JP4229047B2 - 電子制菌装置 - Google Patents

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本発明は、水中の微生物及び有機物量を制御することによって、海洋構造物、船舶、水輸送用の配管又は水路、排水口、貯水槽、熱交換器あるいは、海水取水口のスクリーンなどに生物やスケールなどが付着することを電気化学的に防止したり、水中に含まれる微生物や有機物の量を制御し、電気化学的に水質を制御したりする電子制菌装置において、運行データ並びに環境計測データを計測し、該データ及び/又は予め定めた事象の少なくとも一つ以上の発生情報を検出する手段を設けると共に、この検出したデータに基づき電子制菌装置の電源出力を制御する手段を有する電子制菌装置に関する。
海水や淡水中には多くの生物が存在し、水中構造物表面に付着し、様々な問題を引き起こしている。例えば、船舶に付着すると推進抵抗の増大といった問題が発生する。また、養殖用生け簀に付着すると海水の交流阻害といった問題が発生する。更に、定置網などの漁網に付着すると網成りの変形といった問題などが発生する。
また、給排水のパイプ内やバルブ等に付着した微生物は海水や淡水を介して人や生産物を汚染するといった問題を発生する。
海水や淡水に接している構造物表面への生物の一般的な付着機構は以下の通りである。まず付着性のグラム陰性菌が構造物表面に吸着して脂質に由来するスライム状物質を多量に分泌する。さらにグラム陰性菌は、このスライム層に集まって増殖し、微生物皮膜を形成する。そして、海水中ではこの微生物皮膜上に大型生物である藻類、貝類、フジツボ等の大型の生物が付着する。付着した大型生物が繁殖成長し、最終的に水中構造物表面を覆い尽くすことになる。
上記、海水や淡水に接している水中構造物の表面に付着した生物による汚染に対する防汚方法としては、殺菌性を有する物質を被防汚面に添加したり、有機スズ系化合物を含有した塗料で塗膜を形成し、有機スズ系化合物を溶出させたり、海水を電気分解する事により発生する塩素を利用したりする防汚方法が一般的に行われていた。しかし、これらの方法は有害物質が発生し、水質の汚染による生物への影響が懸念される
近年、有害物質を発生させないで電気化学的に水中構造物や海水や淡水に接しているものの表面などに付着する生物を制御する方法が提案されている。この電気化学的な生物の制御方法は、微生物との直接電気化学反応が確認されている所定電位以上の電位を微生物に印加すると、微生物内部の酸化還元物質の一つである補酵素Aが不可逆的に酸化され、微生物の呼吸活性及び微生物膜の透過障壁の低下を誘発し、微生物を死滅させることが可能であるというものである(特公平6−91821号公報:特許文献1参照)。
また、特開平9−248554号公報(特許文献2参照)には、水中において、導電性基板に正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基板表面に吸着して殺菌する工程と、前記導電性基板にさらに高い正電位を印加することにより、前記導電性基板表面に吸着している微生物の細胞を破壊し、導電性基板に付着し殺菌された微生物やその分解物を脱離する工程とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。
また、特許3105024号公報(特許文献3参照)には、水中において、導電性基板に正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基板表面に吸着して殺菌する工程(+0〜1.5Vvs.SCE)と、前記導電性基板に負電位を印加することにより、前記導電性基板表面に吸着している殺菌された微生物を脱離する工程(−0〜−0.4Vvs.SCE)とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。
また、特開2001−198572号公報(特許文献4参照)には、水中において、導電性基板に電気分解の起こらない正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基板表面に吸着して殺菌する工程と、前記導電性基板に電気分解の起こる負電位を印加し、導電性基板表面を還元すると共にアルカリ性物質を導電性基板表面に誘導し、前記導電性基板表面に吸着している殺菌された微生物やその分解物を脱離する工程とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。
さらに、近似した防汚方法としては、導電性基板に酸素を発生させて防汚する方法が、特公平1−46595号公報(特許文献5参照)及び特開平11−303041号公報(特許文献6参照)に開示されている。これらの方法では、塩素発生電位以下で酸素発生する電位を0.55V〜1.1V程度とする範囲として制御している。
しかしながら、前記電気化学的防汚方法では、細胞と導電性基材とが直接接触したときに微生物の殺菌ができることを明らかにしているのに対して、上記近似した防汚方法では、ほぼ同電位にて発生する酸素が、導電性基材に接触しない微生物を殺菌し、防汚できること示す明確な証明がない。従って、導電性基材に微生物などが付着しないのは、前記電気化学的防汚方法との概念的分離が難しい。
また、導電性塗膜皮膜に正電位を印加し、次亜塩素酸イオンや塩素イオンを生成させる防汚方法が、特公平6−15069号公報(特許文献7参照)及び特公平8−14036号公報(特許文献8参照)に記載されており、海水電解装置による塩素注入方式による防汚効果を、被防汚面で直接塩素などを発生させているものと考えられる。
また、電気化学的制御を実施するに当たり該防汚面と対になる対極構造及び配線方法が特開2002−102858号公報(特許文献9参照)に、溶出系の材質を用いた場合の接続方法を要旨とする発明が記載されている。
また、特開2003−105576号公報(特許文献10参照)には、電解液中に浸漬した導電性基材に正電位を印加してなる工程と、前記導電性基材に負電位を印加してなる工程とよりなり、任意の工程を導電性基材に対する電解液の水位が所定の位置を超えたとき行うようなしたことを特徴とする電気化学的制菌方法を要旨とする発明が記載されている。
特公平6−91821号公報(第3頁第42行〜第46行、第8頁第42行〜第44行) 特開平9−248554号公報(第6頁第4行〜第8行) 特許3105024号公報(第3頁第20行〜第27行、図1−4) 特開2001−198572号公報(第3頁第5行〜第8行) 特公平1−46595号公報(第5頁第3行〜第6行、第5頁第30行〜第34行) 特開平11−303041号公報(第5頁第5行〜第6行、図1) 特公平6−15069号公報(第3頁第1行〜第6行) 特公平8−14036号公報(第3頁第10行〜第12行) 特開2002−102858号公報(第2頁第38行〜第3頁第3行) 特開2003−105576号公報
電子制菌装置は、臨海施設や水中構造物など、人間が常時いるのではない場所に設置されることが多い。また、人間が居住する家屋の台所や浴室、トイレなどに設置される場合にも、居住人が常に装置の状態に気を配るのは困難である。そのような構成においては、装置に故障が発生して制菌機能を効果的に維持できなくなってしまったような場合に、装置を管理する者が機能異常を知ることができない。例えば、電子制菌装置自体が故障した場合、又は環境計測データとして測定される流量や流速等が減少したり、圧力変動した場合には、作用極界面での化学反応が不均一となり、運行データとして計測される電流や電圧が不安定になる。電流や電圧が不安定になることで、被防汚面に生物やスケールなどが付着することを電気化学的に防止したり、水中に含まれる微生物や有機物の量を制御したり、電気化学的に水質を制御したりする機能も不安定になり、所望の効果を得ることが出来なくなってしまう。さらに、不安定状態のまま稼働させておくと、十分な制菌効果が得られないばかりか、作用極や対極が劣化する危険性があった。
本発明は、稼働中の電子制菌装置において、故障や異常のような非日常的事象の発生、また何らかのデータが予め定めた値に達したというような条件発生的事象の発生、またその傾向から故障の発生を予測することができるような、もしくは電子制菌効果を把握することのできるような、運行データ並びに環境計測データを計測し、該データ及び/又は予め定めた事象の少なくとも一つ以上の発生情報を検出する手段を設けると共に、この検出したデータに基づき電子制菌装置の電源出力を制御する電子制菌装置を提供することを課題とする。
本発明は、少なくともその一部もしくは全部が導電性基材より成る作用極と、前記導電性基材と短絡しない位置に対極を通電可能なように配置すると共に、前記作用極と生物との直接電子移動反応が発生する工程を少なくとも実施できるように、前記作用極と対極との間に通電する電源を設け、運行データ並びに環境計測データを計測し、該データ及び/又は予め定めた事象の少なくとも一つ以上の発生情報を検出する手段、及び状態通知手段を設けると共に、この検出したデータに基づき、電圧出力をオフにして通電を停止したり、通電停止後に電圧出力をオンにして通電を再開したり、前記電源の出力電圧が予め定めた範囲を超えた場合に、電位/電流の当初の指示値にかかわらず、前記電源の出力電圧を低下させて予め定めた範囲に規制するような出力調整を行い、前記データを定期的に、及び/又は予め定めた事象の少なくとも一つ以上の発生情報、及び/又は前記データが予め定めた条件に合致しない場合に電源出力を制御した後それらのデータを、情報の内容によって一つ以上の予め定めた通知先に自動通知することを特徴とする電子制菌装置を第一の要旨とし、前記運行データが、電位、電流、出力電圧であり、前記環境計測データが、電子制菌装置の運行に影響を与える環境条件である温度、電源状態、水圧、水量、水質、流速であることを特徴とする、請求項1に記載の電子制菌装置を第二の要旨とする。
ここで、電源状態とは、電子制菌装置に電力を供給する電源の電圧やこの電力が供給されているか否かといった状態を示すものである。
本発明に係る電子制菌装置は、稼働中の電子制菌装置において、故障や異常のような非日常的事象の発生、また何らかのデータが予め定めた値に達したというような条件発生的事象の発生、またその傾向から故障の発生を予測することができるような、もしくは電子制菌効果を把握することのできるような、運行データ並びに環境計測データを計測し、該データ及び/又は予め定めた事象の少なくとも一つ以上の発生情報を検出する手段を設けると共に、この検出したデータに基づき電子制菌装置の電源出力を制御することにより、
電気化学反応の発生が不安定になることにより生ずる被防汚面に生物やスケールなどが付着することを電気化学的に防止する機能、水中に含まれる微生物や有機物の量を制御する機能及び電気化学的に水質を制御したりする機能を最小限のメンテナンスで良好に維持し続けることができる。特に、電子制菌装置の電源出力を制御することで、不安定状態のまま稼働させておくことによる作用極や対極の劣化を防止できる。
電子制菌装置のうち、制菌機能を発現する部位は、少なくとも導電性基材と、対極と、前記導電性基材及び前記対極に通電可能なように設置された電源とを備え、前記導電性基材を被防汚面となるよう作用極となし、前記導電性基材と短絡しない位置に対極を通電可能なように配置すると共に、作用極と生物との直接電子移動反応が発生する工程を少なくとも実施できるように、作用極と対極との間に通電する電源が設けられ、運行データ並びに環境計測データを計測し、該データ及び/又は予め定めた事象の少なくとも一つ以上の発生情報を検出する手段を設けると共に、この検出したデータに基づき電子制菌装置の電源出力を制御できれば良い。また、作用極や対極の形状や材質、それぞれの個数、及び通電する電圧の大きさや電流量を制限するものではない。同様に、電子制菌装置を設置するにあたっては、導水路、熱交換器、台所の流し、浴室の排水口など、特に対象を限定するものではない。
作用極と対極との間に通電する電源は、出力制御装置として機能する物であり、例えば、電子制菌を実施する対象の条件によって、一定の電圧を出力し続けるものであったり、タイマによって通電のオン/オフを繰り返すものであったり、電位及び/又は電流を計測し、それらが予め定めた時間と共に変動する指示値と一致するようにフィードバック制御を行うものであったり、フィードバック制御の結果変動する出力電圧や電位/電流制御において流れる電流などの運行データが予め定めた範囲を超える異常事態が発生したことを検出して装置の出力を停止する機能を持つものであったりする。また、電子制菌装置自身は、コンセントによって電源を供給されるものでも、電池や蓄電池によって電源を供給されるものでもよい。
本発明の電子制菌装置においては、運行データ並びに環境計測データを計測し、該データ及び/又は予め定めた事象の少なくとも一つ以上の発生情報を検出する手段を設けると共に、この検出したデータに基づいて、制御状態が正常か異常か判断し、電源出力を制御できる機能を有するものであれば良い。電源出力の制御とは、データに基づく判断により、電圧出力をオフにして通電を停止したり、または通電停止後に電圧出力をオンにして通電を再開したりすることを指す。また、電位制御/電流制御において、出力電圧が予め定めた範囲を超えた場合に、電位/電流の当初の指示値にかかわらず、出力電圧を低下させて予め定めた範囲に規制するような出力調整と、上述の通電停止とを併用することが好ましい。
さらに、本電子制菌装置の構成には、状態通知手段を有するものが好ましい。
状態通知手段とは、出力制御装置や電極の状態を運行データとして計測したり、環境の状態を環境計測データとして計測したりし、それらのデータを定期的及び/又は非定期的に、もしくは運行データや計測データが予め定めた条件に合致した場合にそのような事象が発生したという情報やデータ自体を、予め定めた通知先に自動通知する機能を持つものを言う。
状態通知手段の構成は、出力制御装置の状態を運行データとして計測したり、環境の状態を環境計測データとして計測したりするデータ計測部、計測データが正常であるか異常であるかに関して予め定めた条件を記憶し、計測データをそれらの条件と比較し、通信部を制御して予め定めた通知先へのデータ通信を指示する演算処理部及び予め定めた通知先にデータを通信する機能を持つ通信部から成る。そこで、上記演算処理部に電源出力の制御を行わせることもできる。
状態通知手段におけるデータ計測部は、電子制菌装置において、上記した出力制御装置の状態を運行データとして計測するものである。計測データとしては、例えば、出力している電圧、電圧を出力している時間、参照極を構成要素として持つ場合に計測可能な、作用極及び対極の電位、両電極に流れる電流及び装置が正常に動作していることを示す任意個数の内部的な電圧データ等が挙げられる。
また上記データ計測部は、同様に、本電子制菌装置の運行に影響を与える環境の状態を環境計測データとして計測する。環境計測データとしては、例えば、本装置に供給される電源の状態、装置内部もしくは周辺の温度、被防汚面に接する水の水質、水量、計測可能な水圧や流速等が挙げられる。
勿論これらのデータは、全ての場合において全ての種類を計測する必要があるわけではない。電子制菌を実施する対象の条件によって計測可能なデータはそれぞれ異なるし、また監視すべきデータの種類や監視すべき頻度、また通知すべき異常事態の重大さの程度も場合によって異なる。
状態通知手段における演算処理部は、計測データが正常であるか異常であるかに関して予め定めた条件を記憶し、計測データをそれらの条件と比較する機能、運行データや環境計測データを、予め定めた通知先に定期的に自動通知するよう通信部へ指示する機能、及び/又は、少なくとも環境計測データの異常を感知し電源出力を制御する機能を有することもできる。
一般的な通知機能としては、電位、電流、出力電圧のような運行データ、又温度、水圧や、水質を表すpH、溶存酸素、化学的酸素要求量(COD)、導電率、水温等のような環境データを、1分から1時間もしくは1日に一回等適宜選択し、定期的に計測し、通知してもよいし、装置が起動した、もしくは、停止させたという情報や出力制御装置が電位や電流の正負を切り換える際に、運行データや環境データ等を通知する機能等が挙げられる。
また、運行データや環境計測データが予め定めた条件に合致して何らかの異常が発生したと判断できる場合に、異常の発生、及び異常を示したデータ、またそのときの他の運行データや環境計測データ等のうちから必要な情報を、予め定めた通知先に自動通知するよう通信部へ指示する機能やそれらに基づき電源出力を制御する機能を持つこともできる。例えば、装置や環境に何らかの異常が発生したのではなくても、データを定期的に、もしくはデータがある予め定めた条件に合致しない場合に電源出力を制御した後、それらのデータを、予め定めた通知先に自動通知するよう通信部へ指示する場合などが挙げられる。
以下に計測データが正常か異常か判断する基準について述べる。
運行データについては、例えば電位制御時には、制御対象値である電位が、指示値に対して1%以上、好ましくは、10%〜100%の変位を示した場合及び/又はその変位が1分以上、好ましくは10分〜120分継続した場合に、制御状態が異常であると判断することができる。
同様に、出力電圧が、電位の指示値に対して5%以上、好ましくは20%〜100%の変位を示した場合及び/又はその変位が1分以上、好ましくは10分〜120分継続した場合に、制御状態が異常であると判断することができる。
又、電流については、出力電圧値が安定している期間における電流値と比較して、5%以上、好ましくは20%〜100%の変位を示した場合及び/又はその変位が1分以上、好ましくは10分〜120分継続した場合に、制御状態が異常であると判断することができる。
次に、電流制御時には、制御対象値である電流が、指示値に対して1%以上、好ましくは10%〜100%の変位を示した場合及び/又はその変位が1分以上、好ましくは10分〜120分継続した場合に、制御状態が異常であると判断することができる。
同様に、電流の指示値に対して出力電圧が、5%以上、好ましくは20%〜100%の変位を示した場合及び/又はその変位が1分以上、好ましくは10分〜120分継続した場合に、制御状態が異常であると判断することができる。
一方、環境計測データについては、例えば、装置に供給される電源では、AC100Vで供給する場合、電源電圧の計測値を基準値に対して10%以上、好ましくは20%〜50%の変動を示した場合、及び/又はそれが1分以上、好ましくは10分〜120分継続した場合に、電源が異常であると判断することができる。
又、温度については、例えば出力制御装置内部の温度を計測値とした場合、高温によって装置に使用しているIC等の部品が損傷することを防ぐために、計測値が摂氏40度以上、好ましくは、60度〜80度を超過した場合、及び/又はそれが1分以上、好ましくは10分〜120分継続した場合に、装置の状態が異常であると判断することができる。
次に、水の水質、流速等については、電極表面で起こる電気化学反応に直接影響を与える要因であるので、初期設定時の電流値、電圧値、出力電圧値の計測値を基準値として、それぞれいずれかの測定値が1%以上、好ましくは10%〜100%の変位を示した場合及び/又はその変位が1分以上、好ましくは10分〜120分継続した場合に、制御状態が異常であると判断することができる。
上記したいずれの現象も、直接本装置の性能や過電流、過電圧といった現象による電極材料の劣化を引き起こし、電子制菌効果を減少させる要因となりうる情報である。従って、少なくとも、運行データや環境計測データが予め定めた条件に合致して何らかの異常が発生したと判断できる機能は重要な制御要件となる。
一方、過度の電源出力の制御は、目的とする効果を達成できない場合があるので、判定基準は、前段落に記載の範囲内で適宜選択して設定することが好ましい。
また、制御状態が異常であると判定する場合、例えば指示値を動的に変化させている期間及び指示値を一定にした直後は、電極を含めた系の構成及び出力制御装置の性能/設定によって決まる電位制御値や電流制御値の追従性能に起因するオーバーシュートやアンダーシュートが発生する可能性があり、必ずしも電位や電流は指示値と常に一致せず、従ってその期間の計測データは、異常判定の誤作動を誘引する原因となるため、異常発生の継続時間の設定は重要である。さらに、出力電圧は制御対象値ではないため、電極を含めた系の構成が安定し、出力電圧値が10分以上に渡り、10%以下の変動幅に安定した後に、異常判定基準を設定することが好ましい。
出力制御装置と状態通知手段は、それぞれ別体となし、制菌機能を発現する部位のデータを計測するための配線で結線した別々の装置でもよいし、全てを組み込んだ一体の装置となしてもよい。一般的に、出力制御装置は、電極の電位を計測するデータ計測部と、指示値を保持したり計測値から出力電圧値を計算するための演算処理部とを備えることが多いため、状態通知手段は、出力制御装置のデータ計測部及び演算処理部を共用し、統合したソフトウエア・プログラムによって動作するように構成することも可能である。
ただし、自動通知する内容の一つとして、停電などの電源に関する異常事態を自動通知するには、制菌装置に電力を供給する電源に異常が発生した後も、少なくともその事態の発生を予め定めた通知先に通知するまでは、状態通知手段は正常に稼働する必要がある。従って、電源に関する異常事態を通知する機能を持つためには、状態通知手段は、少なくとも異常事態の発生を予め定めた通知先に自動通知するのに必要な電力を供給できる電池を装備し、電源の状態を監視して、正常時は制菌装置に供給されるのと同一の電源から電力を受け、電源に停電などの異常が発生した場合には、状態通知手段に電池から電力を供給するように切り換える機能を持つようにして、出力制御装置とある程度独立させることが好ましい。
これは、制菌装置の電源がコンセントにより供給される場合にも、電池によって供給される場合にも当てはまるが、もともとの電源が電池である場合、状態通知手段の消費電力を抑え、正常時においても、出力制御装置と状態通知手段に電力を供給するために別々の電池を用意する構成も可能である。ここで電池は、乾電池を使用し、定期的に交換するようにしてもよいし、蓄電池を使用し、充電して再利用するようにしてもよい。状態通知手段に蓄電池を装備し、且つ装置の電力がコンセントにより供給される構成の場合は、コンセントから蓄電池に充電する機能を装備することにより、状態通知手段が非常時に動作しない危険性を低減させることが可能である。
状態通知手段における通信部は、演算処理部からの指示により通知先にデータを通信する機能を持つものである。通信接続手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、公衆電話回線、携帯電話、その他のデータ通信専用回線、ローカルエリア/ワイドエリアネットワーク、インターネットといった有線及び/又は無線の通信回線を用いたデータ通信が挙げられる。
詳細な通信部の実装としては、例えば、有線もしくは無線の電話回線を使用し、音声データを通報してもよい。通信部は公衆電話回線用のモデムや携帯電話及びモデムを装備し、通信端末を制御するATコマンド等を利用して自動的に公衆電話網もしくは携帯電話網を通して予め定めた一つ以上の通知先に電話をかけ、接続確立後に音声データを送出してから、接続を切断する。この場合、通知するべき内容を予め録音した音声データを用意してそれを用いてもよいし、音声合成技術を用いて通知内容を生成してもよい。通知する内容は、その内容を表現する言語によって形成されてもよいし、単音やそれらの組み合わせ及び配列によって形成される警報音でもよい。一方、自動通知を受ける側においては、管理者が直接その電話を受けて内容を聞くことができるし、留守番電話のような通話録音機能を持つ電話機を使用して通知内容を録音しておき、それを管理者が確認する形態を採用することも可能である。
また、音声データよりもより一般的なデータ通信を使用してもよい。この場合、通信回線としては、有線もしくは無線の電話回線を用いてもよいし、通知先が、同じ建物内や敷地内にあるなど比較的近隣に存在する場合は、有線もしくは無線のローカルエリア/ワイドエリアネットワークを使用してもよく、また構内無線をデータ通信に利用することも可能である。更に、有線もしくは無線のネットワークがルータ等を通してインターネットに接続している場合、インターネット経由のデータ通信を使用することも可能である。
このデータ通信の形態は、公衆電話網もしくは携帯電話網等を利用した通知先のデータ通信用装置との直接接続と、データ通信ハードウエア及びソフトウエアによる一対一のデータ通信を含む。より具体的には、電子制菌装置の通信部及び通知先のデータ通信装置は共に公衆電話回線用のモデムや携帯電話及びモデムを装備し、ATコマンド等を利用して自動的に電話をかけ、接続を確立する。電子制菌装置の状態通知手段の通信部と通知先のデータ通信装置が備える通信手段は、相互に接続が可能である限り、必ずしも双方に同じ種類のものを用意する必要はない。接続確立後、通信部は必要な情報を通知先のデータ通信装置に送信し、接続を切断する。また、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(NTTドコモ)のDoPaのようなパケット通信網を利用すれば、必要なときに電話をかけるのではなく、ほぼ常時接続を確保して、必要なときにデータを送出するようにすることができる。より具体的には、NTTドコモのDoPa対応端末Mobile Ark(例えばMobile Ark 9601KO等)を使用し、状態通知手段がシリアル接続経由でATコマンドを使用してデータ通信を行うことができる。
一方、有線もしくは無線のローカルエリアもしくはワイドエリアネットワークを使用したデータ通信は、10BASE−Tや無線LANを使用したTCP/IP通信が最も一般的である。電子制菌装置の状態通知手段及び通知先のデータ通信装置の双方が、有線もしくは無線の同じローカルエリアネットワークに接続していれば、電子制菌装置は通知先のデータ通信装置に直接接続してデータを送信することが可能である。
他に、公衆電話網もしくは携帯電話網を通してインターネットプロバイダに接続するか、又は有線もしくは無線のローカルエリアネットワークを介してルータに接続しそこからインターネットに接続すれば、インターネットによるデータ送信を利用することができる。電子制菌装置の状態通知手段はインターネット経由で電子メールにより情報を通知してもよいし、通知先のデータ通信装置にウェブサーバ機能を装備し、電子制菌装置の状態通知手段がデータ通信装置に情報をアップロードするようにしてもよく、また、電子制菌装置の状態通知手段はインターネット内のウェブサーバに情報をアップロードし、通知先のデータ通信装置が当該ウェブサーバに対して手動もしくは自動による定期的問い合わせを行うことにより通知情報を得るような構成も可能である。
状態通知手段は、通信部として、上記した構成のうち、電子制菌装置を設置する場所の環境条件や制菌の実施条件により、適当なものを選択して実装する。上記した構成のうちから一つを選んで実装してもよいが、冗長性を高めるためや通知先の条件が要求する場合などに、二つ以上の通信手段を同時に実装しても構わない。
通信手段を一つのみ実装する場合も複数実装する場合も、状態通知手段に予め複数の通知先を登録しておき、通知するべき情報が発生したときに、その情報の内容によって同一もしくは異なる一つ以上の通知先に自動通知することが可能である。例えば、定期的に通知する運行データは管理者にのみ通知し、異常事態が発生した場合には、管理者だけではなく予め登録した他の関係者にも自動通知する。
また、状態通知手段が二つ以上の通信手段を同時に実装する場合、通知するべき情報が発生したときに、やはりその情報の内容によって、いずれかの通信手段によってのみ通知するか、もしくは複数又は全ての通信手段によって通知するかを選択することができる。例えば、上記の例で言えば、定期的に通知する運行データは管理者のデータ通信装置にのみ計測データとして自動通知し、異常事態が発生した場合には、管理者だけではなく予め登録した他の関係者にも電子メールの形態で自動通知することも可能である。
作用極となる導電性基材は金属、樹脂、無機材料からなり、構造を維持する機能を有するものであれば特に限定されない。金属材料の例としては鉄、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、ニオブ、およびそれらの合金、ステンレス等が挙げられる。樹脂材料の例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。無機材料の例としては、ガラス、アルミナ、ジルコニア、セメント等が挙げられる。
作用極となる導電性基材として、樹脂、無機材料などの非導電性材料を用いる場合、導電性微粒子を材料に充填し、基材を形成することにより導電性を付与し用いればよい。導電性微粒子の例としては、グラファイト、カーボンブラック、カーボン繊維からなる短繊維などの炭素微粒子、金、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウムまたはこれらの貴金属の酸化物の微粒子、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化タンタル、窒化ニオブ、窒化クロム等の金属窒化物、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化タングステン等の金属炭化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハーフニウム、ホウ化バナジウム、ホウ化ニオブ、ホウ化タンタル、ホウ化クロム、ホウ化モリブデン、ホウ化タングステン等の金属ホウ化物、ケイ化チタン、ケイ化ジルコニウム、ケイ化ニオブ、ケイ化タンタル、ケイ化バナジウム、ケイ化タングステン等の金属ケイ化物などの微粒子が挙げられる。
また、上記導電性微粒子をバインダー樹脂に充填、分散させた導電性組成物を、前記非導電性材料製基材表面に被覆して導電性を付与してもよい。バインダー樹脂の例としては、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、ポリエステル−ウレタン樹脂、シリコン−ウレタン樹脂、シリコン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂や、熱硬化型のメラミン−アルキッド樹脂、メラミン−アクリル樹脂、メラミン−ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂、または天然ゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ニトリルブチレンゴム、ポリエチレンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリプロピレンエラストマー等のゴム弾性材料が挙げられる。導電性組成物は、導電性シートを形成して非導電性基材上に接着剤を介して積層したり、塗膜層として形成してもよい。
上記の導電性微粒子の他に、電子移動反応を促進する作用を有する特定の化合物を添加してもよい。すなわち、電子移動を媒介する電子メディエータを導電性材料と共に使用することによって、より効率的に反応を行うことができる。電子メディエータの例としては、フェロセン、フェロセンモノカルボン酸、フェロセンジカルボン酸または、〔(トリメチルアミン)メチル〕フェロセン等のフェロセンおよびその誘導体、H4Fe(CN)6、K4Fe(CN)6、Na4Fe(CN)6等のフェロシアン類、2,6−ジクロロフェノールインドール、フェナンジンメトサルフェート、ベンゾキノン、フタロシアニン、ブリリアントクレジルブルー、カロシアニン、レゾルシン、チオニン、N,N−ジメチル−ジスルフォネイティド・チオニン、ニューメチレンブルー、トブシンブルーO、サフラニン−O、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、ベンジルビオロゲン、アリザリンブリリアントブルー、フェノシアジノン、フェナジンエトサルフェート等が挙げられる。
この様な電子メディエータを担持した導電性基材としてはフェロセン修飾電極を挙げることができる。
また、抗菌性を有する材料を添加してもよい。抗菌性を有する物質は、無機物に属するものと有機物に属するものとがある。
無機物としては、銀、銅、ニッケル、亜鉛、鉛、ゲルマニウム等の金属およびこれらの酸化物、酸素酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、有機キレート化合物などが挙げられる。
有機物としては、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、4,5,6,7−テトラクロル−2−トリフルオロメチルベンズイミダゾール、10,10’−オキシスフェノキシアルシン、トリメトキシシリル−プロピルオクタデシルアンモニウムクロライド、2−N−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛などが挙げられる。
さらに、導電性基材の一部又は全部が、少なくともチタン、チタン合金及びそれらの酸化物や白金及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物からなるものを使用してもよい。このような導電性基材に電位を印加することにより、水や海水から酸素や塩素の発生の無い正電位を印加することにより、導電性基材表面に直接または間接的に接触する水生生物を殺菌し、増殖を抑制すると共に、酸素や塩素が発生する電位を印加することにより、水や海水などから塩素化合物や酸素などの電解物質を生成させ、導電性基材表面に直接または間接的に接触する水生生物の殺菌及びスケールなどの有機物の脱離洗浄、また導電性基材を再活性化させることができる。
電解液が海水の場合には、塩素過電圧が酸素過電圧より低い正電位となるように、少なくともチタン、チタン合金及びそれらの酸化物や白金及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物を構成することが好ましい。また、電解液が塩素化合物を含まない水の場合には、酸素過電圧が、微生物との直接電子移動反応が起こる電位との間に電位差が認められる正電位となるように、白金及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物を構成することが好ましい。導電性基材の基盤上に上記の物質を導電性膜となしたものも好ましく用いられる。
この導電性膜は、金属又はその化合物から構成でき、具体的には、白金族金属、バルブ金属及びそれらの酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物の何れかから構成することができる。特に、金属酸化物が、酸化チタン、酸化ロジウム、酸化パラジウム、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化スズおよび酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タンタル及び酸化ジルコニウムから選ばれた少なくとも1種又は2種以上から構成されることが好ましい。
導電性膜を形成するに当たっては、溶射やスパッタリング、イオンプレーティングなどの方法を採用することができる。
金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物については既に記載してあるが、記載した材料はその一部であり、形成方法によっては2種類以上の金属が含まれたり、酸化物の一部が含まれたり、さらにはこれらの化合物が2種以上混合されることから、特に限定はされない。これらの金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物は0.1μm以上の厚さの膜であればよく、最大の厚さは特に限定しないが、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物の形成方法や使用目的により適宜設定すればよい。
本発明で使用される対極は、全体が導電性材料から形成されていてもよいが、少なくともその表面または水中に浸漬している一部表面が導電性であることが必要である。上記作用極である導電性基材と同様の材料を対極材料として用いることができる。
また、対極形状は特に限定されることなく、板状、くし状、棒状、円錐状、円筒状等を単数もしくは複数又はこれらを組み合わせて用いればよい。
尚、本発明により利用できる水は、特に限定されない。例えば、海水、河川の水、湖沼の水、水道水、飲料水、または各種緩衝液などが挙げられる。また、対象となる生物も、それらの水中に存在する生物であれば特に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例中図1〜5は、装置図面が煩雑にならないよう単純な構成を模式的に表現したものである。本発明は、以下の実施例に限定されるものでなく、本発明の技術範囲において、種々の変形例を含むものである。また、各実施例において、同じ構成については同じ参照符号を付けた。
(実施例1)
図1は実施例1になる電子制菌装置及びデータ通信装置のブロック図である。海水導水路の壁面に導電性基材1としてチタン材を敷設し、対極2及び参照極3をそれぞれ設置した。導電性基材1、対極2及び参照極3は、相互に直接短絡せず、海水によって通電可能なように配置した。予め必要な出力電圧が判明している場合、もしくは電流制御を主に行う場合などは、参照極3を特に必要としないため、設置しない構成も可能である。出力制御装置4は導電性基材1と対極2の間に電圧を出力する。出力制御装置4は、導電性基材1、対極2、及び参照極3の電位、又導電性基材1に流れる電流を計測する機能を持ち、後述するように、予め指定した電位もしくは電流を得るように出力電圧を制御することが可能である。また出力制御装置4は水位計測手段5を持ち、流量や潮位などによる水位の変化を計測することができる。本実施例では、水位計測手段5として、超音波を発して水面から反射してくるまでの時間を計測し、その時間から水位計測手段5と水面の距離を計測するものを使用した。予め、導電性基材1と水位計測手段5との間の距離を計測しておくことで、水位計測手段5から水面までの距離を水位に換算することができ、導電性基材1の没水状態を知ることができる。
状態通知手段6は、データ計測部7、演算処理部8、及び通信部である公衆回線用モデム9とからなり、演算処理部8がデータ計測部7のデータ計測を制御し、この計測データに基づいて条件判定を行い、必要な場合に公衆回線用モデム9を制御し、送信を行わせる。データ計測部7による計測データと出力制御装置4による計測データとは、一部重複する可能性があるが、この場合は一方が計測したデータを他方が共有することも出来る。また、共有せずに、出力制御装置4とデータ計測部7が独立して同じデータを計測することにより、両者のデータ計測機能が正常に動作しているか否かを判断することもできる。演算処理部8は、内部に持つメモリに、条件判定に使用する基準値、通知先等を記憶し、また必要な場合に一定量の運行データや環境計測データを記憶する。状態通知手段6は、ATコマンドを用いて公衆回線モデム9を制御し、公衆電話網10を通じて、公衆回線用モデム9を備えたデータ通信装置11と通信し、情報を自動通知する。
また、本実施例においては、状態通知手段6は、予め定めた通知先に接続するだけでなく、予め定めた通知先からの通信を待ち受ける受動的な通信機能も備える構成とした。これにより、予め定めた通知先に設置されたデータ通信装置11は、公衆回線用モデム9及び公衆電話網10を通じて状態通知手段6に接続し、演算処理部8に記憶している運行データを受信したり、出力制御装置4の動作設定を変更することが可能である。なお、本実施例では電子制菌装置の電源としてAC100Vを使用するが、状態通知手段6は、図示しない蓄電池を備え、電源のAC100Vが停電した場合には、一定時間動作を継続することが可能である。電源のAC100Vが停電すると、出力制御装置4は動作を停止し、状態通知手段6は、蓄電池により動作して、停電の発生を予め定めた通知先に通知する。電源のAC100Vが停電から復旧すると、出力制御装置4は再び動作を開始する。
図2は出力制御装置4及び電極の簡易的な電気的ブロック図である。図示しない電源は、MPU(マイクロプロセッシングユニット)12、OPアンプ13、OPアンプ14に電力を供給する。出力制御装置4は、導電性基材1、対極2、及び参照極3とリード線もしくはケーブルなどで電気的に接続している。
MPU12はCPU(中央処理装置)、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(読み書き可能メモリ)、D/A変換器(デジタル・アナログ変換器)、A/D変換器(アナログ・デジタル変換器)などを必要に応じて集積したマイクロプロセッサであるが、各要素に関して独立した部品を使用してもよい。MPU12は、ROMに予め収めたプログラムを読み出し、RAMやレジスタを作業領域としてCPUによる演算処理を実行する。OPアンプ13はMPU12の電圧指示に応じて導電性基材1に電圧を出力する。OPアンプ14はMPU12の電圧指示に応じて対極2に電圧を出力する。
MPU12は、導電性基材1、対極2、及び参照極3の電位をそれぞれ計測することができる。MPU12は、参照極3の電位を基準にして導電性基材1の電位を算出して、それらが所定の電位になるようにOPアンプ13、14の出力を調整することにより、電位制御を実現できる。
一方、MPU12は、電流検出抵抗15の両端の電位を計測して、導電性基材1に流れる電流を算出することができる。電流検出抵抗は、必要に応じて対極側に配置してもよいし、両側に配置してもよい。MPU12が、電流計測値が所定の値になるようにOPアンプ13、14の出力を調整することにより、電流制御を実現することができる。
出力制御装置4及び状態通知手段6は、導電性基材1、対極2及び参照極3を設置した海水導水路壁面の脇に風雨を避けるために制御盤を設置し、その中に配置した。制御盤へは、AC100Vの配線及び公衆電話回線を敷設した。
実施例1の電子制菌装置の生物付着抑制効果を確認するために、下記の制御条件で6ヶ月間試験を実施した。
開始時の制御条件:導電性基材1に
85mA/mで180分間通電後、
−50mA/mを40分間通電し、これを繰り返した。
発明者の常勤する工場の部署を通知先として予め定め、データ通信装置11を設置した。
電子制菌装置の通知先への通知条件としては、以下のようなものを設定した。
(1)電源異常が発生した場合の通知条件としては、装置に供給される電源がAC100Vで供給されていたため、電源電圧の計測値を基準値に対して20%以上の変動を示した場合、もしくは10%以上の変動を示し、それが1分以上継続した場合とした。
(2)装置起動異常(例えば停電から復旧したことを示す)が発生した場合の通知条件としては、停電通知後、2日程度経過しても装置起動を確認できなかった場合とした。
(3)電流制御における出力電圧異常(電流制御において、指示電流を実現するために、設定した範囲を超えて電圧を出力していること、もしくは装置の故障、電極系の断線や異物の接触等、出力している電圧と計測している電圧が一致しないこと等を示す。過電圧は電極材料の劣化を引き起こす可能性がある)が発生した場合の通知条件としては、出力電圧が、電流の指示値に対して20%以上の変位を示した場合、もしくは5%以上の変位を示し、その変位が1分以上継続した場合とした。
(4)異常電流(電流制御において、流れる電流値が予め定めた下限値を下回る場合や、上限を上回る過剰電流が流れることを示す。電流値が少なくなると、生物付着抑制効果が低下することが懸念され、電流値が多くなると電極材料の劣化が懸念される。)が発生した場合の通知条件としては、制御対象値である電流が、指示値に対して10%以上の変位を示した場合、もしくは1%以上の変位を示し、その変位が1分以上継続した場合とした。
(5)水位低下異常(水位が低下して導電性基材1の一部分のみ没水する状態になると、電流制御においては、没水部に指示値よりも大きな電流密度で電流が流れてしまい、電極材料の劣化を引き起こす可能性がある)が発生した場合の通知条件としては、導電性基材1の没水しない面積が50%以上になった場合、もしくは没水しない面積が30%以上となり、その状態が120分以上継続した場合とした。
異常が発生して通知条件が満たされた場合は、通知を行う前に出力を制御即ち停止するようにした。但し、水位低下異常については、水位が異常である条件を満たさなくなった場合、出力を再開するようにした。
本実施例における試験は、電流制御により実施した。試験期間中、停電通知が発生し、その場合、2日経過して装置起動異常通知を受け取ったので、電子制菌装置を設置している現場に要員を派遣して状況を確認し、必要な対応をとった。また、潮位の低下によると考えられる水位低下異常通知が、主に大潮時に100回以上発生し、その都度本装置の電源出力を制御即ち停止したが、全て水位が復旧した時点で出力が再開された。
(実施例2)
実施例2として、水位計測手段5を装備しないことを除いて実施例1と同一の構成である電子制菌装置及びデータ通信装置11を用いて試験を実施した。導電性基材1、対極2及び参照極3も同様に設置した。異常通知条件としては、実施例1の(1)から(4)までの通知条件を用い、水位計測手段5を装備しないことから、(5)の水位低下異常通知は行わなかった。異常が発生して通知条件が満たされた場合は、通知を行う前に出力を制御即ち停止するようにした。
本実施例における試験は、実施例1と同時に同様の通電条件で、電流制御により6ヶ月間実施した。試験期間中、停電通知が発生し、その場合、2日経過して装置起動異常通知を受け取ったので、電子制菌装置を設置している現場に要員を派遣して状況を確認し、必要な対応をとった。また、潮位低下に伴う導電性基材1の没水面積の減少に起因すると思われる出力電圧の上昇により、主に大潮時に、十数回、出力電圧異常が発生し、その都度本装置の電源出力を制御即ち停止した。これに対して、電子制菌装置を設置している現場に要員を派遣して状況を確認し、出力制御装置をチェックして装置の故障でないことを確認した上で、再度装置を稼働させた。
(実施例3)
実施例3として、図3のブロック図に示す様に、状態通知手段6を装備しないことを除いて実施例1と同一の構成である電子制菌装置を用いて試験を実施した。導電性基材1、対極2及び参照極3も同様に設置した。異常判定条件としては、実施例1の(1)から(5)までの通知条件を用い、異常が発生した場合には出力を制御即ち停止するようにした。ただし、(5)の水位低下異常については、水位が異常である条件を満たさなくなった場合、出力を再開するようにした。
本実施例における試験は、実施例1と同時に同様の通電条件で、電流制御により6ヶ月間実施した。試験期間中、停電が発生し、ほぼ1ヶ月おきに実施した定期点検まで停止し続けたことがあった。定期点検の際、状況を確認して対処し、復旧させた。また、潮位の低下によると考えられる水位低下異常が、主に大潮時に100回程度発生し、その都度本装置の電源出力を制御即ち停止したが、全て水位が復旧した時点で出力が再開された。
(実施例4)
実施例4として、水位計測手段5を装備せず、また状態通知手段6を装備しないことを除いて実施例1と同一の構成である電子制菌装置を用いて試験を実施した。導電性基材1、対極2及び参照極3も同様に設置した。異常判定条件としては、実施例1の(1)から(4)までの通知条件を用い、水位計測手段5を装備しないことから、(5)の水位低下異常判定を行わなかった。異常が発生した場合には出力を制御即ち停止するようにした。
本実施例における試験は、実施例1と同時に同様の通電条件で、電流制御により6ヶ月間実施した。試験期間中、停電が発生し、ほぼ1ヶ月おきに実施した定期点検まで停止し続けたことがあった。定期点検の際、状況を確認して対処し、復旧させた。また、潮位低下に伴う導電性基材1の没水面積の減少に起因すると思われる出力電圧の上昇により、主に大潮時に、数回、出力電圧異常が発生し、その都度本装置の電源出力を制御即ち停止した。これらの場合も、定期点検まで出力は停止し続け、定期点検の際、状況を確認して対処し、復旧させた。
(比較例1)
比較例として、状態通知手段6を装備しないことを除いて実施例1と同一の構成である電子制菌装置を用いて試験を実施した。導電性基材1、対極2及び参照極3も同様に設置した。但し、異常判定並びにこれに伴う出力制御即ち停止は一切行わなかった。
出力制御装置4は水位計測手段5を持ち、流量や潮位などによる水位の変化を計測することができ、水位が導電性基材1の没水する面積が50%を超えない状態になった場合、指示電流値を所定の50%に低下させた工程を実施するようにした。
本実施例における試験は、実施例1と同時に同様の開始時通電条件で、電流制御により6ヶ月間実施した。試験期間中、停電が発生し、ほぼ1ヶ月おきに実施した定期点検まで停止し続けたことがあった。定期点検の際、状況を確認して対処し、復旧させた。また、主に大潮時に100回程度、潮位の低下により導電性基材1の没水する面積が50%を超えない状態になった場合が発生したが、本装置の電源出力を制御即ち停止せずに、指示電流値を所定の50%に低下させた上記工程を実施した。
実施例1〜4及び比較例1のそれぞれの作用極である導電性基材1に対する6ヶ月経過後の生物付着量及び導電性基材1の劣化状況を目視にて評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0004229047
実施例1では、通知手段を有しており、停電発生時においても短い停止時間で復旧させることができ、また、水位計測手段をも有しており、潮位低下時の電源出力停止に対しても潮位回復と共に復旧できたため、生物付着は認められなかった。更に、潮位低下時には電源出力を停止したため、導電性基材の没水面積減少による没水部分への過度の電流集中もなく、作用極である導電性基材の劣化も認められなかった。
実施例2では、通知手段を有しており停電発生時においても、短い停止時間で復旧させることができた。しかし、水位計測手段を持たず、潮位低下時には導電性基材の没水面積減少による没水部分への電流集中の結果発生する出力電圧異常によって電源出力を停止した。これに対して、電子制菌装置を設置している現場に要員を派遣して状況を確認し、出力制御装置をチェックして装置の故障でないことを確認した上で、再度装置を稼働させた。出力電圧異常の場合は、異常の原因が潮位低下であるか否かの判断がつかないために自動で動作を再開するのが危険なためである。したがって、実施例1よりは長い停止時間を要し、やや生物付着が認められた。また、作用極である導電性基材の下部には微量ではあるが不均一な酸化物の発色が確認され、導電性基材はやや劣化しているものと認められた。
実施例3では、水位計測手段を有しており、潮位低下時には電源出力を停止したため、導電性基材の劣化は認められなかった。また、潮位低下時の電源出力停止に対しても潮位回復と共に復旧できたものの、通知手段を持たず装置を定期的にチェックすることしかできなかったため、停電発生時において、気づくのが遅れることがあり復旧までに相当期間の停止時間を要し、生物付着が認められた。
実施例4では、通知手段を持たず装置を定期的にチェックすることしかできなかったため、停電発生時において、気づくのが遅れることがあり復旧までに相当期間の停止時間を要した。更に、水位計測手段を持たず、潮位低下時には導電性基材の没水面積減少による没水部分への電流集中の結果発生する出力電圧異常によって電源出力を停止した。これに対して、電子制菌装置を設置している現場に要員を派遣して状況を確認し、出力制御装置をチェックして装置の故障でないことを確認した上で、再度装置を稼働させた。したがって、実施例3よりは長い停止時間を要し、生物付着が認められた。また、作用極である導電性基材の下部には微量ではあるが不均一な酸化物の発色が確認され、導電性基材はやや劣化しているものと認められた。
比較例1では、水位計測手段を有するものの、潮位低下時には電源出力を停止せずに、指示電流値を所定の50%に低下させた工程を実施したため、潮位低下時には導電性基材の面積が小さくなった没水部分へ長時間にわたって通電されることとなり、電流集中が発生し、導電性基材の下部には不均一な酸化物の発色が、更に、導電性基材の下端では腐食が観察され、導電性基材の溶出も確認された。この作用極としての導電性基材の著しい劣化により、電気化学的な機能も不安定になり、十分な制菌効果が得られず、更に、通知手段を持たず装置を定期的にチェックすることしかできなかったため、停電発生時において、気づくのが遅れることがあり復旧までに相当期間の停止時間を要したことから、大量の付着生物が確認された。
実施例1〜4においては、水位低下に対して電源出力を停止させる対応をしているため、導電性基材の表面に異常な発色もしくは腐食などは殆ど見られず、異常を検出して電源出力を停止することが、作用極である導電性基材の劣化及びそれに伴う電子制菌効果の減少を防止することが確認された。
(実施例5)
図4は実施例5になる電子制菌装置及びデータ通信装置のブロック図である。海水を使用する平板型熱交換器16のチタン製熱交換用プレートを導電性基材1とし、対極2を、導電性基材1と短絡せず、且つ導電性基材1と海水によって通電可能な位置に設置した。出力制御装置4は導電性基材1と対極2の間に電圧を出力する。出力制御装置4は、導電性基材1、対極2の電位、又導電性基材1に流れる電流を計測する機能を持ち、本実施例においては、予め指定した電流を得るように出力電圧を制御することが可能である。
状態通知手段6は、データ計測部7、演算処理部8、及び通信部であるDoPa端末(Mobile Ark 9601KO)16とからなり、演算処理部8がデータ計測部7のデータ計測を制御し、この計測データに基づいて条件判定を行い、必要な場合にDoPa端末17を制御し、送信を行わせる。演算処理部8は、内部に持つメモリに、条件判定に使用する基準値、通知先等を記憶し、また必要な場合に一定量の運行データや環境計測データを記憶する。状態通知手段6は、ATコマンドを用いてDoPa端末17を制御し、DoPa網18を通じて、同じくDoPa端末17を備えたデータ通信装置11と通信し、情報を自動通知する。また、本実施例においては、状態通知手段6は、予め定めた通知先に接続するだけでなく、予め定めた通知先からの通信を待ち受ける受動的な通信機能も備える構成とした。
なお、本実施例では電子制菌装置の電源としてAC100Vを使用するが、状態通知手段6は、図示しない蓄電池を備え、電源のAC100Vが停電した場合には、一定時間動作を継続することが可能である。電源のAC100Vが停電すると、出力制御装置4は動作を停止し、状態通知手段6は、蓄電池により動作して、停電の発生を予め定めた通知先に通知する。電源のAC100Vが停電から復旧すると、出力制御装置4は再び動作を開始する。
出力制御装置4及び状態通知手段6は、導電性基材1、対極2及び参照極3を設置した熱交換器16の脇に風雨を避けるために制御盤を設置し、その中に配置した。DoPa端末17のアンテナは制御盤の外部に設置した。又、制御盤へは、AC100Vの配線を敷設した。
実施例5の電子制菌装置の生物付着抑制効果を確認するために、下記の制御条件で3ヶ月間試験を実施した。
開始時の制御条件:導電性基材1に
85mA/mで180分間通電後、
−50mA/mを40分間通電し、これを繰り返した。
発明者の常勤する工場の部署を通知先として予め定め、データ通信装置11を設置した。電子制菌装置の通知先への通知条件としては、以下のようなものを設定した。
(1)電源異常が発生した場合の通知条件としては、装置に供給される電源がAC100Vで供給されていたため、電源電圧の計測値を基準値に対して20%以上の変動を示した場合、もしくは10%以上の変動を示し、それが1分以上継続した場合とした。
(2)装置起動異常(例えば停電から復旧したことを示す)が発生した場合の通知条件としては、停電通知後、2日程度経過しても装置起動を確認できなかった場合とした。
(3)電流制御における出力電圧異常(電流制御において、指示電流を実現するために、設定した範囲を超えて電圧を出力していること、もしくは装置の故障、電極系の断線や異物の接触等、出力している電圧と計測している電圧が一致しないこと等を示す。過電圧は電極材料の劣化を引き起こす可能性がある)が発生した場合の通知条件としては、電流の指示値に対して出力電圧が、20%以上の変位を示した場合、もしくは5%以上の変位を示し、その変位が1分以上継続した場合とした。
(4)異常電流(電流制御において、流れる電流値が予め定めた下限値を下回る場合や多い電流が流れることを示す。電流値が少なくなると、生物付着抑制効果が低下することが懸念され、電流値が多くなると電極材料の劣化が懸念される)が発生した場合の通知条件としては、制御対象値である電流が、指示値に対して10%以上の変位を示した場合、もしくは1%以上の変位を示し、その変位が1分以上継続した場合とした。
異常が発生して通知条件が満たされた場合は、通知を行う前に出力を制御即ち停止するようにした。
本実施例における試験は、電流制御により実施した。試験期間中、指示電流を流すためにフィードバック制御している出力電圧が上昇し、上限として設定した範囲を超えたために、出力電圧異常通知が発生した。このとき出力制御装置4は、出力電圧異常として装置を停止した。これに対して、電子制菌装置を設置している現場に要員を派遣して状況を確認し、出力制御装置をチェックして装置の故障でないことを確認した上で、指示電流の値を下げるなど対処し、再度装置を稼働させた。
(比較例2)
比較のため、図5に示す、実施例5の電子制菌装置において状態通知手段6を持たない電子制菌装置を設置し、実施例5の開始時と同じ条件の電流制御により開始し、3ヶ月間試験を実施した。
海水を使用する平板型熱交換器16のチタン製熱交換用プレートを導電性基材1とし、対極2を、導電性基材1と短絡せず、且つ導電性基材1と海水によって通電可能な位置に設置した。出力制御装置4は導電性基材1と対極2の間に電圧を出力する。出力制御装置4は、導電性基材1、対極2の電位、又導電性基材1に流れる電流を計測する機能を持ち、本実施例においては、予め指定した電流を得るように出力電圧を制御することが可能である。なお、本比較例では電子制菌装置の電源としてAC100Vを使用する。電源のAC100Vが停電すると、出力制御装置4は動作を停止する。電源のAC100Vが停電から復旧すると、出力制御装置4は再び動作を開始する。
本比較例にかかる試験においては、ほぼ1ヶ月おきに、電子制菌装置を設置した場所に要員が赴き、チェックを行った。その際、記録を参照したところ、実施例5と同様に、指示電流を流すためにフィードバック制御している出力電圧が上昇する現象が発生したことが確認された。しかし、生物付着抑制効果を確認するための制御条件、電源復帰等の対処は一切行わなかった。
3ヶ月経過後に、実施例5及び比較例2のそれぞれの導電性基材1に対する生物付着量の目視評価を行った。その結果、実施例5における導電性基材1に対する生物付着量は、比較例2における導電性基材1に対する生物付着量に比して少なく、状況の変化や異常事態が自動通知されることによって、予め想定しておらずプログラミングにも織り込めていない異常事態に対しても、通知を受けた人間が迅速に有効な対応をとれることが、生物付着量の制御に非常に有効であることが確認された。また、比較例2においては、導電性基材1の表面には不均一な酸化物の発色が確認され、過電圧によって電極材の劣化が惹起されたと考えられるのに対して、実施例5においては、導電性基材1の表面に異常な発色は見られず、異常を検出して電源出力を停止することが、電極材の劣化及びそれに伴う電子制菌効果の減少を防止することが確認された。
実施例1の構成図 電気的ブロック図 実施例3の構成図 実施例5の構成図 比較例2の構成図
符号の説明
1 導電性基材
2 対極
3 参照極
4 出力制御装置
5 水位計測手段
6 状態通知手段
7 データ計測部
8 演算処理部
9 公衆電話用モデム
10 公衆電話網
11 データ通信装置
12 MPU(マイクロプロセッシングユニット)
13 OPアンプ
14 OPアンプ
15 電流検出抵抗
16 熱交換器
17 DoPa端末
18 DoPa網

Claims (2)

  1. 少なくともその一部もしくは全部が導電性基材より成る作用極と、前記導電性基材と短絡しない位置に対極を通電可能なように配置すると共に、前記作用極と生物との直接電子移動反応が発生する工程を少なくとも実施できるように、前記作用極と対極との間に通電する電源を設け、運行データ並びに環境計測データを計測し、該データ及び/又は予め定めた事象の少なくとも一つ以上の発生情報を検出する手段、及び状態通知手段を設けると共に、この検出したデータに基づき、電圧出力をオフにして通電を停止したり、通電停止後に電圧出力をオンにして通電を再開したり、前記電源の出力電圧が予め定めた範囲を超えた場合に、電位/電流の当初の指示値にかかわらず、前記電源の出力電圧を低下させて予め定めた範囲に規制するような出力調整を行い、前記データを定期的に、及び/又は予め定めた事象の少なくとも一つ以上の発生情報、及び/又は前記データが予め定めた条件に合致しない場合に電源出力を制御した後それらのデータを、情報の内容によって一つ以上の予め定めた通知先に自動通知することを特徴とする電子制菌装置。
  2. 前記運行データが、電位、電流、出力電圧であり、前記環境計測データが、電子制菌装置の運行に影響を与える環境条件である温度、電源状態、水圧、水量、水質、流速であることを特徴とする、請求項1に記載の電子制菌装置。
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