JP2004116136A - 電子制菌防汚方法 - Google Patents

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Toshihiro Takimoto
瀧本 利宏
Kinichi Ozawa
小澤 欣一
Hiroichi Takayanagi
高柳 博一
Hiromichi Takahashi
高橋 弘道
Hitoshi Wake
和気 仁志
Tadashi Matsunaga
松永 是
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Abstract

【課題】被防汚面たる導電性基材の機能低下が起こった場合でも、被防汚導電性基材の電気化学的防汚効果を長期に渡って安定的に得ることを目的として定電流制御による電子制菌防汚方法を確立することを課題としたものである。
【解決手段】本発明は、水中において微生物、水生生物やスケールの付着を防止する方法であって、被防汚体の防汚を必要とする部分を耐食性の導電性基材と成し、該導電性基材を定電流制御することを特徴とする電子制菌防汚方法を要旨とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中構造物、船舶、水輸送用の配管又は水路、漁網、熱交換器、復水器あるいは、海水取水口のスクリーンなどに微生物、水生生物やスケールなどが付着することを定電流制御により防止する電子制菌防汚方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
海水や淡水中には多くの生物が存在し、水中構造物表面に付着し、様々な問題を引き起こしている。例えば、船舶やブイに付着すると推進抵抗の増大といった問題が発生する。また、養殖用生け簀に付着すると海水の交流阻害といった問題が発生する。更に、定置網などの漁網に付着すると網成りの変形といった問題などが発生する。
また、給排水のパイプ内やバルブ等に付着した微生物は海水や淡水を介して人や生産物を汚染するといった問題を発生する。
海水や淡水に接している構造物表面への生物の一般的な付着機構は以下の通りである。
まず付着性のグラム陰性菌が構造物表面に吸着して脂質に由来するスライム状物質を多量に分泌する。さらにグラム陰性菌は、このスライム層に集まって増殖し、微生物皮膜を形成する。そして、海水中ではこの微生物皮膜上に大型生物である藻類、貝類、フジツボ等の大型の生物が付着する。付着した大型生物が繁殖成長し、最終的に水中構造物表面を覆い尽くすことになる。
上記、水中構造物および海水や淡水に接しているものの表面に付着した生物による汚染に対する防汚手段としては、殺菌性を有する物質を被防汚面に添加したり、有機スズ系化合物を含有した塗料で塗膜を形成し、有機スズ系化合物を溶出させる方法や、海水を電気分解する事により発生する塩素を利用した防汚方法が一般的に行われていた。しかし、これらの方法は有害物質が発生し、水質の汚染による生物への影響が懸念される。
【0003】
近年、有害物質を発生させないで電気化学的に水中構造物や海水や淡水に接しているものの表面などに付着する生物を制御する方法が提案されている。
この電気化学的な生物の制御方法は、微生物との直接電気化学反応が確認されている所定電位以上の電位を微生物に印加すると、微生物内部の酸化還元物質の一つである補酵素Aが不可逆的に酸化され、微生物の呼吸活性及び微生物膜の透過障壁の低下を誘発し、微生物を死滅させることが可能であるというものである(特公平6−91821号公報:特許文献1参照)。また、特開平9−248554号公報(特許文献2参照)には、水中において、導電性基板に正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基板表面に吸着して殺菌する工程と、前記導電性基板にさらに高い正電位を印加することにより、前記導電性基板表面に吸着している微生物の細胞を破壊し、導電性基板に付着し殺菌された微生物やその分解物を脱離する工程とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。また、特許3105024号公報(特許文献3参照)には、水中において、導電性基板に正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基板表面に吸着して殺菌する工程(+0〜1.5VvsSCE)と、前記導電性基板に負電位を印加することにより、前記導電性基板表面に吸着している殺菌された微生物を脱離する工程(−0〜−0.4VvsSCE)とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。また、特開2001−198572号公報(特許文献4参照)には、水中において、導電性基板に電気分解の起こらない正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基板表面に吸着して殺菌する工程と、前記導電性基板に電気分解の起こる負電位を印加し、導電基板表面を還元すると共にアルカリ性物質を導電性基板表面に誘導し、前記導電性基板表面に吸着している殺菌された微生物やその分解物を脱離する工程とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。
さらに、近似した防汚方法としては、導電性基板に酸素を発生させて防汚する方法が、特公平1−46595号公報(特許文献5参照)及び特開平11−303041号公報(特許文献6参照)に開示されている。これらの方法では、塩素発生電位以下で酸素発生する電位を0.55V〜1.1V程度とする範囲として制御している。
いずれにしても、これらの方法は、被防汚体となる導電性基材に対して電位を制御することを特徴とした防汚方法である。
【0004】
【特許文献1】
特公平6−91821号公報(第3頁第42行〜第46行、第8頁第42行〜第44行)
【特許文献2】
特開平9−248554号公報(第6頁第4行〜第8行)
【特許文献3】
特許3105024号公報(第3頁第20行〜第27行、図1−4)
【特許文献4】
特開2001−198572号公報(第3頁第5行〜第8行)
【特許文献5】
特公平1−46595号公報(第5頁第3行〜第6行、第5頁第30行〜第34行)
【特許文献6】
特開平11−303041号公報(第5頁第5行〜第6行、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
防汚しようとする導電性基材の電位を制御することによって微生物の殺菌や付着防止を行う電気化学的な防汚方法は、正電位の制御によって、塩素の発生、水分解によって発生する活性酸素や微生物との直接電子移動反応による殺菌を起こすことができる。また、負電位を制御することによっても殺菌された微生物や帯電している有機物やスケールを脱離及び海水や水の電気分解が起こし被防汚体の防汚面を洗浄還元することができる。しかしながら、電気化学的防汚方法において、その効果を長期間維持するためには、電位の設定時間の配分などを環境に対応して変更する必要があり最適な配分が難しいのが現状である。また、被防汚体の防汚面たる導電性基材が過度に酸化された場合には、導電性基材表面での電気抵抗値の増加に伴い、電気化学反応速度の低下が起こったり、導電性基材全体に設定電位を均一に印加することが難しくなるといった場合がある。また、導電性基材の表面は、構成される物質の劣化に伴う電極としての機能低下が起こる場合があるなど、実用化には今後とも幾多の課題を有している。
本発明はこれらの問題に鑑みなされたものであり、被防汚体の防汚面たる導電性基材の機能低下が起こった場合でも、被防汚導電性基材の電気化学的防汚効果を長期に渡って安定的に得ることを目的として定電流制御による電子制菌防汚方法を確立することを課題としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水中において微生物、水生生物やスケールの付着を防止する方法であって、被防汚体の防汚面の防汚を必要とする部分を耐食性の導電性基材と成し、該導電性基材を定電流制御することを特徴とする電子制菌防汚方法を要旨とする。
【0007】
以下、本発明について詳述する。
本発明で用いる導電性基材は、全体が導電性材料から形成されていてもよいが、少なくとも被防汚体の防汚面たる導電性基材表面の一部及び/又は全部の水中に浸漬している部分の表面が導電性であり、通電可能であることが必要である。導電性基材は金属やその酸化物、樹脂、無機材料からなり、構造を維持する機能を有するものであれば特に限定されない。金属材料の例としては鉄、アルミニウム、銅、およびそれらの合金、ステンレス、貴金属及びその酸化物などが挙げられる。特に、耐食性に優れたチタン、タンタル、ニオブ等のバルブ金属及びそれらの合金が好ましい。樹脂材料の例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。無機材料の例としては、ガラス、アルミナ、ジルコニア、セメント、コンクリート等が挙げられる。
【0008】
導電性基材として金属を用いる場合、金属材料を酸化し、耐食性を向上させたものも使用することができる。一例として、バルブ金属であるチタンは、高温や常温で空気酸化や電解反応により陽極酸化され耐食性や意匠性が向上することが知られている。また、海水電解用電極や酸素発生電極などを製造する際に、一般的に用いられる定法に従って金属の表面を導電性物質の微粒子で被覆したり、積層して用いることができる。被覆及び積層する際には、導電性基材の母材との密着性を高める等の考慮が必要である。
また、導電性基材として、樹脂、無機材料などの非導電性材料を用いる場合、導電性物質の微粒子を材料に充填し、基材を形成することにより導電性を付与し用いればよい。
導電性物質の微粒子の例としては、グラファイト、カーボンブラック、カーボン繊維からなる短繊維などの炭素微粒子、金、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウムまたはこれらの貴金属酸化物、チタン、ニオブ、タンタル等のバルブ金属またはその酸化物及び酸化マンガン、酸化コバルト、酸化スズ、酸化アンチモンなどの酸化物の微粒子、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化タンタル、窒化ニオブ、窒化クロム等の金属窒化物、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化タングステン等の金属炭化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハーフニウム、ホウ化バナジウム、ホウ化ニオブ、ホウ化タンタル、ホウ化クロム、ホウ化モリブデン、ホウ化タングステン等の金属ホウ化物、ケイ化チタン、ケイ化ジルコニウム、ケイ化ニオブ、ケイ化タンタル、ケイ化バナジウム、ケイ化タングステン等の金属ケイ化物などの微粒子が挙げられる。
さらに、長期間の防汚を目的とした本発明においては、被防汚体の防汚面となる導電性基材表面に各種電位印加を行っても排除できない殺菌された微生物、有機物及びスケールが付着することがあり、これらを導電性基材の交換等のコスト無く、再活性化させて長期間の防汚効果を再現させるために、必要最小限の塩素化合物及びラジカル発生機能を有する導電性基材表面に存在する物質として、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウムなどの白金族酸化物、チタン、ニオブ、タンタル等のバルブ金属酸化物及び酸化マンガン、酸化コバルト、酸化スズ、酸化アンチモンなどの酸化物やそれらの合金を単一金属酸化物、複合金属酸化物や複合金属酸化物として用いることが好ましい。また、これらの素材をそのまま、もしくは成形して使用することも可能である。
【0009】
また、上記導電性物質の微粒子をバインダー樹脂に充填、分散させた導電性物質を、前記非導電性材料製基材表面に被覆して導電性を付与してもよい。バインダー樹脂の例としては、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、ポリエステル−ウレタン樹脂、シリコン−ウレタン樹脂、シリコン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂や、熱硬化型のメラミン−アルキッド樹脂、メラミン−アクリル樹脂、メラミン−ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂、または天然ゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ニトリルブチレンゴム、ポリエチレンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリプロピレンエラストマー等のゴム弾性材料が挙げられる。導電性物質は、導電性シートを形成して非導電性基材上に接着剤を介して積層したり、塗膜層として形成してもよい。
【0010】
上記の導電性物質の微粒子の他に、生物の細胞と電極との電子移動反応を促進する作用を有する特定の化合物を添加してもよい。すなわち、微生物と電極との電子移動を媒介する電子メディエータを導電性材料と共に使用することによって、より効率的に水生生物の殺菌を行うことができる。電子メディエータの例としては、フェロセン、フェロセンモノカルボン酸、フェロセンジカルボン酸または、((トリメチルアミン)メチル)フェロセン等のフェロセンおよびその誘導体、HFe(CN)、KFe(CN)、NaFe(CN)等のフェロシアン類、2,6−ジクロロフェノールインドール、フェナンジンメトサルフェート、ベンゾキノン、フタロシアニン、ブリリアントクレジルブルー、カロシアニン、レゾルシン、チオニン、N,N−ジメチル−ジスルフォネイティド・チオニン、ニューメチレンブルー、トブシンブルーO、サフラニン−O、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、ベンジルビオロゲン、アリザリンブリリアントブルー、フェノシアジノン、フェナジンエトサルフェート等が挙げられる。この様な電子メディエータを担持した導電性基材としてはフェロセン修飾電極を挙げることができる。
【0011】
また、抗菌性を有する材料を添加してもよい。抗菌性を有する物質は、無機物に属するものと有機物に属するものとがある。
無機物としては、銀、銅、ニッケル、亜鉛、鉛、ゲルマニウム等の金属およびこれらの酸化物、酸素酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、有機キレート化合物などが挙げられる。
有機物としては、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、4,5,6,7−テトラクロル−2−トリフルオロメチルベンズイミダゾール、10,10’−オキシスフェノキシアルシン、トリメトキシシリル−プロピルオクタデシルアンモニウムクロライド、2−N−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛などが挙げられる。
【0012】
導電性基材の防汚面の一部又は全部が、少なくともチタン、チタン合金及びそれらの酸化物や白金及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物からなり、導電性基材表面に直接または間接的に接触する水生生物を殺菌し、増殖を抑制すると共に、水や海水などから塩素化合物もしくは、ラジカルを生成させ、導電性基材表面に直接または間接的に接触する水生生物およびスケールの脱離洗浄及び導電性基材を再活性化ができ、また、導電性基材が対極としても使用可能な物質で構成され、導電性膜となしたものが好ましく用いられる。
この導電性膜は、金属又はその化合物から構成でき、具体的には、白金族金属、バルブ金属及びそれらの酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物の何れかから構成することができる。特に、金属酸化物が、酸化チタン酸化ロジウム、酸化パラジウム、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化スズおよび酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タンタル及び酸化ジルコニウムから選ばれた少なくとも1種又は2種以上から構成されることが好ましい。
導電性膜を形成するに当たっては、溶射やスパッタリング、イオンプレーティングなどの方法を採用することができる。
金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物については既に記載してあるが、記載した材料はその一部であり、形成方法によっては2種類以上の金属が含まれたり、酸化物の一部が含まれたり、さらにはこれらの化合物が2種以上混合されたり、導電性基材の素材自身が空気酸化や陽極酸化されることから、特に限定はされない。これらの金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物は0.01μm以上の厚さの膜が好ましい。最大の厚さは特に限定しないが、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物の形成方法や使用目的により適宜設定すればよい。
【0013】
導電性基材が電気化学的に溶解や腐食する材料、例えば、鉄やアルミニウム、銅、亜鉛、マグネシウムおよびそれらの合金、ステンレス等の金属材料からなる場合では、該金属材料と接水面に形成された導電層との間に、絶縁性樹脂塗膜層や絶縁性樹脂フィルム層、アルミナ、チタニア酸化ケイ素などの絶縁無機物層、またはチタン、ニオブ、タンタル等のバルブ金属などを設けておくことで耐食性が向上し好ましい。これらの材料からなる層は1種または2種以上多層として形成されてあってもよい。特に、導電性基材が、バルブ金属であるチタンの様に高温や常温で空気酸化されたものや電解反応により陽極酸化されたものは、耐食性導電性材料として使用できる。また、耐食性導電性基材と、該耐食性導電性基材の表面の一部又は全部に多孔質白金からなる、又は、前記多孔質白金と該多孔質白金に3次元的に担持された金属酸化物とからなる被覆層とよりなるもの、及び、導電性基材が、耐食性導電性基材と、該耐食性導電性基材の表面が部分的に露出する程度に分散被覆された白金と、少なくとも耐食性導電性基材表面の露出部分を被覆する少なくとも1種以上の金属酸化物及び/又はバルブ金属酸化物の少なくとも1種以上からなる混合金属酸化物とからなる中間層と、貴金属酸化物とバルブ金属酸化物から選ばれた少なくとも1種以上の金属酸化物からなる混合金属酸化物層から構成された外層とよりなるものも好ましい。
【0014】
導電性基材の形状は特に限定されるものではなく、水生生物を効率よく吸着して直接または間接的に接触し、定電流を任意に設定し通電できるものであれば良い。定電流による防汚効果の発現には、20mA/m以上の電流密度が有効で、防汚面積により適宜通電量を調節することが好ましい。また、被防汚体の防汚面の材質や形状及び防汚面の維持状態の目的により適宜電流密度の設定を変更することができる。一般的には、20mA/mから1000mA/m程度でよい。好ましくは、微生物との直接反応を利用して、防汚効果の発現を期待する場合には、20mA/mから150mA/mが好ましく、被防汚体の防汚面に付着した有機物等を除去することを目的とする場合には、100mA/mから600mA/m程度とすることが好ましい。また、それぞれの通電時間は、目的によってそれぞれ適宜選択して制御することができる。また、被防汚体の防汚面が酸化状態になり、出力電圧が高くなるような場合は、設定する電流を正負相互に、任意の時間制御することによって、導電性基材を還元し出力電圧を低い状態に保つことができる。ただし、負の電流を定電流で流す時間が長いと防汚効果の低下を招くことがあるので、使用する導電性材料により適宜設定することが好ましい。負電流の電流密度についても、電極材料により防汚効果と導電材料の還元化とにより適宜選択し使用することが好ましい。
【0015】
本発明の防汚装置は、上記導電性基材と接触しないように対極が設置されている。対極基材は導電性基材と同様のものを用いることもできることもできる。また、通電により鉄などの腐食溶解するものは、通電量の積算の目安となり有用である。基本的には、適宜選択可能で被防汚面の物性や形状により適宜選択することができる。
【0016】
上記、導電性基材と対極とはリード線により電源装置に接続されている。この電源装置は、導電性基材と対極との間に通電する装置であって、極性が変換できる機能を有しているものである。一例として、定電流発生装置(ガルバノスタット)を使用しても差し支えない。
【0017】
上記構成以外、必要に応じて参照極を用いたり、更に、ガルバノスタットとともにポテンショスタットを併用し、導電性基材に定電流制御とともに、定電位の印加を行い、目的外の化学反応の発生を抑制することも可能である。
使用できる参照極およびポテンショスタット、ガルバノスタットとしては、導電性基材に、予め定められた電位を印加できるものや、定電流を流すことのできるものであれば特に限定されない。特に、電源装置に電流の制御およびそのタイミングの制御手段を付加したもので実施することが好ましい。
また、電解セルを形成する電極配置の場合は、作用極に対し対極の設置位置は限定されない。参照極は、作用極の近傍に設置することが好ましいが、導電性基材と対極間で、定電流で防汚効果が発現されるのには、参照極を使用しなくても差し支えない。
【0018】
本発明により処理することができる電解液は、水生生物を含有する水であれば特に限定されない。例えば、海水、河川の水、湖沼の水、水道水、飲料水、または各種緩衝液などが挙げられる。また、対象となる生物も、それらの水中に存在する生物であれば特に限定されるものではない。
【実施例】
【0019】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
<導電性基材の調製>
以下実施例に用いた導電性材料1〜3の作成手順を示す。
導電性基材1
チタン基板(JIS2種相当、t1×w20×L100mm)をトリクロロエチレンで脱脂洗浄後、20℃の8重量%HF溶液中で2分間処理し、次いで120℃の60重量%硫酸水溶液中で3分間処理した。次いでチタン基板を硫酸水溶液から取り出し、窒素雰囲気中で冷水を噴霧し急冷した。更に20℃の0.3重量%HF水溶液に2分間浸漬した後、水洗した。
水洗後Pt(NH(NOを硫酸溶液に溶解して白金含有量5g/L、pH≒2、50℃に調整した状態の白金メッキ液中で15mA/cmで約50秒間のメッキを行って、Pt分散析出させた。分散被覆量は1g/mであった。また、このときのチタン基板上へのPt被覆率は約40%であった。
このようにして、Ptを分散被覆したチタン基板を40℃の大気中で1時間加熱処理した。
次いで、塩化イリジウム酸のブタノール溶液と塩化タンタルのエタノール溶液を混合し、Ir13.0g/L及びTa50.0g/L(金属換算)を含有する塗布液を調製し、マイクロピペットで1cm当たり2.7μL秤量し、それを上記の様にして作製したPtを分散被覆したチタン基板上に塗布した後、室温で30分間真空乾燥させ、更に500℃の大気中で10分間焼成した。この工程を2回繰り返した。
次に外層を得るため、塩化イリジウム酸のブタノール溶液と塩化タンタルのエタノール溶液を混合し、Ir50.0g/L及びTa20.0g/L(金属換算)を含有する塗布液を調製した後、この塗布液を用いて前記と同様の工程を8回繰り返して導電性基材1とした。
【0020】
導電性基材2
チタン基板(JIS2種相当、t1×w20×L100mm)をトリクロロエチレンで脱脂洗浄後、マッフル炉(柴田ハリオ硝子(株)製SF−17L)により600℃、45分間加熱処理を行い、これを導電性基材2とした。
【0021】
導電性基材3
チタン基板(JIS2種相当、t1×w20×L100mm)をトリクロロエチレンで脱脂洗浄後、これを導電性基材3とした。
【0022】
【実施例1】
<微生物懸濁液の調整>
海洋付着細菌ビブリオ・アルギノリチクス(Vibrio・alginolyticus:ATCC17749)を、マリンブロス(Marine broth)2216(DIFCOLaboratory社製)中30℃で1次培養後、100μL採取し25mLの遠沈管に培地(マリンブロス15mL)と共に30℃、150rpm、2時間好気的に培養した。培養後の菌体を遠心集菌し、その後滅菌海水で洗浄後滅菌海水中に懸濁させ、菌数をヘマタイトメーターにてカウントし、1×10cel l/mL濃度の菌体懸濁液を作製した。
【0023】
<導電性基材への微生物付着と電流通電>
導電性基材1〜3は、420rpmで撹拌した懸濁液中に室温で90分間浸漬し、導電性基材表面に菌体を付着させた。試験槽6に入っている滅菌海水中に浸漬し、200rpmの撹拌速度で滅菌海水を撹拌しながらガルバノスタット2により各種定電流を60分間通電した。
【0024】
<微生物の殺菌評価判定>
殺菌効果確認の判定には、Propidium Iodide(PI)と、4,6−Diamidino−2−Phenylindole(DAPI)の2重染色法により行った。PIとDAPIは、微生物の細胞膜浸透せいの違いにより、微生物の核酸に付着し、青色の蛍光を示すものを生菌体、赤色の蛍光を示すものを死菌体とする微生物の生死判定法として使用されている。
微生物の染色は、電流を通電した導電性基材を滅菌海水で洗浄し、導電性基材上の付着菌体をPIの250μg/mL水溶液、DAPI20μg/mL水溶液(染色前に調整)を各々30μL滴下して行った。その後、紫外線の励起光を照射し、蛍光顕微鏡観察下で、青色の蛍光を示すものを生菌体、赤色の蛍光を示すものを死菌体として、電流通電前に導電性膜に吸着した菌体数に対する死菌体数により評価した。
【0025】
【表1】
Figure 2004116136
【0026】
尚、判定は、○は殺菌率80%以上、△は殺菌率20〜80%、×は20%未満を示す。
表1の結果より電流値20mA/m以上の通電により殺菌効果があることが確認された。
【0027】
【実施例2】
<実海洋での効果の確認>
実海洋で作用極に導電性基材1〜3(t1×w300×L100mm)、対極に鉄板(t12×w300×25mm)参照極に銀・塩化銀(大機エンジニアリング(株)製ECAG−16A230)を用い、以下に示す条件で電流を通電した。
電流は100mA/mでガルバノスタットにより9ヶ月間通電を行った。また、導電性基材1〜3の浸漬したものを同期間設置した。その後、電極の表面状態を観察した。
【0028】
【表2】
Figure 2004116136
【0029】
表2の結果より、実海洋において防汚効果があることが確認された。
【0030】
【実施例3】
<導電性基材の還元>
導電性基材2(t1×w300×L100mm)に定電流として100mA/mを3時間通電し、さらに還元電流として−500mA/mを30分間通電した。この直後100mA/mを3時間通電した。このときの出力電圧の測定を行った。
尚、電極及び電源の構成は実海洋での効果確認と同様の構成で行った。
【0031】
結果は−500mA/m通電後、100mA/m通電を行うと、実施例2時の出力電圧より低下していることが確認され、定電流の正負を相互に変換することで導電性基材の還元が可能であることが明らかになった。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、定電流制御下にて防汚面に通電し、防汚面の状態変化によらず一定の反応電流を供給することで、定電位制御下において導電性基材の酸化よって引き起こされる電気化学反応速度の低下による防汚効果の低迷を防止することができる。特に、酸化物形成により導電性が低下するチタン等のバルブ金属の防汚性能を飛躍的に長期間維持できるようになる。また、通電による酸化反応によっても導電性が保たれる基材に対しても、有効に機能する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の装置の模式図である。
【符号の説明】
1 制御部
2 ガルバノスタット
3 導電性基材
4 参照極
5 対極
6 試験槽
7 攪拌棒
8 攪拌器
9 塩橋

Claims (4)

  1. 水中において微生物、水生生物やスケールの付着を防止する方法であって、被防汚体の防汚を必要とする部分を耐食性の導電性基材と成し、該導電性基材を定電流制御することを特徴とする電子制菌防汚方法。
  2. 導電性基材の一部または全部がチタン、チタン合金及びそれらの酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の電子制菌防汚方法。
  3. 定電流制御における電流密度を少なくとも20mA/m以上の定電流とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子制菌防汚方法。
  4. 定電流制御において設定する電流を正負相互に変換することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子制菌防汚方法。
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