JP2003132940A - ニッケル−水素蓄電池 - Google Patents
ニッケル−水素蓄電池Info
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Abstract
ニッケル−水素蓄電池を提供する。 【解決手段】 本発明のニッケル−水素蓄電池は、正極
においては、コバルト化合物を被覆した水酸化ニッケル
を主成分とする正極活物質に、ニオブ化合物、チタン化
合物、マグネシウム化合物、タングステン化合物から選
択される少なくとも1種の化合物を添加混合して備えて
いる。また、負極においては、組成式がMmNiaCob
MncMd(ただし、MはCa,Mg,Alから選択され
る少なくとも1種の元素である)で表されるCaCu5
型の水素吸蔵合金を含有し、かつ、MnとMの和の組成
(c+d)とMnの組成(c)との組成比率c/(c+
d)が0.58≦c/(c+d)≦0.67の関係を有
している。これにより、長期間放置しても高率放電特性
が低下しないニッケル−水素蓄電池が得られる。
Description
成分とする正極活物質を含有した正極と、水素吸蔵合金
を主成分とする負極活物質を含有した負極と、アルカリ
電解液とを備えたニッケル−水素蓄電池に関するもので
ある。
電が可能な二次電池(蓄電池)の需要が高まっており、
特に、機器の小型化、薄型化、スペース効率化に伴い、
大容量が得られるニッケル−水素蓄電池の需要が急速に
高まった。この種のニッケル−水素蓄電池は、正極活物
質に水酸化ニッケルを使用する正極と、負極活物質に水
素吸蔵合金を使用する負極とをセパレータを介して渦巻
状に巻回して渦巻状電極群とし、この渦巻状電極群をア
ルカリ電解液とともに金属製外装缶(電池ケース)内に
収納し、金属製外装缶を密封することにより製造され
る。
蓄電池の需要がさらに高まり、小型の機器のみならず、
電動工具などの大電流用途にも需要が拡大するようにな
った。これに伴い、より大きな電流値を取り出すことが
できるように、正極および負極の両面から改良が進めら
れている。例えば、正極面からの改良としては、水酸化
ニッケルを主成分とする活物質に、導電剤として少量の
コバルト化合物を添加することが一般に行われている。
物を添加するだけでは、高容量で高性能なニッケル−水
素蓄電池が得られないため、水酸化ニッケルの表面にコ
バルト化合物を被覆した後、アルカリおよび酸素の共存
下で加熱するアルカリ熱処理法が、特許第258912
3号公報にて提案されるようになった。この特許第25
89123号公報にて提案されたアルカリ熱処理法によ
れば、コバルト化合物をアルカリおよび酸素の共存下で
加熱して、導電性が高い高次コバルト化合物を生成させ
るので、活物質の利用率が向上して、高容量化が達成で
きるようになる。
て提案されるように、活物質(水酸化ニッケル)の表面
に導電性が高い高次コバルト化合物を生成させると、反
応に関与しないコバルト化合物が水酸化ニッケルの表面
に均一に存在するようになる。このため、水酸化ニッケ
ルと電解液との接触が阻害されるようになって、高率放
電特性が低下するという問題を生じた。この問題に対処
するために、水酸化ニッケルの表面の一部にアルカリカ
チオンを含む高次コバルト化合物を被覆する方法が提案
されるようになった。この方法によれば、良好な導電ネ
ットワークが形成されるとともに、電解液が直接水酸化
ニッケルに接触するようになるため、活物質利用率と高
率放電特性の向上を達成できるようになる。
蔵合金の粒子間の導電性を低下させる表面酸化物被膜を
除去する方法が、特開平5−225975号公報にて提
案されるようになった。この特開平5−225975号
公報にて提案された方法においては、水素吸蔵合金粉末
を塩酸に浸漬して、表面酸化物被膜を構成する希土類酸
化物を除去することには有効であるが、ニッケルの水酸
化物および酸化物の除去にはあまり有効でなく、ニッケ
ルの水酸化物が新たに形成されるという問題が生じた。
また、導電性をさらに向上させる手段として、ニッケル
の酸化物あるいは水酸化物をニッケル金属に還元させる
方法、即ち、水素を吸蔵しない温度、圧力の水素雰囲気
中で合金表面を還元する方法が特開平9−237628
号公報にて提案されるようになった。
ように正極および負極を改良しても、活性化後のニッケ
ル−水素蓄電池を長期間放置すると、大電流で放電させ
た場合の高率放電特性が低下するという問題を生じた。
このように、長期間放置により高率放電特性が低下する
理由としては、以下のようなことが考えられる。即ち、
負極に用いる水素吸蔵合金を、上述した特開平5−22
5975号公報あるいは特開平9−237628号公報
に記載されるような方法で表面酸化物を除去しても、長
期間の保存により電解液により再度、表面酸化されて表
面の活性度が低下する。このため、負極の放電特性は低
下し、結果として高率放電特性が低下したと考えられ
る。
た水素吸蔵合金中のマンガン(Mn)あるいはアルミニ
ウム(Al)等の金属イオンが、水酸化ニッケル表面に
形成されたコバルト化合物層の偏析部分から侵入して、
良好な導電ネットワークを破壊するようになる。このた
め、正極の放電特性は低下し、結果として高率放電特性
が低下したと考えられる。そこで、本発明はこのような
長期間放置すると高率放電特性が低下するという問題点
を解消するためになされたものであり、長期間放置して
も高率放電特性が低下しないニッケル−水素蓄電池を提
供することを目的とするものである。
め、本発明のニッケル−水素蓄電池は、正極において
は、コバルト化合物を被覆した水酸化ニッケルを主成分
とする正極活物質に、ニオブ化合物、チタン化合物、マ
グネシウム化合物、タングステン化合物から選択される
少なくとも1種の化合物が添加されており、負極におい
ては、組成式がMmNiaCobMncMd(ただし、Mは
Ca,Mg,Alから選択される少なくとも1種の元素
である)で表されるCaCu5型の水素吸蔵合金を含有
し、かつ、MnとMの和の組成(c+d)とMnの組成
(c)との組成比率c/(c+d)が0.58≦c/
(c+d)≦0.67の関係を有していることを特徴と
する。
化合物、マグネシウム化合物、タングステン化合物から
選択される少なくとも1種の化合物が添加されている
と、活物質となる水酸化ニッケルの表面を被覆するコバ
ルト化合物が、電解液中に溶解して析出する速度を遅ら
せることができる。これにより、コバルト化合物層をよ
り緻密な構造に変化させる。さらに、コバルト化合物が
より緻密な構造に変化することから、長期間の放置によ
り電解液中に溶出した水素吸蔵合金中のMn,Al,C
a,Mg等の金属が、コバルト化合物の被覆層に侵入す
ることを防止でき、良好な導電ネットワークを維持でき
るようになる。
(MはCa,Mg,Alから選択される少なくとも1種
の元素である)で表される水素吸蔵合金のMnとMの和
の組成(c+d)と、M(Ca,Mg,Al)の組成
(c)が、0.58≦c/(c+d)≦0.67の関係
を満たすと、正極中に添加したニオブ化合物、チタン化
合物、マグネシウム化合物、タングステン化合物の添加
効果を最大限に引き出すことが可能になる。また、前記
コバルト化合物中にアルカリカチオンを含有していると
コバルト化合物層の導電性が高められるとともに、ニオ
ブ化合物、チタン化合物、マグネシウム化合物、タング
ステン化合物から選択される少なくとも1種の化合物を
添加する効果が一層高められる。
チタン化合物、マグネシウム化合物、タングステン化合
物の添加量が少なくなると、被覆したコバルト化合物が
電解液中に溶解して析出する速度を遅くする効果、およ
び水酸化ニッケル表面における偏析防止効果が十分に得
られない。また、添加量が多すぎると、ニッケル正極中
の活物質となる水酸化ニッケル量が少なくなって、放電
容量が減少する。このため、ニオブ化合物、チタン化合
物、マグネシウム化合物、タングステン化合物の添加量
は、ニッケル正極中の全活物質の質量に対して、0.2
質量%以上で、1.0質量%以下であることが望まし
い。
Nb2O3,NbO,NbO2,NaNbO3,LiNbO
3,KNbO3,Nb2O5・xH2O等から選択して用い
るのが好ましい。また、チタン化合物としては、TiO
2,Ti2O3,TiO等から選択して用いるのが好まし
い。また、マグネシウム化合物としては、MgO,Mg
(OH)2等から選択して用いるのが好ましい。さら
に、タングステン化合物としては、WO2,WO3,Na
2WO4等から選択して用いるのが好ましい。
細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでな
く、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施する
ことができる。 1.ニッケル正極 (1)正極活物質の調製 質量比で金属ニッケル100に対して亜鉛3質量%、コ
バルト1質量%となるような硫酸ニッケル、硫酸亜鉛、
硫酸コバルトの混合水溶液を攪拌しながら、水酸化ナト
リウム水溶液を徐々に添加し、反応溶液中のpHが13
〜14になるように維持させて粒状の水酸化ニッケルを
析出させた。この粒状の水酸化ニッケルが析出した溶液
に対して、硫酸コバルト水溶液を添加し、この反応溶液
中のpHが9〜10になるように維持させて、主成分が
水酸化ニッケルである球状水酸化物粒子を結晶核とし
て、この核の周囲に水酸化コバルトを析出させた。
層を有する粒状の水酸化ニッケル(正極活物質粒子)を
得た。この後、この正極活物質粒子を熱気流中でアルカ
リ溶液を噴霧するアルカリ熱処理を行った。なお、この
アルカリ熱処理において、正極活物質粒子の温度が60
℃になるように温度調節し、コバルト量に対して5倍量
の35質量%のアルカリ溶液(水酸化ナトリウム水溶
液)を噴霧した。この後、正極活物質粒子の温度が90
℃に達するまで昇温した。ついで、これを水洗した後、
60℃で乾燥させて、正極活物質とした。これにより、
水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト化
合物の高導電性被膜が形成された水酸化ニッケル粉末を
得た。
物(例えば、Nb2O5)を添加して混合物とした後、こ
の混合物500gに対して0.25質量%のHPC(ヒ
ドロキシルプロピルセルロース)ディスパージョン液を
200g混合して活物質スラリーを作製した。なお、ニ
オブ化合物(Nb2O5)を添加する際に、正極活物質の
質量に対して0.1質量%となるように添加した活物質
スラリーをa1とした。同様に、0.3質量%となるよ
うに添加した活物質スラリーをb1とし、0.5質量%
となるように添加した活物質スラリーをc1とした。
添加した活物質スラリーをd1とし、1.0質量%とな
るように添加した活物質スラリーをe1とし、1.5質
量%となるように添加した活物質スラリーをf1とし
た。さらに、ニオブ化合物(Nb2O5)が無添加の活物
質スラリーをg1とした。なお、正極活物質に添加する
ニオブ化合物としては、Nb2O5以外に、Nb2O3,N
bO,NbO2,NaNbO3,LiNbO3,KNb
O3,Nb2O5・xH2O等を用いてもよい。
1,c1,d1,e1,f1,g1を用いて、これらの
活物質スラリーa1,b1,c1,d1,e1,f1,
g1を、厚みが1.7mmの発泡ニッケルからなる電極
基板に、所定の充填密度となるようにそれぞれ充填し
た。この後、乾燥させて、厚みが0.75mmになるま
で圧延し、所定の寸法に切断して非焼結式ニッケル正極
a,b,c,d,e,f,gをそれぞれ作製した。
式ニッケル正極を正極aとした。同様に、活物質スラリ
ーb1を用いたものを正極bとし、活物質スラリーc1
を用いたものを正極cとした。また、活物質スラリーd
1を用いたものを正極dとし、活物質スラリーe1を用
いたものを正極eとし、活物質スラリーf1を用いたも
のを正極fとし、活物質スラリーg1を用いたものを正
極gとした。
9%)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、お
よびマンガン(Mn)を所定のモル比になるようにそれ
ぞれ混合し、この混合物をアルゴンガス雰囲気の高周波
誘導炉で誘導加熱して合金溶湯とした。この合金溶湯を
公知の方法で鋳型に流し込み、冷却して、組成式がMm
NiaCobMncAldで表される水素吸蔵合金のインゴ
ットを作製した。この水素吸蔵合金インゴットを機械的
粉砕法により、平均粒子径が約60μmになるまで粉砕
した。
1.0:3.48:0.80:0.42:0.30とな
るMmNi3.48Co0.80Mn0.42Al0.30(c/c+d
=0.58)を水素吸蔵合金h1とした。また、Mm:
Ni:Co:Mn:Al=1.0:3.50:0.8
0:0.42:0.28となるMmNi3.50Co0.80M
n 0.42Al0.28(c/c+d=0.60)を水素吸蔵合
金i1とした。また、Mm:Ni:Co:Mn:Al=
1.0:3.60:0.80:0.40:0.20とな
るMmNi3.60Co0.80Mn0.40Al0.20(c/c+d
=0.67)を水素吸蔵合金j1とした。さらに、M
m:Ni:Co:Mn:Al=1.0:3.61:0.
80:0.32:0.27となるMmNi3.61Co0.80
Mn0.32Al0.27(c/c+d=0.54)を水素吸蔵
合金k1とし、Mm:Ni:Co:Mn:Al=1.
0:3.40:0.80:0.60:0.20となるM
mNi3.40Co0.80Mn0.60Al0.20(c/c+d=
0.75)を水素吸蔵合金l1とした。
して、結着剤としての5質量%のポリエチレンオキサイ
ド(PEO)の水溶液を20質量部とを混合して水素吸
蔵合金ペーストを作製した。この水素吸蔵合金ペースト
をパンチングメタルからなる芯体の両面に塗布し、室温
で乾燥させた後、所定の厚みに圧延し、所定の寸法に切
断して水素吸蔵合金負極h,i,j,k,lをそれぞれ
作製した。なお、水素吸蔵合金h1を用いた水素吸蔵合
金負極を負極hとし、水素吸蔵合金i1を用いた水素吸
蔵合金負極を負極iとし、水素吸蔵合金j1を用いた水
素吸蔵合金負極を負極jとし、水素吸蔵合金k1を用い
た水素吸蔵合金負極を負極kとし、水素吸蔵合金l1を
用いた水素吸蔵合金負極を負極lとした。
c,d,e,f,gと水素吸蔵合金負極h,i,j,
k,lをそれぞれ用い、これらの間にポリプロピレン製
不織布からなるセパレータを介在させ、これらをスパイ
ラル状に巻回して電極群をそれぞれ作製した。ついで、
各電極群を外装缶に挿入した後、各電極群の負極から延
出する負極リードを外装缶に接続するとともに、正極か
ら延出する正極リードを封口体に設けられた正極蓋に接
続した。この後、外装缶内に電解液(例えば、30質量
%の水酸化カリウム水溶液)を注入し、更に外装缶の開
口部を封口体により封止して、公称容量1250mAh
のAAサイズのニッケル−水素蓄電池をそれぞれ作製し
た。
池Aとし、正極bと負極hを用いたものを電池Bとし、
正極cと負極hを用いたものを電池Cとし、正極dと負
極hを用いたものを電池Dとし、正極eと負極hを用い
たものを電池Eとし、正極fと負極hを用いたものを電
池Fとした。また、正極aと負極iを用いたものを電池
Gとし、正極bと負極iを用いたものを電池Hとし、正
極cと負極iを用いたものを電池Iとし、正極dと負極
iを用いたものを電池Jとし、正極eと負極iを用いた
ものを電池Kとし、正極fと負極iを用いたものを電池
Lとした。
Mとし、正極bと負極jを用いたものを電池Nとし、正
極cと負極jを用いたものを電池Oとし、正極dと負極
jを用いたものを電池Pとし、正極eと負極jを用いた
ものを電池Qとし、正極fと負極jを用いたものを電池
Rとした。さらに、正極gと負極hを用いたものを電池
Sとし、正極cと負極kを用いたものを電池Tとし、正
極gと負極kを用いたものを電池Uとし、正極cと負極
lを用いたものを電池Vとし、正極gと負極lを用いた
ものを電池Wとし、正極gと負極jを用いたものを電池
Xとした。
れらの各電池A〜Xを25℃の温度条件で、100mA
の充電電流で16時間充電した後、1000mAの放電
電流で、電池電圧が1.0Vになるまで放電させた。こ
の後、100mAの充電電流で16時間充電した後、4
000mAの放電電流で、電池電圧が0.5Vになるま
で放電させて、放電時間から各電池A〜Xの初期高率放
電容量(mAh)を求めた。
30日間放置した後、100mAの充電電流で再度16
時間充電した後、4000mAの放電電流で、電池電圧
が0.5Vになるまで放電させて、放電時間から各電池
A〜Xの放置後高率放電容量(mAh)を求めた。つい
で、求めた初期高率放電容量(mAh)に対する放置後
高率放電容量(mAh)の比率(%)を算出して、放置
後高率放電容量維持率として求めると、下記の表1に示
すような結果になった。
ブ化合物(Nb2O5)を添加したニッケル正極、および
組成式がMmNiaCobMncAldで表される水素吸蔵
合金のc/(c+d)が0.58〜0.67の水素吸蔵
合金負極を用いた電池A〜Rは、放電状態で30日間放
置した後の高率放電容量維持率が92.0%〜99.2
%と高い値を示していることが分かる。特に、ニオブ化
合物(Nb2O5)の添加量が0.2質量%〜1.0質量
%のニッケル正極を用いた電池B〜E、H〜K、N〜Q
においては、98.2%〜99.2%と非常に高い値を
示していることが分かる。したがって、ニッケル正極に
添加するニオブ化合物(Nb2O5)の添加量は、正極活
物質の質量に対して0.2質量%〜1.0質量%とする
のが望ましいということができる。
質量%添加したニッケル正極と、組成式がMmNiaC
obMncAldで表される水素吸蔵合金のc/(c+
d)が0.54と0.75の水素吸蔵合金負極を用いた
電池T,Vにおいては、放電状態で30日間放置した後
の高率放電容量維持率がともに72.7%と低い値を示
していることが分かる。一方、ニオブ化合物(Nb
2O5)が無添加のニッケル正極を用い、かつ水素吸蔵合
金のc/(c+d)が0.54と0.75の水素吸蔵合
金負極を用いた電池U,Wにおいては、高率放電容量維
持率が71.2%および70.7%と低い値を示してい
ることが分かる。このことからすると、水素吸蔵合金の
c/(c+d)が0.54あるいは0.75の水素吸蔵
合金負極を用いた場合には、ニオブ化合物(Nb2O5)
の添加効果を発揮することができないということができ
る。
0.58と0.67の水素吸蔵合金負極を用い、かつニ
オブ化合物(Nb2O5)が無添加の正極を用いた電池
S、Xにおいては、高率放電容量維持率が70.7%お
よび70.8%と低い値を示していることが分かる。こ
れらのことから、組成式がMmNiaCobMncAldで
表される水素吸蔵合金のc/(c+d)が0.58〜
0.67の水素吸蔵合金負極と、かつニオブ化合物(N
b2O5)の添加量が0.2質量%〜1.0質量%のニッ
ケル正極を組み合わせて用いることにより、放電状態で
放置した後の高率放電容量維持率を高めることができる
という格別の効果を発揮することができるようになる。
加する例について説明したが、チタン化合物、マグネシ
ウム化合物、タングステン化合物を正極活物質に添加し
た場合についても検討した。 (1)チタン化合物について 正極活物質の質量に対してチタン化合物(TiO2)の
添加量が0.5質量%となるように添加した活物質スラ
リーを調製した後、上述と同様に発泡ニッケルからなる
電極基板に充填し、乾燥させ、圧延した後、所定の寸法
に切断して非焼結式ニッケル正極mを作製した。
上述のように作製した水素吸蔵合金負極h,j,k,l
をそれぞれ用い、これらの間にポリプロピレン製不織布
からなるセパレータを介在させ、これらをスパイラル状
に巻回して電極群をそれぞれ作製した。ついで、各電極
群を外装缶に挿入した後、各電極群の負極から延出する
負極リードを外装缶に接続するとともに、正極から延出
する正極リードを封口体に設けられた正極蓋に接続し
た。この後、外装缶内に電解液(例えば、30質量%の
水酸化カリウム水溶液)を注入し、更に外装缶の開口部
を封口体により封止して、公称容量1250mAhのA
Aサイズのニッケル−水素蓄電池をそれぞれ作製した。
池Z1とし、正極mと負極hを用いたものを電池Z2と
し、正極mと負極jを用いたものを電池Z3とし、正極
mと負極lを用いたものを電池Z4とした。
Z4を用いて、これらの各電池を25℃の温度条件で、
100mAの充電電流で16時間充電した後、1000
mAの放電電流で、電池電圧が1.0Vになるまで放電
させた。この後、100mAの充電電流で16時間充電
した後、4000mAの放電電流で、電池電圧が0.5
Vになるまで放電させて、放電時間から各電池Z1〜Z
4の初期高率放電容量(mAh)を求めた。
で30日間放置した後、100mAの充電電流で再度1
6時間充電した後、4000mAの放電電流で、電池電
圧が0.5Vになるまで放電させて、放電時間から各電
池Z1〜Z4の放置後高率放電容量(mAh)を求め
た。ついで、求めた初期高率放電容量(mAh)に対す
る放置後高率放電容量(mAh)の比率(%)を算出し
て、放置後高率放電容量維持率として求めると、下記の
表2に示すような結果になった。なお、下記の表2にお
いては、比較のために上述した電池U,S,W,Xの結
果も併せて示している。
ン化合物(TiO2)を0.5質量%添加したニッケル
正極、および組成式がMmNiaCobMncAldで表さ
れる水素吸蔵合金のc/(c+d)が0.58と0.6
7の水素吸蔵合金負極を用いた電池Z2,Z3は、放電
状態で30日間放置した後の高率放電容量維持率が9
8.6%,98.7%と高い値を示していることが分か
る。また、チタン化合物(TiO2)を0.5質量%添
加したニッケル正極と、組成式がMmNiaCobMnc
Aldで表される水素吸蔵合金のc/(c+d)が0.
54と0.75の水素吸蔵合金負極を用いた電池Z1,
Z4においては、放電状態で30日間放置した後の高率
放電容量維持率が72.7%,73.3%と低い値を示
していることが分かる。
のニッケル正極を用い、かつ水素吸蔵合金のc/(c+
d)が0.54と0.75の水素吸蔵合金負極を用いた
電池U,Wにおいては、高率放電容量維持率が71.2
%および70.7%と低い値を示していることが分か
る。このことからすると、水素吸蔵合金のc/(c+
d)が0.54あるいは0.75の水素吸蔵合金負極を
用いた場合には、チタン化合物(TiO2)の添加効果
を発揮することができないということができる。また、
水素吸蔵合金のc/(c+d)が0.58および0.6
7の水素吸蔵合金負極を用い、かつチタン化合物(Ti
O2)が無添加の正極を用いた電池S,Xにおいては、
高率放電容量維持率が70.7%,70.8%と低い値
を示していることが分かる。
obMncAldで表される水素吸蔵合金のc/(c+
d)が0.58〜0.67の水素吸蔵合金負極と、かつ
チタン化合物(TiO2)の添加量が0.5質量%のニ
ッケル正極を組み合わせて用いることにより、放電状態
で放置した後の高率放電容量維持率を高めることができ
るという格別の効果を発揮することができるようにな
る。なお、チタン化合物(TiO2)の添加量について
は、上述したニオブ化合物(Nb2O5)の場合と同様
に、チタン化合物(TiO2)の添加量が0.2質量%
〜1.0質量%となるように添加するのが望ましい。こ
の場合、チタン化合物としては、TiO2以外に、Ti2
O3,TiO等を用いてもよい。
O)の添加量が0.5質量%となるように添加した活物
質スラリーを用い、上述と同様に発泡ニッケルからなる
電極基板に充填し、乾燥させ、圧延した後、所定の寸法
に切断して非焼結式ニッケル正極nを作製した。この非
焼結式ニッケル正極nと、上述のように作製した水素吸
蔵合金負極h,j,k,lをそれぞれ用いて、上述と同
様に公称容量1250mAhのAAサイズのニッケル−
水素蓄電池をそれぞれ作製した。ここで、正極nと負極
kを用いたものを電池Z5とし、正極nと負極hを用い
たものを電池Z6とし、正極nと負極jを用いたものを
電池Z7とし、正極nと負極lを用いたものを電池Z8
とした。
Z8を用いて、これらの各電池Z5〜Z8を25℃の温
度条件で、100mAの充電電流で16時間充電した
後、1000mAの放電電流で、電池電圧が1.0Vに
なるまで放電させた。この後、100mAの充電電流で
16時間充電した後、4000mAの放電電流で、電池
電圧が0.5Vになるまで放電させて、放電時間から各
電池Z5〜Z8の初期高率放電容量(mAh)を求め
た。
で30日間放置した後、100mAの充電電流で再度1
6時間充電した後、4000mAの放電電流で、電池電
圧が0.5Vになるまで放電させて、放電時間から各電
池Z5〜Z8の放置後高率放電容量(mAh)を求め
た。ついで、求めた初期高率放電容量(mAh)に対す
る放置後高率放電容量(mAh)の比率(%)を算出し
て、放置後高率放電容量維持率として求めると、下記の
表3に示すような結果になった。なお、下記の表3にお
いては、比較のために上述した電池U,S,W,Xの結
果も併せて示している。
ネシウム化合物(MgO)を0.5質量%添加したニッ
ケル正極、および組成式がMmNiaCobMncAldで
表される水素吸蔵合金のc/(c+d)が0.58〜
0.67の水素吸蔵合金負極を用いた電池Z6,Z7
は、放電状態で30日間放置した後の高率放電容量維持
率が98.2%と高い値を示していることが分かる。ま
た、マグネシウム化合物(MgO)を0.5質量%添加
したニッケル正極と、組成式がMmNiaCobMn cA
ldで表される水素吸蔵合金のc/(c+d)が0.5
4と0.75の水素吸蔵合金負極を用いた電池Z5,Z
8においては、放電状態で30日間放置した後の高率放
電容量維持率がともに73.1%と低い値を示している
ことが分かる。
添加のニッケル正極を用い、かつ水素吸蔵合金のc/
(c+d)が0.54と0.75の水素吸蔵合金負極を
用いた電池U,Wにおいては、高率放電容量維持率が7
1.2%および70.7%と低い値を示していることが
分かる。このことからすると、水素吸蔵合金のc/(c
+d)が0.54あるいは0.75の水素吸蔵合金負極
を用いた場合には、マグネシウム化合物(MgO)の添
加効果を発揮することができないということができる。
また、マグネシウム化合物(MgO)が無添加の正極を
用い、水素吸蔵合金のc/(c+d)が0.58、0.
67の水素吸蔵合金負極を用いた電池S,Xにおいて
は、高率放電容量維持率が70.7%および70.8%
と低い値を示していることが分かる。
obMncAldで表される水素吸蔵合金のc/(c+
d)が0.58〜0.67の水素吸蔵合金負極と、かつ
マグネシウム化合物(MgO)の添加量が0.5質量%
のニッケル正極を組み合わせて用いることにより、放電
状態で放置した後の高率放電容量維持率を高めることが
できるという格別の効果を発揮することができるように
なる。なお、マグネシウム化合物(MgO)の添加量に
ついては、上述したニオブ化合物(Nb2O5)の場合と
同様に、マグネシウム化合物(MgO)の添加量が0.
2質量%〜1.0質量%となるように添加するのが望ま
しい。この場合、マグネシウム化合物としては、MgO
以外に、Mg(OH)2等を用いてもよい。
O2)の添加量が0.5質量%となるように添加した活
物質スラリーを用い、上述と同様に発泡ニッケルからな
る電極基板に充填し、乾燥させ、圧延した後、所定の寸
法に切断して非焼結式ニッケル正極oを作製した。この
非焼結式ニッケル正極oと水素吸蔵合金負極h,j,
k,lをそれぞれ用い、上述と同様に公称容量1250
mAhのAAサイズのニッケル−水素蓄電池をそれぞれ
作製した。ここで、正極oと負極kを用いたものを電池
Z9とし、正極oと負極hを用いたものを電池Z10と
し、正極oと負極jを用いたものを電池Z11とし、正
極oと負極lを用いたものを電池Z12とした。
Z12を用いて、これらの各電池Z9〜Z12を25℃
の温度条件で、100mAの充電電流で16時間充電し
た後、1000mAの放電電流で、電池電圧が1.0V
になるまで放電させた。この後、100mAの充電電流
で16時間充電した後、4000mAの放電電流で、電
池電圧が0.5Vになるまで放電させて、放電時間から
各電池Z9〜Z12の初期高率放電容量(mAh)を求
めた。
5℃で30日間放置した後、100mAの充電電流で再
度16時間充電した後、4000mAの放電電流で、電
池電圧が0.5Vになるまで放電させて、放電時間から
各電池Z9〜Z12の放置後高率放電容量(mAh)を
求めた。ついで、求めた初期高率放電容量(mAh)に
対する放置後高率放電容量(mAh)の比率(%)を算
出して、放置後高率放電容量維持率として求めると、下
記の表4に示すような結果になった。なお、下記の表4
においては、比較のために上述した電池U,S,W,X
の結果も併せて示している。
グステン化合物(WO2)を0.5質量%添加したニッ
ケル正極、および組成式がMmNiaCobMncAldで
表される水素吸蔵合金のc/(c+d)が0.58〜
0.67の水素吸蔵合金負極を用いた電池Z10,Z1
1は、放電状態で30日間放置した後の高率放電容量維
持率が98.2%,98.7%と高い値を示しているこ
とが分かる。また、タングステン化合物(WO2)を
0.5質量%添加したニッケル正極と、組成式がMmN
iaCobMncAldで表される水素吸蔵合金のc/(c
+d)が0.54と0.75の水素吸蔵合金負極を用い
た電池Z9,Z12においては、放電状態で30日間放
置した後の高率放電容量維持率が72.3%,72.7
%と低い値を示していることが分かる。
添加のニッケル正極を用い、かつ水素吸蔵合金のc/
(c+d)が0.54と0.75の水素吸蔵合金負極を
用いた電池U,Wにおいては、高率放電容量維持率が7
1.2%および70.7%と低い値を示していることが
分かる。このことからすると、水素吸蔵合金のc/(c
+d)が0.54あるいは0.75の水素吸蔵合金負極
を用いた場合には、タングステン化合物(WO2)の添
加効果を発揮することができないということができる。
また、タングステン化合物(WO2)が無添加の正極を
用い、かつ水素吸蔵合金のc/(c+d)が0.58,
0.67の水素吸蔵合金負極を用いた電池S,Xにおい
ては、高率放電容量維持率が70.7%,70.8%と
低い値を示していることが分かる。
obMncAldで表される水素吸蔵合金のc/(c+
d)が0.58〜0.67の水素吸蔵合金負極と、かつ
タングステン化合物(WO2)の添加量が0.5質量%
のニッケル正極を組み合わせて用いることにより、放電
状態で放置した後の高率放電容量維持率を高めることが
できるという格別の効果を発揮することができるように
なる。なお、タングステン化合物(WO2)の添加量に
ついては、上述したニオブ化合物(Nb2O5)の場合と
同様に、タングステン化合物(WO2)の添加量が0.
2質量%〜1.0質量%となるように添加するのが望ま
しい。この場合、タングステン化合物としては、WO2
以外に、WO3,Na2WO4等を用いてもよい。
オブ化合物、チタン化合物、マグネシウム化合物、タン
グステン化合物から選択される少なくとも1種の化合物
が正極に添加されている。このため、水酸化ニッケルの
表面を被覆するコバルト化合物が、電解液中に溶解して
析出する速度を遅めることができる。これにより、コバ
ルト化合物層をより緻密な構造に変化させて、導電ネッ
トワークを向上させることが可能になる。さらに、コバ
ルト化合物がより緻密な構造に変化することから、長期
間の放置により電解液中に溶出した水素吸蔵合金中のM
n,Al,Ca,Mg等の金属が、コバルト化合物の被
覆層に侵入することを防止でき、良好な導電ネットワー
クを維持できるようになる。
(MはCa,Mg,Alから選択される少なくとも1種
の元素である)で表される水素吸蔵合金を負極に用い
る。このため、水素吸蔵合金中のMn,Al,Ca,M
g等の金属が電解液中に溶出することが防止でき、かつ
これらが水素吸蔵合金表面に再析出することも防止でき
るようになる。また、Mnの組成比率(c)と、M(C
a,Mg,Al)の組成比率(d)が、0.58≦c/
(c+d)≦0.67の関係を満たしているので、正極
に添加したニオブ化合物、チタン化合物、マグネシウム
化合物、タングステン化合物の添加効果を最大限に引き
出すことが可能になる。
に、亜鉛、コバルト、カルシウム、マグネシウム、アル
ミニウム、マンガン、イットリウムおよびイッテルビウ
ムよりなる群から選択される1種の元素を固溶させ、か
つ水酸化ニッケルとこれらの元素の総量に対して、これ
らの元素の割合を10原子%以下に規定するのが好まし
い。このようにすると、固溶させたこれらの元素の作用
により、アルカリ電解液中のカリウムイオンなどが活物
質となる水酸化ニッケルの結晶中にインターカレーショ
ンされるのが抑制され、アルカリ電解液のドライアウト
による放電容量の低下が抑制されるようになる。
合物、チタン化合物、マグネシウム化合物、タングステ
ン化合物の他に、イットリウム、イッテルビウム、エル
ビウム、亜鉛から選択される1種の元素またはその化合
物の粉末を添加すると、正極内により良好な導電ネット
ワークが形成されて、さらに活物質利用率が向上して、
高容量の蓄電池が得られるようになる。また、高次水酸
化ニッケルを長期に保存しても、安定するため、放電状
態で放置した後の高率放電容量維持率を一層高める効果
が得られるようになる。この場合、イットリウム化合物
としてY2O3を用いるのが特に好ましい。
Claims (3)
- 【請求項1】 水酸化ニッケルを主成分とする正極活物
質を含有した正極と、水素吸蔵合金を主成分とする負極
活物質を含有した負極と、アルカリ電解液とを備えたニ
ッケル−水素蓄電池であって、 前記正極はコバルト化合物を被覆した水酸化ニッケルを
主成分とする正極活物質に、ニオブ化合物、チタン化合
物、マグネシウム化合物、タングステン化合物から選択
される少なくとも1種の化合物が添加されており、 前記負極は組成式がMmNiaCobMncMd(ただし、
MはCa,Mg,Alから選択される少なくとも1種の
元素である)で表されるCaCu5型の水素吸蔵合金を
含有し、かつ、MnとMの和の組成(c+d)とMnの
組成(c)との組成比率c/(c+d)が0.58≦c
/(c+d)≦0.67の関係を有していることを特徴
とするニッケル−水素蓄電池。 - 【請求項2】 前記コバルト化合物はアルカリカチオン
を含有するコバルト化合物であることを特徴とする請求
項1に記載のニッケル−水素蓄電池。 - 【請求項3】 前記ニオブ化合物、チタン化合物、マグ
ネシウム化合物、タングステン化合物から選択される少
なくとも1種の化合物の添加量は前記コバルト化合物を
被覆した水酸化ニッケルを主成分とする正極活物質の質
量に対して0.2質量%以上で1.0質量%以下である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のニッ
ケル−水素蓄電池。
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