JP2006015865A - ステアリングシステム - Google Patents

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伊藤  公一
Seiji Ogawa
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Abstract

【課題】 2つのモータを動力源として備えた車両用ステアリングシステムを、フェールへの対応に関して一歩進んだシステムとする。
【解決手段】 2つの入力軸と1つの出力軸とを有するいわゆる差動機構として機能する回転伝達装置28,62と、その2つの入力軸の各々に接続された2つのモータ24,26,58,60と、それら2つのモータを制御する制御装置80とを備えて、出力軸により転舵装置42に転舵力をあるいは操作部材14に操作反力を付与する構造のステアリングシステムを、その制御装置が、負荷により出力軸の回転が停止させられた状態において、転舵力あるいは操作反力を付与しつつ2つのモータの回転が許容されるように、2つのモータの制御を行うように構成する。高負荷状態でもモータにおけるの発熱箇所が一定の箇所とならず、いわゆるモータの焼付きを効果的に抑制することが可能となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両用ステアリングシステム、詳しくは、転舵装置あるいは操作反力付与装置の動力源としてモータを備えた車両用ステアリングシステムに関する。
車両用ステアリングシステムでは、例えば転舵装置の動力源としてモータを備えるものがあり、失陥等に対するフェールセーフの観点から、モータを2つ配備するシステムも検討されている。そのようなシステムに関して、例えば、下記特許文献に記載の技術が存在する。それらの文献に記載のステアリングシステムでは、2つのモータのうちの1つが失陥等した場合であっても、他の1つによって車輪の転舵が可能とされており、それらのステアリングシステムは、フェールセーフの観点において優れたステアリングシステムとなっている。
特開2003−170842号公報 特開2003−118597号公報 特開平10−218000号公報
一方で、モータを動力源とした場合は、モータが2つであるか1つであるかを問わず、モータの発熱の影響に配慮することで、モータの失陥の可能性を低減させることが可能である。転舵装置の動力源としてモータを備えたシステムを例にとって説明すれば、例えば、縁石,轍(わだち),転舵ストロークエンド等によって車輪の転舵が制限される場合等には、モータが通電状態のままでそれの回転が停止させられる場合もあり得る。そのような場合は、モータにおける発熱箇所が一定の箇所となることで、モータが焼付く可能性が高くなるのである。つまり、モータの発熱に配慮することによってステアリングシステムは、フェールへの対応に関して一歩進んだステアリングシステムとなるのでである。本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、2つのモータを動力源として備えた車両用ステアリングシステムであって、フェールへの対応に関して一歩進んだステアリングシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用ステアリングシステムは、2つの入力軸と1つの出力軸とを有するいわゆる差動機構として機能する回転伝達装置と、その2つの入力軸の各々に接続された2つのモータと、それら2つのモータを制御する制御装置とを備えて、出力軸により転舵装置に転舵力をあるいは操作部材に操作反力を付与する構造のステアリングシステムであって、制御装置が、負荷により出力軸の回転が停止させられた状態において、転舵力あるいは操作反力を付与しつつ2つのモータの回転が許容されるように、2つのモータの制御を行うように構成されたことを特徴とする。
上記差動機構は、2つの入力軸の回転量によって出力軸の回転量が決定される回転伝達装置であり、適切な制御によれば、2つの入力軸の回転を許容した状態で出力軸が回転しない状態を実現することが可能である。つまり、差動機構の特性を利用することで、負荷によって出力軸が停止させられた状況下においても、2つのモータの回転を制御すれば、出力軸に回転トルクを発生させながら2つのモータの回転を許容することが可能となる。そのような状況下において2つのモータの回転が維持されれば、モータの発熱箇所、詳しく言えば、モータの電機子の発熱箇所が一定の箇所とならず、いわゆるモータの焼付きを効果的に抑制することが可能である。つまり、本発明の車両用ステアリングシステムによれば、フェールへの対応に関して一歩進んだステアリングシステムが実現するのである。なお、本発明の各種態様およびそれらの作用効果については、下記〔発明の態様〕の項において詳しく説明する。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項ないし(8)項の各々が、請求項1ないし請求項8の各々に相当する。
(1)(a)1つの回転量が他の2つの回転量によって決定される関係にある3つの回転軸を備え、それら3つの回転軸の2つのものが2つの入力軸とされ、他の1つのものが出力軸とされた回転伝達装置と、(b)それぞれが前記2つの入力軸のそれぞれを回転させる2つのモータと、(c)それら2つのモータの回転を制御することで前記出力軸の回転を制御する制御装置とを含み、前記出力軸が転舵装置あるいは操作部材に接続された構造のステアリングシステムであって、
前記制御装置が、前記出力軸に作用する負荷の増加によってその出力軸の回転が停止させられる高負荷状態において、前記転舵装置あるいは操作部材に対して回転トルク付与しつつ前記2つのモータの両者をともに回転させる制御を行うものであることを特徴とする車両用ステアリングシステム。
本項の態様のステアリングシステムは、動力源である2つのモータの回転を上記回転伝達装置によって転舵装置あるいは操作部材に伝達されるように構成されている。その回転伝達装置は、いわゆる差動機構を含んで構成されるものと考えることができる。そのため、2つのモータのうちの一方が失陥したような場合であっても、例えば、その失陥したモータによって回転させられる入力軸の回転を禁止すれば、他方のモータによって転舵装置あるいは操作部材に回転力を伝達可能である。したがって、本態様のステアリングシステムは、フェールセーフの観点において優れたシステムとなる。
また、上記回転伝達装置を用いれば、制御の適正化により、2つの入力軸の回転を許容した状態で出力軸が回転しない状態を実現することが可能である。つまり、上記回転伝達装置の特性を利用することで、負荷によって出力軸が停止させられる高負荷状態においても、2つのモータの回転を適切に制御することにより、出力軸に回転トルクを発生させながら2つのモータの回転を許容することが可能となる。一般的には、モータに回転指令を発しながらモータの回転を外部からの力によって停止させた場合、モータは負荷の高い状態となり発熱する。発熱はモータが有する電機子(コイル等)において生じるが、モータの回転が停止させられている場合には、その電機子における発熱箇所が変動しないため、電機子が局部的に加熱されることになる。そのため、モータの焼付きが生じやすい。これに対して、本項の態様では、モータが高負荷の状態にある場合であっても、モータの回転が許容されるため、発熱箇所が一定箇所とはならず(詳しく言えば、発熱箇所が移動する)、モータの焼付きを効果的に抑制することが可能となる。したがって、本項の態様のステアリングシステムは、フェール、つまり、システムの失陥への対応に関して一歩進んだステアリングシステムとなるのである。
本項の態様における回転伝達装置は、その具体的な構造が特に限定されるものではない。実質的に差動機構としての機能を有するものであればよく、後に詳しく説明するように、例えば、遊星歯車を利用した機構,かさ歯車を利用した機構,ハーモニックドライブ機構,サイクロイド減速機構等、種々の機構のものを採用可能である。なお、入力軸,出力軸となる上記3つの回転軸は、その形状が限定されるものではなく、ロッド,シャフトといった形状を始めとして、モータ,転舵装置,操作部材等に接続されて実質的に回転伝達可能な回転体として機能するものであればよい。また、3つの回転軸は、モータ,転舵装置,操作部材等と直接連結されるものであってもよく、何らかの回転伝達機構を介して接続されるものであってもよい。
出力軸が転舵装置に接続された態様には、例えば、転舵装置が、ラックが形成された転舵ロッドと、そのラックと噛合するピニオンが形成された入力軸を含むような構造の場合、その入力軸が、回転伝達装置の出力軸と接続されたような態様が含まれる。そのような態様は、例えば、上記2つのモータが、電動パワーステアリングシステム(EPS)におけるアシストモータとして機能するような態様とすることもでき、また、いわゆるステアバイワイヤ型のシステムにおける転舵モータとして機能するような態様とすることもできる。また、出力軸が操作部材(ステアリングホイール,ハンドル等)に接続された態様には、例えば、ステアバイワイヤ型のシステムにおいて、2つのモータが運転者のステアリング操作に対する操作反力を付与する反力モータとして機能する態様が含まれる。
本項の態様における制御装置は、その構成が特に限定されるものではない。例えば、コンピュータ等を主体として構成されるものを採用することが可能である。具体的には、例えば、目標となる出力軸,転舵装置の入力軸等の目標回転速度等に基づいて、2つの入力軸、2つのモータ等の目標回転速度(モータ制御目標値の一種である)を決定し、その決定した目標回転速度に基づくフィードバック制御を行うようにすればよい。そして、高負荷状態において、2つの入力軸、2つのモータ等の目標回転速度を適切な値に決定することにより、出力軸によって回転トルクを付与しつつ2つのモータの回転を許容する状態を実現することが可能となる。具体的な制御に関しては、後に詳しく説明する。
(2)前記出力軸のそれの正回転方向における回転が増加する向きの前記2つのモータの各々回転方向の回転をそれらモータの正回転とした場合において、前記制御装置が、前記高負荷状態において前記2つのモータの一方が正回転し他方が逆回転する正逆転モータ並存状態となるようにように前記2つのモータの制御を行うものである(1)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、出力軸によって回転トルクを付与しつつ2つのモータの回転を許容する制御を限定した態様である。本項の態様は、2つのモータが互いに逆回転して出力軸が回転しない状態とされる態様であり、上記回転伝達装置がいわゆる差動機構として機能するものであることに依拠することで実現する態様である。後に説明するように、2つのモータに対してそれらをともに正回転させるように作動指令を発しているものの、出力軸の回転が停止させられることによって、受動的に正逆転モータ並存状態となるように制御することも可能であり、また、一方のモータが正回転し他方のモータが逆回転するように作動指令を発することで、能動的に正逆転モータ並存状態とするよう制御することも可能である。
(3)前記制御装置が、前記2つのモータをともに正回転させるモータ制御目標値の下、前記高負荷状態において前記正逆転モータ並存状態となるように前記2つのモータの制御を行うものである(2)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、2つのモータの内の少なくとも一方が、モータの制御目標値(例えば、入力軸,モータの目標回転速度、モータに供給される電流,電圧等であり、以下、単に「制御目標値」という場合がある)どおりの回転状態とは異なる回転状態とされることで、上記正逆転モータ並存状態が実現する態様である。つまり、本項の態様は、先に説明したように、例えば、2つのモータに対してそれらがともに正回転させるように作動指令を発しているものの、出力軸の回転が停止させられることによって、受動的に正逆転モータ並存状態となるように制御する態様である。本項の態様によれば、回転が停止する出力軸に回転トルクを生じさせつつ、2つのモータを回転させることが容易に行える。
(4)前記制御装置が、前記高負荷状態と前記高負荷状態ではない状態との両状態において同じモータ制御目標値の下、前記2つのモータの制御を行うものである(3)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、簡単に言えば、例えば、高負荷状態ではない状態(以下、「通常状態」という場合がある)の制御と高負荷状態の制御とを区別することなく、同じ制御によって高負荷状態に対応可能な態様である。本項に記載の態様によれば、制御装置による制御が簡便なものとなる。
(5)前記制御装置が、前記高負荷状態が検出された場合に、前記高負荷状態ではない状態におけるモータ制御目標値から高負荷状態におけるモータ制御目標値に切り換えて、高負荷状態においてのみ前記正逆転モータ並存状態となるように前記2つのモータの制御を行うものである(3)項に記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、簡単に言えば、例えば、通常状態と高負荷状態とで制御を変更することで、それら2つの状態に対してそれぞれ個別に対応する態様である。本項に記載の態様によれば、2つの状態の各々に対して適切な制御を行い得るというメリットを享受できることになる。
(6)前記回転伝達装置が、1つの回転軸線回りに回転する第1ギヤおよび第2ギヤと、それらのギヤの両者と噛合して前記回転軸線回りに周回する第3のギヤとを含み、前記3つの回転軸の各々が、前記第1ギヤの回転、前記第2ギヤの回転、前記第3ギヤの周回の各々に伴って回転する構造とされた(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、回転伝達装置がいわゆる一般的な差動機構を含んで構成された態様である。本項の態様における回転伝達装置は、具体的には、例えば、第1ギヤおよび第2ギヤをそれぞれ向かい合うかさ歯車とされ、第3ギヤがそれらと噛合して周回するかさ歯車とされたかさ歯車型差動機構や、第1ギヤがサンギヤと、第2ギヤがリングギヤとされ、第3ギヤがそれらと噛合するプラネタリギヤとされた遊星歯車型差動機構等を採用した回転伝達装置が該当する。本項の態様によれば、回転伝達装置の簡便化が図れることになる。
(7)前記回転伝達装置が、互いに同軸的に配設されて互いに歯数の異なる第1リングギヤおよび第2リングギヤと、それら2つのリングギヤと噛合するフレキシブルギヤを有して回転するウェーブジェネレータとを備えたハーモニックドライブ機構を含み、前記3つの回転軸の各々が、前記第1リングギヤの回転、前記第2リングギヤの回転、前記ウェーブジェネレータの回転の各々に伴って回転する構造とされた(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項に記載の態様は、回転伝達装置の機構としてハーモニックドライブ型の差動機構を採用した態様である。ハーモニックドライブ機構は、ウェーブジェネレータの回転速度の変化に対する2つのリングギヤの回転速度差が小さい回転伝達機構、言い換えれば、いわゆる減速比が大きい回転伝達機構であり、その機構を採用する本項に記載の態様では、一方の入力軸の回転速度に対する出力軸の回転速度の比の微妙な調整制御を、円滑かつ簡便に行うことが可能となる。
(8)当該ステアリングシステムが、ステアバイワイヤ型のシステムである(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
本項にいうステアバイワイヤ型のステアリングシステムとは、操作部材と転舵装置とが機械的に分離され、操作部材に加えられた操作力によらず、電気的な制御によって転舵装置が備える駆動源を制御作動させることにより、操作部材の操作に応じた車輪の転舵を行うタイプのステアリングシステムである。本項の態様は,具体的には例えば、上記2つのモータを転舵装置の駆動源とし、上記出力軸が転舵装置の入力軸に接続されて、それら2つのモータの回転力によって車輪を転舵させるような態様とすることが可能である。また、具体的には例えば、上記2つのモータを操作部材の操作に応じた操作反力を付与するための反力モータとして機能させるような態様とすることができる。ステアバイワイヤ型のステアリングシステムでは、操作部材と転舵装置とが機械的に分離されているため、いわゆるパワーステアリングシステムに比較して、システムのフェールへの対応の要求が高いことから、本項の態様によれば、その高い要求を充分に満たすことができる。
以下、本発明の一実施例およびその変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<ステアリングシステムの全体構成>
図1に本発明の実施例であるステアリングシステムの全体構成を示す。本ステアリングシステムは、ステアバイワイヤ型のシステムであり、操作部10と、転舵部12とが機械的に分離され、ステアリング操作部材としてのステアリングホイール14に加えられる操作力によらずに、転舵部12に設けられた動力源の動力によって転舵車輪16(以下、単に「車輪16」という場合がある)を転舵するステアリングシステムである。
操作部10は、ステアリングホイール14と、一端部においてステアリングホイール14を固定的に支持して回転する操作軸20と、車体の一部(例えば、インストゥルメントパネルのリインフォースメント)に固定的に保持され、操作軸20を回転可能に保持するとともに、ステアリングホイール14の操作に対する操作反力を付与する操作反力付与装置22とを含んで構成されている。操作反力付与装置22は、それぞれが反力付与源となる第1反力モータ24および第2反力モータ26と、後に詳しく説明するところの、それらのモータ24,26の回転を操作軸20に伝達する回転伝達装置28とを含んで構成されている。このような構成により、操作反力付与装置22は、2つのモータ24,26の回転により、ステアリングホイール14に操作反力を付与するようにされている。なお、2つのモータ24,26の各々は、それらの各々の回転量(回転角度)を検出するモータ回転センサ30,32を有しており、また、操作部10には、ステアリングホイールの操作量であるステアリング操作角(以下、単に「操作角」という場合がある)を検出する操作角センサ34が設けられている。
転舵部12は、車体に固定されて転舵ロッド40を軸方向に往復移動させる転舵装置42を主体として構成されている。内部の図示は省略するが、転舵装置42は、転舵ロッド40に形成されたラックと、転舵入力軸44に設けられたピニオンとが噛合して構成されるラックアンドピニオン機構を有し、転舵入力軸44の回転によって転舵ロッド40が軸方向に移動させられる構造とされている。転舵ロッド40の両端の各々は、ボールジョイント46を介して、タイロッド48の一端部に連結され、タイロッド48の他端部は、もう一種のボールジョイント50を介して、車輪16を回転可能に保持するステアリングナックル52の一部分であるナックルアーム54に連結されている。また、転舵部12は、転舵装置42を駆動させるための転舵駆動装置56が設けられている。この転舵駆動装置56は、それぞれが駆動源である第1転舵モータ58および第2転舵モータ60と、後に詳しく説明するところの、それらのモータ58,60の回転を転舵入力軸44に伝達する回転伝達装置62とを含んで構成されている。このような構成により、2つのモータ58,60の回転によって転舵入力軸44が回転させられ、その回転によって転舵ロッド40が軸方向に移動させられることで、車輪16が転舵されるのである。なお、2つのモータ58,60の各々は、それらの各々の回転量(回転角度)を検出するモータ回転センサ64,66を有している。また、転舵装置42は、転舵ロッド40の移動量である転舵量を検出する転舵量センサ68を備え、さらに、操作部12には、転舵ロッド40に作用する軸力を検出する1対の転舵軸力センサ70,72が設けられている。
本ステアリングシステムは、自身を制御するためのステアリング電子制御ユニット80(ステアリングECU、以下、単に「ECU80」という場合がある)を有している。ECU80は、コンピュータを主体とするものであり、上記各モータ24,26,58,60の駆動回路(ドライバ)等を含んで構成されている。後に詳しく説明するが、ECU80は、所定の制御プログラムを実行することによって、転舵駆動装置56および操作反力付与装置22を制御するものとされている。
<転舵駆動装置が備える回転伝達装置>
図2に、転舵駆動装置56が備える回転伝達装置62の要部を示す。回転伝達装置62は、図に示すように、遊星歯車を採用した差動機構を有している。詳しく説明すれば、回転伝達装置62は、3種の主要なギヤを含んで構成されている。それらの1つは、第1ギヤとして機能するサンギヤ100であり、もう1つは、第2ギヤとして機能するリングギヤ102であり、さらにもう1つは、それぞれが第3ギヤとして機能する3つのプラネタリギヤ104である。サンギヤ100は、当該回転伝達装置62の第1入力軸106が固定的に接続されており、第1入力軸106の軸線を回転軸線として、その軸線回りに第1入力軸106とともに回転可能とされている。リングギヤ102は、サンギヤ100と同軸的に配置され、サンギヤ100の回転軸線と同じ回転軸線回りに回転可能とされている。3つのプラネタリギヤ104の各々は、プラネタリギヤ保持体108に保持されている。詳しくは、プラネタリギヤ保持体108は、保持板110とその保持板110に立設された3つの保持軸112とを含んで構成されており、3つの保持軸112の各々に回転可能に保持されている。3つのプラネタリギヤ104の各々は、サンギヤ100の外周に形成された外歯と、リングギヤ102の内周に形成された内歯との両者に噛合し、サンギヤ100の回転軸線と同じ回転軸線回りに周回する構造とされている。プラネタリギヤ保持体108の保持板110の中心には、当該回転伝達装置62の出力軸114が固定的に接続されている。また、リングギヤ102の外周には外歯が設けられており、その外歯は、第4のギヤであるリングギヤ駆動ギヤ116と噛合しており、リングギヤ駆動ギヤ116は、第1入力軸106と平行に配置された当該回転伝達装置62の第2入力軸118に固定的に接続されている。
上記第1入力軸106は、前述の第1転舵モータ58のモータ軸に直結され、上記第2入力軸118は、前述の第2転舵モータ60のモータ軸に直結されている。また、上記出力軸114は、前述した転舵装置42の転舵入力軸44に直結されている。第1転舵モータ58,第2転舵モータ60を回転させることにより、出力軸114が回転する。ちなみに、図に示すように、サンギヤ100とリングギヤ102とが同じ方向に同じ回転速度で回転するように2つの転舵モータ58,60を制御すれば、3つのプラネタリギヤ104も、サンギヤ100,リングギヤ102と同じ方向に同じ回転速度で周回し、出力軸114は、第1入力軸と同じ回転方向に同じ回転速度で回転する。ちなみに、この状態では、転舵モータ58,60は、ともに正回転方向に回転している。転舵モータ58,60の回転速度を変更してサンギヤ100,リングギヤ102の回転角速度を変更することにより、出力軸114の回転方向,回転速度を任意に変更することが可能である。
本回転伝達装置62は、上記構造により、回転伝達の効率を犠牲にするのであれば、2つの転舵モータ58,60の一方を逆回転させることも可能である。裏を返せば、出力軸114の回転が外部からの負荷によって禁止されても、第1入力軸106と第2入力軸118とを互いに逆回転させることができるのである。つまり、前述の正逆転モータ並存状態とすることで、出力軸114、すなわち、それに接続される転舵装置42に回転トルクを付与した状態での2つの転舵モータ58,60の回転が許容されるのである。したがって、縁石,轍,転舵ストロークエンド等に起因して車輪16の転舵が禁止される高負荷状態においても、2つの転舵モータ58,60の回転が許容されることで、それら転舵モータ58,60の発熱による焼付きを効果的に抑制することができるのである。
上記正逆転モータ並存状態は、転舵モータ58,60の制御目標値を変更することにより、能動的に実現させることができる。また、サンギヤ100,リングギヤ102が同じ方向に回転する所定の制御目標値の下で、2つの転舵モータ58,60を回転させた場合であっても、それらのモータ58,60の出力の関係を適正化すれば、出力軸114の回転が停止させられたときに、受動的に、正逆転モータ並存状態を実現させることも可能である。
なお、本回転伝達装置62には、2つの転舵モータ58,60の一方が失陥等して、回転トルクを発生させることができなくなった場合に備えて、その失陥した一方に連結されている2つの入力軸104,106の一方の回転を禁止する手段が設けられており(図では省略)、本ステアリングシステムでは、2つの転舵モータ58,60のうちの失陥していない他方によって、車輪16を転舵可能となっている。
<操作反力付与装置が備える回転伝達装置>
図3に、操作反力付与装置22が備える回転伝達装置28の要部を示す(図1と異なり、図の下方が車両後方側となる)。回転伝達装置28は、図に示すように、かさ歯車を採用した差動機構を有している。詳しく説明すれば、回転伝達装置28は、第1ギヤとして機能する第1かさ歯車130と、第2ギヤとして機能する第2かさ歯車132と、それぞれが第3ギヤとして機能する2つの第3かさ歯車134とを含んで構成されている。それらのかさ歯車130,132,134は、すべてが同じ形状のものであり(歯の形状,歯数も同じである)、それらの各々は、概して短い四角形の筒状をなすフレーム136の4つの壁の各々の内側において、回転可能に保持されている。第1かさ歯車130の支軸は、フレーム136の壁より外側に長く延び出しており、その延び出す部分が、当該回転伝達装置28の第1入力軸138とされている。第2かさ歯車132は、第1かさ歯車130と同軸的にかつ向かい合うように配置され、それら2つのかさ歯車130,132は同じ回転軸線回りに可能とされている。第2かさ歯車132の支軸は、第1かさ歯車130と同様、フレーム136の壁より外側に延び出しており、その延び出す部分が、当該回転伝達装置28の第2入力軸140とされている。2つの第3かさ歯車134の各々は、第1かさ歯車130,第2かさ歯車132が設けられていないフレーム136の2つの壁の各々に、互いに向かい合う状態で、第1かさ歯車130,第2かさ歯車132の両者と噛合している。また、フレーム136の第1かさ歯車130の設けられている壁の外側には、リング形状のリングかさ歯車142が、第1かさ歯車130と同軸的に固定してもうけられている。このリングかさ歯車142は、第1入力軸136,第2入力軸138と直交する支軸に保持されたかさ歯車である出力かさ歯車144と噛合しており、その出力かさ歯車144の支軸が、当該回転伝達装置28の出力軸146とされている。
上記第1入力軸138は、前述の第1反力モータ24のモータ軸に直結され、上記第2入力軸140は、前述の第2反力モータ26のモータ軸に直結されている。また、上記出力軸146は、前述した操作軸20に直結されている。第1反力モータ24,第2反力モータ26を回転させることにより、出力軸146が回転する。ちなみに、図に示すように、第1かさ歯車130と第2かさ歯車132とが同じ方向に同じ回転速度で回転するように2つの転舵モータ58,60を制御すれば、2つの第3かさ歯車132は、第1かさ歯車130,第2かさ歯車132の回転軸線回りに、第1かさ歯車130,第2かさ歯車132の回転速度と同じ回転速度で周回し、それらが設けられているフレーム136およびリングかさ歯車142は、その回転軸線回りに一体的に、第1かさ歯車130,第2かさ歯車132の回転速度と同じ回転速度で回転する。そして、出力軸146は、リングかさ歯車142と出力かさ歯車144とのギヤ比に応じた回転速度で回転することになる。ちなみに、この状態では、反力モータ24,26は、ともに正回転方向に回転していることになる。反力モータ24,26の回転速度を変更して第1かさ歯車130,第2かさ歯車132の回転速度を変更することにより、出力軸146の回転方向,回転速度を任意に変更することが可能である。
本回転伝達装置28は、操作反力付与装置22を構成するものであり、2つの反力モータ24,26の制御は、操作軸22の回転、つまり、出力軸の146の回転を禁止する方向の回転トルクを出力軸146に対して付与するように行われ、実際には、反力モータ24,26は、指令による回転方向とは逆の方向に回転しながら、出力軸146に回転トルクを付与することになる。例えば、車両の旋回途中等において、ステアリングホイール14は、中立位置から所定の操作角だけ操作した位置で保持状態とされることがあり、その状態においても、操作反力付与装置22は、所定の操作反力をステアリングホイール14に付与することが望まれる。その状態は、出力軸146が外部からの負荷によって回転が停止させられた状態に等しい状態、つまり、前述の高負荷状態である。本回転伝達装置28は、上記構造により、その高負荷状態において、先に説明した転舵駆動装置56を構成する回転伝達装置62と同様、前述の正逆転モータ並存状態を作り出すことが可能である。つまり、正逆転モータ並存状態とすることで、出力軸146、すなわち、それに接続される操作軸20に回転トルクを付与した状態での2つの反力モータ24,26の回転が許容されるのである。したがって、上記のような高負荷状態においても、2つの反力モータ24,26の回転が許容されることにより、それら反力モータ24,26の発熱による焼付きを効果的に抑制することができるのである。なお、上記正逆転モータ並存状態は、受動的に実現されることが望ましく、具体的には、2つの反力モータ24,26の制御目標値を、第1入力軸138,第2入力軸140が同じ方向に回転する制御目標値であって、それらモータ24,26の出力の関係が適正化された制御目標値とすることによって、受動的に、正逆転モータ並存状態を実現させることが可能である。
先に説明した転舵駆動装置56を構成する回転伝達装置62と同様、本回転伝達装置28には、2つの反力モータ24,26の一方が失陥等して、回転トルクを発生させることができなくなった場合に備えて、その失陥した一方に連結されている2つの入力軸138,140の一方の回転を禁止する手段が設けられており(図では省略)、本操作反力付与装置22は、2つの反力モータ24,26のうちの失陥していない他方によって、ステアリングホイール14に対して操作反力を付与することが可能とされている。
<転舵駆動装置の制御>
転舵駆動装置56の制御は、ECU80によって行われる。詳しくは、図4にフローチャートを示す転舵制御プログラムが実行されることによって行われる。転舵制御プログラムは、当該ステアリングシステムが搭載された車両のイグニッションスイッチがON状態とされて所定の初期処理(ステアリングホイール14の中立位置と転舵ロッド40の中立位置との整合処理等)が行われた後から、イグニッションスイッチがOFF状態とされるまでの間、極短い時間間隔(例えば、数百μsec)で繰り返し実行される。以下、図に示すフローチャートに従って、転舵駆動装置56の制御、つまり、転舵制御について説明する。
転舵制御では、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す、他のステップも同様である)において、操作角センサ34の検出信号に基づいて、ステアリングホイール14の操作角θが取得される。次いで、S2において、転舵ロッド40の移動位置である転舵量の目標値、つまり、目標転舵量δ*が決定される。続くS3において、実際の転舵量δが、転舵量センサ68の検出信号に基づいて取得される。
次のS4においては、取得された目標転舵量δ*と実際の転舵量δとの偏差に基づいて、第1転舵モータ58,第2転舵モータ60の制御目標値として、それらの各々の目標回転速度ψ1*,ψ2*が決定される。詳しく説明すれば、上記偏差に応じた値であって、サンギヤ100の回転方向および回転速度とリングギヤ102の回転方向および回転速度が等しくなるような値として、目標回転速度ψ1*,ψ2*が決定される(図2参照)。このように決定された目標回転速度ψ1*,ψ2*によれば、例えば、2つの転舵モータ58,60がともに正回転させられるような指令が発せられることになる。
続くS5において、2つの転舵モータ58,60の各々に供給されている電流、つまり、供給電流i1,i2に基づく判定がなされる。具体的には、2つの転舵モータ58,60の各々への供給電流i1,i2のいずれかが、それぞれについて設定された閾電流i1S,i2Sを超えているか否かが判断される。供給電流i1,i2のいずれかがが閾電流i1S,i2Sを超えている場合は、前述の高負荷状態にあるものと判断されるのである。
S5の判定がYESとされた場合、つまり、2つの転舵モータ58,60のいずれかが高負荷状態にある場合は、S6において、決定されている目標回転速度ψ1*,ψ2*の補正が行われる。具体的には、2つの転舵モータ58,60の目標回転速度ψ1*,ψ2*の一方が、設定された補正値だけ大きくされ、他方が設定された補正値だけ小さくされるのである。なお、本実施例では、サンギヤ100とリングギヤ102の一方の増速速度と、他方の減速速度とが等しくなるように、上記2つの補正値が定められている。本ステップにおける補正によって、目標回転速度ψ1*,ψ2*は、前述の正逆転モータ並存状態が受動的に実現されるような値とされるのである。なお、S5の判定において、高負荷状態はないと判断された場合は、S6はスキップされ、補正は行われない。つまり、通常状態では、効率のよい車輪16の転舵が行われるような目標回転速度ψ1*,ψ2*の値が維持されるのである。
続くS7において、2つの転舵モータ58,60が、回転速度ψ1’,ψ2’に基づくフィードバック制御が行われる。具体的に言えば、2つのモータ回転センサ64,66の各々の信号に基づいて取得された2つの転舵モータ58,60の各々の回転角ψ1,ψ2に基づいて、その各々の実際の回転速度ψ1’,ψ2’が求められ、その求められた実際の回転速度ψ1’,ψ2’と先に決定されている目標回転速度ψ1*,ψ2*との偏差に基づいて、2つの転舵モータ58,60のそれぞれへの供給電流が決定され、その供給電流が供給されるように2つの転舵モータ58,60の各々に対応する駆動回路の各々が制御されるのである。
<操作反力付与装置の制御>
操作反力付与装置22の制御は、ECU80によって行われる。詳しくは、図5にフローチャートを示す操作反力制御プログラムが実行されることによって行われる。操作反力制御プログラムは、先の転舵制御プログラムと同様に、極短い時間間隔で繰り返し実行される。以下、図に示すフローチャートに従って、操作反力付与装置22の制御、つまり、操作反力制御について説明する。
まず、S11において、転舵軸力センサ70,72の検出信号に基づいて、転舵ロッド40に発生している軸力σR,σLが取得される。次に、S12において、取得した軸力σR,σLに基づいて、付与されるべき操作反力である目標操作反力T*が決定される。詳しく言えば、取得された軸力σR,σLは、転舵ロッド40の左右の両端部の各々における軸力であるため、それらを平均して平均軸力σが算出され、その平均軸力σに基づいて、目標操作反力T*が決定される。
次に、S13において、目標操作反力T*に基づいて、第1反力モータ24,第2反力モータ26の各々の制御目標値として、それら各々へ供給される電流の目標値である目標供給電流j1 *,j2 *が決定される。ここで決定される目標供給電流j1 *,j2 *は、第1かさ歯車130と第2かさ歯車が132とが同じ向きに同一回転速度で回転するような値とされ、本実施例においては2つの反力モータ24,26は同一構成のモータとされていることから、互いに同じ値(実際のモータの回転方向は逆となる)に決定される(図3参照)。
続くS14において、S13で決定された目標供給電流j1 *,j2 *が補正される。この補正は、2つの反力モータ24,26の目標供給電流j1 *,j2 *の一方を、設定電流値分だけ増加させ、他方を、その分だけ減少させるように行われる。次のS15では、その補正された目標供給電流j1 *,j2 *が供給されるように2つの反力モータ24,26の各々に対応する駆動回路の各々が制御されるのである。
上述のように制御目標値が補正されることにより、2つの反力モータ24,26相互間の出力の関係が調整され、その結果、ステアリングホイール14がある操作角の位置で保持されているような場合においても、つまり、高負荷状態となる場合であっても、ステアリングホイール14に操作反力を付与しつつ、2つの反力モータ24,26の回転が許容されることなる。すなわち、前述の正逆転モータ並存状態が、受動的に実現されることになる。
<変形例>
上記実施例のステアリングシステムでは、2つの反力モータ24,26の制御目標値として、供給電流を採用し、2つの転舵モータ58,60の制御目標値として回転速度を採用して、それらモータ24,26,58,60の制御が行われている。制御目標値は、上記のものに限定されず、種々のものを採用することが可能である。また、フィードバック制御,フィードフォワード制御等、転舵制御,操作反力制御の具体的な態様についても、任意のものを採用することが可能である。
また、上記実施例では、転舵制御においては、高負荷状態を検出することで、通常状態と高負荷状態とで制御目標値の実質的な切換えが行われ(S5,S6)るようにされている。それに対して、操作反力制御では、その切換えが行われていない。つまり、通常状態と高負荷状態との両状態において同じ制御目標値が決定されるようになっている。制御目標値の切換えを行うか否かは、それぞれの制御において任意である。例えば、上記操作反力制御において、制御目標値の切換を行う場合は、例えば、モータ回転角センサ30,32によって検出された2つの反力モータ24,26の各々の回転角φ1,φ2に基づいて、それら2つのモータ24,26の回転が停止していることを判断して、目標制御値の変更を行うようにしてもよい。
また、上記実施例のステアリングシステムでは、操作反力付与装置22の回転伝達装置28に、かさ歯車による差動機構を採用し、転舵駆動装置56の回転伝達装置62に、遊星歯車による差動機構を採用している。それらの回転伝達装置28,62に採用する機構は特に限定されず、例えば、操作反力付与装置22の回転伝達装置28に遊星歯車による差動機構を始めとする他の機構を採用することも可能であり、また、転舵駆動装置56の回転伝達装置62に、かさ歯車による差動機構を始めとする他の機構を採用することも可能である。
上記回転伝達装置28,56として、具体的には、図6に示すような構造の回転伝達装置を採用することも可能である。図6に示す回転伝達装置160は、差動機構として、いわゆるハーモニックドライブ機構(「ストレイン・ウェーブ・ギヤリング機構」ということもできる)を採用した回転伝達装置である。その回転伝達装置160は、第1リングギヤ162と、第2リングギヤ164と、それらに噛合するフレキシブルギヤ166を有して波動を発生させるウェーブジェネレータ168とを含んで構成されている。ちなみに、図6(a)は、それらの各構成要素を解りやすく説明するために、それらの各々の回転軸線方向に分離して描いたものであり、図6(b)は、ウェーブジェネレータ168の構造および各ギヤの噛合状態を説明するための図であり、いずれも模式図である。
回転伝達装置160の構造をさらに詳しく説明すれば、以下のようである。第1リングギヤ162は、内歯170および外歯172が形成されたリングギヤでり、外歯172には、入力ギヤ174が噛合し、その入力ギヤ174には、当該回転伝達装置160の第1入力軸176が接続されている。第1入力軸176の回転によって、第1リングギヤ162は回転する。第2リングギヤ164は、内歯178が形成されたリングギヤであり、当該回転伝達装置160の出力軸180が接続されている。ウェーブジェネレータ168は、概して楕円盤状をなす支持盤182と、支持盤182の外周に嵌められたベアリング184とを含んで構成されている。ベアリング184のアウタレース186は、比較的薄くて可撓性のあるものとされている。フレキシブルギヤ166は、外歯188が形成されたリングギヤであり、比較的薄くて可撓性のあるものとされ、ベアリング184の外周にアウタレース186と相対回転不能な状態で装着されている。支持盤182には、当該回転伝達装置160の第2入力軸190が接続されている。第1リングギヤ162の内歯170の歯数と第2リングギヤ164の内歯178の歯数とが互いに異なるのに対し(本変形例では、第1リングギヤ162の内歯170の歯数が102歯とされ、第2リングギヤ164の内歯178の歯数が100歯とされている)、フレキシブルギヤ166の外歯188の歯数は、第2リングギヤ164の内歯178の歯数と同じ歯数とされている。フレキシブルギヤ166は、楕円状に変形させられており、それの外歯188が、楕円の長軸部分における2箇所で第1リングギヤ162の内歯170と第2リングギヤ164の内歯178との両者と噛合し、短軸部分においてはそれらと完全に離れた状態とされている。
第2入力軸190を回転させてウェーブジェネレータ166の支持盤182を回転させれば、フレキシブルギヤ164は弾性変形し、噛合位置を移動させつつ回転する。第1リングギヤ162の内歯170と第2リングギヤ164の内歯178とは互いに歯数が異なるため、第1リングギヤ162と第2リングギヤ164との間には、その歯数の差分に応じた量の回転位相差が生じることになる(本変形例では、支持盤182の1回転あたり2歯分の回転位相差が生じる)。つまり、第2リングギヤ164の回転量すなわち出力軸180の回転速度は、第1リングギヤ162の回転量とウェーブジェネレータ166の回転量との関係、すなわち、第1入力軸176の回転速度と第2入力軸190の回転速度との関係によって決まることになる。
上述したような回転伝達装置160を用いて、操作反力付与装置あるいは転舵駆動装置を構成する場合、第1入力軸176,第2入力軸190の各々を、それぞれが反力モータあるいは転舵モータとして機能する第1モータ,第2モータの各々と連結し、出力軸180を、操作軸20あるいは転舵入力軸44と連結させればよい。回転伝達装置160も、上記実施例において採用されている回転伝達装置28,62と同様、出力軸180に回転トルクを発生させた状態で、第1モータと第2モータとが正逆転モータ並存状態を実現することが可能である。
本発明の実施例であるステアリングシステムの全体構成を示す図である。 図1に示すステアリングシステムの転舵部に設けられた転舵駆動装置が備える回転伝達装置の要部を示す斜視図である。 図1に示すステアリングシステムの操作部に設けられた操作反力付与装置が備える回転伝達装置の要部を示す斜視図である。 図1に示すステアリングシステムが備える電子制御ユニットにおいて実行される転舵制御プログラムのフローチャートである。 図1に示すステアリングシステムが備える電子制御ユニットにおいて実行される操作反力制御プログラムのフローチャートである。 図1に示すステアリングシステムに設けられた操作反力付与装置の回転伝達装置あるいは転舵駆動装置の回転伝達装置として採用可能な別の回転伝達装置の要部を示す図である。
符号の説明
10:操作部 12:転舵部 14:ステアリングホイール(操作部材) 16:転舵車輪 22:操作反力付与装置 24:第1反力モータ 26:第2反力モータ 28:回転伝達装置 42:転舵装置 56:転舵駆動装置 58:第1転舵モータ 60:第2転舵モータ 62:回転伝達装置 80:ステアリング電子制御ユニット(制御装置) 100:サンギヤ(第1ギヤ) 102:リングギヤ(第2ギヤ) 104:プラネタリギヤ(第3ギヤ) 106:第1入力軸 114:出力軸 118:第2入力軸 130:第1かさ歯車(第1ギヤ) 132:第2かさ歯車(第2ギヤ) 134:第3かさ歯車(第3ギヤ) 138:第1入力軸 140:第2入力軸 146:出力軸 160:回転伝達機構 162:第1リングギヤ 164:第2リングギヤ 166:フレキシブルギヤ 168:ウェーブジェネレータ 176:第1入力軸 180:出力軸 190:第2入力軸

Claims (8)

  1. (a)1つの回転量が他の2つの回転量によって決定される関係にある3つの回転軸を備え、それら3つの回転軸の2つのものが2つの入力軸とされ、他の1つのものが出力軸とされた回転伝達装置と、(b)それぞれが前記2つの入力軸のそれぞれを回転させる2つのモータと、(c)それら2つのモータの回転を制御することで前記出力軸の回転を制御する制御装置とを含み、前記出力軸が転舵装置あるいは操作部材に接続された構造のステアリングシステムであって、
    前記制御装置が、前記出力軸に作用する負荷の増加によってその出力軸の回転が停止させられる高負荷状態において、前記転舵装置あるいは操作部材に対して回転トルク付与しつつ前記2つのモータの両者をともに回転させる制御を行うものであることを特徴とする車両用ステアリングシステム。
  2. 前記出力軸のそれの正回転方向における回転が増加する向きの前記2つのモータの各々回転方向の回転をそれらモータの正回転とした場合において、前記制御装置が、前記高負荷状態において前記2つのモータの一方が正回転し他方が逆回転する正逆転モータ並存状態となるようにように前記2つのモータの制御を行うものである請求項1に記載の車両用ステアリングシステム。
  3. 前記制御装置が、前記2つのモータをともに正回転させるモータ制御目標値の下、前記高負荷状態において前記正逆転モータ並存状態となるように前記2つのモータの制御を行うものである請求項2に記載の車両用ステアリングシステム。
  4. 前記制御装置が、前記高負荷状態と前記高負荷状態ではない状態との両状態において同じモータ制御目標値の下、前記2つのモータの制御を行うものである請求項3に記載の車両用ステアリングシステム。
  5. 前記制御装置が、前記高負荷状態が検出された場合に、前記高負荷状態ではない状態におけるモータ制御目標値から高負荷状態におけるモータ制御目標値に切り換えて、高負荷状態においてのみ前記正逆転モータ並存状態となるように前記2つのモータの制御を行うものである請求項3に記載の車両用ステアリングシステム。
  6. 前記回転伝達装置が、1つの回転軸線回りに回転する第1ギヤおよび第2ギヤと、それらのギヤの両者と噛合して前記回転軸線回りに周回する第3のギヤとを含み、前記3つの回転軸の各々が、前記第1ギヤの回転、前記第2ギヤの回転、前記第3ギヤの周回の各々に伴って回転する構造とされた請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
  7. 前記回転伝達装置が、互いに同軸的に配設されて互いに歯数の異なる第1リングギヤおよび第2リングギヤと、それら2つのリングギヤと噛合するフレキシブルギヤを有して回転するウェーブジェネレータとを備えたハーモニックドライブ機構を含み、前記3つの回転軸の各々が、前記第1リングギヤの回転、前記第2リングギヤの回転、前記ウェーブジェネレータの回転の各々に伴って回転する構造とされた請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
  8. 当該ステアリングシステムが、ステアバイワイヤ型のシステムである請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の車両用ステアリングシステム。
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