JP5213989B2 - アルカリ二次電池正極活物質用被覆水酸化ニッケル粉末及びその製造方法 - Google Patents

アルカリ二次電池正極活物質用被覆水酸化ニッケル粉末及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルカリ二次電池用正極活物質である水酸化ニッケル粉末、特に粒子間の導電性を確保し、電池の利用率と寿命特性、出力特性を高めるために、コバルト化合物で被覆した被覆水酸化ニッケル粉末及びその製造方法に関する。
近年のポータブル機器の発展に伴い、その機器に使用される二次電池の高容量化が強く求められている。アルカリ二次電池正極材料用の水酸化ニッケル粉末においても、高温での利用率を改善するために水酸化ニッケル粉末にコバルトを固溶させたり、寿命特性を改善するために亜鉛やマグネシウムを固溶させたりする等の改善が行われている。
また、アルカリ二次電池はハイブリッド自動車用電源等のハイパワー用途の電源として採用されるに至り、上述した高温での利用率の向上や寿命特性の改善のみならず、出力特性の改善も強く求められてきている。しかしながら、アルカリ二次電池正極材料用の水酸化ニッケル粉末は、電気的に絶縁体であるため導電性に乏しく、電流が水酸化ニッケルに十分行き渡らないために、水酸化ニッケルの電気化学的利用率が低くなってしまうという問題があった。
このような問題を解決するために、導電材として酸化コバルトや水酸化コバルトなどのコバルト化合物を添加して、水酸化ニッケル粒子間の導電性を確保することが行われている。これらの添加されたコバルト化合物は、アルカリ二次電池の電解液である高濃度のアルカリ金属水酸化物溶液に溶解し、充電時に酸化されてオキシ水酸化コバルトとなって水酸化ニッケル粒子の表面に析出することで、電気導電性が発現され、水酸化ニッケル粒子間の導電ネットワークを形成する。
上記コバルト化合物を添加した水酸化ニッケル粉末の正極は、一般的に、水酸化ニッケル粉末とコバルト化合物粉末とをバインダーと共に混合してペースト化し、これを発泡メタル(材質はニッケルメタル)等の三次元金属多孔体に充填し、乾燥、プレス等の工程を経て製造されている。しかしながら、バインダーと共に混合されたコバルト化合物粉末は、水酸化ニッケル粉末中での分散状態が必ずしも十分なものではないため、高負荷充電時の使用条件では正極の利用率が大きく低下するという問題点があった。
この問題点を解決するための手段として、水酸化ニッケル粉末の表面をコバルト化合物で被覆する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、主成分が水酸化ニッケルの粒子にβ型水酸化コバルトの薄層を形成した蓄電池用ニッケル活物質が提案されている。このニッケル活物質は、アルカリ水溶液中でニッケル塩から水酸化ニッケル粉末を析出させた後、この水酸化ニッケル粉末を硫酸コバルト塩あるいは硝酸コバルト塩の水溶液中に浸漬し、次にアルカリ水溶液で中和することで得られるとされている。
また、水酸化コバルトで被覆した水酸化ニッケル粉末の製造方法として、特許文献2には、水酸化ニッケル粉末を含有し苛性アルカリでpH11〜13に調整された水溶液に、コバルトを含む水溶液とアンモニウムイオン供給体とを同時に連続的に定量供給することが記載されている。
更に、特許文献3には、水酸化ニッケル原料粉末の懸濁液のpH、温度、アンモニウムイオン濃度を所定値に維持しながら、ニッケルイオン濃度が10〜50mg/l及びコバルトイオン濃度が5〜40mg/lとなるように、水酸化ニッケル原料粉末1kgに対してコバルト換算で0.7g/分以下の供給速度でコバルトイオンを含む水溶液を供給すると共に、アンモニウムイオンを含む水溶液を該懸濁液に供給する方法が提案されている。
特開昭63−152866号公報 特開平07−133115号公報 特開2000−149941号公報
上記した特許文献1〜3の方法は、いずれも、予め水酸化コバルトで水酸化ニッケル粉末の粒子表面を被覆しておくことによって、導電性のコバルト化合物の分散性ないし均一性を確保しようとするものである。しかし、上記した従来の各方法では、水酸化コバルトの被覆層が水酸化ニッケル粒子表面に不均一に形成されたり、被覆層がペースト作製工程で剥がれてしまったりするため、導電性のコバルト化合物の均一性を確保することが難しいという問題点を有していた。
本発明は、このような従来の事情に鑑み、水溶液中で水酸化ニッケル粉末の粒子表面に水酸化コバルトを被覆する際にその均一性と密着性を確保して、アルカリ二次電池正極活物質用として好適な被覆水酸化ニッケル粉末を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、水酸化ニッケル粒子表面を水酸化コバルトで被覆する方法に関して鋭意研究を進めた結果、水酸化ニッケル粉末を水に分散させた懸濁液中でのコバルト塩水溶液とアルカリ水溶液の拡散状態が、水酸化コバルト被覆層の均一性と密着性に大きく影響していることを見出した。更に、上記懸濁液中でのコバルト塩水溶液とアルカリ水溶液の拡散状態は、懸濁液の流速とコバルト塩水溶液及びアルカリ水溶液の供給速度や供給位置により制御可能であることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明のアルカリ二次電池正極活物質用被覆水酸化ニッケル粉末の製造方法は、水酸化ニッケル粉末を水に分散させた懸濁液にコバルト塩水溶液とアルカリ水溶液を撹拌しながら供給し、中和晶析した水酸化コバルトで水酸化ニッケル粒子の表面を被覆するアルカリ二次電池正極活物質用被覆水酸化ニッケル粉末の製造方法において、コバルト塩水溶液とアルカリ水溶液を混合した懸濁溶液の25℃基準でのpHを8〜11.5の範囲内で一定値に保持しながら、コバルト塩水溶液接触部での懸濁液の流れ方向に対し垂直な方向のコバルト塩水溶液の供給幅(d)と懸濁液の流速(v)の積に対するコバルト塩水溶液の供給速度(ρ)の比ρ/(d×v)を0.01×10 −4 〜3.5×10 −4 mol/cm 制御すると共に、コバルト塩水溶液の供給幅dと懸濁液の流速vの積に対するコバルト塩水溶液の供給速度ρの比に対する、コバルト塩水溶液の供給位置とアルカリ水溶液の供給位置との離間距離(D)の比D/{ρ/(d×v)}を、0.5×10cm/mol以上に制御することを特徴とする。
また、本発明が提供するアルカリ二次電池正極活物質用被覆水酸化ニッケル粉末は、水酸化ニッケル粉末の粒子表面を水酸化コバルト及び/又はオキシ水酸化コバルトで被覆したアルカリ二次電池正極活物質用被覆水酸化ニッケル粉末であって、該被覆水酸化ニッケル粉末20gを水50mlと密閉容器中で1時間振蕩したときのコバルト化合物被覆層の剥離量が、全コバルト化合物被覆量の20質量%以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、懸濁液中で水酸化ニッケル粉末の粒子表面を水酸化コバルトで被覆する際に、水酸化ニッケル粒子表面を被覆する水酸化コバルト被覆層の均一性と密着性を安定的に確保することができる。従って、本発明の被覆水酸化ニッケル粉末は、その粒子表面を被覆している水酸化コバルト又はこれを酸化したオキシ水酸化コバルトなどのコバルト化合物が均一であり、且つその被覆層がバインダー等と混合してペースト化する過程で剥離することを防止できるため、アルカリ二次電池正極活物質用として非常に優れている。
また、本発明の被覆水酸化ニッケル粉末は、ペースト作製時に水酸化コバルトやオキシ水酸化コバルトの被覆層の剥離を防止できるだけでなく、高い導電性を有していることから、高出力特性が要求される電気自動車用やハイブリッド車用の電源としての用途に好適である。更に、導電性が改善されることにより利用率が向上することになるので、高容量を要求されるポータブル電子機器用の電源としても極めて有効である。
実施例1で作製したオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末のSEM写真である。 比較例1で作製したオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末のSEM写真である。
一般に、アルカリ二次電池正極活物質用の水酸化ニッケル粉末の製造方法においては、水酸化ニッケル粉末を水に分散させた懸濁液に、コバルト塩水溶液とアルカリ水溶液を撹拌しながら添加供給して、中和晶析反応により水酸化ニッケル粉末の表面に水酸化コバルトを被覆している。この方法では、pH値が低い領域ではコバルトがイオン状態で存在しているが、pH値の上昇に伴って徐々に水酸化コバルトの析出が始まる。このとき、近くに水酸化ニッケル粒子が存在していれば、よりエネルギー的に安定な水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトが析出する。
上記水酸化コバルトの析出過程について詳しく検討した結果、急激にコバルトイオン濃度が増大して、コバルトイオンが存在する懸濁液のpH領域における臨界過飽和度を超える場合には、近くに水酸化ニッケル粒子が存在していなくても、水中において単独で水酸化コバルトが析出することが分かった。ただし、上記懸濁液のpH値が低い場合、具体的にはpHが8未満の場合には、水酸化コバルトの析出速度が遅いために、コバルトイオン濃度が臨界過飽和度を超えていても、単独で水酸化コバルトが析出することはない。
一方、上記コバルトイオンが存在する懸濁液のpH値が8以上の場合には、コバルトイオン濃度の臨界過飽和度が低下するため、コバルトイオン濃度が増加すると容易に臨界過飽和度を超えることになり、その結果水酸化コバルトが水酸化ニッケル粒子の表面に付着せずに単独で析出してしまう。このように単独で析出した水酸化コバルトは、水酸化ニッケルスラリーを濾過したときに水酸化ニッケル粒子の表面に付着するが、まばらに付着するため均一性が悪いうえ、単に濾過によって付着しただけであるため密着性も極めて悪いことが判明した。
このような水酸化コバルトの析出過程の検討結果から、本発明においては、水酸化ニッケル粒子の表面に密着性の高い水酸化コバルトを均一に形成するため、水酸化ニッケル粒子の懸濁液のpH(25℃基準)を8以上の領域に制御し、そのpH領域における液中のコバルトイオン濃度を水酸化コバルトの単独析出が発生しない濃度以下に維持することとした。この方法により水酸化ニッケル粒子表面に析出した水酸化コバルトは、水酸化ニッケルの表面構造に準じて析出するため、粒子表面上に均一に形成され且つ密着性が極めて高くなる。
このように均一性及び密着性の高い水酸化コバルトの析出を確実にするためには、高コバルトイオン濃度域の形成を避けることが重要である。そのためには、コバルト塩水溶液の供給速度と該供給部へ流入し混合される懸濁液量の比を小さくすればよい。即ち、コバルト塩水溶液の供給速度を低下させて、混合される懸濁液量が少ない場合でも十分にコバルト塩濃度を低くするか、あるいは混合される懸濁液量を多くし、懸濁液中に供給したコバルト塩水溶液をできるだけ速く懸濁液中に拡散させて希釈して、懸濁液中に極端にコバルトイオン濃度の高い領域が出現する状態を防止する必要がある。
上記混合される懸濁液量とは、供給されるコバルト塩水溶液と懸濁液面で接触して混合される部分に流入する懸濁液量と考えてよく、初期の混合は極短時間で行われるので、懸濁液の流速が十分である場合は単位時間にコバルト塩水溶液と接触する懸濁液面と考えることができる。即ち、上記混合される懸濁液量は、コバルト塩水溶液接触部での懸濁液面の流れ方向に対し垂直な方向のコバルト塩水溶液の供給幅(d)と懸濁液面の流速(v)との積と考えることができる。尚、懸濁液面のコバルト塩水溶液接触部が円形の場合には、懸濁液面の流れ方向に対し垂直な方向のコバルト塩水溶液の供給幅(d)は懸濁液面との接触部の直径に等しくなる。また、懸濁液面の流速は、実測が困難な場合には、シミュレーションにより容易に求めることができる。
従って、本発明においては、コバルト塩水溶液接触部での懸濁液の流れ方向に対し垂直な方向のコバルト塩水溶液の供給幅(d)と懸濁液の流速(v)の積に対するコバルト塩水溶液の供給速度(ρ)の比、即ちρ/(d×v)を小さくする、具体的には3.5×10−4mol/cm以下にとすることが必要であり、2.0×10−4mol/cm以下とすることが好ましい。上記コバルト塩水溶液の供給幅(d)と懸濁液の流速(v)の積に対するコバルト塩水溶液の供給速度(ρ)の比、即ちρ/(d×v)が3.5×10−4mol/cmを超えると、コバルトイオンの高濃領域が出現して水酸化コバルトの単独析出が発生する。尚、上記ρ/(d×v)の下限は、特に限定されるものではないが、供給速度(ρ)を低下させると生産性が低下するため、0.01×10−4mol/cm以上とすることが好ましい。
ここで、上記コバルト塩水溶液接触部、即ちコバルト塩水溶液が懸濁液面と接触する部分の面積は、コバルト塩水溶液を供給口から液流として供給し且つ供給口が小さい場合には、供給口の懸濁液面への投影面積と一致する。よって、コバルト塩水溶液の供給口が小さい場合、上記コバルト塩水溶液接触部の面積は、その供給口の懸濁液面への投影面積としてよい。一方、コバルト塩水溶液の供給口が大きい場合には、一般的に供給口内でのコバルト塩水溶液の流速が遅くなるため、供給口から一様にコバルト塩水溶液を供給することができず、上記コバルト塩水溶液の懸濁液面との接触面積を制御することが困難となる。
従って、上記コバルト塩水溶液を供給口から液流として供給し、その供給口の懸濁液面への投影面積が小さいこと、具体的には供給口の断面積を0.01〜1.0cmとすることが好ましい。コバルト塩水溶液の供給口の断面積が0.01cm未満では、コバルト塩水溶液の供給速度が遅くなり、十分な生産性が得られないことがある。また、供給口の断面積が1.0cmを超えると、供給口から一様にコバルト塩水溶液が供給され難くなり、供給口の懸濁液面への投影面積内であってもコバルト塩水溶液の供給量が変動してしまい、特定部分に集中して供給されやすくなるため、コバルト塩水溶液が十分に拡散されないことがある。
尚、コバルト塩水溶液を供給口からスプレーノズル等により懸濁液面に噴霧することによって供給する場合には、上記コバルト塩水溶液の懸濁液面との接触面積はコバルト塩水溶液が懸濁液面に噴霧される面積とすることができる。
また、上記のごとく供給口から懸濁液面に均一にコバルト塩水溶液を供給できる範囲内であれば、コバルト塩水溶液の全供給量を増大させて生産性を上げるために、供給口を複数設置してもよい。供給口の数については、特に制限されるものではなく、各供給口でのコバルト塩水溶液の供給速度や、コバルト塩水溶液の供給幅と懸濁液の流速の積を考慮して決めればよい。
更に、コバルト塩水溶液の供給部で急激にpH値が上昇したときも、その高pH域内において上記水酸化コバルトの単独析出が発生しない濃度が低下して水酸化コバルトの単独析出が容易になるため、近くに水酸化ニッケル粒子が存在していなくても水酸化コバルトの単独析出が始まり、密着性と均一性の悪い水酸化コバルトが水酸化ニッケル表面粒子に付着しやすくなる。そのため、同時に供給するアルカリ水溶液も十分な速度で拡散させ、アルカリ水溶液の急激な濃度上昇による高pH域の形成を抑制することが好ましい。
例えば、懸濁液の流速が十分に速くても、特に懸濁液表面への単位面積あたりのコバルト塩供給速度が0.01mol/cm・分を超える場合、添加するコバルト塩水溶液の供給位置とアルカリ水溶液の供給位置との距離が近いと、懸濁液中でアルカリ水溶液が十分に拡散される前に高pH域がコバルト塩水溶液と接して反応が起きてしまうため、密着性や均一性の悪い水酸化コバルトが析出する可能性が高くなる。
これを避けるためには、上記コバルト塩水溶液の供給幅dと懸濁液の流速vの積に対するコバルト塩水溶液の供給速度ρの比{ρ/(d×v)}に対する、コバルト塩水溶液の供給位置とアルカリ水溶液の供給位置との離間距離(D)の比、即ちD/{ρ/(d×v)}が0.5×10以上cm/mol以上であることが好ましく、1.0×10cm/mol以上であることが更に好ましい。尚、上記D/{ρ/(d×v)}の上限は、特に限定されるものではないが、供給速度(ρ)や反応槽の大きさから制限を受けるため、その上限としては100×10程度である。
ここで、水酸化コバルトで被覆される芯材としての水酸化ニッケルは、アルカリ二次電池正極活物質用として公知のものを使用できるが、その中でも特に一般式:Ni1−x−yCo(OH)(但し、xは0.005〜0.05、yは0.005〜0.05、MはCa、Mg、Znのうちの1種以上である)で表される水酸化ニッケルを用いることが好ましい。
上記一般式において、コバルトの含有量を表す式中のxが0.005未満ではコバルトの添加により達成される充電効率の向上効果が得られず、逆に0.05を超えると放電電圧の低下が発生して電池性能が低下する。また、添加元素を表すMの含有量については、式中のyが0.005未満では元素Mの添加効果である充放電時における水酸化ニッケルの体積変化の低減効果が発揮されず、逆に0.05を超えると体積変化の低減効果以上に電池容量の低下を招き、電池性能が悪化するため好ましくない。
次に、本発明の水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末の製造方法について、更に具体的に説明する。尚、本発明の製造方法は、連続方式にて実施することで生産性を向上できるが、水酸化ニッケル粒子への均一な被覆を実現するためにはバッチ方式で実施することが好ましい。従って、以下の説明はバッチ方式による製造方法を例にして説明する。
まず、水酸化ニッケル粉末の懸濁液、コバルト塩水溶液、及びアルカリ水溶液を準備する。芯材となる水酸化ニッケル粉末は、電池の正極材として用いられたとき良好な電池特性を得るため、平均粒径が6〜12μmのものが好ましい。また、懸濁液の水酸化ニッケル濃度は400〜1200g/lが好ましい。濃度が400g/l未満では、水酸化コバルトの析出場所となる水酸化ニッケル粒子表面の活性点が不足し、液中で水酸化コバルトが単独で析出することがある。一方、水酸化ニッケル濃度が1200g/lを超えると、懸濁液の粘度が上昇して撹拌が十分行えなくなり、水酸化コバルトの被覆が不均一になることがある。
上記コバルト塩は、特に限定されるものではなく、pH制御により水酸化コバルトが生成される水溶性のコバルト化合物であればよい。具体的には、硫酸コバルトや塩化コバルトが好ましく、ハロゲンによる汚染のない硫酸コバルトがより好ましい。また、上記アルカリとしては、特に限定されるものではないが、水溶性の水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどが好ましく、コストの観点から水酸化ナトリウムが特に好ましい。
上記水酸化ニッケル粉末の懸濁液は、不純物の混入を防止するため、純水等に粒子を分散させたものが好ましい。また、コバルト塩水溶液及びアルカリ水溶液についても、コバルト塩あるいはアルカリをそれぞれ純水に溶解したものが好ましい。尚、コバルト塩水溶液及びアルカリ水溶液の濃度は、装置の配管等に再析出せず、懸濁液の水酸化ニッケル濃度変化に支障のない程度に抑制できる範囲であればよく、懸濁液の濃度などに応じて所定の濃度のものを使用できる。
上記バッチ方式の製造方法においては、芯材となる水酸化ニッケル粉末の懸濁液の入った反応槽に、被覆層を形成するコバルト塩水溶液と、アルカリ水溶液とを、撹拌しながら連続的に供給して、中和晶析する水酸化コバルトで水酸化ニッケル粒子の表面を被覆させることにより、水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末を製造する。上記バッチ式での反応槽は、特に限定されないが、水酸化ニッケル粉末の粒子表面に均一な被覆を行うため、撹拌装置と液温調整機構を有するものが望ましい。
上記コバルト塩水溶液及びアルカリ水溶液は、それぞれ個別に供給する必要があるが、これらを同時に供給してもよいし、反応槽に懸濁液の一部を入れておき、この懸濁液にコバルト塩水溶液及びアルカリ水溶液と残りの懸濁液を供給してもよい。ただし、これら全ての液を予め混合し、混合液として反応槽に供給すると、混合液中で反応を起こして水酸化コバルトが単独で析出することがある。また、懸濁液に対してコバルト塩水溶液及びアルカリ水溶液を個別に供給しない場合には、水酸化ニッケルの粒子表面に形成される水酸化コバルトの被覆量が粒子間で均一にならないことがある。
供給されたコバルト塩水溶液とアルカリ水溶液が平衡状態まで混合されたときの懸濁液のpHは、25℃基準で8〜11.5の範囲に保持することが好ましく、9.5〜10.5の範囲に保持することが更に好ましい。上記の懸濁液のpH値が8未満では水酸化コバルトの析出が遅すぎるため生産性が低下し、逆にpH値が11.5を超えると生成する水酸化コバルトがゲル状となりやすいため良好な被覆が困難になることがある。
また、上記した懸濁液のpHは、25℃基準で8〜11.5の範囲内で一定値に保持し、変動幅±0.2の範囲内で制御されることが好ましい。pHの変動幅が上記範囲を超えると、水酸化コバルトによる被覆量が変動する恐れがある。尚、上記懸濁液のpHは、例えば、ガラス電極法を用いたpHコントローラーで連続測定され、pHが上記変動幅で一定となるようにアルカリ水溶液の流量をpHコントローラーにより連続的にフィードバック制御することが望ましい。
懸濁液の温度は、コバルト塩水溶液及びアルカリ水溶液の添加前後で、30〜60℃の範囲であることが好ましい。温度が30℃未満では反応速度が低下するため水酸化コバルトの析出が遅くなり、逆に60℃を超えると反応速度が速すぎるため、水酸化ニッケル粒子表面への水酸化コバルトの析出が不均一になりやすいからである。また、上記懸濁液の温度は、上記温度範囲内の一定値で、変動幅±1℃に制御されることが好ましい。温度が上記変動幅を超えると、析出する水酸化コバルト中の不純物濃度に変動が生じるため、電池に用いられたときの特性が安定しない恐れがある。
上記した本発明の製造方法によって、粒子表面に水酸化コバルトの被覆層が均一且つ強固に形成された水酸化ニッケル粉末が得られる。また、本発明においては、上記のごとく懸濁液中で水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトを被覆した後、更に懸濁液を撹拌しながら空気や酸素を供給するか若しくは酸化剤を添加するなどの方法により、被覆層である水酸化コバルトを酸化させてオキシ水酸化コバルトにすることも可能である。
また、水酸化コバルトやオキシ水酸化コバルトの被覆層を有する本発明の被覆水酸化ニッケル粉末では、その被覆層に含有されるコバルト量は芯材である水酸化ニッケル粒子と被覆層の合計に対して3〜7質量%の範囲が好ましい。上記被覆層中のコバルト量が3質量%未満では、コバルト化合物としての被覆量が不足し、水酸化コバルト粒子表面の被覆効果が十分に発揮されない。一方、上記被覆層中のコバルト量が7質量%を超えても、コバルト化合物の被覆量が増えるだけで被覆効果の更なる向上は認められない。
本発明により得られるコバルト化合物で被覆された水酸化ニッケル粉末は、水酸化ニッケル粒子表面に形成された上記コバルト化合物の被覆層が均一で且つ密着性に優れている。コバルト化合物被覆層の均一性及び密着性が優れている結果、被覆水酸化ニッケル粉末20gを水50mlと共に密閉容器中で混合し、1時間振蕩したときのコバルト化合物被覆層の剥離量を、コバルト化合物被覆層の全被覆量に対して20質量%以下に抑えることができる。上記剥離量が20質量%を超える場合、ペースト製造時にコバルト化合物が剥離してペースト粘度が不安定になることがある。
このようにコバルト化合物被覆層の剥離量を全コバルト化合物被覆層の20質量%以下に抑えることによって、その被覆水酸化ニッケル粉末をアルカリ二次電池の正極用ペースト製造工程でバインダー等と混合したときコバルト化合物被覆層が剥離せず、また剥離しても剥離の割合が少ないので、正極において水酸化ニッケル粒子間の導電性が十分に確保される。従って、本発明の水酸化ニッケル粉末は、アルカリ二次電池の正極活物質用として極めて優れている。
[実施例1]
直径25cmで深さ30cmの反応槽内に球状で平均粒径が8μmの水酸化ニッケル粉末6kgを入れ、総量10リットルとなるように水を加えた後、撹拌プロペラを用いて回転数500rpmで撹拌することにより分散させて、水酸化ニッケル粉末の懸濁液を作製した。
この懸濁液を撹拌しながら懸濁液表面の流速が15.8cm/秒の平衡状態となったところで、ローラーポンプを用いて直径2mmの供給口1箇所から、濃度1.6mol/lの硫酸コバルト水溶液2.017リットルを16.8ml/分の供給速度で2時間かけて添加した。同時に、硫酸コバルト水溶液の供給口から15cm離れた同じ直径の供給口1箇所から、懸濁液の流速が上記と同じところに、懸濁液のpHが25℃基準で10.2±0.2の範囲内となるようにpHコントローラーと連動したローラーポンプを用いて制御しながら、24質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加した。
このとき、懸濁液に供給されるコバルト塩水溶液の供給幅dと懸濁液の流速vの積に対するコバルト塩水溶液の供給速度ρの比、即ちρ/(d×v)は1.42×10−4mol/cmであり、上記コバルト塩水溶液の供給幅dと懸濁液の流速vの積に対するコバルト塩水溶液の供給速度ρの比に対するコバルト塩水溶液の供給位置とアルカリ水溶液の供給位置の距離Dとの比、即ちD/{ρ/(d×v)}は1.06×10cm/molであった。尚、この反応中における懸濁液の温度は50℃に制御した。
上記の操作により、懸濁液中において水酸化ニッケル粉末の粒子表面に水酸化コバルトが析出し、粒子表面に水酸化コバルトの被覆層を有する水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末が得られた。上記操作で硫酸コバルト水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を全量添加した後、更にスラリーを撹拌しながら4時間空気を吹き込み、水酸化ニッケル粒子表面に析出した水酸化コバルトを酸化させてオキシ水酸化コバルトとした。
その後、フィルタープレスを用いて固液分離し、回収した粉末を水洗し、再び濾過した。引き続き、得られた粉末を真空乾燥機にて120℃で20時間乾燥して、6.3kgのオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末を得た。得られたオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末は、こげ茶色を呈していた。この粉末のオキシ水酸化コバルトによる被覆状態をSEMで観察すると、図1に示すように、均一な被覆層を有する粒子であることが確認できた。
次に、このオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末20gを水50mlと共にプラスチック容器に密封し、シェーカーミキサーを用いて1時間振蕩した後、オキシ水酸化コバルト被覆層の剥離状態を確認したところ、容器内に細かい剥離物などの付着は全く認められず、オキシ水酸化コバルト被覆層の剥離は発生しなかった。
上記振蕩後のオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末10gを純水200mlと撹拌混合した後、静置してオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末を沈殿させ、剥離したオキシ水酸化コバルトを上澄みとして分離した。分離後のオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末と振蕩前のオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末のコバルト含有量を比較することによりオキシ水酸化コバルトの剥離量を求めたところ、全オキシ水酸化コバルト被覆量に対して20質量%以下であった。
[実施例2]
直径84cmで深さ100cmの反応槽を用い、上記実施例1と同じ水酸化ニッケル粉末240kgを入れ、総量350リットルとなるように水を加えた後、撹拌プロペラを用いて回転数350rpmで撹拌することにより分散させて、水酸化ニッケル粉末の懸濁液を作製した。
この懸濁液の表面の流速が49.7cm/秒のところに、1.6mol/lの濃度に調整した硫酸コバルト水溶液80.7リットルを、ローラーポンプを用いて直径2mmの供給口10箇所から1箇所あたり67.2ml/分の添加速度で2時間かけて添加した。同時に、これより20cm離れた懸濁液の流速が同じところに、懸濁液のpHが25℃基準で10.2±0.2の範囲内となるようにpHコントローラーと連動したローラーポンプを用いて制御しながら、24質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、水酸化ニッケル粒子表面に水酸化コバルトを析出させた。
このとき、懸濁液に供給されるコバルト塩水溶液の供給幅dと懸濁液の流速vの積に対するコバルト塩水溶液の供給速度ρの比、即ちρ/(d×v)は1.80×10−4mol/cmであり、上記コバルト塩水溶液の供給幅dと懸濁液の流速vの積に対するコバルト塩水溶液の供給速度ρの比に対するコバルト塩水溶液の供給位置とアルカリ水溶液の供給位置の距離Dとの比、即ちD/{ρ/(d×v)}は1.11×10cm/molであった。尚、この反応中における懸濁液の温度は50℃に制御した。
上記の操作により水酸化ニッケル粉末の粒子表面に水酸化コバルトが析出し、粒子表面に水酸化コバルトの被覆層を有する水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末が得られた。上記操作で硫酸コバルト水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を全量添加した後、更にスラリーを撹拌しながら4時間空気を吹き込み、水酸化ニッケル粒子表面に析出した水酸化コバルトを酸化させてオキシ水酸化コバルトとした。
その後、フィルタープレスを用いて固液分離し、回収した粉末を水洗し、再び濾過した。引き続き、得られた粉末を真空乾燥機にて120℃で20時間乾燥して、252kgのオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末を得た。得られたオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末は、こげ茶色を呈していた。
この粉末のオキシ水酸化コバルト被覆層による被覆状態をSEMで観察評価したところ、上記実施例1と同様に均一な被覆状態の粒子であることが確認できた。また、上記実施例1と同様に振盪したところ振蕩によるオキシ水酸化コバルトの剥離は認められず、水酸化コバルトの剥離量は全オキシ水酸化コバルト被覆量に対して20質量%以下であった。
[実施例3]
直径190cmで深さ220cmの反応槽を用い、上記実施例1と同じ水酸化ニッケル粉末2880kgを入れ、総量3000リットルとなるように水を加えた後、撹拌プロペラを用いて回転数150rpmで撹拌することにより分散させて、水酸化ニッケル粉末の懸濁液を作製した。
この懸濁液の表面の流速が126.5cm/秒のところに、1.6mol/lの濃度に調整した硫酸コバルト水溶液968.3リットルを、ローラーポンプを用いて1箇所あたり4035ml/分の添加速度で、懸濁液面上での噴霧面積が直径500mmとなるノズル2箇所から2時間かけて添加した。同時に、これより20cm離れた懸濁液の流速が同じところに、懸濁液のpHが25℃基準で10.2±0.2の範囲内となるようにpHコントローラーと連動したローラーポンプを用いて制御しながら、24質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、水酸化ニッケル粒子表面に水酸化コバルトを析出させた。
このとき、懸濁液に供給されるコバルト塩水溶液の供給幅dと懸濁液の流速vの積に対するコバルト塩水溶液の供給速度ρの比、即ちρ/(d×v)は1.70×10−5mol/cmであり、上記コバルト塩水溶液の供給幅dと懸濁液の流速vの積に対するコバルト塩水溶液の供給速度ρの比に対するコバルト塩水溶液の供給位置とアルカリ水溶液の供給位置の距離Dとの比、即ちD/{ρ/(d×v)}は11.8×10cm/molであった。尚、この反応中における懸濁液の温度は50℃に制御した。
上記の操作により水酸化ニッケル粉末の粒子表面に水酸化コバルトが析出し、粒子表面に水酸化コバルトの被覆層を有する水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末が得られた。上記操作で硫酸コバルト水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を全量添加した後、更にスラリーを撹拌しながら4時間空気を吹き込み、水酸化ニッケル粒子表面に析出した水酸化コバルトを酸化させてオキシ水酸化コバルトとした。
その後、フィルタープレスを用いて固液分離し、回収した粉末を水洗し、再び濾過した。引き続き、得られた粉末を真空乾燥機にて120℃で20時間乾燥して、3165kgのオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末を得た。得られたオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末は、こげ茶色を呈していた。
この粉末のオキシ水酸化コバルト被覆層による被覆状態をSEMで観察評価したところ、上記実施例1と同様に均一な被覆状態の粒子であることが確認できた。また、上記実施例1と同様に振盪したところ振蕩によるオキシ水酸化コバルトの剥離は認められず、水酸化コバルトの剥離量は全オキシ水酸化コバルト被覆量に対して20質量%以下であった。
[比較例1]
撹拌プロペラの回転数を300rpmとし、懸濁液表面の流速が5cm/秒となったところで硫酸コバルト水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を添加した以外は上記実施例1と同様にして、水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末を得た後、更に水酸化コバルトを酸化させてオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末を得た。
このとき、懸濁液に供給されるコバルト塩水溶液の供給幅dと懸濁液の流速vの積に対するコバルト塩水溶液の供給速度ρの比、即ちρ/(d×v)は4.48×10−4mol/cmであり、上記コバルト塩水溶液の供給幅dと懸濁液の流速vの積に対するコバルト塩水溶液の供給速度ρの比に対するコバルト塩水溶液の供給位置とアルカリ水溶液の供給位置の距離Dとの比、即ち、D/{ρ/(d×v)}は0.335×10cm/molであった。尚、この反応中における懸濁液の温度は50℃に制御した。
上記操作で硫酸コバルト水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を全量添加した後、上記実施例1と同様に更にスラリーを撹拌しながら4時間空気を吹き込み、水酸化ニッケル粒子表面に析出した水酸化コバルトを酸化させてオキシ水酸化コバルトとした。得られた粉末を、上記実施例1と同様に洗浄、濾過及び乾燥して、オキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末を得た。得られたオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末は、こげ茶色を呈していた。
この粉末のオキシ水酸化コバルト被覆層による被覆状態をSEMで観察評価したところ、図2に示すように表面のところどころに燐片状のオキシ水酸化コバルトが観察され、被覆状態が不均一な粒子であることが確認された。また、この粉末を上記実施例1と同様に振盪したところ、プラスチック容器の内側に細かいこげ茶色の付着粒子が認められ、この付着粒子をEDXで分析したところ被覆層のオキシ水酸化コバルトが剥離していることが確認された。オキシ水酸化コバルトの剥離量は、全オキシ水酸化コバルト被覆量に対して22質量%であった。
[比較例2]
硫酸コバルト水溶液を、ローラーポンプを用いて直径8mmの供給口1箇所から672.4ml/分の添加速度で2時間かけて添加した以外は上記実施例2と同様にして、オキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末を得た後、水酸化ニッケル粒子表面に析出した水酸化コバルトを酸化させてオキシ水酸化コバルトとした。
このとき、懸濁液に供給されるコバルト塩水溶液の供給幅dと懸濁液の流速vの積に対するコバルト塩水溶液の供給速度ρの比、即ちρ/(d×v)は4.51×10−4mol/cmであり、上記コバルト塩水溶液の供給幅dと懸濁液の流速vの積に対するコバルト塩水溶液の供給速度ρの比に対するコバルト塩水溶液の供給位置とアルカリ水溶液の供給位置の距離Dとの比、即ちD/{ρ/(d×v)}は0.443×10cm/molであった。尚、この反応中における懸濁液の温度は50℃に制御した。
得られたオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル粉末は、こげ茶色を呈しており、上記実施例1と同様にして評価したところ、比較例1と同様に表面のところどころに燐片状のオキシ水酸化コバルトが観察され、被覆状態が不均一な粒子であることが確認された。また、この粉末を上記実施例1と同様に振盪したところ、プラスチック容器の内側に細かいこげ茶色の付着粒子が認められ、この付着粒子をEDXで分析したところ被覆層のオキシ水酸化コバルトが剥離していることが確認された。オキシ水酸化コバルトの剥離量は、全オキシ水酸化コバルト被覆量に対して25質量%であった。

Claims (2)

  1. 水酸化ニッケル粉末を水に分散させた懸濁液にコバルト塩水溶液とアルカリ水溶液を撹拌しながら供給し、中和晶析した水酸化コバルトで水酸化ニッケル粒子の表面を被覆するアルカリ二次電池正極活物質用被覆水酸化ニッケル粉末の製造方法において、コバルト塩水溶液とアルカリ水溶液を混合した懸濁溶液の25℃基準でのpHを8〜11.5の範囲内で一定値に保持しながら、コバルト塩水溶液接触部での懸濁液の流れ方向に対し垂直な方向のコバルト塩水溶液の供給幅(d)と懸濁液の流速(v)の積に対するコバルト塩水溶液の供給速度(ρ)の比ρ/(d×v)を0.01×10 −4 〜3.5×10 −4 mol/cm 制御すると共に、コバルト塩水溶液の供給幅dと懸濁液の流速vの積に対するコバルト塩水溶液の供給速度ρの比に対する、コバルト塩水溶液の供給位置とアルカリ水溶液の供給位置との離間距離(D)の比D/{ρ/(d×v)}を、0.5×10cm/mol以上に制御することを特徴とするアルカリ二次電池正極活物質用被覆水酸化ニッケル粉末の製造方法。
  2. 前記懸濁液中で水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトを被覆した後、更に懸濁液を撹拌しながら空気や酸素を供給するか若しくは酸化剤を添加することにより、被覆層である水酸化コバルトを酸化させてオキシ水酸化コバルトにすることを特徴とする、請求項1に記載のアルカリ二次電池正極活物質用被覆水酸化ニッケル粉末の製造方法。
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