JP2008273419A - 車両の操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】操舵アシスト力付与手段に操舵アシスト力を付与することができない異常が発生したときには、伝達比可変装置のアクチュエータによって操舵アシスト力を発生させ、運転者の操舵負担を確実に軽減する。
【解決手段】入力軸16に対し出力軸18を相対回転させることにより伝達比を変更する伝達比可変装置20と、入力軸及び出力軸の間の伝達比の変化を阻止するロックオン状態に切り替わるロック装置56と、伝達比可変装置及びロック装置を制御する制御装置70とを有する。伝達比可変装置は電動モータ26及び減速機構27を有し、電動モータのステータ28は車体32に固定され、制御装置は操舵アシスト力を付与することができない異常が操舵アシスト力付与手段に発生したときには、伝達比の制御を中止しロック装置をロックオン状態に切り替え、電動モータ26により補助的な操舵アシスト力を発生する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両の操舵制御装置に係り、更に詳細には操舵伝達比を変更する伝達比可変装置を備えた車両の操舵制御装置に係る。
自動車等の車両の操舵制御装置の一つとして、操舵伝達比を変更する伝達比可変装置を備えた操舵制御装置は既に知られている。この種の操舵制御装置は、一般に、回転可能に支持され且つステアリングホイールと相対回転不能に係合された入力軸と、回転可能に支持された出力軸と、出力軸の回転運動を操舵輪が舵角を変更する運動に変換する運動変換機構と、入力軸に対し相対的に出力軸を回転させることにより入力軸の回転運動量に対する出力軸の回転運動量の比である伝達比を変更する伝達比可変装置とを有している。
また一般に、自動車等の車両には、操舵アシスト力を付与して運転者の操舵負担を軽減するパワーステアリング装置が設けられている。しかしパワーステアリング装置が失陥すると、伝達比可変装置のアクチュエータが入力軸に対し相対的に出力軸を回転させるために必要なトルクが増大し、伝達比の変更制御を応答性よく適正に行うことができなくなる。そのため例えば下記の特許文献1に記載されている如く、パワーステアリング装置が失陥すると、伝達比可変装置の制御を中止するよう構成された操舵制御装置も既に知られている。
特開平11−152054号公報
上述の如き操舵制御装置によれば、パワーステアリング装置が失陥した場合に、伝達比可変装置の制御が継続されることにより伝達比の変更が不適切に行われることを確実に防止することはできるが、操舵機構は伝達比可変装置もパワーステアリング装置も備えていない操舵機構と同一の状況になるため、運転者の操舵操作に要する力は軽減されず、そのため運転者の操舵負担が全く軽減されないという問題がある。
本発明は、パワーステアリング装置が失陥すると伝達比可変装置の制御を中止するよう構成された従来の操舵制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、パワーステアリング装置の如き操舵アシスト力付与手段に操舵アシスト力を付与することができない異常が発生したときには、伝達比可変装置のアクチュエータによって操舵アシスト力を発生させることにより、運転者の操舵負担を確実に軽減することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち操舵アシスト力付与手段を備えた車両に適用され、回転可能に支持され且つステアリングホイールと相対回転不能に係合された入力軸と、回転可能に支持された出力軸と、前記出力軸の回転運動を操舵輪が舵角を変更する運動に変換する運動変換機構と、前記入力軸に対し相対的に前記出力軸を回転させることにより前記入力軸の回転運動量に対する前記出力軸の回転運動量の比である伝達比を変更する伝達比可変装置と、前記入力軸及び前記出力軸の間の伝達比の変化を阻止するロックオン状態と、前記入力軸及び前記出力軸の間の伝達比の変化を許容するロックオフ状態とに切り替わるロック装置と、前記伝達比可変装置及び前記ロック装置を制御する制御装置とを有し、前記伝達比可変装置は回転アクチュエータ及び減速機構を有し、前記回転アクチュエータは前記車両の車体に固定されたステータと、該ステータとの間の相互作用により発生するロータ駆動トルクによって前記ステータに対し相対的に回転駆動されるロータと、前記ロータにより回転駆動される回転体とを含み、前記回転体の回転により前記入力軸に対し相対的に前記出力軸を回転させるよう構成された車両の操舵制御装置に於いて、前記制御装置は操舵アシスト力を付与することができない異常が前記操舵アシスト力付与手段に発生したときには、伝達比の制御を中止し前記ロック装置を前記ロックオン状態に切り替えると共に、前記回転アクチュエータにより補助的な操舵アシスト力を発生することを特徴とする車両の操舵制御装置によって達成される。
上記請求項1の構成によれば、操舵アシスト力を付与することができない異常が操舵アシスト力付与手段に発生したときには、伝達比の制御が中止されロック装置がロックオン状態に切り替えられることによって入力軸及び出力軸が一体的に回転する状態にされ、その状態にて回転アクチュエータにより補助的な操舵アシスト力が発生されるので、伝達比の変更制御を応答性よく適正に行うことができなくなることに起因して伝達比の変更制御が不適切に行われることを確実に防止することができるだけでなく、回転アクチュエータにより発生された補助的な操舵アシスト力を確実に入力軸及び出力軸へ伝達させ、これにより運転者の操舵操作の負担を確実に低減することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記回転アクチュエータは前記ステアリングホイールと前記減速機構との間に配置され、前記ロック装置は前記ロックオン状態に於いては前記入力軸及び前記ロータの相対回転を阻止し、前記制御装置は前記ステアリングホイールと前記ロック装置との間に配置されたトルクセンサにより検出される操舵トルクに基づいて前記回転アクチュエータを制御するよう構成される(請求項2の構成)。
上記請求項2の構成によれば、回転アクチュエータはステアリングホイールと減速機構との間に配置され、ロックオン状態に於いては入力軸及びロータの相対回転が阻止され、ステアリングホイールとロック装置との間に配置されたトルクセンサにより検出される操舵トルクに基づいて回転アクチュエータが制御されるので、入力軸及びロータの相対回転を阻止することによって入力軸及び出力軸が一体的に回転する状態にすることができ、補助的な操舵アシスト力をステアリングホイールとロック装置との間の操舵トルクに応じて制御することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記減速機構は前記ステアリングホイールと前記回転アクチュエータとの間に配置され、前記ロック装置は前記ロックオン状態に於いては前記出力軸及び前記回転体の相対回転を阻止し、前記制御装置は前記ステアリングホイールと前記減速機構との間に配置されたトルクセンサにより検出される操舵トルクに基づいて前記回転アクチュエータを制御するよう構成される(請求項3の構成)。
上記請求項3の構成によれば、減速機構はステアリングホイールと回転アクチュエータとの間に配置され、ロックオン状態に於いては出力軸及び回転体の相対回転が阻止され、ステアリングホイールと減速機構との間に配置されたトルクセンサにより検出される操舵トルクに基づいて回転アクチュエータが制御されるので、出力軸及び回転体の相対回転を阻止することによって入力軸及び出力軸が一体的に回転する状態にすることができ、補助的な操舵アシスト力をステアリングホイールと減速機構との間の操舵トルクに応じて制御することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項3の構成に於いて、前記回転アクチュエータと前記減速機構との間に変速装置が設けられており、前記変速装置の減速比は前記操舵アシスト力付与手段に異常が発生しているときには前記操舵アシスト力付与手段に異常が発生していないときに比して高い値に制御されるよう構成される(請求項4の構成)。
上記請求項4の構成によれば、回転アクチュエータと減速機構との間に変速装置が設けられ、変速装置の減速比は操舵アシスト力付与手段に異常が発生しているときには操舵アシスト力付与手段に異常が発生していないときに比して高い値に制御されるので、操舵アシスト力付与手段に異常が発生していないときに於ける操舵伝達比の制御を効率的に行いつつ、操舵アシスト力付与手段に異常が発生している状況に於いて回転アクチュエータにより発生される補助的な操舵アシスト力を減速比とは逆数の増力比にて増力して入力軸及び出力軸へ伝達することができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至4の何れかの構成に於いて、制御装置は操舵制御装置が正常な状況に於いて操舵アシスト力を付与することができない異常が操舵アシスト力付与手段に発生したときに、ロック装置をロックオン状態に切り替えると共に、回転アクチュエータにより補助的な操舵アシスト力を発生するよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至4の何れか又は上記好ましい態様1の構成に於いて、運転者による同一の操舵状況について見て、補助的な操舵アシスト力は正常な操舵アシスト力付与手段により発生される操舵アシスト力よりも小さいよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2乃至4の何れか又は上記好ましい態様1の構成に於いて、操舵トルクに対する補助的な操舵アシスト力の比は正常な操舵アシスト力付与手段が正常であるときに於ける操舵トルクに対する操舵アシスト力の比よりも小さいよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至4の何れか又は上記好ましい態様1乃至3の何れかの構成に於いて、回転アクチュエータは電動モータであるよう構成される(好ましい態様4)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施例について詳細に説明する。
[第一の実施例]
図1は本発明による車両の操舵制御装置の第一の実施例を示す概略構成図、図2は伝達比可変装置の波動歯車機構を回転軸線に垂直な切断面にて切断して示す断面図である。尚図2に於いては、簡略化の目的でハッチングは省略されている。
図1に於いて、10は操舵制御装置を全体的に示している。操舵制御装置10は、車両の運転者により操舵操作(回転操作)されるステアリングホイール12と、回転軸線14の周りに回転可能に支持された入力軸としてのアッパステアリングシャフト16と、回転軸線14の周りに回転可能に支持された出力軸としてのロアステアリングシャフト18と、必要に応じてアッパステアリングシャフト16に対し相対的にロアステアリングシャフト18を回転させることによりアッパステアリングシャフト16の回転運動量に対するロアステアリングシャフト18の回転運動量の比である伝達比を変更する伝達比可変装置20と、ロアステアリングシャフト18の回転運動を操舵輪である左右前輪22L及び22Rの舵角変更運動に変換する運動変換機構24とを含んでいる。
アッパステアリングシャフト16は上端にて図には示されていないトーションバーを介してステアリングホイール12に連結され、下端に回転軸線14に垂直に延在するディスク部16aを一体に有している。ロアステアリングシャフト18の上端には回転軸線14に垂直に延在するディスク部18aと、該ディスク部18aの外縁部より回転軸線14に整合して上方へ延在する円筒部18bとが一体に設けられている。ディスク部18a及び円筒部18bはディスク部16aより隔置され、これによりディスク部16aを回転軸線14の周りに回転可能に遊嵌状態にて受け入れている。
伝達比可変装置20は回転アクチュエータとしての電動モータ26及び減速歯車機構27を有している。電動モータ26はステアリングホイール12とディスク部16aとの間にてアッパステアリングシャフト16の周りに配設されている。電動モータ26はブラシレスモータであり、複数の電磁コイルを備えたステータ28と、周方向に配列された複数の永久磁石を備えステータ28との間の電磁気的相互作用により発生するロータ駆動トルクによってステータ28に対し相対的に回転駆動されるロータ30とを有している。ステータ28は車両の車体32に固定され、車体32により支持されている。ロータ30はアッパステアリングシャフト16に対し相対的に回転軸線14の周りに回転可能にアッパステアリングシャフト16に遊嵌合する管状をなし、下端に回転軸線14に垂直に延在するディスク部30aを一体に有している。ディスク部30aは長径La及び短径Lbを有する楕円形をなし、ロータ30と一体に回転する回転体として機能する。
ディスク部16aの外縁部の上面には回転軸線14に整合する平歯の内歯34aを有するリング歯車部材34が固定されており、円筒部18bの上端部の内面には回転軸線14に整合する平歯の内歯36aを有するリング歯車部材36が固定されている。リング歯車部材34は円筒部18bより径方向内方に隔置され且つリング歯車部材36より回転軸線14に沿う方向に隔置されている。リング歯車部材34及び36は互いに同一のピッチ円直径を有しているが、図示の第一の実施例に於いてはそれぞれ100及び102の歯数を有している。
図2に示されている如く、ディスク部30aはリング歯車部材34及び36に径方向に対向する位置に位置し、ディスク部30aの外周には軸受38を介して平歯の外歯40aを有する帯状の外歯歯車部材40が配設されている。軸受38は可撓性を有するインナレース38a及びアウタレース38bとこれらの間に配設された複数のローラ38cとよりなり、インナレース38aはディスク部30aに対し相対回転しないようディスク部30aに圧入式に嵌合している。外歯歯車部材40は可撓性を有し、軸受38のアウタレース38bに対し相対回転しないようアウタレースに圧入式に嵌合し、これにより軸受38及び外歯歯車部材40は回転軸線14の位置を中心とする楕円形をなしている。図示の第一の実施例に於いては、外歯歯車部材40は102の歯数を有している。
また図2に示されている如く、外歯歯車部材40はリング歯車部材34及び36のピッチ円とディスク部30aの長径Laに整合する直線Lとが交差する二つの交点P1及びP2に於いてリング歯車部材34及び36と噛合するが、交点P1及びP2以外の領域に於いてリング歯車部材34及び36と噛合しないようになっている。アウタレース38b及び外歯歯車部材40は可撓性を有するので、ディスク部30aがディスク部16a及び円筒部18bに対し相対的に回転軸線14の周りに回転すると、それに伴って交点P1及びP2もディスク部30aの相対回転角度と同一の角度だけ回転軸線14の周りに回転変位する。
かくしてリング歯車部材34、36及び外歯歯車部材40はディスク部30a及び軸受38と共働して波動歯車機構(ストレイン・ウェーブ・ギヤリング機構)として減速歯車機構27を構成しており、ディスク部30a及び軸受38は波動歯車機構の所謂ウェーブジェネレータとして機能する。波動歯車機構の機能は当技術分野に於いてよく知られているが、以下にその概要を説明する。
ディスク部30aがその下方より見てディスク部16a及び円筒部18bに対し相対的に回転軸線14の周りに時計回り方向へ回転すると、その相対回転に伴って外歯歯車部材40とリング歯車部材34とが噛み合う位置が回転軸線14の周りに時計回り方向へ回転移動する。上述の如く外歯歯車部材40の歯数(102)はリング歯車部材34の歯数(100)よりも多い。従ってディスク部30aがリング歯車部材34に対し相対的に回転軸線14の周りに時計回り方向へ360°回転する間に、外歯歯車部材40はリング歯車部材34に対し二つの歯に相当する角度だけ反時計回り方向へ相対回転する。
またディスク部30aがリング歯車部材36に対し時計回り方向へ相対回転すると、その相対回転に伴って外歯歯車部材40とリング歯車部材36とが噛み合う位置が回転軸線14の周りに時計回り方向へ回転移動する。上述の如く外歯歯車部材40の歯数(102)はリング歯車部材36の歯数(102)と同一である。従ってディスク部30aがリング歯車部材36に対し相対的に回転軸線14の周りに360°回転しても、外歯歯車部材40はリング歯車部材36に対し相対回転しない。
従ってディスク部30aを一体に有するロータ30がアッパステアリングシャフト16に対し角度θだけ時計回り方向へ相対回転すると、360°に対しリング歯車部材36の二つの歯に相当する角度の比1/N(図示の第一の実施例に於いては、Nは51である)を角度θに乗じた角度θ/Nだけ、ロアステアリングシャフト18はアッパステアリングシャフト16に対し時計回り方向へ相対回転せしめられる。また同様にロータ30がアッパステアリングシャフト16に対し角度θだけ反時計回り方向へ相対回転すると、ロアステアリングシャフト18は角度θ/Nだけアッパステアリングシャフト16に対し反時計回り方向へ相対回転せしめられる。
かくして伝達比可変装置20は、電動モータ26及び減速歯車機構27によってロータ30をアッパステアリングシャフト16に対し相対回転させることによりロアステアリングシャフト18をアッパステアリングシャフト16に対し相対回転させ、これによりアッパステアリングシャフト16の回転運動量に対するロアステアリングシャフト18の回転運動量の比である伝達比を変更する。
尚、ロータ30がアッパステアリングシャフト16に対し相対回転しない(θ=0)場合には、ロアステアリングシャフト18はアッパステアリングシャフト16に対し相対回転しない。即ちロータ30、アッパステアリングシャフト16及びロアステアリングシャフト18は互いに他に対し相対回転せず、これらのステアリングシャフトはあたかも一つのシャフトの如く回転する。
ロアステアリングシャフト18の回転運動は運動変換機構24により左右の前輪22L及び22Rの舵角を変更する運動に変換される。図示の第一の実施例に於ける運動変換機構24はラックアンドピニオン型の電動式パワーステアリング装置(EPS)42を含み、パワーステアリング装置42は車両横方向に延在するラックバー44及びラックバー44のラック歯に係合するピニオンシャフト46を有している。
ラックバー44は電動モータ及び減速機を有するアクチュエータ48によって周知の如く軸線方向に付勢され、これにより運転者の操舵負担が軽減されるようになっている。ピニオンシャフト46にはユニバーサルジョイント50を介してロアステアリングシャフト18の下端が連結されており、ロアステアリングシャフト18の回転運動はユニバーサルジョイント50を介してピニオンシャフト46に同一の回転運動として伝達され、ピニオンシャフト46の回転運動はラックバー44の直線運動に変換される。尚アクチュエータ48はロアステアリングシャフト18又はピニオンシャフト46にアシストトルクを付与するようになっていてもよい。
ラックバー44の両端はボールジョイント52を介して左右のタイロッド54L及び54Rの内端に連結され、タイロッド54L及び54Rの外端は図には示されていないボールジョイントを介してそれぞれ左右の操舵輪22R及び22Lの図には示されていないナックルアームに連結され、これによりラックバー44の直線運動が周知の如く左右の前輪22L及び22Rのキングピン軸周りの揺動運動、即ち舵角変更運動に変換されるようになっている。
図1に示されている如く、ステアリングホイール12と伝達比可変装置20との間にはレバー式のロック装置56が設けられており、ロック装置56は必要に応じてアッパステアリングシャフト16及びロータ30の互いに他に対する相対回転を阻止するようになっている。図示の第一の実施例に於いては、ロック装置56はロータ30の上端の外側に例えば圧入により固定された被係合部材としてのロックホルダ58と、アッパステアリングシャフト16に固定されたマウント60に取り付けられた電磁式のロックアクチュエータ62と、ロックアクチュエータ62により駆動される係合部材としてのロックレバー64とを有している。
ロックホルダ58の外周部には周方向に互いに隔置され且つ径方向外方へ開いた複数の凹部が設けられている。ロックレバー64は図には示されていない枢軸により枢動可能に支持され、先端がロックホルダ58の凹部に係合するロック位置と先端がロックホルダ58の凹部より離脱する非ロック位置とを取り得るようになっている。ロックアクチュエータ62はロックレバー64を駆動するソレノイドを含み、ソレノイドに制御電流が通電されていないときにはロックレバー64をロック位置に位置決めし、ソレノイドに制御電流が通電されているときにはロックレバー64を非ロック位置に位置決めするようになっている。
かくしてロック装置56は、ロックアクチュエータ62のソレノイドに対する制御電流が制御されることにより、アッパステアリングシャフト16及びロータ30の互いに他に対する相対回転を阻止するロックオン状態と、アッパステアリングシャフト16及びロータ30の互いに他に対する相対回転を許容するロックオフ状態とに切り替わるようになっている。ロック装置56がロックオン状態にあるときには、アッパステアリングシャフト16及びロータ30は互いに他に対し相対回転することができないので、リング歯車部材34及び外歯歯車部材40は一体的に回転する。リング歯車部材36及び外歯歯車部材40の歯数は同一であるので、これらの歯車部材は互いに他に対し同一の方向へ同一の角度回転し、従ってアッパステアリングシャフト16及びロアステアリングシャフト18は相対回転することなく、あたかも一つのシャフトの如く回転する。
ステアリングホイール12とロック装置56との間にはそれ自身周知の構造を有するスパイラルケーブル装置66が設けられている。スパイラルケーブル装置66のケーブルの内端はアッパステアリングシャフト16に支持され、ケーブルの外端は車体32により支持されており、これによりスパイラルケーブル装置66はアッパステアリングシャフト16の回転位置に拘らず車体32の側よりロックアクチュエータ62へ制御電流を供給する。またスパイラルケーブル装置66はステアリングホイール12に設けられたエアバッグや各種スイッチ等の電装部品に対し必要な制御電流を供給する。
ステアリングホイール12とスパイラルケーブル装置66との間には操舵角センサ68が設けられており、操舵角センサ68は操舵角θsを検出し、スパイラルケーブル装置66を経て操舵角θsを示す信号を車体32に設けられた電子制御装置70へ供給する。操舵角センサ68はアブソリュート型のロータリエンコーダであり、車体32に対するアッパステアリングシャフト16の相対回転角度を操舵角θsとして検出する。
電動モータ26と波動歯車機構との間には回転角度センサ72が設けられている。回転角度センサ72はインクリメンタル型のロータリエンコーダであり、車体32に対するロータ30の相対回転角度θmの変化量である回転角度変化量Δθmを検出し、検出された回転角度変化量Δθmを示す信号を電子制御装置70へ出力するようになっている。回転角度センサ72は伝達比可変装置20の作動量、従ってアッパステアリングシャフト16及びロアステアリングシャフト18の相対回転角度を検出するためのものであるので、回転角度センサ72に代えて或いは回転角度センサ72に加えてロアステアリングシャフト18の回転角度を検出する回転角度センサが設けられていてもよい。
電子制御装置70には、操舵角センサ68により検出された操舵角θsを示す信号及び回転角度センサ72により検出されたロータ30の回転角度変化量Δθmを示す信号に加えて、車両に搭載された車速センサ74より車速Vを示す信号が供給される。
電子制御装置70は、車速Vに基づき目標ステアリングギヤ比Rgtに対応するロータ30の目標回転角度変化量Δθmtを演算し、回転角度センサ72により検出される回転角度変化量Δθmが目標回転角度変化量Δθmtになるよう、伝達比可変装置20の電動モータ26を制御し、これによりステアリングギヤ比が目標ステアリングギヤ比になるようアッパステアリングシャフト16に対し相対的にロアステアリングシャフト18を回転させる。尚伝達比可変装置20の制御によるステアリングギヤ比や操舵輪の舵角の制御自体は本発明の要旨をなすものではなく、当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよい。
電子制御装置70は、CPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータ及び駆動回路よりなっていてよい。また電子制御装置70の電源回路はリレーを有し、イグニッションスイッチが開成されても、暫くの間マイクロコンピュータ、駆動回路等へ電力を供給し得るようになっている。
電子制御装置70は、イグニッションスイッチが閉成されると、伝達比可変装置20の制御に先立ってロック装置56のロックアクチュエータ62のソレノイドに対する制御電流の通電を開始することによりロック装置56をロックオフ状態に切り替える。また電子制御装置70は、イグニッションスイッチが開成されると、伝達比可変装置20の制御を終了し、しかる後ロック装置56のロックアクチュエータ62のソレノイドに対する制御電流の通電を終了することによりロック装置56をロックオン状態に切り替える。
電子制御装置70は、伝達比の正常な制御を行うことができない異常が伝達比可変装置20等に生じているか否かを監視し、伝達比可変装置20等に異常が生じていると判定したときには、図には示されていない警報装置を作動させ、伝達比可変装置20の制御を終了すると共に、ロック装置56のロックアクチュエータ62のソレノイドに対する制御電流の通電を終了することによりロック装置56をロックオン状態に切り替える。尚異常が生じているか否かの判定自体は本発明の要旨をなすものではなく、当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよい。
ステアリングホイール12とスパイラルケーブル装置66との間にはトルクセンサ80が設けられており、スパイラルケーブル装置66はトルクセンサ80にも必要な電流を供給すると共に、トルクセンサ80により検出された操舵トルクTsを示す信号をアシストトルク制御用の電子制御装置82へ供給する。電子制御装置82は操舵トルクTs及び車速Vに基づき当技術分野に於いて公知の要領にて目標アシストトルクTatを演算し、目標アシストトルクTatに基づきパワーステアリング装置42のアクチュエータ48を制御する。尚アシストトルクの制御も本発明の要旨をなすものではなく、当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよい。
第一の実施例に於いては、アシストトルク制御用の電子制御装置82は自己診断機能とてパワーステアリング装置42が正常に所要のアシストトルクを発生することができる状況にあるか否かを判定し、正常に所要のアシストトルクを発生することができると判定されるときにはアシストトルクの制御を実行するが、正常に所要のアシストトルクを発生することができないと判定されるときにはアシストトルクの制御を中止し、そのことを示す信号を電子制御装置70へ出力する。
電子制御装置70は電子制御装置82よりアシストトルクの制御を中止する旨の信号を受信すると、操舵制御装置10自体は正常であっても、伝達比可変装置20のステアリングギヤ比の制御を終了すると共に、ロック装置56をロックオン状態に切り替える。そして電子制御装置70は操舵トルクTs及び車速Vに基づいてアシストトルクの補助制御の目標アシストトルクTbtを演算し、目標アシストトルクTbtに基づき伝達比可変装置20の電動モータ26を制御する。
次に図3に示されたフローチャートを参照して第一の実施例に於けるアシストトルクの補助制御ルーチンについて説明する。尚図3に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ310に於いては、車速センサ74により検出された車速Vを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ320に於いては操舵制御装置10が正常であり、伝達比の正常な制御を行うことができる状況であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ340へ進み、否定判別が行われたときにはステップ330へ進む。
ステップ330に於いては図には示されていない警報装置が作動され、伝達比可変装置20のステアリングギヤ比の制御が終了され、ロック装置56のロックアクチュエータ62のソレノイドに対する制御電流の通電が終了されることによりロック装置56がロックオン状態に切り替えられ、しかる後図3に示されたフローチャートによる制御が終了される。
ステップ340に於いては電子制御装置82より電動式パワーステアリング装置42によるアシストトルクの制御を中止している旨の信号を受信しているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ360へ進み、否定判別が行われたときにはステップ350に於いて伝達比可変装置20について通常のステアリングギヤ比の制御が実行され、しかる後ステップ310へ戻る。
ステップ360に於いてはステップ330の場合と同様図には示されていない警報装置が作動され、伝達比可変装置20のステアリングギヤ比の制御が終了され、ロック装置56がロックオン状態に切り替えられる。
ステップ380に於いては車速センサ74により検出された車速Vを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ390に於いては操舵トルクTsに基づいて図4に示されたグラフに対応するマップより暫定目標アシストトルクTbbtが演算され、ステップ400に於いては車速Vに基づいて図5に示されたグラフに対応するマップより車速係数Kvbが演算される。
ステップ410に於いては暫定目標アシストトルクTbbtと車速係数Kvbとの積としてアシストトルクの補助制御の目標アシストトルクTbtが演算され、ステップ420に於いては伝達比可変装置20の電動モータ26により付与されるアシストトルクができるだけ目標アシストトルクTbtになるよう、目標アシストトルクTbtに基づき伝達比可変装置20の電動モータ26が制御される。
上述の如く構成された第一の実施例の作動を操舵制御装置10及び電動式パワーステアリング装置42が正常であるか否かによって分類された各場合について説明する。
(1)操舵制御装置10及び電動式パワーステアリング装置42が正常である場合
操舵制御装置10が正常であると共に電子制御装置82よりアシストトルクの制御を中止する旨の信号を受信していないときには、ステップ320に於いて肯定判別が行われると共にステップ340に於いて否定判別が行われる。よってステップ350に於いてロック装置56がロックオフ状態に維持された状態にて伝達比可変装置20が制御され、これによりステアリングギヤ比が目標ステアリングギヤ比になるよう、必要に応じてロアステアリングシャフト18が伝達比可変装置20によりアッパステアリングシャフト16に対し相対的に回転される。
(2)操舵制御装置10が異常である場合
操舵制御装置10が正常に作動することができない異常が発生したときには、電子制御装置82よりアシストトルクの制御を中止する旨の信号を受信しているか否かに拘らず、ステップ320に於いて否定判別が行われ、ステップ330に於いて伝達比可変装置20の制御が終了されると共に、ロック装置56がロックオン状態に切り替えられ、アッパステアリングシャフト16及びロータ30が一体的に回転する状態にもたらされる。
この場合電動式パワーステアリング装置42が正常であるときには、電動式パワーステアリング装置42によるアシストトルクの制御が実行され、運転者の操舵負担は軽減されるが、操舵制御装置10によるステアリングギヤ比の制御は行われないので、電動式パワーステアリング装置42は搭載されているが伝達比可変装置20は搭載されていない車両の場合と同様の状況になる。
また電動式パワーステアリング装置42が異常であるときには、電動式パワーステアリング装置42によるアシストトルクの制御は実行されず、操舵制御装置10によるステアリングギヤ比の制御も行われないので、電動式パワーステアリング装置42も伝達比可変装置20も搭載されていない車両の場合と同様の状況になる。
(3)操舵制御装置10は正常で電動式パワーステアリング装置42が異常である場合
操舵制御装置10は正常であるが、電動式パワーステアリング装置42が異常であり、電動式パワーステアリング装置42によるアシストトルクを発生することができない場合には、ステップ320及び340に於いてそれぞれ肯定判別が行われ、これによりステップ360に於いて警報装置が作動され、伝達比可変装置20のステアリングギヤ比の制御が終了され、ロック装置56がロックオン状態に切り替えられ、しかる後ステップ380〜420に於いて伝達比可変装置20の電動モータ26によるアシストトルクの補助制御が実行される。
従って上述の第一の実施例によれば、電動式パワーステアリング装置42が異常になっても、操舵制御装置10が正常である限り、アシストトルクができるだけ目標アシストトルクTbtになるよう伝達比可変装置20の電動モータ26が制御されるので、電動式パワーステアリング装置42が異常になり電動式パワーステアリング装置42によるアシストトルクが発生されなくなった場合に、操舵トルクが急激に増大し操舵操作が困難になることに起因して車両の操縦性が急激に低下することを確実に防止することができる。
尚上記(2)及び(3)の場合に於いて、ロック装置56がロックオン状態に切り替えられると、ステアリングホイール12が回転操作されることによりアッパステアリングシャフト16及びロータ30が回転駆動されても、外歯歯車部材40はリング歯車部材34と共に一体的に回転し、外歯歯車部材40よりリング歯車部材36へ回転運動及びトルクが伝達されることにより、アッパステアリングシャフト16よりロアステアリングシャフト18へ回転運動及びトルクが伝達され、これらのシャフトは相対回転することなく一体的に回転する。
またロック装置56がロックオン状態にある状況に於いて、操舵輪である左右の前輪22L及び22Rに路面反力による転舵力が作用すると、その転舵力は運動変換機構24を経てロアステアリングシャフト18へ回転運動及びトルクとして伝達される。そしてそのロアステアリングシャフト18の回転運動及びトルクはステアリングホイール12が回転操作される場合とは逆の経路にてステアリングホイール12へ伝達される。
[第二の実施例]
図6は本発明による車両の操舵制御装置の第二の実施例を示す概略構成図である。尚図6に於いて図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
この第二の実施例に於いては、減速歯車機構27のアッパステアリングシャフト16の側のリング歯車部材34はロアステアリングシャフト18の側のリング歯車部材36よりも上方に位置している。リング歯車部材34及び外歯歯車部材40は例えば100の如き同一の歯数を有し、リング歯車部材36は例えば102の如きリング歯車部材34及び外歯歯車部材40の歯数とは異なる歯数を有している。
また減速歯車機構27のディスク部30aは回転軸線14に沿って延在するウェーブジェネレータシャフト90の上端に一体に設けられており、ウェーブジェネレータシャフト90は出力軸としての中空のロアステアリングシャフト18を遊嵌状態にて貫通して下方へ延在している。ロアステアリングシャフト18の上方部の外周にはウォームギヤが設けられており、該ウォームギヤにはアクチュエータ48の回転軸に固定されたピニオンギヤ92が噛合している。従ってこの実施例に於ける電動式パワーステアリング装置42はロアステアリングシャフト18に対し回転付勢力を付与することによりアシストトルクを発生する。ロアステアリングシャフト18の下方部の外周にはピニオンギヤ94が設けられており、ピニオンギヤ94は電動式パワーステアリング装置42のラックバー44のラック歯に係合している。
またこの第二の実施例に於いては、ロック装置56は必要に応じてロアステアリングシャフト18及びウェーブジェネレータシャフト90の互いに他に対する相対回転を阻止するようになっている。ロック装置56はウェーブジェネレータシャフト90に例えば圧入により固定された被係合部材としてのロックホルダ58と、ディスク部18aに固定されたマウント60に取り付けられた電磁式のロックアクチュエータ62と、ロックアクチュエータ62により駆動される係合部材としてのロックレバー64とを有している。
ロック装置56は、ロックアクチュエータ62のソレノイドに対する制御電流が制御されることにより、ロアステアリングシャフト18及びウェーブジェネレータシャフト90の互いに他に対する相対回転を阻止するロックオン状態と、ロアステアリングシャフト18及びウェーブジェネレータシャフト90の互いに他に対する相対回転を許容するロックオフ状態とに切り替わるようになっている。ロック装置56がロックオン状態にあるときには、ロアステアリングシャフト18及びウェーブジェネレータシャフト90は互いに他に対し相対回転することができないので、リング歯車部材36及び外歯歯車部材40は一体的に回転する。リング歯車部材34及び外歯歯車部材40の歯数は同一であるので、これらの歯車部材は互いに他に対し同一の方向へ同一の角度回転し、従ってアッパステアリングシャフト16及びロアステアリングシャフト18は相対回転することなく、あたかも一つのシャフトの如く回転する。
ウェーブジェネレータシャフト90の下端部は変速機96を介して電動モータ26に駆動接続されている。変速機96はウェーブジェネレータシャフト90の下端部に固定された一対の歯車98A及び98Bと、電動モータ26のロータ30と共に回転軸線26Aの周りに回転する出力軸31に固定された一対の歯車100A及び100Bと、歯車98A及び98Bと歯車100A及び100Bとの噛み合いを切り替えることにより変速する変速アクチュエータ102とを有している。
出力軸31は例えばスプライン接続により回転軸線26Aに沿ってロータ30に対し相対的に変位可能にロータ30に接続されており、変速アクチュエータ102は出力軸31を回転軸線26Aに沿ってロータ30に対し相対的に変位させる。特に変速アクチュエータ102はそのソレノイドに制御電流が通電されていないときには、歯車98Aと歯車100Aとを噛み合せてギヤ比を標準のギヤ比に設定する第一の変速位置を維持し、ソレノイドに制御電流が通電されているときには、歯車98Bと歯車100Bとを噛み合せてギヤ比を標準のギヤ比よりも小さいギヤ比に設定する第二の変速位置に切り替わるようになっている。
変速アクチュエータ102のソレノイドに対する制御電流の通電は電子制御装置70により制御される。電子制御装置70は通常時には変速アクチュエータ102のソレノイドに制御電流を通電せず、変速機96を第一の変速位置を維持する。これに対し電子制御装置70は操舵制御装置10は正常であるが電動式パワーステアリング装置42が異常であるときには、変速アクチュエータ102のソレノイドに制御電流を通電し、変速機96を第二の変速位置へ切り替えて維持する。
この第二の実施例の他の点は上述の第一の実施例の場合と同様に構成されており、従ってこの第二の実施例は電子制御装置70により変速機96も制御される点を除き上述の第一の実施例の場合と同様に作動する。
次に図7に示されたフローチャートを参照して第二の実施例に於けるアシストトルクの補助制御ルーチンについて説明する。尚図7に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。また図7に於いて、図3に示されたステップと同一のステップには図3に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
この第二の実施例に於いては、ステップ360が完了すると、ステップ370に於いて変速機96が第二の変速位置へ切り替えられ、しかる後ステップ380〜420が繰り返し実行されることにより伝達比可変装置20の電動モータ26によるアシストトルクの補助制御が実行される。
かくして第二の実施例によれば、上述の第一の実施例の場合と同様の作用効果を得ることができると共に、パワーステアリング装置42が正常に所要のアシストトルクを発生することができないときには、変速機96を第二の変速位置へ切り替え、変速機96の減速比を正常時よりも大きくすることができるので、電動モータ26の出力トルクに対する補助的なアシストトルクの比を正常時よりも大きくすることができ、これにより確実に所要の補助的なアシストトルクを発生することができ、また電動モータ26に対する出力トルクに関する要求性能を低くすることができる。
尚、上述の第一及び第二の実施例によれば、ステップ340の判別、即ち電動式パワーステアリング装置42によるアシストトルクの制御が中止されているか否かの判別に先立って、ステップ320に於いて操舵制御装置10が正常であり伝達比の正常な制御を行うことができる状況であるか否かの判別が行われるので、伝達比可変装置20の電動モータ26により補助的なアシストトルクを発生することができない状況に於いて、電動モータ26によるアシストトルクの補助制御が不適切に開始されることを確実に防止することができる。
また上述の第一及び第二の実施例によれば、同一の操舵トルクTsについて見て暫定目標アシストトルクTbbtの大きさは正常時の目標アシストトルクTatの大きさよりも小さく、また同一の車速Vについて見て車速係数Kvbは正常時の車速係数Kvaよりも小さいので、補助的なアシストトルクの目標値を正常時のアシストトルクの目標値よりも小さくすることができ、これにより電動モータ26に対する要求トルクが過大なになることを回避しつつ運転者の操舵負担を確実に低減することができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の各実施例に於いては、パワーステアリング装置42が正常に所要のアシストトルクを発生することができないときには、ステップ390〜410に於いて操舵トルクTsに基づいて暫定目標アシストトルクTbbtが演算され、車速Vに基づいて車速係数Kvbが演算され、暫定目標アシストトルクTbbtと車速係数Kvbとの積としてアシストトルクの補助制御の目標アシストトルクTbtが演算されるようになっているが、補助的なアシストトルクを発生するための目標アシストトルクTbtは任意の要領にて演算されてよい。
例えば目標アシストトルクTbtは暫定目標アシストトルクTbbtと車速係数Kvaとの積として演算されてもよく、暫定目標アシストトルクTabtと車速係数Kvaとの積として演算されてもよく、正常時の目標アシストトルクTatがK倍(0<K<1)されることにより演算されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、伝達比可変装置20は回転アクチュエータとしての電動モータ26及び減速歯車機構27を有し、減速歯車機構27は特定の波動歯車機構を有するものであるが、伝達比可変装置20は補助的なアシストトルクを発生可能な回転アクチュエータを含むものである限り、当技術分野に於いて公知の任意の構成のものであってよい。
また上述の各実施例に於いては、ロック装置56はロックレバー64がロックアクチュエータ62によって駆動されることにより、ロックホルダ58との係合が制御されるようになっているが、ロック装置56はアッパステアリングシャフト16及びロアステアリングシャフト18の相対回転を阻止し得るものである限り、当技術分野に於いて公知の任意の構成のものであってよい。
また上述の第二の実施例に於いては、変速機96は変速アクチュエータ102により出力軸31がロータ30に対し相対的に駆動されることにより変速位置が切り替えられるようになっているが、回転アクチュエータと減速機構との間に設けられる変速装置は、操舵アシスト力付与手段に異常が発生しているときの減速比が操舵アシスト力付与手段に異常が発生していないときの減速比に比して高い値に制御されるものである限り、当技術分野に於いて公知の任意の構成のものであってよい。
本発明による車両の操舵制御装置の第一の実施例を示す概略構成図である。 伝達比可変装置の波動歯車機構を回転軸線に垂直な切断面にて切断して示す断面図である。 第一の実施例に於けるアシストトルクの補助制御ルーチンを示すフローチャートである。 操舵トルクTsと暫定目標アシストトルクTabt、Tbbtとの間の関係を示すグラフである。 車速Vと車速係数Kva、Kvbとの間の関係を示すグラフである。 本発明による車両の操舵制御装置の第二の実施例を示す概略構成図である。 第二の実施例に於けるアシストトルクの補助制御ルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
10…操舵制御装置、12…ステアリングホイール、16…アッパステアリングシャフト、18…ロアステアリングシャフト、20…伝達比可変装置、24…運動変換機構、26…電動モータ、27…減速機構、28…ステータ、30…ロータ、32…車体、34、36…リング歯車部材、40…外歯歯車部材、42…パワーステアリング装置(EPS)、56…ロック装置、58…ロックホルダ、62…ロックアクチュエータ、64…ロックレバー、66…スパイラルケーブル装置、68…操舵角センサ、70…電子制御装置、72…回転角度センサ、74…車速センサ、80…トルクセンサ、82…電子制御装置、90…ウェブジェネレータシャフト、96…変速機、102…変速アクチュエータ

Claims (4)

  1. 操舵アシスト力付与手段を備えた車両に適用され、回転可能に支持され且つステアリングホイールと相対回転不能に係合された入力軸と、回転可能に支持された出力軸と、前記出力軸の回転運動を操舵輪が舵角を変更する運動に変換する運動変換機構と、前記入力軸に対し相対的に前記出力軸を回転させることにより前記入力軸の回転運動量に対する前記出力軸の回転運動量の比である伝達比を変更する伝達比可変装置と、前記入力軸及び前記出力軸の間の伝達比の変化を阻止するロックオン状態と、前記入力軸及び前記出力軸の間の伝達比の変化を許容するロックオフ状態とに切り替わるロック装置と、前記伝達比可変装置及び前記ロック装置を制御する制御装置とを有し、前記伝達比可変装置は回転アクチュエータ及び減速機構を有し、前記回転アクチュエータは前記車両の車体に固定されたステータと、該ステータとの間の相互作用により発生するロータ駆動トルクによって前記ステータに対し相対的に回転駆動されるロータと、前記ロータにより回転駆動される回転体とを含み、前記回転体の回転により前記入力軸に対し相対的に前記出力軸を回転させるよう構成された車両の操舵制御装置に於いて、
    前記制御装置は操舵アシスト力を付与することができない異常が前記操舵アシスト力付与手段に発生したときには、伝達比の制御を中止し前記ロック装置を前記ロックオン状態に切り替えると共に、前記回転アクチュエータにより補助的な操舵アシスト力を発生することを特徴とする車両の操舵制御装置。
  2. 前記回転アクチュエータは前記ステアリングホイールと前記減速機構との間に配置され、前記ロック装置は前記ロックオン状態に於いては前記入力軸及び前記ロータの相対回転を阻止し、前記制御装置は前記ステアリングホイールと前記ロック装置との間に配置されたトルクセンサにより検出される操舵トルクに基づいて前記回転アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の操舵制御装置。
  3. 前記減速機構は前記ステアリングホイールと前記回転アクチュエータとの間に配置され、前記ロック装置は前記ロックオン状態に於いては前記出力軸及び前記回転体の相対回転を阻止し、前記制御装置は前記ステアリングホイールと前記減速機構との間に配置されたトルクセンサにより検出される操舵トルクに基づいて前記回転アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の操舵制御装置。
  4. 前記回転アクチュエータと前記減速機構との間に変速装置が設けられており、前記変速装置の減速比は前記操舵アシスト力付与手段に異常が発生しているときには前記操舵アシスト力付与手段に異常が発生していないときに比して高い値に制御されることを特徴とする請求項3に記載の車両の操舵制御装置。
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