JP2001332257A - アルカリ蓄電池用非焼結式正極、その製造方法および前記非焼結式正極を用いたアルカリ蓄電池 - Google Patents

アルカリ蓄電池用非焼結式正極、その製造方法および前記非焼結式正極を用いたアルカリ蓄電池

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JP2001332257A
JP2001332257A JP2000301764A JP2000301764A JP2001332257A JP 2001332257 A JP2001332257 A JP 2001332257A JP 2000301764 A JP2000301764 A JP 2000301764A JP 2000301764 A JP2000301764 A JP 2000301764A JP 2001332257 A JP2001332257 A JP 2001332257A
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hydroxide
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Hiroshi Fukunaga
浩 福永
Hiromi Tamakoshi
博美 玉腰
Tatsu Nagai
龍 長井
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正極の利用率を高めて高容量のアルカリ蓄電
池を提供する。 【解決手段】 厚みが0.025〜0.3μmの範囲に
ある板状の水酸化コバルト粒子で粒子表面が被覆され、
かつコバルトおよび亜鉛が固溶した水酸化ニッケルを正
極活物質とする非焼結式正極を用いてアルカリ蓄電池を
構成する。上記非焼結式正極に、水酸化ニッケルの粒子
表面を被覆する水酸化コバルト粒子以外にもコバルト化
合物を含有させることによって高温貯蔵特性を向上させ
ることができ、また、ジルコニウム、チタン、ハフニウ
ムのいずれかまたはその化合物を含有させることによっ
て高温充電特性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ蓄電池用
非焼結式正極、その製造方法および前記非焼結式正極を
用いたアルカリ蓄電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルカリ蓄電池用の正極としては、ニッ
ケル粉末を焼結基板中の細孔に含浸させて活物質を充填
した焼結式ニッケル電極と、活物質である水酸化ニッケ
ルを結着剤、増粘剤などとともに水または溶剤に分散し
てペースト状にし、それを集電体となる導電性の多孔性
基材に塗布、充填した非焼結式ニッケル電極とがある。
【0003】前者の焼結式ニッケル電極は、焼結基板の
導電性が高いので、活物質の利用率が優れているが、焼
結基板の多孔度を増加させることが困難なため、水酸化
ニッケルの充填量を増加させることができず、高容量化
が達成しがたく、しかも、ニッケル粒子間の結合力が弱
いため、多孔度の大きい焼結基板を用いると活物質が脱
落しやすいという問題があった。
【0004】そのため、後者の非焼結式ニッケル電極が
水素化物二次電池用の正極として提案されており、この
非焼結式ニッケル電極では、活物質である水酸化ニッケ
ルの充填密度を高くすることができるとともに、電極の
製造も簡単で容易であるという利点を有するものの、活
物質である水酸化ニッケルと基材との距離が長いため、
導電性が低くなって活物質の利用率が低くなるという問
題があった。
【0005】そこで、非焼結式ニッケル電極では、活物
質の利用率を高めて高容量化を達成すべく、電極中に金
属コバルトまたは一酸化コバルトや水酸化コバルトなど
のコバルト化合物を導電助剤として添加することが提案
されている。これらのコバルト添加物はアルカリ電解液
中で充電時に酸化され、オキシ水酸化コバルトなどの高
次のコバルト酸化物となって水酸化ニッケルの粒子間を
電気的に接続するネットワークを形成することが知られ
ている。
【0006】しかしながら、前記コバルト系導電助剤は
電極中に均一分散しにくく偏在しやすいため、これより
形成されるコバルト酸化物のネットワークは不均一にな
りやすく、良好な導電性を確保しにくい。また、電極全
体にネットワークを形成させるため、コバルト系導電助
剤の添加量を増加させると、水酸化ニッケルの充填量が
低下することになる。そのため、最近では水酸化ニッケ
ルの充填量を低下させることなく、均一な導電性ネット
ワークを形成させるため、前記のようなコバルト系導電
助剤に代えて、あるいは前記コバルト系導電助剤ととも
に、あらかじめ表面を水酸化コバルトなどで被覆した水
酸化ニッケル粒子を用いることが提案されている(特開
昭62−234867号公報、特開昭62−23486
8号公報、特開平4−4698号公報など)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記水酸化コバルトの
被覆層としては、その目的達成上、水酸化ニッケルの粒
子表面で均一かつ緻密な被覆層であることが要求される
が、一般に水酸化コバルト粒子は板状の結晶として析出
するので、厚みが所定より薄い水酸化コバルト粒子で被
覆された場合は、該水酸化コバルト粒子間に多くのすき
まが生じるため、充電時の酸化で形成されるオキシ水酸
化コバルトなどのコバルト酸化物粒子は水酸化ニッケル
の粒子表面に不均一に存在することになり、そのため、
活物質である水酸化ニッケルの利用率が高くならず、前
記非焼結式ニッケル電極を正極として用いたアルカリ蓄
電池では、所望の特性が得られないという問題があっ
た。
【0008】したがって、本発明は、上記のような非焼
結式ニッケル電極を正極として用いる場合の問題点を解
決し、正極の利用率を高めて高容量のアルカリ蓄電池を
提供することを第1の目的とする。
【0009】また、本発明は、正極の利用率が高く、か
つ高温貯蔵特性が優れたアルカリ蓄電池を提供すること
を第2の目的とする。
【0010】さらに、本発明は、正極の利用率が高く、
かつ高温での貯蔵特性が優れ、しかも高温での充電特性
が優れたアルカリ蓄電池を提供できるようにすることを
第3の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、厚みが0.0
25〜0.3μmの範囲にある板状の水酸化コバルトで
粒子表面が被覆され、かつコバルトおよび亜鉛が固溶し
た水酸化ニッケルを正極活物質としてアルカリ蓄電池用
非焼結式正極を構成することによって、上記第1の目的
を達成したものである。
【0012】すなわち、本発明者らは、水酸化ニッケル
粒子の表面に水酸化コバルト粒子を析出させる反応の反
応条件と析出する水酸化コバルト粒子の形態、正極活物
質として用いた場合の正極の利用率との関係について検
討を重ねた結果、厚みが0.025〜0.3μmの範囲
にある板状の水酸化コバルト粒子で粒子表面が被覆され
た水酸化ニッケルを正極活物質とする非焼結式正極で
は、高い利用率が得られること、また、そのような形態
の水酸化コバルト粒子はコバルトおよび亜鉛が固溶した
水酸化ニッケルの粒子表面に析出しやすいことを見出
し、上記第1の目的を達成したのである。
【0013】また、本発明は、厚みが0.025〜0.
3μmの範囲にある板状の水酸化コバルト粒子で粒子表
面が被覆され、かつコバルトおよび亜鉛が固溶した水酸
化ニッケルを正極活物質とし、さらに前記水酸化ニッケ
ルの粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒子以外にもコ
バルト化合物を含有させてアルカリ蓄電池用非焼結式正
極を構成することによって、上記第2の目的を達成した
ものである。
【0014】すなわち、本発明者らは、厚みが0.02
5〜0.3μmの範囲にある板状の水酸化コバルト粒子
で粒子表面が被覆され、かつコバルトおよび亜鉛が固溶
した水酸化ニッケルを正極活物質として用いた非焼結式
正極中に、導電助剤として上記水酸化ニッケルの粒子表
面を被覆する水酸化コバルト粒子以外にもコバルト化合
物を含有させることによって、高い利用率が得られ、高
容量化を達成できるとともに、高温長期貯蔵での特性劣
化を抑制でき、高温貯蔵特性を向上させることができる
ことを見出し、前記第2の目的を達成したのである。
【0015】さらに、本発明は、厚みが0.025〜
0.3μmの範囲にある板状の水酸化コバルト粒子で粒
子表面が被覆され、かつコバルトおよび亜鉛が固溶した
水酸化ニッケルを正極活物質として用い、前記水酸化ニ
ッケルの粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒子以外に
もコバルト化合物を含有させ、かつジルコニウム、チタ
ン、ハフニウムのいずれかまたはその化合物を含有させ
てアルカリ蓄電池用非焼結式正極を構成することによっ
て、前記第3の目的を達成したのである。
【0016】すなわち、本発明者らは、厚みが0.02
5〜0.3μmの範囲にある板状の水酸化コバルト粒子
で粒子表面が被覆され、かつコバルトおよび亜鉛が固溶
した水酸化ニッケルを正極活物質として用いることによ
り、正極の利用率を高め、高容量化を達成できるように
するとともに、導電助剤として上記水酸化ニッケルの粒
子表面を被覆する水酸化コバルト粒子以外にもコバルト
化合物を含有させることにより、高温長期貯蔵での特性
劣化を抑制して、高温貯蔵特性(高温での貯蔵特性)を
向上させ、かつジルコニウム、チタン、ハフニウムのい
ずれかまたはその化合物を含有させることにより、高温
での充電効率を高めて、高温充電特性(高温での充電特
性)を向上させることによって、前記第3の目的を達成
したのである。
【0017】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の好ましい実施の
形態とともに、本発明者らが前記構成からなる本発明を
完成するにいたった経過および本発明によって前記の特
性を有するアルカリ蓄電池が得られるようになる理由に
ついて説明する。
【0018】まず、本発明を完成するにいたった経過か
ら説明すると、本発明者らは、水酸化ニッケルの粒子表
面に水酸化コバルト粒子を析出させて被覆する方法につ
いて検討し、粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒子の
形態が種々異なる水酸化ニッケル粒子の作製を試みた。
そして、得られた水酸化ニッケル粒子を正極活物質とす
る非焼結式正極の利用率の相違を詳細に検討したとこ
ろ、被覆した水酸化コバルト粒子の形状により正極の利
用率に差が生じることを見出した。
【0019】すなわち、本発明者らは、図2に示すよう
に、厚みが0.025μmより薄い板状の水酸化コバル
ト粒子で粒子表面を被覆した水酸化ニッケルを用いた非
焼結式正極と、図1に示すように、厚みが0.025〜
0.3μmの範囲にあって、ある程度結晶成長が進んだ
水酸化コバルト粒子で粒子表面を被覆した水酸化ニッケ
ルを用いた非焼結式正極とでは、同じ理論容量の正極で
あっても電池の放電容量に5%以上の開きがあることを
見出した。
【0020】これは、図2より明らかなように、板の厚
みが薄い水酸化コバルト粒子が被覆層となった場合は、
その被覆層を構成する水酸化コバルト粒子間のすきま
(図1や図2において、白っぽく写っている部分が水酸
化コバルト粒子で、黒っぽい部分がすきまである)が大
きくなり、被覆層の緻密性、均一性が劣るため、充電に
よって被覆層の水酸化コバルトを酸化したときに、導電
性のオキシ水酸化コバルトのネットワークで水酸化ニッ
ケルの粒子表面を完全に被覆することができなくなるこ
とによるものと考えられる。また、本発明者らは、厚み
が0.3μmより厚い水酸化コバルト粒子では水酸化ニ
ッケルの粒子表面を均一に被覆することができず、上記
のような厚みが0.025〜0.3μmの範囲の板状の
水酸化コバルト粒子で水酸化ニッケルの粒子表面を被覆
する場合だけが正極の利用率を向上させることができる
ことを見出した。そして、水酸化コバルト粒子の厚みが
0.03〜0.1μmである場合は、水酸化ニッケルの
粒子表面への被覆率がさらに向上し、より高い利用率が
得られることも見出した。
【0021】前記水酸化コバルトの被覆量としては、導
電性を向上させるとともに、正極に用いる際の活物質充
填量に影響を与えない範囲にするため、水酸化ニッケル
に対して水酸化コバルト中のコバルトの重量が2〜6%
(水酸化ニッケル100重量部に対して水酸化コバルト
中のコバルトの量が2〜6重量部の割合)となるように
することが好ましく、3〜5%にすることがより好まし
い。なお、水酸化ニッケルに対する水酸化コバルトの被
覆量は原子吸光分析による測定で求めることができる。
【0022】ここで、水酸化コバルト粒子により粒子表
面が被覆される水酸化ニッケルとしては、コバルトおよ
び亜鉛が固溶したものであることが必要である。なぜな
ら、水酸化コバルトの析出形態は水酸化ニッケルの組
成、結晶性、細孔構造などの影響を受けるが、コバルト
および亜鉛が固溶した水酸化ニッケル粒子を用いた場合
には、粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒子の厚みの
ばらつきが少なくなり、水酸化ニッケルの粒子表面への
被覆率が高くなって、正極の利用率が向上するからであ
る。
【0023】前記コバルトの水酸化ニッケルへの固溶量
としては0.5〜2重量%(水酸化ニッケル100重量
部に対してコバルトが0.5〜2重量部の割合)とする
ことが好ましく、亜鉛の水酸化ニッケルへの固溶量とし
ては0.5〜5重量%(水酸化ニッケル100重量部に
対して亜鉛が0.5〜5重量部の割合)とすることが好
ましい。また、水酸化ニッケルは微細な細孔構造を有す
る粒子であればなお一層好ましく、細孔半径のピーク値
が0.8nm以下であるものが好ましい。なお、前記細
孔半径は、窒素吸着法(ユアサアイオニクス、オートソ
ープ1)で試料1gを80℃で10×10-3Torr以
下まで真空吸引する前処理を行ったものを測定細孔径
0.1〜10nm(MP+BJH法)、測定時間120
分で、相対圧力(P/P0 )0.995以上まで窒素ガ
スを吸着させた後、脱離側で測定した時の値で表してい
る。
【0024】また、本発明において、水酸化コバルト粒
子の厚みは、SEM(走査型電子顕微鏡)により500
00倍で2μm×2μm四方内にある水酸化コバルト粒
子10個を選んでSEM写真上で定規により測定した時
の平均値で表している。
【0025】前記のように水酸化ニッケルの粒子表面を
水酸化コバルト粒子で被覆する方法としては、例えば、
公知の方法で製造された水酸化ニッケル粒子をアルカリ
水溶液中に分散させ、硫酸コバルト、硝酸コバルトなど
のコバルト化合物を所定量溶解させた液と、アンモニア
水などの錯化剤およびpH調整用のアルカリ水溶液を、
反応液のpHおよび温度を一定に保ちながら徐々に加え
て、水酸化ニッケルの粒子表面に水酸化コバルト粒子を
徐々に析出させることによって、水酸化ニッケルの粒子
表面を水酸化コバルト粒子で被覆する方法が挙げられ
る。
【0026】ここで、前記アルカリ水溶液としては一般
に用いられる水酸化ナトリウム水溶液でもよいが、水酸
化ナトリウム水溶液に水酸化カリウム水溶液や水酸化リ
チウム水溶液を混合した混合溶液であることがより好ま
しい。これは、そのような混合溶液を用いることによっ
て水酸化コバルト粒子の厚みを0.025〜0.3μm
の範囲に調整しやすくなるからである。また、反応液の
pHは10〜13が好ましく、反応条件の安定性の点か
らはpH11以上がより好適であり、析出する水酸化コ
バルト粒子の均一性の点からはpH12.5以下がより
好適である。反応液の温度は20〜80℃が好ましく、
反応速度や析出する水酸化コバルト粒子の結晶性の点か
らは30℃以上がより好適であり、反応条件の安定性か
らは70℃以下がより好適である。
【0027】また、水酸化ニッケルの粒子表面を水酸化
コバルト粒子で被覆するにあたって、上記コバルト化合
物の溶液に、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、ホウ素
化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、イッ
トリウム化合物、イッテルビウム化合物などの溶液を添
加してもよい。これは、これらの元素がコバルトと共存
することにより、水酸化コバルト粒子の厚みの制御が容
易になったり、該水酸化コバルト粒子が酸化されて生成
する高次のコバルト酸化物の耐還元性を向上させること
ができるからである。
【0028】前記のように、厚みが0.025〜0.3
μmの板状の水酸化コバルト粒子を被覆層として有する
水酸化ニッケルを正極活物質として用いることによって
正極の利用率を向上させることができ、第1の目的を達
成することができるが、水酸化ニッケルの粒子表面を被
覆する水酸化コバルト粒子以外にもコバルト化合物を含
有させることによって、高温貯蔵特性を向上させ、前記
第2の目的を達成できるのは、次の理由によるものと考
えられる。
【0029】前記のように電池組立後の充電により水酸
化コバルト粒子は酸化されて導電性のコバルト酸化物に
変化するが、厚みが0.025〜0.3μmの範囲にあ
る水酸化コバルト粒子の被覆層は、充電条件(充電電流
値や温度など)によっては、安定な高次酸化物であるオ
キシ水酸化コバルトだけでなく、四三酸化コバルトなど
の比較的還元されやすい低次の酸化物にも変化し、高温
貯蔵時に還元を受けるおそれがある。
【0030】また、正極内の導電性をより良好にするた
め添加される導電助剤が金属コバルトの場合は、その粒
子表面は酸化されるものの中心付近が金属(つまり、コ
バルト)のままで残存するため、電池の貯蔵中に正極の
電位が低下して導電性ネットワークが破壊されることが
ある。また、導電助剤としてニッケルなどの金属を添加
した場合も、導電性ネットワークを還元する触媒として
機能したり、ニッケルなどの金属自身が酸化されること
により負極のリザーブ水素を増加させ、貯蔵中の導電性
ネットワークの破壊を助長することがある。
【0031】しかしながら、導電助剤として、前記水酸
化ニッケルの粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒子以
外にもコバルト化合物を含有させておくと、前記のよう
な低次のコバルト酸化物に変化するのが抑制され、ま
た、導電助剤として金属コバルトやニッケルなどを含有
させる必要がなくなるので、貯蔵中に導電性ネットワー
クの破壊を助長することがなくなり、高温長期貯蔵での
特性劣化が抑制され、高温貯蔵特性が向上して、前記第
2の目的を達成できるようになる。
【0032】ここで、導電助剤として添加するコバルト
化合物としては、2価以上の価数を有するコバルトで構
成されていることが好ましく、例えば、一酸化コバル
ト、水酸化コバルトなどが好ましく、これらはいずれか
一方のみを用いてもよいし、また、両者を併用してもよ
い。さらに、多孔性基材に由来する金属を除いて、コバ
ルトはもとよりニッケルなどの金属導電助剤を含まない
構成とすることが好ましい。本発明においては、コバル
ト化合物は、水酸化ニッケルの重量に対してコバルトの
重量で0.5〜5%(すなわち、水酸化ニッケル100
重量部に対してコバルト化合物中のコバルトの重量で
0.5〜5重量部)の範囲で用いるのが好ましい。コバ
ルト化合物の添加量をこの範囲にすることにより、正極
活物質の充填量の大幅な低下を招くことなく導電性をさ
らに高めることが可能になり、さらに高容量化が達成で
きるとともに、高温での長期貯蔵でも導電性を失うこと
が少ないので、高温長期貯蔵でも特性劣化が少ないアル
カリ蓄電池を得ることができる。なお、前記コバルト化
合物の添加量は、従来のコバルト系導電助剤の一般的な
添加量である6〜20%(ただし、コバルトの重量とし
て)よりも少なく、高価なコバルト材料費を低減するこ
とができる。
【0033】さらに、ジルコニウム、チタン、ハフニウ
ムのいずれかまたはその化合物を正極中に含有させるこ
とによって、高温での充電特性を向上させることができ
るのは次の理由によるものと考えられる。すなわち、金
属コバルトや金属ニッケルなどの金属導電助剤を含有し
ていると、それらが酸素発生サイトとして作用し、酸素
ガス発生反応が優先的に生じることによって正極活物質
の水酸化ニッケルを2価から3価に酸化させる充電反応
が抑制されることが起こり得るが、ジルコニウム、チタ
ン、ハフニウムのいずれかまたはその化合物を正極に含
有させておくことにより、そのジルコニウム、チタン、
ハフニウムのいずれかまたはその化合物がアルカリ水溶
液と接触した際に溶解析出反応が生じ、それらが水酸化
ニッケルの粒子表面や多孔性基材の表面に均一に点在す
るため、正極の酸素発生過電圧を高めることができ、そ
れによって、高温充電時の酸素発生を抑制し、高温での
充電効率を向上させて高温で充電した場合でも充分な放
電容量が得られるようになって、前記第3の目的を達成
できるようになるものと考えられる。なお、充電効率を
向上させるために、従来からも電解液や水酸化ニッケル
中に酸素発生過電圧の高いカルシウムやイットリウムな
どを添加することが提案されているが、それらによる場
合、45℃より高い温度ではその効果は充分ではない。
しかしながら、前記のようにジルコニウム、チタン、ハ
フニウムのいずれかまたはその化合物を含有させておく
と、高温で充電した場合でも充分な放電容量が得られる
ようになり、高温での充電効率を向上させることができ
る。
【0034】正極中に含有させるジルコニウムの化合物
としては、例えば、ジルコニウム酸化物やイットリウム
部分安定化ジルコニウムなどが好適に用いられ、チタン
の化合物としては、例えば、アモルファス酸化チタン、
アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタンなどのチ
タン化合物が好適に用いられ、ハフニウムの化合物とし
ては、例えば、ハフニウム酸化物が好適に用いられる。
これらの化合物は、それぞれ単独で用いることができる
が、メカニズムは明白ではないものの、2種類以上併用
することによってその効果がさらに向上する。
【0035】正極中に含有させるジルコニウム、チタ
ン、ハフニウムのいずれかまたはその化合物は、水酸化
ニッケル100重量部に対して、0.05〜0.5重量
部とすることが好ましく、0.1〜0.2重量部とする
ことがより好ましい。ジルコニウム、チタン、ハフニウ
ムのいずれかまたはその化合物を正極中に前記範囲で含
有させることにより、高温での充電特性を向上させつ
つ、ジルコニウム、チタン、ハフニウムのいずれかまた
はその化合物が正極中の導電性ネットワークの形成を阻
害して正極の利用率を低下させるのを防止することがで
きる。
【0036】本発明のアルカリ蓄電池においては、電解
液として水酸化カリウムを主成分として含有し、さらに
水酸化ナトリウムを含有するアルカリ水溶液を用いた場
合には、四三酸化コバルトなどの低次のコバルト酸化物
の生成を抑制することができ、高温での長期貯蔵でも導
電性を失いにくい安定な高次のコバルト酸化物が形成さ
れ、高温での長期貯蔵性が向上する。もちろん、その場
合にも、当初の効果である高い利用率は維持される。
【0037】さらに、前記水酸化ナトリウムとともに水
酸化リチウムや亜鉛化合物などを電解液中に添加するこ
とが好ましい。特に亜鉛化合物は、導電性のコバルト酸
化物が形成される際にそのコバルト酸化物内に固溶する
か、あるいはその還元電位を変化させることにより、導
電性コバルト酸化物の耐還元性を向上させ、高温貯蔵に
より導電性が失われるのを抑制することができるので、
本発明において特に有用である。
【0038】前記水酸化ナトリウムの電解液中の含有量
としては、電解液中において、水酸化ナトリウムの濃度
が1〜10重量%になるようにすることが好ましく、水
酸化ナトリウムの濃度が2〜6重量%になるようにする
ことがより好ましい。すなわち、水酸化ナトリウムの含
有量を前記範囲にすることによって、高温貯蔵特性をよ
り向上させつつ低温特性の低下を防止することができ
る。
【0039】前記亜鉛化合物としては、例えば、酸化亜
鉛、水酸化亜鉛などが用いられ、この亜鉛化合物の電解
液中の含有量は、酸化亜鉛として、電解液中において1
〜6重量%の濃度となるようにすることが好ましく、
2.5〜5.5重量%の濃度となるようにすることがよ
り好ましい。
【0040】本発明において、正極は非焼結式正極で構
成されるが、この非焼結式正極は、例えば、前記正極活
物質としての厚みが0.025〜0.3μmの範囲にあ
る板状の水酸化コバルト粒子で粒子表面が被覆され、か
つコバルトおよび亜鉛が固溶した水酸化ニッケルに、必
要に応じて、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラ
フルオロエチレンなどのバインダーを加え、さらに必要
に応じて、導電助剤としてのコバルト化合物やジルコニ
ウム、チタン、ハフニウムのいずれかまたはその化合物
などを加えて水または溶剤の存在下で混合して正極合剤
含有ペーストを調製し(バインダーはあらかじめ水また
は溶剤に溶解または分散させた溶液または分散液にして
から正極活物質などと混合してもよい)、得られた正極
合剤含有ペーストを例えばニッケル発泡体などからなる
導電性の多孔性基材に塗布、充填し、乾燥して正極合剤
層を形成し、必要に応じて、加圧成形する工程を経由す
ることによって製造される。つまり、前記の乾燥により
正極合剤含有ペースト中に含まれている水などの揮発成
分が除去され、多孔性基材に正極合剤の薄い層が形成さ
れ、この正極合剤層を形成する工程を経由することによ
って、非焼結式正極が製造される。ただし、正極の製造
方法は、上記例示の方法に限られることなく、他の方法
によってもよい。
【0041】本発明において正極は、前記加圧成形後で
電池組立前に、あらかじめアルカリ水溶液中に浸漬処理
し、さらに熱処理することにより、前記の水酸化ニッケ
ルの粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒子および添加
したコバルト化合物を部分的に酸化しておくことが好ま
しい。アルカリ水溶液への浸漬処理の条件として、温度
は35〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ま
しく、浸漬時間は0.2〜2.4時間が好ましく、0.
25〜1時間がより好ましい。前記アルカリ水溶液への
浸漬処理後に熱処理を行うが、この熱処理の条件とし
て、温度は35〜110℃が好ましく、50〜90℃が
より好ましい。熱処理時間は0.2〜2.4時間が好ま
しく、0.25〜2時間がより好ましい。熱処理時の雰
囲気は空気中でもよいし、酸素濃度を調整した雰囲気で
あってもよい。このようなアルカリ水溶液への浸透処理
およびそれに続く熱処理による酸化処理を行うことによ
り、正極中の水酸化ニッケルの粒子表面を被覆する水酸
化コバルト粒子およびコバルト化合物を構成するコバル
トの平均価数が大きくなり、電池組立後に充電を行う際
に、高次の導電性コバルト酸化物の形成が一層容易にな
って、電池の正極の利用率や高温貯蔵特性を向上させる
ことができる。
【0042】すなわち、前記酸化処理により、コバルト
の平均価数を高次の導電性コバルト酸化物に変化しやす
い2.6〜3.1の範囲に変化させることにより、電池
組立後の充電によって高次の導電性コバルト酸化物が容
易に形成され、良好な導電性が確保されるのみならず、
高温での長期貯蔵でも導電性が失われにくくなるので、
前記した問題を解決することができるようになる。そし
て、コバルトの平均価数が2.65〜2.75の範囲で
あればさらに優れた特性が得られる。
【0043】前記加圧成形後の正極を浸漬するためのア
ルカリ水溶液としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化
ナトリウム水溶液のいずれでもよいが、通常は水酸化カ
リウム水溶液であって、水酸化カリウム濃度が5〜40
重量%程度のものが用いられ、かつその水酸化カリウム
水溶液に水酸化リチウムを1〜30g/l程度添加した
ものが好ましい。
【0044】また、正極中にジルコニウム、チタン、ハ
フニウムのいずれかまたはその化合物を含有させると、
アルカリ水溶液からなる電解液中で溶解析出反応が生じ
るため、電解液に溶解したジルコニウム、チタン、ハフ
ニウムのいずれかまたはその化合物の一部が負極に移動
し、負極内で析出して、負極の充放電反応を阻害するお
それがあるが、電池組立前に、前記のアルカリ水溶液へ
の浸漬処理を行うことにより、あらかじめ正極内でのみ
析出反応を生じさせることができるので、負極の反応を
阻害することなく前記ジルコニウム、チタン、ハフニウ
ムのいずれかまたはその化合物に基づく高温での充電特
性を向上させるという効果を充分に発現させることがで
きる。
【0045】前記の説明からも明らかなように、水酸化
ニッケルの粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒子は、
電池組立後の充電によりオキシ水酸化コバルトなどの高
次のコバルト酸化物に変化して、水酸化コバルトとして
存在しなくなり、また、導電助剤として含有させたコバ
ルト化合物も電池組立後の充電によりオキシ水酸化コバ
ルトなどの高次のコバルト酸化物に変化して含有させた
状態のコバルト化合物とは異なった状態で存在するよう
になるので、前記のような水酸化ニッケルの粒子表面を
被覆する水酸化コバルト粒子や導電助剤として含有させ
たコバルト化合物は、正極が製造された時点で存在して
おればよく、電池組立後においては最初の状態で存在し
ていなくてもよい。また、ジルコニウム、チタン、ハフ
ニウムのいずれかまたはその化合物も、アルカリ水溶液
との接触により溶解析出反応を起こすので、電池組立後
においては正極の製造にあたって使用した状態とは異な
る状態で存在していてもよい。要するに、水酸化ニッケ
ルの粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒子、コバルト
化合物、ジルコニウム、チタン、ハフニウムのいずれか
またはその化合物などは、正極の製造にあたって、その
状態で使用されていればよく、その要件さえ満たしてい
れば、本発明の範囲内に含まれる。
【0046】前記のようにして製造される正極に対し
て、負極には例えばカドミウム電極や水素吸蔵合金電極
などを用いることができる。水素吸蔵合金電極の場合、
活物質である水素吸蔵合金としては、希土類−Ni系、
ラーベス系、Mg−Ni系、V−Ti−Ni系などの各
種水素吸蔵合金を用いることができるが、それらの中で
もミッシュメタルを用いた希土類−Ni系水素吸蔵合金
が特に好適に用いられる。とりわけ、少なくともNi、
Co、MnおよびAlを含み、ミッシュメタル(Mm)
1に対してNi、Co、Mn、Alの割合がそれぞれ
3.4〜4.3、0.2〜0.7、0.1〜0.5、
0.1〜0.4の範囲にある水素吸蔵合金を用いる場合
に好ましい結果が得られる。正極に形成される導電性コ
バルト酸化物は、負極の水素吸蔵合金の腐食により生成
した水素ガスあるいは水素吸蔵合金から溶出したマンガ
ンイオン、アルミニウムイオンなどにより還元される
が、上記組成の水素吸蔵合金は比較的容量が大きく腐食
も少ないため、本発明の電池には特に有用である。
【0047】負極は、例えば、前記水素吸蔵合金などか
らなる負極活物質に、必要に応じて、カルボニルニッケ
ル、カーボン、金属銅などの導電助剤、ポリ−N−ビニ
ルアセトアミド、スチレン−2−エチルヘキシルアクリ
レート、スチレン−ブチル−ラバー、ポリテトラフルオ
ロエチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン
ブロック共重合体(SEBS)、EPDM、EPM、ウ
レタンゴム、ブチルゴムなどのバインダーを加え、水ま
たは溶剤の存在下で混合して負極合剤含有ペーストを調
製し(バインダーはあらかじめ水または溶剤に溶解また
は分散させた溶液または分散液にしてから負極活物質な
どと混合してもよい)、得られた負極合剤含有ペースト
を例えばニッケル製のパンチングメタルなどの多孔性基
材に塗布、充填し、乾燥して負極合剤層を形成し、必要
に応じて、加圧成形する工程を経由することによって製
造される。ただし、負極の製造方法は、上記例示の方法
に限られるものではなく、他の方法によってもよい。
【0048】そして、本発明のアルカリ蓄電池は、前記
の正極および負極と、さらにそれらを分離するナイロン
不織布などからなるセパレータを電池缶内に装填すると
ともに、アルカリ水溶液からなる電解液を注入した後、
電池缶の開口部を封口することによって組み立てられ
る。
【0049】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明は実施例に例示のもののみ
に限定されることはない。なお、以下において、部とあ
るのは重量部を意味し、また、濃度や固溶量などを示す
%は特にその基準を付記しないかぎり重量%である。
【0050】実施例1 コバルトが1%および亜鉛が2%固溶し、細孔半径のピ
ーク値が0.7nmである水酸化ニッケル粒子100部
を、pHが11.5に調整された水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化リチウムおよび硫酸アンモニウム
の混合溶液(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化リチウム、硫酸アンモニウムのモル比率は7:1:
1:0.2)700ml中に懸濁した。この懸濁液を攪
拌しながら、液のpHを11.5に保ち、温度を50℃
に保ちながら2mol/lの硫酸コバルト水溶液と、2
8体積%のアンモニア水と、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウムおよび水酸化リチウムの混合水溶液(それぞれ
7mol/l、1mol/lおよび1mol/l)を3
0分間かけて少量ずつ同時に滴下して、水酸化ニッケル
粒子の表面に板状の水酸化コバルト粒子を析出させ、濾
過、水洗、乾燥して、表面に水酸化コバルト粒子の被覆
層を有する水酸化ニッケル粒子を得た。この水酸化ニッ
ケル粒子の表面に析出した水酸化コバルト中のコバルト
の重量は、もとの水酸化ニッケルに対して4%であり、
水酸化コバルト粒子の厚みは0.06μmであった。
【0051】前記水酸化ニッケル粒子の表面を被覆する
水酸化コバルト粒子の加速電圧5kV、倍率50000
倍の電子顕微鏡写真を図1に示す。この図1において、
白っぽく写っている部分は水酸化コバルト粒子であり、
黒っぽい部分がすきまであるが、この実施例1のアルカ
リ蓄電池の正極に用いる水酸化ニッケル粒子では、その
表面がほとんどすきまなく水酸化コバルト粒子で被覆さ
れている。これに対して、図2は従来の表面を水酸化コ
バルト粒子で被覆した水酸化ニッケル粒子における水酸
化ニッケル粒子の表面を被覆する水酸化コバルトの加速
電圧5kV、倍率50000倍の電子顕微鏡写真であ
り、この図2においても、白っぽく写っている部分が水
酸化コバルト粒子で、黒っぽい部分がすきまであるが、
この従来の水酸化ニッケル粒子では、前記の図1との対
比から明らかなように、その表面を被覆する水酸化コバ
ルト粒子の間に多数のすきまが存在している。
【0052】前記のようにして得られた粒子表面を板状
の水酸化コバルト粒子で被覆した水酸化ニッケル粉末1
00部に、ニッケル粉末2部、水酸化コバルト粉末2
部、2%カルボキシメチルセルロース水溶液10部およ
び60%ポリテトラフルオロエチレン分散液4部を添加
し混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。この正
極合剤含有ペーストをニッケル発泡体からなる導電性の
多孔性基材に塗布、充填し、80℃で1時間乾燥して正
極合剤層を形成した後、1トン/cm2 で加圧成形して
シート状にした。これを80℃のアルカリ水溶液(水酸
化リチウムを17g/l含有する30%水酸化カリウム
水溶液)に0.5時間浸漬処理したのち、80℃の空気
中で1時間熱処理を行い、70℃の温水で0.7時間水
洗後、さらに85℃で1時間乾燥したのち、加圧成形
し、所定サイズに裁断して、理論容量が660mAhの
非焼結式正極を製造した。
【0053】負極は以下のようにして製造した。市販の
Mm(La、Ce、Nd、Prを含有する)、Ni、C
o、Mn、Al(いずれも純度99重量%以上)の各試
料を、MmNi3.9 Co0.6 Mn0.35Al0.25の組成に
なるように高周波溶解炉によって加熱溶解して、水素吸
蔵合金を得た。この水素吸蔵合金を機械的に粉砕するこ
とにより、平均粒子径が35μmの水素吸蔵合金粉末を
得た。この水素吸蔵合金粉末100部に、カルボニルニ
ッケル粉末1部、5%ポリ−N−ビニルアセトアミド水
溶液10部および40%スチレン−2−エチルヘキシル
アクリレート共重合体分散液1.7部を添加し混合し
て、負極合剤含有ペーストを調製した。この負極合剤含
有ペーストを表面にニッケルメッキを施した鉄製のパン
チングメタルからなる多孔性基材に塗布、充填し、乾燥
して負極合剤層を形成した後、加圧成形し、その後、所
定サイズに裁断してシート状の負極を得た。
【0054】前記の正極と負極をナイロン不織布からな
るセパレータを介して巻回し、得られた巻回構造の電極
体を有底円筒状の電池缶に挿入後、電解液として水酸化
カリウムを29%および水酸化リチウムを2%含むアル
カリ混合水溶液からなる電解液を注入した後、電池缶の
開口部を封口して、図3に示す構造の単4形アルカリ蓄
電池を製造した。
【0055】ここで、図3に示す電池について説明す
る。まず、符号と部材名称の関係から先に説明すると、
1は正極、2は負極、3はセパレータ、4は巻回構造の
電極体、5は電池缶、6は環状ガスケット、7は電池
蓋、8は端子板、9は封口板、10は金属バネ、11は
弁体、12は正極リード体、13は絶縁体、14は絶縁
体である。
【0056】正極1は上記のような非焼結式ニッケル電
極からなるものであり、負極2は上記のような非焼結式
水素吸蔵合金電極からなるものであるが、この図3では
それらの作製にあたって使用した基材などは示しておら
ず、単一のものとして示している。セパレータ3は前記
のようにナイロン不織布からなるものであり、正極1と
負極2はこのセパレータ3を介して重ね合わせられ、渦
巻状に巻回して作製した巻回構造の電極体4として電池
缶5に挿入され、その上部には絶縁体14が配置されて
いる。また、電池缶5の底部には上記巻回構造の電極体
4の挿入に先立って絶縁体13が配設されている。そし
て、この図3では、図示していないが、負極2の最外周
部では多孔性基材の一部が露出していて、それが電池缶
5の内壁に接触し、それによって、電池缶5は負極端子
として作用する。
【0057】環状ガスケット6はナイロン66で作製さ
れ、電池蓋7は端子板8と封口板9とで構成され、電池
缶5の開口部はこの電池蓋7などで封口されている。つ
まり、電池缶5内に巻回構造の電極体4や絶縁体13、
絶縁体14などを挿入した後、電池缶5の開口端近傍部
分に底部が内周側に突出した環状の溝5aを形成し、電
解液を注入後、上記溝5aの内周側突出部で環状ガスケ
ット6の下部を支えさせて環状ガスケット6と電池蓋7
とを電池缶5の開口部に配置し、電池缶5の溝5aから
先の部分を内方に締め付けて電池缶5の開口部を封口し
ている。前記端子板8にはガス排出口8aが設けられ、
封口板9にはガス検知口9aが設けられ、端子板8と封
口板9との間には金属バネ10と弁体11とが配置され
ている。そして、封口板9の外周部を折り曲げて端子板
8の外周部を挟み込んで端子板8と封口板9とを固定し
ている。
【0058】この電池は、通常の状況下では金属バネ1
0の押圧力により弁体11がガス検知口9aを閉鎖して
いるので、電池内部は密閉状態に保たれているが、電池
内部にガスが発生して電池内部の圧力が異常に上昇した
場合には、金属バネ10が収縮して弁体11とガス検知
口9aとの間に隙間が生じ、電池内部のガスはガス検知
口9aおよびガス排出口8aを通過して電池外部に放出
され、高圧での電池破裂が防止できるように構成される
とともに、前記のガス放出により電池内圧が低下した場
合には、金属バネ10が元の状態に復元し、その押圧力
により弁体11が再びガス検知口9aを閉鎖して電池内
部を密閉構造に保つようになっている。
【0059】正極リード体12はニッケルリボンからな
り、その一方の端部は正極2の支持体にスポット溶接さ
れ、他方の端部は封口板9の下端にスポット溶接されて
いて、端子板8の前記封口板9との接触により正極端子
として作用する。
【0060】実施例2 電解液として、水酸化カリウムを26%、水酸化ナトリ
ウムを4%、水酸化リチウムを2%および酸化亜鉛を4
%含むアルカリ混合水溶液を用いた以外は、実施例1と
同様に単4形のアルカリ蓄電池を製造した。
【0061】実施例3 コバルトが2%および亜鉛が3.5%固溶し、細孔半径
のピーク値が0.6nmである水酸化ニッケル粒子10
0部を、pHが11.5に調整された水酸化ナトリウ
ム、水酸化リチウムおよび硫酸アンモニウムの混合水溶
液(水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、硫酸アンモニ
ウムのモル比率は8:1:0.2)700ml中に懸濁
した。この懸濁液を攪拌しながら、反応溶液のpHを1
1.5に保ち、温度を50℃に保ちながら2mol/l
の硫酸コバルト水溶液、28体積%のアンモニア水、
0.1mol/lの硫酸亜鉛水溶液と、水酸化ナトリウ
ムと水酸化リチウムの混合水溶液(それぞれ8mol/
lおよび1mol/l)を30分間かけて少量ずつ同時
に滴下して、水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバル
ト粒子を析出させた。得られた表面に水酸化コバルト粒
子の被覆層を有する水酸化ニッケル粒子を水洗し、乾燥
した。この水酸化ニッケル粒子の表面に析出した水酸化
コバルト中のコバルトの重量は、もとの水酸化ニッケル
に対して3.7%であり、また、水酸化コバルト粒子の
厚みは0.047μmであった。この粒子表面に水酸化
コバルト粒子の被覆層を有する水酸化ニッケルを正極活
物質として用いた以外は、実施例1と同様にして理論容
量が660mAhの非焼結式正極を製造した。
【0062】この非焼結式正極を実施例1と同様の負極
およびセパレータとともに巻回し、得られた巻回構造の
電極体を電極缶に挿入後、電解液として水酸化カリウム
を26%、水酸化ナトリウムを4%および水酸化リチウ
ムを2%含むアルカリ混合水溶液からなる電解液を注入
した後、実施例1と同様に電池缶の開口部を封口して、
単4形のアルカリ蓄電池を製造した。
【0063】比較例1 細孔半径のピーク値が1.1nmで、コバルトおよび亜
鉛が固溶していない水酸化ニッケル粒子を用いた以外
は、実施例1と同様にして水酸化ニッケル粒子の表面を
水酸化コバルト粒子で被覆した。この水酸化ニッケルの
粒子表面に析出した水酸化コバルト中のコバルトの重量
は、もとの水酸化ニッケルに対して3.8%であり、水
酸化コバルト粒子の厚みは0.018μmであった。こ
の水酸化コバルト粒子で粒子表面を被覆した水酸化ニッ
ケルを正極活物質として用いた以外は、実施例1と同様
に理論容量が660mAhの非焼結式正極を製造し、か
つ単4形のアルカリ蓄電池を製造した。
【0064】比較例2 コバルトが1%および亜鉛が2%固溶し、細孔半径のピ
ーク値が0.7nmである水酸化ニッケル粒子100部
を、pHが9に調整された水酸化ナトリウムと1mol
/lの硫酸アンモニウムとの混合水溶液700ml中に
懸濁した。この懸濁液を攪拌しながら、反応液のpHを
9に保ち、温度を25℃に保ちながら2mol/lの硫
酸コバルト水溶液および10mol/lの水酸化ナトリ
ウム水溶液を30分間かけて少量ずつ同時に滴下して、
水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルト粒子を析出
させた。得られた粒子表面に水酸化コバルト粒子の被覆
層を有する水酸化ニッケルを水洗し、乾燥した。この水
酸化ニッケルの粒子表面に析出した水酸化コバルト中の
コバルトの重量は、もとの水酸化ニッケルに対して3.
5%であり、水酸化コバルト粒子の厚みは0.012μ
mであった。この粒子表面に水酸化コバルト粒子の被覆
層を有する水酸化ニッケルを正極活物質として用いた以
外は、実施例1と同様に理論容量が660mAhの非焼
結式正極を作製し、かつ単4形のアルカリ蓄電池を製造
した。
【0065】上記実施例1〜3および比較例1〜2のア
ルカリ蓄電池を、それぞれ70℃で6時間保存してか
ら、25℃、0.1C(70mA)で12時間充電し、
0.2C(140mA)で1.0Vまで放電した。この
充放電サイクルを放電容量が一定になるまで繰り返した
後、正極の利用率を調べた。
【0066】この正極の利用率は、電池を25℃、0.
25C(175mA)で6時間充電し、休止1時間後に
0.2C(140mA)で1.0Vまで放電したときの
放電容量を測定し、その放電容量の正極の理論容量に対
する割合で求めた。その結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】表1に示すように、実施例1〜3のアルカ
リ蓄電池は、比較例1〜2のアルカリ蓄電池に比べて、
正極の利用率が高かった。これは、本発明の実施例1〜
3のアルカリ蓄電池では、厚みが0.025〜0.3μ
mの範囲の板状の水酸化コバルト粒子で粒子表面を被覆
した水酸化ニッケルを正極活物質とする非焼結式正極を
用いたことによるものである。
【0069】これに対して、比較例1のアルカリ蓄電池
では水酸化ニッケルにコバルトおよび亜鉛が固溶してお
らず、また、比較例2のアルカリ蓄電池では水酸化ニッ
ケルの粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒子の厚みが
0.012μmと本発明で規定する0.025〜0.3
μmの範囲より小さかったため、高い利用率が得られな
かった。
【0070】実施例4 実施例1と同様の粒子表面を板状の水酸化コバルト粒子
で被覆した水酸化ニッケル(コバルトが1%および亜鉛
が2%固溶し、細孔半径のピーク値が0.7nmである
水酸化ニッケルの粒子表面を厚み0.06μmの板状の
水酸化コバルト粒子で被覆したもので、その水酸化コバ
ルト中のコバルトの重量がもとの水酸化ニッケルに対し
て4%であるもの)の粉末100部に、水酸化コバルト
粉末2部、カルボキシメチルセルロース水溶液10部お
よび60%ポリテトラフルオロエチレン分散液4部を混
合して、正極合剤含有ペーストを調製した。この正極合
剤含有ペーストをニッケル発泡体からなる導電性の多孔
性基材に塗布、充填し、80℃で1時間乾燥して正極合
剤層を形成した後、1トン/cm2 で加圧成形してシー
ト状にした。これを80℃のアルカリ水溶液(実施例1
の場合と同様に、水酸化リチウムを17g/l含有する
30%水酸化カリウム水溶液)に0.5時間浸漬処理し
たのち、80℃の空気中で1時間熱処理を行い、70℃
の温水で0.7時間水洗後、さらに85℃で1時間乾燥
したのち、加圧成形し、所定サイズに裁断して、理論容
量が660mAhの非焼結式正極を製造した。
【0071】得られた正極中のコバルトの平均価数を以
下のようにして測定した。0.9cm×0.9cmに正
極を切断し、それを0.025molのモール塩(10
%CH3 COOH含有)100mlに浸漬し、1時間攪
拌して多孔性基材を構成するニッケル発泡体を溶解させ
た。その後、12molの硫酸10mlを添加し、0.
025molの過マンガン酸カリウム水溶液で滴定をし
て、3価のコバルトの定量を行った。その際、測定した
結果に3価のニッケルによる値が重畳している可能性が
あるため、あらかじめ処理前の正極について3価のニッ
ケルの量を求めておき、その測定値よりこのニッケル量
を差し引いて3価のコバルトの量を求めた。また、事前
に正極中のコバルトの総量を原子吸光分析により求め、
その量から3価のコバルトの量を差し引き2価のコバル
トの量とした。これらの結果からコバルトの平均価数を
求めたところ2.72であった。そして、この正極を用
いた以外は、実施例1と同様に単4形のアルカリ蓄電池
を製造した。
【0072】実施例5 電解液として、水酸化カリウムを26%、水酸化ナトリ
ウムを4%、水酸化リチウムを2%および酸化亜鉛を4
%含むアルカリ混合水溶液を用いた以外は、実施例4と
同様にして単4形のアルカリ蓄電池を製造した。
【0073】実施例6 実施例3の水酸化コバルト粒子で被覆した水酸化ニッケ
ル(コバルトが2%および亜鉛が3.5%固溶し、細孔
半径のピーク値が0.6nmである水酸化ニッケルの粒
子表面を厚み0.047nmの板状の水酸化コバルト粒
子で被覆したもので、その水酸化コバルト中のコバルト
の重量がもとの水酸化ニッケルに対して3.7%である
もの)を正極活物質として用いた以外は、実施例4と同
様に理論容量が660mAhの非焼結式正極を製造し
た。この正極中のコバルトの平均価数を実施例4と同様
に求めたところ2.69であった。
【0074】この正極を実施例4と同様の負極およびセ
パレータとともに巻回し、得られた巻回構造の電極体を
電極缶に挿入後、電解液として水酸化カリウムを26
%、水酸化ナトリウムを4%および水酸化リチウムを2
%含むアルカリ混合水溶液からなる電解液を注入した
後、実施例4と同様に電池缶の開口部を封口して、単4
形のアルカリ蓄電池を製造した。
【0075】実施例7 水酸化コバルト粉末2部に代えて、水酸化コバルト粉末
1部と一酸化コバルト粉末1部を正極合剤含有ペースト
中に添加した以外は、実施例4と同様に理論容量が66
0mAhの非焼結式正極を製造し、かつ単4形のアルカ
リ蓄電池を製造した。この実施例7のアルカリ蓄電池に
おける正極中のコバルトの平均価数を実施例4と同様に
求めたところ2.74であった。
【0076】実施例8 正極のアルカリ水溶液への浸漬処理およびそれに続く熱
処理を、35℃のアルカリ水溶液に2.4時間浸漬処理
したのち、110℃の空気中で0.2時間熱処理するこ
とによって行った以外は、実施例4と同様に理論容量が
660mAhの非焼結式正極を製造し、かつ単4形のア
ルカリ蓄電池を製造した。この実施例8のアルカリ蓄電
池中における正極中のコバルトの平均価数を実施例4と
同様に求めたところ2.73であった。
【0077】実施例9 正極のアルカリ水溶液への浸漬処理およびそれに続く熱
処理を、100℃のアルカリ水溶液に0.2時間浸漬処
理したのち、35℃の空気中で2.4時間熱処理するこ
とによって行った以外は、実施例4と同様に理論容量が
660mAhの非焼結式正極を製造し、かつ単4形のア
ルカリ蓄電池を製造した。この実施例9のアルカリ蓄電
池における正極中のコバルトの平均価数を実施例4と同
様に求めたところ2.72であった。
【0078】上記実施例4〜9のアルカリ蓄電池を、そ
れぞれ70℃で6時間保存してから、25℃、0.1C
(70mA)で12時間充電し、0.2C(140m
A)で1.0Vまで放電した。この充放電サイクルを放
電容量が一定になるまで繰り返した後、正極の利用率と
高温貯蔵特性を調べた。
【0079】まず、正極の利用率は、電池を25℃、
0.25C(175mA)で6時間充電し、休止1時間
後に0.2C(140mA)で1.0Vまで放電したと
きの放電容量を測定し、その放電容量の正極の理論容量
に対する割合で求めた。その結果を表2に示す。
【0080】また、高温貯蔵特性は、前記正極の利用率
を求めるために放電した放電後の電池を80℃で14日
間貯蔵した後、25℃、0.25C(175mA)で6
時間充電し、0.2C(140mA)で1.0Vまで放
電する放電を3サイクル繰り返し、3サイクル目の放電
容量と貯蔵前の放電容量を比較し、高温貯蔵特性を貯蔵
前の放電容量に対する回復率〔(3サイクル目の放電容
量÷貯蔵前の放電容量)×100〕で評価した。その結
果を表2に示す。
【0081】また、前記比較例1〜2の電池についても
上記実施例4〜9の電池と同様に正極の高温貯蔵特性を
調べた。その結果を先に調べておいた正極の利用率の結
果とともに表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】表3に示すように、実施例4〜9のアルカ
リ蓄電池は、正極の利用率が高く、かつ高温貯蔵特性を
示す回復率が高く、高温貯蔵特性が優れていた。これ
は、本発明の実施例4〜9のアルカリ蓄電池では、粒子
表面が0.025〜0.3μmの範囲の厚みを有する板
状の水酸化コバルト粒子で被覆され、かつコバルトおよ
び亜鉛が固溶する水酸化ニッケルを正極活物質とし、さ
らに導電助剤として上記水酸化ニッケルの粒子表面を被
覆する水酸化コバルト粒子以外にもコバルト化合物を含
有する非焼結式正極を用いたことによるものであり、特
に水酸化ナトリウムを含有する電解液を用いた実施例5
〜6のアルカリ蓄電池は、高温貯蔵後の特性劣化がより
一層抑制され、高温貯蔵特性が優れていた。
【0084】また、実施例7のアルカリ蓄電池では、コ
バルト化合物として水酸化コバルトと一酸化コバルトを
併用して正極合剤含有ペースト中に含有させたが、コバ
ルト化合物として水酸化コバルトのみを含有させた実施
例4のアルカリ蓄電池と同様の特性を有していた。さら
に、アルカリ水溶液への浸漬条件やそれに続く熱処理条
件を変動させた実施例8〜9のアルカリ蓄電池も実施例
4のアルカリ蓄電池と同様の特性を有していた。なお、
水酸化ニッケルの粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒
子以外にもコバルト化合物を含有させ、かつアルカリ水
溶液中の浸漬処理を、35〜100℃の範囲で、0.2
〜2.4時間行い、浸漬後の熱処理を35〜110℃の
範囲で、0.2〜2.4時間行った実施例4〜9のアル
カリ蓄電池では、正極中のコバルトの平均価数が2.6
5〜2.75の範囲にあった。
【0085】これに対して、比較例1のアルカリ蓄電池
では水酸化ニッケルに亜鉛およびコバルトが固溶してお
らず、また、比較例2のアルカリ蓄電池では水酸化コバ
ルト粒子の厚みが薄いため、前記と同様に、高い利用率
が得られず、また、これらの比較例1〜2のアルカリ蓄
電池では、水酸化ニッケルの粒子表面を被覆する水酸化
コバルト粒子以外にはコバルト化合物を含有させていな
いため、高温貯蔵特性が低かった。
【0086】実施例10 実施例1の水酸化コバルト粒子で被覆した水酸化ニッケ
ル(コバルトが1%および亜鉛が2%固溶し、細孔半径
のピーク値が0.7nmである水酸化ニッケルの粒子表
面を厚み0.06μmの板状の水酸化コバルト粒子で被
覆したもので、その水酸化コバルト中のコバルトの重量
がもとの水酸化ニッケルに対して4%であるもの)の粉
末100部に、水酸化コバルト粉末2部、酸化ジルコニ
ウム(ZrO2 )粉末0.2部、2%カルボキシメチル
セルロース水溶液10部および60%ポリテトラフルオ
ロエチレン分散液4部を添加し混合して、正極合剤含有
ペーストを調製した。この正極合剤含有ペーストをニッ
ケル発泡体からなる導電性の多孔性基材に塗布、充填
し、80℃で1時間乾燥して正極合剤層を形成した後、
1トン/cm2 で加圧成形してシート状にした。これを
80℃のアルカリ水溶液(実施例1の場合と同様に、水
酸化リチウムを17g/l含有する30%水酸化カリウ
ム水溶液)に0.5時間浸漬処理したのち、80℃の空
気中で1時間熱処理を行い、70℃の温水で0.7時間
水洗し、さらに85℃の空気中で1時間乾燥後、加圧成
形し、所定サイズに裁断して、理論容量が660mAh
の非焼結式正極を製造した。
【0087】得られた正極中のコバルトの平均価数を実
施例4と同様に求めたところ2.72であった。そし
て、この非焼結式正極を用いた以外は実施例1と同様に
単4形アルカリ蓄電池を製造した。
【0088】実施例11 酸化ジルコニウム粉末0.2部に代えて、アナターゼ型
酸化チタン粉末0.2部を正極合剤含有ペースト中に含
有させた以外は、実施例10と同様に理論容量が660
mAhの非焼結式正極を製造し、かつ単4形のアルカリ
蓄電池を製造した。この実施例11のアルカリ蓄電池中
における正極中のコバルトの平均価数を実施例4と同様
に求めたところ2.73であった。
【0089】実施例12 酸化ジルコニウム粉末0.2部に代えて、酸化ハフニウ
ム粉末0.2部を正極合剤含有ペースト中に含有させた
以外は、実施例10と同様に理論容量が660mAhの
非焼結式正極を製造し、かつ単4形のアルカリ蓄電池を
製造した。この実施例12のアルカリ蓄電池中における
正極中のコバルトの平均価数を実施例4と同様に求めた
ところ2.74であった。
【0090】実施例13 酸化ジルコニウム粉末0.2部に代えて、酸化ジルコニ
ウム粉末0.1部とアナターゼ型酸化チタン粉末0.1
部を正極合剤含有ペースト中に含有させた以外は、実施
例10と同様に理論容量が660mAhの非焼結式正極
を製造し、かつ単4形のアルカリ蓄電池を製造した。こ
の実施例13のアルカリ蓄電池中における正極中のコバ
ルトの平均価数を実施例4と同様に求めたところ2.7
2であった。
【0091】実施例14 酸化ジルコニウム粉末0.2部に代えて、酸化ジルコニ
ウム粉末0.1部と酸化ハフニウム粉末0.1部を正極
合剤含有ペースト中に含有させた以外は、実施例10と
同様に理論容量が660mAhの非焼結式正極を製造
し、かつ単4形のアルカリ蓄電池を製造した。この実施
例14のアルカリ蓄電池中における正極中のコバルトの
平均価数を実施例4に求めたところ2.73であった。
【0092】実施例15 酸化ジルコニウム粉末0.2部に代えて、アナターゼ型
酸化チタン粉末0.1部と酸化ハフニウム粉末0.1部
を正極合剤含有ペースト中に含有させた以外は、実施例
10と同様に理論容量が660mAhの非焼結式正極を
製造し、かつ単4形のアルカリ蓄電池を製造した。この
実施例15のアルカリ蓄電池中における正極中のコバル
トの平均価数を実施例4と同様に求めたところ2.73
であった。
【0093】実施例16 酸化ジルコニウム粉末0.2部に代えて、酸化ジルコニ
ウム粉末0.06部とアナターゼ型酸化チタン粉末0.
06部と酸化ハフニウム粉末0.06部を正極合剤含有
ペースト中に含有させた以外は、実施例10と同様に理
論容量が660mAhの非焼結式正極を製造し、かつ単
4形のアルカリ蓄電池を製造した。この実施例16のア
ルカリ蓄電池中における正極中のコバルトの平均価数を
実施例4と同様に求めたところ2.72であった。
【0094】実施例17 電解液として、水酸化カリウムを26%、水酸化ナトリ
ウムを4%、水酸化リチウムを2%および酸化亜鉛を4
%含むアルカリ混合水溶液を用いた以外は、実施例13
と同様に理論容量が660mAhの非焼結式正極を製造
し、かつ単4形のアルカリ蓄電池を製造した。この実施
例17のアルカリ蓄電池中における正極中のコバルトの
平均価数を実施例4と同様に求めたところ2.73であ
った。
【0095】実施例18 実施例3の水酸化コバルト粒子で粒子表面を被覆した水
酸化ニッケル(コバルトが2%および亜鉛が3.5%固
溶し、細孔半径のピーク値が0.6nmである水酸化ニ
ッケルの粒子表面を厚み0.047nmの板状の水酸化
コバルト粒子で被覆したもので、その水酸化コバルト中
のコバルトの重量がもとの水酸化ニッケルに対して3.
7%であるもの)を正極活物質として用いた以外は、実
施例13と同様に理論容量が660mAhの非焼結式正
極を製造した。この正極中のコバルトの平均価数を実施
例4と同様に求めたところ2.69であった。
【0096】これを実施例13と同様の負極およびセパ
レータとともに巻回し、得られた巻回構造の電極体を電
極缶に挿入後、電解液として水酸化カリウムを26%、
水酸化ナトリウムを4%および水酸化リチウムを2%含
むアルカリ混合水溶液からなる電解液を注入した後、実
施例13と同様に電池缶の開口部を封口して、単4形の
アルカリ蓄電池を製造した。この実施例18のアルカリ
蓄電池中における正極中のコバルトの平均価数を実施例
4と同様に求めたところ2.69であった。
【0097】実施例19 水酸化コバルト粉末2部に代えて、水酸化コバルト粉末
1部と一酸化コバルト粉末1部を含有させた以外は、実
施例13と同様に理論容量が660mAhの非焼結式正
極を製造し、かつ単4形のアルカリ蓄電池を製造した。
この実施例19のアルカリ蓄電池における正極中のコバ
ルトの平均価数を実施例4と同様に求めたところ2.7
4であった。
【0098】実施例20 正極のアルカリ水溶液への浸漬処理およびそれに続く熱
処理を、35℃のアルカリ水溶液に2.4時間浸漬処理
したのち、110℃の空気中で0.2時間熱処理するこ
とによって行った以外は、実施例13と同様に理論容量
が660mAhの非焼結式正極を製造し、かつ単4形の
アルカリ蓄電池を製造した。この実施例20のアルカリ
蓄電池中における正極中のコバルトの平均価数を実施例
4と同様に求めたところ2.73であった。
【0099】実施例21 正極のアルカリ水溶液への浸漬処理およびそれに続く熱
処理を、100℃のアルカリ水溶液に0.2時間浸漬処
理したのち、35℃の空気中で2.4時間熱処理するこ
とによって行った以外は、実施例13と同様に理論容量
が660mAhの非焼結式正極を製造し、かつ単4形の
アルカリ蓄電池を製造した。この実施例21のアルカリ
蓄電池における正極中のコバルトの平均価数を実施例4
と同様に求めたところ2.72であった。
【0100】実施例22 正極のアルカリ水溶液への浸漬処理およびそれに続く熱
処理を、100℃のアルカリ水溶液に2.4時間浸漬処
理したのち、110℃の空気中で2.4時間熱処理した
以外は、実施例13と同様に理論容量が660mAの非
焼結式正極を製造し、かつ単4形のアルカリ蓄電池を製
造した。この実施例22のアルカリ蓄電池中における正
極中のコバルトの平均価数を実施例4に求めたところ
3.10であった。
【0101】上記実施例10〜22のアルカリ蓄電池
を、それぞれ70℃で6時間保存してから、25℃、
0.1C(70mA)で12時間充電し、0.2C(1
40mA)で1.0Vまで放電した。この充放電サイク
ルを放電容量が一定になるまで繰り返した後、正極の利
用率と高温貯蔵特性と高温充電特性(高温での充電効
率)を調べた。
【0102】まず、正極の利用率は、電池を25℃、
0.25C(175mA)で6時間充電し、休止1時間
後に0.2C(140mA)で1.0Vまで放電したと
きの放電容量を測定し、その放電容量の正極の理論容量
に対する割合で求めた。その結果を表3に示す。
【0103】また、高温貯蔵特性は、前記正極の利用率
を求めるために放電した放電後の電池を80℃で14日
間貯蔵した後、25℃、0.25C(175mA)で6
時間充電し、0.2C(140mA)で1.0Vまで放
電する放電を3サイクル繰り返し、3サイクル目の放電
容量と貯蔵前の放電容量を比較し、高温貯蔵特性を貯蔵
前の放電容量に対する回復率〔(3サイクル目の放電容
量÷貯蔵前の放電容量)×100〕で評価した。その結
果を表3に示す。
【0104】高温充電特性(高温での充電効率)は、2
5℃で0.2Cで1.0Vまで放電した電池を60℃で
4時間放置した後、1C(700mA)で1.3時間充
電し、1時間放置し、1C(700mA)で1.0Vま
で放電したときの放電容量を測定し、25℃で前記と同
様の条件での放置、充電および放電を行って測定した放
電容量と比較し、25℃での放電容量を100としたと
きの60℃での放電容量の割合〔(60℃での放電容量
÷25℃での放電容量)×100〕を高温での充電効率
として求めた。その結果を表3に示す。
【0105】また、前記比較例1〜2の電池について
も、上記実施例10〜22の電池と同様に、高温充電特
性(高温での充電効率)を調べた。その結果を先に調べ
ておいた正極の利用率および高温貯蔵特性の結果ととも
に表3に示す。
【0106】
【表3】
【0107】表3に示すように、実施例10〜22のア
ルカリ蓄電池は、正極の利用率が高く、かつ高温貯蔵特
性を示す回復率が高く、高温貯蔵特性が優れ、しかも高
温での充電効率が高く、高温充電特性が優れていた。こ
れは、本発明の実施例10〜22のアルカリ蓄電池で
は、厚さが0.025〜0.3μmの範囲の板状の水酸
化コバルト粒子で粒子表面が被覆され、かつコバルトお
よび亜鉛が固溶した水酸化ニッケルを正極活物質とし、
導電助剤として上記水酸化ニッケルの粒子表面を被覆す
る水酸化コバルト粒子以外にもコバルト化合物を含有さ
せ、かつジルコニウム、チタン、ハフニウムのいずれか
またはその化合物を含有させた非焼結式正極を用いたこ
とによるものであり、特に水酸化ナトリウムを含有する
電解液を用いた実施例17〜18のアルカリ蓄電池は高
温貯蔵後の特性劣化がより一層抑制され、高温貯蔵特性
が優れていた。
【0108】また、実施例13〜16のアルカリ蓄電池
では、ジルコニウム、チタン、ハフニウムのいずれかま
たはその化合物に関して、それらに属するもののうち2
種以上を併用しているが、これらの高温での充電効率は
それらを単独で用いた実施例10〜12のアルカリ蓄電
池より高く、高温充電特性が特に優れていた。
【0109】また、実施例19のアルカリ蓄電池では、
コバルト化合物として水酸化コバルトと一酸化コバルト
を併用して正極合剤含有ペースト中に含有させたが、コ
バルト化合物として水酸化コバルトのみを含有させた実
施例10のアルカリ蓄電池と同様の特性を有していた。
さらに、アルカリ水溶液への浸漬条件やそれに続く熱処
理条件を変動させた実施例20〜21のアルカリ蓄電池
も実施例10のアルカリ蓄電池と同様の特性を有してい
た。
【0110】これに対して、比較例1のアルカリ蓄電池
では水酸化ニッケルに亜鉛およびコバルトが固溶してお
らず、また、比較例2でのアルカリ蓄電池は水酸化コバ
ルト粒子の厚みが薄いため、高い利用率が得られなかっ
たことは、前記と同様であり、また、これらの比較例1
〜2のアルカリ蓄電池では、導電助剤として水酸化ニッ
ケルの粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒子以外にコ
バルト化合物を含有させていないため、高温貯蔵特性も
悪く、しかも、これらの比較例1〜2のアルカリ蓄電池
では、正極中にジルコニウム、チタン、ハフニウムのい
ずれかまたはその化合物のいずれも含有させていないた
め、高温貯蔵特性も悪かった。
【0111】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、厚み
が0.025〜0.3μmの範囲にある板状の水酸化コ
バルト粒子で粒子表面が被覆され、かつコバルトおよび
亜鉛が固溶した水酸化ニッケルを正極活物質として非焼
結式正極を構成することによって、正極の利用率を高め
ることができ、高容量のアルカリ蓄電池を提供すること
ができた。
【0112】また、本発明では、厚みが0.025〜
0.3μmの範囲にある板状の水酸化コバルト粒子で粒
子表面が被覆され、かつコバルトおよび亜鉛が固溶する
水酸化ニッケルを正極活物質として用い、さらに前記水
酸化ニッケルの粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒子
以外にもコバルト化合物を含有させて非焼結式正極を構
成することによって、正極の利用率が高く、高容量で、
かつ高温貯蔵特性の優れたアルカリ蓄電池を提供するこ
とができた。
【0113】さらに、本発明では、厚みが0.025〜
0.3μmの範囲にある板状の水酸化コバルト粒子で粒
子表面が被覆され、かつコバルトおよび亜鉛が固溶した
水酸化ニッケルを正極活物質として用い、前記水酸化ニ
ッケルの粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒子以外に
もコバルト化合物を含有させ、かつジルコニウム、チタ
ン、ハフニウムのいずれかまたはその化合物を含有させ
て非焼結式正極を構成することによって、正極の利用率
が高く、高容量で、かつ高温貯蔵特性が優れ、しかも高
温充電特性が優れたアルカリ蓄電池を提供することがで
きた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる板状の水酸化コバルト粒子で粒
子表面を被覆した水酸化ニッケルにおける水酸化ニッケ
ルの粒子表面を被覆する水酸化コバルト粒子の倍率50
000倍の電子顕微鏡写真である。
【図2】従来の水酸化コバルト粒子で粒子表面を被覆し
た水酸化ニッケルにおける水酸化ニッケルの粒子表面を
被覆する水酸化コバルト粒子の倍率50000倍の電子
顕微鏡写真である。
【図3】本発明に係るアルカリ蓄電池の一例を模式的に
示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 正極 2 負極 3 セパレータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長井 龍 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5H028 BB03 BB04 BB05 EE05 EE10 HH05 5H050 AA05 AA08 AA10 BA14 CA03 CA04 CB16 DA02 DA09 EA12 FA17 FA18 GA02 GA03 GA08 GA13 GA15 GA22 GA23 HA00 HA04

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚みが0.025〜0.3μmの範囲に
    ある板状の水酸化コバルト粒子で粒子表面が被覆され、
    かつコバルトおよび亜鉛が固溶した水酸化ニッケルを正
    極活物質とすることを特徴とするアルカリ蓄電池用非焼
    結式正極。
  2. 【請求項2】 厚みが0.025〜0.3μmの範囲に
    ある板状の水酸化コバルト粒子で粒子表面が被覆され、
    かつコバルトおよび亜鉛が固溶した水酸化ニッケルを正
    極活物質とし、さらに前記水酸化ニッケルの粒子表面を
    被覆する水酸化コバルト粒子以外にもコバルト化合物を
    含有することを特徴とするアルカリ蓄電池用非焼結式正
    極。
  3. 【請求項3】 厚みが0.025〜0.3μmの範囲に
    ある板状の水酸化コバルト粒子で粒子表面が被覆され、
    かつコバルトおよび亜鉛が固溶した水酸化ニッケルを正
    極活物質とし、前記水酸化ニッケルの粒子表面を被覆す
    る水酸化コバルト粒子以外にもコバルト化合物を含有
    し、かつジルコニウム、チタン、ハフニウムのいずれか
    またはその化合物を含有することを特徴とするアルカリ
    蓄電池用非焼結式正極。
  4. 【請求項4】 水酸化コバルト粒子およびコバルト化合
    物を構成するコバルトの平均価数が2.6〜3.1の範
    囲にあることを特徴とする請求項2または3記載の非焼
    結式正極。
  5. 【請求項5】 コバルト化合物が、一酸化コバルトまた
    は水酸化コバルトであることを特徴とする請求項2、3
    または4記載のアルカリ蓄電池用非焼結式正極。
  6. 【請求項6】 コバルト化合物以外に金属導電助剤を含
    有しないことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記
    載のアルカリ蓄電池用非焼結式正極。
  7. 【請求項7】 ジルコニウムの化合物が、ジルコニウム
    酸化物またはイットリウム部分安定化ジルコニウムであ
    ることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のア
    ルカリ蓄電池用非焼結式正極。
  8. 【請求項8】 チタンの化合物が、チタン酸化物である
    ことを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のアル
    カリ蓄電池用非焼結式正極。
  9. 【請求項9】 ハフニウムの化合物がハフニウム酸化物
    であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載
    のアルカリ蓄電池用非焼結式正極。
  10. 【請求項10】 厚みが0.025〜0.3μmの範囲
    にある板状の水酸化コバルト粒子で粒子表面が被覆さ
    れ、かつコバルトおよび亜鉛が固溶した水酸化ニッケル
    を含有する正極合剤含有ペーストを多孔性基材に塗布、
    充填し、乾燥して正極合剤層を形成し、加圧成形した
    後、アルカリ水溶液中に浸漬する工程と、その浸漬後に
    熱処理する工程とにより、前記水酸化コバルト粒子の酸
    化処理を行うことを特徴とする非焼結式正極の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 厚みが0.025〜0.3μmの範囲
    にある板状の水酸化コバルト粒子で粒子表面が被覆さ
    れ、かつコバルトおよび亜鉛が固溶した水酸化ニッケル
    と、コバルト化合物を含有する正極合剤含有ペーストを
    多孔性基材に塗布、充填し、乾燥して正極合剤層を形成
    し、加圧成形した後、アルカリ水溶液中に浸漬する工程
    と、その浸漬後に熱処理する工程とにより、前記水酸化
    コバルト粒子およびコバルト化合物の酸化処理を行うこ
    とを特徴とする非焼結式正極の製造方法。
  12. 【請求項12】 厚みが0.025〜0.3μmの範囲
    にある板状の水酸化コバルト粒子で粒子表面が被覆さ
    れ、かつコバルトおよび亜鉛が固溶した水酸化ニッケル
    と、コバルト化合物と、ジルコニウム、チタン、ハフニ
    ウムのいずれかまたはその化合物を含有する正極合剤含
    有ペーストを多孔性基材に塗布、充填し、乾燥して正極
    合剤層を形成し、加圧成形した後、アルカリ水溶液中に
    浸漬する工程と、その浸漬後に熱処理する工程とによ
    り、前記水酸化コバルト粒子およびコバルト化合物の酸
    化処理を行うことを特徴とするアルカリ蓄電池用非焼結
    式正極の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜9のいずれかに記載の非焼
    結式正極、負極およびアルカリ水溶液からなる電解液を
    有することを特徴とするアルカリ蓄電池。
  14. 【請求項14】 電解液が、水酸化カリウムを主成分と
    して含有し、さらに水酸化ナトリウムを含有することを
    特徴とする請求項13記載のアルカリ蓄電池。
  15. 【請求項15】 電解液中に亜鉛化合物を含有すること
    を特徴とする請求項13または14記載のアルカリ蓄電
    池。
JP2000301764A 1999-10-08 2000-10-02 アルカリ蓄電池用非焼結式正極、その製造方法および前記非焼結式正極を用いたアルカリ蓄電池 Pending JP2001332257A (ja)

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