JPH10128337A - 電気化学的水生生物制御用部材 - Google Patents

電気化学的水生生物制御用部材

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JPH10128337A
JPH10128337A JP33775296A JP33775296A JPH10128337A JP H10128337 A JPH10128337 A JP H10128337A JP 33775296 A JP33775296 A JP 33775296A JP 33775296 A JP33775296 A JP 33775296A JP H10128337 A JPH10128337 A JP H10128337A
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JP
Japan
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layer
aquatic organisms
water
resin layer
conductive
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Application number
JP33775296A
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English (en)
Inventor
Tsuruo Nakayama
鶴雄 中山
Kinichi Ozawa
欣一 小澤
Hitoshi Wake
仁志 和気
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Pentel Co Ltd
Original Assignee
Pentel Co Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L58/00Protection of pipes or pipe fittings against corrosion or incrustation
    • F16L58/02Protection of pipes or pipe fittings against corrosion or incrustation by means of internal or external coatings

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Protection Of Pipes Against Damage, Friction, And Corrosion (AREA)
  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電位を印加しても金属基材の腐食が発生せ
ず、さらに、経時的にも安定である電気化学的水生生物
制御用部材を提供すること。 【解決手段】 金属基材上に接着層を介して絶縁性樹脂
フィルムを積層し、該絶縁性樹脂フィルム上に導電性樹
脂層を形成してなる電気化学的水生生物制御用部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶や配管などの
接水面に付着した水生生物を電気化学的に制御するため
の部材に関する。
【0002】
【従来の技術】海水や淡水中には多くの水生生物が存在
し、病原性を示したり、水中構造物表面に付着し、様々
な問題を引き起こしている。例えば、船舶では水生生物
が付着すると推進抵抗の増大、火力発電所で用いられて
いる冷却用配管では熱交換効率の低下や冷却用配管内面
に付着して増殖した大型生物が脱離して冷却管の閉塞を
招く。さらに、食品加工や化粧品製造では多量の水が用
いられており、これらの水は配水管を通して供給されて
いるが、配水管内面に微生物が付着して増殖すると製品
へ微生物が混入し、製品の品質に重大な欠陥をもたら
す。
【0003】一般に水中構造物表面に水生生物が付着す
る機構は次の通りである。まず付着性のグラム陰性菌が
表面に吸着して脂質に由来するスライム状物質を多量に
分泌する。さらに、このスライム層に微生物が集まって
増殖し、微生物皮膜を形成する。この微生物層上に大型
の水性生物である藻類、貝類、フジツボ等の大型の水生
生物が付着し、付着した大型の水生生物が繁殖し成長
し、最終的に水中構造物表面を覆い尽くすことになる。
【0004】こうした水中構造物表面に付着した水生生
物の防汚手段は海水中に次亜塩素酸塩などの殺菌性を有
する物質を添加し水性生物を殺菌させる方法や、有機錫
系化合物を含有した塗料で船舶や漁網に塗膜を形成し、
有機錫系化合物を溶出させることにより防汚する方法が
一般に行われていた。しかし、次亜塩素酸塩の殺菌性を
有する物質を添加や有機錫系化合物を使用すると海水中
の有機物等と反応し、トリハロメタン等の有害物質の発
生や有機錫化合物の溶出などによる海洋の汚染や有用な
海洋生物への影響が懸念される。さらに、多量の水を用
いる食品加工や化粧品製造では、水供給用の配水管内面
を熱水や高アルカリ水溶液で洗浄することを頻繁に行う
必要があり、洗浄に多くの時間が費やされ、製品の生産
性の低下やコストアップとなることから、新たな水生生
物の殺菌法が望まれている。
【0005】最近、塩素などの有害物質を発生させない
で電気化学的に船舶や漁網などに付着する水性生物を制
御する方法が提案されている。この電気化学的制御方法
では、微生物の直接反応が確認されている所定電位以上
の電位を微生物に印加すると、微生物内部の酸化還元物
質の一つである捕酵素Aが不可逆的に酸化され、微生物
の呼吸活性及び微生物膜の透過障壁の低下を誘発し、微
生物を死滅させることが可能であることが示されている
(特公平6−91821号公報)。すなわち、グラム陰
性菌の付着を電気化学的に制御することにより大型の水
生生物の付着を防止した方法である。また、導電性を有
する被防汚面に+0〜+1.5V vs.SCEの正電位
を印加し付着する微生物を殺菌する行程と−0〜−0.
4Vvs.SCEの負電位を印加し水生生物を脱離する
工程からなる防汚方法も報告されている(特開平4−3
41392号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この方法は、海水や水
の分解が起こらないことから海洋や水の汚染が無く、更
に、海洋生物の生態系への影響も無いことから、優れた
防汚方法と考えられる。しかしながら、船舶や配管は主
に鉄鋼やステンレス等の金属材料からなっており、これ
らの金属材料に海水中や水中で電位を印加すると、電気
化学的に金属が溶出したり、或いは孔蝕が発生する等の
問題があった。この問題に対しては、既に金属材料と導
電性塗膜層との間に、絶縁塗膜層を形成させることが提
案されている(特願昭63−84042号公報)。しか
しながら、絶縁塗膜層は、溶剤を含む塗料で形成させる
ためにピンホールが発生し易い。また、塗料に用いられ
る樹脂としては熱可塑性樹脂よりも反応硬化型樹脂が耐
水性が優れているものの、低分子のモノマーを架橋剤や
触媒を用い、加熱などにより反応硬化させることから、
硬化した塗膜は3次元構造となり、水分が透過し易い。
さらに、硬化条件により塗膜の耐水性も大きく変動し易
い等の問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明はこれらの問題に
鑑みなされたものであって、電気化学的に水生生物を制
御するための好適な金属からなる部材を提供することを
目的とするものであって、金属基材上に接着層及び絶縁
性樹脂フィルム層、導電性樹脂層を順次配置した積層体
よりなる電気化学的水生生物制御用部材を要旨とするも
のである。
【0008】以下、本発明について詳述する。図1は本
発明で得られた電気化学的水生生物制御用部材の断面の
模式図を示す。図中1は金属基材であり、2は接着層、
3は絶縁性樹脂フィルム層、4は導電性樹脂層である。
金属基材1は、鉄およびその合金、アルミニウムおよび
その合金、銅およびその合金、チタンおよびその合金、
その他ステンレス等の金属材料よりなり、金属であれば
特に限定されない。これらの金属材料上には、金属基材
1と接着層2との間の密着性を高めるために、リン酸皮
膜やクロメート皮膜などの化学的な複合酸化皮膜やアル
マイト等の陽極酸化による酸化皮膜、或いは、黒クロム
めっき皮膜などのめっき皮膜が形成されてあればさらに
好ましい。
【0009】これらの金属基材1上には絶縁性樹脂フィ
ルム層3が接着層2を介して積層されている。この接着
層2に用いられる接着剤は、金属材料と絶縁性樹脂フィ
ルムの材質により適宜選択すれば良く、特に限定される
ものではないが、配管内面に絶縁性樹脂フィルムを積層
させる場合では、作業性を重視すると、感圧型接着剤や
ホットメルト型接着剤が好ましい。また、船体などの比
較的平面で大面積の場合では、ゴム系接着剤やエポキシ
系接着剤、又は感圧型接着剤やホットメルト型接着剤を
用いれば良い。また、金属基材1上に複合酸化皮膜や酸
化皮膜が形成されている場合では、接着剤はむしろ、絶
縁性樹脂フィルムの材料に合った物を用いればさらに良
い。これらの接着層2は予め絶縁性樹脂フィルム上に形
成されてあっても、金属基材1上に形成されてあっても
良い。なお、金属基材1上に接着層2を形成する場合、
その形成方法は、ロールコーター、スプレー法、刷毛に
よる塗布法などを採用することができ、特に限定されな
い。
【0010】さらに、接着層2上に積層される絶縁性樹
脂フィルム3層は、電気的な絶縁性が高く、さらに、海
水や水中で膨潤や劣化が少ない材料からなるフィルムで
あれば良く、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン
樹脂、テレフタレート樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピ
レン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹
脂、シリコン樹脂などが用いられる。これらの樹脂フィ
ルム表面は、樹脂フィルムの材質にもよるが、接着層2
や導電性樹脂層4との接着性を高めるために、プラズマ
処理やコロナ放電処理、或いはクロム酸によるエッチン
グ処理などにより親水化処理が施されてあればさらに良
い。また、樹脂フィルムの厚さは特に限定はしないが、
好ましくは10μm〜200μmの厚さであれば良い。
【0011】さらに、導電性樹脂層4について説明す
る。導電性樹脂層4はバインダー樹脂と導電性微粒子と
からなり、特に導電性微粒子は、化学的および電気化学
的に溶出または変質しない材料であれば良く、例えば、
カーボンブラック、グラファイト、酸化錫、酸化インジ
ウム等の酸化物、窒化チタン、窒化クロム、窒化ジルコ
ニウム、窒化タンタル等の窒化物、炭化チタン、炭化ジ
ルコニウム、炭化タンタル等の炭化物、ホウ化チタン、
ホウ化ジルコニウム、ホウ化タンタル等のホウ化物等が
好ましい。これらの導電性微粒子の形状は無定型、鱗片
状、球状、繊維状であれば良く、単体または複数を混合
して用いても良い。また、粒子径は0.001μmから
100μm程度であれば良い。また、バインダー樹脂へ
の充填量は、得られた導電性樹脂層の比抵抗値が1Ω-
cm以下になる様にすれば良い。
【0012】次にバインダー樹脂について詳述する。バ
インダー樹脂としては、常温で乾燥もしくは反応硬化す
るもの、加熱して硬化するものであって、有機溶剤型、
水溶性型、エマルジョン型などが用いられ、具体的には
ニトロセルロース、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポ
リアミド樹脂、メラミン樹脂、メラミンアルキッド樹
脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラスト
マー、熱硬化型アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポ
キシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、シリ
コン樹脂、フッ素樹脂、水溶性合成ラテックスとしてポ
リ酢酸ビニル樹脂、酢ビ−アクリル共重合体、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、合
成ゴムラテックス等が用いられ、目的に応じて選択すれ
ば良い。絶縁樹脂フィルム3上への導電性樹脂層4の形
成方法は、スプレー法、ロールコーター法、静電塗装
法、刷毛塗り法などにより形成される。
【0013】次に水生生物の電気化学的制御における電
位印加条件について説明する。水生生物を含む水中にお
いて導電性樹脂層4に正電位を印加すると、水中の水生
生物を導電性樹脂層4表面に吸着させることができる。
さらに、導電性樹脂層4に印加されている正電位には、
該導電性樹脂層4表面に吸着して接触した水生生物を電
気化学的に殺菌する作用がある。すなわち、水生生物
は、正電位によって導電性樹脂層4表面に吸着させら
れ、表面上で殺菌される。印加する正電位は+0〜1.
5Vvs.SCE、好ましくは+0.5〜+1.5Vv
s.SCEであり、印加電位が0Vvs.SCE以下では
水生生物を導電性樹脂層4に吸着させて殺菌することが
できない。さらに+1.5Vvs.SCEを越えた電位
を長時間印加すると、水や溶解している塩が電気分解し
て有害物質が発生したり、導電性樹脂層4の劣化が起こ
るので好ましくない。導電性樹脂層4に正電位を印加す
る時間は水中に存在する水生生物の種類や濃度、または
水の流速や温度によっても異なるが、5分から6時間程
度が好ましく、印加時間が6時間よりも長いと、本部材
上で殺菌された水生生物の上に他の水生生物が吸着して
しまい、後から吸着した水生生物は導電性樹脂層4と直
接接触していないので、正電位による電気化学的殺菌作
用を受けない。
【0014】電気化学的殺菌が起きる正電位を一定の時
間印加した後、水性生物の細胞壁を破損させるために、
印加した電位よりも高い電位を印加しても良い。印加す
る電位は+1.5〜+2Vvs. SCEが好ましい
が、+2Vvs. SCE以上の電位を印加すると印加
時間に関係なく水や溶解している塩が電気分解して有害
なガスの気泡が発生するので好ましくない。印加する時
間は印加電位によっても異なるが、水や溶解している塩
が電気分解して有害なガスの気泡が認められない短時間
印加すればよく、具体的には1/1000秒〜60秒で
あればよく、印加時間が短いため、水や溶解している塩
が電気分解して有害ガスが発生してもその量は極めて少
ないため、環境への影響は問題とされない。また+0〜
+1.5Vvs.SCEの電位を印加後+1.5〜+2
Vvs. SCEの電位を短時間印加する周期は、5分
〜6時間であればよい。
【0015】さらに、前述した水生生物の制御方法に基
づいた水生生物の付着防止方法について説明する。水生
生物の制御方法では、水生生物の制御がそれらが存在す
る環境に大きく左右される。即ち、流速が早い環境下で
は、殺菌された水生生物は導電性樹脂層4表面から流速
による抵抗で容易に脱離され、スライム層の形成が阻止
されるが、海水や淡水が淀んだ環境下では流速による抵
抗がないため、導電性樹脂層4に吸着している殺菌され
た水生生物の脱離が起こらない。そこで導電性樹脂層4
に負の電位を印加することで、導電性樹脂層4表面に吸
着している殺菌された水性生物を強制的に脱離させる方
法を採用することが好ましい。この原理は、水生生物が
負の電位を有していることに着目した方法であり、正電
位印加による水生生物の導電性樹脂層4へ吸着して殺菌
する工程と、本部材表面に負電位を印加して前記導電性
樹脂層4に吸着している殺菌された水生生物を脱離する
工程とを周期的に行うことにより各種環境下でもスライ
ム層の形成を阻止せんとした方法である。正電位は前に
示した印加条件でよく、導電性樹脂層4に+0〜+1.
5Vvs.SCEの正電位を印加する時間は水中に存在
する水生生物の種類や濃度、または流速や温度によって
も異なるが、5分から6時間程度が好ましく、印加時間
が6時間よりも長いと、本部材上で殺菌された水生生物
の上に他の水生生物が吸着してしまい、後から吸着した
水生生物は導電性樹脂層4と直接接触していないので、
正電位による電気化学的殺菌作用を受けない。
【0016】続いて、導電性樹脂層4に負電位を印加す
ると、導電性樹脂層4表面に吸着していた水生生物を脱
離させることができる。印加電位は−0〜−1.5Vv
s.SCE、好ましくは−0.1〜1.0Vvs. SC
Eである。印加電位が−0Vvs. SCE以上では、
水生生物を本部材表面から脱離させることができず、−
1.0Vvs.SCEより低いとpHが上昇するので好
ましくない。また負電位を印加する時間は導電性樹脂層
4表面に吸着している水生生物の種類や量によっても異
なるが、30秒〜60分、好ましくは1分〜30分間行
がよい。30秒よりも短いと殺菌された水生生物の脱離
が十分でなく、次に正電位を印加すると殺菌された水生
生物の上に他の水生生物が付着してしまう。また、60
分よりも長いと、被処理液体の効果的な殺菌を行うこと
ができない。
【0017】本発明に係る電気化学的水生生物制御用部
材を使用する場合、金属基材1上に絶縁性樹脂フィルム
層3を介して形成された導電性樹脂層4を作用極とし、
その導電性樹脂層4作用極に対して適切な対極、参照極
およびポテンショスタットと関数発生器を用いて導電性
樹脂層4に印加する電位を制御することが必要である。
使用することのできる対極、参照極およびポテンショス
タットとしては、導電性樹脂層4に、予め定められた電
位を調整及びタイミング手段を付加したものであれば特
に制限されない。
【0018】本発明に係る電気化学的水生生物制御用部
材は、船舶や船舶用の冷却取水菅、港湾設備、発電所な
どの取水菅や冷却管、食品加工や化粧品、医薬品製造で
の水を供給するための配水管などに用いられる。
【0019】
【作用】本発明は電機化学的な水生生物の制御のための
金属からなる部材において、金属基材上に接着剤を介し
て絶縁性樹脂フィルム層が積層され、該絶縁性樹脂フィ
ルム上に導電性樹脂層が形成されていることから、電位
を導電性樹脂層に印加しても金属基材と導電性樹脂層と
の間が絶縁性の高い樹脂フィルムで絶縁されており、さ
らに、絶縁性樹脂フィルムは海水や水中で劣化し難く安
定であることから、金属の電機化学的な溶出や孔蝕の発
生が長期的に阻止できるものである。
【0020】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。以下の実施例は図2に示した装置を用いた。試験
槽5には金属基材1上に導電性樹脂層4が形成された電
気化学的水生生物制御用部材6が配置されており、導電
性樹脂層4である作用極はポテンショスタット7と連結
している。ポテンショスタット7は試験槽5に配置され
た参照極8および対極9と各々連結している。また、ポ
テンショスタット7は関数発生器10と連結している。
試験槽5には500mlの滅菌海水が入っており、ま
た、底部には撹拌装置11および撹拌棒12が配置され
ている。参照極8には飽和甘コウ電極(SCE)を、対
極9には白金板を用いた。
【0021】〈電気化学的水生生物制御用部材の調製〉 実施例1 ステンレス板(30×50×1mm)の表面にポリエス
テル系接着剤(東亜合成化学工業(株)製、PES36
0SK)にイソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン
(株)製コロネートL)を5重量%添加し、スプレー法
にて塗布した後、100℃、5分乾燥して接着層を形成
した。次に、絶縁性樹脂フィルムとして50μmの厚さ
のポリエステル樹脂フィルム(リンテック(株)製)を
加熱圧着により積層した。次いで、次に示す組成の導電
性組成物をスプレー法で被覆し、130℃、60分乾燥
することで、導電性樹脂層を形成した。導電性組成物は
バインダ−樹脂としてフッ素系樹脂(旭ガラス(株)
製)を用い、フッ素系樹脂の樹脂固形分に対して1μm
のグラファイト(日本黒鉛(株)製)に0.03μmの
カ−ボンブラック(三菱化成(株)製#3950)を3
0%混合しものを60重量%充填しボ−ルミルで分散し
て作成した。尚、得られた導電性組成物にはスプレー法
で塗布する前に専用硬化剤を5重量%添加した。
【0022】実施例2 実施例1で用いたステンレス板をアルミニウム板に変え
た以外は実施例1と同様の条件で接着層、樹脂フィルム
層および導電性樹脂層を形成した。尚、アルミニウムの
表面には、15重量%の硫酸水溶液中で電流密度、1.
5A/dm2、30分陽極酸化することで多孔質の酸化
皮膜を11μm形成した。
【0023】実施例3 純鉄板(30×50×1mm)にワット浴にてニッケル
めっき皮膜を形成した後、黒クロムめっき皮膜(日本M
&T社製)を形成した。次にウレタン系接着剤(東亜合
成化学(株)製 PU8100)に専用硬化剤(東亜合
成化学(株)製PU171)を3重量%添加した後、ス
プレー法にて黒クロムめっき皮膜が形成された純鉄板上
に塗布し、100℃10分乾燥することで接着層を形成
した。次に、絶縁性樹脂フィルムとして50μmのポリ
エチレン樹脂フィルム(リンテック(株)製)を加熱圧
着により積層した。尚、ポリエチレン樹脂フィルムは予
め、コロナ放電処理により親水化処理を行った。その
後、次に示した導電性組成物をスプレー法でポリエチレ
ン樹脂フィルム上に塗布した後、130℃、60分乾燥
することで導電性樹脂層を形成した。導電性組成物は、
バインダ−樹脂としてウレタン系樹脂(関西ペイント
(株)製)を用い、ウレタン系樹脂の樹脂固形分に対し
て10μmのグラファイト(日本黒鉛(株)製)に0.
03μmのカ−ボンブラック(三菱化学(株)製、ケッ
チェンブラックEC−600JD)を30%混合したも
のを50重量%充填しボ−ルミルで分散して作成した。
尚、得られた導電性組成物にはスプレー法で塗布する前
に専用硬化剤を10重量%添加した。
【0024】比較例1 実施例1で用いたステンレス板に実施例1で用いた導電
性組成物を直接塗布した後、130℃、60分乾燥する
ことで導電性樹脂層をステンレス板上に形成した。
【0025】比較例2 実施例1で用いたステンレス板上に、エポキシ系樹脂塗
料(大橋化学工業(株)製、ファスタイト)をスプレー
法で塗布した後、160℃、20分乾燥した。塗膜厚さ
は50μmであった。次に、実施例1で用いた導電性組
成物を実施例1と同様の条件で塗布して乾燥し、導電性
樹脂層を形成した。
【0026】〈電位印加による耐久性試験〉図2に示し
た装置に実施例1〜3および比較例1〜2で得られた電
極を作用極側に接続し、滅菌海水中に浸漬した。尚、電
極の裏面(金属が露出した面)には試験前にシリコン樹
脂(コニシ(株)製、バスボンド)を被覆してマスキン
グした。電位は次に示す条件で印加した。1)1.2V
vs. SCEの定電位を印加、2)1.2V vs.
SCE30分/1.8V vs.SCE 1分/ー
0.6V vs.SCE 10分を交互に連続して印
加、の2種類である。尚、試験は30日間連続して行っ
た。評価は試験終了後、金属基材と導電性樹脂層との間
の抵抗値をテスターにて測定して行った。結果を表1に
示した。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明は実施例の結果が示している様
に、電位を印加しても金属の腐食が発生せず、さらに、
金属と導電性樹脂層との間の抵抗値は無限大であること
から、経時的にも安定であり、電気化学的水生生物制御
用部材、例えば、船舶、湾岸設備、配水管、冷却菅等、
様々な分野に応用できる有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気化学的水生生物制御用部材の
断面模式図
【図2】電圧印加による耐久試験装置の模式図
【符号の説明】
1 金属基材 2 接着層 3 絶縁性樹脂フィルム層 4 導電性樹脂層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材上に接着層及び絶縁性樹脂フィ
    ルム層、導電性樹脂層を順次配置した積層体よりなる電
    気化学的水生生物制御用部材。
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