JP4069060B2 - 電気化学的水質制御方法および装置 - Google Patents
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Description
また、給排水のパイプ内やバルブ等に付着した微生物は海水や淡水を介して人や生産物を汚染するといった問題を発生する。
この電気化学的な生物の制御方法は、微生物との直接電気化学反応が確認されている所定電位以上の電位を微生物に印加すると、微生物内部の酸化還元物質の一つである補酵素Aが不可逆的に酸化され、微生物の呼吸活性及び微生物膜の透過障壁の低下を誘発し、微生物を死滅させることが可能であるというものである(特公平6−91821号公報:特許文献1参照)。また、特開平9−248554号公報(特許文献2参照)には、水中において、導電性基材に正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基材表面に吸着して殺菌する工程と、前記導電性基材にさらに高い正電位を印加することにより、前記導電性基材表面に吸着している微生物の細胞を破壊し、導電性基材に付着し殺菌された微生物やその分解物を脱離する工程とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。また、特許3105024号公報(特許文献3参照)には、水中において、導電性基材に正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基材表面に吸着して殺菌する工程(+0〜1.5VvsSCE)と、前記導電性基材に負電位を印加することにより、前記導電性基材表面に吸着している殺菌された微生物を脱離する工程(−0〜−0.4VvsSCE)とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。また、特開2001−198572号公報(特許文献4参照)には、水中において、導電性基材に電気分解の起こらない正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基材表面に吸着して殺菌する工程と、前記導電性基材に電気分解の起こる負電位を印加し、導電基材表面を還元すると共にアルカリ性物質を導電性基材表面に誘導し、前記導電性基材表面に吸着している殺菌された微生物やその分解物を脱離する工程とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。
また、導電性塗膜皮膜に正電位を印加し、次亜塩素酸イオンや塩素イオンを生成させる防汚方法が、特公平6−15069号公報(特許文献7参照)及び特公平8−14036号公報(特許文献8参照)に記載されており、海水電解装置による塩素注入方式による防汚効果を、被防汚面で直接塩素などを発生させているものと考えられる。
導電性物質の微粒子の例としては、グラファイト、カーボンブラック、カーボン繊維からなる短繊維などの炭素微粒子、金、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、それらの合金または酸化物、チタン、ニオブ、タンタル等のバルブ金属またはその酸化物及び酸化マンガン、酸化コバルト、酸化スズ、酸化アンチモンなどの酸化物の微粒子、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化タンタル、窒化ニオブ、窒化クロム等の金属窒化物、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化タングステン等の金属炭化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハーフニウム、ホウ化バナジウム、ホウ化ニオブ、ホウ化タンタル、ホウ化クロム、ホウ化モリブデン、ホウ化タングステン等の金属ホウ化物、ケイ化チタン、ケイ化ジルコニウム、ケイ化ニオブ、ケイ化タンタル、ケイ化バナジウム、ケイ化タングステン等の金属ケイ化物などの微粒子が挙げられる。
無機物としては、銀、銅、ニッケル、亜鉛、鉛、ゲルマニウム等の金属およびこれらの酸化物、酸素酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、有機キレート化合物などが挙げられる。
有機物としては、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、4,5,6,7−テトラクロル−2−トリフルオロメチルベンズイミダゾール、10,10’−オキシスフェノキシアルシン、トリメトキシシリル−プロピルオクタデシルアンモニウムクロライド、2−N−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛などが挙げられる。
導電性膜を形成するに当たっては、溶射やスパッタリング、イオンプレーティングなどの方法を採用することができる。
金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物については既に記載してあるが、記載した材料はその一部であり、形成方法によっては2種類以上の金属が含まれたり、酸化物の一部が含まれたり、さらにはこれらの化合物が2種以上混合されたり、導電性基材の素材自身が空気酸化や陽極酸化されることから、特に限定はされない。これらの金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物は0.01μm以上の厚さの膜が好ましい。最大の厚さは特に限定しないが、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物の形成方法や使用目的により適宜設定すればよい。
例えば、銀、銅、亜鉛などはそのイオンが抗菌性を持つことが知られており、水の殺菌によく用いられる。特に銀は幅広い抗菌スペクトルを持つことが以前より知られている。また銀は人体への毒性も低いため、本発明において用いるのに適している。
導電性基材と対極の配置、位置関係については、導電性基材と対極の間に存在する、微生物や有機物を含む水の量及び周囲の構造物の形状などにより、少なくとも、非溶出系の導電性基材の表面で電気化学的反応が発生し、溶出系の導電性基材が溶出する程度に配置されていればよく、特に限定されるものではない。
溶出系の導電性基材と対極の材質の組み合わせによって、両者を接続するだけで溶出系の導電性基材が溶出するような場合は、両者を切断するスイッチ機構を装備するか、もしくは電源が溶出系の導電性基材と対極の相対的な電位を逆転させるように電圧を出力することによって、溶出を停止させることが可能であるし、一方、両電極間の相対的な電位を増加させるように電圧を出力することによって溶出を増加させるなどの制御をすることが可能である。
参照極は、電気化学反応が進む導電性部材の電位を測るときに基準とするものであって、参照極と導電性基材との電位差を計測し、前記電源によって導電性基材の電位を適正に補正するためのものである。従って、参照極を使用する場合、電源は、参照極の電位を計測し、二つ以上の導電性基材と参照極との間の電位がそれぞれ指定した値になるよう、二つ以上の導電性基材に対して同一もしくは異なる電圧を出力する機能を持つことが好ましい。
参照極は作用極たる導電性基材の近傍に設置することが好ましいが、予め通電状態において参照極と導電性基材の電位差を計測しておけば、水質制御のための通電条件を知ることができるので、必ずしも配置を限定するものではなく、また参照極の常設を要請するものでもない。また、導電性基材と対極間で、水質制御効果が発現される時の電流値が明らかである場合などには、もとより参照極を使用しない構成を選択することが可能である。
参照極は、参照電極表面で電極反応が可逆で水中のある化学種とNernstの平衡電位式に従って応答し、その電位は時間に対して安定で、微少電流が流れてもすぐ最初の電位に戻り、温度変化も一定の温度になれば一定の電位を出すもの、といったものを用いる。例えば水素電極(NHE、RHE、白金黒電極)、カロメル電極(SCE)、銀・塩化銀電極(Ag/AgCl)、硫酸第一水銀電極、酸化水銀電極などが挙げられる。
一方、溶出系の導電性基材は、微生物や有機物を含む水の中にイオンを可能な限り満遍なく行き渡らせることができるように配置することが好ましく、例えば流れの上流側に設置することが好ましい。
当該領域に特有な条件により、溶出系の導電性基材が接水面となって溶出する期間は異なる。領域の水中に必要な量の溶出が発生するように、溶出系の導電性基材及び対極の種類、印加する電位もしくは電流、及び溶出系の導電性基材の面積などを制御する。
まず非溶出系の導電性基材の制御条件について説明する。定電流の制御条件は以下の通りである。
定電流による水質制御効果の発現には、20mA/m2以上の電流密度が有効で、本願発明になる電気化学的水質制御方法を適用する領域における接水面の面積、微生物や有機物を含む水の量及び流速などにより適宜通電量を調整することが好ましい。また、導電性基材の材質や形状などにより、もしくは導電性基材表面の状態保持の目的により、適宜電流密度の設定を変更することができる。一般的には、20mA/m2から1000mA/m2程度でよい。好ましくは、微生物との直接反応を利用して、水質制御効果の発現を期待する場合には、50mA/m2から500mA/m2が好ましく、導電性基材の表面に付着した有機物等を除去することを目的とする場合には、100mA/m2から800mA/m2程度とすることが好ましい。また、それぞれの通電時間は、目的によってそれぞれ適宜選択して制御することができる。また、導電性基材の表面が酸化状態になり、出力電圧が高くなるような場合は、設定する電流を正負相互に、任意の時間制御することによって、導電性基材を還元し出力電圧を低い状態に保つことができる。ただし、負の電流を定電流で流す時間が長いと、水質制御効果の低下を招くことがあるので、使用する導電性基材の材質により適宜選択することが好ましい。負電流の電流密度についても、導電性基材の材質により、水質制御効果などと導電性基材の材質の還元化を考慮して適宜選択し使用することが好ましい。
微生物や有機物を含む水中において、非溶出性の導電性基材に正電位を印加すると、導電性基材表面に付着した微生物は電気化学的に殺菌される。印加する正電位は、導電性基材の材質により適宜選択すれば良く、好ましい電位は、+0Vvs.SCE以上、より好ましくは+0.8Vvs.SCE以上である。印加する電位が+0Vvs.SCEより負では微生物を殺菌することができない。また、+1.5Vvs.SCEを越えた電位を長時間印加すると、導電性基材の劣化が起きたり、導電性基材の組成物によっては水が電気化学的に分解され、水素や酸素が生成することがあるので、材質により適宜考慮することが必要である。さらに、上記正電位を印加してなる殺菌工程の後、印加した正電位を負電位に変更すると、導電性基材に付着した生物、その他の細胞、殺菌された生物の細胞および/またはその破壊物や有機物を脱離することができる。印加する負電位は、場合により適宜選択すればよい。上記正電位を印加してなる殺菌工程と、負電位を印加してなる脱離工程とは周期的に変化させるが、周期、即ち、正電位及び負電位の維持時間は、本水質制御方法を適用する環境に応じて適宜設定すれば良い。
水から電気化学的に生成物が発生する負電位は、−1.0Vvs.SCE以上、好ましくは−2.0Vvs.SCE以上であり、この値での電位の印加を周期的もしくは不定期的に所定の時間で行うことによって、前記水生生物、その一部の細胞、殺菌された水生生物の細胞および/またはその破壊物、スケールなどの有機物を効果的に洗浄することができる。
これらの高い電位を長時間印加すると水が電気分解して塩素や未知の物質を発生する可能性が高く、また、導電性基材の劣化が起こることがあるので、長期に渡って安定的に水質制御効果を維持し、水中への電解生成物質による汚染を最小限に抑制するためには、不適切な場合がある。しかしながら、長期間の水質制御を目的とした本発明においては、導電性基材表面に各種電位印加を行っても排除できない殺菌された微生物、スケールなどの有機物が付着することがあり、これらを導電性基材の交換などのコスト無く、再活性化させて長期間の水質制御効果を再現させるためには、必要最小限の塩素化合物及びラジカル発生機能を制御することが好ましい。
ちなみに、導電性基材表面の物性が、塩素過電圧が酸素過電圧より低い場合には、塩素化合物の生成が起こり、逆であれば酸素が先に発生する現象が確認できる。塩素発生基材としては、貴金属及びその酸化物などが挙げられる。酸素発生基材としては、バルブ金属やその酸化物及び酸化コバルトなどが挙げられる。
水中から電気化学的に生成物が発生する正電位を印加する時間は、導電性基材の特性によって適宜選択することができる。一般的には導電性基材の耐久性、導電性基材表面に直接または間接的に接触する水生生物の付着量によって異なるが、導電性基材の劣化及び水の電解物質による汚染を最小限とするための設定を行うことが好ましい。その点を考慮すると一ヶ月あたり0.5〜24時間程度の印加がより好ましい。また、上記殺菌工程の設定時間と比較して、10分の1〜一万分の1程度の時間に設置して運用することも可能である。
溶出系の導電性基材の溶出量は、その導電性基材を流れた電流から計算することができる。時間tにおける電流値をI(t)、溶出系の導電性基材の材質の分子量をm、その材質のイオン化に必要な電子の数をn、ファラデー定数をFとすると、溶出した導電性基材の重量Mを次の式で求めることができる。
M = {m × ∫I(t)dt}/(F × n)
電流値が一定のIであるとし、それを時間Tの間だけ通電したとすると、上式は次のようになる。
M = (m × I × T)/(F × n)
従って、溶出系の導電性基材の材質により、水質制御効果があると判明しているイオン濃度になるよう、溶出系の導電性基材に電流を流せばよい。これを実現するには、電流制御を行ってもよいし、電流を計測する限り、電位制御によってもよい。流す電流値と時間は、前記したように導電性基材の材質、水量、水が滞留しているか流れているか、などを考慮して決定する。
更に、非溶出系の導電性基材との組み合わせの制御により、溶出系の導電性基材のみ使用した場合と同等もしくはそれ以上の効果を得ながら、溶出系の導電性基材の溶出の程度を抑制し、より長期間に渡って、導電性基材の交換などのメインテナンスの手間を発生させないようにすることが可能である。
図1には、本願発明になる電気化学的水質制御方法を用いた電気化学的水質制御装置の簡易的な電気的ブロック図を示す。ここで、前記電源1は、MPU(マイクロプロセッシングユニット)2、OPアンプ3、OPアンプ4、OPアンプ5、及び電流検出抵抗6、電流検出抵抗7に、装置用の電源(図示せず)を加えたものである。図示しない装置用電源はMPU2及びOPアンプ3〜5に電力を供給する。装置用電源としては、AC100Vなどを整流して用いてもよいし、電池を使用してもよい。電源1は、非溶出系の導電性基材8、溶出系の導電性基材9、対極10、及び参照極11とリード線もしくはケーブルなどで電気的に接続している。
一方、MPU2は、電流検出抵抗6及び電流検出抵抗7の両端の電位を計測して、非溶出系の導電性基材8及び溶出系の導電性基材9にそれぞれ流れる電流を算出することができる。MPU2が、それらの電流計測値が所定の値になるようにOPアンプ3〜5の出力を調整することにより、電流制御を実現することができる。
図2は実施例1の構成図である。
配管12の中を海水が一方向に流れる場合の一例である。内径150mmの塩化ビニル製の配管12の直線部に、非溶出系の導電性基材8として円筒状に加工したチタン(JIS2種相当、t0.5×w450×L500mm)、溶出系の導電性基材9として円筒状に加工した銀(t1.0×w450×L20mm)を流れの上流側に設置し、溶出したイオンが水中により広く行き渡るようにする。対極10としてはやはり円筒状に加工した鉄(t0.5×w450×L20mm)を設置した。本実施例においては、対極10から溶出する金属イオンが非溶出系の導電性基材8及び溶出系の導電性基材9に影響を与えることのないよう、対極10を非溶出系の導電性基材8と溶出系の導電性基材9の下流側に設置したが、特にこの配置に限るものではない。更に、基準電位を計測するため、図示しない参照極を設置した。非溶出系の導電性基材8、溶出系の導電性基材9、対極10及び参照極は、リード線などと接続し、それらを配管12の継ぎ手などから配管12の外側に導出して、電源(図示せず)に接続して制御した。
制御条件は以下のようにし、6ヶ月間試験を行った。
制御条件
非溶出系の導電性基材:1.2Vvs.SCE、90分
−0.6Vvs.SCE、45分 の繰り返し
溶出系の導電性基材 :0.5Vvs.SCE
図3は実施例2の構成図である。
生活排水の流入口13、及び流出口14が存在する場合の一例である。内径約50mmの塩化ビニル製のホース15をS字型に曲げて水のトラップ16を形成し、ホース15内のほぼ常時没水する部位に、非溶出系の導電性基材8として、後述する処理を施した、円筒形に加工した導電性基材を設置する。非溶出系の導電性基材8は、処理を施した面が接水する内側の面となるよう曲げ加工し、その裏面はエポキシ樹脂でシーリングして絶縁した。更に、常時没水する位置に、対極10として、円筒状に加工した鉄(t0.5×w150×L20mm)を設置する。一方、溶出系の導電性基材9として、円筒状に加工した銀(t1.0×w150mm×L20mm)を、常時没水はしない流入口13の付近に設置する。更に、基準電位を計測するため、図示しない参照極を常時没水する位置に設置した。非溶出系の導電性基材8、溶出系の導電性基材9、対極10及び参照極は、リード線などと接続し、それらをホース15の継ぎ手などからホース15の外側に導出して、電源(図示せず)に接続して制御した。特に、溶出系の導電性基材9については、常時通電をしておくと、水が流入し、流入した水によって溶出系の導電性基材9と対極10が電気的に接続されたときにのみ電流が流れ、溶出系の導電性基材9の溶出が発生する。
導電性基材の調整
チタン基板(JIS2種相当、t0.5×w150×L50mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%弗化水素水溶液中で2分間処理した後、120℃の60重量%硫酸水溶液中で3分間処理した。次いでチタン基板を硫酸水溶液から取り出し、窒素雰囲気中で冷水を噴霧し急冷した。更に20℃の0.3重量%HF水溶液に2分間浸漬した後、水洗した。
水洗後、Pt(NH3)2(NO2)2を硫酸溶液に溶解して白金含有量5g/リットル、pH約2、50℃に調整した状態の白金メッキ液中で15mA/cm2で約50秒間のメッキをチタン基板の片面に対して行って、Pt分散析出させた。分散被覆量は1g/m3であった。また、このときのチタン基板上へのPt被覆率は約40%であった。
このようにして、Ptを分散被覆したチタン基板を40℃の大気中で1時間加熱処理した。
次いで、塩化イリジウム酸のブタノール溶液と塩化タンタルのエタノール溶液を混合し、Ir13.0g/リットル及びTa50.0g/リットル(金属換算)を含有する塗布液を調製し、マイクロピペットで1cm2当たり2.7マイクロリットル秤量し、それを上記の様にして作製したPtを分散被覆したチタン基板上に塗布した後、室温で30分間真空乾燥させ、更に500℃の大気中で10分間焼成した。この工程を2回繰り返した。
次に外層を得るため、塩化イリジウム酸のブタノール溶液と塩化タンタルのエタノール溶液を混合し、イリジウム(Ir)50.0g/リットル及びタンタル(Ta)20.2g/リットル(モル混合比:70Ir−30Ta)を含有する塗布液を調製した後、この塗布液を用いて前記と同様の工程を8回繰り返して導電性基材とした。
非溶出系の導電性基材:1.1Vvs.SCE、60分
−0.1Vvs.SCE、20分 の繰り返し
溶出系の導電性基材 :5.0Vvs.SCE
実施例2同様、内径約50mmの塩化ビニル製のホースをS字型に曲げて水のトラップ16を形成し、日常的に、生活排水が断続して流入するような環境下に1ヶ月間放置した。
実施例2において回収した水では比較例1において回収した水の場合に比べ、微生物量が遙かに少ないことから実施例2の装置及び制御方法により、水中の微生物及び有機物量を十分に制御できることが確認された。
非溶出系の導電性基材8については、チタン基板(JIS2種相当、t0.5×w20×L100mm)を、実施例2における非溶出系の導電性基材の処理方法によって処理したものを用いた。この際、処理されていない片面をエポキシ樹脂でシーリングして絶縁し、表面で反応が発生しないようにした。
また溶出系の導電性基材9については、1mm厚の銀板(20mm×100mm)を用いた。
非溶出系の導電性基材8及び溶出系の導電性基材9と対になる対極10は、1mm厚のNi板(20mm×100mm)を用いた。
また、殺菌試験は、海洋細菌を用いて行った。海洋細菌はビブリオアルギノリティカスを用いた。滅菌海水を用いた菌体懸濁液(1.0×107cells/ミリリットル)を作成し、非溶出系の導電性基材8、溶出系の導電性基材9、対極10、及び参照極を設置して電位もしくは電流を印加した。
制御条件を以下のようにし、恒温室(25℃)内に配置して、7日間試験を行った。
制御条件
非溶出系の導電性基材:0.9Vvs.SCE
溶出系の導電性基材 :0.5Vvs.SCE
制御条件を以下のようにし、恒温室(25℃)内に配置して、7日間試験を行った。
制御条件
非溶出系の導電性基材:0.9Vvs.SCE、60分
−0.1Vvs.SCE、20分 の繰り返し
溶出系の導電性基材 :0.5Vvs.SCE
制御条件を以下のようにし、恒温室(25℃)内に配置して、7日間試験を行った。尚、溶出系の導電性基材に対して、12時間ごとに、およそ0.1ppm程度のイオンを溶出させるよう、通電制御を実施した。算出は前記の式に依った。
制御条件
非溶出系の導電性基材:0.9Vvs.SCE、60分
−0.1Vvs.SCE、20分 の繰り返し
溶出系の導電性基材 :500μA、2分、12時間ごと
制御条件を以下のようにし、恒温室(25℃)内に配置して、7日間試験を行った。尚、非溶出系の導電性基材に対して200mA/m2を印加する電流制御を実施した。非溶出系の導電性基材の没水部の面積を80mm×20mmとしたため、そこから電流値を算出した。
制御条件
非溶出系の導電性基材:160μA
溶出系の導電性基材 :0.5Vvs.SCE
電気化学的水質制御装置を設置せず、恒温室(25℃)内に7日間放置した。
実施例3〜6の場合には比較例2の場合に比べ、微生物量が遙かに少ないことから実施例3〜6の装置及び制御方法により、水中の微生物及び有機物量を十分に制御できることが確認された。
制御条件を以下のようにし、恒温室(25℃)内に配置して、7日間試験を行った。
制御条件
非溶出系の導電性基材:1.1Vvs.SCE
溶出系の導電性基材 :5.0Vvs.SCE
制御条件を以下のようにし、恒温室(25℃)内に配置して、7日間試験を行った。
制御条件
非溶出系の導電性基材:1.1Vvs.SCE、60分
−0.1Vvs.SCE、20分 の繰り返し
溶出系の導電性基材 :5.0Vvs.SCE
制御条件を以下のようにし、恒温室(25℃)内に配置して、7日間試験を行った。尚、溶出系の導電性基材に対して、12時間ごとに、およそ0.1ppm程度のイオンを溶出させるよう、通電制御を実施した。算出は前記の式に依った。
制御条件
非溶出系の導電性基材:1.1Vvs.SCE、60分
−0.1Vvs.SCE、20分 の繰り返し
溶出系の導電性基材 :500μA、2分、12時間ごと
制御条件を以下のようにし、恒温室(25℃)内に配置して、7日間試験を行った。尚、非溶出系の導電性基材に対して200mA/m2を印加する電流制御を実施した。非溶出系の導電性基材の没水部の面積を80mm×20mmとしたため、そこから電流値を算出した。
制御条件
非溶出系の導電性基材:160μA
溶出系の導電性基材 :0.5Vvs.SCE
電気化学的水質制御装置を設置せず、恒温室(25℃)内に7日間放置した。
実施例7〜10の場合には比較例3の場合に比べ、微生物量が少ないことから実施例7〜10の装置及び制御方法により、水中の微生物及び有機物量を十分に制御できることが確認された。
実施例11においては、生活排水(社内食堂より採取)を用いた。500ミリリットルビーカーに生活排水を満たし、ビーカー中に、前記非溶出系の導電性基材、溶出系の導電性基材、対極及び参照極を設置して、それらに電源を接続した電気化学的水質制御装置を用いて、電位を印加した。また、本実施例に対する接水面の付着制御評価用に、電位を印加しないブランク材として前記非溶出系の導電性基材を、他の導電性基材、対極及び参照極に接触しないように設置した。
制御条件を以下のようにし、恒温室(25℃)内に配置して、7日間試験を行った。
制御条件
非溶出系の導電性基材:1.1Vvs.SCE
溶出系の導電性基材 :5.0Vvs.SCE
比較例4においては、生活排水(社内食堂より採取)を用いた。500ミリリットルビーカーに生活排水を満たし、付着評価用に、電位を印加しないブランク材として前期非溶出系の導電性基材をビーカー内に設置し、恒温室(25℃)内に7日間放置した。
2 MPU
3,4,5 OPアンプ
6,7 電流検出抵抗
8 非溶出系の導電性基材
9 溶出系の導電性基材
10 対極
11 参照極
12 配管
13 流入口
14 流出口
15 ホース
16 トラップ
Claims (4)
- 少なくとも一つ以上の非溶出系の導電性基材と、一つ以上の溶出系の導電性基材と、少なくとも前記非溶出系の導電性基材と前記溶出系の導電性基材に共通の一つ以上の対極と、前記導電性基材及び前記対極に通電可能なように設置された電源とからなり、前記電源により前記少なくとも一つ以上の非溶出系の導電性基材に電圧を印加して該非溶出系の導電性基材表面で電気化学反応を発生させると共に、前記電源により前記少なくとも一つ以上の溶出系の導電性基材に電圧を印加して該溶出系の導電性基材を溶出させることによって、水中の微生物及び有機物量を制御することを特徴とする電気化学的水質制御方法。
- 少なくとも二つ以上の導電性基材と、対極と、前記導電性基材及び前記対極に通電可能なように設置された電源とからなり、前記電源により少なくとも一つ以上の非溶出系の導電性基材に電圧を印加して該非溶出系の導電性基材表面で電気化学反応を発生させると共に、少なくとも一つ以上の溶出系の導電性基材を少なくとも一時は接水面となり、少なくとも一時は接水面とならない部位に設置し、前記電源により電圧を印加して、前記溶出系の導電性基材を接水面となったときのみ溶出させることによって、水中の微生物及び有機物量を制御することを特徴とする電気化学的水質制御方法。
- 少なくとも一つ以上の非溶出系の導電性基材と、一つ以上の溶出系の導電性基材と、少なくとも前記非溶出系の導電性基材と前記溶出系の導電性基材に共通の一つ以上の対極と、前記導電性基材及び前記対極に通電可能なように設置された電源とからなり、前記電源により前記少なくとも一つ以上の非溶出系の導電性基材に電圧を印加して該非溶出系の導電性基材表面で電気化学反応を発生させると共に、前記電源により前記少なくとも一つ以上の溶出系の導電性基材に電圧を印加して該溶出系の導電性基材を溶出させることによって、水中の微生物及び有機物量を制御することを特徴とする電気化学的水質制御装置。
- 少なくとも二つ以上の導電性基材と、対極と、前記導電性基材及び前記対極に通電可能なように設置された電源とからなり、前記電源により少なくとも一つ以上の非溶出系の導電性基材に電圧を印加して該非溶出系の導電性基材表面で電気化学反応を発生させると共に、少なくとも一つ以上の溶出系の導電性基材を少なくとも一時は接水面となり、少なくとも一時は接水面とならない部位に設置し、前記電源により電圧を印加して、前記溶出系の導電性基材を接水面となったときのみ溶出させることによって、水中の微生物及び有機物量を制御することを特徴とする電気化学的水質制御装置。
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