JP3995383B2 - 水素吸蔵合金電極の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル−水素蓄電池の負極に用いられる電気化学的に水素の吸蔵・放出を可逆的に行うことができる水素吸蔵合金電極に係り、特に、水素吸蔵合金粉末の表面を活性にする表面処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アルカリ蓄電池は各種の電源として広く使われており、小型電池は各種の携帯用の電子、通信機器に、大型電池は産業用にそれぞれ使われている。この種のアルカリ蓄電池においては、正極としてはほとんどの場合がニッケル電極である。一方、負極の場合は、カドミウムの他に、亜鉛、鉄、水素等が使われるが、主としてカドミウム電極が主体である。
【0003】
近年、高エネルギー密度のアルカリ蓄電池とするために、水素吸蔵合金電極を用いたニッケル−水素蓄電池が注目され、実用化されるようになった。このニッケル−水素蓄電池に用いる水素吸蔵合金としては、Ti−Ni系合金、La(またはMm)−Ni系合金等が知られている。
このような水素吸蔵合金電極に用いられる水素吸蔵合金としては、合金塊(インゴット)、薄片もしくは球状粉を機械的または電気化学的に粉砕して得た粉砕合金、あるいはアトマイズ法、回転円盤法、回転ノズル法、単ロール法、双ロール法等により作製された球状あるいはその類似形状(回転楕円状など)の粉末が用いられる。
【0004】
ところで、水素吸蔵合金粉末の表面は非常に活性であるため、空気に僅かでも触れると、直ちに空気中の酸素と反応し、合金表面が酸化されて、酸化物の被膜が形成される。酸化物被膜は合金の表面活性度を低下させ、特に蓄電池の初期放電容量の低下の原因となる。このため、電池を組み立てた後、電池に充放電を数サイクルから数十サイクル繰り返して行なって酸化物被膜を除去し、粉末表面を活性化して、所望の放電容量を満足させる必要があるため、非常に手間と時間を要した。
【0005】
そこで、水素吸蔵合金粉末を酸性水溶液で処理した後、アルカリ性水溶液で処理することが特開平3−152868号公報にて提案されるようになった。この特開平3−152868号公報にて提案された処理方法においては、酸処理終了後にアルカリ水溶液で処理するので、水素吸蔵合金表面は水酸化物を主体とするポーラスな被膜で覆われるようになる。このため、この後、水素吸蔵合金が空気に曝されても水素吸蔵合金表面に緻密な酸化物被膜が生成されることがなくなって、電気化学的な活性度が損なわれることがないというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平3−152868号公報にて提案された処理方法においては、酸処理終了後に室温のアルカリ水溶液で処理しているため、アルカリ水溶液中に溶解した金属イオンを十分に除去することができず、溶解した金属イオンが再度水酸化物となって水素吸蔵合金表面に析出して、低温放電特性が低下するという問題を生じた。
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、表面処理液で溶解した金属イオンが再析出するのを防止して、低温放電特性に優れた水素吸蔵合金電極を得られるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記目的を達成するため、本発明の水素吸蔵合金電極の製造方法は、水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解させる溶解工程と、粉末表面が溶解された水素吸蔵合金を30℃以上で40℃以下のアルカリ溶液で洗浄する洗浄工程とを備えるようにしている。
【0008】
このように、水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解した後、30℃以上で40℃以下のアルカリ溶液で洗浄するようにすると、表面処理液で溶解した金属イオンはアルカリ溶液で完全に洗浄することができるので、溶解した金属イオンが再度水酸化物となって水素吸蔵合金表面に析出することはなく、特にニッケル−水素蓄電池においては電解液にアルカリ溶液を使用するため、アルカリ溶液で洗浄することで電池内での溶解を防止することができるようになる。このため、この水素吸蔵合金を用いた水素吸蔵合金電極の低温放電特性が向上する。
ここで、洗浄するアルカリ溶液の温度が40℃を超えると、水酸化物だけでなく、合金成分も溶出するようになるため、40℃以下にする必要がある。また、洗浄するアルカリ溶液の温度が30℃未満であると、洗浄効果を十分に発揮することができないため、30℃以上にする必要がある。
【0009】
また、本発明の水素吸蔵合金電極の製造方法は、水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解させる溶解工程と、粉末表面が溶解された水素吸蔵合金を水洗する水洗工程と、水洗された水素吸蔵合金を30℃以上で40℃以下のアルカリ溶液で洗浄する洗浄工程とを備えるようにしている。
表面処理液により溶出する溶出成分の多くはアルカリ領域で水酸化物の析出領域にあるため、最初にアルカリ溶液で洗浄すると、pH変化によって水酸化物などの析出が生じるために充分な効果が得られない。このため、表面処理液で溶解させた後、水洗工程で水洗するようにすると、溶出成分を除去することができるようになるので、この後に行うアルカリ溶液での洗浄効果を充分に発揮することができるようになる。
【0010】
さらに、本発明の水素吸蔵合金電極の製造方法は、水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解させる溶解工程と、粉末表面が溶解された水素吸蔵合金をpH4以下の酸溶液で処理する酸処理工程と、酸処理された水素吸蔵合金を30℃以上で40℃以下のアルカリ溶液で洗浄する洗浄工程とを備えるようにしている。
表面処理液により溶出する溶出成分の多くはアルカリ領域で水酸化物の析出領域にあるため、最初にpH4以下の弱酸溶液で処理すると、水酸化物が殆ど生じなくなる。このため、残存する金属イオンの析出を抑制した状態で洗浄できるようになって、この後に行うアルカリ溶液での洗浄効果を充分に発揮することができるようになる。
【0011】
そして、水素吸蔵合金の表面を表面処理液で処理するのは、水素吸蔵合金の表面積を増大させる効果と、水素吸蔵合金の表面を遷移金属リッチ層にする効果とを発揮させるためであるので、表面処理液としては60℃以上のアルカリ性溶液あるいはpH3以下の酸性溶液であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水素吸蔵合金電極をニッケル−水素蓄電池に適用した場合の本発明の一実施形態を説明する。
1.水素吸蔵合金粉末の作製
市販のMm(ミッシュメタル)、Ni(純度99.9%)、Co、Al、Mnをモル比が1.0:3.6:0.6:0.3:0.5の割合となるように混合した後、高周波溶解炉に投入して溶解させ、水冷した銅製ロール上で冷却して組成式MmNi3.6Co0.6Al0.3Mn0.5で表わされるような組成の水素吸蔵合金の塊を作製した。この水素吸蔵合金の塊を熱処理した後、ボールミル内に投入して、平均粒径が60μmになるように粉砕し、粉砕合金粉末とした。
【0013】
2.水素吸蔵合金粉末の表面処理
(1)実施例1
ついで、上述のようにして得られた水素吸蔵合金合金粉末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩酸溶液を排出し、40℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄して、表面処理した実施例1の水素吸蔵合金粉末aとした。
【0014】
(2)実施例2
同様に、上述のようにして得られた水素吸蔵合金合金粉末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩酸溶液を排出し、純水で水洗を充分に行った後、40℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄して、表面処理した実施例2の水素吸蔵合金粉末bとした。
【0015】
(3)実施例3
同様に、上述のようにして得られた水素吸蔵合金合金粉末1kgを100℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、水酸化カリウム水溶液を排出し、40℃の30質量%水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄して、表面処理した実施例3の水素吸蔵合金粉末cとした。
【0016】
(4)実施例4
同様に、上述のようにして得られた水素吸蔵合金合金粉末1kgを100℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、水酸化カリウム水溶液を排出し、純水で水洗を充分に行った後、40℃の30質量%水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄して、表面処理した実施例4の水素吸蔵合金粉末dとした。
【0017】
(5)実施例5
同様に、上述のようにして得られた水素吸蔵合金合金粉末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩酸溶液を排出し、pH4の酢酸で洗浄した後、40℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄して、表面処理した実施例5の水素吸蔵合金粉末eとした。
【0018】
(6)実施例6
同様に、上述のようにして得られた水素吸蔵合金合金粉末1kgを100℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、水酸化カリウム水溶液を排出し、pH4の酢酸で洗浄した後、40℃の30質量%水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄して、表面処理した実施例6の水素吸蔵合金粉末fとした。
【0019】
(7)実施例7
同様に、上述のようにして得られた水素吸蔵合金合金粉末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩酸溶液を排出し、30℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄して、表面処理した実施例7の水素吸蔵合金粉末gとした。
【0020】
(8)実施例8
同様に、上述のようにして得られた水素吸蔵合金合金粉末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩酸溶液を排出し、純水で十分に水洗を行った後、25℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄して、表面処理した実施例8の水素吸蔵合金粉末hとした。
【0021】
(9)実施例9
同様に、上述のようにして得られた水素吸蔵合金合金粉末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩酸溶液を排出し、純水で十分に水洗を行った後、30℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄して、表面処理した実施例9の水素吸蔵合金粉末iとした。
【0022】
(10)比較例1
ついで、上述のようにして得られた水素吸蔵合金合金粉末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩酸溶液を排出し、純水で十分に水洗を行って、表面処理した比較例1の水素吸蔵合金粉末xとした。
【0023】
(11)比較例2
同様に、上述のようにして得られた水素吸蔵合金合金粉末1kgを100℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、水酸化カリウム水溶液を排出し、純水で十分に水洗を行って、表面処理した比較例2の水素吸蔵合金粉末yとした。
【0024】
(12)比較例3
同様に、上述のようにして得られた水素吸蔵合金合金粉末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩酸溶液を排出し、25℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄して、表面処理した比較例3の水素吸蔵合金粉末zとした。
【0025】
3.水素吸蔵合金電極の作製
ついで、上述のようにして作製した実施例1〜9の水素吸蔵合金粉末a〜iおよび比較例1〜3の水素吸蔵合金粉末x,y,zを用いて、これらの水素吸蔵合金粉末100質量部と、結着剤としてのポリエチレンオキサイド(PEO)1質量%の水溶液20質量部とを混合してスラリーを調製し、このスラリーをニッケルメッキを施したパンチングメタルからなる芯体の両面に塗着し、室温で乾燥した後、所定の寸法に切断して、水素吸蔵合金電極A〜I,X〜Zを作製した。
なお、水素吸蔵合金粉末aを用いたものを水素吸蔵合金電極Aとし、同様に、水素吸蔵合金粉末b,c,d,e,f,g,h,iを用いたものをそれぞれ水素吸蔵合金電極B,C,D,E,F,G,H,Iとし、水素吸蔵合金粉末x,y,zを用いたものをそれぞれ水素吸蔵合金電極X,Y,Zとした。
【0026】
4.ニッケル−水素蓄電池の作製
ついで、これらの水素吸蔵合金電極A〜I,X〜Zを負極として用いて、正極として非焼結式ニッケル電極を用い、これらの間にセパレータを介在させて、渦巻状に巻回してそれぞれ電極群を作製した。ついで、これらの電極群を外装缶内に挿入し、各電極群の負極から延出する負極リードを外装缶の底部に溶接するとともに、各電極群の正極から延出する正極リードを封口体に溶接した後、封口体を外装缶の開口部に装着し、密閉してAAサイズで理論容量が1000mAhのニッケル−水素蓄電池をそれぞれ作製した。
【0027】
5.ニッケル−水素蓄電池の活性化
ついで、これらの各ニッケル−水素蓄電池を室温(25℃)で100mA(0.1C)の充電電流で16時間充電した後、1時間休止し、200mA(0.2C)の放電電流で放電終止電圧が1.0Vになるまで放電させた後、1時間休止させるという充放電サイクルを3サイクル行って、各ニッケル−水素蓄電池を活性化させた。
【0028】
6.低温放電特性試験
ついで、上述のように活性化した各ニッケル−水素蓄電池を室温(25℃)で100mA(0.1C)の充電電流で16時間充電した後、−10℃で1時間休止させ、−10℃で1000mA(1C)の放電電流で放電終止電圧が1.0Vになるまで放電させて、放電時間から低温(−10℃)での放電容量を求めた。ついで、この低温(−10℃)での放電容量を室温(25℃)での放電容量に対する比を求めると、下記の表1に示すような結果となった。
【0029】
【表1】
【0030】
表1の結果から明らかなように、比較例1の水素吸蔵合金粉末xのようにpH1の塩酸による酸処理、あるいは比較例2の水素吸蔵合金粉末yのように100℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液による熱アルカリ処理を施した後、アルカリ溶液による洗浄処理を施さないと低温特性が向上しないことが分かる。これは、塩酸あるいは熱アルカリで溶解した金属イオンが再度水酸化物となって水素吸蔵合金表面に析出し、ニッケル−水素蓄電池内でも金属イオンが溶解したためと考えられる。
【0031】
また、比較例3の水素吸蔵合金粉末zのようにpH1の塩酸による酸処理を施した後、25℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液による洗浄処理を施しても低温特性が向上しないことが分かる。これは、洗浄するアルカリ溶液の温度が30℃未満であると、洗浄効果を十分に発揮することができなかったためと考えられる。このため、洗浄するアルカリ溶液の温度は30℃以上にする必要がある。
【0032】
一方、pH1の塩酸による酸処理の後、40℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液による洗浄処理を施した実施例1の水素吸蔵合金粉末aを用いた電極A、100℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液による熱アルカリ処理を施した後、40℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液による洗浄処理を施した実施例3の水素吸蔵合金粉末cを用いた電極C、およびpH1の塩酸による酸処理の後、30℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液による洗浄処理を施した実施例7の水素吸蔵合金粉末gを用いた電極Gは、それぞれ低温特性が向上していることが分かる。
【0033】
これは、水素吸蔵合金の粉末表面を塩酸あるいは熱アルカリで溶解した後、30℃以上で40℃以下のアルカリ溶液で洗浄するようにすると、塩酸あるいは熱アルカリで溶解した金属イオンはアルカリ溶液で完全に洗浄することができるようになって、溶解した金属イオンが再度水酸化物となって水素吸蔵合金粉末表面に析出することがなくなったためと考えられる。そして、ニッケル−水素蓄電池は電解液にアルカリ溶液を使用するため、アルカリ溶液で洗浄することで電池内での溶解も防止することができるようになって、低温放電特性が向上したと考えられる。
この場合、洗浄するアルカリ溶液の温度が40℃を超えると、水酸化物だけでなく、合金成分も溶出するようになるため、40℃以下にする必要があり、洗浄するアルカリ溶液の温度が30℃未満であると、洗浄効果を十分に発揮することができないため、30℃以上にする必要がある。
【0034】
また、pH1の塩酸による酸処理の後、純水で水洗処理し、40℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液による洗浄処理を施した実施例2の水素吸蔵合金粉末bを用いた電極B、100℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液による熱アルカリ処理を施した後、純水で水洗処理し、40℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液による洗浄処理を施した実施例4の水素吸蔵合金粉末dを用いた電極D、pH1の塩酸による酸処理の後、純水で水洗処理し、30℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液による洗浄処理を施した実施例9の水素吸蔵合金粉末iを用いた電極Iは、それぞれ低温特性がさらに向上していることが分かる。
【0035】
これは、水素吸蔵合金の粉末表面を塩酸あるいは熱アルカリで溶解した溶出成分の多くはアルカリ領域で水酸化物の析出領域にあるため、最初にアルカリ溶液で洗浄すると、pH変化によって水酸化物などの析出が生じるが、水素吸蔵合金の粉末表面を塩酸あるいは熱アルカリで溶解した後、純水により水洗処理すると、溶出成分を除去することができるようになって、この後に行うアルカリ溶液での洗浄効果を充分に発揮することができるようになったためと考えられる。
【0036】
また、pH1の塩酸による酸処理の後、pH4の酢酸で酢酸処理し、40℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液による洗浄処理を施した実施例5の水素吸蔵合金粉末eを用いた電極E、100℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液による熱アルカリ処理を施した後、pH4の酢酸で酢酸処理し、40℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液による洗浄処理を施した実施例6の水素吸蔵合金粉末fを用いた電極Fは、水洗処理を施した電極B,Dよりもさらに低温特性が向上していることが分かる。
【0037】
これは、塩酸あるいは熱アルカリで溶解した溶出成分の多くはアルカリ領域で水酸化物の析出領域にあるため、最初にpH4以下の弱酸溶液(酢酸)で処理すると、水酸化物が殆ど生じなくなって、残存する金属イオンの析出を抑制した状態で洗浄できるようになる。このため、この後に行うアルカリ溶液での洗浄効果を充分に発揮することができるようになったためと考えられる。
【0038】
さらに、pH1の塩酸による酸処理の後、純水で水洗処理し、30℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液による洗浄処理を施した実施例9の水素吸蔵合金粉末iを用いた電極Iと、pH1の塩酸による酸処理の後、純水で水洗処理し、25℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液による洗浄処理を施した実施例8の水素吸蔵合金粉末hを用いた電極Hとを比較しても、低温特性はそれほど相違しないことが分かる。
【0039】
これは、水素吸蔵合金の粉末表面を塩酸(あるいは熱アルカリ)で溶解した後、純水により水洗処理すると、塩酸(あるいは熱アルカリ)で溶解した溶出成分が除去されているので、アルカリ溶液の温度は40℃以下であれば、30℃未満であってもよいことを意味しているということができる。
【0040】
上述したように、本発明においては、水素吸蔵合金の粉末表面を塩酸あるいは熱アルカリで溶解した後、30℃以上で40℃以下のアルカリ溶液で洗浄するようにしているので、塩酸あるいは熱アルカリで溶解した金属イオンはアルカリ溶液で完全に洗浄することができるようになって、溶解した金属イオンが再度水酸化物となって水素吸蔵合金粉末表面に析出することがない。そして、ニッケル−水素蓄電池は電解液にアルカリ溶液を使用するため、アルカリ溶液で洗浄することで電池内での溶解も防止することができるようになって、低温放電特性が向上する。
【0041】
また、水素吸蔵合金の粉末表面を塩酸あるいは熱アルカリで溶解した後、アルカリ溶液で洗浄する前に、純水で水洗処理したり、pH4以下の酢酸で弱酸処理するようにすると、塩酸(あるいは熱アルカリ)で溶解した溶出成分が除去されるようになるので、一層、アルカリ溶液での洗浄効果が発揮できるようになる。
Claims (5)
- 電気化学的に水素の吸蔵・放出を可逆的に行うことができる水素吸蔵合金を備えた水素吸蔵合金電極の製造方法であって、
前記水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解させる溶解工程と、
前記粉末表面が溶解された水素吸蔵合金を30℃以上で40℃以下のアルカリ溶液で洗浄する洗浄工程とを備えたことを特徴とする水素吸蔵合金電極の製造方法。 - 電気化学的に水素の吸蔵・放出を可逆的に行うことができる水素吸蔵合金を備えた水素吸蔵合金電極の製造方法であって、
前記水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解させる溶解工程と、
前記粉末表面が溶解された水素吸蔵合金を水洗する水洗工程と、
前記水洗された水素吸蔵合金を30℃以上で40℃以下のアルカリ溶液で洗浄する洗浄工程とを備えたことを特徴とする水素吸蔵合金電極の製造方法。 - 電気化学的に水素の吸蔵・放出を可逆的に行うことができる水素吸蔵合金を備えた水素吸蔵合金電極の製造方法であって、
前記水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解させる溶解工程と、
前記粉末表面が溶解された水素吸蔵合金をpH4以下の酸溶液で処理する酸処理工程と、
前記酸処理された水素吸蔵合金を30℃以上で40℃以下のアルカリ溶液で洗浄する洗浄工程とを備えたことを特徴とする水素吸蔵合金電極の製造方法。 - 前記表面処理液は60℃以上のアルカリ溶液であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
- 前記表面処理液はpH3以下の酸溶液であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
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