構造物を水中構造物3という。また、水中
構造物3の導電性膜2に接触しないように、対極基材4
が設置され、該対極基材4の表面に、電位を印加しても
塩素の発生がない導電性膜2が形成されており、水中構
造物の基材1の表面に形成された導電性膜2と対極基材
4の表面に形成された導電性膜2とはリード線5により
電源装置6に接続されている。電源装置6は直流を通電
する装置であって、極性が変換でき、さらにパルス波や
矩形波などの各種波形が制御できる機能を有している。
【0014】図2は、本発明の水中構造物の防汚装置の
ための2電極系を変型した実施例を示す説明図であり、
図1と異なる点は、対極が設置されていないことであ
る。水中構造物の基材1の表面には、海水中で電位を印
加しても塩素の発生がない導電性膜2が、一定の隙間8
により完全に絶縁されて、導電性膜2aと導電性膜2b
とに分割されて形成されている。導電性膜2aおよび導
電性膜2bは、リード線5により電源装置6に接続され
ている。導電性膜2aに海水や淡水7の伝導度が変動し
ても水性生物が殺菌される電位が保たれる正電位を印加
すると、導電性膜2bには、正電位と同じ値の負電位が
印加され、極性を周期的に変換することにより、導電性
膜2aと導電性膜2bには正電位と負電位が周期的に印
加されることから、導電性膜2aと導電性膜2bの表面
に付着した水性生物を殺菌して脱離することが可能とな
る。従って、対極が不必要となることから、対極が設置
不可能な複雑な水中構造物の防汚装置として用いること
ができる。
【0015】従来では、2電極系では分極に起因する電
位の平衡値からのズレや海水の伝導度の変動により、電
位が変動し正確な電位の制御が困難となる。しかしなが
ら、本発明においては、分極や海水の伝導度の変動によ
る電位の変動が発生しても、水性生物が殺菌できる電位
が保持できる高い電位を印加することで、生物汚損の防
止が可能となる。すなわち、水中構造物表面に形成され
た海水中で電位を印加しても、塩素の発生がない導電性
膜が形成されていることから、高い電位を導電性膜2
(2a、2b)に印加しても海水の電気分解による有毒
な塩素の発生がなく、金属からなる水中構造物の腐食、
養殖魚の成長阻害や海洋汚染が発生しない。尚、電位を
印加しても塩素の発生がない導電性膜とは、50mlの
海水中で対極に白金を用い、導電性膜に照合電極を基準
として電位をポテンショスタットにより30分間印加し
た後、残留塩素電極を用いて測定した海水中の塩素が検
出限界以下である場合を云う。
【0016】図3は、本発明の水中構造物の3電極系で
の防汚装置の説明図であり、水中構造物の基材1の表面
に形成された導電性膜2に印加した電位を正確に制御す
るための照合電極9が配置され、照合電極9はリード線
5により直流電源であるポテンショスタット10と接続
されている。また、水中構造物3の導電性膜2に接触し
ないように配置された対極基材4には、電位を印加して
も塩素の発生がない導電性膜2が形成され、水中構造物
の基材1の表面に形成された導電性膜2および対極基材
4の表面に形成された導電性膜2は、リード線5により
ポテンショスタット10と接続されている。3電極系
は、水中構造物表面の導電性膜に水生生物が殺菌できる
電位を正確に印加できることから、精度良く水生生物の
制御が可能であり、さらに、消費電力も2電極系よりも
少なくすることができる。しかしながら、対極の電位は
制御されないことから、対極面積を水中構造物の表面積
よりも小さくすると、対極の電流密度が高くなり、さら
に、対極表面に付着するスケールや海水などの導電性の
変動により抵抗値が変動して対極電位が高くなり、有毒
な塩素の発生をもたらす。したがって、電位を印加して
も塩素の発生がない導電性膜が被覆されたまたは導電膜
からなる対極を用いることで、対極の電位が変動しても
塩素が発生しないことから、対極面積を小さくすること
が可能となり、複雑な水中構造物の防汚装置に利用でき
る。
【0017】尚、対極基材4に用いられる材料として
は、海水や淡水中で電位を印加しても腐食や溶解がない
金属材料、例えば、チタン、ジルコニウム、タンタル、
ニオブなどのバルブ金属、ABS、AS、ポリカーボネ
ート、アクリル樹脂、PET、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリイミド樹脂などの熱可塑性樹脂、ベークラ
イト、熱硬化型樹脂が用いられ、これらの基材上に電位
を印加しても塩素の発生がない導電性膜が形成されてい
る。また、これらの電位を印加しても塩素の発生がない
導電性膜からなる導電性材料より形成されてあっても良
い。形状は、メッシュ状、板状、筒状、線状など、水中
構造物の構造に合わせて適宜設計すれば良い。
【0018】第4図は、本発明の水中構造物の防汚装置
のための実施例を示す説明図であり、陸から送電線で電
力が供給できない海洋上や広い湖水上に設置する際の例
を示すものである。図3と異なる点は電源装置に電力を
供給する方法である。本例において、ポテンショスタッ
ト10に電力を供給する方法としては、蓄電池11、充
電装置12および太陽電池13を用い、これらをリード
線5によりそれぞれ接続している。蓄電池11は鉛蓄電
池やニッケル・カドミウム電池、ニッケル水素電池、ニ
ッケル亜鉛電池、空気亜鉛電池などのアルカリ蓄電池、
リチウム2次電池などが用いられる。
【0019】図5および6は、水中構造物の基材1が電
気化学的に溶解や腐食が発生しない材料からなる例の断
面を模式的に示した図である。基材1の材質としては、
金属材料、樹脂材料、無機材料、天然材料が挙げられ、
金属材料としては、チタンおよびその合金、タンタルお
よびその合金、ジルコニアおよびその合金、ニオブおよ
びその合金などが挙げられる。樹脂材料としては、AB
S、AS、ナイロン、ポリカーボネート、ポリスチレ
ン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、塩
化ビニル、PET、FRP等が挙げられ、無機材料とし
ては、ガラス、アルミナ、ジルコニア、セメント等が挙
げられ、天然材料としては、木材、石などが挙げられ
る。これらの材料は構造を維持する機能を有すものであ
れば特に限定されない。図5は、これらの各種材料から
なる水中構造物3の基材1表面に電位を印加しても塩素
の発生がない導電性膜2を形成した例であり、図6は、
基材1上に接着層1aを介して電位を印加しても塩素の
発生がない導電性膜2を積層した例である。尚、接着層
1aに用いられる接着剤は、感圧系接着剤やホットメル
ト接着剤、2液硬化型接着剤、嫌気性接着剤などであ
り、これらは一種もしくは2種以上混合して用いても良
い。
【0020】図7及至10は、水中構造物の基材1が電
気化学的に溶解や腐食する材料からなる例の断面を模式
的に示した図である。溶解や腐食する材料の例として
は、鉄およびその合金またはステンレス、アルミニウム
およびその合金、銅およびその合金、亜鉛およびその合
金、マグネシウムおよびその合金などの金属材料が挙げ
られる。これらの基材1と接水面に形成された電位を印
加しても塩素の発生がない導電性膜2との間に、予めア
ルミナやジルコニア、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化珪
素などの酸化物である無機絶縁層や、不飽和ポリエステ
ル樹脂、アクリルーウレタン樹脂、ポリエステルーウレ
タン樹脂、シリコンーウレタン樹脂、シリコンーアクリ
ル樹脂、エホキシ樹脂、熱硬化型であるメラミンーアル
キッド樹脂、メラミンーアクリル樹脂、メラミンーポリ
エステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルーウレタン樹
脂、ポリイミド樹脂などよりなる絶縁樹脂や、ポリエチ
レン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、フッ素樹脂、PTF
E樹脂などよりなる絶縁樹脂フィルム層などの絶縁層1
bを形成した例が図7である。また、電気化学的に溶解
や腐食する材料からなる基材1上に、絶縁層1bを形成
し、該絶縁層1b上に接着層1c(使用する接着剤は図
6の説明の接着剤と同じでよい)を介して電位を印加し
ても塩素の発生がない導電性膜2を積層した例が図8で
ある。
【0021】また、図9は、基材1上に前述と同様の接
着層1cを介して絶縁層(絶縁樹脂フィルムを使用)1
bを設け、該絶縁層1b上に電位を印加しても塩素の発
生がない導電性膜2を形成した例であり、さらに、図1
0は、図9の例において、絶縁層1bと導電性膜2との
間にさらに接着層1cを介在させた例である。
【0022】次に、接水面に形成する電位を印加しても
塩素の発生がない導電性膜2について説明する。導電性
膜2は、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属
ケイ化物の何れからの材料から形成される。金属窒化物
としては、窒化チタン、窒化ジルコニア、窒化バナジウ
ム、窒化タンタル、窒化ニオブ、窒化クロム等が挙げら
れ、金属炭化物としては、炭化チタン、炭化ジルコニウ
ム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化
クロム、炭化モリブデン、炭化タングステン等が挙げら
れ、金属ホウ化物としては、ホウ化チタン、ホウ化ジル
コニウム、ホウ化ハーフニウム、ホウ化バナジウム、ホ
ウ化ニオブ、ホウ化タンタル、ホウ化クロム、ホウ化モ
リブデン、ホウ化タングステン等が挙げられ、金属ケイ
化物としては、ケイ化チタン、ケイ化ジルコニウム、ケ
イ化ニオブ、ケイ化タンタル、ケイ化バナジウム、ケイ
化タングステン等が挙げられ。尚、ここに記載した材料
はその一部であり、形成方法によっては2種類以上の金
属が含まれたり、酸化物の一部が含まれたり、さらに
は、これらの化合物が2種以上混合されていても構わな
い。これらの金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、
金属ケイ化物は0.1μm以上の厚さの膜であれば良
く、最大の厚さは特に限定は要せず、金属窒化物、金属
炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物の形成方法や使用
目的により適宜設定すれば良い。
【0023】これらの金属窒化物、金属炭化物、金属ホ
ウ化物、金属ケイ化物の膜の形成方法は、使用目的によ
り適宜選択して形成すれば良い。その一例としては、ス
パッタリングやイオンプレーティング等の物理蒸着法、
プラズマ溶射法や減圧内溶射法、または、他の方法によ
り形成される。その一例を次に記す。金属窒化物は、金
属窒化物の金属、例えば、チタン、ジルコニウム、タン
タル、クロム等を真空中でバイアス下、窒素イオンによ
り処理するイオン窒化法、大気中で窒素やアンモニアガ
ス雰囲気中で加熱処理するガス窒化法、各種金属をNa
CN、NaCNOを含む溶融塩中に浸漬処理する塩浴窒
化法などによりこれらの金属上に形成すれば良い。
【0024】また、減圧内溶射装置を用いることによ
り、樹脂やセメント、或いは金属よりなる複雑な形状を
有する水中構造物の表面に、容易に金属窒化物からなる
溶射皮膜が形成できる。低温溶射法とは、溶射金属をア
ーク溶融すると同時に、その溶融個所の前方周辺におい
て低温の空気流または窒素ガスを高速で噴射し、その間
に生じる減圧部に溶射金属溶融体を移行させ、低温の高
速噴射流により過冷却し、微粒化しつつ飛行せしめ、被
塗物表面に低温で溶射金属を溶着せしめる方法を云う。
【0025】この低温溶射法による金属窒化物膜の形成
方法は、窒化せんとする金属材料の線材を高周波でアー
ク溶融する個所に送り、その溶融個所の前方周辺におい
て低温の空気流または窒素ガスを高速で噴射し、その間
に生ずる減圧部に空気や窒素、或いは空気とアンモニア
ガス、窒素ガスとアンモニアガスの混合ガス送ることに
より、減圧部内で形成された金属微粒子がそれらのガス
に含まれる窒素分子と溶融状態にある金属表面とが反応
することで表面が窒化された粒子が形成され、それが冷
却した高速噴射流移行することで急激に過冷却し、表面
が窒化され、且つ、過冷却された金属微粒子が水中構造
物や対極表面に溶着することで形成されるものである。
従って、用いるガスの条件を選択することで安定な金属
窒化物からなる溶射皮膜が形成できる。
【0026】金属炭化物は、金属炭化物、例えば、チタ
ン、ジルコニア、タンタル、クロム等の金属を、COを
含むガス雰囲気中で加熱処理するガス浸炭法、NaCN
を主成分とする溶融塩に浸漬する塩浴浸炭法、Na2
3の炭酸塩を主成分とする溶融塩中でカソード電解す
る電解浸炭法により金属上に形成すれば良い。また、金
属ホウ化物は、金属ホウ化物の金属、例えば、チタン、
ジルコニウム、ニオブ、タンタル等の金属を水素とジボ
ランを含むガス雰囲気中で加熱処理するガスボロン化
法、ホウ砂を主成分とする溶融塩に浸漬する溶融ボロン
化法、ホウ砂を主成分とする溶融塩中でカソード電解す
る電解ボロン化法などで金属表面に形成すれば良い。金
属ケイ化物は、金属ケイ化物の金属をSiCl4と水素
や窒素を混合したガス雰囲気中で加熱処理する浸ケイ法
により形成すれば良い。
【0027】この様に金属窒化物、金属炭化物、金属ケ
イ化物、金属ホウ化物の何れかからなる導電性膜を形成
してもよいが、金属窒化物、金属炭化物、金属ケイ化
物、金属ホウ化物の微粒子を、ポリエチレン樹脂、ポリ
スチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、各種
エラストマー等の樹脂に充填して形成した導電性樹脂シ
ートとして基材上に積層したり、導電性微粒子を分散し
た塗料を基材上に塗布して乾燥して導電性微粒子を含ん
だ塗膜を形成しても良い。
【0028】次に、生物の電気化学的制御における電位
印加条件について説明する。生物を含む水中において、
接水面が金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属
ケイ化物からなる導電性膜に正電位を印加すると、水中
の生物を導電性膜表面に吸着させることができる。さら
に、導電性膜に印加されている正電位には、該導電性膜
表面に吸着して接触した生物を電気化学的に殺菌する作
用がある。すなわち、生物は、正電位によって導電性膜
表面に吸着させられ、表面上で殺菌される。印加する正
電位は+0.1〜5.0 Vvs.SCE、であり、印
加電位が0Vvs.SCE以下では生物を導電性膜に吸
着させて殺菌することができない。さらに、+5V v
s.SCEを超えた電位を長時間印加すると、導電性膜
が劣化する場合があるので好ましくない。また、従来
は、細胞−電極間の電子移動反応により導電性膜上に付
着した水生生物を、電気化学的に制御または殺菌してい
たが、本発明では、+5.0 Vvs.SCE以下の電
位を印加しても有毒な塩素の発生がないことから、導電
性膜に+5.0 Vvs.SCE以下の電位を印加して
水を電気分解させ、電気分解により発生したOHラジカ
ルを積極的に用いた水生生物の電気化学的な制御や殺菌
の新たな方法である。この場合、発生したOHラジカル
は非常に短命であることから、海水や淡水の汚染はな
い。また、OHラジカルは非常に酸化作用が高いことか
ら、細胞膜に損傷を与えることができ、したがって、発
生したOHラジカルと従来の細胞ー電極間の電子移動反
応の両方の作用により、水生生物を電気化学的に、従来
よりもより効果的に制御または殺菌することができる。
【0029】次に、導電性膜に+1.5V〜5 V v
s.SCEの電位を印加して電気分解により発生したO
Hラジカルを利用した生物の制御方法について説明す
る。+5.0 Vvs.SCE以下の電位を印加しても
有毒な塩素の発生がない導電性膜を用いると、1.5V
以上からOHラジカルが発生する。発生したOHラジカ
ルは、非常に酸化作用が高く、電極表面に付着した生物
の細胞膜を破壊し、さらに、細胞内のDNAに影響を及
ぼし、生物を殺菌することができる。この場合では、積
極的にOHラジカルを発生させて生物を殺菌または制御
することから、細胞ー電極間の電子移動反応よりは、O
Hラジカルによる殺菌または制御が主な要因となる。し
たがって、強力な酸化作用を有するOHラジカルを利用
することから、短時間に生物を殺菌または制御が可能と
なる。また、正電位を印加する時間は、水中に存在する
生物の種類や濃度、または流速や温度によっても異なる
が、1分間から6時間程度が好ましく、印加時間が6時
間を超えると、導電性膜上で殺菌された生物の上に他の
生物が吸着してしまい、後から吸着した生物は導電性膜
と直接接触していないので、正電位による電気化学的殺
菌作用を受けない。
【0030】さらに、前述した生物の制御方法に基づい
た生物の付着防止方法について説明する。生物の制御方
法では、生物の制御がそれらが存在する環境に大きく左
右される。すなわち、流速が早い環境下では、殺菌され
た生物は導電性膜表面から流速による抵抗で容易に脱離
され、スライム層の形成が阻止されるが、海水や淡水が
淀んだ環境下では、流速による抵抗がないため、導電性
膜に吸着している殺菌された生物の脱離が起こらない。
そこで導電性膜に負の電位を印加することで、導電性膜
表面に吸着している殺菌された生物を強制的に脱離させ
る方法である。この原理は、生物が負の電位を有してい
ることに着目した方法であり、正電位印加により、生物
を導電性膜表面へ吸着して殺菌する工程と、導電性膜に
負電位を印加して、前記導電性膜表面に吸着している殺
菌された生物を脱離する工程とを周期的に行うことによ
り、各種環境下でもスライム層の形成を阻止せんとした
方法である。正電位は前に示した印加条件でよく、導電
性膜に+0〜+5 Vvs.SCEの正電位を印加する
時間は、水中に存在する生物の種類や濃度、または流速
や温度によっても異なるが、1分間から6時間程度が好
ましく、印加時間が6時間を超えると、基材上で殺菌さ
れた生物の上に他の生物が吸着してしまい、後から吸着
した生物は導電性膜と直接接触していないので、正電位
による電気化学的殺菌作用を受けない。
【0031】続いて、導電性膜に負電位を印加すると、
導電性膜表面に吸着していた生物を脱離させることがで
きる。印加電位は0〜−1.5 Vvs.SCE、好ま
しくは−0.1〜−1.0V vs. SCEである。
印加電位が0V vs. SCEでは、生物を導電性膜
表面から脱離させることができず、−1.0V vs.
SCEより低い電位であると、pHが上昇するので好ま
しくない。また、負電位を印加する時間は、導電性膜表
面に吸着している生物の種類や量によっても異なるが、
30秒間〜120分間、好ましくは1分間〜60分間行
えば良い。30秒間に満たない場合は、殺菌された生物
の脱離が十分でなく、次に正電位を印加した際に、殺菌
された生物の上に他の生物が付着してしまう。また、6
0分間を超えた場合は、被処理液体の効果的な殺菌を行
うことができない。
【0032】〈海洋細菌の殺菌例1〉図2に示した装置
の水中構造物1の基材にチタンを用い、導電性膜2とし
て窒化チタンをスパッタリングで形成し、作用極とし
た。対極はチタンに白金が被覆されたメッシュを用い
た。照合電極は、銀−塩化銀電極を用い、電源はポテン
ショスタットを用いた。窒化チタンを形成した作用電極
に、海洋細菌ビブリオアルギノリティカスを付着させ、
滅菌海水中で0.8Vと2V vs.Ag/AgClの
電位を5分間印加した後、電極上に付着したビブリオア
ルギノリティカスをピペッティングで回収して、コロニ
ー法で生菌率を調べた。その結果は、0.8V vs.
Ag/AgClで63%、2.0V vs.Ag/Ag
Clで0%であった。また、それぞれの印加電位での塩
素を、残留塩素電極で、OHラジカルをESRで調べ
た。その結果、塩素は0.8Vおよび2.0Vvs.A
g/AgCl共に検出限界以下であり、また、OHラジ
カルは0.8V vs.Ag/AgClでは発生しなか
ったが、2.0V vs.Ag/AgClでは発生し
た。これらの結果より、TiNを電極に用いることによ
り、低い電位で海洋細菌を殺菌できることが確認でき、
さらに、OHラジカルを発生させることにより、全ての
海洋細菌が殺菌できることが確認された。
【0033】〈海洋細菌の殺菌例2〉図2に示した装置
の水中構造物1の基材にチタンを用い、導電性膜2とし
て窒化チタンをスパッタリングで形成し、作用極とし
た。対極はチタン基材にスパッタリングで窒化チタンを
形成したものを用いた。照合電極は、銀−塩化銀電極を
用い、電源はポテンショスタットを用いた。窒化チタン
を形成した作用電極に海洋細菌ビブリオアルギノリティ
カスを付着させ、滅菌海水中で0.8Vと2Vvs.A
g/AgClの電位を5分間印加した後、電極上に付着
したビブリオアルギノリティカスをピペッティングで回
収して、コロニー法で生菌率を調べた結果は、0.8V
vs.Ag/AgClで68%、2.0V vs.A
g/AgClで0%であった。また、それぞれの印加電
位での塩素を残留塩素電極で、OHラジカルをESRで
調べた。その結果、塩素は0.8Vおよび2.0Vv
s.Ag/AgCl共に検出限界以下であり、また、O
Hラジカルは0.8V vs.Ag/AgClでは発生
しなかったが、2.0V vs.Ag/AgClでは発
生した。これらの結果から、TiNを電極に用いること
により、低い電位で海洋細菌を殺菌できることが確認さ
れ、さらに、OHラジカルを発生させることにより、全
ての海洋細菌が殺菌できることが確認された。
【0034】
【発明の効果】本発明の水中構造物の防汚装置は、接水
面が電位を印加しても塩素の発生がない導電性膜が形成
されていることから、塩素が発生しない正確な電位が制
御できない2電極系でも防汚装置が構築でき、さらに、
その構成を変えることにより対極が不要となることか
ら、様々な水中構造物の防汚装置として利用できる。ま
た、3電極系では、対極の面積を小さくすることが可能
となり、対極面積を小さくしても対極の電位の上昇によ
る塩素が発生がないことから、有毒な塩素による海洋汚
染がなく、複雑な水中構造物の防汚装置として利用でき
る。また、導電性膜が金属炭化物、金属ホウ化物、金属
ケイ化物からなることから、溶解や抵抗値の変動か殆ど
なく、さらに、耐摩耗性も高いことから、長期的に生物
の制御および汚損の防止が可能となる。また、金属窒化
物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物からなる
導電性膜は、抵抗値が低いことから導電性膜の抵抗値に
よる電位の低下が少なく、従って、広い面積を有する各
種の水中構造物の生物汚損が防止可能となる。さらに、
5V vs.SCE以下の電位を導電性膜に印加しても
塩素の発生がないことから、導電性膜に+5.0V v
s.SCE以下の電位を印加して水を電気分解させ、電
気分解により発生したOHラジカルを積極的に用いるこ
とが可能となり、OHラジカルによる細胞膜の損傷と、
従来の細胞ー電極間の電子移動反応の両方の作用によ
り、生物を電気化学的に、従来よりも効果的に制御また
は殺菌することができる。また、電極表面に発生したO
Hラジカルは、付着した水生生物以外の有機物も分解で
きることから、長期的に生物汚損を防止できる等、様々
な利点を有するものであり、例えば、船舶や船舶の取水
管、漁網、ブイ、湾岸設備、配水管など、様々な分野に
利用できる有用な装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水中構造物の防汚装置の説明図。
【図2】本発明の水中構造物の防汚装置の他の実施例示
す説明図。
【図3】本発明の水中構造物の防汚装置の更に他の実施
例示す説明図。
【図4】本発明の水中構造物の防汚装置の更に他の実施
例示す説明図。
【図5】水中構造物の断面を模式的に示した図。
【図6】他の水中構造物の断面を模式的に示した図。
【図7】更に他の水中構造物の断面を模式的に示した
図。
【図8】更に他の水中構造物の断面を模式的に示した
図。
【図9】更に他の水中構造物の断面を模式的に示した
図。
【図10】更に他の水中構造物の断面を模式的に示した
図。
【符号の説明】
1 水中構造物の基材 1a 接着層 1b 絶縁層 1c 接着層 2 導電性膜 2a 導電性膜 2b 導電性膜 3 水中構造物 4 対極基材 5 リード線 6 電源装置 7 海水や淡水 8 隙間 9 照合電極 10 ポテンショスタット 11 蓄電池 12 充電装置 13 太陽電池
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C02F 1/50 531 C02F 1/50 531J 560 560F E02B 1/00 301 E02B 1/00 301A (72)発明者 小澤 欣一 埼玉県草加市吉町4−1−8 ぺんてる株 式会社草加工場内 (72)発明者 中村 徳幸 東京都小金井市中町2−24−31−20 (72)発明者 松永 是 東京都府中市幸町 2−40 B−506

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5V vs.SCE以下の電位を印加し
    ても塩素が発生しない導電性膜が、少なくとも水中構造
    物の防汚面に形成され、該水中構造物と接触しないよう
    に対極が配置され、前記導電性膜が形成された水中構造
    物と対極との間に、直流を通電する電源装置とを備えた
    水中構造物の防汚装置。
  2. 【請求項2】 5V vs.SCE以下の電位を印加し
    ても塩素が発生しない導電性膜が、水中構造物の防汚面
    と、水中構造物と接触しないように設置された対極との
    表面に形成され、該導電性膜が形成された水中構造物と
    対極との間に、直流を通電する電源装置とを備えた水中
    構造物の防汚装置。
  3. 【請求項3】 5V vs.SCE以下の電位を印加し
    ても塩素が発生しない導電性膜が、水中構造物の防汚面
    と、水中構造物と接触しないように設置された対極との
    表面に形成され、該導電性膜が形成された水中構造物と
    対極との間に、直流を通電する電源装置と、水中構造物
    表面に形成された導電性膜との電位差を制御するための
    照合電極が配置された請求項2記載の水中構造物の防汚
    装置。
  4. 【請求項4】 5V vs.SCE以下の電位を印加し
    ても塩素が発生しない導電性膜が、金属窒化物、金属炭
    化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物の何れかである請求
    項1乃至請求項3の何れかに記載の水中構造物の防汚装
    置。
  5. 【請求項5】 5V vs.SCE以下の電位を印加し
    ても塩素が発生しない導電性膜が形成された水中構造物
    に、0.1乃至5V vs.SCE電位を印加し、該導
    電性膜表面に付着した生物の直接電子移動反応およびま
    たは電気分解により発生したOHラジカルにより生物を
    電気化学的に殺菌または制御するようなした生物の電気
    化学的な制御方法。
  6. 【請求項6】 5V vs.SCE以下の電位を印加し
    ても塩素が発生しない導電性膜が形成された水中構造物
    に、1.5V乃至5V vs.SCE電位を印加し、電
    気分解により発生したOHラジカルにより該導電性膜に
    付着した生物を電気化学的に殺菌または制御するような
    した生物の電気化学的な制御方法。
JP10062159A 1998-02-26 1998-02-26 水中構造物の防汚装置および生物の電気化学的な制御方法 Pending JPH11244861A (ja)

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CA002288141A CA2288141A1 (en) 1998-02-26 1998-08-26 Electrochemical stain prevention apparatus of submerged structure and process for producing submerged structure used in this apparatus
PCT/JP1998/003784 WO1999043618A1 (fr) 1998-02-26 1998-08-26 Dispositif antisalissure electrochimique comprenant une structure sous-marine et procede de fabrication de la structure sous-marine utilisee pour ce dispositif
DE69829366T DE69829366T2 (de) 1998-02-26 1998-08-26 Elektrochemische antifouling-vorrichtung mit unterwasserstruktur und verfahren zur herstellung der unterwasserstruktur
EP98940552A EP0985639B1 (en) 1998-02-26 1998-08-26 Electrochemical antifouling device comprising underwater structure and method of producing underwater structure used for the device
US09/426,658 US6197168B1 (en) 1998-02-26 1999-10-25 Electrochemical stain prevention apparatus of submerged structure and process for producing submerged structure used in this apparatus

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001198572A (ja) * 2000-01-18 2001-07-24 Pentel Corp 電気化学的防汚方法及び装置
JP2020507026A (ja) * 2016-12-27 2020-03-05 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. 保護表面を防汚する装置
JP2020516508A (ja) * 2016-12-20 2020-06-11 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. 液体中の負荷に給電するための負荷装置

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JP2020507026A (ja) * 2016-12-27 2020-03-05 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. 保護表面を防汚する装置

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