JP2003154951A - 車両用操舵装置 - Google Patents

車両用操舵装置

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JP2003154951A JP2001353130A JP2001353130A JP2003154951A JP 2003154951 A JP2003154951 A JP 2003154951A JP 2001353130 A JP2001353130 A JP 2001353130A JP 2001353130 A JP2001353130 A JP 2001353130A JP 2003154951 A JP2003154951 A JP 2003154951A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 手動操舵と自動操舵とを同時に実施でき、し
かも手動操舵と自動操舵とを同時に実施しても通常と同
じ操舵フィ−リングが得られる操舵装置を提供する。 【解決手段】 ハンドルに印加する反力トルクの目標値
を生成する目標反力生成手段と、ハンドルに生じている
反力トルクを検出する反力トルク検出手段と、目標反力
トルクと反力トルクが一致するように副操舵機構に印加
する駆動トルクを制御する反力トルク制御手段と、操舵
車輪の操舵方向を制御する操舵車輪制御機構と、操舵車
輪の実操舵角を検出する実操舵角検出手段と、操舵車輪
の操舵角の目標値を生成する目標操舵角生成手段と、目
標操舵角と実操舵角が一致するように操舵車輪制御機構
を駆動制御する実操舵角制御手段とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両の操舵車輪
を操舵する車両用操舵装置に関し、より詳しくは、運転
者によるハンドル操作量を補償するための自動操舵を実
施したり、自動運転のための操舵を実施する場合に必要
な副操舵機構を備える車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用操舵装置においては、従来より、
例えば操舵特性(ハンドル回転量に対する実際の車体進
行方向の変化)が最適になるように、補助的に操舵車輪
の向きを自動制御したり、あるいは車両の走行位置が所
定の車線内を維持するように運転者に代わって自動的に
操舵系を駆動制御することが提案されている。
【0003】このような操舵制御を実施する車両用操舵
装置として、例えば、特開平6−206553号公報に
開示されているような電気的に制御可能な副操舵機構を
備える操舵装置、または、ハンドルと操舵車輪との間の
機械的リンクを廃したステアリングバイワイヤと称され
る操舵装置を適用した車両用操舵装置が多数開示されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のような、従来の
副操舵機構を備える車両用操舵装置は、運転者が操舵し
ている主操舵に対して、遊星ギア機構等で構成される副
操舵機構により補助操舵を加えて操舵車輪を操舵する構
成、即ち、主操舵角に対して補助操舵角を加算する機械
的な角度加算機構により構成されている。
【0005】しかしながら、かかる角度加算機構におい
て副操舵機構により印加される補助操舵トルクは、副操
舵機構により操舵車輪を操舵するトルクと、ハンドル反
力トルクに分配されることになる。したがって、副操舵
機構を駆動したときには運転者が予期していないハンド
ル反力が生じる。
【0006】このハンドル反力に対して、運転者は「ハ
ンドル反力の変化に対して、気にせずハンドル操舵を続
ける」、「ハンドル反力の変化に対して、抗するように
ハンドル操舵を行なう」、または「ハンドル反力の変化
に対して、反力の生じた方向にハンドル操舵を行なう」
等の一義的には決められないハンドル操舵を行なう。
【0007】例えば、ハンドルを切り増していく途中か
ら副操舵機構によってハンドル操舵よりも大きな操舵を
行なおうとした場合、運転者は切り増していく途中から
ハンドル反力が重くなるように感じる。これに対して、
運転者はハンドルを戻すような操舵をしたとすると、副
操舵機構による補助操舵角の加算により得られる予定で
あった操舵車輪の操舵角は、運転者がハンドルを戻した
操舵量分だけ不足することになる。
【0008】したがって、副操舵機構の駆動により生じ
るハンドル反力に対する運転者のハンドル操舵が一義的
には決まらない状態では、上述の理由から操舵車輪の向
きを自動制御することが困難である。また、特開平6−
206553号公報のように前記ハンドル反力を別のア
クチュエータで補正した場合においても、制御遅れ等に
より、ハンドル反力を完全に除去することは困難なの
で、先の問題点の完全な解決策になっていない。
【0009】一方、ステアバイワイヤでは、ハンドルを
通じて運転者に伝えるハンドル反力は車両の状態により
決定され、反力装置によりハンドルに与えられる。ま
た、運転者のハンドル操作が検出され、検出されたハン
ドル操作に基づき操舵目標値を算出して、実操舵角を操
舵装置により操舵しているので、前記のような問題点は
解消される。
【0010】しかし、装置が故障したときの運転者のハ
ンドル操作を操舵車輪に伝える機械的な待機系バックア
ップ機構(例えば、ハンドル軸と実操舵軸をクラッチで
接続するなど)が必須であり、バックアップシステムが
組み込まれていたとしても、切り替え時にはクラッチが
つながるまでの間、一瞬操舵が不可能になるといった欠
点がある。
【0011】また、ステアバイワイヤシステムは、ハン
ドルと操舵車輪間に機械的リンクが存在しないので、シ
ステム起動時のハンドルの向きと操舵車輪の向きの関係
が正規である補償がないため、正規な関係となるように
ハンドル角と実操舵角との同期をとる必要があるといっ
た問題がある。
【0012】さらに、特開平6−206553号公報に
て開示されているような操舵機構では、ハンドルから操
舵車輪までの機械的リンク機構が存在するので、車両衝
突時、操舵機構の後退によりハンドルが運転者に損傷を
与える危険性がある。
【0013】この発明は、以上のような問題点を解決す
るためになされたものであり、手動操舵と自動操舵とを
同時に実施でき、しかも手動操舵と自動操舵とを同時に
実施しても通常と同じ操舵フィ−リングが得られる操舵
装置を提供することを目的とする。
【0014】また、システム異常時には、バックアップ
機構を駆動することなく、すぐさま機械的なリンクで操
舵が可能となる操舵装置を提供することを目的とする。
【0015】また、車両の衝突時には、ハンドルが運転
者に与える損傷を軽減することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】この発明に係る車両用操
舵装置は、ハンドルの回転量と、駆動トルクを印加する
ことにより前記ハンドルの回転量を補償する副操舵機構
の付勢量とに応じて操舵車輪を操舵する操舵機構を有す
る車両用操舵装置において、前記ハンドルに印加する反
力トルクの目標値を生成する目標反力生成手段と、前記
ハンドルに生じている反力トルクを検出する反力トルク
検出手段と、前記目標反力生成手段により生成された目
標反力トルクと前記反力トルク検出手段により検出され
た反力トルクが一致するように前記副操舵機構に印加す
る駆動トルクを制御する反力トルク制御手段と、前記操
舵車輪の操舵方向を制御する操舵車輪制御機構と、前記
操舵車輪制御機構により制御される操舵車輪の実操舵角
を検出する実操舵角検出手段と、前記操舵車輪の操舵角
の目標値を生成する目標操舵角生成手段と、前記目標操
舵角生成手段により生成された目標操舵角と前記実操舵
角検出手段により検出された実操舵角が一致するように
前記操舵車輪制御機構を駆動制御する実操舵角制御手段
とを備えたものである。
【0017】また、前記ハンドルの回転角によって生じ
るハンドル角を検出するハンドル角検出手段をさらに備
え、上記目標反力生成手段は、上記ハンドル角に基づい
て反力トルクの目標値を生成し、上記目標操舵角生成手
段は、上記ハンドル角に基づいて操舵角の目標値を生成
するものである。
【0018】また、前記副操舵機構は、前記ハンドルに
連結された第1のサンギアと、前記反力トルク制御手段
による制御に応じて動作する第1のリングギアと、前記
第1のサンギアと前記第1のリングギアの間に配置され
た第1の遊星ギアと、前記第1の遊星ギアを支持する第
1のキャリア機構とを有する第1の遊星ギア機構と、前
記操舵車輪制御機構と連結された第2のサンギアと、前
記実操舵角制御手段による制御に応じて動作する第2の
リングギアと、前記第2のサンギアと前記第2のリング
ギアの間に配置された第2の遊星ギアと、前記第2の遊
星ギアを支持する第2のキャリア機構とを有する第2の
遊星ギア機構と、前記第1のキャリア機構と前記第2の
キャリア機構とを機械的に連結する連結手段とによって
構成され、前記第1のリングギアと前記第2のリングギ
アのうちいずれか一方のリングギアを回転制御すると共
に、他方のリングギアを固定するものである。
【0019】また、前記第1のキャリア機構と前記第2
のキャリア機構の各々にプーリをさらに備え、前記連結
手段は2つのプーリを連結する変形可能かつ回転が伝達
できるケーブルからなり、前記第1の遊星ギア機構をハ
ンドルコラム部分に設置し、前記第2の遊星ギア機構を
前記操舵車輪制御機構に設置したものである。
【0020】また、前記副操舵機構は、前記ハンドルに
連結された第1のキャリア機構と、前記第1のキャリア
機構に支持された第1の遊星ギアと、前記反力トルク制
御手段による制御に応じて動作する第1のリングギア
と、前記第1の遊星ギアと前記第1のリングギアの中心
に配置された第1のサンギアとを有する第1の遊星ギア
機構と、前記操舵車輪制御機構に連結された第2のキャ
リア機構と、前記第2のキャリア機構に支持された第2
の遊星ギアと、前記実操舵角制御手段による制御に応じ
て動作する第2のリングギアと、前記第2の遊星ギアと
前記第2のリングギアの中心に配置された第2のサンギ
アとを有する第2の遊星ギア機構と、前記第1のサンギ
アと前記第2のサンギアとを機械的に連結する連結手段
とによって構成され、前記第1のリングギアと前記第2
のリングギアのうちいずれか一方のリングギアを回転制
御すると共に、他方のリングギアを固定するものであ
る。
【0021】また、前記連結手段は車両衝突時の衝撃に
より変形する細いシャフトからなり、前記第1の遊星ギ
ア機構をハンドルコラム部分に設置し、前記第2の遊星
ギア機構を前記操舵車輪制御機構に設置したものであ
る。
【0022】また、前記連結手段は変形自在なシャフト
からなり、前記第1の遊星ギア機構をハンドルコラム部
分に設置し、前記第2の遊星ギア機構を前記操舵車輪制
御機構に設置したものである。
【0023】また、前記実操舵角制御手段は前記連結手
段に設置され、該連結手段を介して前記操舵車輪制御機
構を駆動制御するものである。
【0024】また、前記第1のサンギアと前記第2のサ
ンギアの各々にプーリを備え、前記連結手段は2つのプ
ーリを連結する変形可能かつ回転が伝達できるケーブル
からなり、前記第1の遊星ギア機構をハンドルコラム部
分に設置し、前記第2の遊星ギア機構を前記操舵車輪制
御機構に設置したものである。
【0025】また、前記実操舵角制御手段は前記第2の
遊星ギア機構における第2のサンギアに設置され、該第
2のサンギアを駆動制御するものである。
【0026】また、前記反力トルク検出手段は前記ハン
ドルと連結されたトーションバーを内蔵し、該トーショ
ンバーのねじれ角を検出するものとした場合に、前記ハ
ンドル角検出手段を前記反力トルク検出手段と前記ハン
ドルとの間に備えたものである。
【0027】また、車両操舵装置の異常を検出する異常
検出手段と、前記異常検出手段からの異常信号に基づき
前記実操舵角制御手段から副操舵機構への制御信号を遮
断する第1の遮断手段と、前記異常検出手段からの異常
信号に基づき前記反力トルク制御手段から副操舵機構へ
の制御信号を遮断する第2の遮断手段とをさらに備えた
ものである。
【0028】また、前記副操舵機構は電気的制御をしな
い場合には、前記第1の遮断手段と第2の遮断手段とを
駆動させるものである。
【0029】また、前記第1の遮断手段と前記第2の遮
断手段とをウォームギアセットにより構成したものであ
る。
【0030】また、前記ウォームギアセットは、クラッ
チを内蔵した電気式モータにより開放されるものであ
る。
【0031】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの発明の
実施の形態1に係る車両用操舵装置を示す構成図であ
る。以下に図1の構成について説明する。図1におい
て、ハンドル1は運転者により操舵され、操舵車輪7
a,7bを操舵するものである。第1の遊星ギア機構2
は、ハンドル1と連結されたサンギア201と、キャリ
ア機構203にて支持されている遊星ギア202a,2
02bと、リングギア204と、リングギア204を回
転させるためのウォームホイール205によって構成さ
れている。
【0032】また、第2の遊星ギア機構3は、サンギア
301と、シャフト4を介して前記第1の遊星ギア機構
のキャリア機構203と連結されたキャリア機構303
にて支持されている遊星ギア302a,302bと、固
定されたリングギア304とにより構成される。そし
て、シャフト4は、前記第1の遊星ギア機構2のキャリ
ア機構203と、前記第2の遊星ギア機構3のキャリア
機構303を連結して、動力を伝達する。
【0033】ラックアンドピニオン方式の操舵車輪制御
機構5は、前記第2の遊星ギア機構3のサンギア301
と機械的に連結されたラックアンドピニオン501を有
し、操舵用アクチュエータとして用いる操舵機構駆動手
段9と、ラックアンドピニオン501を回転させるため
の逆転可能なウォームホイール502とが接続されてい
る。また、操舵車輪7a,7bは、ナックルアーム6
a,6bを介して前記ラックアンドピニオン501と接
続されている。
【0034】また、反力トルク生成手段8は、ハンドル
1に反力トルクを与えるものであり、反力用モータ80
1と、前記第1の遊星ギア機構2のウォームホイール2
05に噛み合うウォームギア802により構成される。
ここで、ウォームホイール205が動作してもウォーム
ギア802は回転しないようにセルフロックが可能な構
成となっている。
【0035】操舵機構駆動手段9は操舵車輪制御機構5
を駆動し、操舵用モータ901と、操舵車輪制御機構5
のウォームホイール502に噛み合うウォームギア90
2とによって構成される。ただし、ウォームホイール5
02とウォームギア902の組み合わせは、ウォームホ
ール502側からでも回転が可能な構成、即ち、逆転可
能な構成である。
【0036】また、反力トルク検出手段10はハンドル
1に生じている反力トルクを検出し、実操舵角検出手段
11は操舵車輪7a,7bの操舵角を検出し、ハンドル
角検出手段12はハンドル1の操舵角を検出する。
【0037】目標操舵角生成手段13は、例えばハンド
ル角検出手段12の出力1201や、他システム(例え
ば、車線維持装置)からの操舵要求信号17、車両状態
信号(例えば、車速・ヨーレートなど)18等から、必
要な操舵角を計算し目標操舵角1301を生成するもの
である。実操舵角制御手段14は、目標操舵角1301
と実操舵角検出手段出力1101が等しくなるよう、操
舵機構駆動手段9を駆動して操舵車輪7a,7bの操舵
角を制御するものである。
【0038】目標反力生成手段15は、ハンドル1を介
して運転者に与える反力トルク目標値を設定し、例えば
ハンドル角検出手段12の出力1201や、車両状態信
号(例えば、車速・ヨーレートなど)18等から、適当
な反力を計算し目標反力トルク1501を生成するもの
である。反力トルク制御手段16は、目標反力トルク1
501と反力トルク検出手段10の出力1001が一致
するよう、反力用モータ8の駆動トルクを制御すること
によってハンドル1に印加される反力トルクを制御する
ものである。
【0039】次に、上記構成からなる車両用操舵装置に
おける動作について説明する。はじめに、反力トルク生
成手段8と操舵機構駆動手段9を動作させない状態、即
ち、第1の遊星ギア機構2のリングギア204が、ウォ
ームホイール205とウォームギア802からなるセル
フロック機構により固定され、かつ、操舵車輪制御機構
5が自由に動作できる状態における車両用操舵装置の動
作について説明する。
【0040】運転者がハンドル1を操舵すると、ハンド
ル1と連結されている第1の遊星ギア機構2のサンギア
201は回転する。このサンギア201の回転は、遊星
ギア202a、202bに伝達されるが、リングギア2
04が先に説明したようにセルフロック機構により固定
されているため、遊星ギア202a,202bを支持し
ているキャリア機構203が回転する。さらに、このキ
ャリア機構203の回転により第2の遊星ギア機構3へ
回転を伝達するシャフト4が回転する。即ち、第1の遊
星ギア機構2は遊星ギア方式の減速機として動作する。
【0041】また、シャフト4の回転は、第2の遊星ギ
ア機構3のキャリア機構303に回転を伝達し、このキ
ャリア機構303が回転することにより、遊星ギア30
2a,302bは、サンギア301の周りを公転する。
そして、第2の遊星ギア機構3では、リングギア304
が固定されているので、遊星ギア302a,302bの
公転によりサンギア301は回転される。さらに、サン
ギア301と機械的に連結された操舵車輪制御機構5の
ラックアンドピニオン501が回転することとなり、操
舵車輪7a,7bの操舵方向が変化する。即ち、第2の
遊星ギア機構3は、シャフト4に対して増速機として動
作する。
【0042】以上のように、ハンドル1の回転はラック
アンドピニオン501に機械的に伝達されることとな
り、またその伝達比も1対1となる(第1の遊星ギア機
構2の減速比と第2の遊星ギア機構3の増速比を掛け合
わせた値。双方の構成が同じであれば、全体として減速
比は1となる。)。即ち、本実施の形態1に係る車両用
操舵装置において、反力トルク生成手段8と、操舵機構
駆動手段9を動作させなければ、通常のノンアシストの
操舵機構として動作する。
【0043】次に、ハンドル1を固定し、かつ、操舵機
構駆動手段9を開放した状態、即ち、反力生成手段8に
よりリングギア204を回転させる状態における車両用
操舵装置の動作について説明する。
【0044】反力トルク生成手段8によりリングギア2
04が回転されると、リングギア204の回転は遊星ギ
ア202a,202bに伝達されるが、ハンドル1に連
結されたサンギア201は固定されているので、リング
ギア204の回転は遊星ギア202a,202bを公転
させ、さらに、遊星ギア202a,202bを公転によ
りキャリア機構203を介してシャフト4が回転する。
【0045】このシャフト4の回転により、上述したよ
うに第2の操舵機構3を介して操舵車輪制御機構5が駆
動され、操舵車輪7a,7bの操舵方向が変化する。即
ち、上述した反力トルク生成手段8と、操舵機構駆動手
段9を動作させない状態におけるハンドル1から操舵車
輪制御機構5への回転の伝達に、反力トルク生成手段8
によるリングギア204の回転に基づいて生じる回転が
加算されることになる。以上のように、電気的制御自在
な副操舵機構が実現できる。
【0046】次に、運転者がハンドル1を保持した状態
で、操舵機構駆動手段9により操舵車輪7a,7bを操
舵する状態における車両用操舵装置の動作について説明
する。
【0047】操舵機構駆動手段9により操舵車輪制御機
構5を駆動すると、操舵車輪制御機構5は操舵車輪7
a,7bを操舵する回転を生じると共に、第2の遊星ギ
ア機構3、シャフト4、第1の遊星ギア機構2を介して
ハンドル1を操舵する運転者に伝わることになる。即
ち、運転者が操舵するハンドル1と操舵車輪制御機構5
により回転させられるサンギア201間に捻れが生じ、
反力トルク検出手段10によりこの捻れが反力トルク1
001として検出される。
【0048】ここで、反力トルク検出手段10により検
出された反力トルク1001が反力トルク制御手段16
へ入力され、反力トルク制御手段16は入力された反力
トルク1001が所定の値となるように、反力トルク生
成手段8により第1の遊星ギア機構2のリングギア20
4を回転させると、ハンドル1とサンギア201の捻れ
角が反力トルク制御手段16に与えられている目標反力
トルク1501相当の捻れとなるよう自動制御されるこ
とになる。
【0049】即ち、反力トルク1001を制御すること
により、ハンドル1の操舵角と、操舵車輪7a,7bの
操舵角が異なるような動作をさせる場合においても、副
操舵角(ハンドル1の操舵角と実操舵角との差に相当す
る。)を求めれば、リングギア204の回転角を求める
必要はなく、実操舵角と、ハンドル1に印加される反力
トルク1001を独立して制御することができることを
示している。
【0050】次に、本実施の形態1に係る車両用操舵装
置の具体的動作の一例について、車両の走行状態によっ
て、ハンドル1の操舵角と、操舵車輪7a,7bの実操
舵角との比率を変化させる可変ギアレシオ機構を例にし
て説明する。
【0051】図2は、車速に応じたハンドル操舵角12
01に対する、目標操舵角1301を算出するマップの
一例を示しており、図3は、車速に応じたハンドル操舵
角1201に対する、目標反力トルク1501を算出す
るマップの一例を示している。
【0052】運転者より操作されるハンドル1の操舵角
1201は、ハンドル角検出手段12により検出され、
目標操舵角生成手段13に入力される。目標操舵角生成
手段13は、図2のマップに基づいてハンドル角120
1と車両状態信号18(この例では、車速)に対応する
目標操舵角1301を出力する。実操舵角制御手段14
は、目標操舵角1301と実操舵角検出手段11の出力
1101が等しくなるよう操舵機構駆動手段9を駆動し
て、操舵車輪制御機構5を制御する。これにより、ハン
ドル1の操舵量と、実操舵角とを例えば図2に示すよ
う、任意に決定することができる。
【0053】一方、ハンドル操舵角1201は、目標反
力生成手段15に入力され、目標反力生成手段15は、
図3のマップに基づいてハンドル操舵角1201と車両
状態信号18(この例では、車速)に対応する目標反力
トルク1501を算出し、出力する。目標反力トルク1
501は、反力トルク制御手段16に入力され、目標反
力トルク1501と反力検出手段10により検出された
反力トルク1001が等しくなるよう、反力トルク生成
手段8を制御する。これにより、ハンドルに印加される
反力トルクも例えば図3に示したように任意に決定する
ことができる。
【0054】以上のように、先に説明した操舵機構と、
制御方法により、ハンドル1のハンドル操舵角1201
に対する操舵車輪7a,7bの操舵方向の関係と、反力
トルク1001を独立して自由に決定し、制御できる。
【0055】ここで、ハンドル1と、ハンドル角検出手
段12と、反力トルク検出手段10の配置について説明
する。反力トルク検出手段10は、トーションバーの捻
れ角によりトルクを検出するものであり、印加されるト
ルクに対して、捻れ角が大きいものほど精度が良くな
る。従って、ハンドル1と遊星ギア機構2の間に配置す
る順番は、ハンドル1、ハンドル角検出手段12、反力
トルク検出手段10、第1の遊星ギア機構2の順番が最
適である。
【0056】この様な配置の場合、反力トルク検出手段
10への入力トルクに対するトーションバーの捻れ角が
大きくても、実操舵角は、ハンドル1の操舵角に基づい
て制御されるので、反力トルク検出手段12の捻れの影
響は受けない。
【0057】次に、他の装置からの操舵指令に基づき操
舵する場合について説明する。他の装置として、例え
ば、車線維持装置が考えられる。この車線維持装置は、
車線を認識するセンサ、例えば白線認識カメラからの認
識結果を基に、車両が車線から逸脱しないように、操舵
車輪7a,7bを操舵するシステムである。ここでは、
車線維持装置の詳細は述べないが、運転者が漠然とした
操舵や、居眠り等により車両が車線を逸脱しそうになれ
ば、車線を逸脱しないような操舵角を演算して操舵する
システムである。
【0058】このシステムを、本発明の車両操舵装置を
用いて構成する方法について説明する。車線維持装置
は、認識した車線情報と、車両状態により車線の逸脱判
定を行いその結果、維持操舵角を通信により本車両用操
舵装置の目標操舵角生成手段13へ操舵要求信号17と
して送信する。したがって、目標操舵角生成手段13
は、操舵要求信号17と車両の状態信号18、及びハン
ドル角検出手段からのハンドル角信号1201等によ
り、目標操舵角1301を出力する。これにより、実操
舵角制御手段14は、操舵車輪7a,7bを操舵制御
し、車線を逸脱しない制御が実現する。
【0059】また、目標操舵角生成手段13は、操舵要
求信号17と、ハンドル角信号1201とを比較し、運
転者の意図しない操舵要求であると判定すれば、運転者
の操舵に基づく目標操舵角1301を生成することも可
能となり、マン−マシンインターフェースの優れた車線
維持装置を構成することができる。さらに、この時使用
する通信方法は、例えばTTCAN(Time Triggered CA
N)を用いれば、リアルタイム性が保証された通信が可能
となり、指令の遅れがなくなるので自動操舵時の制御性
を向上することができる。
【0060】最後に、本実施の形態1に係る車両用操舵
装置にけるフェイル時の動作について説明する。図示し
ていない異常検出手段により、車両操舵装置の異常、例
えば、ハンドル角検出手段12の故障、反力トルク検出
手段10の故障等を検出した場合、異常検出手段は、反
力トルク生成手段8と操舵機構駆動手段9をそれぞれ開
放する。例えば、反力用モータ801と操舵用モータ9
01に流す電流を0にするか、電源経路をリレー等によ
って遮断することが考えられる。
【0061】このようにして、2つのモータ801,9
01を開放にすることにより、先に説明したように、本
実施の形態1に係る車両用操舵装置は、ノンアシストの
操舵装置となる。また、走行中にバッテリの線が外れる
故障があった場合においても、反力用モータ801,操
舵用モータ901は開放状態となり、ノンアシストの操
舵装置となるため、安全性が保たれる。
【0062】また、操舵機構駆動手段9に用いている操
舵用モータ901が、内部の破損等によりロックするよ
うな故障に対しては、この操舵用モータ901の出力に
通電時にONとなるような電磁クラッチを設け、異常検
出時には、前記電磁クラッチをOFFすることにより、
操舵を損ねることはない。また、電源遮断時も、クラッ
チがOFFとなるので、安全性が保たれる。
【0063】実施の形態2.図4はこの発明の実施の形
態2に係る車両用操舵装置の外観図であり、図5は構成
図である。以下に図4,5の構成について説明する。本
実施の形態2では、上記実施の形態1におけるシャフト
4の代わりに、第1の遊星ギア機構2のキャリア機構2
03にプーリ206を接続し、第2の遊星ギア機構3の
キャリア機構303にもプーリ305を接続し、2つの
プーリ206,305間で回転が伝達できるよう、変形
可能なケーブル402で接続したものである。また、第
1の遊星ギア機構2はハンドルコラム19に設置し、第
2の遊星ギア機構3は操舵機後部20に設置したもので
ある。動作については、上記実施の形態1と変わりはな
い。
【0064】以上のように、本実施の形態2に係る車両
用操舵装置によれば、車両衝突時の操舵車輪制御機構5
の後退を変形可能なケーブル402が吸収するためハン
ドル1がそれに押されて後退することなく、ひいてはハ
ンドル1が運転者に与える損傷を軽減することができる
ので、衝突時の安全性が向上する。
【0065】実施の形態3.図6はこの発明の実施の形
態3に係る車両用操舵装置を示す構成図である。以下に
図6の構成について説明する。なお、図6における構成
は、上記実施の形態1と略同じであるため、異なる点に
ついてのみ説明する。
【0066】第1の遊星ギア機構2は、サンギア201
に代わってキャリア機構203がハンドル1と連結され
ており、遊星ギア202a、202bがキャリア機構2
03にて支持されて、サンギア201とリングギア20
4とが遊星ギア202a,202bに噛み合い、さらに
リングギア204を回転させるためのウォームホイール
205によって構成されている。つまり、上記実施の形
態1とはサンギア201とキャリア機構203との位置
が逆転した構成となっている。
【0067】また、第2の遊星ギア機構3は、キャリア
機構303に代わってサンギア301がシャフト4を介
して前記第1の遊星ギア機構のサンギア201と連結さ
れており、このサンギア301と固定されたリングギア
304との間でそれぞれに噛み合っている遊星ギア20
2a,202bと、この遊星ギア202a,202bを
支持するキャリア機構によって構成されている。つま
り、上記実施の形態1とはサンギア301とキャリア機
構303との位置が逆転した構成となっている。
【0068】したがって、シャフト4は、前記第1の遊
星ギア機構のサンギア301と、前記第2の遊星ギア機
構のサンギア201を連結して、動力を伝達している。
また、ラックアンドピニオン方式の操舵車輪制御機構5
が有するラックアンドピニオン501は、前記第2の遊
星ギア機構3のキャリア機構303と機械的に連結され
ている。
【0069】次に、上記構成からなる車両用操舵装置に
おける動作について説明する。反力トルク生成手段8と
操舵機構駆動手段9を動作させない状態、即ち、第1の
遊星ギア機構2のリングギア204が、ウォームホイー
ル205とウォームギア802からなるセルフロック機
構により固定され、かつ、操舵車輪制御機構5が自由に
動作できる状態における車両用操舵装置の動作について
説明する。
【0070】運転者がハンドル1を操舵すると、ハンド
ル1と連結されている第1の遊星ギア機構2のキャリア
機構203は回転する。このキャリア機構203の回転
は、遊星ギア202a,202bへ伝達されるが、リン
グギアが上記実施の形態1と同様に固定されているた
め、遊星ギア202a,202bと噛み合うサンギア2
01が回転する。さらに、このサンギア201の回転に
より第2の遊星ギア機構3へ回転を伝達するシャフト4
が回転する。即ち、第1の遊星ギア機構2は遊星ギア方
式の増速機として動作する。
【0071】また、シャフト4の回転は、第2の遊星ギ
ア機構3のサンギア301に回転を伝達し、このサンギ
ア301が回転することにより、遊星ギア302a,3
02bは、サンギア301とリングギア304の間を公
転する。そして、第2の遊星ギア機構3では、リングギ
ア304が固定されているので、遊星ギア302a,3
02bの公転により、遊星ギア302a,302bを支
持するキャリア機構303が回転する。さらに、キャリ
ア機構303と機械的に連結された操舵車輪制御機構5
のラックアンドピニオン501が回転することとなり、
操舵車輪7a,7bの操舵方向が変化する。即ち、第2
の遊星ギア機構3は、シャフト4に対して減速機として
動作する。
【0072】以上のように、ハンドル1の回転はラック
アンドピニオン501に機械的に伝達されることとな
り、またその伝達比も1対1となる(第1の遊星ギア機
構2の増速比と第2の遊星ギア機構3の減速比を掛け合
わせた値。双方の構成が同じであれば、全体として減速
比は1となる。)。即ち、本実施の形態2に係る車両用
操舵装置においても、反力トルク生成手段8と、操舵機
構駆動手段9を動作させなければ、上記実施の形態1と
同様に、通常のノンアシストの操舵機構として動作す
る。
【0073】ここで、シャフト4の回転は、ハンドル1
の回転に対して増速で動作しているので、ノンアシスト
時にシャフト4が伝達する必要があるトルクは、1/増
速比となるため、通常の操舵機構より少なくてすむ。従
って、回転方向の剛性を小さくしたシャフト、即ち、細
いシャフトや、変形自在なシャフトを用いることができ
る。
【0074】特に図6に示したように、第1の遊星ギア
機構2をハンドルコラム部19、第2の遊星ギア機構3
を操舵機後部20に設置し、その間を細いシャフト、又
は変形自在なシャフト403にて接続することにより、
ノンアシスト時の操舵が可能となると同時に、衝突時に
操舵機構が後退した場合において、細いシャフト又は、
変形自在なシャフト403が変形/破断することにより
その後退量を吸収するため、ハンドル1が運転者に与え
る損傷を低減することができる。
【0075】実施の形態4.図7はこの発明の実施の形
態4に係る車両用操舵装置を示す構成図である。以下
に、図4の構成について説明する。本実施の形態4に係
る車両用操舵装置は、上記実施の形態3に係る車両操舵
装置において、シャフト4の代わりに、第1の遊星ギア
機構2のサンギア201にプーリ206を接続し、第2
の遊星ギア機構3のサンギア301にもプーリ305を
接続し、2つのプーリ206,305間で回転が伝達で
きるよう、変形可能なケーブル402で接続したもので
ある。また、第1の遊星ギア機構2はハンドルコラム1
9に設置し、第2の遊星ギア機構3は操舵機後部20に
設置したものである。動作については、上記実施の形態
3と変わりはない。
【0076】以上のように、本実施の形態4に係る車両
操舵装置によれば、車両衝突時の操舵車輪制御機構5の
後退を変形可能なケーブル402が吸収するためハンド
ル1がそれに押されて後退することなく、ひいてはハン
ドル1が運転者に与える損傷を軽減することができるの
で、衝突時の安全性が向上する。
【0077】実施の形態5.図8はこの発明の実施の形
態5に係る車両用操舵装置を示す構成図である。以下
に、図8の構成について説明する。図8は、上記実施の
形態3において、操舵機構駆動手段9と操舵車輪制御機
構5のウォームホイール502にて実現していた機能
を、シャフト4に接続したベベルギア404と、操舵機
構駆動手段9のベベルギア903にて実現したものであ
る。
【0078】上記実施の形態3で説明したように、本構
成における第2の遊星ギア機構3はシャフト4から見て
減速機として働いているため、操舵機構駆動手段9の操
舵用モータ901から、ラックアンドピニオン501へ
の減速比は、ベベルギア404,903による減速比
と、遊星ギア機構3の減速比を乗算した値となる。すな
わち、本実施の形態5におけるウォームホイール502
とウォームギア902による減速比と同等の減速比を得
るには、遊星ギア機構3による減速比の分だけベベルギ
ア404,903による減速比は小さくて済むことにな
るため、ベベルギアによる減速機構を用いても、装置が
拡大することがなく、小型の装置が構成できる。また、
ウォームギア902による減速機よりも効率の良いもの
が得られる。
【0079】また、同様の考え方で、上記実施の形態4
における車両用操舵装置に本実施の形態を適応させた例
を、図7,図8に示した。図7は操舵機構駆動手段9
で、第2の遊星ギア機構3のサンギア301をベベルギ
ア404、903にて回転できるようにしたものであ
る。また、図8はシャフトがないので、ベベルギアを用
いず、平歯車405,905による減速機構を用いても
よい。
【0080】
【発明の効果】この発明に係る車両用操舵装置によれ
ば、目標反力生成手段により生成された目標反力トルク
と反力トルク検出手段により検出された反力トルクが一
致するように副操舵機構に印加する駆動トルクを制御す
る反力トルク制御手段と、目標操舵角生成手段により生
成された目標操舵角と実操舵角検出手段により検出され
た実操舵角が一致するように操舵車輪制御機構を駆動制
御する実操舵角制御手段とを備えたことにより、ハンド
ルの操舵角とは独立して実操舵角を制御できるととも
に、ハンドルに印加される反力トルクの制御ができるの
で、ハンドルによる手動操舵と目標操舵角生成手段に基
づく自動操舵を同時に実施ができるとともに、通常と同
様の操舵フィーリングを提供することができる。
【0081】また、副操舵機構を2つの遊星ギア機構に
より構成し、ハンドルを第1の遊星ギア機構のサンギア
に連結し、第2の遊星ギア機構のサンギアを操舵機構に
連結するとともに、前記2つの遊星ギア機構が機械的に
連結され、さらに前記遊星ギア機構が有するリングギア
のうちいずれか一方を固定させたことにより、ハンドル
の操舵量は、第1の遊星ギア機構と第2の遊星ギア機構
を介して、操舵車輪に機械的に伝達されてマニュアル操
舵機構として動作するので、安全性を向上させることが
できる。
【0082】また、2つの遊星ギアを支えるキャリア機
構同士の回転伝達を、プーリと変形可能なケーブルで構
成すると共に、第1の遊星ギア機構をハンドルコラム部
分に設置し、第2の遊星ギア機構を操舵機構に分離して
設置したことにより、車両衝突時の操舵車輪機構の後退
を前記変形可能なケーブルが吸収するためハンドルがそ
れに押されて後退することなく、ひいてはハンドルが運
転者に与える損傷を軽減することができるので、衝突時
の安全性を向上させることができる。
【0083】また、副操舵機構を2つの遊星ギア機構に
より構成し、ハンドルを第1の遊星ギア機構のキャリア
機構に連結し、第2の遊星ギア機構のキャリア機構を操
舵機構に連結するとともに、前記2つの遊星ギア機構が
機械的に連結され、さらに前記遊星ギア機構が有するリ
ングギアのうちいずれか一方を固定させたことにより、
ハンドルの操舵量は、第1の遊星ギア機構と第2の遊星
ギア機構を介して、操舵車輪に機械的に伝達され、マニ
ュアル操舵機構として動作することにより、ハンドルの
操舵量は、第1の遊星ギア機構と第2の遊星ギア機構を
介して、操舵車輪に機械的に伝達されてマニュアル操舵
機構として動作するので、安全性を向上させることがで
きる。
【0084】また、連結手段は車両衝突時の衝撃により
変形する細いシャフトからなり、第1の遊星ギア機構を
ハンドルコラム部分に設置し、第2の遊星ギア機構を操
舵車輪制御機構に設置したことにより、車両衝突時の外
部衝撃によるシャフトによる運転者への影響が軽減する
ことができるので、衝突時の安全性を向上させることが
できる。
【0085】また、連結手段は変形自在なシャフトから
なり、第1の遊星ギア機構をハンドルコラム部分に設置
し、第2の遊星ギア機構を前記操舵車輪制御機構に設置
したことにより、車両衝突時の外部衝撃によるシャフト
による運転者への影響が軽減することができるので、衝
突時の安全性を向上させることができる。
【0086】また、実操舵角制御手段は前記連結手段に
設置され、該連結手段を介して前記操舵車輪制御機構を
駆動制御することにより、電気モータ等のアクチュエー
タにより連結手段を回転させることができるので、アク
チュエータと連結手段の減速比を小さくすることが可能
となり、小型で効率の良い車両用操舵装置を実現でき
る。
【0087】また、第1のサンギアと第2のサンギアの
各々にプーリを備え、連結手段は2つのプーリを連結す
る変形可能かつ回転が伝達できるケーブルからなり、第
1の遊星ギア機構をハンドルコラム部分に設置し、第2
の遊星ギア機構を操舵車輪制御機構に設置したことによ
り、車両衝突時の操舵車輪機構の後退を前記変形可能な
ケーブルが吸収するためハンドルがそれに押されて後退
することなく、ひいてはハンドルが運転者に与える損傷
を軽減することができるので、衝突時の安全性を向上さ
せることができる。
【0088】また、実操舵角制御手段は第2の遊星ギア
機構における第2のサンギアに設置され、該第2のサン
ギアを駆動制御することにより、電気モータ等のアクチ
ュエータにより第2の遊星ギア機構における第2のサン
ギア回転させることができるので、アクチュエータと第
2のサンギア間の減速比を小さくすることが可能とな
り、小型で効率の良い車両用操舵装置を実現できる。
【0089】また、反力トルク検出手段は前記ハンドル
と連結されたトーションバーを内蔵し、該トーションバ
ーのねじれ角を検出するものとした場合に、ハンドル角
検出手段を反力トルク検出手段と前記ハンドルとの間に
備えたことにより、トーションバーのねじれの影響を受
けずにハンドルの操舵角を検出することができる。
【0090】また、車両操舵装置の異常を検出する異常
検出手段と、異常検出手段からの異常信号に基づき実操
舵角制御手段から副操舵機構への制御信号を遮断する第
1の遮断手段と、異常検出手段からの異常信号に基づき
反力トルク制御手段から副操舵機構への制御信号を遮断
する第2の遮断手段とをさらに備えたことにより、運転
者のハンドル操舵が機械的リンクを介して操舵車輪に伝
わりマニュアル操舵ができるので、車両用操舵装置の異
常時の安全性を向上させることができる。
【0091】また、副操舵機構は電気的制御をしない場
合には、第1の遮断手段と第2の遮断手段とを駆動させ
ることにより、異常を検出した際、反力トルク制御手段
による制御を禁止するだけで運転者のハンドル操舵が機
械的リンクを介して操舵車輪に伝わりマニュアル操舵が
できるので、車両用操舵装置の異常時の安全性を向上さ
せることができる。
【0092】また、第1の遮断手段と第2の遮断手段と
をウォームギアセットにより構成したことにより、安価
に車両用操舵装置を構成することができる。
【0093】また、ウォームギアセットは、クラッチを
内蔵した電気式モータにより開放されることにより、電
気モータがロック故障した場合でも、副操舵機構を開放
することができ、運転者のハンドル操作を妨げないの
で、安全性を向上させることがきる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る車両用操舵装
置の構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係る車両用操舵装
置における目標操舵角を算出するマップである。
【図3】 この発明の実施の形態1に係る車両用操舵装
置における目標反力トルクを算出するマップである。
【図4】 この発明の実施の形態2に係る車両用操舵装
置の外観図である。
【図5】 この発明の実施の形態2に係る車両用操舵装
置の構成図である。
【図6】 この発明の実施の形態3に係る車両用操舵装
置の構成図である。
【図7】 この発明の実施の形態4に係る車両用操舵装
置の構成図である。
【図8】 この発明の実施の形態5に係る車両用操舵装
置の構成図である。
【図9】 この発明の実施の形態5に係る車両用操舵装
置の構成図である。
【図10】この発明の実施の形態5に係る車両用操舵装
置の構成図である。
【符号の説明】
1 ハンドル、2 第1の遊星ギア機構、201 サン
ギア、202a,202b 遊星ギア、203 キャリ
ア機構、204 リングギア、205 ウォームホイー
ル、3 第2の遊星ギア機構、301 サンギア、30
2a,302b遊星ギア、303 キャリア機構、30
4 リングギア、305 ウォームホイール、4 シャ
フト、5 操舵車輪制御機構、501 ラックアンドピ
ニオン、502 ウォームホイール、6a,6b ナッ
クルアーム、7a,7b 操舵車輪、8 反力トルク生
成手段、801 反力用モータ、802 ウォームギ
ア、9 操舵機構駆動手段、901 操舵用モータ、9
02 ウォームギア、10反力トルク検出手段、100
1 反力トルク検出手段10の出力、11 実操舵角検
出手段、1101 実操舵角検出手段11の出力、12
ハンドル角検出手段、1201 ハンドル角検出手段
12の出力、13 目標操舵角生成手段、1301 目
標操舵角信号、14 実操舵角制御手段、15 目標反
力生成手段、1501 目標反力トルク信号、16 反
力トルク制御手段、17 操舵要求信号、18 車両状
態信号、19 ハンドルコラム、20 操舵機後部、2
06プーリ、305 プーリ、402 ケーブル、40
4 ベベルギア、405平歯車、903 ベベルギア、
905 平歯車。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 119:00 B62D 119:00 Fターム(参考) 3D032 CC20 DA03 DA15 DA23 EB04 EB12 3D033 CA04 CA13 CA16 CA17 CA28 CA29

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハンドルの回転量と、駆動トルクを印加
    することにより前記ハンドルの回転量を補償する副操舵
    機構の付勢量とに応じて操舵車輪を操舵する操舵機構を
    有する車両用操舵装置において、 前記ハンドルに印加する反力トルクの目標値を生成する
    目標反力生成手段と、 前記ハンドルに生じている反力トルクを検出する反力ト
    ルク検出手段と、 前記目標反力生成手段により生成された目標反力トルク
    と前記反力トルク検出手段により検出された反力トルク
    が一致するように前記副操舵機構に印加する駆動トルク
    を制御する反力トルク制御手段と、 前記操舵車輪の操舵方向を制御する操舵車輪制御機構
    と、 前記操舵車輪制御機構により制御される操舵車輪の実操
    舵角を検出する実操舵角検出手段と、 前記操舵車輪の操舵角の目標値を生成する目標操舵角生
    成手段と、 前記目標操舵角生成手段により生成された目標操舵角と
    前記実操舵角検出手段により検出された実操舵角が一致
    するように前記操舵車輪制御機構を駆動制御する実操舵
    角制御手段とを備えたことを特徴とする車両用操舵装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の車両用操舵装置におい
    て、 前記ハンドルの回転角によって生じるハンドル角を検出
    するハンドル角検出手段をさらに備え、 上記目標反力生成手段は、上記ハンドル角に基づいて反
    力トルクの目標値を生成し、上記目標操舵角生成手段
    は、上記ハンドル角に基づいて操舵角の目標値を生成す
    ることを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の車両用操舵装
    置において、 前記副操舵機構は、 前記ハンドルに連結された第1のサンギアと、前記反力
    トルク制御手段による制御に応じて動作する第1のリン
    グギアと、前記第1のサンギアと前記第1のリングギア
    の間に配置された第1の遊星ギアと、前記第1の遊星ギ
    アを支持する第1のキャリア機構とを有する第1の遊星
    ギア機構と、 前記操舵車輪制御機構と連結された第2のサンギアと、
    前記実操舵角制御手段による制御に応じて動作する第2
    のリングギアと、前記第2のサンギアと前記第2のリン
    グギアの間に配置された第2の遊星ギアと、前記第2の
    遊星ギアを支持する第2のキャリア機構とを有する第2
    の遊星ギア機構と、 前記第1のキャリア機構と前記第2のキャリア機構とを
    機械的に連結する連結手段とによって構成され、 前記第1のリングギアと前記第2のリングギアのうちい
    ずれか一方のリングギアを回転制御すると共に、他方の
    リングギアを固定することを特徴とする車両用操舵装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の車両用操舵装置におい
    て、 前記第1のキャリア機構と前記第2のキャリア機構の各
    々にプーリをさらに備え、 前記連結手段は2つのプーリを連結する変形可能かつ回
    転が伝達できるケーブルからなり、 前記第1の遊星ギア機構をハンドルコラム部分に設置
    し、前記第2の遊星ギア機構を前記操舵車輪制御機構に
    設置したことを特徴とする車両用操舵装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の車両用操舵装
    置おいて、 前記副操舵機構は、 前記ハンドルに連結された第1のキャリア機構と、前記
    第1のキャリア機構に支持された第1の遊星ギアと、前
    記反力トルク制御手段による制御に応じて動作する第1
    のリングギアと、前記第1の遊星ギアと前記第1のリン
    グギアの中心に配置された第1のサンギアとを有する第
    1の遊星ギア機構と、 前記操舵車輪制御機構に連結された第2のキャリア機構
    と、前記第2のキャリア機構に支持された第2の遊星ギ
    アと、前記実操舵角制御手段による制御に応じて動作す
    る第2のリングギアと、前記第2の遊星ギアと前記第2
    のリングギアの中心に配置された第2のサンギアとを有
    する第2の遊星ギア機構と、 前記第1のサンギアと前記第2のサンギアとを機械的に
    連結する連結手段とによって構成され、 前記第1のリングギアと前記第2のリングギアのうちい
    ずれか一方のリングギアを回転制御すると共に、他方の
    リングギアを固定することを特徴とする車両用操舵装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の車両用操舵装置におい
    て、 前記連結手段は車両衝突時の衝撃により変形する細いシ
    ャフトからなり、 前記第1の遊星ギア機構をハンドルコラム部分に設置
    し、前記第2の遊星ギア機構を前記操舵車輪制御機構に
    設置したことを特徴とする車両用操舵装置。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の車両用操舵装置におい
    て、 前記連結手段は変形自在なシャフトからなり、 前記第1の遊星ギア機構をハンドルコラム部分に設置
    し、前記第2の遊星ギア機構を前記操舵車輪制御機構に
    設置したことを特徴とする車両用操舵装置。
  8. 【請求項8】 請求項5または6に記載の車両用操舵装
    置において、 前記実操舵角制御手段は前記連結手段に設置され、該連
    結手段を介して前記操舵車輪制御機構を駆動制御するこ
    とを特徴とする車両用操舵装置。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載の車両用操舵装置におい
    て、 前記第1のサンギアと前記第2のサンギアの各々にプー
    リを備え、 前記連結手段は2つのプーリを連結する変形可能かつ回
    転が伝達できるケーブルからなり、 前記第1の遊星ギア機構をハンドルコラム部分に設置
    し、前記第2の遊星ギア機構を前記操舵車輪制御機構に
    設置したことを特徴とする車両用操舵装置。
  10. 【請求項10】 請求項7または9に記載の車両用操舵
    装置において、 前記実操舵角制御手段は前記第2の遊星ギア機構におけ
    る第2のサンギアに設置され、該第2のサンギアを駆動
    制御することを特徴とする車両用操舵装置。
  11. 【請求項11】 請求項2乃至10のいずれかに記載の
    車両用操舵装置において、 前記反力トルク検出手段は前記ハンドルと連結されたト
    ーションバーを内蔵し、該トーションバーのねじれ角を
    検出するものとした場合に、 前記ハンドル角検出手段を前記反力トルク検出手段と前
    記ハンドルとの間に備えたことを特徴とする車両用操舵
    装置。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11のいずれかに記載の
    車両用操舵装置において、 車両操舵装置の異常を検出する異常検出手段と、 前記異常検出手段からの異常信号に基づき前記実操舵角
    制御手段から副操舵機構への制御信号を遮断する第1の
    遮断手段と、 前記異常検出手段からの異常信号に基づき前記反力トル
    ク制御手段から副操舵機構への制御信号を遮断する第2
    の遮断手段とをさらに備えたことを特徴とする車両用操
    舵装置。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の車両用操舵装置に
    おいて、 前記副操舵機構は電気的制御をしない場合には、前記第
    1の遮断手段と第2の遮断手段とを駆動させることを特
    徴とする車両用操舵装置。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の車両用操舵装置に
    おいて、 前記第1の遮断手段と前記第2の遮断手段とをウォーム
    ギアセットにより構成したことを特徴とする車両用操舵
    装置。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の車両用操舵装置に
    おいて、 前記ウォームギアセットは、クラッチを内蔵した電気式
    モータにより開放されることを特徴とする車両用操舵装
    置。
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