JP2005185206A - 被防汚導電性部材及びその電気化学的制御方法 - Google Patents

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Toshihiro Takimoto
利宏 瀧本
Hiromichi Takahashi
弘道 高橋
Hitoshi Wake
仁志 和気
Tadashi Matsunaga
是 松永
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Abstract

【課題】 本発明は、海洋構造物、船舶、水輸送用の配管又は水路、漁網、熱交換器あるいは、海水取水口のスクリーンなどに生物やスケールなどが付着することを電気化学的に防止する被防汚導電性部材及びその電気化学的制御方法を課題とする。
【解決手段】 本発明に係る被防汚導電性部材は、金属基材を酸化処理して成る被防汚導電性部材に、電気化学反応が起こる電位を印加できるように電極及び電源を設け、被防汚導電性部材に生物が付着することを抑制する効果と防汚機能を出力電圧の調節によって維持向上する効果を示し、長期間高い防汚効率が維持され、且つ、金属基材を酸化処理して成る被防汚導電性部材としたことにより電位印加による酸化が抑制されるため耐久性のある被防汚導電性部材及び電気化学的制御方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、海洋構造物、船舶、水輸送用の配管又は水路、漁網、熱交換器あるいは、海水取水口のスクリーンなどに生物やスケールなどが付着することを電気化学的に防止する
金属基材を酸化処理して成る被防汚導電性部材及びその電気化学的制御方法に関する。
海水や淡水中には多くの生物が存在し、水中構造物表面に付着し、様々な問題を引き起こしている。例えば、船舶に付着すると推進抵抗の増大といった問題が発生する。また、養殖用生け簀に付着すると海水の交流阻害といった問題が発生する。更に、定置網などの漁網に付着すると網成りの変形といった問題などが発生する。
また、給排水のパイプ内やバルブ等に付着した微生物は海水や淡水を介して人や生産物を汚染するといった問題を発生する。
海水や淡水に接している構造物表面への生物の一般的な付着機構は以下の通りである。まず付着性のグラム陰性菌が構造物表面に吸着して脂質に由来するスライム状物質を多量に分泌する。さらにグラム陰性菌は、このスライム層に集まって増殖し、微生物皮膜を形成する。そして、海水中ではこの微生物皮膜上に大型生物である藻類、貝類、フジツボ等の大型の生物が付着する。付着した大型生物が繁殖成長し、最終的に水中構造物表面を覆い尽くすことになる。
上記、海水や淡水に接している水中構造物の表面に付着した生物による汚染に対する防汚方法としては、殺菌性を有する物質を被防汚面に添加したり、有機スズ系化合物を含有した塗料で塗膜を形成し、有機スズ系化合物を溶出させたり、海水を電気分解する事により発生する塩素を利用したりする防汚方法が一般的に行われていた。しかし、これらの方法は有害物質が発生し、水質の汚染による生物への影響が懸念される
近年、有害物質を発生させないで電気化学的に水中構造物や海水や淡水に接しているものの表面などに付着する生物を制御する方法が提案されている。この電気化学的な生物の制御方法は、微生物との直接電気化学反応が確認されている所定電位以上の電位を微生物に印加すると、微生物内部の酸化還元物質の一つである補酵素Aが不可逆的に酸化され、微生物の呼吸活性及び微生物膜の透過障壁の低下を誘発し、微生物を死滅させることが可能であるというものである(特公平6−91821号公報:特許文献1参照)。また、特開平9−248554号公報(特許文献2参照)には、水中において、導電性基板に正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基板表面に吸着して殺菌する工程と、前記導電性基板にさらに高い正電位を印加することにより、前記導電性基板表面に吸着している微生物の細胞を破壊し、導電性基板に付着し殺菌された微生物やその分解物を脱離する工程とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。また、特許3105024号公報(特許文献3参照)には、水中において、導電性基板に正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基板表面に吸着して殺菌する工程(+0〜1.5VvsSCE)と、前記導電性基板に負電位を印加することにより、前記導電性基板表面に吸着している殺菌された微生物を脱離する工程(−0〜−0.4VvsSCE)とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。また、特開2001−198572号公報(特許文献4参照)には、水中において、導電性基板に電気分解の起こらない正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基板表面に吸着して殺菌する工程と、前記導電性基板に電気分解の起こる負電位を印加し、導電基板表面を還元すると共にアルカリ性物質を導電性基板表面に誘導し、前記導電性基板表面に吸着している殺菌された微生物やその分解物を脱離する工程とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。
また、特開2003−155583号公報(特許文献5参照)には、被防汚面の一部又は全部が、少なくとも白金及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物からなる導電性基材を用いた電気化学的防汚方法が開示されている。
さらに、近似した防汚方法としては、導電性基板に酸素を発生させて防汚する方法が、特公平1−46595号公報(特許文献6参照)及び特開平11−303041号公報(特許文献7参照)に開示されている。これらの方法では、塩素発生電位以下で酸素発生する電位を0.55V〜1.1V程度とする範囲として制御している。
しかしながら、前記電気化学的防汚方法では、細胞と導電性基材とが直接接触したときに微生物の殺菌ができることを明らかにしているのに対して、上記近似した防汚方法では、ほぼ同電位にて発生する酸素が、導電性基材に接触しない微生物を殺菌し、防汚できること示す明確な証明がない。従って、導電性基材に微生物などが付着しないのは、前記電気化学的防汚方法との概念的分離が難しい。
また、導電性塗膜皮膜に正電位を印加し、次亜塩素酸イオンや塩素イオンを生成させる防汚方法が、特公平6−15069号公報(特許文献8参照)及び特公平8−14036号公報(特許文献9参照)に記載されており、海水電解装置による塩素注入方式による防汚効果を、被防汚面で直接塩素などを発生させているものと考えられる。
特公平6−91821号公報(第3頁第42行〜第46行、第8頁第42行〜第44行) 特開平9−248554号公報(第6頁第4行〜第8行) 特許3105024号公報(第3頁第20行〜第27行、図1−4) 特開2001−198572号公報(第3頁第5行〜第8行) 特開2003−155583号公報 特公平1−46595号公報(第5頁第3行〜第6行、第5頁第30行〜第34行) 特開平11−303041号公報(第5頁第5行〜第6行、図1) 特公平6−15069号公報(第3頁第1行〜第6行) 特公平8−14036号公報(第3頁第10行〜第12行)
本発明は、水質汚染の懸念が無く、水中構造物や海水や淡水に接しているものの表面などに付着する生物を極力抑制し、長期間防汚機能が維持し得る電気化学的制御機能を有した被防汚導電性部材及びその電気化学的制御方法を提供することを課題とする。
本発明は、対極と電気的に短絡しない位置に配置され、少なくとも直流電源により前記対極と通電されることによって、電気化学的に生物または生物付着を制御するために用いられる被防汚導電性部材であって、前記被防汚導電性部材が金属基材を酸化処理したものであることを特徴とする被防汚導電性部材を第1の要旨とし、前記被防汚導電性部材が、金属基材を300℃以上の温度で熱酸化処理したものであることを特徴とする被防汚導電性部材を第2の要旨とし、前記被防汚導電性部材が、チタンまたはチタン合金基材を酸化処理したものであることを特徴とする第1又は第2の要旨に記載の被防汚導電性部材であることを第3の要旨とする。また、第1乃至第3の何れかの要旨に記載の被防汚導電性部材が、少なくとも直流電源により対極と通電されることにより電気化学的に生物または生物付着を制御するための電気化学的制御方法において、前記被防汚導電性部材と前記対極との間に定電流を通電することを特徴とする電気化学的制御方法を第4の要旨とし、前記定電流が正負相互に変換できることを特徴とする電気化学的制御方法を第5の要旨とし、前記定電流の正電流時の電流密度が少なくとも20mA/m以上であることを特徴とする第4又は第5の要旨に記載の電気化学的制御方法を第6の要旨とする。さらに、第1乃至第3の何れかの要旨に記載の被防汚導電性部材が、少なくとも直流電源により対極と通電されることにより電気化学的に生物または生物付着を制御するための電気化学的制御方法において、前記被防汚導電性部材と前記対極との間に定電位を印加することを特徴とする電気化学的制御方法を第7の要旨とし、前記定電位が正負相互に変換できることを特徴とする電気化学的制御方法を第8の要旨とし、前記定電位の正電位時の電位が少なくとも+0.6Vvs.SCE以上であることを特徴とする第7又は第8の要旨に記載の電気化学的制御方法を第9の要旨とする。
本発明に係る金属基材を酸化処理して成る被防汚導電性部材及びその電気化学的制御方法は、被防汚導電性部材に電気化学反応が起こる電位を印加できるように電極及び電源を設け、生物が付着することを抑制する効果と防汚機能を出力電圧の調節によって維持向上する効果を示し、長期間高い防汚効率が維持され、且つ、電位印加による酸化が抑制されるため耐久性のある被防汚導電性部材及び電気化学的制御方法である。
本発明の金属基材を酸化処理して成る被防汚導電性部材は、金属基材を大気中で熱酸化したり、陽極酸化したり、両酸化方法の併用等により得られる。こうした方法で得られた被防汚導電性部材は、金属酸化物の微粒子をスパッタリング、イオンプレーティング、溶射で被覆や積層したりして得られる被防汚導電性部材より、防汚効果及び経時的な安定性 の点で優れていることを見出した。
金属基材としては、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、マグネシウム、ステンレスの他、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムなどの白金族、チタン、ニオブ、タンタル等のバルブ金属、及びそれらの合金が好ましい。特に、耐食性に優れたチタン、タンタル、ニオブ等のバルブ金属及びその合金が好ましい。
一例として、バルブ金属であるチタンは、高温や常温での大気中での熱酸化や電解反応による陽極酸化で耐食性が向上することが知られている。被防汚導電性部材において、チタン基材を大気中での熱酸化により酸化被膜で被覆することが例示される。このときの酸化被膜形成条件の例としてはチタン板(JIS2種相当)の加熱酸化を10分間行うと酸化被膜厚さは300℃で約0.010μm、400℃で約0.015μm、500℃で約0.025μm、600℃で約0.040μm、700℃で約0.110μmの酸化被膜が形成される。チタンを300℃以上の高温で加熱処理することによって形成された酸化被膜被覆チタンを被防汚導電性部材とした場合には、出力電圧(被防汚導電性部材と対極間の電圧)の経時変化がなく、電極としての安定性及び耐久性が高く、さらには電気化学的反応性も高く優れた防汚効果を示し、特に好ましい。
また、全体が導電性材料から形成されていてもよいが、少なくとも防汚面たる導電性基材表面の一部及び/又は全部の水中に浸漬している部分の表面が導電性であり、通電可能であることが必要である。
また、金属基材が電気化学的に溶解や腐食する材料、例えば、鉄やアルミニウム、銅、亜鉛、マグネシウム及びそれらの合金からなる場合には、この金属基材表面に、チタン、タンタル、ニオブ等のバルブ金属及びその合金を設けておくことが好ましい。これらの材料からなる層は1種または2種以上多層として形成されてあってもよく、最表面にチタンやチタン合金が形成されていれば問題ない。
酸化被膜を構成する形成方法によっては2種類以上の酸化物の一部が含まれたり、さらにはこれらのチタン又はチタン合金酸化物が2種以上混合されたりしてもよく、特に限定はされない。
これらの材料から成る酸化被膜は0.01μm以上の厚さの膜であればよく、最大の厚さは特に限定しないが、酸化被膜の形成方法や使用目的により適宜設定すればよい。
本発明の被防汚導電性部材は、対極と接触しないように設置されている。対極基材は金属、樹脂、無機材料からなり、導電性材料を用いても良いし、非導電性材料を用い、その表面にメッキ、溶射などで防汚用の被膜を形成して導電性を付与しても良い。また、被防汚面の物性や形状により適宜選択することができる。
さらに、電解セルを形成する電極配置として、作用極として働く被防汚導電性部材に対し対極の設置位置は限定されない。
上記、被防汚導電性部材と対極とはリード線により電源装置に接続されている。この電源装置は、被防汚導電性部材と対極との間に直流を通電する装置であって、極性が変換できる機能を有しているものである。
ポテンショスタット又はガルバノスタットを用いて被防汚導電性部材に定電位の印加や定電流を流すこともできる。使用できるポテンショスタット、ガルバノスタットとしては、被防汚導電性部材に、予め定められた電位を印加できるものや、定電流を流すことのできるものであれば特に限定されない。特に、直流電源装置に電圧の制御または電流の制御およびそのタイミングの制御手段を付加したもので実施することが好ましい。
上記構成以外、必要に応じて参照極を用いることもできる。参照極は、電気化学反応が進む被防汚導電性部材の電位を測るときに基準とするものであって、参照極と被防汚導電性部材の電位差を計測し、電源によって被防汚導電性部材の電位を適正に補正するものである。
従って、予め通電状態において参照極と被防汚導電性部材の電位差を計測しておけば、防汚のための通電条件を知ることができるので、参照極を常設しなくてもよい。
参照極は、参照電極表面で電極反応が可逆で電解液中のある化学種とNernstの平衡電位式に従って応答し、その電位は時間に対して安定で、微少電流が流れてもすぐ最初の電位に戻り、温度変化も一定の温度になれば一定の電位を出すもの、といったものを用いる。例えば水素電極(NHE、RHE、白金黒電極)、カロメル電極(SCE)、銀・塩化銀電極(Ag/AgCl)、硫酸第一水銀電極、酸化水銀電極などが挙げられる。参照極の設置は、作用極として働く被防汚導電性部材の近傍が好ましい。
なお、本発明において、参照電極を使用する場合、被防汚導電性部材を電気化学的計測系で呼称される作用極とし、この作用極に対する電極を対極とする。
本発明により利用できる電解液は、特に限定されない。例えば、海水、河川の水、湖沼の水、水道水、飲料水、または各種緩衝液などが挙げられる。また、対象となる生物も、それらの水中に存在する生物であれば特に限定されるものではない。
次に制御条件について説明する。
定電流の制御条件は以下の通りである。
定電流による防汚効果の発現には、20mA/m以上の電流密度が有効で、防汚面積により適宜通電量を調節することが好ましい。また、被防汚体の防汚面の材質や形状及び防汚面の維持状態の目的により適宜電流密度の設定を変更することができる。一般的には、20mA/mから1000mA/m程度でよい。好ましくは、微生物との直接反応を利用して、防汚効果の発現を期待する場合には、50mA/mから500mA/mが好ましく、被防汚体の防汚面に付着した有機物等を除去することを目的とする場合には、100mA/mから800mA/m程度とすることが好ましい。また、それぞれの通電時間は、目的によってそれぞれ適宜選択して制御することができる。また、被防汚体の防汚面が酸化状態になり、出力電圧が高くなるような場合は、設定する電流を正負相互に、任意の時間制御することによって、被防汚導電性部材を還元し出力電圧を低い状態に保つことができる。ただし、負の電流を定電流で流す時間が長いと防汚効果の低下を招くことがあるので、使用する導電性材料により適宜設定することが好ましい。負電流の電流密度についても、電極材料により防汚効果と導電材料の還元化とにより適宜選択し使用することが好ましい。
定電位の制御条件は以下の通りである。
(1)殺菌工程:被防汚導電性部材に電解液中から電気化学的に生成物を発生させない正電位を印加することにより殺菌する工程(+0〜1.5VvsSCE)と、
(2)脱離工程:前記被防汚導電性部材に電解液中から電気化学的に生成物を発生させない負電位を印加し、直接または間接的に付着接触する水生生物およびスケールを静電的機能により脱離する工程(−0〜−1.0VvsSCE)と、
(3)洗浄還元工程:前記被防汚導電性部材に電解液中から電気化学的に生成物を発生させる負電位を印加し、前記被防汚導電性部材に付着接触した水生生物およびスケールをアルカリ分解洗浄及び前記被防汚導電性部材表面を還元する工程(−1.0〜−2.0VvsSCE)と、
(4)分解洗浄再活性化工程:前記被防汚導電性部材に電解液中から電気化学的に生成物を発生させる正電位を印加し、前記被防汚導電性部材表面に直接または間接的に付着接触した水生生物およびスケールを、塩素化合物もしくはラジカルの生成により脱離分解洗浄し、前記被防汚導電性部材表面をクリーニングし、再活性化する工程(+1.5VvsSCEより高い正電位)の4つの工程から、任意の工程を取捨選択し、最も電解生成化学物質による水や海水への負荷が少なく、且つ、安定的に長期の防汚効果を得られるように被防汚面たる被防汚導電性部材に対して実施する。
但し、これらの電位は、使用される被防汚面たる被防汚導電性部材及び対極の材料とその組み合わせや、水や海水の基準電位を測定する基準電極により変化しうるものである。基準電極としては、例えば、SCE(飽和カンコウ電極)やAg/AgCl(銀/塩化銀電極)など一般的に電気化学計測に使用する照合電極が挙げられる。
次に各工程での電位印加条件について説明する。
(1)殺菌工程
水生生物を含む水中において、被防汚導電性部材に正電位を印加すると、水中の水生生物は被防汚導電性部材表面に吸着する。さらに被防汚導電性部材に印加されている正電位には、被防汚導電性部材表面に吸着して接触した水生生物を電気化学的に殺菌する作用がある。即ち、水生生物は、正電位によって被防汚導電性部材表面に吸着させられ、表面上で殺菌される。このとき、設定される電位は電解液中から電気化学的に生成物が発生しない電位であり、水や海水の分解に伴う酸素や塩素の発生電位以下の電位である。
好ましい電位は、+0〜1.5Vvs.SCE、より好ましくは+0.5〜+1.2Vvs.SCEである。しかしながら、本電位は、使用される被防汚導電性部材の物性に依存するものであり、水の分解に伴う酸素や塩素の発生電位以下であれば、水や海水中への電解生成物質による汚染を最小限に抑制でき、長期に渡り安定的な防汚効果を示すことができる。また、+0Vvs.SCEから微生物との直接電子移動反応が確認される正電位未満では水生生物を基材に吸着させて殺菌することができないが、被防汚導電性部材の劣化や消耗を考慮し、間欠的に電位を変動させることが好ましい。
電解液中から電気化学的に生成物が発生しない正電位を印加する時間は、被防汚導電性部材の特性によって適宜選択することができる。一般的には被防汚導電性部材の耐久性、被防汚導電性部材表面に直接または間接的に接触する水生生物の付着量によって異なるが0.5〜24時間程度でも、数年間でも防汚効果が維持されるのであれば、電解生成化学物質による水や海水への負荷が少ないため、単位時間あたりなるべく長く設定されることが好ましい。被防汚導電性部材によってはその酸化物の形成速度にもよるが0.1〜1000時間の印加がより好ましい。
(2)脱離工程
次に、前記被防汚導電性部材表面に負電位を印加すると、直接または間接的に接触する水生生物およびスケールが脱離する。電解液中から電気化学的に生成物を発生しない負電位は、0〜−1.0Vvs.Ag/AgClである。好ましくは、−0〜−1.0Vvs.Ag/AgClである。その際、被防汚導電性部材に付着した水生生物、その他の細胞、殺菌された水生生物の細胞および/またはその破損物や有機物は、静電的機構や電位変動による被防汚導電性部材表面でのpH等の変動により脱離する。
さらに、負電位における電位を変動させることによって脱離と洗浄をより効率よくさせることもできる。変動する電位の幅は−0.3Vから−0.9V程度が好ましく、周期は10Hzから0.001Hzが好ましい。
電解液中から電気化学的に生成物が発生しない負電位を印加する時間は、被防汚導電性部材の特性によって適宜選択することができる。一般的には被防汚導電性部材の耐久性、被防汚導電性部材表面に直接または間接的に接触する水生生物の付着量によって異なるが0.1〜24時間程度が好ましい。被防汚導電性部材の劣化を考慮すると0.1〜2時間の印加がより好ましい。
(3)(洗浄還元工程)
さらに、水や海水などの電解液中から電気化学的に生成物が発生する負電位は、−1.0Vvs.Ag/AgClより負電位で、好ましくは−1.0V〜−2.0Vvs.Ag/AgCl程度である。この負電位を印加することによって、被防汚導電性部材に付着した水生生物、その他の細胞、殺菌された水生生物の細胞および/またはその破損物や有機物の脱離が促進される。それは、電解液中から電気化学的に生成物が発生する負電位を印加すると、電解液の分解により被防汚導電性部材表面では水素が発生し、この水素によって被防汚導電性部材表面の付着物が除去されるためである。また、被防汚導電性部材近傍ではpHがアルカリ性となる。さらに、強アルカリ雰囲気になることによって水酸化物の析出が起こる場合があり、印加する電位及び印加時間を適宜選択する必要がある。しかし、該水酸化物によって、有機物は溶解する。これらの除去及び溶解によって、被防汚導電性部材表面は洗浄されることになる。また、被防汚導電性部材表面の酸化物を還元し、被防汚導電性部材界面での電子移動反応を阻害する酸化物を還元し、殺菌工程の機能を維持回復するために必要な場合がある。さらに、負電位における電位を変動させることによって脱離と洗浄をより効率よくさせることもできる。変動する電位の幅は−0.3V〜−2V程度が好ましく周期は10Hz〜0.001Hzが好ましい。
電解液中から電気化学的に生成物が発生する負電位を印加する時間は、被防汚導電性部材の特性によって適宜選択することができる。一般的には被防汚導電性部材の耐久性、被防汚導電性部材表面に直接または間接的に接触する水生生物の付着量によって異なるが0.5〜24時間程度が好ましい。被防汚導電性部材の劣化を考慮すると0.5〜2時間の印加がより好ましい。
(4)(分解洗浄再活性化工程)
また、電解液中から電気化学的に生成物が発生する電位とは、水や海水の分解にともない酸素や塩素の発生する電位であり、+1.5Vvs.Ag/AgClを越えた電位により、明確に確認される。これらの高い電位を長時間印加すると水や海水が電気分解して塩素や未知の物質を発生する可能性が高く、また、被防汚導電性部材の劣化が起こることがあるので、長期に渡って安定的に防汚効果を維持し、水や海水中への電解生成物質による汚染を最小限に抑制するためには、不適切な場合がある。
しかしながら、長期間の防汚を目的とした本発明においては、被防汚面となる被防汚導電性部材表面に各種電位印加を行っても排除できない殺菌された微生物、有機物及びスケールが付着することがあり、これらを被防汚導電性部材の交換などのコスト無く、再活性化させて長期間の防汚効果を再現させるためには、必要最小限の塩素化合物及びラジカル発生機能を制御することが好ましい。
ちなみに、被防汚導電性部材表面の物性が、塩素過電圧が酸素過電圧より低い場合には、塩素化合物の生成が起こり、逆であれば酸素が先に発生する現象が確認できる。
電解液中から電気化学的に生成物が発生する正電位を印加する時間は、被防汚導電性部材の特性によって適宜選択することができる。一般的には被防汚導電性部材の耐久性は、被防汚導電性部材表面に直接または間接的に接触する水生生物の付着量によって異なるが、被防汚導電性部材の劣化及び水や海水の電解物質による汚染を最小限とするための設定を行うことが好ましい。その点を考慮すると一ヶ月あたり0.5〜24時間程度の印加がより好ましい。また、(1)の殺菌工程の設定時間と比較して、10分の1〜一万分の1程度の時間に設定して運用することも可能である。
本発明では、化学物質による水や海水の汚染を最小限とし、且つ長期に渡り防汚効果を維持するため、上記(1)殺菌工程、(2)脱離工程、(3)洗浄還元工程、(4)分解洗浄再活性化工程の各工程は、印加電位及び印加時間を適宜設定したうえで、状況に応じて任意の順序及び頻度で周期的に適用することができる。
例えば、無処理のチタン(JIS2種相当)を電極に用いた場合、防汚効果が得られる電位0.9Vvs.Ag/AgClにおいて電流値は67mA/mで、そのときの電極間の電圧は0.96Vである。しかし、本発明に用いる酸化被膜を被覆したチタン電極(600℃、10分で酸化被膜を形成)を用いると無処理のチタン電極で防汚効果があった電位に相当する電流値にするには、電位は2.9Vvs.Ag/AgCl、電圧2.9Vが必要になる。このように電位と電圧の値が増加するのは酸化被膜の影響により電極の表面抵抗が増加したためである。ちなみに、無処理のチタンを電極に用いて、電位0.8、1.0Vvs.Ag/AgClの場合、電流値は33、133mA/mで、そのときの電極間の電圧は0.86、1.07Vであるが、酸化被膜を被覆したチタン電極(600℃、10分で酸化被膜を形成)を用いると同じ電流値にするには電位を2.6、3.3Vvs.Ag/AgCl、電圧を2.6、3.3Vになる。
本発明により処理することができる電解液は、生物を含有する水であれば特に限定されない。例えば、海水、河川の水、湖沼の水、水道水、飲料水、または各種緩衝液などが挙げられる。また、対象となる生物も、それらの水中に存在する生物であれば特に限定されるものではない。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
図1は以下の実施例に用いた装置の模式図である。
図1には、被防汚導電性部材3、参照極4、及び対極5が配置されている。ポテンショスタット2は、被防汚導電性部材3、参照極4、及び対極5のそれぞれと個々に連結している。参照極4には銀・塩化銀電極(Ag/AgCl)を、対極5には鉄板(t10×25×500mm)を用いた。
次に、図2〜6に示す電位制御のタイミングチャートを詳細に説明する。タイミングチャートは横軸が時間を、縦軸は被防汚導電性部材3の参照電極4に対する電位の指示値を示す。ここでは明示的に、次の(1)〜(4)の4つの工程における6つの電位印加パターンの組み合わせ例を5つのタイミングチャートとして示すが、特にこれ以外の電位印加パターンを除外するものではない。
また、各タイミングチャートには、正電位側電解生成物発生電位6及び負電位側電解生成物発生電位7を破線で示す。
(1)(殺菌工程)電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程(T1):正電位側電解生成物発生電位6より低い正電位を印加する工程。工程によって印加する電位を変化させることが可能である。
(2)(脱離工程)電気化学的生成物を発生しない負電位印加工程(T2)又は電気化学的生成物を発生しない負電位領域での振幅電位印加工程(T3):両工程とも、負電位側電解生成物発生電位7より高い負電位を印加する。振幅電位印加工程(T3)においては、ほぼ連続的に印加電位を変化させる。被防汚導電性部材3と対極5の応答性によっては、指示電位として三角波ではなく台形波的に変化させた電位を与えることも可能である。
(3)(洗浄還元工程)電気化学的生成物を発生する負電位印加工程(T4)又は電気化学的生成物を発生する負電位領域及び/又は発生しない負電位領域での振幅電位印加工程(T5):両工程とも、負電位側電解生成物発生電位7より低い負電位を印加する。
(4)(分解洗浄再活性化工程)電気化学的生成物を発生する正電位印加工程(T6):正電位側電解生成物発生電位7より高い正電位を印加する。
図2のタイミングチャートが示す電位印加パターンでは、電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程(T1)及び電気化学的生成物を発生する正電位印加工程(T6)を交互に繰り返す。それぞれの工程の印加電位及び印加期間は場合に応じて適宜決定可能であり、例えば電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程(T1)においてそれぞれ異なる複数の電位値を印加するパターンも作成可能である。
図3のタイミングチャートが示す電位印加パターンでは、電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程(T1)、電気化学的生成物を発生しない負電位印加工程(T2)、及び電気化学的生成物を発生する正電位印加工程(T6)を交互に繰り返す。それぞれの工程の印加電位及び印加期間は場合に応じて適宜決定可能であり、順序及び頻度も任意である。例えば、電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程(T1)と電気化学的生成物を発生しない負電位印加工程(T2)とを交互にある回数だけ繰り返し、その後電気化学的生成物を発生する正電位印加工程(T6)を適用する、というパターンを作成することができる。
図4のタイミングチャートが示す電位印加パターンでは、電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程(T1)、電気化学的生成物を発生しない負電位領域での振幅電位印加工程(T3)、及び電気化学的生成物を発生する正電位印加工程(T6)を交互に繰り返す。それぞれの工程の印加電位及び印加期間は場合に応じて適宜決定可能であり、順序及び頻度も任意である。電気化学的生成物を発生しない負電位領域での振幅電位印加工程(T3)における電位の振幅及び変化速度は、系の応答性にもよるが、制御部1が出力可能な範囲で設定することができる。図4同様、例えば、電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程(T1)と電気化学的生成物を発生しない負電位領域での振幅電位印加工程(T3)とを交互にある回数だけ繰り返し、その後電気化学的生成物を発生する正電位印加工程(T6)を適用する、というパターンを作成することも可能である。
図5のタイミングチャートが示す電位印加パターンでは、電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程(T1)、電気化学的生成物を発生しない負電位印加工程(T2)、電気化学的生成物を発生する負電位印加工程(T4)、及び電気化学的生成物を発生する正電位印加工程(T6)を交互に繰り返す。それぞれの工程の印加電位及び印加期間は場合に応じて適宜決定可能であり、順序及び頻度も任意である。例えば、電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程(T1)と電気化学的生成物を発生しない負電位印加工程(T2)とを交互にある回数だけ繰り返し、その後電気化学的生成物を発生する負電位印加工程(T4)と電気化学的生成物を発生する正電位印加工程(T6)を適用する、というパターンを作成することができる。
図6のタイミングチャートが示す電位印加パターンでは、電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程(T1)、電気化学的生成物を発生する負電位領域及び/又は発生しない負電位領域での振幅電位印加工程(T5)、及び電気化学的生成物を発生する正電位印加工程(T6)を交互に繰り返す。それぞれの工程の印加電位及び印加期間は場合に応じて適宜決定可能であり、順序及び頻度も任意である。電気化学的生成物を発生する/しない負電位領域での振幅電位印加工程(T5)における電位の振幅及び変化速度は、系の応答性にもよるが、制御部1が出力可能な範囲で設定することができる。例えば、電気化学的生成物を発生しない正電位印加工程(T1)と電気化学的生成物を発生する/しない負電位領域での振幅電位印加工程(T5)とを交互にある回数だけ繰り返し、その後電気化学的生成物を発生する正電位印加工程(T6)を適用する、というパターンを作成することができる。
<被防汚導電性部材の調製>
以下実施例に用いた被防汚導電性部材3a〜3gの作成手順を示す。
被防汚導電性部材3a
チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L100mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%弗化水素水溶液中で2分間処理した後、水洗し乾燥した。更に300℃の大気中で10分間焼成した。
被防汚導電性部材3b
チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L100mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%弗化水素水溶液中で2分間処理した後、水洗し乾燥した。更に400℃の大気中で10分間焼成した。
被防汚導電性部材3c
チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L100mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%弗化水素水溶液中で2分間処理した後、水洗し乾燥した。更に500℃の大気中で10分間焼成した。
被防汚導電性部材3d
チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L100mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%弗化水素水溶液中で2分間処理した後、水洗し乾燥した。更に600℃の大気中で10分間焼成した。
被防汚導電性部材3e
チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L100mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%弗化水素水溶液中で2分間処理した後、水洗し乾燥した。更に室温で1.5mol/リットルの硫酸を電解液とし陰極に白金メッシュを用い直流電源で20V、10分間陽極酸化を行った。
チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L100mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%弗化水素水溶液中で2分間処理した後、水洗し乾燥した。
被防汚導電性部材3f
チタン板(JIS2種相当、t1×w100×L100mm)をアルコールに浸漬し、超音波洗浄器で洗浄した。次いで、物理蒸着装置内にチタン板を配置し、0.13mPaまで真空引きを行った後、アルゴンプラズマ中で5分間エッチングし、酸素ガスを真空度が1.3Paに低下するまで注入し、イオンプレーティング法により酸化チタン膜を0.5μm形成した。
被防汚導電性部材3g
チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L100mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%弗化水素水溶液中で2分間処理した後、水洗し乾燥した。
実施例1
<被防汚導電性部材への電位印加と防汚効果の評価>
各被防汚導電性部材3a〜3gを、湾岸構築物に設置し、各電位を印加した。電位印加条件は、図2に示した各パターンを印加した。また、T1の電位は、2.0VvsAg/AgCl、を常時印加とした。T6の電位は、4.0VvsAg/AgCl、60分間1ヶ月に1回印加とした。このパターンで6ヶ月間電位を印加した。
そして、6ヶ月後、被防汚導電性部材表面の目視による評価と出力電圧の変化の観察を行った。
実施例2
各被防汚導電性部材3a〜3gを、湾岸構築物に設置し、各電位を印加した。電位印加条件は、図3に示した各パターンを印加した。また、T1の電位は、2.0VvsAg/AgCl、60分間印加とした。T2の電位は、−0.6VvsAg/AgCl、20分間印加した。このパターンを1サイクルとし6ヶ月間電位を印加した。
そして、6ヶ月後、被防汚導電性部材表面の目視による評価と出力電圧の変化の観察を行った。
実施例3
各被防汚導電性部材3a〜3gを、湾岸構築物に設置し、各電位を印加した。電位印加条件は、図4に示した各パターンを印加した。また、T1の電位は、2.0VvsAg/AgCl、60分間印加とした。T3の電位は、−0.3V〜−0.9VvsAg/AgCl、60分間印加し、電位を2分間隔で振幅させた。T6の電位は、4.0VvsAg/AgCl、5分間印加とした。このパターンを1サイクルとし6ヶ月間電位を印加した。
そして、6ヶ月後、被防汚導電性部材表面の目視による評価と出力電圧の変化の観察を行った。
実施例1〜3の被防汚導電性部材表面の目視による評価と出力電圧の変化の観察結果を表1に示す。
Figure 2005185206
防汚効果の判定は、◎は生物付着なし、○は生物付着ほとんどなし、△は生物付着多少あり、×は生物付着ありを示す。
また出力電圧の変化の判定は、◎は変化なし、○は変化ほとんどなし、△は多少変化あり、×は変化ありを示す。この結果より、防汚効果があり経時的にも安定な被防汚導電性部材であることが確認できた。
実施例4
<被防汚導電性部材への電流通電と防汚効果の評価>
各被防汚導電性部材3a〜3gを、湾岸構築物に設置し、電流を通電した。通電条件は、200mA/m2を常時6ヶ月間通電した。
そして、6ヶ月後、被防汚導電性部材表面の目視による評価と出力電圧の変化の観察を行った。
実施例5
各被防汚導電性部材3a〜3gを、湾岸構築物に設置し、電流を通電した。通電条件は、図7に示した各パターンを印加した。T1の電流値は、200mA/mを3時間通電した。T2の電流値は、−50mA/mを20分間通電した。このパターンを1サイクルとし6ヶ月間通電した。
そして、6ヶ月後、被防汚導電性部材表面の目視による評価と出力電圧の変化の観察を行った。
実施例4、5の被防汚導電性部材表面の目視による評価と出力電圧の変化の観察結果を表2に示す。
Figure 2005185206
防汚効果の判定は、◎は生物付着なし、○は生物付着ほとんどなし、△は生物付着多少あり、×は生物付着ありを示す。
また出力電圧の変化の判定は、◎は変化なし、○は変化ほとんどなし、△は多少変化あり、×は変化ありを示す。この結果より、防汚効果があり経時的にも安定な被防汚導電性部材であることが確認できた。
チタン基材から成る被防汚導電性部材3gやイオンプレーティング法により酸化チタン膜を形成した被防汚導電性部材3fと比較すると、チタン基材を酸化処理して成る被防汚導電性部材3a〜3e、特に大気中で熱酸化処理した被防汚導電性部材3a〜3dは、防汚効果に優れ、且つ電圧変化もなく、経時的にも安定な被防汚導電性部材であることが確認できた。
実施例の装置の模式図である。 電位制御のタイミングチャート図である。 電位制御のタイミングチャート図である。 電位制御のタイミングチャート図である。 電位制御のタイミングチャート図である。 電位制御のタイミングチャート図である。 電流制御のタイミングチャート図である。
符号の説明
1 制御部
2 ポテンショスタット
3 被防汚導電性部材
4 参照極
5 対極
6 正電位側電解生成物発生電位
7 負電位側電解生成物発生電位
T1 電気化学的生成物を発生しない正電流通電又は正電位印加工程
T2 電気化学的生成物を発生しない負電流通電又は負電位印加工程
T3 電気化学的生成物を発生しない負電位領域での振幅電位印加工程
T4 電気化学的生成物を発生する負電位印加工程
T5 電気化学的生成物を発生する/しない負電位領域での振幅電位印加工程
T6 電気化学的生成物を発生する正電位印加工程

Claims (9)

  1. 対極と電気的に短絡しない位置に配置され、少なくとも直流電源により前記対極と通電されることによって、電気化学的に生物または生物付着を制御するために用いられる被防汚導電性部材であって、前記被防汚導電性部材が金属基材を酸化処理したものであることを特徴とする被防汚導電性部材。
  2. 前記被防汚導電性部材が、金属基材を300℃以上の温度で熱酸化処理したものであることを特徴とする請求項1記載の被防汚導電性部材。
  3. 前記被防汚導電性部材が、チタンまたはチタン合金基材を酸化処理したものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の被防汚導電性部材。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の被防汚導電性部材が、少なくとも直流電源により対極と通電されることにより電気化学的に生物または生物付着を制御するための電気化学的制御方法において、前記被防汚導電性部材と前記対極との間に定電流を通電することを特徴とする電気化学的制御方法。
  5. 前記定電流が正負相互に変換できることを特徴とする請求項4記載の電気化学的制御方法。
  6. 前記定電流の正電流時の電流密度が少なくとも20mA/m以上であることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の電気化学的制御方法。
  7. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の被防汚導電性部材が、少なくとも直流電源により対極と通電されることにより電気化学的に生物または生物付着を制御するための電気化学的制御方法において、前記被防汚導電性部材と前記対極との間に定電位を印加することを特徴とする電気化学的制御方法。
  8. 前記定電位が正負相互に変換できることを特徴とする請求項7記載の電気化学的制御方法。
  9. 前記定電位の正電位時の電位が少なくとも+0.5Vvs.SCE以上であることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の電気化学的制御方法。
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JP2014113136A (ja) * 2012-12-08 2014-06-26 Ryoyo Sangyo Kk クラゲポリプの付着死滅方法

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