JP2005041283A - 操舵制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】転舵角制御をトーションバーの捻り量に依存させないことから、転舵輪の転舵制御範囲を拡大することが可能になる。
【解決手段】操舵角センサ7からの操舵角信号により実転舵角目標値と操舵反力目標値をそれぞれ決定する目標値決定回路40と、該目標値決定回路から出力された実転舵角目標値信号δ1と実転舵角センサ17及びトルクセンサ20から出力された各情報信号δ、Tに基づいて転舵角を変更する転舵角変更回路41とを有している。また、目標値決定回路からの操舵反力目標値T1と操舵角センサ及びトルクセンサからの信号により回転角目標決定回路42及びモータ制御回路43を介して遊星歯車機構の電動モータを制御して最適な操舵反力が得られるように構成した。
【選択図】 図3
【解決手段】操舵角センサ7からの操舵角信号により実転舵角目標値と操舵反力目標値をそれぞれ決定する目標値決定回路40と、該目標値決定回路から出力された実転舵角目標値信号δ1と実転舵角センサ17及びトルクセンサ20から出力された各情報信号δ、Tに基づいて転舵角を変更する転舵角変更回路41とを有している。また、目標値決定回路からの操舵反力目標値T1と操舵角センサ及びトルクセンサからの信号により回転角目標決定回路42及びモータ制御回路43を介して遊星歯車機構の電動モータを制御して最適な操舵反力が得られるように構成した。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵制御装置に関し、とりわけ、ステアリングホイールと前輪操舵用駆動機構とを分離してなるステアバイワイヤ式の操舵制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用の操舵制御装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されているものがある。
【0003】
この操舵制御装置は、一端側がステアリングホィールに取付られたステアリングシャフトの他端側にトーションバーが配置されていると共に、該トーションバーの出力側に遊星歯車機構の入力軸が連結されている。したがって、ステアリングホイールに付与された操舵トルクの大きさに応じてトーションバーが捻られ、この捻り量をポテンショメータによって検出するようになっており、この検出情報が制御装置に入力されるようになっている。
【0004】
また前記遊星歯車機構の出力軸は、ラック&ピンオン式のギア装置に連結されており、前記出力軸の回転運動がラック軸の往復運動に変換される。このラック軸の両側には、それぞれタイロッドの一端が連結され、それぞれのタイロッドの他端側はそれぞれナックルアームを介して左右の転舵輪に連結されている。
【0005】
そして、前記ステアリングホイールを回転操作すると、トーションバーが捻れて、この捻れ量の情報をポテンショメータを介して制御装置に入力され、この制御装置が前記遊星歯車機構を作動させるアクチュエータを駆動させて、前記ステアリングシャフトの捻れ量を補うように、前記両転舵輪を転舵させるようになっている。
【0006】
これによってトーションバーが捻れることで発生する操舵量の伝達ロスを補うことができ、操舵系の捻れに起因する操舵性の低下を抑制できるようになっている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−6829公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の操舵制御装置にあっては、ステアリングホイールの回転操作トルクを必ずトーションバーが直接受けて、このトーションバーの捻れ量に基づいて制御装置が両転舵輪の転舵角度を制御するようになっている。換言すれば、トーションバーの捻れ量を制御パラメータとしていることから、ステアリングホイールの回転操作を行ってもトーションバーが捻れないかぎり、転舵輪の転舵角は制御されないことになる。
【0009】
このため、転舵輪を車両の運動状態、例えば、車両の走行中にヨーイングが発生して、このヨーレイト信号の基づく転舵輪の制御を行うことができない。つまり、転舵輪の制御範囲が狭くなるいった技術的課題がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記従来の操舵制御装置の技術的課題に鑑みて案出されたもので、請求項1記載の発明は、とりわけ、前記ステアリングホイールの操舵角または車両の運転状態に応じて実転舵角目標値を決定する目標値決定手段と、該目標値決定手段から出力された実転舵角目標値信号に基づいて転舵輪の転舵角を変更する転舵角変更手段とを備え、該転舵角変更手段から出力された変更信号によって前記操舵手段が前記転舵輪の転舵角を変更するように構成したことを特徴としている。
【0011】
この発明によれば、例えば車両の運転状態に応じて目標値決定手段によって演算などにより決定される実転舵角目標値信号によって転舵角変更手段が作動して、この転舵角変更手段により操舵手段を制御して転舵輪の転舵角を変更制御するようにしたため、従来のように、転舵輪の転舵角制御をトーションバーの捻り量に依存する必要がなくなることから、転舵輪の転舵制御範囲が拡大して、車両の種々の状態に応じて高精度に制御することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、バックアップ手段が、前記ステアリングホイールの回転操作により発生するステアリングシャフトの回転トルクにより駆動して、前記アクチュエータを作動させる可変ギア機構と、該可変ギア機構を作動させる作動機構とを備えている。また、電子コントローラは、前記ステアリングホイールの現在の操舵角を検出する操舵角検出手段と、前記転舵輪の現在の転舵角を検出する実転舵角検出手段とからの各情報信号を入力し、前記操舵角検出手段からの操舵角信号に基づいて実転舵角目標値と操舵反力目標値をそれぞれ決定する目標値決定手段を有すると共に、少なくとも目標値決定手段から出力された実転舵角目標値信号と前記実転舵角検出手段から出力された実転舵角信号に基づいて転舵輪の転舵角を変更する転舵角変更手段とを備え、該転舵角変更手段から出力された変更信号によって前記操舵手段が前記転舵輪の転舵角を変更すると共に、該操舵手段の故障時には、前記可変ギア機構により前記ステアリングホイールの操舵角に対して前記転舵輪の実転舵角を一定比率に制御するように構成したことを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、請求項1の発明と同一の作用効果が得られると共に、ステアリングシャフトは、その一端側がステアリングホイールに連結され、他端側がバックアップ手段の可変ギア機構に連結されていることから、操舵手段が故障して駆動しなくなった場合でも、ステアリングホイールの回転操作トルクがバックアップ手段に確実に伝達されて、かかるバックアップ手段が転舵輪の転舵角を制御することから、安全性が向上する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記アクチュエータと実転舵角検出手段との間に設けられたトーションバーと、該トーションバーの捻り量から操舵トルクを検出するトルク検出手段と、該トルク検出手段から検出されたトルクに基づき前記可変ギア機構を制御する反力トルク制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、ステアリングホイールの回転操舵時などには、原則的に操作手段によって転舵輪の転舵制御が行われるが、この転舵輪の転舵反力はトーションバーを介してバックアップ手段からステアリングホイールに伝達される。すなわち、転舵輪からの反力をトーションバーに伝達されて、このトーションバーが捻られることによってステアリングホイールに操舵反力が伝達される。そして、このトーションバーの捻り量に基づいて操舵トルクを検出し、この操舵トルクに基づいて可変ギア機構を制御する。よって、ステアリングホイールから運転者に伝達される操舵反力は操舵トルクに基づいたものになるため、自然な操舵フィーリングが得られる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記トルク検出手段を、前記トーションバーと前記アクチュエータとの間に配置された実転舵角検出手段を兼用させたことを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、トーションバーを含めたトルク検出手段を実転舵角検出手段と置き換えることが可能になっていることで、それぞれの検出精度の低下を招くことなく、各構成部品のレイアウトの自由度が向上する。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記可変ギア機構の作動機構を電動モータによって構成すると共に、該電動モータの回転角を検出する回転角検出手段を設け、回転角検出手段を前記実転舵角検出手段として機能させたことを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、回転角検出手段を実転舵角検出手段として機能させることによって、可変ギア機構の減速比分の検出の分解能を稼ぐことができる。
【0020】
また、回転角検出手段によって電動モータの作動状態を直接検出することができることから、該電動モータを高精度に制御することが可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる操舵制御装置の各実施形態を図面に基づいて詳述する。
【0022】
図1は第1の実施形態における操舵制御装置の概略を示し、操舵入力手段であるステアリングホィール1に連結されたステアリングシャフト2と、左右前輪FL、FRの操舵用のアクチュエータであるラック・ピニオン機構3と、前記ステアリングシャフト2の操舵角に応じて前記ラック・ピニオン機構3を駆動させる操舵手段4と、該操舵手段4と独立して設けられて、前記ステアリングシャフト2の操舵角に応じて前記ラック・ピニオン機構3を駆動するバックアップ手段5と、前記ステアリングシャフト2の操舵角に応じて主として前記操舵手段4を制御する制御手段である電子コントローラ6とから構成されている。
【0023】
前記ステアリングシャフト2は、図1及び図2に示すように、ステアリングホイール1の操舵角を検出する操舵角センサ7が設けられていると共に、先端部2aが前記バックアップ手段5の後述する遊星歯車機構14の入力軸14aに連結されている。
【0024】
前記ラック・ピニオン機構3は、図1に示すように、左右に前輪FL、FRにタイロッド8,8とナックルアーム9,9を介して連係したラックバー10と、該ラックバー10に噛合するピニオンギア11とから構成されている。
【0025】
前記操舵手段4は、図1及び図2に示すように、前記ピニオンギア11に正逆回転力を付与するウォーム歯車12と、該ウォーム歯車12に正逆回転力を付与するいわゆる可逆式の駆動モータ13とから構成されている。前記ウォーム歯車12は、駆動モータ13の回転軸13aに設けられたウォームギア12aと、前記ピニオンギア11のギア軸11aに設けられて、前記ウォームギア12aと噛合したウォームホイール12bとから構成されている。前記駆動モータ13は、前記電子コントローラ6からの制御信号に基づいて正逆回転制御されている。
【0026】
前記バックアップ手段5は、図2にも示すように、前記ステアリングシャフト2に連結された可変ギア機構である遊星歯車機構14と、該遊星歯車機構14の出力軸14b側に反転用ギア15を介して連結されたロアーシャフト16と、該ロアーシャフト16に設けられた実操舵角検出手段である実操舵角センサ17と、該実転舵角センサ17と前記ギア機構12との間に配置されて、前記ロアーシャフト15にジョイント18を介して連結されたトーションバー19とを備えている。
【0027】
また、トーションバー19は、下端部が前記ピニオンギア11のギア軸11aが軸方向から連結されていると共に、外周側に該トーションバー19の捻り量を検出するトルクセンサ20が設けられている。
【0028】
前記遊星歯車機構14は、図2に示すように、ハウジング21の内部に収容されて、前記入力軸14aに一体に設けられたサンギア22と、該サンギア22の外周歯部に噛合しつつ該外周をプラネタリキャリア23の複数の支軸23aを介して公転する複数(例えば3個)のプラネタリギア24と、該各プラネタリギア24の外周歯部に噛合したリングギア25とから構成されている。
【0029】
前記リングギア25は、外周に作動機構である電動モータ26の回転軸に固定されたウォームシャフト27と噛合する図外のウォームギアが形成されている。
【0030】
また、遊星歯車機構14の出力軸14bは、前記反転用ギア15の2つの平歯車ギア15a、15bに連係されている。
【0031】
そして、前記電動モータ26は、回転軸が前記電子コントローラ6からの制御電流によって正逆回転し、この回転力によってリングギア25とプラネタリギア24とを回転させて、入力軸14aと出力軸14bとの回転比(減速比)を変化させるようになっている。
【0032】
すなわち、前記電子コントローラ6は、マイクロコンピュータが内蔵され、基本的な制御としては、図3及び図4に示すように、図外の車速センサから出力された現在の車速信号Vと、前記操舵角センサ7からの操舵角θとを入力して、実転舵角目標値δ1と、操舵反力目標値T1を演算あるいは予め設定されたマップによって決定する目標値決定回路40と、該目標値決定回路40から出力された実転舵角目標値δ1と、実操舵角センサ17からの実転舵角信号δ(フィードバック)及びトルクセンサ20からの捻りトルク信号T及び転舵輪FL、FRからの転舵反力などに基づいてラック・ピニオン機構を介して転舵輪FL、FRの転舵角(転舵位置)を変更する転舵角変更回路41とを備えている。
【0033】
そして、転舵角変更回路41から出力された変更信号によって前記操舵手段4の駆動モータ13にフィードバック制御信号を出力して、トーションバー19を介してラック・ピニオン機構3により前記転舵輪FL、FRの転舵角を制御するようになっている。
【0034】
また、電子コントローラ6は、前記目標値決定回路40からの操舵反力目標値信号T1と、前記操舵角センサ7からの操舵角信号θと、トルクセンサ20からの捻りトルク信号Tに基づいて遊星歯車機構14のリングギア25の角速度値ω3(電動モータの回転角目標値)を演算する回転角目標決定回路42と、この回転角目標決定回路42から出力された角速度値ω3と、操舵角センサ7からの現在の操舵角信号θとによって出力軸14bの回転角度θ2を演算して、この演算値信号を電動モータ26にフィードバック制御信号を出力するモータ制御回路43とを備えている。そして、このモータ制御回路43は、前記出力軸14bの回転角度θ2を実転舵角δに追従させながら操舵反力の制御を行うようになっている。
【0035】
そして、電子コントローラ6による制御に基づいて、遊星歯車機構14を介してトーションバー19によるステアリングホイール1への最適な操舵反力は以下の式によって求められる。
【0036】
ここで、θは操舵角センサ7によって検出されたステアリングホイール1の操舵角値、δは実転舵輪センサ17から検出された転舵輪の実転舵角値、δ1は前記実転舵角目標値、ω1は操舵軸2から遊星歯車機構14への入力回転角(操舵角)、ω2は電動モータ26の回転角、ω3は電動モータ26の回転角目標値、θ2は遊星歯車機構14の出力軸14bの回転角、θ3は該回転角目標値、Tはトーションバー19の捻りトルク、T1は操舵反力目標値、Kはトーションバー19の剛性である。
【0037】
まず、実転舵角と各センサ信号値との関係は、
δ=θ2+T/K の式で求められた関係になっている。
【0038】
一方、実転舵角は、前記転舵角変更回路41によってδ=δ1(指令値)に制御されている。
【0039】
よって、操舵反力目標値(トルク指令値)T1を発生させる出力軸14bの回転角θ2を回転角目標値θ3とすると、
θ3=δ1−T1/K
Δθ2=θ3−θ2=(T−T1)/K
となる。
【0040】
よって、ω2=αΔθ2=α(T−T1)/Kとなるように制御すればよい。ここでαはゲインである。
【0041】
これを電動モータ26の回転角目標値ω3、つまり前記リングギア25の回転速度に直すと、
ω3=(ω1+K0(T−T1)/K)/2となる。
ここで、トーションバー19の剛性であるKは制御性能を最適化させるように選択する。
【0042】
なお、このトーションバー19の剛性によらずに設定することも可能である。
【0043】
以上のように、この実施形態によれば、従来のように、転舵輪の転舵角制御をトーションバー19の捻り量に依存する必要がなくなることから、転舵輪FL、FRの転舵制御の汎用性が拡大する。
【0044】
また、ステアリングホイール1の操舵反力を転舵輪FL、FRからの外乱などに影響されずに、最適に制御することが可能になる。すなわち、ステアリングホイール1の回転操舵時などには、原則的に操舵手段4によって転舵輪FL、FRの転舵制御が行われるが、この転舵輪FL、FRからの転舵反力は、トーションバー19を介してバックアップ手段5からステアリングホイール1に伝達され、つまり、トーションバー19が捻られることによってステアリングホイール1に操舵反力が伝達されため、トーションバー19の捻り作用によって、転舵輪FL、FRからの外乱である余分な反力は吸収されるので、ステアリングホイールは外乱の影響を受けずに、精度良い回転制御をすることが可能になる。
【0045】
また、本実施形態によれば、操舵手段4が何等かの原因で故障して例えばロックしてしまった場合は、ステアリングホイール1の手動による回転操舵力を遊星歯車機構14及びトーションバー19がラック・ピニオン機構3を作動させるため、操舵手段4のいずれの機器が故障したとしても、バックアップ手段5は何らの影響を受けずに、遊星歯車機構14が、操舵手段4とは関係なく独自に駆動してラック・ピニオン機構3を作動させ、いわゆるマニュアルステアの状態で操舵輪FL、FRをフェールセーフ制御することが可能になる。
【0046】
したがって、ステアリングホイール1の通常の回転操作により操舵輪FL、FRの制御を何ら支障無く確実に行うことができ、安全性が向上する。
【0047】
また、操舵手段5が正常に駆動している場合は、前述のようのに、電動モータ26が回転駆動して遊星歯車機構14により、操舵軸2にアシスト操舵力が付与されるため、ステアリングホイール1の操舵フィーリングが良好になる。
【0048】
また、図5は本発明の第2の実施形態を示し、電子コントローラ6は、前記目標値決定回路40によって実転舵角目標値δ1と操舵反力目標値T1を演算するための情報信号として、前記操舵角センサ7からの操舵角信号の他に、ヨーレートセンサ44からの信号、つまり車両の横揺れ情報信号(車両状態)yawを入力して、この信号値と操舵角信号値とから演算して各目標値δ1,T1を決定することも可能である。
【0049】
これによって、より精度の高い操舵反力トルク制御が可能になる。
【0050】
図6は本発明の第3の実施形態を示し、トルクセンサ20を、前記トーションバー19とラック・ピニオン機構3との間に設けられた前記実転舵角検出センサ17によって兼用させるようにしたものである。
【0051】
したがって、トルクセンサ20を実転舵角検出センサ17と置き換えることが可能になったことで、それぞれの検出精度の低下を招くことなく、各構成部品のレイアウトの自由度が向上する。
【0052】
なお、前記トルクセンサ20を、ラック・ピニオン機構3の作動を検出する作動検出センサや、駆動モータ13の回転角度を検出する回転角検出センサなどによって構成することも可能である。
【0053】
図7は第4の実施形態を示し、前記電動モータ26の回転角を検出して電子コントローラ6に出力する回転角検出手段である回転角センサ27を設け、この回転角センサ27を、前記実転舵角センサ17としても機能させるように構成したものである。
【0054】
したがって、回転角センサ27を実転舵角センサとして機能させることによって、遊星歯車機構14の減速比分の検出の分解能を稼ぐことができる。
【0055】
また、回転角センサによって電動モータ26の作動状態を直接検出することができることから、該電動モータ26を電子コントローラ6によって高精度に制御することが可能になる。
【0056】
前記実施形態から導かれる前記請求項以外の技術的手段について説明する。
【0057】
前記可変ギア機構と作動機構及び操舵角検出手段、実転舵角検出手段を、一体にユニット化したことを特徴とする請求項2〜4に記載の操舵制御装置。
【0058】
この発明によれば、各機構や手段のユニット化によって、該ユニットを現行の電動パワーステアリング装置にそのまま適用することも可能になる。
【0059】
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、可変ギア機構として前記遊星歯車機構14以外の通常のギア歯車機構とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における操舵制御装置を示す概略図である。
【図2】本実施形態に供される遊星歯車機構などを示す縦断面図である。
【図3】本実施形態における電子コントローラの制御ブロック図である。
【図4】本実施形態における操舵制御装置を示す概略図である。
【図5】第2実施形態における電子コントローラの制御ブロック図である。
【図6】第3の実施形態における操舵制御装置を示す概略図である。
【図7】第4の実施形態における操舵制御装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1…ステアリングホイール
2…ステアリングシャフト
3…ラック・ピニオン機構(アクチュエータ)
4…操舵手段
5…バックアップ手段
6…電子コントローラ
7…操舵角センサ(操舵角検出手段)
13…駆動モータ
14…遊星歯車機構(可変ギア機構)
17…実転舵角センサ(実転舵角検出手段)
19…トーションバー
20…トルクセンサ(トルク検出手段)
26…電動モータ
40…目標値決定回路(目標値決定手段)
41…転舵角変更回路(転舵角変更手段)
42…回転角目標決定回路(回転角目標決定手段)
43…モータ制御回路
FL、FR…転舵輪
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵制御装置に関し、とりわけ、ステアリングホイールと前輪操舵用駆動機構とを分離してなるステアバイワイヤ式の操舵制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用の操舵制御装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されているものがある。
【0003】
この操舵制御装置は、一端側がステアリングホィールに取付られたステアリングシャフトの他端側にトーションバーが配置されていると共に、該トーションバーの出力側に遊星歯車機構の入力軸が連結されている。したがって、ステアリングホイールに付与された操舵トルクの大きさに応じてトーションバーが捻られ、この捻り量をポテンショメータによって検出するようになっており、この検出情報が制御装置に入力されるようになっている。
【0004】
また前記遊星歯車機構の出力軸は、ラック&ピンオン式のギア装置に連結されており、前記出力軸の回転運動がラック軸の往復運動に変換される。このラック軸の両側には、それぞれタイロッドの一端が連結され、それぞれのタイロッドの他端側はそれぞれナックルアームを介して左右の転舵輪に連結されている。
【0005】
そして、前記ステアリングホイールを回転操作すると、トーションバーが捻れて、この捻れ量の情報をポテンショメータを介して制御装置に入力され、この制御装置が前記遊星歯車機構を作動させるアクチュエータを駆動させて、前記ステアリングシャフトの捻れ量を補うように、前記両転舵輪を転舵させるようになっている。
【0006】
これによってトーションバーが捻れることで発生する操舵量の伝達ロスを補うことができ、操舵系の捻れに起因する操舵性の低下を抑制できるようになっている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−6829公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の操舵制御装置にあっては、ステアリングホイールの回転操作トルクを必ずトーションバーが直接受けて、このトーションバーの捻れ量に基づいて制御装置が両転舵輪の転舵角度を制御するようになっている。換言すれば、トーションバーの捻れ量を制御パラメータとしていることから、ステアリングホイールの回転操作を行ってもトーションバーが捻れないかぎり、転舵輪の転舵角は制御されないことになる。
【0009】
このため、転舵輪を車両の運動状態、例えば、車両の走行中にヨーイングが発生して、このヨーレイト信号の基づく転舵輪の制御を行うことができない。つまり、転舵輪の制御範囲が狭くなるいった技術的課題がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記従来の操舵制御装置の技術的課題に鑑みて案出されたもので、請求項1記載の発明は、とりわけ、前記ステアリングホイールの操舵角または車両の運転状態に応じて実転舵角目標値を決定する目標値決定手段と、該目標値決定手段から出力された実転舵角目標値信号に基づいて転舵輪の転舵角を変更する転舵角変更手段とを備え、該転舵角変更手段から出力された変更信号によって前記操舵手段が前記転舵輪の転舵角を変更するように構成したことを特徴としている。
【0011】
この発明によれば、例えば車両の運転状態に応じて目標値決定手段によって演算などにより決定される実転舵角目標値信号によって転舵角変更手段が作動して、この転舵角変更手段により操舵手段を制御して転舵輪の転舵角を変更制御するようにしたため、従来のように、転舵輪の転舵角制御をトーションバーの捻り量に依存する必要がなくなることから、転舵輪の転舵制御範囲が拡大して、車両の種々の状態に応じて高精度に制御することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、バックアップ手段が、前記ステアリングホイールの回転操作により発生するステアリングシャフトの回転トルクにより駆動して、前記アクチュエータを作動させる可変ギア機構と、該可変ギア機構を作動させる作動機構とを備えている。また、電子コントローラは、前記ステアリングホイールの現在の操舵角を検出する操舵角検出手段と、前記転舵輪の現在の転舵角を検出する実転舵角検出手段とからの各情報信号を入力し、前記操舵角検出手段からの操舵角信号に基づいて実転舵角目標値と操舵反力目標値をそれぞれ決定する目標値決定手段を有すると共に、少なくとも目標値決定手段から出力された実転舵角目標値信号と前記実転舵角検出手段から出力された実転舵角信号に基づいて転舵輪の転舵角を変更する転舵角変更手段とを備え、該転舵角変更手段から出力された変更信号によって前記操舵手段が前記転舵輪の転舵角を変更すると共に、該操舵手段の故障時には、前記可変ギア機構により前記ステアリングホイールの操舵角に対して前記転舵輪の実転舵角を一定比率に制御するように構成したことを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、請求項1の発明と同一の作用効果が得られると共に、ステアリングシャフトは、その一端側がステアリングホイールに連結され、他端側がバックアップ手段の可変ギア機構に連結されていることから、操舵手段が故障して駆動しなくなった場合でも、ステアリングホイールの回転操作トルクがバックアップ手段に確実に伝達されて、かかるバックアップ手段が転舵輪の転舵角を制御することから、安全性が向上する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記アクチュエータと実転舵角検出手段との間に設けられたトーションバーと、該トーションバーの捻り量から操舵トルクを検出するトルク検出手段と、該トルク検出手段から検出されたトルクに基づき前記可変ギア機構を制御する反力トルク制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、ステアリングホイールの回転操舵時などには、原則的に操作手段によって転舵輪の転舵制御が行われるが、この転舵輪の転舵反力はトーションバーを介してバックアップ手段からステアリングホイールに伝達される。すなわち、転舵輪からの反力をトーションバーに伝達されて、このトーションバーが捻られることによってステアリングホイールに操舵反力が伝達される。そして、このトーションバーの捻り量に基づいて操舵トルクを検出し、この操舵トルクに基づいて可変ギア機構を制御する。よって、ステアリングホイールから運転者に伝達される操舵反力は操舵トルクに基づいたものになるため、自然な操舵フィーリングが得られる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記トルク検出手段を、前記トーションバーと前記アクチュエータとの間に配置された実転舵角検出手段を兼用させたことを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、トーションバーを含めたトルク検出手段を実転舵角検出手段と置き換えることが可能になっていることで、それぞれの検出精度の低下を招くことなく、各構成部品のレイアウトの自由度が向上する。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記可変ギア機構の作動機構を電動モータによって構成すると共に、該電動モータの回転角を検出する回転角検出手段を設け、回転角検出手段を前記実転舵角検出手段として機能させたことを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、回転角検出手段を実転舵角検出手段として機能させることによって、可変ギア機構の減速比分の検出の分解能を稼ぐことができる。
【0020】
また、回転角検出手段によって電動モータの作動状態を直接検出することができることから、該電動モータを高精度に制御することが可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる操舵制御装置の各実施形態を図面に基づいて詳述する。
【0022】
図1は第1の実施形態における操舵制御装置の概略を示し、操舵入力手段であるステアリングホィール1に連結されたステアリングシャフト2と、左右前輪FL、FRの操舵用のアクチュエータであるラック・ピニオン機構3と、前記ステアリングシャフト2の操舵角に応じて前記ラック・ピニオン機構3を駆動させる操舵手段4と、該操舵手段4と独立して設けられて、前記ステアリングシャフト2の操舵角に応じて前記ラック・ピニオン機構3を駆動するバックアップ手段5と、前記ステアリングシャフト2の操舵角に応じて主として前記操舵手段4を制御する制御手段である電子コントローラ6とから構成されている。
【0023】
前記ステアリングシャフト2は、図1及び図2に示すように、ステアリングホイール1の操舵角を検出する操舵角センサ7が設けられていると共に、先端部2aが前記バックアップ手段5の後述する遊星歯車機構14の入力軸14aに連結されている。
【0024】
前記ラック・ピニオン機構3は、図1に示すように、左右に前輪FL、FRにタイロッド8,8とナックルアーム9,9を介して連係したラックバー10と、該ラックバー10に噛合するピニオンギア11とから構成されている。
【0025】
前記操舵手段4は、図1及び図2に示すように、前記ピニオンギア11に正逆回転力を付与するウォーム歯車12と、該ウォーム歯車12に正逆回転力を付与するいわゆる可逆式の駆動モータ13とから構成されている。前記ウォーム歯車12は、駆動モータ13の回転軸13aに設けられたウォームギア12aと、前記ピニオンギア11のギア軸11aに設けられて、前記ウォームギア12aと噛合したウォームホイール12bとから構成されている。前記駆動モータ13は、前記電子コントローラ6からの制御信号に基づいて正逆回転制御されている。
【0026】
前記バックアップ手段5は、図2にも示すように、前記ステアリングシャフト2に連結された可変ギア機構である遊星歯車機構14と、該遊星歯車機構14の出力軸14b側に反転用ギア15を介して連結されたロアーシャフト16と、該ロアーシャフト16に設けられた実操舵角検出手段である実操舵角センサ17と、該実転舵角センサ17と前記ギア機構12との間に配置されて、前記ロアーシャフト15にジョイント18を介して連結されたトーションバー19とを備えている。
【0027】
また、トーションバー19は、下端部が前記ピニオンギア11のギア軸11aが軸方向から連結されていると共に、外周側に該トーションバー19の捻り量を検出するトルクセンサ20が設けられている。
【0028】
前記遊星歯車機構14は、図2に示すように、ハウジング21の内部に収容されて、前記入力軸14aに一体に設けられたサンギア22と、該サンギア22の外周歯部に噛合しつつ該外周をプラネタリキャリア23の複数の支軸23aを介して公転する複数(例えば3個)のプラネタリギア24と、該各プラネタリギア24の外周歯部に噛合したリングギア25とから構成されている。
【0029】
前記リングギア25は、外周に作動機構である電動モータ26の回転軸に固定されたウォームシャフト27と噛合する図外のウォームギアが形成されている。
【0030】
また、遊星歯車機構14の出力軸14bは、前記反転用ギア15の2つの平歯車ギア15a、15bに連係されている。
【0031】
そして、前記電動モータ26は、回転軸が前記電子コントローラ6からの制御電流によって正逆回転し、この回転力によってリングギア25とプラネタリギア24とを回転させて、入力軸14aと出力軸14bとの回転比(減速比)を変化させるようになっている。
【0032】
すなわち、前記電子コントローラ6は、マイクロコンピュータが内蔵され、基本的な制御としては、図3及び図4に示すように、図外の車速センサから出力された現在の車速信号Vと、前記操舵角センサ7からの操舵角θとを入力して、実転舵角目標値δ1と、操舵反力目標値T1を演算あるいは予め設定されたマップによって決定する目標値決定回路40と、該目標値決定回路40から出力された実転舵角目標値δ1と、実操舵角センサ17からの実転舵角信号δ(フィードバック)及びトルクセンサ20からの捻りトルク信号T及び転舵輪FL、FRからの転舵反力などに基づいてラック・ピニオン機構を介して転舵輪FL、FRの転舵角(転舵位置)を変更する転舵角変更回路41とを備えている。
【0033】
そして、転舵角変更回路41から出力された変更信号によって前記操舵手段4の駆動モータ13にフィードバック制御信号を出力して、トーションバー19を介してラック・ピニオン機構3により前記転舵輪FL、FRの転舵角を制御するようになっている。
【0034】
また、電子コントローラ6は、前記目標値決定回路40からの操舵反力目標値信号T1と、前記操舵角センサ7からの操舵角信号θと、トルクセンサ20からの捻りトルク信号Tに基づいて遊星歯車機構14のリングギア25の角速度値ω3(電動モータの回転角目標値)を演算する回転角目標決定回路42と、この回転角目標決定回路42から出力された角速度値ω3と、操舵角センサ7からの現在の操舵角信号θとによって出力軸14bの回転角度θ2を演算して、この演算値信号を電動モータ26にフィードバック制御信号を出力するモータ制御回路43とを備えている。そして、このモータ制御回路43は、前記出力軸14bの回転角度θ2を実転舵角δに追従させながら操舵反力の制御を行うようになっている。
【0035】
そして、電子コントローラ6による制御に基づいて、遊星歯車機構14を介してトーションバー19によるステアリングホイール1への最適な操舵反力は以下の式によって求められる。
【0036】
ここで、θは操舵角センサ7によって検出されたステアリングホイール1の操舵角値、δは実転舵輪センサ17から検出された転舵輪の実転舵角値、δ1は前記実転舵角目標値、ω1は操舵軸2から遊星歯車機構14への入力回転角(操舵角)、ω2は電動モータ26の回転角、ω3は電動モータ26の回転角目標値、θ2は遊星歯車機構14の出力軸14bの回転角、θ3は該回転角目標値、Tはトーションバー19の捻りトルク、T1は操舵反力目標値、Kはトーションバー19の剛性である。
【0037】
まず、実転舵角と各センサ信号値との関係は、
δ=θ2+T/K の式で求められた関係になっている。
【0038】
一方、実転舵角は、前記転舵角変更回路41によってδ=δ1(指令値)に制御されている。
【0039】
よって、操舵反力目標値(トルク指令値)T1を発生させる出力軸14bの回転角θ2を回転角目標値θ3とすると、
θ3=δ1−T1/K
Δθ2=θ3−θ2=(T−T1)/K
となる。
【0040】
よって、ω2=αΔθ2=α(T−T1)/Kとなるように制御すればよい。ここでαはゲインである。
【0041】
これを電動モータ26の回転角目標値ω3、つまり前記リングギア25の回転速度に直すと、
ω3=(ω1+K0(T−T1)/K)/2となる。
ここで、トーションバー19の剛性であるKは制御性能を最適化させるように選択する。
【0042】
なお、このトーションバー19の剛性によらずに設定することも可能である。
【0043】
以上のように、この実施形態によれば、従来のように、転舵輪の転舵角制御をトーションバー19の捻り量に依存する必要がなくなることから、転舵輪FL、FRの転舵制御の汎用性が拡大する。
【0044】
また、ステアリングホイール1の操舵反力を転舵輪FL、FRからの外乱などに影響されずに、最適に制御することが可能になる。すなわち、ステアリングホイール1の回転操舵時などには、原則的に操舵手段4によって転舵輪FL、FRの転舵制御が行われるが、この転舵輪FL、FRからの転舵反力は、トーションバー19を介してバックアップ手段5からステアリングホイール1に伝達され、つまり、トーションバー19が捻られることによってステアリングホイール1に操舵反力が伝達されため、トーションバー19の捻り作用によって、転舵輪FL、FRからの外乱である余分な反力は吸収されるので、ステアリングホイールは外乱の影響を受けずに、精度良い回転制御をすることが可能になる。
【0045】
また、本実施形態によれば、操舵手段4が何等かの原因で故障して例えばロックしてしまった場合は、ステアリングホイール1の手動による回転操舵力を遊星歯車機構14及びトーションバー19がラック・ピニオン機構3を作動させるため、操舵手段4のいずれの機器が故障したとしても、バックアップ手段5は何らの影響を受けずに、遊星歯車機構14が、操舵手段4とは関係なく独自に駆動してラック・ピニオン機構3を作動させ、いわゆるマニュアルステアの状態で操舵輪FL、FRをフェールセーフ制御することが可能になる。
【0046】
したがって、ステアリングホイール1の通常の回転操作により操舵輪FL、FRの制御を何ら支障無く確実に行うことができ、安全性が向上する。
【0047】
また、操舵手段5が正常に駆動している場合は、前述のようのに、電動モータ26が回転駆動して遊星歯車機構14により、操舵軸2にアシスト操舵力が付与されるため、ステアリングホイール1の操舵フィーリングが良好になる。
【0048】
また、図5は本発明の第2の実施形態を示し、電子コントローラ6は、前記目標値決定回路40によって実転舵角目標値δ1と操舵反力目標値T1を演算するための情報信号として、前記操舵角センサ7からの操舵角信号の他に、ヨーレートセンサ44からの信号、つまり車両の横揺れ情報信号(車両状態)yawを入力して、この信号値と操舵角信号値とから演算して各目標値δ1,T1を決定することも可能である。
【0049】
これによって、より精度の高い操舵反力トルク制御が可能になる。
【0050】
図6は本発明の第3の実施形態を示し、トルクセンサ20を、前記トーションバー19とラック・ピニオン機構3との間に設けられた前記実転舵角検出センサ17によって兼用させるようにしたものである。
【0051】
したがって、トルクセンサ20を実転舵角検出センサ17と置き換えることが可能になったことで、それぞれの検出精度の低下を招くことなく、各構成部品のレイアウトの自由度が向上する。
【0052】
なお、前記トルクセンサ20を、ラック・ピニオン機構3の作動を検出する作動検出センサや、駆動モータ13の回転角度を検出する回転角検出センサなどによって構成することも可能である。
【0053】
図7は第4の実施形態を示し、前記電動モータ26の回転角を検出して電子コントローラ6に出力する回転角検出手段である回転角センサ27を設け、この回転角センサ27を、前記実転舵角センサ17としても機能させるように構成したものである。
【0054】
したがって、回転角センサ27を実転舵角センサとして機能させることによって、遊星歯車機構14の減速比分の検出の分解能を稼ぐことができる。
【0055】
また、回転角センサによって電動モータ26の作動状態を直接検出することができることから、該電動モータ26を電子コントローラ6によって高精度に制御することが可能になる。
【0056】
前記実施形態から導かれる前記請求項以外の技術的手段について説明する。
【0057】
前記可変ギア機構と作動機構及び操舵角検出手段、実転舵角検出手段を、一体にユニット化したことを特徴とする請求項2〜4に記載の操舵制御装置。
【0058】
この発明によれば、各機構や手段のユニット化によって、該ユニットを現行の電動パワーステアリング装置にそのまま適用することも可能になる。
【0059】
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、可変ギア機構として前記遊星歯車機構14以外の通常のギア歯車機構とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における操舵制御装置を示す概略図である。
【図2】本実施形態に供される遊星歯車機構などを示す縦断面図である。
【図3】本実施形態における電子コントローラの制御ブロック図である。
【図4】本実施形態における操舵制御装置を示す概略図である。
【図5】第2実施形態における電子コントローラの制御ブロック図である。
【図6】第3の実施形態における操舵制御装置を示す概略図である。
【図7】第4の実施形態における操舵制御装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1…ステアリングホイール
2…ステアリングシャフト
3…ラック・ピニオン機構(アクチュエータ)
4…操舵手段
5…バックアップ手段
6…電子コントローラ
7…操舵角センサ(操舵角検出手段)
13…駆動モータ
14…遊星歯車機構(可変ギア機構)
17…実転舵角センサ(実転舵角検出手段)
19…トーションバー
20…トルクセンサ(トルク検出手段)
26…電動モータ
40…目標値決定回路(目標値決定手段)
41…転舵角変更回路(転舵角変更手段)
42…回転角目標決定回路(回転角目標決定手段)
43…モータ制御回路
FL、FR…転舵輪
Claims (5)
- 一端部がステアリングホイールに連結されたステアリングシャフトと、該ステアリングシャフトの他端部に連係して前記ステアリングホイールの回転操作に伴って転舵輪の転舵角を操舵手段を介して変化させるアクチュエータとを備えた操舵制御装置において、
前記ステアリングホイールの操舵角または車両の運転状態に応じて実転舵角目標値を決定する目標値決定手段と、
該目標値決定手段から出力された実転舵角目標値信号に基づいて転舵輪の転舵角を変更する転舵角変更手段とを備え、
該転舵角変更手段から出力された変更信号によって前記操舵手段が前記転舵輪の転舵角を変更するように構成したことを特徴とする操舵制御装置。 - ステアリングホイールに連結されたステアリングシャフトと、該ステアリングシャフトの操舵角に応じて転舵輪駆動用のアクチュエータを駆動する操舵手段と、
該操舵手段と独立して設けられ、前記ステアリングシャフトの操舵角に応じて転舵輪を転舵するバックアップ手段と、
少なくとも前記操舵手段をステアリングホイールの操舵量に応じて制御する電子コントローラとを備え、
前記操舵手段の故障時には、前記バックアップ手段により転舵輪を転舵制御する操舵制御装置であって、
前記バックアップ手段は、前記ステアリングシャフトと転舵輪との間の相対回転位相差を可変制御する可変ギア機構と、
該可変ギア機構を作動させる作動機構とを備えている一方、
前記電子コントローラは、前記ステアリングホイールの現在の操舵角を検出する操舵角検出手段と前記転舵輪の現在の転舵角を検出する実転舵角検出手段からの情報信号を入力し、
前記操舵角検出手段からの操舵角信号に基づいて実転舵角目標値と操舵反力目標値をそれぞれ決定する目標値決定手段を有すると共に、少なくとも目標値決定手段から出力された実転舵角目標値信号と前記実転舵角検出手段から出力された実転舵角信号に基づいて転舵輪の転舵角を変更する転舵角変更手段とを備え、
該転舵角変更手段から出力された変更信号によって前記操舵手段が前記転舵輪の転舵角を変更すると共に、該操舵手段の故障時には、前記可変ギア機構により前記ステアリングホイールの操舵角に対して前記転舵輪の実転舵角を一定比率に制御するように構成したことを特徴とする操舵制御装置。 - 前記アクチュエータと実転舵角検出手段との間に設けられたトーションバーと、該トーションバーの捻り量から操舵トルクを検出するトルク検出手段と、該トルク検出手段と前記目標値決定手段によって検出された操舵反力目標値の各検出信号に基づき前記作動機構による前記可変ギア機構の回転位置目標値を決定する回転位置目標決定手段と、該回転位置目標決定手段と前記操舵角検出手段とから検出されたそれぞれ情報信号に基づいて前記作動機構に指令信号を出力する指令回路とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の操舵制御装置。
- 前記トルク検出手段を、前記トーションバーとアクチュエータとの間に配置された実転舵角検出手段を兼用したことを特徴とする請求項3に記載の操舵制御装置。
- 前記可変ギア機構の作動機構を電動モータによって構成すると共に、該電動モータの回転角を検出する回転角検出手段を設け、該回転角検出手段を、前記実転舵角検出手段を兼用させたことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の操舵制御装置。
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