JP4859827B2 - トラクションドライブ変速装置及び車両用操舵装置 - Google Patents

トラクションドライブ変速装置及び車両用操舵装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4859827B2
JP4859827B2 JP2007504781A JP2007504781A JP4859827B2 JP 4859827 B2 JP4859827 B2 JP 4859827B2 JP 2007504781 A JP2007504781 A JP 2007504781A JP 2007504781 A JP2007504781 A JP 2007504781A JP 4859827 B2 JP4859827 B2 JP 4859827B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
output shaft
torque
transmission
shaft
rolling element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007504781A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2006090796A1 (ja
Inventor
康嘉 東崎
壮司 吉見
彰彦 梅田
浩之 園部
勇 塩津
貴良 平山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2007504781A priority Critical patent/JP4859827B2/ja
Publication of JPWO2006090796A1 publication Critical patent/JPWO2006090796A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4859827B2 publication Critical patent/JP4859827B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D3/00Steering gears
    • B62D3/02Steering gears mechanical
    • B62D3/12Steering gears mechanical of rack-and-pinion type
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D5/00Power-assisted or power-driven steering
    • B62D5/008Changing the transfer ratio between the steering wheel and the steering gear by variable supply of energy, e.g. by using a superposition gear
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D5/00Power-assisted or power-driven steering
    • B62D5/04Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear
    • B62D5/0409Electric motor acting on the steering column
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H13/00Gearing for conveying rotary motion with constant gear ratio by friction between rotary members
    • F16H13/06Gearing for conveying rotary motion with constant gear ratio by friction between rotary members with members having orbital motion
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H13/00Gearing for conveying rotary motion with constant gear ratio by friction between rotary members
    • F16H13/10Means for influencing the pressure between the members

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Transportation (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Friction Gearing (AREA)
  • Power Steering Mechanism (AREA)

Description

本発明は、たとえば車両の操舵系等に適用されるトルク伝達構造を用いたトラクションドライブ変速装置及び車両用操舵装置に関する。
従来、転がり滑り状態にある回転体の接触部に作用する接線力を利用し、入力軸の回転数と出力軸の回転数との間に変速比をもってトルクの伝達を行うトラクションドライブ変速装置が知られている。このトラクションドライブ変速装置においては、入出力の変速比が線形となる。(たとえば、特許文献1参照)
また、線形の無断変速が可能な変速装置としては、遊星ローラ式変速装置が知られている。(たとえば、特許文献2参照)
また、増速機として機能する差動伝達機構を備えた操舵伝達系のトルク伝達経路に減速機を介在させることにより、いったん増速した変速比を減速して最終的には操舵系全体の伝達比をたとえば1:1に戻す車両用操舵装置が知られている。(たとえば、特許文献3参照)
特開2003−278866号公報 実開平1−139161号公報 特開2004−58896号公報
ところで、上述した従来のトラクションドライブ変速装置や遊星ローラ式変速装置は、入出力の変速比が所定の線形となるため、1台の変速装置において予め設定された線形の変速比とは異なる任意の変速比を実現することはできなかった。
また、トルク伝達系等に増速機及び減速機を介在させて操舵系全体の伝達比を所望の値に設定する車両用操舵装置は、車両という限られたスペースに設置されることを考慮すると、増速機及び減速機が同軸上に並んで軸方向に長くなるため、コンパクト化の面で問題が生じてくる。
このような背景から、たとえば車両用操舵装置のトルク伝達経路等に使用でき、伝達するトルクに応じて変化する軸方向の押圧力を発生させるコンパクトで耐久性の高いトルク伝達構造の開発が望まれる。
また、入出力軸間の変速比を自由に変化させることができ、コンパクトで耐久性の高いトラクションドライブ変速装置及びこのトラクションドライブ変速装置を用いた車両用操舵装置の開発が望まれる。
また、入出力軸間の変速比を自由に変化させることができ、しかも出力軸の伝達トルクを増すことができるコンパクトで耐久性の高いトラクションドライブ変速装置及びこのトラクションドライブ変速装置を用いた車両用操舵装置の開発が望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンパクトで耐久性の高いトルク伝達構造、コンパクトで耐久性が高い可変速のトラクションドライブ変速装置、及びこれらを用いた車両用操舵装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、入出力軸間の変速比を自由に変化させ、かつ、出力軸の伝達トルクを増すことができる、コンパクトで耐久性の高い可変速のトラクションドライブ変速装置、及びこれを用いた車両用操舵装置を提供することにある。
本発明は、上記の問題を解決するため、下記の手段を採用した。
参考例として記載のトルク伝達構造は、同一軸線上を回転するように配置された2部材の対向面間でトルク伝達を行うトルク伝達構造において、前記対向面の間に、断面形状が傾斜面または曲面を形成する凹部を複数組設け、該凹部の空間に調圧カムを配設したことを特徴とするものである。
このようなトルク伝達構造によれば、前記対向面の間に、断面形状が傾斜面または曲面を形成する凹部を複数組設け、該凹部の空間に調圧カムを配設したので、軸方向の長さがほとんど延びることなく対向面間に組み込まれるコンパクトな調圧カムの作用により、伝達するトルクに応じて変化する軸方向の押圧力を発生させることができる。
参考例として記載のトラクションドライブ変速装置は、入力軸と出力軸との間に介在させた転動体のトラクションを利用し、前記入力軸の回転数を所望の変速比に変化させて前記出力軸から出力するトラクションドライブ変速装置であって、前記転動体の自転軸線が前記入力軸及び前記出力軸の軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、前記転動体に付与する予圧を前記入力軸のトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段と、前記転動体のトラクション入出力部材に連結され、該トラクション入出力部材の回転数制御を行って前記変速比を変化させる差動式の変速比可変機構とを備えていることを特徴とするものである。
このようなトラクションドライブ変速装置によれば、転動体の自転軸線が入力軸及び出力軸の軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、かつ、転動体に付与する予圧を入力軸のトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段と、転動体のトラクション入出力部材に連結され、該トラクション入出力部材の回転数制御を行って変速比を変化させる差動式の変速比可変機構とを備えているので、傾斜配置された転動体に付与される予圧は、入力軸のトルクに応じて予圧調整手段が調整したものとなる。すなわち、予圧調整機構が伝達トルクに応じたスラスト荷重を発生させ、このスラスト荷重が転動体を軸方向に押圧する予圧となる。また、差動式の変速比可変機構を備えているので、入出力軸の変速比を調整して任意に設定することができる。
また、上記の参考例は、トラクションドライブ変速装置が、前記出力軸に回転力を付与して伝達トルクを増す伝達トルク補助機構を備えていることを特徴とするものである。
この場合、出力軸に伝達されたトルクは、伝達トルク補助機構の作用によって所望の値に増大したものが出力される。
また、上記の参考例に記載のトラクションドライブ変速装置において、保持器に配設された前記転動体を前記入力軸を設けた内輪と前記出力軸を設けた外輪との間に介在させ、前記内輪に前記予圧調整手段を設けるとともに、前記保持器に前記変速比可変機構を連結したことを特徴とするものであり、これにより、入力軸となる内輪のトルクは、転動体保持部に配設された転動体を介して出力軸となる外輪に伝達される。このとき、入力軸においては、予圧調整手段が入力軸のトルクに応じて転動体に作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構がトラクション入出力部材の保持器に連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。なお、外輪に設けられた出力軸に伝達トルク補助機構が連結されている場合には、出力軸の伝達トルクを増した大きな値のトルクが出力される。
また、上記の参考例に記載のトラクションドライブ変速装置において、前記出力軸を備えている保持器に配設された前記転動体を前記入力軸を設けた内輪と外輪との間に介在させ、前記保持器に前記予圧調整手段を設けるとともに、前記外輪に前記変速比可変機構を連結したことを特徴とするものであり、これにより、入力軸となる内輪のトルクは、転動体保持部に配設された転動体を介して保持器の出力軸に伝達される。このとき、出力軸となる保持器においては、予圧調整手段が入力軸のトルクに応じて転動体に作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構がトラクション入出力部材の外輪に連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。なお、保持器に設けられた出力軸に伝達トルク補助機構が連結されている場合は、出力軸の伝達トルクを増した大きな値のトルクが出力される。
また、上記の参考例に記載のトラクションドライブ変速装置において、前記入力軸を備えている保持器に配設された前記転動体を内輪と前記出力軸を設けた外輪との間に介在させ、前記内輪に前記予圧調整手段を設けるとともに前記変速比可変機構を連結したことを特徴とするものであり、これにより、入力軸となる保持器のトルクは、転動体保持部に配設された転動体を介して出力軸となる外輪に伝達される。このとき、内輪においては、予圧調整手段が入力軸のトルクに応じて転動体に作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構がトラクション入出力部材の内輪に連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。
この場合、前記外輪の外周面もしくは側面にギア部を形成してラックギアと噛合させることにより、入力軸の回転トルクは、出力軸の外輪を介してラックギアの直線運動に変換される。
また、上記の参考例に記載のトラクションドライブ変速装置において、前記入力軸を備えている保持器に配設された前記転動体を前記出力軸を設けた内輪と外輪との間に介在させ、前記内輪に前記予圧調整手段を設けるとともに、前記外輪に前記変速比可変機構を連結したことを特徴とするものであり、これにより、入力軸となる保持器のトルクは、転動体保持部に配設された転動体を介して出力軸となる内輪に伝達される。このとき、内輪においては、予圧調整手段が入力軸のトルクに応じて転動体に作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構がトラクション入出力部材の外輪に連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。なお、内輪に設けられた出力軸に伝達トルク補助機構が連結されている場合には、出力軸の伝達トルクを増した大きな値のトルクが出力される。
また、上記の参考例に記載のトラクションドライブ変速装置において、前記出力軸となる保持器に配設された前記転動体を内輪と前記入力軸を設けた外輪との間に介在させ、前記内輪に前記予圧調整手段を設けるとともに前記変速比可変機構を連結したことを特徴とするものであり、これにより、入力軸となる外輪のトルクは、転動体保持部に配設された転動体を介して出力軸となる保持器に伝達される。このとき、内輪においては、予圧調整手段が入力軸のトルクに応じて転動体に作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構がトラクション入出力部材の内輪に連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。
この場合、前記保持器の外周面もしくは側面にギア部を形成してラックギアと噛合させ
ることにより、入力軸の回転トルクは、出力軸の保持器を介してラックギアの直線運動に
変換される。
また、上記の参考例に記載のトラクションドライブ変速装置において、保持器に配設された前記転動体を前記出力軸を設けた内輪と前記入力軸を設けた外輪との間に介在させ、前記内輪に前記予圧調整手段を設けるとともに、前記保持器に前記変速比可変機構を連結したことを特徴とするものであり、これにより、入力軸となる外輪のトルクは、転動体保持部に配設された転動体を介して出力軸となる内輪に伝達される。このとき、出力軸においては、予圧調整手段が入力軸のトルクに応じて転動体に作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構がトラクション入出力部材の保持器に連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。なお、内輪に設けられた出力軸に伝達トルク補助機構が連結されている場合には、出力軸の伝達トルクを増した大きな値のトルクが出力される。
本発明の請求項1に係るトラクションドライブ変速装置は、入力軸と出力軸との間に介在させた転動体のトラクションを利用し、前記入力軸の回転数を所望の変速比に変化させて前記出力軸から出力するとともに、前記入力軸側の第1段階変速部と前記出力軸側の第2段階変速部とを軸方向に左右対称に連結して2段階変速を行うトラクションドライブ変速装置であって、前記転動体の自転軸線が前記入力軸及び前記出力軸の軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、前記第1段階変速部は、第1保持器に配設された前記転動体が前記入力軸を設けた第1内輪と連結出力軸を設けた第1外輪との間に介在し、前記第2段階変速部は、第2保持器に配設された前記転動体が前記出力軸を設けた第2内輪と連結入力軸を設けた第2外輪との間に介在し、前記連結出力軸と前記連結入力軸との軸連結部に、前記第1段階変速部及び前記第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて前記転動体に付与する予圧を自動的に変化させる予圧調整手段を設けるとともに、前記第1保持器に回転数制御を行って前記変速比を変化させる変速比可変機構を連結し、前記第2保持器をハウジングに固定したことを特徴とするものである。
このようなトラクションドライブ変速装置によれば、傾斜配置された転動体に付与される予圧は、第1段階変速部及び第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段が調整したものとなる。また、差動式の変速比可変機構を備えているので、入出力軸の変速比を調整して任意に設定することができる。この場合、第1段変速部及び第2段変速部による2段階変速を行うので、トラクションドライブによる入出力関係は、同回転方向に1:1となる。
そして、第1段階変速部において、入力軸となる第1内輪のトルクは、第1保持器の転動体保持部に配設された転動体を介して連結出力軸となる第1外輪に伝達される。
この後、第2段階変速部においては、予圧調整手段を介して連結入力軸となる第2外輪に伝達されたトルクが、第2保持器の転動体保持部に配設された転動体を介して出力軸となる第2内輪に伝達される。このとき、軸連結部においては、予圧調整手段が連結出力軸のトルクに応じて第1段階変速部及び第2段階変速部の転動体に作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構がトラクション入出力部材の保持器に連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。なお、第2内輪に設けられた出力軸に伝達トルク補助機構が連結されている場合には、出力軸の伝達トルクを増した大きな値のトルクが出力される。
本発明の請求項2に係るトラクションドライブ変速装置は、入力軸と出力軸との間に介在させた転動体のトラクションを利用し、前記入力軸の回転数を所望の変速比に変化させて前記出力軸から出力するとともに、前記入力軸側の第1段階変速部と前記出力軸側の第2段階変速部とを軸方向に左右対称に連結して2段階変速を行うトラクションドライブ変速装置であって、前記転動体の自転軸線が前記入力軸及び前記出力軸の軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、前記第1段階変速部は、連結出力軸を備えている第1保持器に配設された前記転動体が前記入力軸を設けた第1内輪と第1外輪との間に介在し、前記第2段階変速部は、連結入力軸を備えている第2保持器に配設された前記転動体が前記出力軸を設けた第2内輪と第2外輪との間に介在し、前記連結出力軸と前記連結入力軸との軸連結部に、前記第1段階変速部及び前記第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて前記転動体に付与する予圧を自動的に変化させる予圧調整手段を設けるとともに、前記第1外輪に回転数制御を行って前記変速比を変化させる変速比可変機構を連結し、前記第2外輪をハウジングに固定したことを特徴とするものである。
このようなトラクションドライブ変速装置によれば、傾斜配置された転動体に付与される予圧は、第1段階変速部及び第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段が調整したものとなる。また、差動式の変速比可変機構を備えているので、入出力軸の変速比を調整して任意に設定することができる。この場合、第1段変速部及び第2段変速部による2段階変速を行うので、トラクションドライブによる入出力関係は、同回転方向に1:1となる。
そして、第1段階変速部において、入力軸となる第1内輪のトルクは、第1保持器の転動体保持部に配設された転動体を介して連結出力軸となる第1保持器に伝達される。
この後、第2段階変速部においては、予圧調整手段を介して連結入力軸となる第2保持器に伝達されたトルクが、第2保持器の転動体保持部に配設された転動体を介して出力軸となる第2内輪に伝達される。このとき、軸連結部においては、予圧調整手段が連結出力軸のトルクに応じて第1段階変速部及び第2段階変速部の転動体に作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構がトラクション入出力部材の外輪に連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。なお、第2内輪に設けられた出力軸に伝達トルク補助機構が連結されている場合には、出力軸の伝達トルクを増した大きな値のトルクが出力される。
本発明の請求項3に係るトラクションドライブ変速装置は、入力軸と出力軸との間に介在させた転動体のトラクションを利用し、前記入力軸の回転数を所望の変速比に変化させて前記出力軸から出力するとともに、前記入力軸側の第1段階変速部と前記出力軸側の第2段階変速部とを軸方向に左右対称に連結して2段階変速を行うトラクションドライブ変速装置であって、前記転動体の自転軸線が前記入力軸及び前記出力軸の軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、前記第1段階変速部は、前記入力軸を備えている第1保持器に配設された前記転動体が連結出力軸を設けた第1内輪と第1外輪との間に介在し、前記第2段階変速部は、前記出力軸を備えている第2保持器に配設された前記転動体が連結入力軸を設けた第2内輪と第2外輪との間に介在し、前記連結出力軸と前記連結入力軸との軸連結部に、前記第1段階変速部及び前記第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて前記転動体に付与する予圧を自動的に変化させる前記予圧調整手段を設けるとともに、前記第1外輪に回転数制御を行って前記変速比を変化させる前記変速比可変機構を連結し、前記第2外輪をハウジングに固定したことを特徴とするものである。
このようなトラクションドライブ変速装置によれば、傾斜配置された転動体に付与される予圧は、第1段階変速部及び第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段が調整したものとなる。また、差動式の変速比可変機構を備えているので、入出力軸の変速比を調整して任意に設定することができる。この場合、第1段変速部及び第2段変速部による2段階変速を行うので、トラクションドライブによる入出力関係は、同回転方向に1:1となる。
そして、第1段階変速部において、入力軸となる第1保持器のトルクは、第1保持器の転動体保持部に配設された転動体を介して連結出力軸となる第1内輪に伝達される。
この後、第2段階変速部においては、予圧調整手段を介して連結入力軸となる第2内輪に伝達されたトルクが、第2保持器の転動体保持部に配設された転動体を介して出力軸となる第2保持器に伝達される。このとき、軸連結部においては、予圧調整手段が連結出力軸のトルクに応じて第1段階変速部及び第2段階変速部の転動体に作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構がトラクション入出力部材の外輪に連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。なお、第2保持部に設けられた出力軸に伝達トルク補助機構が連結されている場合には、出力軸の伝達トルクを増した大きな値のトルクが出力される。
本発明の請求項4に係るトラクションドライブ変速装置は、入力軸と出力軸との間に介在させた転動体のトラクションを利用し、前記入力軸の回転数を所望の変速比に変化させて前記出力軸から出力するとともに、前記入力軸側の第1段階変速部と前記出力軸側の第2段階変速部とを軸方向に左右対称に連結して2段階変速を行うトラクションドライブ変速装置であって、前記転動体の自転軸線が前記入力軸及び前記出力軸の軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、前記第1段階変速部は、第1保持器に配設された前記転動体が連結出力軸を設けた第1内輪と前記入力軸を設けた第1外輪との間に介在し、前記第2段階変速部は、第2保持器に配設された前記転動体が連結入力軸を設けた第2内輪と前記出力軸を設けた第2外輪との間に介在し、前記連結出力軸と前記連結入力軸との軸連結部に、前記第1段階変速部及び前記第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて前記転動体に付与する予圧を自動的に変化させる前記予圧調整手段を設けるとともに、前記第1保持器に回転数制御を行って前記変速比を変化させる前記変速比可変機構を連結し、前記第2保持器をハウジングに固定したことを特徴とするものである。
このようなトラクションドライブ変速装置によれば、傾斜配置された転動体に付与される予圧は、第1段階変速部及び第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段が調整したものとなる。また、差動式の変速比可変機構を備えているので、入出力軸の変速比を調整して任意に設定することができる。この場合、第1段変速部及び第2段変速部による2段階変速を行うので、トラクションドライブによる入出力関係は、同回転方向に1:1となる。
そして、第1段階変速部において、入力軸となる第1外輪のトルクは、第1保持器の転動体保持部に配設された転動体を介して連結出力軸となる第1内輪に伝達される。
この後、第2段階変速部においては、予圧調整手段を介して連結入力軸となる第2内輪に伝達されたトルクが、第2保持器の転動体保持部に配設された転動体を介して出力軸となる第2外輪に伝達される。このとき、軸連結部においては、予圧調整手段が連結出力軸のトルクに応じて第1段階変速部及び第2段階変速部の転動体に作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構がトラクション入出力部材の保持器に連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。なお、第2外輪に設けられた出力軸に伝達トルク補助機構が連結されている場合には、出力軸の伝達トルクを増した大きな値のトルクが出力される。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のトラクションドライブ変速装置が、前記出力軸に回転力を付与して伝達トルクを増す伝達トルク補助機構を備えていることを特徴とするものである。
この場合、出力軸に伝達されたトルクは、伝達トルク補助機構の作用によって所望の値に増大したものが出力される。
参考例のトラクションドライブ変速装置は、入力軸と出力軸との間に介在させた転動体のトラクションを利用し、前記入力軸の回転数を所望の変速比に変化させて前記出力軸から出力するとともに、前記入力軸及び出力軸を連結して2段階変速を行うトラクションドライブ変速装置であって、前記転動体の自転軸線が前記入力軸及び前記出力軸の軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、前記転動体に付与する予圧を、第1段階変速部及び第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段と、前記転動体のトラクション入出力部材に連結され、該トラクション入出力部材の回転数制御を行って前記変速比を変化させる変速比可変機構とを備え、前記第1段階変速部及び前記第2段階変速部のトラクション入出力部材を連結して一体化するとともに、両変速部の変速比に差を設けたことを特徴とするものである。
このような参考例のトラクションドライブ変速装置によれば、転動体の自転軸線が入力軸及び出力軸の軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、転動体に付与する予圧を、第1段階変速部及び第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段と、転動体のトラクション入出力部材に連結され、該トラクション入出力部材の回転数制御を行って前記変速比を変化させる変速比可変機構とを備え、第1段階変速部及び第2段階変速部のトラクション入出力部材を連結して一体化するとともに、両変速部の変速比に差を設けたので、傾斜配置された転動体に付与される予圧は、第1段階変速部及び第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段が調整したものとなる。また、第1段変速部及び第2段変速部による2段階変速を行い、両変速部のトラクション入出力部材を一体化して変速比に差を設けたので、差動式の変速比可変機構により入出力軸の変速比を調整して任意に設定することができ、しかも、トラクションドライブによる入出力関係を同回転方向に1:1とすることができる。
上記参考例のトラクションドライブ変速装置において、前記入力軸を備えている第1保持器に配設された前記転動体を連結出力軸を設けた第1内輪と外輪連結部材との間に介在させた第1段階変速部と、前記出力軸を備えている第2保持器に配設された前記転動体を連結入力軸を設けた第2内輪と前記外輪連結部材との間に介在させた第2段階変速部とを備え、前記連結出力軸と前記連結入力軸との軸連結部に前記予圧調整手段を設けるとともに、前記外輪連結部材に前記変速比可変機構を連結したことを特徴とするものであり、これにより、第1段階変速部において、入力軸となる第1保持器のトルクは、第1保持器の転動体保持部に配設された転動体を介して連結出力軸となる第1内輪に伝達される。この後、第2段階変速部においては、予圧調整手段を介して連結入力軸となる第2内輪に伝達されたトルクが、第2保持器の転動体保持部に配設された転動体を介して出力軸となる第2保持器に伝達される。このとき、軸連結部においては、予圧調整手段が連結出力軸のトルクに応じて第1段階変速部及び第2段階変速部の転動体に作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、両変速部には変速比に差が設けられているので、変速比可変機構を外輪連結部材に連結して差動の回転制御を行うことにより、入出力軸の変速比を可変とすることができる。
上記の発明及び参考例に記載のトラクションドライブ変速装置において、前記予圧調整手段は、同一軸線上を回転するように配置された2部材の対向面間でトルク伝達を行うトルク伝達構造であって、前記対向面の間に、断面形状が傾斜面または曲面を形成する凹部を複数組設け、該凹部の空間に調圧カムを配設したものが好ましい。
また、上記の発明及び参考例に記載のトラクションドライブ変速装置において、前記変速比可変機構は、回転制御可能な駆動源を備えたウォームギアであることが好ましい。このウォームギアは、出力軸側から入力が入った場合のフェールセーフ機能を有している。
また、上記の発明及び参考例に記載のトラクションドライブ変速装置において、前記変速比可変機構は、前記入力軸及び前記出力軸と同軸に配設された中空モータを駆動源とする遊星式減速機構であることが好ましく、これにより、装置の外径寸法を小さくすることができる。
また、上記の発明及び参考例に記載のトラクションドライブ変速装置において、前記伝達トルク補助機構は、制御が容易な電動の駆動手段を備えたウォームギアであることが好ましい。
本発明の車両用操舵装置は、運転者のステアリング操作が、請求項1からのいずれか1項に記載のトラクションドライブ変速装置を介して車両の操舵輪に伝達されることを特徴とするものである。
このような車両用操舵装置によれば、操舵により発生する操舵軸のトルクは、予圧調整手段により転動体に作用する予圧が調整されるため、直進時のように操舵トルクが発生しない最小限の予圧から急激な操舵を行った場合の大きな予圧まで変動する。このため、転動体に対して、大きな予圧が継続して作用することを防止できる。また、変速比可変機構がトラクション入出力部材の保持器に連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができ、かつ、1段階変速のトラクションドライブ装置を採用すれば軸方向長さを短くでき、2段階変速のトラクションドライブ装置を採用すれば入出力関係が同回転方向に1:1となる。
さらに、出力軸に伝達トルクを付与する伝達トルク補助機構を備えている場合には、出力軸から出力される伝達トルクの増大により、運転者のステアリング操作力を軽減することができる。
上述した本発明によれば、同一軸線上を回転する2部材の対向面間に設けられ、断面形状が傾斜面または曲面を形成する複数の凹部間に調圧カムを配設した構成により、調圧カムを介して1次側(入力側)部材から2次側(出力軸側)部材にトルクを伝達できるとともに、この伝達トルクに応じて1次側部材から2次側部材に作用する軸方向の押圧力(スラスト荷重)が変化し、かつ、軸方向に短くコンパクトなトルク伝達構造を提供することができる。
上述したトルク伝達構造を採用したトラクションドライブ変速装置は、入出力軸間の伝達トルクに応じてトラクションドライブの転動体に作用する予圧(軸方向の押圧力)を変動させることができる。このため、入出力軸間の伝達トルクが変動するトラクションドライブ変速装置においては、転動体に常時大きな予圧が作用することはなく、従って、転動体の寿命を向上させることができる。この結果、入力軸から出力軸へ転動体を介してトルク伝達を行うトラクションドライブ変速装置においては、転動体の寿命向上により信頼性や耐久性が向上するという顕著な効果を得る。
また、差動式の変速比可変機構を備えているので、変速比可変機構を制御することにより、入力軸と出力軸との間に任意の変速比を得ることもできる。特に、入力軸及び出力軸と同軸に配設された中空モータを駆動源とする遊星式減速機構を採用すれば、外形寸法の小さいトラクションドライブ変速装置を提供することが可能になる。
また、出力軸に伝達トルクを付与する伝達トルク補助機構を備えている場合には、出力軸から出力される伝達トルクを所望の値に増大させて出力することができる。
また、上述したトラクションドライブ変速装置を備えた車両用操舵装置は、運転者が操舵を行わない停車時や直進走行時等には転動体に作用する予圧を最小とし、操舵に応じて発生する入力軸(操舵軸)側のトルク変動に応じて変化する予圧が転動体に作用するようにしたので、装置のコンパクト化とともに、転動体の寿命向上により操舵装置の信頼性や耐久性も向上するという顕著な効果が得られる。特に、入力軸及び出力軸と同軸に配設された中空モータを駆動源とする遊星式減速機構を採用した外形寸法の小さいトラクションドライブ変速装置は、設置スペースが狭く厳しい設置環境に適した車両用操舵装置の提供を可能にする。
さらに、差動方式の変速比可変機構を備えているので、入出力軸間の変速比を任意に変化させることができ、従って、操舵状況に応じた最適の変速比を適宜設定することができる。具体的には、縦列駐車時等の操舵時には変速比を大きくして少ない操舵量で大きな操舵角を得られるようにし、高速走行時等の操舵時には変速比を小さくして直進走行性を増すなど、変速比可変機構を制御して最適な変速比に設定すれば、操舵装置の操作性を向上させることができる。
また、出力軸に伝達トルクを付与する伝達トルク補助機構を備えている場合には、出力軸から出力される伝達トルクは所望の値に増大したものを出力することができる。従って、運転者のステアリング操作力を軽減し、操作性を向上させた車両用操舵装置を提供することができる。
本発明に係るトラクションドライブ変速装置について、参考例を示す断面図である。 図1のトラクションドライブ変速装置を組み込んだ車両用操舵装置の概略構成例を示す斜視図である。 図1のトラクションドライブ変速装置について、その第1変形例を示す断面図である。 図1のトラクションドライブ変速装置について、その第2変形例を示す断面図である。 図1のトラクションドライブ変速装置について、その第3変形例を示す断面図である。 図1のトラクションドライブ変速装置について、その第4変形例を示す断面図である。 図1のトラクションドライブ変速装置について、その第5変形例を示す断面図である。 本発明に係るトラクションドライブ変速装置について、第1の実施形態を示す断面図である。 図8のトラクションドライブ変速装置について、その第1変形例を示す断面図である。 図8のトラクションドライブ変速装置について、その第2変形例を示す断面図である。 図8のトラクションドライブ変速装置について、その第3変形例を示す断面図である。 図8のトラクションドライブ変速装置について、その参考例(変形例)を示す断面図である。 本発明に係るトラクションドライブ変速装置について、第2の実施形態を示す断面図である。 本発明に係るトラクションドライブ変速装置について、第3の実施形態を示す断面図である。 図14のトラクションドライブ変速装置について、その第1変形例を示す断面図である。 図14トラクションドライブ変速装置について、その第2変形例を示す断面図である。 図14のトラクションドライブ変速装置について、その参考例(変形例)を示す断面図である。 本発明に係るトラクションドライブ変速装置について、第4の実施形態を示す断面図である。 図18のトラクションドライブ変速装置について、その第1変形例を示す断面図である。 図18のトラクションドライブ変速装置について、その第2変形例を示す断面図である。 図18のトラクションドライブ変速装置について、その第3変形例を示す断面図である。
以下、本発明に係るトルク伝達機構、トラクションドライブ変速装置及び車両用操舵装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
<参考例>
図1は、本発明に係るトラクションドライブ変速装置の参考例を示す断面図である。このトラクションドライブ変速装置(以下、「変速装置」と呼ぶ)10は、入力軸Siと出力軸Soとの間に介在させた転動体Kのトラクションを利用し、入力軸Siの回転数を所望の変速比に変化させて出力軸Soから出力する機能を有している。
トラクションは、転がり滑り状態にある回転体として複数配設された転動体Kの接触部に作用する接線力であり、図示の例では、入力軸Siを設けた内輪20と、出力軸Soを設けた外輪30との間に、保持器40に保持された転動体Kを複数介在させてトラクションドライブ機構TRが構成されている。このトラクションドライブ機構TRは、内輪20及び外輪30と転動体Kとの接触面にできる油膜のレオロジー特性により、内輪20から転動体Kを介して外輪30にトルクを伝達することができる。このトルク伝達時において、転動体Kは自転しながら内輪20の外側を公転する。
トラクションドライブ機構TRは、変速装置10のハウジング11内に収納され、同一軸線上に配置された入力軸Si及び出力軸Soがハウジング11の両端部から外部に突出している。
内輪20は二分割構造とされ、同一軸線上を回転するように配置された2部材の対向面間でトルク伝達を行うため、調圧カム50が配設されている。すなわち、内輪20は入力軸部21と内輪部22とに分割され、入力軸部21及び内輪部22の対向面21a,22a間には、円柱形状とした調圧カム50を設置する凹部23が複数組設けられている。この凹部23は、対向面21a,22aの対称位置にそれぞれ設けられた一対の溝部が一組となって形成する空間であり、この空間内に調圧カム50が転がり滑り可能な状態で収納される。このような凹部23は、円周方向に等ピッチとなるよう軸中心から放射状に複数組設けられるが、この数は諸条件に応じて適宜選択すればよい。なお、図示の例では、円周方向に90度ピッチとした4組の凹部23が設けられ、各凹部23は、調圧カム50が互いに干渉しないよう軸中心から適当な距離を設けた位置にある。
また、凹部23は、傾斜面または曲面を形成する断面形状とされる。図示の例では、対向面21a,22aに各々断面形状を二等辺三角形とした溝部を設け、対向する一対の溝部を重ね合わせることで矩形断面形状の凹部23が形成されている。なお、凹部23を形成する溝部は、対向面21a,22aの対称位置に配設する必要はなく、対向面間に凹部を形成できればよい。
また、内輪20は、入力軸部21がハウジング11に軸受12を介して回動可能に支持され、ハウジング11の外部に突出する入力軸部21には、図示しないトルク発生源が連結される。なお、図中の符号13はオイルシール、14は入力軸部21を軸方向に押圧する板ばね、24は内輪部22の外周面に固着された内側リング部材である。
この結果、凹部23に設置された円柱形状の調圧カム50は、入力軸部21に入力を受けると、くさび効果により内輪部22を軸方向へ押す力、すなわちスラスト荷重を発生させる。このスラスト荷重は、入力軸部21に入力される軸トルクの大きさに応じて変化するものである。従って、同一軸線上を回転するように配置された入力軸部21及び出力軸部22の2部材が対向する面間に複数の凹部23を形成し、各凹部23に調圧カム50を配設してトルク伝達を行う構成により、入力軸部21に入力されるトルク変動に応じて、内輪部22に作用するスラスト荷重が変化するトルク伝達構造となる。このようなトルク伝達構造は、対向面21a,22a間に円柱形状の調圧カム50を介在させるものであるから、軸方向の延長を最小限に抑制できるトルク伝達構造となる。このようなトルク伝達構造は、トラクションドライブ機構TRにおいて、転動体Kに付与する予圧を入力軸Siのトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段として機能する。
保持器40は、略リング状とした本体41の内周に櫛状の転動体保持部42を備え、本体41が一対の軸受12を介してハウジング11に回動可能に支持された部材である。転動体保持部42に配置される転動体Kは、櫛部に挟持されて自転可能な円錐ころであり、その自転軸線は入力軸Si及び出力軸Soの軸線と直交しないように傾斜している。この転動体Kは、その内周側の面を転動可能に支持する内側リング部材24と、後述する外輪30の外輪部31に固着されて外周側の面を転動可能に支持する外側リング部材32とにより、両リング部材24,32間を転動体Kが自転しながら公転可能な円錐ころ軸受を構成している。
この円錐ころ軸受においては、転動体Kと内側リング部材24及び転動体Kと外側リング部材32の接触面に薄い油膜が形成されてトラクションドライブによるトルク伝達が行われる。なお、転動体Kを保持する転動体保持部42については、上述した櫛状に限定されることはなく、たとえば梯子状とするなど種々の変形例が可能である。
外輪30は、外輪部31と出力軸部33とが一体の部材であり、出力軸部33がハウジング11に軸受12を介して回動可能に支持されている。なお、ハウジング11の外部に突出する出力軸部33は、たとえば車両用操舵装置のラック&ピニオン装置のように、図示しない被駆動側の装置と連結されている。
また、外輪部33は、一端が開口する略リング状の部分であり、その内周面側には、上述した円錐ころ軸受を構成する外側リング部材32が固着されている。
上述した保持器40は、本体41の外周面に形成されたギア部41aを備えており、このギア部41aが変速比可変機構として機能するウォームギア55と噛合して連結されている。このウォームギア55は、図示しない電動機等の駆動源を備えており、所望の回転数に可変制御することができる。すなわち、ウォームギア55の回転数を制御することにより、円錐ころ軸受を構成する転動体Kの公転と一体に回転する保持器40の回転数が変化するので、入力軸Siと出力軸Soとの間の変速比を変化させる差動式の変速比可変機構となる。換言すれば、保持器40はトラクションによってトルク伝達を行うトラクションドライブ機構TRの構成要素であるから、転動体Kがトラクションの影響を受けて動作するトラクション入出力部材である保持器40にウォームギア55を連結して回転数制御を行えば、変速比を可変とした差動式の変速比可変機構となる。
このように構成された変速装置10は、入力軸Siにトルクの入力がない場合、軸方向の押圧力としては、板ばね14から受ける付勢のみであり、この付勢により転動体Kに付与される予圧(図中に矢印で示す)が最小値となる。この予圧は、転動体Kの自転軸線が入力軸Si及び出力軸Soの軸線と直交しないように傾斜しているため、軸方向の押圧力を成分として接触面に作用する力である。なお、このような板ばね14の付勢力は、入力軸Si等が軸方向に移動するのを阻止したり、あるいは、調圧カム50を凹部23内に保持しておくために必要となるものである。
入力軸Siにトルクを受けると、対向面21a,22a間の調圧カム50が入力トルクに応じて予圧を変化させる予圧調整機能を発揮するので、内輪部22から転動体Kに付与する予圧がトルクに比例して上昇する。この結果、内輪部22に固着された内側リング部材24と転動体Kとの間のトラクションにより、転動体Kは自転しながら保持器40と一体に内輪部22の外側を公転する。さらに、転動体Kと外輪部31に固着された外側リング部材32との間のトラクションにより、外輪部31にトルクが伝達されて出力軸Soが回転する。なお、この場合、出力軸Soの回転方向は入力軸Siと逆方向になる。
このとき、ウォームギア55が所望の回転数で回転することにより、噛合する保持器40の回転数、すなわち転動体Kの公転回転数が影響を受けて変化するので、この転動体Kとのトラクションにより回転する出力軸Soの回転数も同様の影響を受けて変化する。
従って、入力軸Siの回転数は、回転数の可変制御が可能なウォームギア55と連結されたトラクションドライブ機構TRを介して出力軸Soから出力する場合、ウォームギア55の回転数に応じて変化する所望の変速比を得ることができる。すなわち、入出力軸間の変速比は線形にならず、所定の範囲内で任意の変速比を選択して設定することが可能になる。
また、転動体Kに作用する予圧は、入力軸Siにトルクの入力がない場合、板ばね14の付勢に起因する最小値となるので、転動体Kに対して、トルク伝達時に発生する大きな予圧が常時作用するようなことはなく、従って、転動体Kの寿命を向上させることができる。
また、上述した予圧調整は、入力軸部21と内輪部22との間に円柱形状部材の調圧カム50を配設する構成により達成できるため、変速装置10が軸方向に延びて大型化することのないコンパクトな装置となる。
しかも、上述した構成の変速装置10は、必要となる軸受の数が比較的少なくてすむので、製造時の組立が容易である。また、同一条件で比較した場合、ウォームギア55の回転数が比較的低い領域で運転できるため、運転騒音を低く抑えることができ、さらに、転動体Kの面圧を比較的低く抑えたり、調圧カム50を配設する入力軸Siの伝達トルクも比較的低く設定できるので、寿命や耐久性の面で有利になる。
図2は、上述した変速装置10の適用例として、車両用操舵装置STの概要を示す斜視図である。
車両用操舵装置STは、車両の走行方向を操作して曲がるための装置であり、ハンドル60を回転させるステアリング操作により操舵輪61,61の向きを変化させることができる。ハンドル60の操作は、上部操舵軸62の回転トルクとして変速装置10に入力され、この変速装置10で変速された出力のトルクが下部操舵軸63に連結されたラック&ピニオン装置64を動作させる。この結果、ラック&ピニオン装置64に連結された図示省略のリンク機構がラックと連動し、操舵輪61,61の向きを所望の方向へ変化させることができる。
このような車両用操舵装置STにおいては、上部操舵軸62が変速装置10の入力軸Siと連結され、下部操舵軸63が変速装置10の出力軸Soに連結されている。
このため、ステアリング操作を行うと、ハンドル60の操作により発生したトルクが上部操舵軸62から入力軸Siに伝達され、変速装置10内で所望の変速比に変換されたトルクが出力軸Soから下部操舵軸63に伝達されてラック&ピニオン装置64を動作させることができる。
従って、ハンドル60が操作されていない場合、たとえば停車時や直進走行時等においては、上部操舵軸62及び入力軸Siにはトルクがないので、転動体Kに作用する予圧は最小となる。このため、転動体Kの寿命が向上し、車両用操舵装置STの耐久性や信頼性の向上に有効である。
また、たとえば縦列駐車等のように、低速走行時にハンドル60の操作量が大きくなる場合には、ウォームギア55の回転数を制御して変速比を増すと、少ないハンドル操作量で大きな操舵角を得ることができる。すなわち、入力軸Siの回転数が大きく増速されて出力軸Soから出力されるようにウォームギア55の回転数を調整すれば、小さなハンドル操作量(上部操舵軸62の回転数)が増速されて下部操舵軸63に出力されるので、ラック&ピニオン装置64のラック移動量を増して操舵輪61,61の向きを大きく変化させることができるため、車両用操舵装置STの操作性が向上する。
次に、上述した参考例に係る変速装置について、その第1変形例を図3に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で説明する変速装置10Aにおいては、入力軸Siを設けた内輪20Aが一体構造とされ、出力軸Soを設けた保持器40Aを2分割構造として接合面間に調圧カム50を配設するとともに、外輪30Aに変速比可変機構のウォームギア55を連結した点が上述した実施形態と異なっている。
すなわち、出力軸Soを備えている保持器40Aを保持部本体43と出力軸部44とに分割した二分割構造とし、保持部本体43に設けた櫛状の転動体保持部42に円錐ころの転動体Kを配設する。そして、保持部本体43と出力軸部44との対向面43a,44a間に、上述した予圧調整手段として機能する調圧カム50を配設する。
また、入力軸Siを設けた内輪20Aと外輪30Aとの間には、予圧(図中に矢印で示す)が作用するように転動体Kを介在させてトラクションによるトルク伝達を行い、内輪20Aと保持器40Aとの間には、スラスト軸受15を配設して相対的な回転を可能としている。さらに、変速比可変機構のウォームギア55は、外輪30Aの外周面に形成したギア部30aと噛合して連結されている。なお、図中の符号12は軸受、13はオイルシール、14は板ばね、16は円錐ころ軸受である。
このような構成の変速装置10Aでは、入力軸Siとなる内輪20Aのトルクは、転動体保持部42に配設された転動体Kを介して保持器40Aの出力軸Soとなる出力軸部44に伝達される。このとき、出力軸Soとなる保持器40Aにおいては、調圧カム50が入力軸Siのトルクに応じて転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。なお、この場合の予圧は、調圧カム50により調整され、保持部本体43からスラスト軸受15に作用するスラスト荷重fにより発生する。また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の外輪30Aのギア部30aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。
しかも、上述した構成の変速装置10Aは、入出力軸の回転方向が同じになるという利点を有している。また、同一条件で比較した場合、特に転動体Kの面圧をかなり低く抑えることができるため、寿命や耐久性の面で有利になる。
次に、上述した参考例に係る変速装置について、その第2変形例を図4に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で説明する変速装置10Bにおいては、入力軸Siを備えている保持器40Bに櫛状の転動体保持部42を設け、この転動体保持部42に配設された転動体Kを二分割構造とした内輪20Bと出力軸Soになる外輪30Bとの間に介在させ、内輪20Bの対向面間に予圧調整手段の調圧カム50を設けるとともに、変速比可変機構のウォームギア55を連結した構成とされる。
この場合、内輪20Bは内輪部22Bとギア形成軸部25とに二分割され、内輪部22B及びギア形成軸部25の対向面22b,25b間には、調圧カム50及び最小の予圧を規定するコイルバネ17が配設され、ギア形成部25の外周面に形成されたギア部25aは、変速比可変機構のウォームギア55と噛合して連結されている。
また、出力軸Soとなる外輪30Bの外周面にもギア部34が形成され、たとえばこのギア部34をラックギア70と噛合させて回転運動を直線運動に変換した出力を得るようにしてもよい。この場合、ギア部34を形成するのは、外輪30Bの側面でもよい。
なお、図中の符号12は軸受、13はオイルシール、15はスラスト軸受、16は円錐ころ軸受である。
このような構成の変速装置10Bでは、入力軸Siとなる保持器40Bのトルクは、転動体保持部42に配設された転動体Kを介して出力軸Soとなる外輪30Bに伝達される。このとき、内輪20Bにおいては、調圧カム50が入力軸Siのトルクに応じて転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構のウォームギア55は、トラクション入出力部材の内輪2Bを分割したギア形成部25のギア部25aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。
また、上述した構成の変速装置10Bは、入出力軸の回転方向が同じになるという利点を有するだけでなく、必要となる軸受の数が少なくてすむので、製造時の組立が容易である。また、同一条件で比較した場合、ウォームギア55の回転数が比較的低い領域で運転できるため、運転騒音を低く抑えることができ、さらに、転動体Kの面圧を比較的低く抑えたり、調圧カム50を配設する入力軸Siの伝達トルクも比較的低く設定できるので、寿命や耐久性の面でも有利になる。特に、ラックギア70を設けてラック&ピニオン機構を内蔵した構成にすれば、よりコンパクトな車両用操舵装置を可能にする。
次に、上述した参考例に係る変速装置について、その第3変形例を図5に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で説明する変速装置10Cにおいては、入力軸Siを備えている保持器40Cに櫛状の転動体保持部42を設け、この転動体保持部42に配設された転動体Kを、出力軸Soを設けた内輪20Cと外輪30Cとの間に介在させ、内輪20Cに予圧調整手段として調圧カム50を設けるとともに、外輪30Cに変速比可変機構としてウォームギア55を連結した構成とされる。
この場合の内輪20Cは、内輪部22Cと出力軸部26とに二分割され、内輪部22C及び出力軸部26の対向面22c,26c間には、調圧カム50及び最小の予圧を規定するコイルバネ17が配設されている。
このような構成の変速装置10Cでは、入力軸Siとなる保持器40Cのトルクは、転動体保持部42に配設された転動体Kを介して出力軸Soとなる内輪20Cの内輪部22Cに伝達される。このとき、内輪20Cにおいては、予調圧カム50が入力軸Siのトルクに応じて転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の外輪30Cに形成されたギア部30aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。
また、上述した構成の変速装置10Cは、入出力軸の回転方向が同じになるという利点を有するだけでなく、必要となる軸受の数が少なくてすむので、製造時の組立が容易である。特に、同一条件で比較した場合、ウォームギア55の回転数が低い領域で運転できるため、運転騒音を低く抑えることができる。
次に、上述した参考例に係る変速装置について、その第4変形例を図6に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で説明する変速装置10Dにおいては、出力軸Soとなる保持器40Dに櫛状の転動体保持部42を設け、この転動体保持部42に配設された転動体Kを二分割構造とした内輪20Dと入力軸Siを設けた外輪30Dとの間に介在させ、内輪20Dの対向面間に予圧調整手段の調圧カム50を設けるとともに、変速比可変機構のウォームギア55を連結した構成とされる。
この場合、内輪20Dは内輪部22Dとギア形成部25とに二分割され、内輪部22D及びギア形成部25の対向面22d,25d間には調圧カム50が配設され、ギア形成部25の外周面に形成されたギア部25aは、変速可変機構のウォームギア55と噛合して連結されている。
また、出力軸Soとなる保持器40Dの外周面にもギア部45が形成され、たとえばこのギア部45をラックギア70と噛合させて回転運動を直線運動に変換した出力を得るようにしてもよい。この場合のギア部45は、保持器40Dの側面に形成してもよい。
なお、図中の符号12は軸受、13はオイルシール、14は最小予圧を規定している板ばね、16は円錐ころ軸受である。
このような構成の変速装置10Dは、入力軸Siとなる外輪30Dのトルクは、転動体保持部42に配設された転動体Kを介して出力軸Soとなる保持器40Dに伝達される。
このとき、内輪20Dにおいては、調圧カム50が入力軸Siのトルクに応じて転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構のウォームギア55は、トラクション入出力部材の内輪20Dを分割したギア形成部25のギア部25aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。
また、上述した構成の変速装置10Dは、入出力軸の回転方向が同じになるという利点を有している。そして、同一条件で比較した場合、転動体Kの面圧を低く抑えたり、調圧カム50を配設する入力軸Siの伝達トルクも低く設定できるので、寿命や耐久性の面で極めて有利になる。なお、ラックギア70を設けてラック&ピニオン機構を内蔵した構成にすれば、よりコンパクトな車両用操舵装置を可能にする。
次に、上述した参考例に係る変速装置について、その第5変形例を図7に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で説明する変速装置10Eにおいては、保持器40Eに櫛状の転動体保持部42を設け、この転動体保持部42に配設された転動体Kを出力軸Soを設けた二分割構造の内輪20Eと入力軸Siを設けた外輪30Eとの間に介在させ、内輪20Eの対向面間に予圧調整手段として調圧カム50を設けるとともに、保持器40Eに変速比可変機構としてウォームギア55を連結した構成とされる。
この場合、内輪部20Eは内輪部22Eと出力軸部26とに二分割され、内輪部22E及び出力軸部26の対向面間22e,26eには、調圧カム50が配設されている。
このように構成された変速装置10Eでは、入力軸Siとなる外輪30Dのトルクは、転動体保持部42に配設された転動体Kを介して出力軸Soとなる内輪20Eの内輪部22Eに伝達される。このとき、出力軸Soとなる内輪20Eにおいては、予圧カム50が入力軸Siのトルクに応じて転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の保持器40Eに形成したギア部に連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。
また、上述した構成の変速装置10Cは、同一条件で比較した場合、ウォームギア55の回転数が比較的低い領域で運転できるため、運転騒音を低く抑えることができる。
<第1の実施形態>
続いて、本発明に係る変速装置の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態は、上述したトラクションドライブ変速の入出力を二組接続することにより、第1段階の変速とは逆の変速を第2段階で行う二段変速の構成としたものである。なお、上述した参考例及び実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図8に示す実施形態の変速装置10Fは、入力軸Siと出力軸Soとの間に介在させた転動体Kのトラクションを利用し、入力軸Siの回転数を所望の変速比に変化させて出力軸Soから出力するとともに、入力軸Si及び出力軸Soを左右対称に連結して2段階変速を行うように構成されている。
ハウジング11の両側に突出する入力軸Si及び出力軸Soは、軸方向において実質的に左右対称となるように連結した第1段階変速部TR1及び第2段階変速部TR2の内輪に設けられた軸部である。
第1段階変速部TR1は、第1保持器140の本体141に櫛状の転動体保持部142を設け、この転動体保持部142に配設した転動体Kを、入力軸Siを設けた第1内輪120と連結出力軸131を設けた第1外輪130との間に介在させた構成とされる。この場合においても、転動体保持部142は櫛状に限定されることはなく、梯子状など適宜選択することができる。
第2段階変速部TR2は、第2保持器240の本体241に櫛状の転動体保持部242を設け、この転動体保持部242に配設した転動体Kを、出力軸Soを設けた第2内輪220と連結入力軸231を設けた第2外輪230との間に介在させた構成とされる。この場合においても、転動体保持部242は櫛状に限定されることはなく、梯子状など適宜選択することができる。
なお、上述した転動体Kは、第1段階変速部TR1及び第2段階変速部TR2のいずれにおいても、自転軸線が入力軸Si及び出力軸Soの軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされる。
第1段階変速部TR1の連結出力軸131と、第2段階変速部TR2の連結入力軸231との端部端面を対向させて連結する軸連結部には、予圧調整手段として機能する調圧カム50が設けられている。この調圧カム50は、上述した第1の実施形態と同様に、軸連結部の対向面間に形成された凹部の空間に転がり滑り可能な状態で収納設置される。このような凹部は、円周方向に等ピッチとなるよう軸中心から放射状に複数組設けられるが、この数は諸条件に応じて適宜選択すればよい。
また、第1保持器140は、本体141の外周面に形成されたギア部141aを備えており、このギア部141aが変速比可変機構として機能するウォームギア55と噛合して連結されている。すなわち、この構成は、上記の参考例で説明したトラクションドライブ機構を、入出力軸が左右対称となるように組み合わせたものである。なお、第2保持器240は、ハウジング11に固定されてその一部を形成する不動の部材であり、図中の符号12は軸受、13はオイルシール、14は板ばねである。
このような変速装置10Fによれば、第1段階変速部TR1において、入力軸Siとなる第1内輪120のトルクは、第1保持器140の転動体保持部142に配設された転動体Kを介して、トラクションドライブにより連結出力軸131を備えた第1外輪130に伝達される。この後、第2段階変速部TR2においては、予圧調整手段として機能する調圧カム50を介して連結入力軸231を備えた第2外輪230にトルクが伝達され、第2保持器240の転動体保持部242に配設された転動体Kを介して出力軸Soとなる第2内輪220に伝達される。
このとき、連結出力部131と連結入力部231との間を調圧カム50を介して連結する軸連結部においては、調圧カム50が連結出力軸131のトルクに応じて第1段階変速部及び第2段階変速部の転動体に作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときには、板ばね14に規定される最小限の予圧に抑えることができる。また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の第1保持部140に形成されたギア部141aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を所望の値に可変とすることができる。
また、このような構成の変速装置10Fは、第1段階変速部TR1で変速した後、第2段階変速部TR2で逆向きの変速を行うので、たとえば第1段階変速部TR1で増速した後に第2段階変速部TR2で減速することとなり、マイクロトラクションによる入出力関係は1:1となる。このため、この装置を車両用操舵装置STに組み込む場合には、現状のラック&ピニオン装置64をそのまま生かして使用することができる。
また、上述した変速装置10Fは、同一条件で比較した場合、特にウォームギア55の回転数が低い領域で運転できるため、運転騒音を低く抑えることができる。さらに、使用する軸受の数が少ないので、組立が容易になるという利点を有している。
次に、上述した第1の実施形態に係る変速装置について、その第1変形例を図9に基づいて説明する。なお、上述した参考例及び実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で説明する変速装置10Gにおいては、連結出力軸143を備えている第1保持器140Aに櫛状の転動体保持部142を設け、この転動体保持部142に配設された転動体Kを、入力軸Siを設けた第1内輪120Aと第1外輪130Aとの間に介在させた第1段階変速部TR11と、連結入力軸243を備えている第2保持器240Aに櫛状の転動体保持部242を設け、この転動体保持部242に配設された転動体Kを、出力軸Soを設けた第2内輪220Aと第2外輪(ハウジング11に固定されて一体)との間に介在させた第2段階変速部TR21とを備えている。そして、連結出力軸143と連結入力軸243との軸連結部に予圧調整手段として機能する調圧カム50を設けるとともに、第1外輪130Aに形成したギア部30aに変速比可変機構のウォームギア55を連結した構成とされる。すなわち、この構成は、第1の実施形態で説明した第1変形例のトラクションドライブ機構を、入出力軸が左右対称となるように組み合わせたものである。
このような変速装置10Gによれば、第1段階変速部TR11において、入力軸Siとなる第1内輪120Aのトルクは、第1保持器140Aの転動体保持部142に配設された転動体Kを介して、トラクションドライブにより連結出力軸143を備えた第1保持器140Aに伝達される。この後、第2段階変速部TR21においては、予圧調整手段として機能する調圧カム50を介して連結入力軸243となる第2保持器240Aに伝達されたトルクが、第2保持器240Aの転動体保持部242に配設された転動体Kを介して、トラクションドライブにより出力軸Soとなる第2内輪220Aに伝達される。
このとき、連結出力軸143と連結入力軸243との間を調圧カム50を介して連結する軸連結部においては、調圧カム50が連結出力軸143のトルクに応じて第1段階変速部TR11及び第2段階変速部TR21の転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときには予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の第1外輪130Aに形成されたギア部30aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を所望の値に可変とすることができる。
また、このような構成の変速装置10Gは、第1段階変速部TR11で変速した後、第2段階変速部TR21で逆向きの変速を行うので、たとえば第1段階変速部TR11で増速した後に第2段階変速部TR21で減速することとなり、マイクロトラクションによる入出力関係は1:1となる。このため、この装置を車両用操舵装置STに組み込む場合には、現状のラック&ピニオン装置64をそのまま生かして使用することができる。
また、上述した変速装置10Gは、同一条件で比較した場合、ウォームギア55の回転数が比較的低い領域で運転できるため、運転騒音を低く抑えることができる。
次に、上述した第1の実施形態に係る変速装置について、その第2変形例を図10に基づいて説明する。なお、上述した参考例及び実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で説明する変速装置10Hにおいては、入力軸Siを備えている第1保持器140Bに櫛状の転動体保持部142を設け、この転動体保持部142に配設された転動体Kを、連結出力軸126を設けた第1内輪120Bと第1外輪130Bとの間に介在させた第1段階変速部TR12と、出力軸Soを備えている第2保持器240Bに櫛状の転動体保持部242を設け、この転動体保持部242に配設された転動体Kを、連結入力軸226を設けた第2内輪220Bとハウジング11に固定されて一体の第2外輪との間に介在させた第2段階変速部TR22とを備えている。そして、連結出力軸126と連結入力軸226との軸連結部に予圧調整手段として機能する調圧カム50を設けるとともに、第1外輪130Bに形成したギア部30aに変速比可変機構として機能するウォームギア55を連結した構成とされる。すなわち、この構成は、第1の実施形態で説明した第3変形例のトラクションドライブ機構を、入出力軸が左右対称となるように組み合わせたものである。
このような変速装置10Hによれば、第1段階変速部TR12において、入力軸Siとなる第1保持器140Bのトルクは、第1保持器140Bの転動体保持部142に配設された転動体Kを介して連結出力軸126を備えた第1内輪120Bに伝達される。
この後、第2段階変速部TR22においては、予圧調整手段として機能する調圧カム50を介して連結入力軸226を備えた第2内輪220Bにトルクが伝達され、さらに、第2保持器240Bの転動体保持部242に配設された転動体Kを介して、出力軸Soとなる第2保持器240Bにトルクが伝達される。
このとき、連結出力部126と連結入力部226との間を調圧カム50を介して連結する軸連結部においては、調圧カム50が連結出力軸126のトルクに応じて第1段階変速部TR12及び第2段階変速部TR22の転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときには予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の第1外輪130Bに形成されたギア部30aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を所望の値に可変とすることができる。
また、このような構成の変速装置10Hは、第1段階変速部TR12で変速した後、第2段階変速部TR22で逆向きの変速を行うので、たとえば第1段階変速部TR12で増速した後に第2段階変速部TR22で減速することとなり、マイクロトラクションによる入出力関係は1:1となる。このため、この装置を車両用操舵装置STに組み込む場合には、現状のラック&ピニオン装置64をそのまま生かして使用することができる。
また、上述した変速装置10Hは、比較的軸受の数が少ないため、組立が容易である。そして、同一条件で比較した場合、特に転動体Kの面圧を低く抑え、かつ、調圧カム50を配設する入力軸Siの伝達トルクも低く設定できるので、寿命や耐久性の面で極めて有利になる。
次に、上述した第1の実施形態に係る変速装置について、その第3変形例を図11に基づいて説明する。なお、上述した参考例及び実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で説明する変速装置10Iにおいては、第1保持器140Cに櫛状の転動体保持部142を設け、この転動体保持部142に配設された転動体Kを、連結出力軸126を設けた第1内輪120Cと入力軸Siを設けた第1外輪130Cとの間に介在させた第1段階変速部TR13と、第2保持器240Cに櫛状の転動体保持部242を設け、この転動体保持部242に配設された転動体Kを、連結入力軸226を設けた第2内輪220Cと出力軸Soを設けた第2外輪230Cとの間に介在させた第2段階変速部TR23とを備えている。そして、連結出力軸126と連結入力軸226との軸連結部に予圧調整手段として機能する調圧カム50を設けるとともに、第1保持器140Cに形成したギア部41aに変速比可変機構として機能するウォームギア55を連結した構成とされる。すなわち、この構成は、第1の実施形態で説明した第5変形例のトラクションドライブ機構を、入出力軸が左右対称となるように組み合わせたものである。
このような変速装置10Iによれば、第1段階変速部TR13において、入力軸Siとなる第1外輪130Cのトルクは、第1保持器140Cの転動体保持部142に配設された転動体Kを介して連結出力軸126を備えた第1内輪120Cに伝達される。この後、第2段階変速部TR23においては、予圧調整手段として機能する調圧カム50を介して連結入力軸226を備えた第2内輪220Cに伝達されたトルクが、ハウジング11に固定されて一体に形成された不動の第2保持器に設けられている転動体保持部242に配設された転動体Kを介して、出力軸Soとなる第2外輪230Cに伝達される。
このとき、連結出力軸126と連結入力軸226との間が調圧カム50を介して連結される軸連結部においては、調圧カム50が連結出力軸126のトルクに応じて第1段階変速部TR13及び第2段階変速部TR23の転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときには予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の第1保持器140Cに形成されたギア部41aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を所望の値に可変とすることができる。
また、このような構成の変速装置10Iは、第1段階変速部TR13で変速した後、第2段階変速部TR23で逆向きの変速を行うので、たとえば第1段階変速部TR13で増速した後に第2段階変速部TR23で減速することとなり、マイクロトラクションによる入出力関係は1:1となる。このため、この装置を車両用操舵装置STに組み込む場合には、現状のラック&ピニオン装置64をそのまま生かして使用することができる。
また、上述した変速装置10Iは、同一条件で比較した場合、転動体Kの面圧を低く抑え、かつ、調圧カム50を配設する入力軸Siの伝達トルクも低く設定できるので、寿命や耐久性の面で有利になる。さらに、ウォームギア55の回転数が比較的低い領域で運転できるため、運転騒音を低く抑えることもできる。
次に、上述した第1の実施形態に係る変速装置について、その参考例(変形例)を図12に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例で説明する変速装置10Jは、これまで説明したウォームギア55による変速比可変機構に代えて、中空モータMを駆動源とする遊星式減速機構80を採用した構成が異なっている。また、変速装置10Jは、入力軸Siを備えている第1保持器140Dに櫛状の転動体保持部142を設け、この転動体保持部142に配設された転動体Kを、連結出力軸126を設けた第1内輪120Dと第1外輪130Dとの間に介在させた第1段階変速部TR14と、出力軸Soを備えている第2保持器240Dに櫛状の転動体保持部242を設け、この転動体保持部242に配設された転動体Kを、連結入力軸226を設けた第2内輪220Dとハウジング11に固定されて一体の第2外輪との間に介在させた第2段階変速部TR24とを備えている。そして、連結出力軸126と連結入力軸226との軸連結部に予圧調整手段として機能する調圧カム50を設けるとともに、第1外輪130Dに変速比可変機構として機能する遊星式減速機構80を連結した構成とされる。すなわち、第4変形例の構成は、上述した第2変形例の変速装置10Hにおいて、変速可変機構のウォームギア55を遊星式減速機構80に変更したものである。なお、図中の符号Cは、クラッチ等を包含するロック機構部である。
遊星式減速機構80は、入力軸Si及び出力軸Soと同軸に配設された中空モータMを駆動源とし、中空モータ軸81に設けた太陽ローラ82と、複数の遊星ローラ83と、遊星ローラ83の外周側に配設されたリングローラ84とを具備して構成される。
第1保持器140Dに設けられた入力軸Siは、中空モータ軸81の内部を貫通して配設されている。この中空モータ軸81は、転動体保持部142側の端部外周面にギア部を形成した太陽ローラ82が設けられている。太陽ローラ82の外周には、ギア部と噛合する複数個の遊星ローラ83が周方向へ等ピッチで配設され、さらに、各遊星ローラ83の外周側には、第1外輪130Dとスプライン結合等により連結されたリングローラ84が配設されている。このリングローラ84は、内周面に形成されたギア部が遊星ローラ83と噛合している。
このような構成の遊星式減速機構80は、中空モータMを駆動させることにより中空モータ軸81と一体に太陽ローラ82が回転すると、太陽ローラ82に形成したギア部の歯数、遊星ローラ83の歯数及びリングローラ84に形成したギア部の歯数に応じて、太陽ローラ82の回転数が変速(減速)されてリングローラ84に伝達される。リングローラ84の回転は、一体に連結されたトラクション入出力部材の第1外輪130Dを回転させるので、上述した変速可変機構のウォームギア55と同様に、差動の回転制御を行って入出力軸の変速比を所望の値に可変とすることができる。
すなわち、リングローラ84及び第1外輪130Dに伝達される回転数は、中空モータMの回転数制御により変更可能であるから、差動の回転制御を行って入出力軸の変速比を容易に設定することができる。
また、中空モータMを使用し、中空モータ軸81内を入出力軸が貫通する構成としたので、たとえばウォームギア55のように周方向へ突出する部材をなくすか、あるいは突出量を最小にすることができるので、変速装置10Jの外径寸法を小さくしてコンパクト化することができる。このように外形寸法の小さい変速装置10Jは、たとえば設置スペースの確保が困難な車両用操舵装置STの変速装置として好適である。
このような変速装置10Jによれば、第1段階変速部TR14において、入力軸Siとなる第1保持器140Dのトルクは、第1保持器140Dの転動体保持部142に配設された転動体Kを介して連結出力軸126を備えた第1内輪120Bに伝達される。
この後、第2段階変速部TR24においては、予圧調整手段として機能する調圧カム50を介して連結入力軸226を備えた第2内輪220Dにトルクが伝達され、さらに、第2保持器240Dの転動体保持部242に配設された転動体Kを介して、出力軸Soとなる第2保持器240Bにトルクが伝達される。
このとき、連結出力部126と連結入力部226との間を調圧カム50を介して連結する軸連結部においては、調圧カム50が連結出力軸126のトルクに応じて第1段階変速部TR14及び第2段階変速部TR24の転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときには予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構の遊星式減速機構80がトラクション入出力部材の第1外輪130Dに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を所望の値に可変とすることができる。
また、このような構成の変速装置10Jは、第1段階変速部TR14で変速した後、第2段階変速部TR24で逆向きの変速を行うので、たとえば第1段階変速部TR14で増速した後に第2段階変速部TR24で減速することとなり、マイクロトラクションによる入出力関係は1:1となる。このため、この装置を車両用操舵装置STに組み込む場合には、現状のラック&ピニオン装置64をそのまま生かして使用することができる。
なお、上述した遊星式減速機構80は、図12に示した構成の変速装置10Jに限定されることはなく、上述した各実施形態及び変形例のウォームギア55に代えて採用することが可能である。
<第2の実施形態>
続いて、本発明に係る変速装置の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態は、上述したトラクションドライブ変速の入出力を左右対称に二組接続することにより、第1段階の変速とは逆の変速を同じ変速比で第2段階に行う二段変速の構成とした第1の実施形態とは異なり、逆の変速を異なる変速比で行う二段変速の構成としたものである。なお、上述した参考例及び実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図13に示す実施形態の変速装置10Kは、入力軸Siと出力軸Soとの間に介在させた転動体Kのトラクションを利用し、入力軸Siの回転数を所望の変速比に変化させて出力軸Soから出力するとともに、入力軸Si及び出力軸Soを連結して2段階変速を行うように構成されている。すなわち、この変速装置10Kは、第1段階変速部TR15及び第2段階変速部TR25のトラクション入出力部材を連結して一体化するとともに、両変速部TR15,TR25の変速比に差を設けたことに特徴があり、他の構成については、上述した図11の変速装置10Jと実質的に同じである。
ハウジング11の両側に突出する入力軸Si及び出力軸Soは、軸方向に連結された第1変速部TR15及び第2段階変速部TR25の保持器に設けられた軸部である。
変速装置10Kは、入力軸Siを備えている第1保持器140Eに櫛状の転動体保持部142Aを設け、この転動体保持部142Aに配設された転動体Kを、連結出力軸126Aを設けた第1内輪120Eと外輪連結部材90との間に介在させた第1段階変速部TR15と、出力軸Soを備えている第2保持器240Eに櫛状の転動体保持部242Aを設け、この転動体保持部242Aに配設された転動体Kを、連結入力軸226Aを設けた第2内輪220Eと外輪連結部材90との間に介在させた第2段階変速部TR25とを備えている。そして、連結出力軸126Aと連結入力軸226Aとの軸連結部に予圧調整手段として機能する調圧カム50を設けるとともに、外輪連結部材90に変速比可変機構として機能する遊星式減速機構80を連結した構成とされる。
すなわち、この実施形態では、トラクション入出力部材となる第1外輪及び第2外輪に相当する部材として、第1段階変速部TR15及び第2段階変速部TR25を外輪連結部材90で連結して一体化し、この外輪連結部材90に変速可変機構の遊星式減速機構80を連結するとともに、両変速部TR15,TR25の内輪軌跡径等が異なるものを組み合わせて変速比に差を設けた構成とされる。なお、この場合、両変速部TR15,TR25の変速比に設ける差は若干でよい。
遊星式減速機構80は、入力軸Si及び出力軸Soと同軸に配設された中空モータMを駆動源とし、中空モータ軸81に設けた太陽ローラ82と、複数の遊星ローラ83と、遊星ローラ83の外周側に配設されたリングローラ84とを具備して構成される。
第1保持器140Eに設けられた入力軸Siは、中空モータ軸81の内部を貫通して配設されている。この中空モータ軸81は、転動体保持部142側の端部外周面にギア部を形成した太陽ローラ82が設けられている。太陽ローラ82の外周には、ギア部と噛合する複数個の遊星ローラ83が周方向へ等ピッチで配設され、さらに、各遊星ローラ83の外周側には、外輪連結部材90とスプライン結合等により連結されたリングローラ84が配設されている。このリングローラ84は、内周面に形成されたギア部が遊星ローラ83と噛合している。
このような構成の遊星式減速機構80は、中空モータMを駆動させることにより中空モータ軸81と一体に太陽ローラ82が回転すると、太陽ローラ82に形成したギア部の歯数、遊星ローラ83の歯数及びリングローラ84に形成したギア部の歯数に応じて、太陽ローラ82の回転数が変速(減速)されてリングローラ84に伝達される。リングローラ84の回転は、一体に連結されたトラクション入出力部材の外輪連結部材90を回転させるとともに、両変速部TR15,TR25の変速比には差があるので、差動の回転制御を行って入出力軸の変速比を所望の値に可変とすることができる。
すなわち、リングローラ84及び外輪連結部材90に伝達される回転数は、中空モータMの回転数制御により変更可能であるから、差動の回転制御を行って入出力軸の変速比を容易に設定することができる。
また、中空モータMを使用し、中空モータ軸81内を入出力軸が貫通する構成としたので、たとえばウォームギア55のように周方向へ突出する部材をなくすか、あるいは突出量を最小にすることができるので、変速装置10Kの外径寸法を小さくしてコンパクト化することができる。このように外形寸法の小さい変速装置10Kは、たとえば設置スペースの確保が困難な車両用操舵装置STの変速装置として好適である。
なお、上述した構成の変速装置10Kは、外形寸法は大きくなるものの、変速比可変機構としてウォームギア55を使用してもよい。
以上説明したように、参考例に示した変速装置は、転動体Kの自転軸線が入力軸Si及び出力軸Soの軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、かつ、転動体Kに付与する予圧を入力軸Siのトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段の調圧カム50と、転動体Kのトラクション入出力部材に連結され、該トラクション入出力部材の回転数制御を行って変速比を変化させる差動式の変速比可変機構のウォームギア55とを備えているので、傾斜配置された転動体に付与される予圧は、入力軸Siのトルクに応じて調圧カム50が調整したものとなる。すなわち、調圧カム50が伝達トルクに応じたスラスト荷重を発生させ、このスラスト荷重が転動体Kを軸方向に押圧する予圧となる。また、差動式の変速比可変機構を備えているので、入出力軸の変速比を調整して任意に設定することができる。
また、本発明における第1の実施形態に示した減速装置は、転動体Kの自転軸線が入力軸Si及び出力軸Soの軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、かつ、転動体Kに付与する予圧を、第1段階変速部及び第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段の調圧カム50と、転動体Kのトラクション入出力部材に連結され、該トラクション入出力部材の回転数制御を行って変速比を変化させる変速比可変機構のウォームギア55とを備えているので、傾斜配置された転動体Kに付与される予圧は、第1段階変速部及び第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて自動的に変化させる調圧カム50が調整したものとなる。また、差動式の変速比可変機構を備えているので、入出力軸の変速比を調整して任意に設定することができる。この場合、第1段変速部及び第2段変速部による2段階変速を行うので、トラクションドライブによる入出力関係は、同回転方向に1:1となる。
特に、変速比可変機構として中空モータで駆動する遊星式減速機構を採用すれば、径方向の外径寸法を小さくして小型化することができる。
<第3の実施形態>
図14は、本発明に係るトラクションドライブ変速装置の第3の実施形態を示す断面図である。以下に説明する各実施形態は、上述した変速装置が、出力軸Soに回転力を付与して伝達トルクを増す伝達トルク補助機構を備えたものである。なお、上述した各実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変速装置10Lは、上述した参考例(図1)で説明した変速装置10の出力軸部33に、軸受12の間に位置するギア部35を追加して設けたものである。このギア部35は、後述する伝達トルク補助機構と噛合する部分である。なお、ハウジング11の外部に突出する出力軸部33は、たとえば車両用操舵装置のラック&ピニオン装置のように、図示しない被駆動側の装置と連結されている。
出力軸Soとなる外輪30のギア部35には、出力軸Soに回転力を付与して伝達トルクを増す伝達トルク補助機構として機能するように、ウォームギア55Aが噛合して連結されている。このウォームギア55Aは、可変制御可能な電動モータ等の駆動手段により駆動され、噛合する出力軸So側を回転させてトラクションドライブ機構TRの出力トルクに所望の回転トルクを付与して増大させるものである。
すなわち、出力軸Soから出力される伝達トルクは、入力軸Siからトラクションドライブ機構TRを介して出力されるトルクに、ウォームギア55Aから所望の回転トルクを付与されて増大した大きな出力トルクとなる。
このように構成された変速装置10Lは、上述した参考例で説明した変速装置10の機能に加えて、伝達トルク補助機能を備えたものとなる。すなわち、出力軸Soに対してウォームギア55Aが所望の回転力を付与すると、トラクションドライブ機構TRを介して出力される伝達トルクは、付与された回転力に応じて最終的に出力軸Soから出力するトルクが増大する。
従って、入力軸Siの入力トルクが小さくても、諸条件に応じてウォームギア55Aを制御して所望の回転力を付与することにより、最終的な出力トルクを増して大きくする伝達トルク補助機能(パワーアシスト機能)を備えた変速装置10Lとなる。
また、このような変速装置10Lを車両用操舵装置STに採用してステアリング操作を行うと、ハンドル60の操作により発生したトルクが上部操舵軸62から入力軸Siに伝達され、変速装置10L内で所望の変速比に変換されるとともに、伝達トルクに所望の回転トルクを付与して増大させた出力トルクが出力軸Soから下部操舵軸63に伝達されてラック&ピニオン装置64を動作させることができる。
従って、ハンドル60が操作されていない場合、たとえば停車時や直進走行時等においては、上部操舵軸62及び入力軸Siにはトルクがないので、転動体Kに作用する予圧は最小となる。このため、転動体Kの寿命が向上し、車両用操舵装置STの耐久性や信頼性の向上に有効である。
また、たとえば縦列駐車等のように、低速走行時にハンドル60の操作量が大きくなる場合には、ウォームギア55の回転数を制御して変速比を増すと、少ないハンドル操作量で大きな操舵角を得ることができる。すなわち、入力軸Siの回転数が大きく増速されて出力軸Soから出力されるようにウォームギア55の回転数を調整すれば、小さなハンドル操作量(上部操舵軸62の回転数)が増速されて下部操舵軸63に出力されるので、ラック&ピニオン装置64のラック移動量を増して操舵輪61,61の向きを大きく変化させることができるため、車両用操舵装置STの操作性が向上する。
また、走行状態等の諸条件に応じてウォームギア55Aから付与する回転トルクを適宜制御すれば、たとえば高速走行時には回転トルクの付与をなくすか最小とすることにより、ハンドル60の操作を重くして直進走行性を増し、あるいは、縦列駐車時等のように低速でハンドル60を操作する場合には、回転トルクを最大とすることにより操作を軽くして操作性を向上させることが可能になる。
次に、上述した第3の実施形態に係る変速装置について、その第1変形例を図15に基づいて説明する。なお、上述した参考例及び実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で説明する変速装置10Mにおいては、入力軸Siを設けた内輪20Aが一体構造とされ、出力軸Soを設けた保持器40Aを2分割構造として接合面間に調圧カム50を配設するとともに、外輪30Aに変速比可変機構のウォームギア55を連結し、保持器40Aの出力軸部分に伝達トルク補助機構のウォームギア55Aを連結した点が上述した実施形態と異なっている。
すなわち、出力軸Siを備えている保持器40Aを保持部本体43と出力軸部44とに分割した二分割構造とし、保持部本体43に設けた櫛状の転動体保持部42に円錐ころの転動体Kを配設する。そして、保持部本体43と出力軸部44との対向面43a,44a間に、上述した予圧調整手段として機能する調圧カム50を配設する。
また、入力軸Siを設けた内輪20Aと外輪30Aとの間には、予圧(図中に矢印で示す)が作用するように転動体Kを介在させてトラクションによるトルク伝達を行い、内輪20Aと保持器40Aとの間には、スラスト軸受15を配設して相対的な回転を可能としている。さらに、変速比可変機構のウォームギア55は、外輪30Aの外周面に形成したギア部30aと噛合して連結され、伝達トルク補助機構のウォームギア55Aは、出力軸部44に取り付けたギア部35と噛合して連結されている。なお、図中の符号12は軸受、13はオイルシール、14は板ばね、16は円錐ころ軸受である。
このような構成の変速装置10Mでは、入力軸Siとなる内輪20Aのトルクは、転動体保持部42に配設された転動体Kを介して保持器40Aの出力軸Soとなる出力軸部44に伝達される。このとき、出力軸Soとなる保持器40Aにおいては、調圧カム50が入力軸Siのトルクに応じて転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。なお、この場合の予圧は、調圧カム50により調整され、保持部本体43からスラスト軸受15に作用するスラスト荷重により発生する。
また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の外輪30Aのギア部30aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができ、さらに、伝達トルク補助機構のウォームギア55Aが出力軸部44と一体に回転するギア部35に連結されて所望の回転トルクを付与するので、出力軸Soから出力される伝達トルクを増大させることができる。
しかも、上述した構成の変速装置10Mは、入出力軸の回転方向が同じになるという利点を有している。また、同一条件で比較した場合、特に転動体Kの面圧をかなり低く抑えることができるため、寿命や耐久性の面で有利になる。
次に、上述した第3の実施形態に係る変速装置について、その第2変形例を図16に基づいて説明する。なお、上述した参考例及び実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で説明する変速装置10Nにおいては、入力軸Siを備えている保持器40Bに櫛状の転動体保持部42を設け、この転動体保持部42に配設された転動体Kを、出力軸Soを設けた内輪20Bと外輪30Bとの間に介在させ、内輪20Bに予圧調整手段として調圧カム50を設けるとともに、外輪30Bに変速比可変機構としてウォームギア55を連結し、内輪20Bの出力軸部分(後述する出力軸部26)に伝達トルク補助機構のウォームギア55Aを連結した構成とされる。なお、図中の符号12は軸受、13はオイルシール、14は板ばね、15はスラスト軸受、16は円錐ころ軸受である。
この場合の内輪20Bは、内輪部22Bと出力軸部26とに二分割され、内輪部22B及び出力軸部26の対向面22b,26b間には、調圧カム50が配設されている。
このような構成の変速装置10Nでは、入力軸Siとなる保持器40Bのトルクは、転動体保持部42に配設された転動体Kを介して出力軸Soとなる内輪20Bの内輪部22Bに伝達される。このとき、内輪20Bにおいては、調圧カム50が入力軸Siのトルクに応じて転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の外輪30Bに形成されたギア部30aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。
さらに、伝達トルク補助機構のウォームギア55Aが、内輪20Bの出力軸部26と一体に回転するギア部35に連結されて所望の回転トルクを付与するので、出力軸Soから出力される伝達トルクを増大させることができる。
また、上述した構成の変速装置10Nは、入出力軸の回転方向が同じになるという利点を有するだけでなく、必要となる軸受の数が少なくてすむので、製造時の組立が容易である。特に、同一条件で比較した場合、ウォームギア55の回転数が低い領域で運転できるため、運転騒音を低く抑えることができる。
次に、上述した第3の実施形態に係る変速装置について、その参考例(変形例)を図17に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例で説明する変速装置10Pにおいては、保持器40Cに櫛状の転動体保持部42を設け、この転動体保持部42に配設された転動体Kを出力軸Soを設けた二分割構造の内輪20Cと入力軸Siを設けた外輪30Cとの間に介在させ、内輪20Cの対向面間に予圧調整手段として調圧カム50を設けるとともに、保持器40Cに変速比可変機構としてウォームギア55を連結し、内輪20Cの出力軸部分(後述する出力軸部26)に伝達トルク補助機構のウォームギア55Aを連結した構成とされる。なお、図中の符号12は軸受、13はオイルシール、14は板ばね、16は円錐ころ軸受である。
この場合、内輪部20Cは内輪部22Cと出力軸部26とに二分割され、内輪部22C及び出力軸部26の対向面22c,26c間には、調圧カム50が配設されている。
このように構成された変速装置10Pでは、入力軸Siとなる外輪30Cのトルクは、転動体保持部42に配設された転動体Kを介して出力軸Soとなる内輪20Cの内輪部22Cに伝達される。このとき、出力軸Soとなる内輪20Cにおいては、予圧カム50が入力軸Siのトルクに応じて転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときは予圧を最小限に抑えることができる。また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の保持器40Cに形成したギア部41aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を可変とすることができる。
さらに、伝達トルク補助機構のウォームギア55Aが、内輪20Cの出力軸部26と一体に回転するギア部35に連結されて所望の回転トルクを付与するので、出力軸Soから出力される伝達トルクを増大させることができる。
また、上述した構成の変速装置10Pは、同一条件で比較した場合、ウォームギア55の回転数が比較的低い領域で運転できるため、運転騒音を低く抑えることができる。
<第4の実施形態>
続いて、本発明に係る変速装置の第4の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態は、上述したトラクションドライブ変速の入出力を二組接続することにより、第1段階の変速とは逆の変速を第2段階で行う二段変速の構成としたものである。なお、上述した参考例及び実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図18に示す実施形態の変速装置10Qは、入力軸Siと出力軸Soとの間に介在させた転動体Kのトラクションを利用し、入力軸Siの回転数を所望の変速比に変化させて出力軸Soから出力するとともに、入力軸Si及び出力軸Soを左右対称に連結して2段階変速を行うように構成されている。
ハウジング11の両側に突出する入力軸Si及び出力軸Soは、軸方向において実質的に左右対称となるように連結した第1段階変速部TR1及び第2段階変速部TR2の内輪に設けられた軸部である。
第1段階変速部TR1は、第1保持器140の本体141に櫛状の転動体保持部142を設け、この転動体保持部142に配設した転動体Kを、入力軸Siを設けた第1内輪120と連結出力軸131を設けた第1外輪130との間に介在させた構成とされる。この場合においても、転動体保持部142は櫛状に限定されることはなく、梯子状など適宜選択することができる。
第2段階変速部TR2は、第2保持器240の本体部分(ハウジング11の一部)に櫛状の転動体保持部242を設け、この転動体保持部242に配設した転動体Kを、出力軸Soを設けた第2内輪220と連結入力軸231を設けた第2外輪230との間に介在させた構成とされる。この場合においても、転動体保持部242は櫛状に限定されることはなく、梯子状など適宜選択することができる。
なお、上述した転動体Kは、第1段階変速部TR1及び第2段階変速部TR2のいずれにおいても、自転軸線が入力軸Si及び出力軸Soの軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされる。
第1段階変速部TR1の連結出力軸131と、第2段階変速部TR2の連結入力軸231との端部端面を対向させて連結する軸連結部には、予圧調整手段として機能する調圧カム50が設けられている。この調圧カム50は、上述した第1の実施形態と同様に、軸連結部の対向面間に形成された凹部の空間に転がり滑り可能な状態で収納設置される。このような凹部は、円周方向に等ピッチとなるよう軸中心から放射状に複数組設けられるが、
この数は諸条件に応じて適宜選択すればよい。
また、第1保持器140は、本体141の外周面に形成されたギア部141aを備えており、このギア部141aが変速比可変機構として機能するウォームギア55と噛合して連結されている。すなわち、この構成は、第1の実施形態で説明したトラクションドライブ機構を、入出力軸が左右対称となるように組み合わせたものである。
さらに、出力軸Soを備えた第2内輪220には、一体に回転するギア部35が設けられている。このギア部35は、伝達トルク補助機構のウォームギア55Aと噛合して連結され、ウォームギア55Aから出力軸Soに所望の回転トルクを付与して出力される伝達トルクを増大させる機能を有している。なお、第2保持器240は、ハウジング11に固定されてその一部を形成する不動の部材であり、図中の符号12は軸受、13はオイルシール、14は板ばねである。
このような変速装置10Qによれば、第1段階変速部TR1において、入力軸Siとなる第1内輪120のトルクは、第1保持器140の転動体保持部142に配設された転動体Kを介して、トラクションドライブにより連結出力軸131を備えた第1外輪130に伝達される。この後、第2段階変速部TR2においては、予圧調整手段として機能する調圧カム50を介して連結入力軸231を備えた第2外輪230にトルクが伝達され、第2保持器240の転動体保持部242に配設された転動体Kを介して出力軸Soとなる第2内輪220に伝達される。
このとき、連結出力部131と連結入力部231との間を調圧カム50を介して連結する軸連結部においては、調圧カム50が連結出力軸131のトルクに応じて第1段階変速部及び第2段階変速部の転動体に作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときには、板ばね14に規定される最小限の予圧に抑えることができる。また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の第1保持部140に形成されたギア部141aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を所望の値に可変とすることができる。
さらに、上述した変速装置10Qにおいては、伝達トルク補助機構のウォームギア55Aが、出力軸Soを備えている段2内輪220と一体に回転するギア部35に連結されているので、出力軸Soにはウォームギア55Aの回転に応じて所望の回転トルクが付与されるため、出力軸Soから出力される伝達トルクを増大させることができる。
また、このような構成の変速装置10Qは、第1段階変速部TR1で変速した後、第2段階変速部TR2で逆向きの変速を行うので、たとえば第1段階変速部TR1で増速した後に第2段階変速部TR2で減速することとなり、マイクロトラクションによる入出力関係は1:1となる。このため、この装置を車両用操舵装置STに組み込む場合には、現状のラック&ピニオン装置64をそのまま生かして使用することができる。
また、上述した変速装置10Qは、同一条件で比較した場合、特にウォームギア55の回転数が低い領域で運転できるため、運転騒音を低く抑えることができる。さらに、使用する軸受の数が少ないので、組立が容易になるという利点を有している。
次に、上述した第4の実施形態に係る変速装置について、その第1変形例を図19に基づいて説明する。なお、上述した参考例及び実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で説明する変速装置10Rにおいては、連結出力軸143を備えている第1保持器140Aに櫛状の転動体保持部142を設け、この転動体保持部142に配設された転動体Kを、入力軸Siを設けた第1内輪120Aと第1外輪130Aとの間に介在させた第1段階変速部TR11と、連結入力軸243を備えている第2保持器240Aに櫛状の転動体保持部242を設け、この転動体保持部242に配設された転動体Kを、出力軸Soを設けた第2内輪220Aと第2外輪(ハウジング11に固定されて一体)との間に介在させた第2段階変速部TR21とを備えている。
そして、連結出力軸143と連結入力軸243との軸連結部に予圧調整手段として機能する調圧カム50を設けるとともに、第1外輪130Aに形成したギア部30aに変速比可変機構のウォームギア55を連結した構成とされる。すなわち、この構成は、第4の実施形態で説明した第1変形例のトラクションドライブ機構を、入出力軸が左右対称となるように組み合わせたものである。
さらに、出力軸Soとなる第2内輪220Aには一体に回転するギア部35を設け、上述した伝達トルク補助機構として機能するウォームギア55Aがギア部35と噛合して連結されている。
このような変速装置10Rによれば、第1段階変速部TR11において、入力軸Siとなる第1内輪120Aのトルクは、第1保持器140Aの転動体保持部142に配設された転動体Kを介して、トラクションドライブにより連結出力軸143を備えた第1保持器140Aに伝達される。この後、第2段階変速部TR21においては、予圧調整手段として機能する調圧カム50を介して連結入力軸243となる第2保持器240Aに伝達されたトルクが、第2保持器240Aの転動体保持部242に配設された転動体Kを介して、トラクションドライブにより出力軸Soとなる第2内輪220Aに伝達される。
このとき、連結出力軸143と連結入力軸243との間を調圧カム50を介して連結する軸連結部においては、調圧カム50が連結出力軸143のトルクに応じて第1段階変速部TR11及び第2段階変速部TR21の転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときには予圧を最小限に抑えることができる。
また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の第1外輪130Aに形成されたギア部30aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を所望の値に可変とすることができる。
さらに、伝達トルク補助機構のウォームギア55Aが出力軸Soと連結されて所望の回転力を付与するので、出力軸Soから出力される伝達トルクを増大させることができる。
また、このような構成の変速装置10Rは、第1段階変速部TR11で変速した後、第2段階変速部TR21で逆向きの変速を行うので、たとえば第1段階変速部TR11で増速した後に第2段階変速部TR21で減速することとなり、マイクロトラクションによる入出力関係は1:1となる。このため、この装置を車両用操舵装置STに組み込む場合には、現状のラック&ピニオン装置64をそのまま生かして使用することができる。
また、上述した変速装置10Rは、同一条件で比較した場合、ウォームギア55の回転数が比較的低い領域で運転できるため、運転騒音を低く抑えることができる。
次に、上述した第4の実施形態に係る変速装置について、その第2変形例を図20に基づいて説明する。なお、上述した参考例及び実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で説明する変速装置10Sにおいては、入力軸Siを備えている第1保持器140Bに櫛状の転動体保持部142を設け、この転動体保持部142に配設された転動体Kを、連結出力軸126を設けた第1内輪120Bと第1外輪130Bとの間に介在させた第1段階変速部TR12と、出力軸Soを備えている第2保持器240Bに櫛状の転動体保持部242を設け、この転動体保持部242に配設された転動体Kを、連結入力軸226を設けた第2内輪220Bとハウジング11に固定されて一体の第2外輪との間に介在させた第2段階変速部TR22とを備えている。
そして、連結出力軸126と連結入力軸226との軸連結部に予圧調整手段として機能する調圧カム50を設けるとともに、第1外輪130Bに形成したギア部30aに変速比可変機構として機能するウォームギア55を連結した構成とされる。すなわち、この構成は、第4の実施形態で説明した第2変形例のトラクションドライブ機構を、入出力軸が左右対称となるように組み合わせたものである。
さらに、出力軸Soとなる第2保持器240Bには一体に回転するギア部35を設け、上述した伝達トルク補助機構として機能するウォームギア55Aがギア部35と噛合して連結されている。
このような変速装置10Sによれば、第1段階変速部TR12において、入力軸Siとなる第1保持器140Bのトルクは、第1保持器140Bの転動体保持部142に配設された転動体Kを介して連結出力軸126を備えた第1内輪120Bに伝達される。
この後、第2段階変速部TR22においては、予圧調整手段として機能する調圧カム50を介して連結入力軸226を備えた第2内輪220Bにトルクが伝達され、さらに、第2保持器240Bの転動体保持部242に配設された転動体Kを介して、出力軸Soとなる第2保持器240Bにトルクが伝達される。
このとき、連結出力部126と連結入力部226との間を調圧カム50を介して連結する軸連結部においては、調圧カム50が連結出力軸126のトルクに応じて第1段階変速部TR12及び第2段階変速部TR22の転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときには予圧を最小限に抑えることができる。
また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の第1外輪130Bに形成されたギア部30aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を所望の値に可変とすることができる。
さらに、伝達トルク補助機構のウォームギア55Aが出力軸Soと連結されて所望の回転力を付与するので、出力軸Soから出力される伝達トルクを増大させることができる。
また、このような構成の変速装置10Sは、第1段階変速部TR12で変速した後、第2段階変速部TR22で逆向きの変速を行うので、たとえば第1段階変速部TR12で増速した後に第2段階変速部TR22で減速することとなり、マイクロトラクションによる入出力関係は1:1となる。このため、この装置を車両用操舵装置STに組み込む場合には、現状のラック&ピニオン装置64をそのまま生かして使用することができる。
また、上述した変速装置10Sは、比較的軸受の数が少ないため、組立が容易である。
そして、同一条件で比較した場合、特に転動体Kの面圧を低く抑え、かつ、調圧カム50を配設する入力軸Siの伝達トルクも低く設定できるので、寿命や耐久性の面で極めて有利になる。
次に、上述した第4の実施形態に係る変速装置について、その第3変形例を図21に基づいて説明する。なお、上述した参考例及び実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で説明する変速装置10Tにおいては、第1保持器140Cに櫛状の転動体保持部142を設け、この転動体保持部142に配設された転動体Kを、連結出力軸126を設けた第1内輪120Cと入力軸Siを設けた第1外輪130Cとの間に介在させた第1段階変速部TR13と、第2保持器240Cに櫛状の転動体保持部242を設け、この転動体保持部242に配設された転動体Kを、連結入力軸226を設けた第2内輪220Cと出力軸Soを設けた第2外輪230Cとの間に介在させた第2段階変速部TR23とを備えている。
そして、連結出力軸126と連結入力軸226との軸連結部に予圧調整手段として機能する調圧カム50を設けるとともに、第1保持器140Cに形成したギア部141aに変速比可変機構として機能するウォームギア55を連結した構成とされる。すなわち、この構成は、第4の実施形態で説明した第3変形例のトラクションドライブ機構を、入出力軸が左右対称となるように組み合わせたものである。
さらに、出力軸Soとなる第2外輪230Aには一体に回転するギア部35を設け、上述した伝達トルク補助機構として機能するウォームギア55Aがギア部35と噛合して連結されている。
このような変速装置10Tによれば、第1段階変速部TR13において、入力軸Siとなる第1外輪130Cのトルクは、第1保持器140Cの転動体保持部142に配設された転動体Kを介して連結出力軸126を備えた第1内輪120Cに伝達される。この後、第2段階変速部TR23においては、予圧調整手段として機能する調圧カム50を介して連結入力軸226を備えた第2内輪220Cに伝達されたトルクが、ハウジング11に固定されて一体に形成されて不動の第2保持器に設けられている転動体保持部242に配設された転動体Kを介して、出力軸Soとなる第2外輪230Cに伝達される。
このとき、連結出力軸126と連結入力軸226との間が調圧カム50を介して連結される軸連結部においては、調圧カム50が連結出力軸126のトルクに応じて第1段階変速部TR13及び第2段階変速部TR23の転動体Kに作用する予圧を調整するため、入力トルクがないときには予圧を最小限に抑えることができる。
また、変速比可変機構のウォームギア55がトラクション入出力部材の第1保持器140Cに形成されたギア部141aに連結されて差動の回転制御を行うので、入出力軸の変速比を所望の値に可変とすることができる。
さらに、伝達トルク補助機構のウォームギア55Aが出力軸Soと連結されて所望の回
転力を付与するので、出力軸Soから出力される伝達トルクを増大させることができる。
また、このような構成の変速装置10Tは、第1段階変速部TR13で変速した後、第2段階変速部TR23で逆向きの変速を行うので、たとえば第1段階変速部TR13で増速した後に第2段階変速部TR23で減速することとなり、マイクロトラクションによる入出力関係は1:1となる。このため、この装置を車両用操舵装置STに組み込む場合には、現状のラック&ピニオン装置64をそのまま生かして使用することができる。
また、上述した変速装置10Gは、同一条件で比較した場合、転動体Kの面圧を低く抑え、かつ、調圧カム50を配設する入力軸Siの伝達トルクも低く設定できるので、寿命や耐久性の面で有利になる。さらに、ウォームギア55の回転数が比較的低い領域で運転できるため、運転騒音を低く抑えることもできる。
以上説明したように、本発明における第3の実施形態に示した変速装置は、転動体Kの自転軸線が入力軸Si及び出力軸Soの軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、かつ、転動体Kに付与する予圧を入力軸Siのトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段の調圧カム50と、転動体Kのトラクション入出力部材に連結され、該トラクション入出力部材の回転数制御を行って変速比を変化させる差動式の変速比可変機構のウォームギア55と、出力軸Soに回転力を付与して伝達トルクを増す伝達トルク補助機構のウォームギア55Aとを備えているので、傾斜配置された転動体に付与される予圧は、入力軸Siのトルクに応じて調圧カム50が調整したものとなる。すなわち、調圧カム50が伝達トルクに応じたスラスト荷重を発生させ、このスラスト荷重が転動体Kを軸方向に押圧する予圧となる。
また、差動式の変速比可変機構を備えているので、入出力軸の変速比を調整して任意に設定することができ、しかも、伝達トルク補助機構により出力軸Soに回転力を付与することができるので、出力軸Soから出力する伝達トルクを増大させることもできる。
また、本発明における第4の実施形態に示した減速装置は、転動体Kの自転軸線が入力軸Si及び出力軸Soの軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、かつ、転動体Kに付与する予圧を、第1段階変速部及び第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段の調圧カム50と、転動体Kのトラクション入出力部材に連結され、該トラクション入出力部材の回転数制御を行って変速比を変化させる変速比可変機構のウォームギア55と、出力軸Soに回転力を付与して伝達トルクを増す伝達トルク補助機構のウォームギア55Aとを備えているので、傾斜配置された転動体Kに付与される予圧は、第1段階変速部及び第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて自動的に変化させる調圧カム50が調整したものとなる。
また、差動式の変速比可変機構を備えているので、入出力軸の変速比を調整して任意に設定することができ、しかも、伝達トルク補助機構により出力軸Soに回転力を付与することができるので、出力軸Soから出力する伝達トルクを増大させることもできる。この場合、第1段変速部及び第2段変速部による2段階変速を行うので、トラクションドライブによる入出力関係は、同回転方向に1:1となる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しな
い範囲内において適宜変更することができる。

Claims (8)

  1. 入力軸と出力軸との間に介在させた転動体のトラクションを利用し、前記入力軸の回転数を所望の変速比に変化させて前記出力軸から出力するとともに、前記入力軸側の第1段階変速部と前記出力軸側の第2段階変速部とを軸方向に左右対称に連結して2段階変速を行うトラクションドライブ変速装置であって、
    前記転動体の自転軸線が前記入力軸及び前記出力軸の軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、
    前記第1段階変速部は、第1保持器に配設された前記転動体が前記入力軸を設けた第1内輪と連結出力軸を設けた第1外輪との間に介在し、
    前記第2段階変速部は、第2保持器に配設された前記転動体が前記出力軸を設けた第2内輪と連結入力軸を設けた第2外輪との間に介在し、
    前記連結出力軸と前記連結入力軸との軸連結部に、前記第1段階変速部及び前記第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて前記転動体に付与する予圧を自動的に変化させる予圧調整手段を設けるとともに、前記第1保持器に回転数制御を行って前記変速比を変化させる変速比可変機構を連結し、前記第2保持器をハウジングに固定したことを特徴とするトラクションドライブ変速装置。
  2. 入力軸と出力軸との間に介在させた転動体のトラクションを利用し、前記入力軸の回転数を所望の変速比に変化させて前記出力軸から出力するとともに、前記入力軸側の第1段階変速部と前記出力軸側の第2段階変速部とを軸方向に左右対称に連結して2段階変速を行うトラクションドライブ変速装置であって、
    前記転動体の自転軸線が前記入力軸及び前記出力軸の軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、
    前記第1段階変速部は、連結出力軸を備えている第1保持器に配設された前記転動体が前記入力軸を設けた第1内輪と第1外輪との間に介在し、
    前記第2段階変速部は、連結入力軸を備えている第2保持器に配設された前記転動体が前記出力軸を設けた第2内輪と第2外輪との間に介在し、
    前記連結出力軸と前記連結入力軸との軸連結部に、前記第1段階変速部及び前記第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて前記転動体に付与する予圧を自動的に変化させる予圧調整手段を設けるとともに、前記第1外輪に回転数制御を行って前記変速比を変化させる変速比可変機構を連結し、前記第2外輪をハウジングに固定したことを特徴とするトラクションドライブ変速装置。
  3. 入力軸と出力軸との間に介在させた転動体のトラクションを利用し、前記入力軸の回転数を所望の変速比に変化させて前記出力軸から出力するとともに、前記入力軸側の第1段階変速部と前記出力軸側の第2段階変速部とを軸方向に左右対称に連結して2段階変速を行うトラクションドライブ変速装置であって、
    前記転動体の自転軸線が前記入力軸及び前記出力軸の軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、
    前記第1段階変速部は、前記入力軸を備えている第1保持器に配設された前記転動体が連結出力軸を設けた第1内輪と第1外輪との間に介在し、
    前記第2段階変速部は、前記出力軸を備えている第2保持器に配設された前記転動体が連結入力軸を設けた第2内輪と第2外輪との間に介在し、
    前記連結出力軸と前記連結入力軸との軸連結部に、前記第1段階変速部及び前記第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて前記転動体に付与する予圧を自動的に変化させる前記予圧調整手段を設けるとともに、前記第1外輪に回転数制御を行って前記変速比を変化させる前記変速比可変機構を連結し、前記第2外輪をハウジングに固定したことを特徴とするトラクションドライブ変速装置。
  4. 入力軸と出力軸との間に介在させた転動体のトラクションを利用し、前記入力軸の回転数を所望の変速比に変化させて前記出力軸から出力するとともに、前記入力軸側の第1段階変速部と前記出力軸側の第2段階変速部とを軸方向に左右対称に連結して2段階変速を行うトラクションドライブ変速装置であって、
    前記転動体の自転軸線が前記入力軸及び前記出力軸の軸線と直交しないよう傾斜させた配置とされ、
    前記第1段階変速部は、第1保持器に配設された前記転動体が連結出力軸を設けた第1内輪と前記入力軸を設けた第1外輪との間に介在し、
    前記第2段階変速部は、第2保持器に配設された前記転動体が連結入力軸を設けた第2内輪と前記出力軸を設けた第2外輪との間に介在し、
    前記連結出力軸と前記連結入力軸との軸連結部に、前記第1段階変速部及び前記第2段階変速部を連結する軸間のトルクに応じて前記転動体に付与する予圧を自動的に変化させる前記予圧調整手段を設けるとともに、前記第1保持器に回転数制御を行って前記変速比を変化させる前記変速比可変機構を連結し、前記第2保持器をハウジングに固定したことを特徴とするトラクションドライブ変速装置。
  5. 前記出力軸に回転力を付与して伝達トルクを増す伝達トルク補助機構を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のトラクションドライブ変速装置。
  6. 前記変速比可変機構が回転制御可能な駆動源を備えたウォームギアであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のトラクションドライブ変速装置。
  7. 前記伝達トルク補助機構が、駆動手段を備えたウォームギアであることを特徴とする請求項5または6に記載のトラクションドライブ変速装置。
  8. 運転者のステアリング操作が、請求項1から7のいずれか1項に記載のトラクションドライブ変速装置を介して車両の操舵輪に伝達されることを特徴とする車両用操舵装置。
JP2007504781A 2005-02-24 2006-02-23 トラクションドライブ変速装置及び車両用操舵装置 Expired - Fee Related JP4859827B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007504781A JP4859827B2 (ja) 2005-02-24 2006-02-23 トラクションドライブ変速装置及び車両用操舵装置

Applications Claiming Priority (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005049730 2005-02-24
JP2005049729 2005-02-24
JP2005049730 2005-02-24
JP2005049729 2005-02-24
JP2005233963 2005-08-12
JP2005233963 2005-08-12
PCT/JP2006/303314 WO2006090796A1 (ja) 2005-02-24 2006-02-23 トルク伝達構造、トラクションドライブ変速装置及び車両用操舵装置
JP2007504781A JP4859827B2 (ja) 2005-02-24 2006-02-23 トラクションドライブ変速装置及び車両用操舵装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2006090796A1 JPWO2006090796A1 (ja) 2008-07-24
JP4859827B2 true JP4859827B2 (ja) 2012-01-25

Family

ID=36927434

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007504781A Expired - Fee Related JP4859827B2 (ja) 2005-02-24 2006-02-23 トラクションドライブ変速装置及び車両用操舵装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US8092333B2 (ja)
EP (2) EP1852633B1 (ja)
JP (1) JP4859827B2 (ja)
WO (1) WO2006090796A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB0613941D0 (en) * 2006-07-13 2006-08-23 Pml Flightlink Ltd Electronically controlled motors
JP4638455B2 (ja) * 2007-02-23 2011-02-23 三菱重工業株式会社 トラクションドライブおよびその製造方法
JP5232763B2 (ja) * 2009-12-10 2013-07-10 三菱重工業株式会社 マイクロトラクションドライブ
JP5077785B2 (ja) * 2010-08-06 2012-11-21 株式会社デンソー 操舵制御装置
DE102012019428A1 (de) * 2012-10-02 2014-04-03 Trw Automotive Gmbh Servolenksystem für Kraftfahrzeuge
CN113090725B (zh) * 2019-06-20 2022-09-27 成都中良川工科技有限公司 一种回转传动装置及传动方法
CN111776064A (zh) * 2020-08-07 2020-10-16 湖北恒隆汽车系统集团有限公司 一种中卡商用车用的电动循环球转向器总成

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4621889Y1 (ja) * 1967-02-04 1971-07-28
JPS591955A (ja) * 1982-06-28 1984-01-07 Nippon Light Metal Co Ltd 太陽熱集熱器の断熱構造
JPH01139161A (ja) * 1987-11-27 1989-05-31 Kokusan Enshinki Kk 遠心分離器の制御装置
JPH06288453A (ja) * 1993-02-03 1994-10-11 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 直交形転がり伝動装置
JPH06313468A (ja) * 1993-05-06 1994-11-08 Masaaki Yamashita 変速機
JPH1172152A (ja) * 1997-07-02 1999-03-16 Nippon Seiko Kk 摩擦ローラ式変速機
JP2002293147A (ja) * 2001-02-14 2002-10-09 Bae Systems Controls Inc ハイブリッド電気ビークル用のパワー組合せ装置
JP2004116670A (ja) * 2002-09-26 2004-04-15 Ntn Corp 遊星ローラ式変速機
JP2004155244A (ja) * 2002-11-05 2004-06-03 Mitsubishi Electric Corp 車両用操舵装置

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3490311A (en) * 1966-11-19 1970-01-20 Asahi Seiki Mfg Friction-drive speed-reducing mechanism
JPS591955U (ja) 1983-05-02 1984-01-07 三菱重工業株式会社 ころがり摩擦式遊星ロ−ラ装置
CN86203254U (zh) 1986-04-22 1987-07-22 浙江省苍南县机械厂 圆锥滚子摩擦减(增)速器
US4846008A (en) * 1986-12-29 1989-07-11 Excelermatic Inc. Traction roller transmission
US4802386A (en) * 1987-02-18 1989-02-07 Haack August F Precision rotary positioning mechanism
JPH01139161U (ja) 1988-03-16 1989-09-22
US5649897A (en) * 1994-11-02 1997-07-22 Terumo Kabushiki Kaisha Endoscope apparatus for compensating for change in polarization state during image transmission
JP4107471B2 (ja) * 2001-11-19 2008-06-25 三菱電機株式会社 車両用操舵装置
JP3659925B2 (ja) 2002-03-25 2005-06-15 三菱重工業株式会社 マイクロトラクションドライブ
JP2004058896A (ja) 2002-07-30 2004-02-26 Koyo Seiko Co Ltd 車両用操舵装置
JP3950456B2 (ja) * 2004-06-10 2007-08-01 三菱重工業株式会社 遊星ローラ式無段変速機
US7111716B2 (en) * 2005-01-26 2006-09-26 Magna Powertrain Usa, Inc. Power-operated clutch actuator for torque transfer mechanisms

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4621889Y1 (ja) * 1967-02-04 1971-07-28
JPS591955A (ja) * 1982-06-28 1984-01-07 Nippon Light Metal Co Ltd 太陽熱集熱器の断熱構造
JPH01139161A (ja) * 1987-11-27 1989-05-31 Kokusan Enshinki Kk 遠心分離器の制御装置
JPH06288453A (ja) * 1993-02-03 1994-10-11 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 直交形転がり伝動装置
JPH06313468A (ja) * 1993-05-06 1994-11-08 Masaaki Yamashita 変速機
JPH1172152A (ja) * 1997-07-02 1999-03-16 Nippon Seiko Kk 摩擦ローラ式変速機
JP2002293147A (ja) * 2001-02-14 2002-10-09 Bae Systems Controls Inc ハイブリッド電気ビークル用のパワー組合せ装置
JP2004116670A (ja) * 2002-09-26 2004-04-15 Ntn Corp 遊星ローラ式変速機
JP2004155244A (ja) * 2002-11-05 2004-06-03 Mitsubishi Electric Corp 車両用操舵装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20090075775A1 (en) 2009-03-19
EP1852633A1 (en) 2007-11-07
WO2006090796A1 (ja) 2006-08-31
JPWO2006090796A1 (ja) 2008-07-24
US8092333B2 (en) 2012-01-10
EP2357383A1 (en) 2011-08-17
EP1852633A4 (en) 2011-05-25
EP2357383B1 (en) 2012-10-31
EP1852633B1 (en) 2012-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4859827B2 (ja) トラクションドライブ変速装置及び車両用操舵装置
JP5156961B2 (ja) 減速装置
US8382636B2 (en) Continuously variable transmission
JP3950456B2 (ja) 遊星ローラ式無段変速機
JP4590299B2 (ja) 遊星歯車減速機におけるキャリアの回動支持構造
JPWO2003047948A1 (ja) 電動パワーステアリング装置
CN101586645B (zh) 牵引传动变速装置及车辆用操舵装置
JP2008173993A (ja) 電動式パワーステアリング装置
JP5023030B2 (ja) 摩擦クラッチの締結機構および該機構を備えるディファレンシャル装置
EP1900969B1 (en) Reduction Gear Mechanism and Electric Power Steering Apparatus
JP4872563B2 (ja) 車両用操舵装置
JP6312728B2 (ja) 電動リニアアクチュエータ
JP2010144762A (ja) 駆動力配分装置
JP2016124368A (ja) 舵角比可変装置及びボールナット式ステアリングギヤユニット
WO2019078088A1 (ja) 変速機
JPH10299841A (ja) 内接噛合遊星歯車構造
JP4632234B2 (ja) 変速機の出力軸支持構造
JP2008069793A (ja) 電動リニアアクチュエータ
JP4658854B2 (ja) トラクションドライブ変速装置及び車両用操舵装置
JP4212448B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2018001937A (ja) ステアリング装置
JP2009047218A (ja) 無段変速装置
JP4947770B2 (ja) 減速機
JP2007321804A (ja) 無段変速装置
JP2005247011A (ja) 電動パワーステアリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100622

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100812

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101214

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110607

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110805

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111011

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111101

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141111

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees