JP2011071125A - アルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

アルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 自己放電特性が良好なアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法を提供する。
【解決手段】 水酸化ニッケル粒子を含む水溶液中に、水酸化ナトリウム水溶液を供給してpHを11.5〜13.5の範囲に保ちつつコバルトイオンを含む水溶液を供給すると共に、空気を供給して、水酸化ニッケル粒子の表面にコバルト化合物層を形成するコバルト化合物層形成工程を有する、アルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法に関する。
近年、アルカリ蓄電池は、ポータブル機器や携帯機器などの電源として、また、電気自動車やハイブリッド自動車などの電源として注目されている。このようなアルカリ蓄電池としては、様々のものが提案されているが、このうち、水酸化ニッケルを主体とした活物質からなる正極と、水素吸蔵合金を主成分とした負極と、水酸化カリウムなどを含むアルカリ電解液とを備えるニッケル水素二次電池は、エネルギー密度が高く、信頼性に優れた二次電池として急速に普及している。
ところで、ニッケル水素二次電池の正極は、電極の製法の違いによって、焼結式ニッケル電極とペースト式(非焼結式)ニッケル電極との2種類に大別される。このうち、焼結式ニッケル電極は、穿孔鋼板(パンチングメタル)の両面にニッケル微粉末を焼結した多孔性焼結基板の微細孔内に、溶液含浸法などによって、水酸化ニッケルを析出させて製作される。一方、ペースト式ニッケル電極は、高孔度の発泡ニッケル多孔体基板(発泡ニッケル基板)の細孔内に、水酸化ニッケルを含む活物質を直接に充填して作製される(例えば、特許文献1参照)。
特開昭62−15769号公報 特許3363670号 特許3234492号 特開2001−357844号公報
ペースト式ニッケル電極は、水酸化ニッケルの充填密度が高く、高エネルギー密度化が容易であるために、現在では、ニッケル水素蓄電池用正極の主流となっている。近年、ペースト式ニッケル電極について、充填する活物質粉末や添加物などの改良により、活物質の利用率の向上、高率放電特性や出力特性の向上が図られている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
特許文献2では、酸素とアルカリの共存下で加熱処理することにより、亜鉛、カドミウム、マグネシウム、及びカルシウムのうちの1種以上を固溶状態で含む水酸化ニッケル粒子の表面に、結晶性の乱れた2価よりも大きいコバルトの化合物の被覆層を形成する。2価よりも大きいコバルトの化合物は導電性が非常に高いため、活物質の利用率が著しく向上するとされている。その上、亜鉛、カドミウム、マグネシウム、及びカルシウムのうちの1種以上を固溶状態で水酸化ニッケル粒子に含有させることにより、高い活物質の利用率を維持しつつ、過放電したときの容量の低下を抑制できるとされている。
特許文献3では、水酸化ニッケル粒子、または水酸化ニッケルを主成分とする粒子の表面に、ナトリウム含有量を0.1〜10重量%としたナトリウム含有コバルト化合物の導電層を形成する。コバルト化合物の結晶中にナトリウムが取り込まれることにより、導電性の高い化合物となり、これにより、活物質の利用率が極めて高くなるとされている。
特許文献4は、少量のマグネシウムを含む水酸化ニッケルの固溶体において、優れた高率放電特性及び出力特性を示すことを明らかにしている。さらに、少量のマグネシウムを含む水酸化ニッケルの固溶体を正極活物質に用いることにより、γ−NiOOHの生成を抑制することができるので、電池のサイクル寿命も向上する。
特許文献2または特許文献3では、活物質のコバルト化合物層の導電性を高めることで、正極の集電性を向上させ、活物質の利用率を高めているが、その反面、自己放電特性が著しく低下してしまうことが判明した。これは、水酸化ニッケルの表面に、予め、導電性の高いコバルト化合物層を設けると、水酸化ニッケル表面付近の反応性が著しく向上するため、局所的に充電深度が大きくなると推察される。このように、局所的に充電深度が大きい部分は高電位となるので、優先的に酸素発生反応を伴い、自己放電反応が進行してしまうと考えられる。これに加えて、高率放電特性及び出力特性を向上させるべく、活物質の水酸化ニッケルにマグネシウムを固溶状態で含有させた場合(特許文献4参照)には、さらに、自己放電が加速してしまうと考えられる。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、自己放電特性が良好なアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
少なくともマグネシウムを固溶状態で含む水酸化ニッケル粒子と、上記水酸化ニッケル粒子の表面を被覆するコバルト化合物層と、を有するアルカリ蓄電池用正極活物質であって、上記コバルト化合物層は、自身に含まれるコバルトの平均価数が、2.6以上3.0以下であり、自身の全重量に対し0.10重量%より少ない割合でナトリウムを含み、当該正極活物質を39.2MPa(400kgf/cm2)で加圧した状態での導電率が、1.0×10-5S/cmより小さいアルカリ蓄電池用正極活物質が好ましい。
上述のアルカリ蓄電池用正極活物質は、少なくともマグネシウムを固溶状態で含む水酸化ニッケル粒子を有している。水酸化ニッケル粒子に、少なくともマグネシウムを固溶状態で含ませることにより、高率放電特性及び出力特性を良好とすることができる。これは、充電状態でも、2価で安定なマグネシウムが水酸化ニッケル結晶中に存在することで、水酸化ニッケルの電子伝導性が良好となるためと考えられる。
さらに、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質では、水酸化ニッケル粒子の表面を被覆するコバルト化合物層に含まれるコバルトの平均価数を、2.6以上3.0以下としている。これにより、自己放電特性を良好にする(自己放電を抑制する)ことができる。具体的には、コバルトの平均価数を2.6以上とすることで、充電により、電池内で電気化学的に酸化して形成される、導電性の高いオキシ水酸化コバルトの割合が大きくなるのを抑制することができる。これにより、自己放電特性の低下を抑制することができる。
また、コバルトの平均価数を3.0以下とすることにより、コバルト化合物の結晶中における電荷のバランスを保ち、コバルト化合物を安定させることができる。従って、電池内のアルカリ電解液との反応を抑制し、結晶中にナトリウムイオンやカリウムイオンなどのカチオンを取り込むのを抑制することができる。これにより、コバルト化合物の電子導電性の上昇を抑制することができ、ひいては、自己放電特性を良好にすることができる。
さらに、このコバルト化合物層に含まれるナトリウムの割合を、コバルト化合物層の全重量に対し0.10重量%より少なくしている。このように、ナトリウムの含有量を低くすることにより、ナトリウムイオンがコバルト化合物の結晶中に取り込まれても、コバルト化合物の電子導電性が高くなり過ぎず、自己放電特性の低下を抑制することができる。
さらに、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質は、39.2MPa(400kgf/cm2)で加圧した状態での導電率が、1.0×10-5S/cmより小さい。このように、導電率を小さくすることにより、自己放電特性を良好にすることができ、サイクル寿命特性も良好となる。
さらに、上記のアルカリ蓄電池用正極活物質であって、前記水酸化ニッケル粒子に固溶状態で含まれる前記マグネシウムの割合は、上記水酸化ニッケル粒子に含まれる全ての金属元素に対し、2モル%以上10モル%以下であるアルカリ蓄電池用正極活物質であるのが好ましい。
上述のアルカリ蓄電池用正極活物質では、水酸化ニッケル粒子に固溶状態で含まれるマグネシウムの割合を、水酸化ニッケル粒子に含まれる全ての金属元素に対し、2モル%以上10モル%以下としている。マグネシウムの割合を2モル%以上とすることにより、適切に、高率放電特性及び出力特性を良好とすることができる。但し、マグネシウムの割合が10モル%を上回ると、自己放電が著しく速くなる虞がある。これに対し、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質では、マグネシウムの割合を10モル%以下としているため、適切に、自己放電を抑制することができる。
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池用正極活物質であって、当該正極活物質に含まれる硫酸根は、1.0重量%以下であるアルカリ蓄電池用正極活物質であるのが好ましい。
正極活物質に含まれる硫酸根の割合が1.0重量%を上回ると、充放電の繰り返しにより、コバルト化合物の結晶中に硫酸根が取り込まれ、コバルト化合物の結晶性が低下し易くなる。結晶性が低いコバルト化合物は、充放電の繰り返しにより還元され易くなり、適切に、自己放電を抑制することができなくなる虞がある。これに対し、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質では、当該正極活物質に含まれる硫酸根の割合を1.0重量%以下としているため、長期間にわたって自己放電特性を良好にすることができる。
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池用正極活物質であって、前記水酸化ニッケル粒子は、CuKα線を使用するX線回折の2θ=37°〜40°付近に位置する(101)面のピークの半価幅が、0.7°より大きく1.2°以下であるアルカリ蓄電池用正極活物質であるのが好ましい。
水酸化ニッケル粒子の結晶性が高くなり過ぎると、具体的には、CuKα線を使用するX線回折の2θ=37°〜40°付近に位置する(101)面のピークの半価幅が0.7°以下の場合、格子欠陥が少ないためにプロトン拡散が遅くなり(反応が阻害され)、高率放電特性が著しく低下してしまう虞がある。逆に、水酸化ニッケル粒子の結晶性が低くなり過ぎると、具体的には、CuKα線を使用するX線回折の2θ=37°〜40°付近に位置する(101)面のピークの半価幅が1.2°を上回ると、正極中の水酸化ニッケル粒子が低密度となり易い。このため、正極の容量密度が低下してしまう虞がある。
これに対し、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質は、CuKα線を使用するX線回折の2θ=37°〜40°付近に位置する(101)面のピークの半価幅が、0.7°より大きく1.2°以下である水酸化ニッケル粒子を用いている。このため、上記のような問題が生じる虞がない。従って、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質を用いることにより、高率放電特性及び正極の容量密度を高くすることが可能となる。
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池用正極活物質であって、前記コバルト化合物層をなすコバルト化合物は、オキシ水酸化コバルトを主体とし、CuKα線を使用するX線回折の2θ=64°〜67°付近に位置する(110)面のピークの半価幅が、1.5°以下であるアルカリ蓄電池用正極活物質であるのが好ましい。
オキシ水酸化コバルトは、六方−菱面晶の層状構造で、JCPDS無機物質ファイルの番号:7−169に記載されているXRDパターンを有する。本来、このオキシ水酸化コバルトは、結晶構造中のH+が上下に存在するO2-と強い水素結合を形成するため、電子伝導性が低い。しかし、その結晶性が低い場合は、多くの結晶子界面が形成され、この結晶子界面が電子伝導面として機能することにより、高い電子伝導性が生じる。さらに、結晶性が低い場合には、高濃度のアルカリ水溶液(アルカリ電解液)中で、ナトリウムイオンなどのカチオンが、結晶中に取り込まれ易くなるため、さらに電子伝導性が高くなる傾向にある。従って、結晶性の低いオキシ水酸化コバルトを主体とするコバルト化合物層によって、水酸化ニッケル粒子を被覆すると、電子伝導性は高くなるが、反面、自己放電し易くなってしまう。
これに対し、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質では、コバルト化合物層をなすコバルト化合物は、オキシ水酸化コバルトを主体とし、CuKα線を使用するX線回折の2θ=64°〜67°付近に位置する(110)面のピークの半価幅が1.5°以下である。ここで、CuKα線を使用するX線回折の2θ=64°〜67°付近に位置する(110)面のピークは、オキシ水酸化コバルトのピークを表す(JCPDS無機物質ファイル番号:7−169参照)。従って、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質は、オキシ水酸化コバルトを主体としたコバルト化合物層によって、水酸化ニッケル粒子を被覆したものである。しかも、上記ピークの半価幅が1.5°以下であるオキシ水酸化コバルトは、結晶性が高く、導電性が低くなる。このため、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質を用いることにより、優れた自己放電特性及びサイクル寿命特性を得ることができる。
なお、2θ=64°〜67°付近に位置する(110)面のピークを選択することにより、測定サンプル中に水酸化ニッケルが含まれている場合でも、この位置ではオキシ水酸化コバルトのピークと水酸化ニッケルのピークとが重なることがないため、適切に、オキシ水酸化コバルトのピークを検出することができる。
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池用正極活物質であって、当該正極活物質の平均粒径は、5μm以上20μm以下であるアルカリ蓄電池用正極活物質であるのが好ましい。
平均粒径が5μmより小さい正極活物質を製造するには、反応槽内での滞留時間(反応時間)を短くしなければならない。短時間で生成した正極活物質は、嵩高い粒子となるため、平均粒径が5μmより小さい正極活物質を用いることにより、正極の容量密度が低下してしまう。逆に、平均粒径が20μmより大きい正極活物質を用いた場合には、充放電過程における水酸化ニッケルの結晶構造の影響により、正極の膨張が著しくなる。この影響で、セパレータ内の電解液が減少(ひいては枯渇)してしまい、サイクル寿命特性が低下してしまう。
これに対し、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質は、平均粒径を、5μm以上20μm以下としているため、上記のような問題が生じる虞がない。従って、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質を用いることにより、正極の容量密度を高くすることができ、サイクル寿命特性も良好にできる。
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池用正極活物質であって、前記コバルト化合物層の平均厚みは、0.20μm以下であるアルカリ蓄電池用正極活物質であるのが好ましい。
上述のアルカリ蓄電池用正極活物質では、コバルト化合物層の平均厚みを0.2μm以下としている。コバルト化合物層の平均厚みを0.2μm以下とすることにより、コバルト化合物層が水酸化ニッケル粒子から剥がれてしまう虞を小さくできる。さらには、水酸化ニッケル表面での電気化学反応が良好となるので、充放電効率が良好となる。
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池用正極活物質であって、窒素ガス吸着によるBET法を用いて測定された比表面積が、8.0m2/g以上1.8×10m2/g以下であるアルカリ蓄電池用正極活物質であるのが好ましい。
正極活物質の比表面積が8.0m2/gより小さい場合には、充放電反応の場である固液界面の有効面積が小さ過ぎるため、分極が大きくなり、正極活物質の利用率が低下してしまう。逆に、正極活物質の比表面積が1.8×10m2/gより大きい場合には、セパレータ内の電解液が正極中に移動し易くなるので、セパレータ内の電解液が減少(ひいては枯渇)し、サイクル寿命特性が低下する虞がある。
これに対し、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質は、窒素ガス吸着によるBET法を用いて測定された比表面積を、8.0m2/g以上1.8×10m2/g以下としているため、上記のような問題が生じる虞がない。従って、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質を用いることにより、正極活物質の利用率を高くすることができ、サイクル寿命特性も良好にできる。
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池用正極活物質であって、水酸化ニッケル粒子を含む水溶液中に、水酸化ナトリウム水溶液を供給してpHを11.5〜13.5の範囲に保ちつつコバルトイオンを含む水溶液を供給すると共に、空気を供給して作製されてなるアルカリ蓄電池用正極活物質であるのが好ましい。
上述のアルカリ蓄電池用正極活物質は、水酸化ニッケル粒子を含む水溶液中に、水酸化ナトリウム水溶液を供給してpH11.5〜13.5の範囲に保ちつつ、コバルトイオンを含む水溶液を供給して作製されている。反応槽内の水溶液のpHを11.5以上とすることにより、水酸化ニッケル粒子の表面を被覆するコバルト化合物の結晶性を高くすることができる。さらに、反応槽内の水溶液のpHを13.5以下とすることにより、コバルト化合物の結晶成長を促進することができるので、コバルト化合物層が水酸化ニッケル粒子から剥がれてしまう虞を小さくできる。
ところで、従来、コバルトの平均価数をコントロールする手法として、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムなどの酸化剤を添加する手法、あるいは、熱処理によって酸化する手法を用いていた。ところが、酸化剤を添加する手法では、酸化反応が急速に進行し、コバルトの平均価数が3.0を上回る傾向にあり、コバルトの平均価数を3.0以下に調整することが容易でなかった。このため、高導電性で、且つ低結晶性のコバルト化合物層が形成される傾向があり、アルカリ蓄電池の自己放電が大きくなってしまう傾向があった。また、熱処理によって酸化する手法では、充放電反応を阻害するCo34などが生成され易いため、好ましくない。なお、本発明者が調査した結果、熱処理によって酸化する手法において、Co34の生成を抑制する条件で作製したとしても、形成されるコバルト化合物の結晶性が低くなり、導電性が高くなってしまうことが判明した。従って、酸化剤を添加する手法、熱処理によってコバルトを酸化する手法では、アルカリ蓄電池の自己放電が大きくなってしまう傾向にあった。
これに対し、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質は、空気を供給して作製されている。すなわち、反応槽内の水溶液中に空気(酸素)を供給することにより、酸化反応を進行させ、コバルト価数をコントロールする。このような手法によれば、上記のような問題が生じる虞がなく、容易に且つ適切に、コバルトの平均価数を2.6以上3.0以下とすることができる。
さらに、上記のアルカリ蓄電池用正極活物質であって、前記水酸化ニッケル粒子を含む水溶液中に供給する空気により、前記水酸化ニッケル粒子を含む水溶液中の溶存酸素濃度を1.0mg/l以上1.5×10mg/l以下として作製されてなるアルカリ蓄電池用正極活物質であるのが好ましい。
反応槽内の水溶液中に空気(酸素)を供給することによりコバルトを酸化させて、コバルト価数をコントロールする手法では、反応槽内の水溶液中の酸素濃度を調整することにより、コバルト価数を容易に調整することができる。ところが、本発明者が検討した結果、反応槽内の水溶液中の溶存酸素濃度を1.0mg/lより低くして反応させた場合には、コバルトの平均価数を2.6以上に高めることが困難であり、また、コバルト化合物層が水酸化ニッケル粒子から剥がれ易くなってしまった。また、反応槽内の水溶液中の酸素濃度を1.5×10mg/lより高くした場合には、、コバルトの平均価数が3.0を上回ってしまう可能性があることが判明した。
これに対し、上述のアルカリ蓄電池用正極活物質は、水酸化ニッケル粒子を含む水溶液中に供給する空気により、水酸化ニッケル粒子を含む水溶液中の溶存酸素濃度を1.0mg/l以上1.5×10mg/l以下として作製されている。このため、コバルトの平均価数を、適切に、2.6以上3.0以下の範囲で調整することができる。従って、コバルトの平均価数が2.6以上3.0以下であるコバルト化合物層が、適切に、水酸化ニッケル粒子の表面に形成された正極活物質となる。
また、上記いずれかのアルカリ蓄電池用正極活物質を含むアルカリ蓄電池用正極が好ましい。
このアルカリ蓄電池用正極は、上述した正極活物質のいずれかを含んでいる。このような正極を用いることにより、アルカリ蓄電池の出力特性を良好にすることができ、且つ、自己放電特性及びサイクル寿命特性も良好にすることができる。
さらに、上記のアルカリ蓄電池用正極であって、前記正極活物質に加えて、金属コバルト粒子(粉末)と、イットリウム酸化物粒子(粉末)と、を含むアルカリ蓄電池用正極であるのが好ましい。
前述のように、上述のアルカリ蓄電池用正極では、正極活物質が、比較的導電性の低いコバルト化合物層を有している。このため、正極活物質が導電性の高いコバルト化合物層を有する場合に比して、正極の集電性が低下してしまう。これに対し、上述のアルカリ蓄電池用正極は、正極活物質の他に、金属コバルト粒子(粉末)とイットリウム酸化物粒子(粉末)とを含んでいる。導電性に優れた金属コバルト粒子(粉末)を正極に含有させることにより、正極の集電性を高くすることができる。さらに、イットリウム酸化物粒子(粉末)を含有させることにより、特異的に酸素発生過電圧を上昇させ、充電受け入れ性を良好にすることができる。これは、次のような理由によるものと考えられる。
イットリウム酸化物粒子(粉末)を電極に含有させることにより、酸素発生過電圧が上昇し、充電受け入れ性が向上することが知られている。このような性質を有するイットリウム酸化物粒子(粉末)に加え、金属コバルト粒子(粉末)を正極に含有させると、充電時に、コバルトとイットリウムとの混合酸化物が生成され、これにより、イットリウム酸化物の分散性が向上する。このため、特異的に酸素発生過電圧が上昇し、充電受け入れ性が良好になると考えられる。
さらに、上記のアルカリ蓄電池用正極であって、前記金属コバルト粒子(粉末)を、前記正極活物質の100重量部に対し、2〜7重量部の割合で含むアルカリ蓄電池用正極であるのが好ましい。
上述のアルカリ蓄電池用正極は、金属コバルト粒子(粉末)を、正極活物質の100重量部に対し2〜7重量部の割合で含んでいる。金属コバルト粒子(粉末)を、正極活物質の100重量部に対し2重量部以上の割合で含有させることにより、集電性を良好にすることができ、活物質の利用率を良好にすることができる。また、正極活物質100重量部に対する割合を7重量部以下とすることにより、充分な正極活物質の充填量を確保することができ、容量密度の高い正極とすることができる。
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池用正極であって、前記イットリウム酸化物粒子(粉末)を、前記正極活物質の100重量部に対し、0.5〜3重量部の割合で含むアルカリ蓄電池用正極であるのが好ましい。
上述のアルカリ蓄電池用正極は、イットリウム酸化物粒子(粉末)を、正極活物質の100重量部に対し0.5〜3重量部の割合で含んでいる。イットリウム酸化物粒子(粉末)を、正極活物質の100重量部に対し0.5重量部以上の割合で含有させることにより、充電受け入れ性を良好にすることができる。ところで、イットリウム酸化物粒子(粉末)は絶縁体であるため、正極内で電気抵抗となり、その含有量が多い場合には、アルカリ蓄電池の高率放電特性及び出力特性が低くなってしまう。これに対し、上述のアルカリ蓄電池用正極では、正極活物質100重量部に対するイットリウム酸化物粒子(粉末)の割合を3重量部以下に制限しているため、高率放電特性及び出力特性を良好にすることができる。
また、上記いずれかのアルカリ蓄電池用正極を備えるアルカリ蓄電池が好ましい。
このアルカリ蓄電池は、上述したアルカリ蓄電池用正極のいずれかを備えている。このため、出力特性が良好で、且つ、自己放電特性及びサイクル寿命特性が良好となる。
本発明の一態様は、水酸化ニッケル粒子と、これを被覆するコバルト化合物層と、を有するアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法であって、上記水酸化ニッケル粒子を含む水溶液中に、水酸化ナトリウム水溶液を供給してpHを11.5〜13.5の範囲に保ちつつコバルトイオンを含む水溶液を供給すると共に、空気を供給して、上記水酸化ニッケル粒子の表面に上記コバルト化合物層を形成するコバルト化合物層形成工程を有するアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の製造方法では、水酸化ナトリウム水溶液を供給してpHを11.5〜13.5の範囲に保ちつつコバルトイオンを含む水溶液を供給して、水酸化ニッケル粒子の表面にコバルト化合物層を形成する。このように、反応槽内の水溶液のpHを11.5以上に保つことにより、水酸化ニッケル粒子の表面を被覆するコバルト化合物の結晶性を高くすることができる。さらに、反応槽内の水溶液のpHを13.5以下に保つことにより、コバルト化合物の結晶成長を促進することができるので、コバルト化合物層が水酸化ニッケル粒子から剥がれてしまう虞を小さくできる。
さらに、本発明の製造方法では、反応槽内の水溶液中に空気を供給する。これにより、酸化反応を進行させ、コバルト価数をコントロールすることができる。前述のように、酸化剤や熱処理によってコバルトを酸化する手法を用いた場合には、結果として、導電性の高いコバルト化合物層が形成され、アルカリ蓄電池の自己放電が大きくなってしまう傾向にあった。これに対し、本発明の手法によれば、反応槽内の水溶液中に空気を供給して当該水溶液中の酸素濃度を調整することにより、容易に且つ適切に、コバルトの平均価数を2.6以上3.0以下とすることが可能となる。これにより、充放電に伴うコバルト化合物層の導電性の上昇を、容易に且つ適切に、抑制することが可能となり、ひいては、アルカリ蓄電池の自己放電特性を良好とすることができる。
さらに、上記のアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法であって、前記コバルト化合物層形成工程では、前記水酸化ニッケル粒子を含む水溶液中に供給する空気により、当該水溶液中の溶存酸素濃度を1.0mg/l以上1.5×10mg/l以下に保つアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法であると良い。
前述のように、反応槽内の水溶液中に空気(酸素)を供給することによりコバルトを酸化させて、コバルト価数をコントロールする手法では、反応槽内の水溶液中の酸素濃度を調整することにより、コバルト価数を容易に調整することができる。ところが、本発明者が検討した結果、反応槽内の水溶液中の溶存酸素濃度を1.0mg/lより低くして反応させた場合には、コバルトの平均価数を2.6以上に高めることが困難であり、また、コバルト化合物層が水酸化ニッケル粒子から剥がれ易くなってしまった。また、反応槽内の水溶液中の酸素濃度を1.5×10mg/lより高くした場合には、コバルトの平均価数が3.0を上回ってしまう可能性があることが判明した。
これに対し、本発明の製造方法では、コバルト化合物層形成工程において、水酸化ニッケル粒子を含む水溶液中に供給する空気により、当該水溶液中の溶存酸素濃度を1.0mg/l以上1.5×10mg/l以下に保つ。これにより、コバルトの平均価数を、適切に、2.6以上3.0以下の範囲で調整することができる。
実施例3にかかるアルカリ蓄電池について、コバルト化合物層に含まれるコバルトの平均価数と利用率比率(C/A)×100(%)との関係を示す特性図である。 参考例1にかかるアルカリ蓄電池について、コバルト化合物層に含まれるナトリウム量と利用率比率(C/A)×100(%)との関係を示す特性図である。 参考例2にかかるアルカリ蓄電池について、水酸化ニッケルに含まれるマグネシウム量と、利用率比率(C/A)×100(%)、及び利用率比率(B/A)×100(%)との関係を示す特性図である。 参考例8にかかるアルカリ蓄電池について、正極に含まれる酸化イットリ ウム量と利用率比率(F/A)×100(%)、及び利用率比率(B/A)×100 (%)との関係を示す特性図である。
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
(ステップ1:水酸化ニッケル粒子の作製)
本実施例1では、次のようにして、マグネシウムを固溶状態で含む水酸化ニッケル粒子を作製した。まず、硫酸ニッケルと硫酸マグネシウムを含む混合液、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液を用意し、それぞれを、50℃に保持された反応装置内に0.5ml/分の流量で連続的に供給した。なお、硫酸ニッケルと硫酸マグネシウムを含む混合液の濃度は2.4モル/lとしている。このうち、硫酸ニッケルと硫酸マグネシウムの混合比は、ニッケルとマグネシウムの総モル数に対するマグネシウムのモル数が5モル%となるようにした。また、水酸化ナトリウム水溶液の濃度は5.5モル/l、アンモニア水溶液の濃度は6.0モル/lとした。
次いで、反応槽内のpHが12.5で一定となり、金属塩濃度と金属水酸化物粒子濃度とのバランスが一定となって、定常状態に達した後、反応槽内からオーバーフローした懸濁液を採取し、デカンテーションにより沈殿物を分離した。その後、この沈殿物を水洗し、乾燥することにより、平均粒径10μmの水酸化ニッケル粉末を得ることができた。
得られた水酸化ニッケル粉末について、ICP発光分析を利用して組成分析を行ったところ、水酸化ニッケル粒子に含まれる全ての金属元素(ニッケルとマグネシウム)に対するマグネシウムの割合は、合成に用いた混合液と同様に、5モル%であった。
また、CuKα線を用いたX線回折パターンを記録したところ、JCPDS無機物質ファイルの番号:14−117に記載されているXRDパターンと一致し、β−Ni(OH)2型の単層からなることが確認された。すなわち、マグネシウムが水酸化ニッケルに
固溶していることが確認できた。また、このX線回折パターンにおいて、2θ=37°〜40°付近に位置する(101)面のピークの半価幅は、1.0°であった。なお、X線回折装置として、株式会社リガク製のRINT2200を用いており、測定条件は以下の通りである。
<X線回折測定条件>
X線:CuKα/40kV/40mA
スリット:DS/SS=1°,RS=0.15mm
走査モード:FT測定
Sampring Time:2sec
Step Width:0.02°
(ステップ2:正極活物質の製作)
次に、ステップ1で得られた、マグネシウムを固溶状態で含む水酸化ニッケル粒子(以下、マグネシウム固溶水酸化ニッケル粒子ともいう)の表面に、コバルト化合物の被覆層(以下、コバルト化合物層ともいう)を形成することにより、正極活物質を製作した。具体的には、まず、マグネシウム固溶水酸化ニッケル粒子を含む水溶液(懸濁液)中に、5.5モル/lの水酸化ナトリウム水溶液を供給すると共に、2.4モル/lの硫酸コバルト水溶液を供給し、50℃でpH12.5を維持しながら攪拌を続けた。このとき、反応槽内に空気を供給して、反応槽内の水溶液中の酸素濃度を3.0mg/lで一定とした。このようにして、マグネシウム固溶水酸化ニッケル粒子の表面に、コバルト化合物を析出させた。なお、コバルト化合物の被覆量は、マグネシウム固溶水酸化ニッケル粒子の重量に対し、10重量%濃度に調整した。
次いで、コバルト化合物層を形成したマグネシウム固溶水酸化ニッケル粒子を、pH13〜14の水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ処理することにより、硫酸イオン等のアニオンを除去し、その後、水洗により、ナトリウムイオン等のカチオンを除去し、乾燥させた。このようにして、平均粒径10μmの正極活物質を得ることができた。なお、アルカリ処理や水洗の条件を調整することで、正極活物質に含まれる硫酸イオン(硫酸根)やナトリウムイオンの量を調整した。
得られた正極活物質について組成分析を行ったところ、コバルト化合物中に含まれるナトリウムイオンの割合は、コバルト化合物の全重量に対し0.01重量%であった。また、正極活物質に含まれる硫酸根の割合は、正極活物質の全重量に対し3.0×10-2重量%であった。
また、ICP発光分析を利用して正極活物質中に含まれるコバルト量を測定した。さらに、正極活物質粉末とヨウ化カリウム粉末に塩酸を加えた溶液を、チオ硫酸ナトリウム溶液を滴定し、終点近くでデンプン溶液を加え、滴定を終了させた。そして、終点でのチオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量と、先に取得した正極活物質中に含まれるコバルト量とに基づいて、コバルトの平均価数を算出したところ、2.85価であった。
また、窒素ガス吸着によるBET法を用いて、得られた正極活物質の比表面積を測定したところ、10.5m2/gであった。また、TEM(透過型電子顕微鏡)により、活物質粒子破断面のエッジ付近の拡大像を観察し、コバルト化合物層の厚みを調査したところ、平均厚さが0.15μmであった。
さらに、この正極活物質を39.2MPa(400kgf/cm2)で加圧した状態で、導電率を測定したところ、2.5×10-8S/cmであった。なお、同正極活物質は、高抵抗であったため、通常の直流四端子法では測定が困難であった。このため、定電圧印加による二重リング法(三菱化学製のハイレスターUPを使用)によって測定した。
次いで、CuKα線を使用するX線回折測定を行い、コバルト化合物層の結晶構造を調査した。その結果、JCPDS無機物質ファイルの番号:7−169に記載されている六方−菱面晶の層状構造で、結晶性の高いオキシ水酸化コバルトであることが確認できた。また、2θ=64°〜67°付近に位置する(110)面のピークの半価幅は、0.7°であった。なお、X線回折装置として、株式会社リガク製のRINT2200を用いており、測定条件は以下の通りである。
<X線回折測定条件>
X線:CuKα/40kV/40mA
スリット:DS/SS=1°,RS=0.3mm
走査モード:FT測定
Sampring Time:9sec
Step Width:0.01°
(ステップ3:ニッケル正極の製作)
次に、ニッケル正極を作製した。具体的には、まず、ステップ2で得られた正極活物質粉末100gと、コバルト粉末5gと、酸化イットリウム(Y23)粉末2gとを混合し、これに27gの水を加え、混練することにより、ペースト状にした。このペーストを空隙率95%の発泡ニッケル基板に充填し、乾燥した後、加圧成形することにより、ニッケル正極板を製作した。次いで、このニッケル正極板を所定の大きさに切断し、これに電極リードをスポット溶接することにより、理論容量1300mAのニッケル正極を得ることができた。なお、ニッケル電極の理論容量は、活物質中のニッケルが一電子反応をするものとして計算している。
ここで、本実施例1の正極では、上述のように、正極活物質粉末100gに対し、コバルト粉末を5g添加している。すなわち、コバルトを、正極活物質に対し5重量%含有させている。また、正極活物質粉末100gに対し、酸化イットリウム(Y23)粉末を2g添加している。すなわち、酸化イットリウム(Y23)を、正極活物質に対し2重量%含有させている。
(ステップ4:アルカリ蓄電池の製作)
次に、公知の手法により、水素吸蔵合金を含む負極を製作した。具体的には、粒径約25μmの水素吸蔵合金MmNi3.55Co0.75Al0.3粉末を用意し、これに水と結合剤としてカルボキシメチルセルロースを加え、混練してペースト状にした。このペーストを電極支持体に加圧充填し、水素吸蔵合金負極板を製作した。この水素吸蔵合金負極板を所定の大きさに切断し、容量2000mAの負極を得た。
次いで、この負極と上記の正極とを、厚さ0.15mmのスルホン化ポリプロピレン不織布からなるセパレータを間に介して捲回し、渦巻状の電極群を形成した。次いで、別途用意した金属からなる有底円筒形状の電槽内に、この電極群を挿入し、さらに、7モル/lの水酸化カリウム水溶液を2.2ml注液した。その後、作動圧2.0MPaの安全弁を備える封口板により、電槽の開口部を密閉し、AAサイズの円筒密閉型ニッケル水素蓄電池を作製した。
(比較例1)
次に、上述した実施例1と比較して、ステップ2の正極活物質の製作手法のみが異なるアルカリ蓄電池を作製した。具体的には、ステップ2において、反応槽内に空気を供給することなく、マグネシウム固溶水酸化ニッケル粒子の表面にコバルト化合物層を形成した。その後、実施例1と同様に、コバルトの平均価数の調査、及びX線回折測定を行ったところ、本比較例1のコバルト化合物層は、水酸化コバルトを主体とした被覆層となっていた。
次いで、コバルト化合物被覆層を形成した水酸化ニッケル粉末について、以下のようにして改質処理を行った。まず、酸化補助剤として、この粉末に対し、40重量%の水酸化ナトリウム水溶液を含浸させた。その後、これをマイクロ波加熱機能を備えた乾燥装置内に投入し、装置内に酸素を供給しながら加熱して、完全乾燥させた。これにより、粒子表面のコバルト化合物層は酸化し、藍色に変色していた。次いで、得られた粉末を水洗した後、真空乾燥させて、本比較例1の正極活物質を得た。
次いで、この正極活物質について、実施例1と同様に、コバルト化合物層に含まれるコバルトの平均価数を算出したところ、3.2価であった。また、組成分析の結果、コバルト化合物中のナトリウム量は、3.3重量%を示した。本比較例1では、このように高いナトリウム含有量を示したことから、ナトリウムは、コバルト化合物の結晶中に取り込まれており、水洗除去できなかったと推測できる。また、この正極活物質を39.2MPa(400kgf/cm2)で加圧した状態で、導電率を測定したところ、3.2×10-2S/cmを示した。これにより、形成されたコバルト化合物層は、導電性が高いことが確認できた。その後、このような正極活物質を用いて、実施例1のステップ3,4と同様の手順により、アルカリ蓄電池を作製した。
(実施例2)
次に、上述した実施例1と比較して、ステップ1の手順のみが異なるアルカリ蓄電池を作製した。具体的には、実施例1のステップ1では、反応槽内に硫酸ニッケルと硫酸マグネシウムを含む混合液を供給したが、本実施例2では、硫酸マグネシウムを含有させることなく、硫酸ニッケル単独の水溶液を供給した。これにより、本実施例2では、マグネシウムを含まない純粋な水酸化ニッケル粉末を得た。その後、実施例1のステップ2〜4と同様の手順により、アルカリ蓄電池を製作した。
(電池特性の評価)
次に、実施例1,2及び比較例1のアルカリ蓄電池について、特性評価を行った。
まず、それぞれの電池について、20℃において130mAの電流で15時間充電し、その後、260mAの電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電する充放電サイクルを、放電容量が安定するまで繰り返し行った。次いで、放電容量が安定した後、20℃において、1.3Aの電流で1.2時間充電した後、1.3Aの電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電した。このときの放電容量に基づき、それぞれの電池について、活物質利用率A(1.3A放電時利用率)を算出した。さらに、20℃において、1.3Aの電流で1.2時間充電した後、今度は、6.5Aの電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電した。このときの放電容量に基づき、それぞれの電池について、活物質利用率B(6.5A放電時利用率)を算出した。ここで、活物質利用率A,Bは、活物質中のニッケルが一電子反応したときの理論電気量に対して算出している。具体的には、正極の理論容量
1300mAに対する放電容量の割合を示している。さらに、それぞれの電池の高率放電特性を示す指標として、活物質利用率Aに対する活物質利用率Bの比率(B/A)×
100(%)を算出した。
次に、それぞれの電池について、20℃において1.3Aの電流で1.2時間充電し、その後45℃の雰囲気下で2週間放置した後、1.3Aの電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電した。このときの放電容量に基づき、それぞれの電池について、活物質利用率C(45℃、2週間後残存利用率)を算出した。この算出結果に基づき、それぞれの電池の自己放電特性を示す指標として、活物質利用率Aに対する活物質利用率Cの比率(C/A)×100(%)を算出した。なお、活物質利用率Cも、活物質中のニッケルが一電子反応したときの理論電気量に対して算出している。
さらに、それぞれの電池について、20℃において1.3Aの電流で1.2時間充電し、その後、1.3Aの電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電する充放電サイクルを、200サイクル行った。そして、200サイクル目の放電容量に基づき、それぞれの電池について、活物質利用率D(200サイクル後利用率)を算出した。この算出結果に基づき、それぞれの電池のサイクル寿命特性を示す指標として、活物質利用率Aに対する活物質利用率Dの比率(D/A)×100(%)を算出した。なお、活物質利用率Dも、活物質中のニッケルが一電子反応したときの理論電気量に対して算出している。
これらの特性評価の結果を表1に示す。
Figure 2011071125
ここで、それぞれの電池について、特性評価の結果を比較検討する。
まず、高率放電特性について比較する。実施例1と比較例1とは、高率放電特性値が94.7%と94.8%とで、同程度の値を示し、両者共に高率放電特性に優れていた。これに対し、実施例2では、高率放電特性値が89.5%で、実施例1及び比較例1と比較して高率放電特性がやや劣っていた。実施例1及び比較例1のアルカリ蓄電池が、実施例2のアルカリ蓄電池と比較して高率放電特性が優れる理由は、正極活物質にマグネシウムを固溶した水酸化ニッケルを用いたことで、正極活物質自身の電子伝導性が増したためであると考えられる。
次に、自己放電特性について比較する。実施例1と実施例2とは、自己放電特性を示す利用率比率が78.9%と81.1%で、同程度の値を示し、両者共に自己放電特性が良好であった。これに対し、比較例1では、自己放電特性を示す利用率比率が67.0%で、実施例1及び実施例2と比較して自己放電特性がかなり劣っていた。実施例1及び実施例2のアルカリ蓄電池が、比較例1のアルカリ蓄電池と比較して自己放電特性が良好な理由は、次のように考えられる。
比較例1では、コバルト化合物層を作製するにあたり、酸化補助剤として、水酸化ニッケル粉末に対し40重量%の水酸化ナトリウム水溶液を含浸させた後、酸素を供給しながら加熱して酸化反応を進行させた。このため、コバルト化合物層に含まれるコバルトの平均価数が3.2価と高くなり、また、3.3重量%ナトリウムがコバルト化合物の結晶中に含有された。このため、コバルト化合物層の導電性が高くなり、39.2MPa(400kgf/cm2)で加圧した状態における導電率が、3.2×10-2S/cmと大きくなってしまった。このように、コバルト化合物層の導電性が高くなると、水酸化ニッケル表面付近の反応性が著しく向上するので、局所的に充電深度が大きくなると推察される。このような局所的に充電深度が大きい部分は、高電位となるので、優先的に酸素発生反応を伴い、自己放電反応が進行してしまったと考えられる。
これに対し、実施例1及び実施例2では、コバルト化合物層を作製するにあたり、反応槽内に空気を供給することにより、酸化反応を進行させた。これにより、コバルト化合物中に含まれるナトリウムイオンの割合を、コバルト化合物の全重量に対し0.01重量%と極めて小さくすることができ、コバルトの平均価数も、2.85価と小さくすることができた。これにより、コバルト化合物層の導電性が低くなり、39.2MPa(400kgf/cm2)で加圧した状態における導電率が、2.5×10-8S/cmと小さくなった。このように、水酸化ニッケル粒子の表面に接しているコバルト化合物の電子伝導性を低くしたことにより、水酸化ニッケル粒子の充電深度が全体的に均一化され、自己放電を抑制することができたと考えられる。
次に、サイクル寿命特性について比較する。実施例1のアルカリ蓄電池は、サイクル寿命特性値が94.7%と高い値を示し、サイクル寿命特性が優れていた。これに対し、比較例1では、サイクル寿命特性値が89.7%と好ましい値を示したが、実施例1と比較してやや劣る結果となった。さらに、実施例2では、サイクル寿命特性値が80.0%を示し、さらにサイクル寿命特性が劣る結果となった。
実施例1のアルカリ蓄電池が、比較例1のアルカリ蓄電池と比較してサイクル寿命特性が優れる理由は、上記のように自己放電を抑制することにより、コバルト化合物の還元反応を抑制することができたためと考えられる。また、実施例1のアルカリ蓄電池が、実施2のアルカリ蓄電池と比較してサイクル寿命特性が優れる理由は、水酸化ニッケルにマグネシウム固溶させたことにより、過充電時におけるγ相(γ−NiOOH)の生成を抑制することができたためと考えられる。
(実施例3)
本実施例3では、ステップ2において、反応槽内の水溶液中の酸素濃度を調整することにより、コバルト化合物層に含まれるコバルトの平均価数を異ならせた。具体的には、ステップ2において、反応槽内に供給する空気の流量を変更することにより、反応槽内の溶存酸素濃度を、それぞれ、0.5,1.0,3.0,15.0,17.0(mg/l)の5種類に調整し、それ以外の条件を実施例1と同様にして、5種類の正極活物質を作製した。
この5種類の正極活物質について、実施例1と同様にして物性を調査したところ、コバルト化合物中のコバルトの平均価数は、それぞれ、2.50,2.62,2.85,2.97,3.08(価)であった。また、コバルト化合物中のナトリウム量は、コバルト化合物の全重量に対し、いずれも0.1重量%より小さい値を示した。また、導電率は、いずれも1.0×10-5S/cmより小さい値を示した。
本実施例3では、ステップ2の溶存酸素濃度を異ならせた他は、全て実施例1と同様にして、5種類のアルカリ蓄電池を作製した。この5種類のアルカリ蓄電池について、実施1と同様にして特性評価を行い、活物質利用率Aに対する活物質利用率Cの比率(C/A)×100(%)を算出し、自己放電特性を示す指標とした。ここで、コバルト化合物層に含まれるコバルトの平均価数と利用率比率(C/A)×100(%)との関係を、図
1に示す。
図1より、コバルト化合物層に含まれるコバルトの平均価数が2.6以上3.0以下の範囲において、利用率比率(C/A)×100(%)が高い値を示すことがわかる。従って、コバルト化合物層に含まれるコバルトの平均価数を2.6以上3.0以下とすることにより、自己放電特性を良好にすることができると言える。
ここで、コバルトの平均価数を2.6以上3.0以下とするためには、反応槽内の溶存酸素濃度を1.0mg/l以上15.0mg/l以下とする必要があると言える。
(参考例1)
本参考例1では、ステップ2において、アルカリ処理の回数、水洗の回数を変えることにより、コバルト化合物層に含まれるナトリウム量を異ならせ、それ以外の条件を実施例1と同様にして、5種類の正極活物質を作製した。
この5種類の正極活物質について、実施例1と同様にして物性を調査したところ、コバルト化合物中のナトリウム量は、それぞれ、コバルト化合物の全重量に対し、0.01,0.05,0.10,0.18,0.31(重量%)であった。また、導電率は、いずれも1.0×10-5S/cmより小さい値を示した。
本参考例1では、ステップ2のアルカリ処理及び水洗の回数を異ならせた他は、全て実施例1と同様にして、5種類のアルカリ蓄電池を作製した。この5種類のアルカリ蓄電池について、実施例1と同様にして特性評価を行い、活物質利用率Aに対する活物質利用率Cの比率(C/A)×100(%)を算出し、自己放電特性を示す指標とした。ここで、コバルト化合物層に含まれるナトリウム量(重量%)と利用率比率(C/A)×100(%)との関係を、図2に示す。
図2より、コバルト化合物層に含まれるナトリウム量が0.10重量%より少ない範囲において、利用率比率(C/A)×100(%)が高い値を示すことがわかる。従って、コバルト化合物層に含まれるナトリウム量が0.10重量%より少なくすることにより、自己放電特性を良好にすることができると言える。
(比較例2)
本比較例2では、ステップ2において、反応槽内に空気を供給することなく、酸化剤を添加し、さらに熱処理を行うことにより、酸化反応を進行させて、コバルト化合物層に含まれるコバルトの平均価数を調整した。その他の条件は全て実施例1と同様にして、5種類の正極活物質(サンプル1〜5とする)を作製した。この正極活物質について、実施例1と同様にして物性を調査したところ、コバルト化合物中のコバルトの平均価数は、2.8〜3.0(価)の範囲であった。また、コバルト化合物中のナトリウム量は、コバルト化合物の全重量に対し、いずれも0.1重量%より小さい値を示した。また、導電率は、順に、2.5×10-8,9.6×10-7,9.8×10-6,1.4×10-5,8.3×10-5(S/cm)を示した。
ところで、前述した実施例3では、反応槽内に空気を供給する手法を用いてコバルトの平均価数を調整することにより、コバルトの平均価数を2.6〜3.0の範囲で調整することができた(図1参照)。これに対し、本比較例2では、コバルトの平均価数が、2.8〜3.0の範囲となり、コバルトの平均価数を低く調整することが容易でなかった。この結果より、コバルトの平均価数を調整する手法としては、酸化剤の添加量及び熱処理の条件を調整する手法よりも、反応槽内に空気を供給する手法を用いたほうが、適切に、コバルトの平均価数を2.6以上3.0以下の範囲で調整することができると言える。
次いで、サンプル1〜5について、実施例1と同様にして、CuKα線を使用するX線回折測定を行い、各サンプルのコバルト化合物層の結晶構造を調査した。この結果、いずれのサンプルにおいても、JCPDS無機物質ファイルの番号:7−169に記載されているオキシ水酸化コバルトであることが確認できた。また、2θ=64〜67°付近に位置する(110)面のピーク半価幅を調べたところ、サンプル番号の順に、0.70°,0.97°,1.50°,1.54°,1.78°となり、1.0°〜1.8°の範囲でばらついた(表2参照)。
ここで、CuKα線を使用するX線回折の2θ=64°〜67°付近に位置する(110)面のピークは、オキシ水酸化コバルトのピークを表す(JCPDS無機物質ファイルの番号:7−169参照)。なお、2θ=64°〜67°付近に位置する(110)面のピークを選択することにより、サンプル中に含まれる水酸化ニッケルとオキシ水酸化コバルトとのピークとが重なることがなく、適切に、オキシ水酸化コバルトのピークを検出することができる。
本比較例2では、ステップ2のコバルトの平均価数の調整方法を変更した他は、全て実施例1と同様にして、5種類のアルカリ蓄電池を作製した。この5種類のアルカリ蓄電池について、実施例1と同様にして特性評価を行い、活物質利用率Aに対する活物質利用率Cの比率(C/A)×100(%)を算出し、自己放電特性を示す指標とした。ここで、サンプル1〜5を用いた5種類のアルカリ蓄電池について、特性評価の結果を表2に示す。
Figure 2011071125
表2に示すように、導電率とピーク半価幅との間に相関が認められ、導電率が高いほど半価幅が大きくなる傾向を確認できた(本比較例2では、サンプル番号の順に、導電率及びピーク半価幅が大きくなっている)。サンプル1〜5の自己放電特性を比較すると、サンプル1〜3では、利用率比率(C/A)×100の値が、順に、78.9,78.9,78.7(%)と同等の値を示し、比較的良好な自己放電特性を得ることができた。これに対し、サンプル4,5では、利用率比率(C/A)×100の値が、順に、76.6,75.3(%)となり、サンプル1〜3に比して自己放電特性がやや劣る結果となった。
この結果より、正極活物質について、39.2MPa(400kgf/cm2)で加圧した状態での導電率を1.0×10-5S/cmより小さくすることにより、自己放電特性を良好にすることができると言える。また、コバルト化合物層の結晶構造について、結晶性の高いオキシ水酸化コバルトを主体とし、さらに、CuKα線を使用するX線回折の2θ=64°〜67°付近に位置するピークの半価幅を1.5°以下とすることにより、自己放電特性を良好にすることができると言える。
なお、導電率とピーク半価幅との間に相関がある理由は、次のように考えられる。ピーク半価幅が大きいほど、結晶サイズが小さくなり、結晶子界面が多く形成される。この結晶子界面は電子伝導面として機能するため、ピーク半価幅が大きいほど、導電率が高くなると考えられる。実施例1でも述べたが、予め、導電率の高いコバルト化合物層が設けられた水酸化ニッケル粒子は、充電深度のばらつきが大きくなるため、自己放電が加速され、自己放電特性が悪くなる。従って、自己放電特性を良好にするためには、導電率を1.0×10-5S/cmより小さくし、ピークの半価幅を1.5°以下とするのが好ましい。
また、本比較例2では、実施例1のように空気を供給する手法ではなく、酸化剤の添加及び熱処理によって、コバルトの平均価数をコントロールした。しかしながら、酸化剤の添加及び熱処理する手法では、表2に示すように、コバルト化合物層をなすコバルト化合物の結晶性が低くなる(ピーク半価幅が大きくなる)傾向にあった。また、酸化反応が急激に進行するため、導電率が1.0×10-5S/cmより小さく、ピークの半価幅が1.5°以下である正極活物質を、安定して量産することが困難であった。従って、コバルトの平均価数をコントロール手法としては、反応槽内に空気を供給する手法を用いることが好ましいと言える。
(参考例2)
本参考例2では、ステップ1において、硫酸ニッケルと硫酸マグネシウムとの混合比を異ならせて、水酸化ニッケル粒子に含まれる全ての金属元素(本参考例2では、ニッケルとマグネシウム)に対するマグネシウムの割合(モル%)を調整した。その他の条件は全て実施例1と同様にして、5種類の水酸化ニッケル粒子を作製した。
これらの水酸化ニッケル粒子について、実施例1と同様にして物性を調査したところ、マグネシウムの含有量は、それぞれ、1.0,2.0,5.0,10.0,12.0(モル%)であった。また、CuKα線を用いたX線回折パターンを記録したところ、いずれも、β−Ni(OH)2型の単相であることが確認できた。すなわち、いずれの水酸化ニッケル粒子においても、マグネシウムが水酸化ニッケルに固溶していた。また、同X線回折パターンにおいて、2θ=37〜40°付近に位置する(101)面のピーク半価幅を調べたところ、いずれも0.7°より大きく1.2°以下の範囲内にあった。
次いで、実施例1のステップ2と同様にして、5種類の正極活物質を作製した。これらの正極活物質について、実施例1と同様にして物性を調査したところ、コバルト化合物中のコバルトの平均価数は、2.7〜2.9(価)の範囲であった。また、コバルト化合物中のナトリウム量は、コバルト化合物の全重量に対し、いずれも0.05重量%より小さい値を示した。また、導電率は、いずれも1.0×10-7(S/cm)より小さい値を示した。
次いで、実施例1のステップ3,4と同様にして、5種類のアルカリ蓄電池を作製した。この5種類のアルカリ蓄電池について、実施例1と同様にして特性評価を行った。なお、本参考例2では、高率放電特性を示す指標として、活物質利用率Aに対する活物質利用率Bの比率(B/A)×100(%)を算出し、さらに、自己放電特性を示す指標として、活物質利用率Aに対する活物質利用率Cの比率(C/A)×100(%)を算出した。ここで、水酸化ニッケルに含まれるマグネシウム量と、利用率比率(C/A)×100(%)、及び利用率比率(B/A)×100(%)との関係を、図3に示す。
図3において□で示すように、水酸化ニッケルに含まれるマグネシウム量が2.0モル%以上の範囲において、利用率比率(B/A)×100(%)が高い値を示すことがわかる。換言すれば、水酸化ニッケルに含まれるマグネシウム量を2.0モル%以上とすることにより、高率放電特性を良好とすることができると言える。また、図3において◆で示すように、水酸化ニッケルに含まれるマグネシウム量が10.0モル%以下の範囲において、利用率比率(C/A)×100(%)が高い値を示すことがわかる。換言すれば、
水酸化ニッケルに含まれるマグネシウム量を10.0モル%以下とすることにより、自己放電特性を良好とすることができると言える。
(参考例3)
本参考例3では、ステップ2において、アルカリ処理の回数、水洗の回数を異ならせることにより、正極活物質に含まれる硫酸根の割合を調整した。それ以外の条件を実施例1と同様にして、5種類の正極活物質を作製した。
この5種類の正極活物質について、実施例1と同様にして物性を調査したところ、正極活物質に含まれる硫酸根の割合は、0.2重量%〜1.1重量%の範囲でばらついていた。また、コバルト化合物中のコバルトの平均価数は、2.6〜3.0の範囲内にあった。また、コバルト化合物中のナトリウム量は、いずれも0.10重量%より少なかった。また、導電率は、いずれも1.0×10-5S/cmより小さい値を示した。
本参考例3では、ステップ2のアルカリ処理及び水洗の回数を異ならせた他は、全て実施例1と同様にして、5種類のアルカリ蓄電池を作製した。この5種類のアルカリ蓄電池について、実施例1と同様にして特性評価を行い、活物質利用率Aに対する活物質利用率Cの比率(C/A)×100(%)を算出し、自己放電特性を示す指標とした。
また、それぞれの電池について、20℃において1.3Aの電流で1.2時間充電し、その後、1.3Aの電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電する充放電サイクルを、200サイクル行った。そして、200サイクル目の放電容量に基づき、それぞれの電池について、活物質利用率D(200サイクル後利用率)を算出した。その後、20℃において1.3Aの電流で1.2時間充電し、その後45℃の雰囲気下で2週間放置した後、1.3Aの電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電した。このときの放電容量に基づいて、それぞれの電池について、活物質利用率E(200サイクル後、45℃、2週間後残存利用率)を算出した。そして、活物質利用率Dに対する活物質利用率Eの比率(E/D)×100(%)を算出し、耐久試験後の自己放電特性を示す指標とした。
この結果、利用率比率(C/A)×100の値は、いずれも77〜79(%)の範囲となり、ほとんど差異がなかった。すなわち、正極活物質に含まれる硫酸根の割合(重量%)の違いにより、初期の自己放電特性については、ほとんど差がなかった。ところが、利用率比率(E/D)×100の値については、正極活物質に含まれる硫酸根の割合(重量%)の違いにより差異が生じた。具体的には、硫酸根の割合が1.0重量%以下のものにおいては、利用率比率(C/A)×100の値とほぼ同等の値(76〜77%)を維持できたが、硫酸根の割合が1.0重量%を上回るものにおいて値が低下し、70%以下となった。以上の結果より、正極活物質に含まれる硫酸根の割合を1.0重量%以下とすることにより、長期間にわたって自己放電特性を良好にすることができると言える。
(参考例4)
本参考例4では、ステップ1において、アンモニア水溶液の濃度を5.5〜6.5モル/lの範囲で異ならせ、さらに、水酸化ナトリウムの濃度を5.0〜6.0モル/lの範囲で異ならせることにより、反応槽内のpHを12.0〜13.5の範囲で調整した。その他の条件は全て実施例1と同様にして、5種類の水酸化ニッケル粒子を作製した。
実施例1と同様にして、CuKα線を用いたX線回折パターンを記録したところ、いずれも、β−Ni(OH)2型の単相であることが確認できた。すなわち、いずれの水酸化ニッケル粒子においても、マグネシウムが水酸化ニッケルに固溶していた。また、同X線回折パターンにおいて、2θ=37〜40°付近に位置する(101)面のピーク半価幅を調べたところ、0.5°〜1.4°の範囲でばらついていた。
次いで、実施例1のステップ2と同様にして、5種類の正極活物質を作製した。これらの正極活物質について、実施例1と同様にして物性を調査したところ、コバルト化合物中のコバルトの平均価数は、2.7〜2.9(価)の範囲であった。また、コバルト化合物中のナトリウム量は、コバルト化合物の全重量に対し、いずれも0.07重量%より少なかった。また、導電率は、いずれも1.0×10-7S/cmより小さい値を示した。
次いで、実施例1のステップ3,4と同様にして、5種類のアルカリ蓄電池を作製し、特性評価を行った。なお、本参考例4では、水酸化ニッケル粒子の(101)面のピーク半価幅と、利用率比率(B/A)×100(%)との関係を調査した。その結果、(101)面のピーク半価幅が0.7°以下の水酸化ニッケル粒子を用いた電池では、0.7°より大きいものと比較して、利用率比率(B/A)×100(%)の値が2%程度低くなった。具体的には、利用率比率(B/A)×100(%)の値は、(101)面のピーク半価幅が0.7°より大きい水酸化ニッケル粒子を用いた電池では94%以上であるのに対し、0.7°より小さい水酸化ニッケル粒子を用いた電池では92%以下となった。この結果より、(101)面のピークの半価幅が0.7°より大きい水酸化ニッケル粒子を用いることにより、優れた高率放電特性を得ることができると言える。
また、(101)面のピーク半価幅が1.2°より大きな水酸化ニッケル粒子では、タップ密度が1.7g/ccを下回り、正極に対する充填密度が小さくなってしまった。具体的には、(101)面のピーク半価幅が1.2°より大きな水酸化ニッケル粒子を用いた電池では、正極容量密度が500mAh/ccを下回り、充分な容量密度を得ることができなかった。この結果より、充分に高い容量密度を得るためには、(101)面のピークの半価幅が1.2°以下の水酸化ニッケル粒子を用いることが好ましいと言える。
(参考例5)
本参考例5では、ステップ1において、硫酸ニッケルと硫酸マグネシウムとを含む混合液、水酸化ナトリウム水溶液、及びアンモニア水溶液の供給量を、0.1〜1.0(ml/分)の範囲で調整すると共に、反応槽内での滞留時間(反応時間)も調整して、5種類の水酸化ニッケル粒子を作製した。
その後、実施例1のステップ2と同様にして、正極活物質を作製した。これらの正極活物質について、実施例1と同様にして物性を調査したところ、コバルト化合物中のコバルトの平均価数は、2.8〜3.0(価)の範囲であった。また、コバルト化合物中のナトリウム量は、コバルト化合物の全重量に対し、いずれも0.1重量%より少なかった。また、導電率は、いずれも1.0×10-6S/cmより小さい値を示した。また、窒素ガス吸着法により測定したBET比表面積を調べたところ、7.0〜2.3×10(m2/g)の範囲でばらついていた。
次いで、実施例1のステップ3,4と同様にして、5種類のアルカリ蓄電池を作製し、特性評価を行った。なお、本参考例5では、正極活物質粒子のBET比表面積(m2/g)と、利用率比率(B/A)×100(%)、及び利用率比率(D/A)×100(%)との関係を調査した。その結果、BET比表面積が8.0(m2/g)より小さいものは、充放電時の分極が大きくなり、8.0(m2/g)以上のものと比較して、利用率比率(B/A)×100(%)の値が2%以上低くなった。具体的には、利用率比率(B/A)×100(%)の値は、BET比表面積が8.0(m2/g)以上の正極活物
質粒子を用いた電池では94%以上であるのに対し、8.0(m2/g)より小さい正極
活物質粒子を用いた電池では92%以下となった。この結果より、比表面積が8.0m2
/g以上の正極活物質を用いることにより、優れた高率放電特性を得ることができると言
える。
また、BET比表面積が1.8×10(m2/g)より大きいものは、1.8×10(m2/g)以下のものと比較して、利用率比率(D/A)×100(%)の値が3%以上低くなった。具体的には、利用率比率(D/A)×100(%)の値は、BET比表面積が1.8×10(m2/g)以下の正極活物質粒子を用いた電池では94%以上であるのに対し、1.8×10(m2/g)より大きい正極活物質粒子を用いた電池では91%以下となった。これは、正極活物質の比表面積が大きいために、充放電サイクル試験中に、セパレータ内の電解液が正極中に移動し易くなり、これによりセパレータ内の電解液が減少して、内部抵抗が上昇してしまったためと考えられる。
この結果より、比表面積が1.8×10(m2/g)以下の正極活物質を用いることにより、サイクル寿命特性を良好にすることができると言える。
(参考例6)
本参考例6では、ステップ3において、コバルト粉末5gを添加する代わりに、水酸化コバルト粉末5gを添加して、ニッケル正極を作製した。その他の条件(ステップ1〜4)は全て実施例1と同様にして、アルカリ蓄電池を作製した。
次いで、実施例1と同様にして、電池の特性評価を行ったところ、高率放電特性、自己放電特性、及びサイクル寿命特性は、共に良好であった。
但し、本参考例6のアルカリ蓄電池では、利用率比率(B/A)×100(%)の値が92.4%と良好な値ではあったものの、実施例1のアルカリ蓄電池(利用率比率(B/A)×100=94.7%)に比して2.3%低下した。ここで、両電池の内部抵抗を調査したところ、本参考例6の電池は、実施例1の電池よりも若干高くなっていた。そこで、両電池の内部抵抗を調査したところ、本参考例6の電池は、実施例1の電池よりも若干高くなっていた。
さらに、両者の初充電時の充放電曲線を比較したところ、本参考例6のコバルト酸化効率は、実施例1のコバルト酸化効率に対し大きく低下していた。これは、実施例1では、正極に導電性の高いコバルトを添加したのに対し、本参考例6では、導電性の低い水酸化コバルトを添加したためと考えられる。なお、コバルト酸化効率は、コバルト及び水酸化コバルトからオキシ水酸化コバルトに変化するために必要な電気量と、実際に充電プラトーとして充電曲線から計算した電気量との比率である。
ところで、実施例1及び参考例6では、共に、導電性の低いコバルト化合物層を形成した正極活物質を用いている。このため、正極活物質が導電性の高いコバルト化合物層を有する場合に比して、正極の集電性が低下してしまう。従って、これを補うために、コバルト酸化効率を高くするのが好ましい。実施例1では、導電性の高いコバルトを正極に添加することにより、コバルト酸化効率を高めているため、オキシ水酸化コバルトによる導電ネットワークの形成が良好となり、正極の集電性が良好となる。このような理由により、利用率比率(B/A)×100(%)が高い値を示したと考えられる。これに対し、本参考例6では、導電性の低い水酸化コバルトを正極に添加したため、実施例1と比較して、コバルト酸化効率が低下し、オキシ水酸化コバルトによる導電ネットワークの形成が充分でなかったと考えられる。
従って、導電性の低いコバルト化合物層を形成した正極活物質を用いる場合には、導電性の高いコバルトを正極に添加するのが好ましいと言える。
(参考例7)
本参考例7では、ステップ3において、コバルト粉末の添加量を、正極活物質に対し1〜8重量%の範囲で調整して、複数種類のニッケル正極を作製した。その他の条件(ステップ1〜4)は全て実施例1と同様にして、アルカリ蓄電池を作製した。
次いで、実施例1と同様にして、電池の特性評価を行った。具体的には、本参考例7のアルカリ蓄電池のそれぞれについて、利用率比率(B/A)×100(%)を算出した。その結果、コバルト粉末の添加量を、正極活物質に対し2重量%以上とした電池において、利用率比率(B/A)×100(%)が94%以上の高い値を示した。
これに対し、コバルト粉末の添加量を2重量%未満とした電池では、2重量%以上とした電池に比して、利用率比率(B/A)×100(%)の値が2%以上低下してしまった。これは、導電ネットワークを形成するコバルトの添加量が不十分であるために、正極の集電性を充分に高めることができなかったためと考えられる。
以上の結果より、コバルトを、正極活物質に対し2重量%以上含有させることにより、集電性を良好にすることができ、活物質の利用率を良好にすることができると言える。
また、コバルト粉末の添加量を7重量%を上回る電池では、水酸化ニッケル粒子の充填が不十分となり、正極の容量密度が低下してしまった。
以上より、コバルトの含有量は、正極活物質に対し、2重量%以上7重量%以下とするのが好ましいと言える。
(参考例8)
本参考例8では、ステップ3において、酸化イットリウム粉末の添加量を、正極活物質に対し0〜5重量%の範囲で調整して、複数種類のニッケル正極を作製した。その他の条件(ステップ1〜4)は全て実施例1と同様にして、アルカリ蓄電池を作製した。
次いで、実施例1と同様にして、電池の特性評価を行った。具体的には、それぞれの電池について、まず、実施例1と同様にして、初期サイクルの活物質利用率A(1.3A放電時利用率)と、活物質利用率B(6.5A放電時利用率)を算出した。さらに、それぞれの電池の高率放電特性を示す指標として、活物質利用率Aに対する活物質利用率Bの比率(B/A)×100(%)を算出した。
その後、60℃において、1.3Aの電流で1.2時間充電した後、1.3Aの電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電した。このときの放電容量に基づき、それぞれの電池について、活物質利用率F(60℃、1.3A放電時利用率)を算出した。さらに、それぞれの電池の高温充放電特性を示す指標として、活物質利用率Aに対する活物質利用率Fの比率(F/A)×100(%)を算出した。
ここで、酸化イットリウムの添加量と、利用率比率(F/A)×100(%)、及び利用率比率(B/A)×100(%)との関係を、図4に示す。
図4において◆で示すように、酸化イットリウムの添加量が増えるほど、利用率比率(F/A)×100(%)が増大する傾向にあることがわかる。詳細には、酸化イットリウムの添加量が0.5重量%以上の範囲で、利用率比率(F/A)×100(%)が高い値を示すことがわかる。従って、酸化イットリウムの添加量を0.5重量%以上とすることにより、高温充放電特性を良好にすることができると言える。すなわち、充電受け入れ性を良好にすることができると言える。
一方、□で示すように、酸化イットリウムの添加量が増えるほど、利用率比率(B/A)×100(%)が低下する傾向にあることがわかる。特に、酸化イットリウムの添加量が3重量%を上回ると、利用率比率(B/A)×100(%)は大きく低下することがわかる。従って、良好な高率放電特性を得るためには、酸化イットリウムの添加量を3.0重量%以下とするこことが必要であると言える。
以上の結果より、イットリウム酸化物の含有量は、正極活物質に対し、0.5重量%以上3重量%以下であるのが好ましいと言える。
(参考例9)
本参考例9では、ステップ3において、コバルト粉末を添加することなく、ニッケル正極を作製した。その他の条件(ステップ1〜4)は全て実施例1と同様にして、アルカリ蓄電池を作製した。
次いで、実施例1と同様にして、電池の特性評価を行ったところ、高率放電特性、自己放電特性、及びサイクル寿命特性は、共に良好であった。さらに、参考例8と同様にして、電池の特性評価を行い、それぞれの電池の高温充放電特性を示す指標として、活物質利用率Aに対する活物質利用率Fの比率(F/A)×100(%)を算出した。その結果、利用率比率(F/A)×100=76.1(%)となった。
ここで、本参考例9と参考例8とを比較検討する。本参考例9では、コバルト粉末を添加していないが、酸化イットリウム粉末は、実施例1と同様に、2重量%添加している。これに対し、参考例8では、コバルト粉末を実施例1と同様に5重量%添加し、酸化イットリウム粉末を0〜5重量%の範囲で添加している。そこで、本参考例9と、参考例8のうち酸化イットリウムを2重量%添加したものとを比較する。すると、本参考例9では、利用率比率(F/A)×100の値が76.1(%)であるのに対し、参考例8では80%であった。すなわち、参考例8では、コバルトを添加したことにより、本参考例9と比較して、利用率比率(F/A)×100が4%程度高くなっていた。
そこで、参考例8及び参考例9の電池について、60℃における充電曲線をそれぞれ比較したところ、コバルト粉末及び酸化イットリウム粉末を共に添加した電池において、酸素発生過電圧が著しく上昇していることが判明した。このため、両者を添加した電池において、高温充放電特性が良好となったと考えられる。従って、正極に、コバルト及び酸化イットリウムを共に添加するのが好ましいと言える。
これは、次のような理由によるものと考えられる。イットリウム酸化物を電極に含有させることにより、酸素発生過電圧が上昇し、充電受け入れ性が向上することが知られている。このような性質を有するイットリウム酸化物に加え、コバルトを添加すると、充電時に、コバルトとイットリウムとの混合酸化物が生成され、これにより、イットリウム酸化物の分散性が向上する。このため、特異的に酸素発生過電圧が上昇し、充電受け入れ性が良好になり、高温充放電特性が良好になると考えられる。
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1,3では、マグネシウムを固溶状態で含む水酸化ニッケル粒子を用いて正極活物質を作製した。しかしながら、水酸化ニッケル粒子に含有させる元素は、マグネシウムのみに限定されるものではない。少なくともマグネシウムを固溶状態で含ませることにより、高率放電特性及び出力特性を良好とすることができる。具体的には、マグネシウムに加えてコバルトを水酸化ニッケル粒子に含有させた場合でも、高率放電特性及び出力特性を良好とすることができた。
また、実施例1〜3では、負極に水素吸蔵合金を用いたニッケル水素蓄電池を作製した。しかしながら、本発明は、ニッケル亜鉛蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池など、いずれのアルカリ蓄電池についても同様な効果を得ることができる。
また、実施例1〜3では、アルカリ蓄電池を円筒型としたが、このような形状に限定されるものではない。ケース内に極板を積層した角形電池など、いずれの形態のアルカリ蓄電池についても適用することができる。

Claims (2)

  1. 水酸化ニッケル粒子と、これを被覆するコバルト化合物層と、を有するアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法であって、
    上記水酸化ニッケル粒子を含む水溶液中に、水酸化ナトリウム水溶液を供給してpHを11.5〜13.5の範囲に保ちつつコバルトイオンを含む水溶液を供給すると共に、空気を供給して、上記水酸化ニッケル粒子の表面に上記コバルト化合物層を形成するコバルト化合物層形成工程を有する
    アルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法。
  2. 請求項1に記載のアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法であって、
    前記コバルト化合物層形成工程では、
    前記水酸化ニッケル粒子を含む水溶液中に供給する空気により、当該水溶液中の溶存酸素濃度を1.0mg/l以上1.5×10mg/l以下に保つ
    アルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法。
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