JP2003222497A - 熱交換器 - Google Patents

熱交換器

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JP2003222497A
JP2003222497A JP2002024554A JP2002024554A JP2003222497A JP 2003222497 A JP2003222497 A JP 2003222497A JP 2002024554 A JP2002024554 A JP 2002024554A JP 2002024554 A JP2002024554 A JP 2002024554A JP 2003222497 A JP2003222497 A JP 2003222497A
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heat exchanger
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English (en)
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Kinichi Ozawa
欣一 小澤
Toshihiro Takimoto
利宏 瀧本
Hideo Kadoi
英夫 門井
Hiromichi Takahashi
弘道 高橋
Hiroichi Takayanagi
博一 高柳
Hitoshi Wake
仁志 和気
Tadashi Matsunaga
是 松永
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Pentel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、水質汚染の懸念が無く、熱交換部
材に対する生物の付着を極力抑制し、長期間熱交換機能
が維持し得る熱交換器を提供することを課題とする。 【解決手段】 熱交換器の一部又は全部の熱交換部材
が、少なくとも導電性を有し、該部材表面が少なくとも
白金族及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化
物又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物からなる基材
からなり、これらを被防汚面となるよう作用極となし、
前記熱交換部材と短絡しない位置に対極を通電可能なよ
うに配置すると共に、必要に応じて、作用極の電位が測
定可能なように基準電極を配置し、作用極と生物との直
接電子移動反応が発生するように作用極と対極との間に
電位を印加する電源を設けたことを特徴とする熱交換
器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性を有する基
材からなる熱交換部材に生物との直接電子移動反応が発
生するように通電する電源を設けたことを特徴とする熱
交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】熱交換器は、温度の異なる流体の熱的な
接触によって熱エネルギーの交換を行う装置であり、流
体を介して各種装置の冷却、加温を行ったり、流体の復
水、気化などに広く用いられている。たとえば、船舶に
おいてはメインエンジンの冷却清水を海水などで冷やす
清水冷却器、潤滑油を海水などで冷やす潤滑油冷却器と
して用いられている。ところで、海水や淡水中には多く
の生物が存在しているが、これらの生物が熱交換器内に
付着した場合、流体の流量低下、熱伝導度の低下などに
よって熱交換機能が著しく低下するといった問題が発生
する。因みに、海水や淡水に接している構造物表面への
生物の一般的な付着機構は以下の通りである。まず付着
性のグラム陰性菌が構造物表面に吸着して脂質に由来す
るスライム状物質を多量に分泌する。さらにグラム陰性
菌は、このスライム層に集まって増殖し、微生物皮膜を
形成する。そして、海水中ではこの微生物皮膜上に大型
生物である藻類、貝類、フジツボ等の大型の生物が付着
する。付着した大型生物が繁殖成長し、最終的に水中構
造物表面を覆い尽くすことになる。
【0003】上記問題を解決して熱交換器の熱交換機能
を維持するためには、殺菌性を有する化学物質を熱交換
媒体である海水や淡水に注入して生物の付着を防いだ
り、生物が熱交換器内に付着してしまった場合には分解
し、洗浄装置を使用したり、洗浄具を用い洗浄を行って
熱交換器内から取り除く必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法において、化学物質を用いて生物の付着を防止する方
法は水質汚染が懸念され、また、分解・洗浄する方法
は、作業の間、熱交換器を用いた装置の運転を停止しな
ければならないという問題があった。本発明は、水質汚
染の懸念が無く、熱交換部材に対する生物の付着を極力
抑制し、長期間熱交換機能が維持し得る熱交換器を提供
することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱交換器の一
部又は全部の熱交換部材が少なくとも導電性を有し、該
部材は表面が少なくとも白金族及び/又は金属酸化物か
ら選ばれた単一金属酸化物又は混合金属酸化物又は複合
金属酸化物からなる基材からなり、これらを被防汚面と
なるよう作用極となし、前記熱交換部材と短絡しない位
置に対極を通電可能なように配置すると共に、作用極の
電位が測定可能なように基準電極を配置し、作用極と生
物との直接電子移動反応が発生する工程を少なくとも実
施できるように、作用極と対極との間に電位を印加する
電源を設けたことを特徴とする熱交換器を第1の要旨と
し、熱交換器の一部又は全部の熱交換部材が少なくとも
導電性を有し、該部材は表面が少なくとも白金族及び/
又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合金
属酸化物又は複合金属酸化物からなる基材からなり、こ
れらを被防汚面となるよう陽極となし、前記熱交換部材
と短絡しない位置に陰極を通電可能なように配置し、陽
極と生物との直接電子移動反応が発生する工程を少なく
とも実施できるように、陽極と陰極との間に通電する電
源を設けたことを特徴とする熱交換器を第2の要旨とす
る。
【0006】
【作用】本発明に係る熱交換器は、導電性を有する基材
からなる熱交換部材を電極となし、熱交換器に対して、
前記電極と対になる電極と、電源と、必要に応じて基準
電位を示す基準電極とを配置し、電源から電気を流す
(即ち、電位を印加する又は通電する)ことによって、
熱交換部材表面における微生物の殺菌や付着防止を行う
ので、熱交換部材への生物付着が抑制され、長期的に熱
交換効率が低下しない。
【0007】
【発明の実施の形態】熱交換器において、熱交換部材
は、温度の異なる流体間において、熱エネルギーの交換
を行うための伝熱媒体として機能するものであると共
に、流体の流路を形成するものである。複数の流体間で
熱交換を行うためには、一体成型、或いは加工によって
同一熱交換部材内に流路を複数設ける構成が採用でき
る。また、流路を単数形成した構成も採用できる。例え
ば、複数の流体を別々に流す方法や、熱交換部材ごと熱
交換の対象となる流体中に浸漬する方法が挙げられる。
更に、複数の熱交換部材を用いることもできる。この場
合、複数の熱交換部材を熱的に結合すれば、熱交換部材
間には温度差に応じた熱の移動が起こり熱交換が行われ
る。熱交換部材を熱的に結合させるには接着、溶接、螺
合、接触など、どの方法を用いてもよい。熱交換部材間
の密着性を高め、熱交換を効率よく行うために、熱交換
部材間にシリコングリスなどを充填してもよいし、熱伝
導性の良い樹脂、金属などを挟んでも良い。また、熱交
換部材間の距離が離れている場合にはヒートパイプなど
の伝熱媒体によって熱的に結合してもよい。上記熱交換
部材は、熱伝導性を有する基材で構成する必要があり、
それらの一部又は全部が導電性を有する基材(導電性基
材)で構成する必要がある。これは、熱交換部材を作用
極又は陽極として機能させる必要があるためである。
【0008】本発明で用いる導電性基材は、金属やその
酸化物、樹脂、無機材料からなり、熱交換部材としての
構造を維持する機能を有するものであれば特に限定され
ない。その場合、導電性材料を用いても良いし、非導電
性材料を用い、その表面にメッキ、溶射などで防汚用の
皮膜を形成して導電性を付与しても良い。また、全体が
導電性材料から形成されていてもよいが、少なくとも防
汚面たる導電性基材表面の一部及び/又は全部の水中に
浸漬している部分の表面が導電性であり、通電可能であ
ることが必要である。導電性基材を熱交換管板に使用し
た熱交換器としては、チタン製の多管式熱交換器や平板
(プレート)型熱交換器などが例示される。導電性基材
の材料中、金属やその酸化物の例としては、鉄、アルミ
ニウム、銅、チタンおよびそれらの合金、ステンレス、
貴金属及びその酸化物などが挙げられる。特に、耐食性
に優れたチタン、タンタル、ニオブ等のバルブ金属が好
ましい。樹脂材料の例としては、アクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチ
レン共重合体、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレ
ン、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、繊維強
化プラスチック(FRP)等が挙げられる。無機材料の
例としては、ガラス、アルミナ、ジルコニア、セメント
等が挙げられる。
【0009】導電性基材として金属を用いる場合、海水
電解用電極や酸素発生電極などを製造する際に、一般的
に用いられる定法に従って導電性物質の微粒子で被覆し
たり、積層して用いることができる。被覆及び積層する
際には、導電性基材の母材との密着性を高める等の考慮
が必要である。また、導電性基材として、樹脂、無機材
料などの非導電性材料を用いる場合、導電性物質の微粒
子を材料に充填し、基材を形成することにより導電性を
付与し用いればよい。導電性物質の微粒子の例として
は、グラファイト、カーボンブラック、カーボン繊維か
らなる短繊維などの炭素微粒子、金、白金、ルテニウ
ム、ロジウム、パラジウムまたはこれらの貴金属酸化
物、チタン、ニオブ、タンタル等のバルブ金属またはそ
の酸化物及び酸化マンガン、酸化コバルト、酸化スズ、
酸化アンチモンなどの酸化物の微粒子、窒化チタン、窒
化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化タンタル、窒化
ニオブ、窒化クロム等の金属窒化物、炭化チタン、炭化
ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タン
タル、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化タングステン
等の金属炭化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、
ホウ化ハーフニウム、ホウ化バナジウム、ホウ化ニオ
ブ、ホウ化タンタル、ホウ化クロム、ホウ化モリブデ
ン、ホウ化タングステン等の金属ホウ化物、ケイ化チタ
ン、ケイ化ジルコニウム、ケイ化ニオブ、ケイ化タンタ
ル、ケイ化バナジウム、ケイ化タングステン等の金属ケ
イ化物などの微粒子が挙げられる。さらに、長期間の防
汚を目的とした本発明においては、被防汚面となる導電
性基材表面に各種電位印加を行っても排除できない殺菌
された微生物、有機物及びスケールが付着することがあ
り、これらを導電性基材の交換などのコスト無く、再活
性化させて長期間の防汚効果を再現させるために、必要
最小限の塩素化合物及びラジカル発生機能を有する物質
として、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウムなど
の白金族酸化物、チタン、ニオブ、タンタル等のバルブ
金属酸化物及び酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ス
ズ、酸化アンチモンなどの酸化物を単一金属酸化物、複
合金属酸化物や複合金属酸化物として導電性基材表面に
存在させることが好ましい。また、これらの素材をその
まま、もしくは成形して使用することも可能である。
【0010】また、上記導電性物質の微粒子をバインダ
ー樹脂に充填、分散させた導電性組成物を、前記非導電
性材料製基材表面に被覆して導電性を付与してもよい。
バインダー樹脂の例としては、フッ素樹脂、アクリル樹
脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、ポリエステル−ウ
レタン樹脂、シリコン−ウレタン樹脂、シリコン−アク
リル樹脂、エポキシ樹脂や、熱硬化型のメラミン−アル
キッド樹脂、メラミン−アクリル樹脂、メラミン−ポリ
エステル樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂、または天然
ゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ニトリルブチ
レンゴム、ポリエチレンエラストマー、ポリエステルエ
ラストマー、ポリプロピレンエラストマー等のゴム弾性
材料が挙げられる。導電性組成物は、導電性シートを形
成して非導電性基材上に接着剤を介して積層したり、塗
膜層として形成してもよい。
【0011】上記の導電性物質の微粒子の他に、生物の
細胞と電極との電子移動反応を促進する作用を有する特
定の化合物を添加してもよい。すなわち、微生物と電極
との電子移動を媒介する電子メディエータを導電性材料
と共に使用することによって、より効率的に水生生物の
殺菌を行うことができる。電子メディエータの例として
は、フェロセン、フェロセンモノカルボン酸、フェロセ
ンジカルボン酸または、〔(トリメチルアミン)メチ
ル〕フェロセン等のフェロセンおよびその誘導体、H4
Fe(CN)6、K4Fe(CN)6、Na4Fe(CN)
6等のフェロシアン類、2,6−ジクロロフェノールイ
ンドール、フェナンジンメトサルフェート、ベンゾキノ
ン、フタロシアニン、ブリリアントクレジルブルー、カ
ロシアニン、レゾルシン、チオニン、N,N−ジメチル
−ジスルフォネイティド・チオニン、ニューメチレンブ
ルー、トブシンブルーO、サフラニン−O、2,6−ジ
クロロフェノールインドフェノール、ベンジルビオロゲ
ン、アリザリンブリリアントブルー、フェノシアジノ
ン、フェナジンエトサルフェート等が挙げられる。この
様な電子メディエータを担持した導電性基材としてはフ
ェロセン修飾電極を挙げることができる。ちなみに、フ
ェロセン修飾カーボン電極を用いて、本発明で用いた海
洋付着細菌ビブリオ・アルギノリチクスからの酸化ピー
ク電流を確認すると、0.3VvsSCEにてピーク電
流が確認され、0.4VvsSCEで殺菌することがで
きる。
【0012】また、抗菌性を有する材料を添加してもよ
い。抗菌性を有する物質は、無機物に属するものと有機
物に属するものとがある。無機物としては、銀、銅、ニ
ッケル、亜鉛、鉛、ゲルマニウム等の金属およびこれら
の酸化物、酸素酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸
塩、有機キレート化合物などが挙げられる。有機物とし
ては、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、
4,5,6,7−テトラクロル−2−トリフルオロメチ
ルベンズイミダゾール、10,10’−オキシスフェノ
キシアルシン、トリメトキシシリル−プロピルオクタデ
シルアンモニウムクロライド、2−N−オクチル−4−
イソチアゾリン−3−オン、ビス(2−ピリジルチオ−
1−オキシド)亜鉛などが挙げられる。
【0013】特に、基材の防汚面の一部又は全部が、少
なくとも白金及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金
属酸化物又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物からな
り、水や海水から酸素や塩素の発生の無い正電位を印可
することにより、導電性基材表面に直接または間接的に
接触する水生生物を殺菌し、増殖を抑制すると共に、酸
素や塩素が発生する電位を印可することにより、水や海
水などから塩素化合物や酸素などの電解物質を生成さ
せ、導電性基材表面に直接または間接的に接触する水生
生物およびスケールの脱離洗浄及び導電性基材を再活性
化ができ、また、導電性基材が対極としても使用可能な
物質で構成され、導電性膜となしたものが好ましく用い
られる。また、電解液が海水の場合には、塩素過電圧が
酸素過電圧より低い正電位となるように、白金及び/又
は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合金属
酸化物又は複合金属酸化物を構成することが好ましく、
電解液が塩素化合物を含まない水の場合には、酸素過電
圧が微生物との直接電子移動反応が起こる電位とに少な
くとも電位差が認められる正電位となるように、白金及
び/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混
合金属酸化物又は複合金属酸化物を構成することが好ま
しい。この導電性膜は、金属又はその化合物から構成で
き、具体的には、白金族金属、バルブ金属及びそれらの
酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属
ケイ化物の何れかから構成することができる。特に、金
属酸化物が、酸化白金、酸化ロジウム、酸化パラジウ
ム、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化マンガン、
酸化コバルト、酸化スズおよび酸化アンチモン、酸化ニ
オブ、酸化タンタル及び酸化ジルコニウムから選ばれた
少なくとも1種又は2種以上から構成されることが好ま
しい。導電性膜を形成するに当たっては、溶射やスパッ
タリング、イオンプレーティングなどの方法を採用する
ことができる。金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、
金属ホウ化物、金属ケイ化物については既に記載してあ
るが、記載した材料はその一部であり、形成方法によっ
ては2種類以上の金属が含まれたり、酸化物の一部が含
まれたり、さらにはこれらの化合物が2種以上混合され
ることから、特に限定はされない。これらの金属酸化
物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ
化物は0.1μm以上の厚さの膜であればよく、最大の
厚さは特に限定しないが、金属酸化物、金属窒化物、金
属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物の形成方法や使
用目的により適宜設定すればよい。
【0014】導電性基材が電気化学的に溶解や腐食する
材料、例えば、鉄やアルミニウム、銅、亜鉛、マグネシ
ウムおよびそれらの合金、ステンレス等の金属材料から
なる場合では、該金属材料と接水面に形成された導電層
との間に、絶縁性樹脂塗膜層や絶縁性樹脂フィルム層、
アルミナ、チタニア酸化ケイ素などの絶縁無機物層、ま
たはチタン、ニオブ、タンタル等のバルブ金属などを設
けておくことが好ましい。これらの材料からなる層は1
種または2種以上多層として形成されてあってもよい。
特に、導電性基材が、耐食性導電性基材と、該耐食性導
電性基材の表面の一部又は全部に多孔質白金からなる、
又は、前記多孔質白金と該多孔質白金に3次元的に担持
された金属酸化物とからなる被覆層とよりなるもの、及
び、導電性基材が、耐食性導電性基材と、該耐食性導電
性基材の表面が部分的に露出する程度に分散被覆された
白金と、少なくとも耐食性導電性基材表面の露出部分を
被覆する少なくとも1種以上の金属酸化物及び/又はバ
ルブ金属酸化物の少なくとも1種以上からなる混合金属
酸化物とからなる中間層と、貴金属酸化物とバルブ金属
酸化物から選ばれた少なくとも1種以上の金属酸化物か
らなる混合金属酸化物層から構成された外層とよりなる
ものが好ましい。
【0015】導電性基材の形状は特に限定されるもので
はなく、水生生物を効率よく吸着して直接または間接的
に接触し、電位を付与でき、電気化学的に水が分解され
水素、酸素や塩素などが発生する程度の負電位もしくは
正電位を印加する工程を実施できるものであればよい。
【0016】本発明の熱交換器は、上記導電性基材と接
触しないように対極が設置されている。対極基材は導電
性基材と同様のものを用いることが好ましいが、被防汚
面の物性や形状により適宜選択することができる。
【0017】上記、導電性基材と対極とはリード線によ
り電源装置に接続されている。この電源装置は、導電性
基材と対極との間に直流を通電する装置であって、極性
が変換できる機能を有しているものである。また、水や
海水中に生息する生物が少なく、生物との直接電子移動
反応による殺菌工程を実施するだけで防汚を維持できる
場合には、定電流発生装置(ガルバノスタット)を使用
しても差し支えない。ポテンショスタット又はガルバノ
スタットを用いて導電性基材に定電位の印加や定電流を
流すこともできる。使用できるポテンショスタット、ガ
ルバノスタットとしては、導電性基材に、予め定められ
た電位を印加できるものや、定電流を流すことのできる
ものであれば特に限定されない。特に、直流電源装置に
電圧の制御または電流の制御およびそのタイミングの制
御手段を付加したもので実施することが好ましい。
【0018】上記構成以外、必要に応じて参照極を用い
ることもできる。また、電解セルを形成する電極配置
は、作用極に対し対極の設置位置は限定されない。参照
極は、電気化学反応が進む導電性基材の電位を測るとき
に基準とするものであって、参照極と導電性基材の電位
差を計測し、電源によって導電性基材の電位を適正に補
正するものである。従って、予め通電状態において参照
極と導電性基材の電位差を計測しておけば、防汚のため
の通電条件を知ることができるので、熱交換器内に参照
極を常設しなくてもよい。参照極は、参照電極表面で電
極反応が可逆で電解液中のある化学種とNernstの
平衡電位式に従って応答し、その電位は時間に対して安
定で、微少電流が流れてもすぐ最初の電位に戻り、温度
変化も一定の温度になれば一定の電位を出すもの、とい
ったものを用いる。例えば水素電極(NHE、RHE、
白金黒電極)、カロメル電極(SCE)、銀・塩化銀電
極(Ag/AgCl)、硫酸第一水銀電極、酸化水銀電
極などが挙げられる。参照極の設置は、作用極の近傍が
好ましい。なお、本発明において、参照電極を使用する
場合、熱交換部材を電気化学的計測系で呼称される作用
極とし、この作用極に対する電極を対極とする。一方、
参照電極を使用しない場合には、正の電圧がかかる電極
を陽極とし、負の電圧がかかる電極を陰極とした。
【0019】本発明により利用できる電解液は、特に限
定されない。例えば、海水、河川の水、湖沼の水、水道
水、飲料水、または各種緩衝液などが挙げられる。ま
た、対象となる生物も、それらの水中に存在する生物で
あれば特に限定されるものではない。
【0020】次に電位印加条件について説明する。微生
物を含む水中において、熱交換部材である導電性基材に
正電位を印加すると、導電性基材表面に付着した微生物
は電気化学的に殺菌される。印加する正電位は、被防汚
導電性基材により適宜選択すれば良く、好ましい電位
は、+0〜1.5Vvs.SCE、より好ましくは+
0.5から+1.2Vvs.SCEである。印加する電
位が+0Vvs.SCE未満では微生物を殺菌すること
ができない。また、+1.5Vvs.SCEを越えた電
位を長時間印加すると、導電性基材の劣化が起きたり、
基材の組成物によっては水が電気化学的に分解され、水
素や酸素が生成することがあるので熱交換部材の種類に
より適宜選択することが必要である。さらに、上記正電
位を印加してなる殺菌工程の後、印加した正電位を、負
電位に変更すると導電性基材に付着した生物、その他の
細胞、殺菌された生物の細胞および/またはその破壊物
や有機物を脱離することができる。印加する負電位は、
適宜選択すればよい。上記正電位を印加してなる殺菌工
程と、負電位を印加してなる脱離工程とは周期的に変化
させるが、周期、即ち、正電位及び負電位の維持時間
は、本装置を取り付ける環境に応じて適宜設定すれば良
い。
【0021】また、経時的に使用すると上記印加方法の
みでは除去しきれない水生生物、その一部の細胞、殺菌
された水生生物の細胞および/またはその破壊物、有機
物などのスケールの付着が生じる。熱交換部材である導
電性基材の劣化との関連もあるが、電気化学的に水が分
解され水素、酸素や塩素などが発生する程度の負電位も
しくは正電位を導電性基材に印加することもできる。電
解液から電気化学的に生成物が発生する負電位は、−
1.0Vvs.SCE以上、好ましくは−2.0Vv
s.SCE以上であり、この値での電位の印加を周期的
もしくは不定期的に所定の時間で行うことによって、前
記水生生物、その一部の細胞、殺菌された水生生物の細
胞および/またはその破壊物、有機物やスケールを効果
的に洗浄することができる。また、電解液中から電気化
学的に生成物が発生する正電位とは、水や海水の分解に
ともない酸素や塩素の発生する電位であり、+1.5V
vs.SCEを越えた電位により、明確に確認される。
これらの高い電位を長時間印加すると水や海水が電気分
解して塩素や未知の物質を発生する可能性が高く、ま
た、導電性基材の劣化が起こることがあるので、長期に
渡って安定的に防汚効果を維持し、水や海水中への電解
生成物質による汚染を最小限に抑制するためには、不適
切な場合がある。しかしながら、長期間の防汚を目的と
した本発明においては、被防汚面となる導電性基材表面
に各種電位印加を行っても排除できない殺菌された微生
物、有機物及びスケールが付着することがあり、これら
を導電性基材の交換などのコスト無く、再活性化させて
長期間の防汚効果を再現させるためには、必要最小限の
塩素化合物及びラジカル発生機能を制御することが好ま
しい。導電性基材に、電解液中から電気化学的に生成物
が発生する負電位が印加されているとき、電解液の分解
により導電性基材表面では水素が発生し、この水素によ
って導電性基材表面の付着物が除去される。また、導電
性基材近傍はアルカリ性を示す雰囲気となり、除去しき
れない水生生物、その一部の細胞、殺菌された水生生物
の細胞および/またはその破壊物などのスケールと呼ば
れる有機物が分解される。これら、除去及び溶解によっ
て、導電性基材表面は洗浄されることになる。上記の洗
浄工程において、電解液中から電気化学的に生成物が発
生する正電位もしくは負電位を印加する時間は、導電性
基材の耐久性、導電性基材表面に直接または間接的に接
触する水生生物の付着量によって適宜選択することがで
きる。ちなみに、導電性基材表面の物性が、塩素過電圧
が酸素過電圧より低い場合には、塩素化合物の生成が起
こり、逆であれば酸素が先に発生する現象が確認でき
る。塩素発生基材としては、貴金属及びその酸化物など
が挙げられる。酸素発生基材としては、バルブ金属やそ
の酸化物及び酸化コバルトなどが挙げられる。電解液中
から電気化学的に生成物が発生する正電位を印加する時
間は、導電性基材の特性によって適宜選択することがで
きる。一般的には導電性基材の耐久性、導電性基材表面
に直接または間接的に接触する水生生物の付着量によっ
て異なるが、導電性基材の劣化及び水や海水の電解物質
による汚染を最小限とするための設定を行うことが好ま
しい。その点を考慮すると一ヶ月あたり0.5〜24時
間程度の印加がより好ましい。また、上記殺菌工程の設
定時間と比較して、10分の1〜一万分の1程度の時間
に設置して運用することも可能である。
【0022】本発明において化学物質による水や海水の
汚染を最小限となし、且つ、長期に渡り防汚効果を維持
するため、上記殺菌工程、脱離工程、洗浄(還元・分
解)工程の各工程は、印加電位及び印加時間を適宜設定
したうえで、状況に応じて任意の順序及び頻度で周期的
に適用することができる。
【0023】
【実施例】次に上記装置例を使用して本発明の実施例を
説明する。なお、以下の実施例中1〜7は、装置図面が
煩雑にならないよう単純な構成を模式的に表現したもの
である。従って、本発明は、以下の実施例に限定される
ものでなく、本発明の技術範囲において、種々の変形例
を含むものである。また、各実施例において、同じ構成
については同じ参照符号を付けた。以下、実施例1〜7
における熱交換部材として使用する導電性基材であるチ
タン管板については、下記による金属酸化物被覆を行っ
た。 導電性基材の調整 チタン基板(JIS2種相当、t1×w100×L10
0mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%弗化
水素水溶液中で2分間処理した後、水洗し乾燥した。次
いで市販のチタン粉末とパラジウム粉末をそれぞれ6
5:35(重量比)となるように計量した粉体250g
をV型混合機で1時間混合した。直径10mmの穴を1
0ヶ有するカーボン型ダイスに混合粉末を24g各々の
穴に充填し、両端をカーボン製パンチにて固定し、住友
石炭鉱業(株)製放電プラズマ焼結機(DR.SINT
ER)内の所定の位置に設置し、約350kgf/cm
2、パルス印加電圧4V、パルス印加電流3500A、
焼結温度800℃、焼結時間5分の条件にて焼結した。
その後表面研磨を行い約φ10mmで長さ50mmの6
5重量%チタン−パラジウム(以下、Ti−Pdと記載
する)放電被覆用電極を得た。次いで、酸化皮膜を除去
したチタン基板を陰極とし、65重量%Ti−Pd電極
を使用してアルゴン置換したグローブボックス中で放電
被覆加工を10分間行った。その後、放電加工を行った
チタン基材をファインカッターにてt1×10×10m
mに切断した。エレクトロプローブマイクルアナライザ
ー(以下、EPMAと記載する)にて、放電加工を行っ
たチタン基材の断面の元素分析を行ったところ、チタン
とパラジウムの合金が確認された。また、放電加工表面
を蛍光X線分析計を使用し、放電電極との比較測定によ
る成分分析を行ったところ、放電電極成分が被覆されて
いることが確認された。また、このチタンとパラジウム
合金層の厚さは30〜50ミクロンであった。塩化イリ
ジウム酸のブタノール溶液と塩化タンタルのエタノール
溶液を混合し、イリジウム(Ir)4.6g/l及びタ
ンタル(Ta)50.0g/l(モル混合比:8Ir−
92Ta)を含有する塗布液を調製し、マイクロピペッ
トで1cm2当たり3.0μl秤量し、それを上記の様
にして作製したチタンとパラジウム合金層を形成したチ
タン基板の合金層上に塗布した後、室温で30分間真空
乾燥させ、更に500℃の大気中で10分間焼成した。
この工程を3回繰り返した。次に外層を得るため、塩化
イリジウム酸のブタノール溶液と塩化タンタルのエタノ
ール溶液を混合し、イリジウム(Ir)50.0g/l
及びタンタル(Ta)20.2g/l(モル混合比:7
0Ir−30Ta)を含有する塗布液を調製した後、こ
の塗布液を用いて前記と同様の工程を8回繰り返して導
電性基材とした。
【0024】実施例1 図1は実施例1の構成図である。参照符号1はチタン溶
接管(JIS−H4631外形φ10mm×流路長さ2
000mm厚さ0.5mm)からなる、高温流体側(被
冷却側)熱交換部材であり、参照符号2はチタン溶接管
(JIS−H4631外形φ10mm×流路長さ200
0mm厚さ0.5mm)からなる、低温流体側(冷却
側:海水側)熱交換部材である。これら、熱交換部材1
及び2を1800mmにわたり平行に溶接したものを熱
交換器とした。本実施例においては、熱交換部材2を作
用極となした。熱交換部材2と対になる対極3は、鉄棒
材(φ10×200mm)を用い、塩化ビニール製支持
材によって海水側流路の入口に設けたトラップ7内に設
置した。電源4は、熱交換部材2と対極3に通電可能な
ように接続され、出力電圧、電流を可変させることによ
って電位印加条件を変えることができるものである。熱
交換部材2の表面電位は、海水側流路の出口に設けたト
ラップ8内に基準電極5を浸漬し、熱交換部材2との電
位差を電圧計6によって測定した。防汚効果及び熱交換
効率を確認するために、本実施例に係る熱交換器を室内
に配置し、熱交換部材2に以下に示す条件で電位を印加
しながら60日間海水を通水した後、熱交換部材1側に
42℃の清水を通水し、流出する清水の温度計測を行っ
た。 印加条件:下記殺菌工程と脱離工程とを繰り返す。 殺菌工程:1.0Vvs.SCE、90分 脱離工程:−0.6Vvs.SCE、45分
【0025】実施例2 図2は実施例2の構成図である。参照符号1はチタン溶
接管(JIS−H4631外形φ10mm×流路長さ2
000mm厚さ0.5mm)からなる、高温流体側(被
冷却側)熱交換部材であり、参照符号2はチタン溶接管
(JIS−H4631外形φ10mm×流路長さ200
0mm厚さ0.5mm)からなる、低温流体側(冷却
側:海水側)熱交換部材である。これら、熱交換部材1
及び2を1800mmにわたり平行に溶接したものを熱
交換器とした。本実施例においては、熱交換部材2を陽
極となした。熱交換部材2と対になる陰極3は、鉄棒材
(φ10×200mm)を用い、塩化ビニール製支持材
によって海水側流路の入口に設けたトラップ7内に設置
した。電源4は、熱交換部材2と陰極3に通電可能なよ
うに接続され、出力電圧、電流を可変させることによっ
て電位印加条件を変えることができるものである。防汚
効果及び熱交換効率を確認するために、本実施例に係る
熱交換器を室内に配置し、熱交換部材2に以下に示す条
件で電位を印加しながら30日間海水を通水した後、熱
交換部材1側に42℃の清水を通水し、流出する清水の
温度計測を行った。 通電条件:陽極(導電性基材)と陰極の間に5Vの電位
を常時印加し、90分ごとに電源により正・負の極性を
変換した。
【0026】実施例3 図3は実施例3の構成図である。参照符号1はチタン溶
接管(JIS−H4631外形φ10mm×流路長さ2
000mm厚さ0.5mm)からなる、高温流体側(被
冷却側)熱交換部材であり、参照符号2はチタン溶接管
(JIS−H4631外形φ10mm×流路長さ200
0mm厚さ0.5mm)からなる、低温流体側(冷却
側:海水側)熱交換部材である。これら、熱交換部材1
及び2を1800mmにわたり平行に溶接したものを熱
交換器とした。本実施例においては、熱交換部材2を作
用極となした。熱交換部材2と対になる対極3は、鉄板
材(5×100×100mm)を用い流路外の海水10
中に設置した。電源4は、熱交換部材2と対極3に通電
可能なように接続され、出力電圧、電流を可変させるこ
とによって電圧印加条件を変えることができるものであ
る。熱交換部材2の表面電位は、海水10に基準電極5
を浸漬し、熱交換部材2との電位差を電圧計6によって
測定した。防汚効果及び熱交換効率を確認するために、
本実施例に係る熱交換器を室内に配置し、熱交換部材2
に以下に示す条件で電位を印加しながら60日間海水を
通水した後、熱交換部材1側に42℃の清水を通水し、
流出する清水の温度計測を行った。 印加条件:下記殺菌工程と脱離工程とを繰り返す。 殺菌工程:1.0Vvs.SCE、90分 脱離工程:−0.6Vvs.SCE、45分
【0027】実施例4 実施例1に記載した熱交換器を用い、熱交換部材2に通
電せずに60日間海水を通水した後、以下の条件で電位
を印加して20日間海水を通水した後、熱交換部材1側
に42℃の清水を通水し、流出する清水の温度計測を行
った。 印加条件:下記殺菌工程と脱離工程とを10日間繰り返
した後、アルカリ雰囲気形成工程を行う。これを1パタ
ーンとして繰り返す。 殺菌工程:1.0Vvs.SCE、90分 脱離工程:−0.6Vvs.SCE、45分 洗浄(アルカリ雰囲気形成)工程:−1.4Vvs.S
CE、120分 なお、本実施例における熱交換器は、通電せずに60日
間海水を通水した後、熱交換効率の低下が見られたが、
通電を行うことによって、熱交換効率が回復した。
【0028】実施例5 図4は実施例5の構成図である。参照符号2はチタン溶
接管(JIS−H4631外形φ10mm×流路長さ2
000mm厚さ0.5mm)からなる高温流体側(被冷
却側)熱交換部材であり、参照符号11は、海水10を
汲入・排出し、温度を25℃に設定した恒温槽である。
この熱交換部材2を恒温槽11内に浸漬したものを熱交
換器とした。本実施例においては、熱交換部材2を作用
極となした。熱交換部材1と対になる対極3は、鉄棒材
(φ10×200mm)を用い、塩化ビニール製支持材
によって恒温槽11内に熱交換部材1と接触しない位置
に設置した。電源4は、熱交換部材2と対極3に通電可
能なように接続され、出力電圧、電流を可変させること
によって電位印加条件を変えることができるものであ
る。熱交換部材2の表面電位は、恒温槽11内に基準電
極5を浸漬し、熱交換部材2との電位差として電圧計6
によって測定した。防汚効果及び熱交換効率を確認する
ために、熱交換部材2に以下に示す条件で電位を印加し
ながら60日間恒温槽11内に浸漬した後、熱交換部材
1に42℃の清水を通水し、流出する清水の温度計測を
行った。印加条件:下記殺菌工程と脱離工程とを繰り返
す。 殺菌工程:1.0Vvs.SCE、90分 脱離工程:−0.6Vvs.SCE、45分
【0029】実施例6 実施例5において、熱交換部材2を通電せずに60日間
恒温槽に浸漬した後、更に、以下の条件で電位を印加し
て20日間恒温槽に浸漬した後、熱交換部材2側に42
℃の清水を通水し、流出する清水の温度計測を行った。 印加条件:下記殺菌工程と脱離工程とを10日間繰り返
した後、アルカリ雰囲気形成工程を行う。これを1パタ
ーンとして繰り返す。 殺菌工程:1.0Vvs.SCE、90分 脱離工程:−0.6Vvs.SCE、45分 アルカリ雰囲気形成工程:−1.4Vvs.SCE、1
20分 なお、本実施例における熱交換器は、通電せずに60日
間恒温槽に浸漬した後、熱交換効率の低下が見られた
が、通電を行うことによって、熱交換効率が回復した。
【0030】実施例7 図5は実施例7の構成図である。参照符号2は、チタン
溶接管(JIS−H4631外形φ8mm×流路長さ4
000mm厚さ0.5mm)を螺旋状に成形した熱交換
部材である。熱交換部材2の一端は、熱交換部材2内を
通す海水10を入れる吸水側の保温容器15内に配置さ
れ、他端は排水側の容器16に配置されている。参照符
号12は、冷却用清水13を入れる保温容器であり、こ
の容器12内に前記熱交換部材2を浸漬して熱交換を行
う。本実施例においては、熱交換部材2を作用極とな
し、ポテンショスタット19に接続する。このポテンシ
ョスタット19は、排水側の容器16内の海水10中に
浸漬した基準電極5と接続されている。熱交換部材2と
対になる対極3は、鉄材(5×50×200mm)を用
い、排水側の容器16内の海水中に浸漬されポテンショ
スタットと接続されている。本実施例において、熱交換
は以下のようにして行われる。保温容器12に取り付け
た温度調節器14により冷却用清水13を一定温度に保
つと共に、吸水側の保温容器15に取り付けた温度調節
器14により容器15内の海水10を一定温度に保って
いる。容器15中の海水10は、ポンプ9を介して熱交
換部材2を通って容器16に移送され、最終的に排水口
17から排水されるが、このとき、熱交換部材内の海水
と清水13との間で熱交換が行われる。蛇口18は、熱
交換後の流体を必要に応じて排出して温度計測を行うた
めのものである。防汚効果及び熱交換効率を確認するた
めに、以下に示す条件で60日間海水を通水した後、熱
交換部材2から流出する海水の温度計測を行った。 海水温度:30℃ 冷却用清水温度:18℃ 印加条件:下記殺菌工程と脱離工程とを繰り返す。 殺菌工程:1.0Vvs.SCE、90分 脱離工程:−0.6Vvs.SCE、45分
【0031】比較例1 実施例1において通電せずに60日間海水を通水したも
のを比較例1とした。
【0032】比較例2 実施例2において通電せずに30日間海水を通水したも
のを比較例2とした。
【0033】比較例3 実施例5において通電せずに60日間海水を通水したも
のを比較例3とした。
【0034】上記実施例1〜7及び比較例1〜3の試験
結果を表1に示す。表1の結果より、本発明の装置は防
汚効果を有し、熱交換効率が低下しないことを確認し
た。
【0035】
【表1】
【0036】実施例8 市販のプレート式熱交換器(M6−MFML、アルファ
・ラバル(株)製)の液流通路を構成するチタンプレー
トを以下の条件で表面処理し、被防汚導電性基材となし
た。 被防汚導電性基材の作成 プレート式熱交換器(M6−MFML)用チタンプレー
ト(JIS2種相当、t0.5×w24.6×L74.
8mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%弗化
水素水溶液中で2分間処理した後、水洗し乾燥した。次
いで市販のチタン粉末とパラジウム粉末をそれぞれ6
5:35(重量比)となるように計量した粉体250g
をV型混合機で1時間混合した。直径10mmの穴を1
0ヶ有するカーボン型ダイスに混合粉末を24g各々の
穴に充填し、両端をカーボン製パンチにて固定し、住友
石炭鉱業(株)製放電プラズマ焼結機(DR.SINT
ER)内の所定の位置に設置し、約350kgf/cm
2、パルス印加電圧4V、パルス印加電流3500A、
焼結温度800℃、焼結時間5分の条件にて焼結した。
その後表面研磨を行い約φ10mmで長さ50mmの6
5重量%Ti−Pd放電被覆用電極を得た。次いで、酸
化皮膜を除去した上記熱交換起用チタンプレート基材を
陰極とし、65重量%Ti−Pd電極を使用してアルゴ
ン置換したグローブボックス中で放電被覆加工を10分
間行った。その後、放電加工を行った上記熱交換器用チ
タンプレート基材をファインカッターにてt1×10×
10mmに切断した。EPMAにて、放電加工を行った
チタン基材の断面の元素分析を行ったところ、チタンと
パラジウムの合金が確認された。また、放電加工表面を
蛍光X線分析計を使用し、放電電極との比較測定による
成分分析を行ったところ、放電電極成分が被覆されてい
ることが確認された。また、このチタンとパラジウム合
金層の厚さは30〜50ミクロンであった。塩化イリジ
ウム酸のブタノール溶液と塩化タンタルのエタノール溶
液を混合し、イリジウム(Ir)4.6g/l及びタン
タル(Ta)50.0g/l(モル混合比:8Ir−9
2Ta)を含有する塗布液を調製し、マイクロピペット
で1cm2当たり3.0μl秤量し、それを上記の様に
して作製したチタンとパラジウム合金層を形成した熱交
換器用チタンプレート基材の合金層上に塗布した後、室
温で30分間真空乾燥させ、更に500℃の大気中で1
0分間焼成した。この工程を3回繰り返した。次に外層
を得るため、塩化イリジウム酸のブタノール溶液と塩化
タンタルのエタノール溶液を混合し、イリジウム(I
r)50.0g/l及びタンタル(Ta)20.2g/
l(モル混合比:70Ir−30Ta)を含有する塗布
液を調製した後、この塗布液を用いて前記と同様の工程
を8回繰り返して導電性基材とした。上記被防汚導電性
基材とした熱交換器用導電性プレート基材を7枚用い
た。これらと対になる対極は、円筒状の白金メッシュ
(φ40×200mm)を用い、熱交換器内冷却用海水
循環側の出入口に各1個合計2個設置した。また、参照
極は銀・塩化銀電極(Ag/AgCl)(ECAG−1
6A230、大機エンジアリング(株)製)を用い、熱
交換器内海水循環側の出口に設置した。電位印加条件
は、以下の通りである。 印加条件:下記殺菌工程のみの印加を行う。 殺菌工程:0.9Vvs.SCE 冷却用の海水は実海水を用い循環ポンプで流量1.5t
/hrを流し、清水側に温水(42℃)を循環ポンプで
流量1.5t/hr流した。この方法で6ヶ月間行い熱
交換器の熱交換性能と熱交換器プレートに付着した生物
の付着量を評価した。
【0037】実施例9 実施例8記載の熱交換器を用い、以下の条件で電位を印
加した。 印加条件:下記殺菌工程と脱離工程を繰り返す。 殺菌工程:0.9Vvs.SCE、90分 脱離工程:−0.6Vvs.SCE、45分 冷却用の海水は実海水を用い循環ポンプで流量1.5t
/hrを流し、清水側に温水(42℃)を循環ポンプで
流量1.5t/hr流した。この方法で6ヶ月間行い熱
交換器の熱交換性能と熱交換器プレートに付着した生物
の付着量を評価した。
【0038】実施例10 実施例8記載の熱交換器を用い、以下の条件で電位を印
加した。 印加条件:下記殺菌工程と脱離工程とを10日間繰り返
した後、アルカリ雰囲気形成工程を行う。これを1パタ
ーンとして繰り返す。 殺菌工程:0.9Vvs.SCE、90分 脱離工程:−0.6Vvs.SCE、45分 洗浄(アルカリ雰囲気形成)工程:−1.4Vvs.S
CE、120分冷却用の海水は実海水を用い循環ポンプ
で流量1.5t/hrを流し、清水側に温水(42℃)
を循環ポンプで流量1.5t/hr流した。この方法で
6ヶ月間行い熱交換器の熱交換性能と熱交換器プレート
に付着した生物の付着量を評価した。
【0039】比較例4 実施例8記載の熱交換器を用い、電位印加を行なわず、
冷却用の海水は実海水を用い循環ポンプで流量1.5t
/hrを流し、清水側に温水(42℃)を循環ポンプで
流量1.5t/hr流した。この方法で6ヶ月間行い熱
交換器の熱交換性能と熱交換器プレートに付着した生物
の付着量を評価した。
【0040】上記実施例8〜10及び比較例4の試験結
果を表2に示す。表2の結果より、本発明の装置は防汚
効果を有し、熱交換効率が低下しないことを確認した。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明に係る熱交換器は、少なくとも導
電性を有する熱交換部材の一部又は全部が、少なくとも
白金族及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化
物又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物からなり、生
物との直接電子移動反応が起こる電位を印加できるよう
に電極及び電源を設け、熱交換部材に生物が付着するこ
とを抑制する効果と防汚機能を出力電圧の調節によって
維持向上出きる効果を示し、長期間高い熱交換効率が維
持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、4の構成図である。
【図2】実施例2の構成図である。
【図3】実施例3の構成図である。
【図4】実施例5、6の構成図である。
【図5】実施例7の構成図である。
【符号の説明】
1 熱交換部材 2 熱交換部材 3 対極 4 電源 5 基準電極 6 電圧計 7 トラップ 8 トラップ 9 ポンプ 10 海水 11 恒温槽 12 保温容器 13 冷却用清水 14 温度調節器 15 保温容器 16 容器 17 排水口 18 蛇口 19 ポテンショスタット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 門井 英夫 埼玉県草加市吉町4−1−8 ぺんてる株 式会社草加工場内 (72)発明者 高橋 弘道 埼玉県草加市吉町4−1−8 ぺんてる株 式会社草加工場内 (72)発明者 高柳 博一 埼玉県草加市吉町4−1−8 ぺんてる株 式会社草加工場内 (72)発明者 和気 仁志 埼玉県草加市吉町4−1−8 ぺんてる株 式会社草加工場内 (72)発明者 松永 是 東京都小金井市本町4−20−15

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱交換器の一部又は全部の熱交換部材が
    少なくとも導電性を有し、該部材は表面が少なくとも白
    金族及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物
    又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物からなる基材か
    らなり、これらを被防汚面となるよう作用極となし、前
    記熱交換部材と短絡しない位置に対極を通電可能なよう
    に配置すると共に、作用極の電位が測定可能なように基
    準電極を配置し、作用極と生物との直接電子移動反応が
    発生する工程を少なくとも実施できるように、作用極と
    対極との間に電位を印加する電源を設けたことを特徴と
    する熱交換器。
  2. 【請求項2】 熱交換器の一部又は全部の熱交換部材が
    少なくとも導電性を有し、該部材は表面が少なくとも白
    金族及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物
    又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物からなる基材か
    らなり、これらを被防汚面となるよう陽極となし、前記
    熱交換部材と短絡しない位置に陰極を通電可能なように
    配置し、陽極と生物との直接電子移動反応が発生する工
    程を少なくとも実施できるように、陽極と陰極との間に
    通電する電源を設けたことを特徴とする熱交換器。
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