JPH11333465A - 電気化学的な生物制御用または防汚用部材 - Google Patents

電気化学的な生物制御用または防汚用部材

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JPH11333465A
JPH11333465A JP16422998A JP16422998A JPH11333465A JP H11333465 A JPH11333465 A JP H11333465A JP 16422998 A JP16422998 A JP 16422998A JP 16422998 A JP16422998 A JP 16422998A JP H11333465 A JPH11333465 A JP H11333465A
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layer
resin
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fiber
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JP16422998A
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Tsuruo Nakayama
鶴雄 中山
Hitoshi Wake
仁志 和気
Kinichi Ozawa
欣一 小澤
Tadashi Matsunaga
是 松永
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Pentel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気化学的に生物を制御するための劣化や剥
離が発生し難い、耐久性の高い部材を提供すること。 【解決手段】 基材上に接着層を介して繊維層を積層
し、該繊維層の表面に金属窒化物からなる溶射皮膜を形
成してなる電気化学的な生物制御用または防汚用部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶や冷却用配
管、配水管などの接水面に付着した生物を電気化学的に
制御するために好適な部材に関する。
【0002】
【従来の技術】海水や淡水中には多くの生物が存在し、
病原性を示したり、水中構造物表面に付着し、様々な問
題を引き起こしている。例えば、船舶では、生物が付着
すると推進抵抗の増大、火力発電所で用いられている冷
却用配管では、熱交換効率の低下や冷却用配管内面に付
着して増殖した大型生物が脱離して冷却管の閉塞を招く
等の問題である。。さらに、定置網や養殖用生け簀で
は、海水の交流阻害や網成りの変形が生じる。また、食
品加工や飲料水、化粧品製造では、多量の水が用いられ
ており、これらの水は配水管を通して供給されている
が、配水管内面に微生物が付着して増殖すると、製品へ
微生物が混入し、製品の品質に重大な欠陥をもたらす。
【0003】一般に接水面に生物が付着する機構は次の
通りである。まず、付着性のグラム陰性菌が表面に吸着
して脂質に由来するスライム状物質を多量に分泌する。
さらに、グラム陰性菌は、このスライム層に集まって増
殖し、微生物皮膜を形成する。そして、この微生物皮膜
層上に大型の生物である藻類、貝類、フジツボ等が付着
し、付着した大型の生物が繁殖し成長し、最終的に接水
面を覆い尽くすことになる。
【0004】近年、こうした船体や漁網などの水中構造
物や配水管などの接水面に付着した生物の防汚手段とし
て、塩素などの有害物質を発生させないで電気化学的に
船舶や漁網などに付着する生物を制御する方法が提案さ
れている。この電気化学的制御方法では、微生物の直接
反応が確認されている所定電位以上の電位を微生物に印
加すると、微生物内部の酸化還元物質の一つである補酵
素Aが不可逆的に酸化され、微生物の呼吸活性及び微生
物膜の透過障壁の低下を誘発し、微生物を死滅させるこ
とが可能であることが知られている(特公平6ー918
21号公報)。すなわち、該公報には、グラム陰性菌の
付着を電気化学的に制御することにより大型の生物の付
着を防止する方法が示されている。また、特開平4ー3
41392号公報には、導電性を有する被防汚面に+0
〜+1.5V vs.SCEの正電位を印加し付着する
微生物を殺菌する行程と、−0〜−0.4V vs.S
CEの負電位を印加して生物を脱離する工程からなる防
汚方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】具体的な方法として
は、接水面に導電性ゴムや導電性塗膜を被覆して導電性
樹脂層を設け、対極に白金やカーボン電極を配置して導
電性樹脂層と対極の間に電位を印加して生物を制御する
方法である。導電性樹脂層は、カーボンブラックやグラ
ファイト等の導電性微粒子を合成樹脂に分散して形成し
たものであり、導電性微粒子や合成樹脂の種類によって
は海水や淡水中に長期間浸漬されると、水分の吸着によ
る膨潤や電位印加による酸化などの複合的な作用により
劣化する。さらに、食品や医薬品、飲料水などで用いら
れている配水管内面に導電性樹脂層を設けた場合は、導
電性樹脂層の劣化により導電性微粒子や劣化した樹脂の
一部が脱離して水を汚染したり、或いは、製品へ混入す
ることが懸念されることから、劣化し難い耐久性の高い
電気化学的な生物制御用部材が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題に鑑
みなされたものであり、電気化学的に生物を制御するた
めの劣化や剥離が発生し難い、耐久性の高い部材を提供
することを目的とするものであって、その要旨を基材上
に接着層を介して繊維層を積層し、該繊維層の表面に金
属窒化物からなる溶射皮膜を形成してなる電気化学的な
生物制御用または防汚用部材とするものである。
【0007】以下、本発明について詳述する。図1及至
図4は本発明で得られた電気化学的な生物制御用または
防汚用部材の断面を模式的に示した図である。図中1は
基材であり、基材1は樹脂材料、金属材料、無機材料ま
たは天然材料からなり、構造を維持する機能を有すもの
であれば特に限定されない。樹脂材料としては、AB
S、AS、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポ
リカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイ
ロン、塩化ビニル、PET、FRP等が挙げられる。金
属材料としては、鉄およびその合金またはステンレス、
アルミニウムおよびその合金、銅およびその合金、亜鉛
およびその合金、チタンおよびその合金、マグネシムお
よびその合金などが挙げられ、無機材料としては、ガラ
ス、アルミナ、ジルコニア、セメント等が挙げられる。
また、天然材料としては木材などが挙げられる。
【0008】図1の例は、基材1が樹脂材料や無機材料
または天然材料(金属以外の材料)の場合の例であり、
基材1の表面には接着層2を介して繊維層3を積層して
いる。また、基材1が樹脂の場合には、樹脂の種類や接
着剤の種類にもよるが、基材1と接着層2の密着強度を
高めるため、基材1表面にブラスト処理や化学的なエッ
チング処理により凹凸(図示省略)を形成しても良い。
繊維層3の表面には、溶射により金属窒化物からなる溶
射皮膜4を形成する。接着層2に用いられる接着剤は、
感圧系接着剤やホットメルト型接着剤、2液硬化型接着
剤、嫌気性接着剤などが挙げられ、耐海水性や耐水性に
優れた接着剤であれば特に限定されない。接着層2は、
スプレー法や刷毛塗りロールコーター法などにより形成
する。
【0009】図2乃至図4は、基材が金属の場合の例で
ある。図2において、基材1には、接着層2を介して繊
維層3を積層し、該繊維層3の表面に溶射により金属窒
化物からなる溶射皮膜4を形成しても良いが、本例にお
いては、基材1と接着層2との間に両者間の密着性向上
を目的とし、絶縁層5を介在させた。その理由は、水中
で電位を印加した場合、基材金属の種類によっては腐食
や溶解が発生し、繊維層3が剥離する場合があるからで
ある。本例において、絶縁層5は、無機物からなる部材
を使用した。無機物からなる絶縁層の具体例としては、
アルミナ、ジルコニア、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化
マグネシウム、炭化珪素などが挙げられ、これらは溶射
により金属表面に直接形成する。また、必要に応じて金
属表面を、ブラスト処理やエッチング処理により粗面化
したり、金属表面に、低融点の金属材料、例えば、アル
ミニウムおよびその合金、亜鉛およびその合金、マグネ
シウムおよびその合金ニッケルおよびその合金、クロム
およびその合金などを溶射やめっきにより形成しても良
い。
【0010】図3は、基材1上に絶縁塗膜層6を形成し
た後、接着層2を介して繊維層3を形成し、該繊維層3
の表面に溶射により金属窒化物からなる溶射皮膜4を形
成した例である。絶縁塗膜層6の具体例としては、不飽
和ポリエステル樹脂、アクリルーウレタン樹脂、ポリエ
ステルーウレタン樹脂、シリコンーウレタン樹脂、シリ
コンーアクリル樹脂、エホキシ樹脂、熱硬化型のメラミ
ンーアルキッド樹脂、メラミンーアクリル樹脂、メラミ
ンーポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルーウレ
タン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられ、これらは1
種または2種以上混合して用いても良い。また、これら
の樹脂からなる絶縁層中に電気的に絶縁性の高い無機顔
料を含めても良い。
【0011】図4は、基材1上に絶縁フィルム層7を接
着層8を介して積層し、該絶縁フィルム層7上に接着層
2を介して繊維層3を形成し、該繊維層3の表面に溶射
により金属窒化物からなる溶射皮膜4を形成した例であ
る。この絶縁フィルム層7に用いられるフィルムとして
は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙
げられ、また、接着層8に用いられる接着剤としては、
感圧系接着剤やホットメルト型接着剤、2液硬化型接着
剤、嫌気性接着剤などが挙げられ、これらは一種もしく
は2種以上混合して用いても良い。
【0012】次に、繊維層3について説明する。繊維層
3は、天然繊維、無機繊維、合成繊維の何れかまたはこ
れらの繊維を混紡して織られた布状、メッシュ状が用い
られる。天然繊維としては、木綿、麻、絹、羊毛などが
挙げられ、無機繊維としては、石綿、ガラス繊維などが
挙げられる。合成繊維としては、ビスコースレーヨン、
アセテート繊維、ポリアミド系繊維(脂肪族ポリアミ
ド、芳香族ポリアミド、脂環式ポリアミド)、ポリエス
テル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維)、アク
リロニトリル系繊維、モダクリル繊維、ポリ塩化ビニル
系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリオレフィン系
繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維)、ポリ
ウレタン系繊維、ポリクラール系繊維、フッ素系繊維、
ポリグリコール酸繊維、フェノール系繊維、炭素繊維な
どが挙げられる。
【0013】次に、接水面に形成する金属窒化物からな
る溶射皮膜4について説明する。窒化物からなる溶射皮
膜は、実質的に電位を印加しても溶解や腐食が発生しな
い材料であれば良く、その具体例としては、窒化チタ
ン、窒化ジルコニア、窒化バナジウム、窒化タンタル、
窒化ニオブ、窒化クロム等である。尚、ここに記載した
材料はその一部であり、形成方法によっては2種類以上
の金属が含まれたり、酸化物の一部が含まれたり、さら
には、これらの窒化物が2種以上混合されていても使用
には問題なく、特に限定はされない。これらの金属窒化
物からなる溶射皮膜の厚さは、1μm以上であれば良
く、最大の厚さは特に限定されない。
【0014】これらの金属窒化物からなる溶射皮膜は、
溶射法により形成するものであり、さらに好ましくは、
低温溶射法により形成する。その理由は、窒化物は融点
が高いことから、従来のフレーム溶射で金属窒化物の膜
を形成した場合、熱により基材に歪みが発生したり、樹
脂基材では基材が熱により溶解する等の問題が発生する
ことがあるからである。なお、低温溶射法とは、溶射金
属をアーク溶融すると同時に、その溶融箇所の前方周辺
において、低温の空気流または不活性気流を高速で噴射
し、その間に生じる減圧部により高速噴射流に溶射金属
溶融体を移行させて急激に過冷却し、微粒化しつつ飛行
せしめ、被塗物表面に低温で溶射金属を溶着せしめる方
法を云い、この低温溶射法は、それ自体は従来から成形
金型の製造に用いられている方法である。
【0015】この低温溶射法による金属窒化物膜の形成
方法は、窒化せんとする金属材料の線材や粒状物をアー
ク溶融する箇所に送り、そこでアーク溶融させて冷却さ
れた空気や窒素、或いは空気とアンモニアガス、窒素ガ
スとアンモニアガスの混合ガスを高速で噴射し、それら
のガスに含まれる窒素分子と溶融状態にある金属粒子と
を反応させることで、金属粒子表面に窒化された粒子が
形成され、それが被塗物表面に低温で溶着することで形
成されるものである。従って、用いるガスの条件を選択
することで、安定な窒化物からなる溶射皮膜を形成する
ことができるものである。
【0016】次に、生物の電気化学的制御における電位
印加条件について説明する。生物を含む水中において、
接水面が金属窒化物からなる溶射皮膜に正電位を印加す
ると、水中の生物を溶射皮膜面に吸着させることができ
る。さらに、溶射皮膜に印加されている正電位には、該
溶射皮膜表面に吸着して接触した生物を電気化学的に殺
菌する作用がある。すなわち、生物は、正電位によって
溶射皮膜表面に吸着させられ、表面上で殺菌される。印
加する正電位は、+0〜2.0V vs.SCE、好ま
しくは+0.5〜+1.5V vs.SCEであり、印
加電位が0Vvs.SCE以下では、生物を溶射皮膜に
吸着させて殺菌することができないことがあり、また、
+1.5V vs.SCEを超えた電位を長時間印加す
ると、水や溶解している塩が電気分解して有害物質が発
生したりするので好ましくない。溶射皮膜に正電位を印
加する時間は、水中に存在する生物の種類や濃度、また
は流速や温度によっても異なるが、1分間から6時間程
度が好ましく、印加時間が6時間よりも長いと、溶射皮
膜上で殺菌された生物の上に他の生物が吸着してしま
い、後から吸着した生物は溶射皮膜と直接接触せず、正
電位による電気化学的殺菌作用を受けないので好ましく
ない。
【0017】さらに、前述した生物の制御方法に基づい
た生物の付着防止方法について説明する。本発明は、生
物の表面電荷に着目した方法であり、基本的には、正電
位印加により生物を溶射皮膜表面に吸着して殺菌する工
程と、溶射皮膜に印加する電位を変化させ、前記溶射皮
膜表面に吸着して殺菌された生物などを脱離する工程と
を周期的に行うことにより、各環境下でもスライム層の
形成を阻止せんとした方法である。正電位は、前述した
印加条件で良く、溶射皮膜に+0〜+1.5V vs.
SCEの正電位を印加する時間は、水中に存在する生物
の種類や濃度、または流速や温度によっても異なるが、
1分間から6時間程度が好ましく、印加時間が6時間を
超えると、基材上で殺菌された生物の上に他の生物が吸
着してしまい、後から吸着した生物は溶射皮膜と直接接
触せず、正電位による電気化学的殺菌作用を受けないの
で好ましくない。
【0018】続いて、溶射皮膜に負電位を印加すると、
溶射皮膜表面に吸着していた生物を脱離させることがで
きる。印加電位は0〜−1.5V vs.SCE、好ま
しくは−0.1〜1.0V vs.SCEである。印加
電位が0V vs.SCE以上では、生物を溶射皮膜表
面から脱離させることができず、−1.0V vs.S
CE未満であると、pHが上昇するので好ましくない。
また、負電位を印加する時間は、溶射皮膜表面に吸着し
ている生物の種類や量によっても異なるが、30秒間〜
60分間、好ましくは1分間〜30分間行えば良い。3
0秒間未満であると、殺菌された生物の脱離が十分でな
く、次に正電位を印加すると、殺菌された生物の上に他
の生物が付着してしまうので好ましくない。また、60
分間を超えると、被処理液体の効果的な殺菌を行うこと
ができないので好ましくない。
【0019】本発明では、接水面に形成した金属窒化物
からなる溶射皮膜を作用極とし、その溶射皮膜作用極に
対して適切な対極を、作用極と接触しないように設置
し、極性が変換できる直流電源により電位を印加すれば
良く、さらに、海水や淡水が電気分解しない電位を正確
に印加する場合では、参照極を設置して参照極と作用極
との間の電位を制御する3極方式で、直流電源としては
ポテンショスタットを用いて溶射皮膜に印加する電位を
制御しても良い。
【0020】本発明による電気化学的な生物制御用部材
は、船舶や船舶用の取水管、漁網、港湾設備、発電所な
どの取水管や冷却管、食品加工や化粧品、医薬品製造で
の水を供給するための配水管、水浄化装置用の電極など
に用いることができる。
【0021】
【作用】本発明は、電気化学的な生物制御用または防汚
用の部材において、基材上に接着層を介して繊維層を績
層し、該繊維層の表面に金属窒化物からなる溶射皮膜を
形成したので、溶射皮膜の密着強度が高く、さらに、基
材が変形しても繊維層が剥離しない限り、溶射皮膜の剥
離が発生しないことから、長期間の生物制御や汚損防止
が可能となる。また、金属窒化物からなる溶射皮膜は、
繊維層上に溶射により容易に、且つ、短時間で形成でき
るなどの新たな利点も得られる。これらの金属窒化物か
らなる溶射皮膜は、抵抗値が低いことから電位の低下が
少なく、従って、広い面積を有する各種の水中構造物表
面の生物汚損が防止できる。さらに、表面硬度が高いこ
とから、配水管内での水流による摩耗が少ないことか
ら、電気化学的な生物制御用または防汚用の部材として
信頼性が高い等、様々な利点を有する。
【0022】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。 〈電気化学的生物制御用部材の調製〉 実施例1 FRP板(30×50×5mm)の表面をエメリーペ−
パー(100番)で粗面化した。次いで、ポリエステル
系接着剤(東亜合成(株)製、PES−360S30)
にイソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン工業
(株)製、コロネートL)を5重量部と溶剤(トルエン
とメチルエチルケトンが8:2の容量で混合されたも
の)を100重量部加えて十分に撹拌混合し、この接着
剤を粗面化したFRP表面にスプレー法で塗布した後、
80℃、10分間乾燥した。次に、ガラス繊維で織られ
た布(ユニチカグラスファイバー(株)製、H201M
104F)を接着剤が塗布されたFRP板上に置き、2
00℃、10kg/cm2の圧力で2分間加熱圧着し
た。次に、低温溶射装置(アークテクノ(株)製、PC
250iDEX)を用いてチタンを次の条件で溶射し
た。尚、チタンは、径が1.3mmの純チタン線材を用
いた。電圧は、14V、チタン線材の送り速度、5.2
m/分、空気圧は8kg/cm2としてガラス繊維布が
積層されたFPR板上にチタンを溶射することにより2
00μmの窒化チタン溶射皮膜を形成した。
【0023】実施例2 ナイロン板(30×50×5mm)に実施例1で用いた
接着剤を、実施例1と同様の条件でナイロン板表面に被
覆した。次に、ポリ系アラミド繊維で織られた布(デュ
ポン・東レ・ケブラー(株)製、KE3033)を実施
例1と同様の条件で加熱圧着した。次に、実施例1で用
いた低温溶射装置を用いてチタンを溶射した。尚、実施
例1では空気圧が8kg/cm2の条件で行ったが、空
気を窒素ガスに変え、窒素ガス圧力を15kg/cm2
とし、他の条件は実施例1と同様とした。その結果、2
00μmの窒化チタン溶射皮膜を形成した。
【0024】実施例3 スレンレス板(30×50×1mm)表面をサンドブラ
スト処理により粗面化した。次に、通常のプラズマジェ
ット溶射法によりアルミナを窒素ガス中(流量:100
リットル/分)でステンレス上に溶射し、100μmの
アルミナの溶射皮膜を形成した。次に、2液硬化型エポ
キシ系接着剤(コニシ(株)製、ボンドクイック)をア
ルミナ溶射皮膜上に塗布した後、カーボン繊維で織られ
た布(東レ(株)製、C0641)を積層した。次い
で、実施例1で用いた低温溶射装置を用い、実施例2と
同様の条件でチタンを溶射し、200μmの窒化チタン
溶射皮膜を形成した。
【0025】比較例1 実施例1で用いたFRP板表面をエメリーペ−パー(1
00番)で粗面化した後、低温溶射装置(アークテクノ
(株)製、PC250iDEX)を用い、実施例1と同
様の条件でチタンを溶射した。FRP表面には窒化チタ
ン溶射皮膜はほとんど形成されなかった。
【0026】比較例2 実施例2で用いたナイロン板表面をサンドブラスト処理
により粗面化した後、低温溶射装置(アークテクノ
(株)製、PC250iDEX)を用い、実施例1と同
様の条件でチタンを溶射した。ナイロン板表面には窒化
チタン溶射皮膜は形成されず、また、ナイロン板は変形
した。
【0027】比較例3 実施例1で用いたFRP板表面に導電性インキ(日本ア
チソン(株)製、Electrodag 581SS)
をスクリーン印刷法で被覆し、120℃60分間乾燥
し、100μmの厚さの導電性樹脂層を形成した。
【0028】〈耐久性評価〉耐久性評価は図5に示した
装置を用いた。図5において、試験槽9には実施例より
得られた部材10(作用極となる)が配置されており、
この作用極10は、ポテンショスタット11と連結して
いる。このポテンショスタット11は、試験槽9に配置
された参照極12および対極13と各々連結している。
また、ポテンショスタット11は、関数発生器14と連
結している。試験槽9には、500mlの海水が入って
おり、また、底部には撹拌装置15および撹拌棒16が
配置されている。参照極12には、飽和甘コウ電極(S
CE)を、対極13には白金板を用いた。耐久性は、実
施例1〜3で作成した部材を作用極側に設置し評価し
た。電位は1.2V vs.SCEの定電位を10日間
印加した。作用極溶射皮膜からの金属の溶出量は、IC
P分光分析法により定量した。また、作用極溶射皮膜の
抵抗値は、マルチメーター(ジョンフルーフMFG C
O.,INC.製、73マルチメーター)を用いて測定
した。試験結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】〈殺菌効果確認〉水生生物として海洋細菌
(Vibrio alginolyticus)を用い
た。マリンブロス(Marine broth)221
6(DIFCO Laboratory社製)中で25
℃、10時間好気的に培養した。培養後の菌体を遠心集
菌し、その後滅菌海水で洗浄後滅菌海水中に懸濁させ、
菌数をヘマタイトメ−タ−にてカウントし、1×108
cells/ml濃度の菌体懸濁液を作製し試験に用い
た。実施例1〜3で得られた部材を1×108cell
s/ml濃度の菌体懸濁液液に90分間浸漬し、電極表
面に海洋細菌を吸着させた。次に、図5に示した装置の
滅菌海水が満たされた作用極側に海洋細菌を付着させた
電極を設置し、1.0V vs.SCEの定電圧を30
分間印加した。尚、評価は、電極表面に吸着している海
洋細菌をピペティングにより回収し、コロニー計数法に
より生菌数を求め、次に示した式により生菌率を求め
た。 生菌率=(電位印加後の生菌数/電位印加前の生菌数)
×100 結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本発明は、基材上に接着層を介して繊維
層を積層し、該繊維層の表面に金属窒化物からなる溶射
皮膜を形成したので、電位を印加しても、接水面の金属
窒化物からなる溶射皮膜は溶解や抵抗値の変動がないこ
とから非常に安定であり、また、表面に付着した生物は
電位印加により殺菌されることから、電気化学的な生物
制御用または防汚用の部材、例えば、船舶や船舶の取水
管、漁網、湾岸設備、配水管、冷却管、水浄化装置用電
極など、様々な分野に利用でき有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の部材の一例の断面を模式的に示した
図。
【図2】本発明の部材の他の例の断面を模式的に示した
図。
【図3】本発明の部材の更に他の例の断面を模式的に示
した図。
【図4】本発明の部材の更に他の例の断面を模式的に示
した図。
【図5】実施例により得られた部材の評価用試験装置
【符号の説明】
1 基材 2 接着層 3 繊維層 4 溶射皮膜 5 絶縁層 6 絶縁塗膜層 7 絶縁フィルム層 8 接着層 9 試験槽 10 部材(作用極) 11 ポテンショスタット 12 参照極 13 対極 14 関数発生器 15 撹拌装置 16 撹拌棒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小澤 欣一 埼玉県草加市吉町4−1−8 ぺんてる株 式会社草加工場内 (72)発明者 松永 是 東京都府中市幸町 2−40 B−506

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に接着層を介して繊維層を積層
    し、該繊維層の表面に金属窒化物からなる溶射皮膜を形
    成してなる電気化学的な生物制御用または防汚用部材。
JP16422998A 1998-02-26 1998-05-28 電気化学的な生物制御用または防汚用部材 Pending JPH11333465A (ja)

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