JP2001229922A - 水素吸蔵合金電極の製造方法 - Google Patents
水素吸蔵合金電極の製造方法Info
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Abstract
るのを防止して、高率放電特性および低温放電特性に優
れた水素吸蔵合金電極を得られるようにする。 【解決手段】 本発明の水素吸蔵合金電極の製造方法
は、水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解する溶
解工程と、粉末表面が溶解された水素吸蔵合金を30℃
以上で40℃以下のアルカリ溶液で洗浄する洗浄工程と
を備えている。表面処理液で溶解した金属イオンはアル
カリ溶液で完全に洗浄することができるので、溶解した
金属イオンが再度水酸化物となって水素吸蔵合金表面に
析出することはない。この場合、洗浄するアルカリ溶液
の温度が40℃を超えると、水酸化物だけでなく、合金
成分も溶出するようになるため、40℃以下にする必要
がある。また、洗浄するアルカリ溶液の温度が30℃未
満であると、洗浄効果を十分に発揮することができない
ため、30℃以上にする必要がある。
Description
電池の負極に用いられる電気化学的に水素の吸蔵・放出
を可逆的に行うことができる水素吸蔵合金電極に係り、
特に、水素吸蔵合金粉末の表面を活性にする表面処理に
関する。
として広く使われており、小型電池は各種の携帯用の電
子、通信機器に、大型電池は産業用にそれぞれ使われて
いる。この種のアルカリ蓄電池においては、正極として
はほとんどの場合がニッケル電極である。一方、負極の
場合は、カドミウムの他に、亜鉛、鉄、水素等が使われ
るが、主としてカドミウム電極が主体である。
とするために、水素吸蔵合金電極を用いたニッケル−水
素蓄電池が注目され、実用化されるようになった。この
ニッケル−水素蓄電池に用いる水素吸蔵合金としては、
Ti−Ni系合金、La(またはMm)−Ni系合金等
が知られている。このような水素吸蔵合金電極に用いら
れる水素吸蔵合金としては、合金塊(インゴット)、薄
片もしくは球状粉を機械的または電気化学的に粉砕して
得た粉砕合金、あるいはアトマイズ法、回転円盤法、回
転ノズル法、単ロール法、双ロール法等により作製され
た球状あるいはその類似形状(回転楕円状など)の粉末
が用いられる。
に活性であるため、空気に僅かでも触れると、直ちに空
気中の酸素と反応し、合金表面が酸化されて、酸化物の
被膜が形成される。酸化物被膜は合金の表面活性度を低
下させ、特に蓄電池の初期放電容量の低下の原因とな
る。このため、電池を組み立てた後、電池に充放電を数
サイクルから数十サイクル繰り返して行なって酸化物被
膜を除去し、粉末表面を活性化して、所望の放電容量を
満足させる必要があるため、非常に手間と時間を要し
た。
処理した後、アルカリ性水溶液で処理することが特開平
3−152868号公報にて提案されるようになった。
この特開平3−152868号公報にて提案された処理
方法においては、酸処理終了後にアルカリ水溶液で処理
するので、水素吸蔵合金表面は水酸化物を主体とするポ
ーラスな被膜で覆われるようになる。このため、この
後、水素吸蔵合金が空気に曝されても水素吸蔵合金表面
に緻密な酸化物被膜が生成されることがなくなって、電
気化学的な活性度が損なわれることがないというもので
ある。
3−152868号公報にて提案された処理方法におい
ては、酸処理終了後に室温のアルカリ水溶液で処理して
いるため、アルカリ水溶液中に溶解した金属イオンを十
分に除去することができず、溶解した金属イオンが再度
水酸化物となって水素吸蔵合金表面に析出して、高率放
電特性および低温放電特性が低下するという問題を生じ
た。そこで、本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであって、表面処理液で溶解した金属イオンが再
析出するのを防止して、高率放電特性および低温放電特
性に優れた水素吸蔵合金電極を得られるようにすること
を目的とする。
記目的を達成するため、本発明の水素吸蔵合金電極の製
造方法は、水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解
させる溶解工程と、粉末表面が溶解された水素吸蔵合金
を30℃以上で40℃以下のアルカリ溶液で洗浄する洗
浄工程とを備えるようにしている。
面処理液で溶解した後、30℃以上で40℃以下のアル
カリ溶液で洗浄するようにすると、表面処理液で溶解し
た金属イオンはアルカリ溶液で完全に洗浄することがで
きるので、溶解した金属イオンが再度水酸化物となって
水素吸蔵合金表面に析出することはなく、特にニッケル
−水素蓄電池においては電解液にアルカリ溶液を使用す
るため、アルカリ溶液で洗浄することで電池内での溶解
を防止することができるようになる。このため、この水
素吸蔵合金を用いた水素吸蔵合金電極の高率放電特性お
よび低温放電特性が向上する。ここで、洗浄するアルカ
リ溶液の温度が40℃を超えると、水酸化物だけでな
く、合金成分も溶出するようになるため、40℃以下に
する必要がある。また、洗浄するアルカリ溶液の温度が
30℃未満であると、洗浄効果を十分に発揮することが
できないため、30℃以上にする必要がある。
法は、水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解させ
る溶解工程と、粉末表面が溶解された水素吸蔵合金を水
洗する水洗工程と、水洗された水素吸蔵合金を40℃以
下のアルカリ溶液で洗浄する洗浄工程とを備えるように
している。表面処理液により溶出する溶出成分の多くは
アルカリ領域で水酸化物の析出領域にあるため、最初に
アルカリ溶液で洗浄すると、pH変化によって水酸化物
などの析出が生じるために充分な効果が得られない。こ
のため、表面処理液で溶解させた後、水洗工程で水洗す
るようにすると、溶出成分を除去することができるよう
になるので、この後に行うアルカリ溶液での洗浄効果を
充分に発揮することができるようになる。この場合、溶
出成分は水洗工程において既に洗浄されているので、ア
ルカリ溶液の温度は40℃以下であれば、30℃未満で
あってもよい。
方法は、水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解さ
せる溶解工程と、粉末表面が溶解された水素吸蔵合金を
pH4以下の酸溶液で処理する酸処理工程と、酸処理さ
れた水素吸蔵合金を40℃以下のアルカリ溶液で洗浄す
る洗浄工程とを備えるようにしている。表面処理液によ
り溶出する溶出成分の多くはアルカリ領域で水酸化物の
析出領域にあるため、最初にpH4以下の弱酸溶液で処
理すると、水酸化物が殆ど生じなくなる。このため、残
存する金属イオンの析出を抑制した状態で洗浄できるよ
うになって、この後に行うアルカリ溶液での洗浄効果を
充分に発揮することができるようになる。この場合も、
溶出成分は酸処理工程において既に除去されているの
で、アルカリ溶液の温度は40℃以下であれば、30℃
未満であってもよい。
で処理するのは、水素吸蔵合金の表面積を増大させる効
果と、水素吸蔵合金の表面を遷移金属リッチ層にする効
果とを発揮させるためであるので、表面処理液としては
60℃以上のアルカリ性溶液あるいはpH3以下の酸性
溶液であることが好ましい。
をニッケル−水素蓄電池に適用した場合の本発明の一実
施形態を説明する。 1.水素吸蔵合金粉末の作製 市販のMm(ミッシュメタル)、Ni(純度99.9%)、
Co、Al、Mnをモル比が1.0:3.6:0.6:
0.3:0.5の割合となるように混合した後、高周波
溶解炉に投入して溶解させ、水冷した銅製ロール上で冷
却して組成式MmNi3.6Co0.6Al0.3Mn0.5で表わ
されるような組成の水素吸蔵合金の塊を作製した。この
水素吸蔵合金の塊を熱処理した後、ボールミル内に投入
して、平均粒径が60μmになるように粉砕し、粉砕合
金粉末とした。
末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、
約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩
酸溶液を排出し、40℃の30質量%の水酸化カリウム
(KOH)水溶液で洗浄して、表面処理した実施例1の
水素吸蔵合金粉末aとした。
末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、
約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩
酸溶液を排出し、純水で水洗を充分に行った後、40℃
の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄
して、表面処理した実施例2の水素吸蔵合金粉末bとし
た。
末1kgを100℃の30質量%の水酸化カリウム(K
OH)水溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面
処理(溶解処理)を行った。その後、水酸化カリウム水
溶液を排出し、40℃の30質量%水酸化カリウム(K
OH)水溶液で洗浄して、表面処理した実施例3の水素
吸蔵合金粉末cとした。
末1kgを100℃の30質量%の水酸化カリウム(K
OH)水溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面
処理(溶解処理)を行った。その後、水酸化カリウム水
溶液を排出し、純水で水洗を充分に行った後、40℃の
30質量%水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄し
て、表面処理した実施例4の水素吸蔵合金粉末dとし
た。
末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、
約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩
酸溶液を排出し、pH4の酢酸で洗浄した後、40℃の
30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄し
て、表面処理した実施例5の水素吸蔵合金粉末eとし
た。
末1kgを100℃の30質量%の水酸化カリウム(K
OH)水溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面
処理(溶解処理)を行った。その後、水酸化カリウム水
溶液を排出し、pH4の酢酸で洗浄した後、40℃の3
0質量%水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄して、
表面処理した実施例6の水素吸蔵合金粉末fとした。
末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、
約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩
酸溶液を排出し、30℃の30質量%の水酸化カリウム
(KOH)水溶液で洗浄して、表面処理した実施例7の
水素吸蔵合金粉末gとした。
末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、
約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩
酸溶液を排出し、純水で十分に水洗を行った後、25℃
の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄
して、表面処理した実施例8の水素吸蔵合金粉末hとし
た。
末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、
約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩
酸溶液を排出し、純水で十分に水洗を行った後、30℃
の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液で洗浄
して、表面処理した実施例9の水素吸蔵合金粉末iとし
た。
末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、
約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩
酸溶液を排出し、純水で十分に水洗を行って、表面処理
した比較例1の水素吸蔵合金粉末xとした。
末1kgを100℃の30質量%の水酸化カリウム(K
OH)水溶液に添加し、混合撹拌して、約10分間表面
処理(溶解処理)を行った。その後、水酸化カリウム水
溶液を排出し、純水で十分に水洗を行って、表面処理し
た比較例2の水素吸蔵合金粉末yとした。
末1kgをpH1の塩酸溶液に添加し、混合撹拌して、
約10分間表面処理(溶解処理)を行った。その後、塩
酸溶液を排出し、25℃の30質量%の水酸化カリウム
(KOH)水溶液で洗浄して、表面処理した比較例3の
水素吸蔵合金粉末zとした。
吸蔵合金粉末a〜iおよび比較例1〜3の水素吸蔵合金
粉末x,y,zを用いて、これらの水素吸蔵合金粉末1
00質量部と、結着剤としてのポリエチレンオキサイド
(PEO)1質量%の水溶液20質量部とを混合してスラ
リーを調製し、このスラリーをニッケルメッキを施した
パンチングメタルからなる芯体の両面に塗着し、室温で
乾燥した後、所定の寸法に切断して、水素吸蔵合金電極
A〜I,X〜Zを作製した。なお、水素吸蔵合金粉末a
を用いたものを水素吸蔵合金電極Aとし、同様に、水素
吸蔵合金粉末b,c,d,e,f,g,h,iを用いた
ものをそれぞれ水素吸蔵合金電極B,C,D,E,F,
G,H,Iとし、水素吸蔵合金粉末x,y,zを用いた
ものをそれぞれ水素吸蔵合金電極X,Y,Zとした。
極として用いて、正極として非焼結式ニッケル電極を用
い、これらの間にセパレータを介在させて、渦巻状に巻
回してそれぞれ電極群を作製した。ついで、これらの電
極群を外装缶内に挿入し、各電極群の負極から延出する
負極リードを外装缶の底部に溶接するとともに、各電極
群の正極から延出する正極リードを封口体に溶接した
後、封口体を外装缶の開口部に装着し、密閉してAAサ
イズで理論容量が1000mAhのニッケル−水素蓄電
池をそれぞれ作製した。
℃)で100mA(0.1C)の充電電流で16時間充
電した後、1時間休止し、200mA(0.2C)の放
電電流で放電終止電圧が1.0Vになるまで放電させた
後、1時間休止させるという充放電サイクルを3サイク
ル行って、各ニッケル−水素蓄電池を活性化させた。
池を室温(25℃)で100mA(0.1C)の充電電
流で16時間充電した後、−10℃で1時間休止させ、
−10℃で1000mA(1C)の放電電流で放電終止
電圧が1.0Vになるまで放電させて、放電時間から低
温(−10℃)での放電容量を求めた。ついで、この低
温(−10℃)での放電容量を室温(25℃)での放電
容量に対する比を求めると、下記の表1に示すような結
果となった。
の水素吸蔵合金粉末xのようにpH1の塩酸による酸処
理、あるいは比較例2の水素吸蔵合金粉末yのように1
00℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液
による熱アルカリ処理を施した後、アルカリ溶液による
洗浄処理を施さないと低温特性が向上しないことが分か
る。これは、塩酸あるいは熱アルカリで溶解した金属イ
オンが再度水酸化物となって水素吸蔵合金表面に析出
し、ニッケル−水素蓄電池内でも金属イオンが溶解した
ためと考えられる。
うにpH1の塩酸による酸処理を施した後、25℃の3
0質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液による洗浄
処理を施しても低温特性が向上しないことが分かる。こ
れは、洗浄するアルカリ溶液の温度が30℃未満である
と、洗浄効果を十分に発揮することができなかったため
と考えられる。このため、洗浄するアルカリ溶液の温度
は30℃以上にする必要がある。
0℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液によ
る洗浄処理を施した実施例1の水素吸蔵合金粉末aを用
いた電極A、100℃の30質量%の水酸化カリウム
(KOH)水溶液による熱アルカリ処理を施した後、4
0℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液によ
る洗浄処理を施した実施例3の水素吸蔵合金粉末cを用
いた電極C、およびpH1の塩酸による酸処理の後、3
0℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液によ
る洗浄処理を施した実施例7の水素吸蔵合金粉末gを用
いた電極Gは、それぞれ低温特性が向上していることが
分かる。
るいは熱アルカリで溶解した後、30℃以上で40℃以
下のアルカリ溶液で洗浄するようにすると、塩酸あるい
は熱アルカリで溶解した金属イオンはアルカリ溶液で完
全に洗浄することができるようになって、溶解した金属
イオンが再度水酸化物となって水素吸蔵合金粉末表面に
析出することがなくなったためと考えられる。そして、
ニッケル−水素蓄電池は電解液にアルカリ溶液を使用す
るため、アルカリ溶液で洗浄することで電池内での溶解
も防止することができるようになって、高率放電特性お
よび低温放電特性が向上したと考えられる。この場合、
洗浄するアルカリ溶液の温度が40℃を超えると、水酸
化物だけでなく、合金成分も溶出するようになるため、
40℃以下にする必要があり、洗浄するアルカリ溶液の
温度が30℃未満であると、洗浄効果を十分に発揮する
ことができないため、30℃以上にする必要がある。
水で水洗処理し、40℃の30質量%の水酸化カリウム
(KOH)溶液による洗浄処理を施した実施例2の水素
吸蔵合金粉末bを用いた電極B、100℃の30質量%
の水酸化カリウム(KOH)水溶液による熱アルカリ処
理を施した後、純水で水洗処理し、40℃の30質量%
の水酸化カリウム(KOH)溶液による洗浄処理を施し
た実施例4の水素吸蔵合金粉末dを用いた電極D、pH
1の塩酸による酸処理の後、純水で水洗処理し、30℃
の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液による洗
浄処理を施した実施例9の水素吸蔵合金粉末iを用いた
電極Iは、それぞれ低温特性がさらに向上していること
が分かる。
るいは熱アルカリで溶解した溶出成分の多くはアルカリ
領域で水酸化物の析出領域にあるため、最初にアルカリ
溶液で洗浄すると、pH変化によって水酸化物などの析
出が生じるが、水素吸蔵合金の粉末表面を塩酸あるいは
熱アルカリで溶解した後、純水により水洗処理すると、
溶出成分を除去することができるようになって、この後
に行うアルカリ溶液での洗浄効果を充分に発揮すること
ができるようになったためと考えられる。
H4の酢酸で酢酸処理し、40℃の30質量%の水酸化
カリウム(KOH)溶液による洗浄処理を施した実施例
5の水素吸蔵合金粉末eを用いた電極E、100℃の3
0質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液による熱ア
ルカリ処理を施した後、pH4の酢酸で酢酸処理し、4
0℃の30質量%の水酸化カリウム(KOH)溶液によ
る洗浄処理を施した実施例6の水素吸蔵合金粉末fを用
いた電極Fは、水洗処理を施した電極B,Dよりもさら
に低温特性が向上していることが分かる。
た溶出成分の多くはアルカリ領域で水酸化物の析出領域
にあるため、最初にpH4以下の弱酸溶液(酢酸)で処
理すると、水酸化物が殆ど生じなくなって、残存する金
属イオンの析出を抑制した状態で洗浄できるようにな
る。このため、この後に行うアルカリ溶液での洗浄効果
を充分に発揮することができるようになったためと考え
られる。
純水で水洗処理し、30℃の30質量%の水酸化カリウ
ム(KOH)溶液による洗浄処理を施した実施例9の水
素吸蔵合金粉末iを用いた電極Iと、pH1の塩酸によ
る酸処理の後、純水で水洗処理し、25℃の30質量%
の水酸化カリウム(KOH)溶液による洗浄処理を施し
た実施例8の水素吸蔵合金粉末hを用いた電極Hとを比
較しても、低温特性はそれほど相違しないことが分か
る。
(あるいは熱アルカリ)で溶解した後、純水により水洗
処理すると、塩酸(あるいは熱アルカリ)で溶解した溶
出成分が除去されているので、アルカリ溶液の温度は4
0℃以下であれば、30℃未満であってもよいことを意
味しているということができる。
吸蔵合金の粉末表面を塩酸あるいは熱アルカリで溶解し
た後、30℃以上で40℃以下のアルカリ溶液で洗浄す
るようにしているので、塩酸あるいは熱アルカリで溶解
した金属イオンはアルカリ溶液で完全に洗浄することが
できるようになって、溶解した金属イオンが再度水酸化
物となって水素吸蔵合金粉末表面に析出することがな
い。そして、ニッケル−水素蓄電池は電解液にアルカリ
溶液を使用するため、アルカリ溶液で洗浄することで電
池内での溶解も防止することができるようになって、高
率放電特性および低温放電特性が向上する。
いは熱アルカリで溶解した後、アルカリ溶液で洗浄する
前に、純水で水洗処理したり、pH4以下の酢酸で弱酸
処理するようにすると、塩酸(あるいは熱アルカリ)で
溶解した溶出成分が除去されるようになるので、一層、
アルカリ溶液での洗浄効果が発揮できるようになる。こ
の場合、アルカリ溶液の温度は40℃以下であれば、3
0℃未満であってもよい。
Claims (5)
- 【請求項1】 電気化学的に水素の吸蔵・放出を可逆的
に行うことができる水素吸蔵合金を備えた水素吸蔵合金
電極の製造方法であって、 前記水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解させる
溶解工程と、 前記粉末表面が溶解された水素吸蔵合金を30℃以上で
40℃以下のアルカリ溶液で洗浄する洗浄工程とを備え
たことを特徴とする水素吸蔵合金電極の製造方法。 - 【請求項2】 電気化学的に水素の吸蔵・放出を可逆的
に行うことができる水素吸蔵合金を備えた水素吸蔵合金
電極の製造方法であって、 前記水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解させる
溶解工程と、 前記粉末表面が溶解された水素吸蔵合金を水洗する水洗
工程と、 前記水洗された水素吸蔵合金を40℃以下のアルカリ溶
液で洗浄する洗浄工程とを備えたことを特徴とする水素
吸蔵合金電極の製造方法。 - 【請求項3】 電気化学的に水素の吸蔵・放出を可逆的
に行うことができる水素吸蔵合金を備えた水素吸蔵合金
電極の製造方法であって、 前記水素吸蔵合金の粉末表面を表面処理液で溶解させる
溶解工程と、 前記粉末表面が溶解された水素吸蔵合金をpH4以下の
酸溶液で処理する酸処理工程と、 前記酸処理された水素吸蔵合金を40℃以下のアルカリ
溶液で洗浄する洗浄工程とを備えたことを特徴とする水
素吸蔵合金電極の製造方法。 - 【請求項4】 前記表面処理液は60℃以上のアルカリ
溶液であることを特徴とする請求項1から請求項3のい
ずれかに記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。 - 【請求項5】 前記表面処理液はpH3以下の酸溶液で
あることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか
に記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
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