JP2003092981A - 冷凍食品及びその製造方法 - Google Patents

冷凍食品及びその製造方法

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JP2003092981A
JP2003092981A JP2001294453A JP2001294453A JP2003092981A JP 2003092981 A JP2003092981 A JP 2003092981A JP 2001294453 A JP2001294453 A JP 2001294453A JP 2001294453 A JP2001294453 A JP 2001294453A JP 2003092981 A JP2003092981 A JP 2003092981A
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seafood
fish
frozen
superheated steam
freezing
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JP2001294453A
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English (en)
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Hideo Morita
日出男 森田
Satoshi Akazawa
智 赤澤
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MORITA FOOD TECHNO KK
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MORITA FOOD TECHNO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 解凍、調理して食する際に、生臭さが少な
く、食感がよく、さらには味がよくしみている魚介類の
煮物等が簡単に得られる冷凍食品を得る。 【解決手段】 生の魚介類を過熱水蒸気により加熱処理
する工程、前記魚介類を単独または他の食材と共に調味
料を添加して密封包装する工程、前記包装した魚介類を
不凍液中に高電位電場を与えながらブライン冷凍を行う
工程、を含む方法。この方法により得られる冷凍食品の
魚介類は殆ど生の状態である。前記過熱水蒸気による加
熱処理は過熱水蒸気温度が180〜300°C、処理時
間が30〜300秒の範囲で行う。前記包装にレンジ対
応包装材を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、解凍後の簡単な調
理で魚介類の煮物等が得られる魚介類の冷凍食品及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、志向の多様化が進み、女性の社会
進出の増加や少子高齢化社会が現実を帯びてくると共
に、利便性などといった面から惣菜市場、レトルト市場
および冷凍市場の伸長は著しいものがある。惣菜市場で
は調理済み食品の伸長が大きく、弁当、おにぎり、調理
パン、サラダ、野菜の煮付け、魚介類の焼き物、煮物等
多種多様であり、この流れは益々拡大するものと推察さ
れる。しかし、これら惣菜類はチルド食品においても保
存期問が短く、PH調整剤、日持ち向上剤を使って保存
期間を確保するも大幅な延長は望めず、食品添加物によ
り酸味が付加されたりして、味や香りに悪影響が出る。
また、健康指向の高まりから食品添加物等を出来るだけ
使用しない食品が望まれる現状にある。
【0003】長期保存する方法としては、レトルト処理
や冷凍保存がある。レトルト処理は常温で一年以上の保
存が可能であり、調理もパウチを開けて内容物を容器に
移すか、そのまま温めることにより簡単に食することが
出来る。しかしレトルト処理による風味の劣化、食感の
軟弱化、さらには、魚介類など和風食品では味の均一化
によるおいしさの劣化など欠点が多い。一方冷凍食品は
冷凍保存システムの普及により、家庭用や業務用に広く
利用されている。そして冷凍に適する食品製造技術の向
上にともない品目も多岐にわたり、電子レンジ等調理器
具の普及と相侯って増加の一途をたどっている。
【0004】食品を冷凍する工程において使用される凍
結装置には、冷却空気方式、ブライン冷却方式、接触凍
結方式等がある。一般に広く便用されている冷凍方法は
冷却空気方式で送風式、管棚式や流動式等がある。冷却
空気方式以外の冷凍装置ではブライン冷却方式のブライ
ン浸潰凍結、接触凍結方式ではコンタクトフリーザー、
スチールベルト冷却、フレキシブ接触凍結等の凍結装置
があり、その他液化ガスによる凍結装置がある。
【0005】このように、多くの種類の冷凍方法がある
がいずれにおいても食品を冷凍させるのに最も重要なこ
とは、可能な限り短時間で処理することである。これは
食品の冷凍時における品温経過において、最大氷結晶生
成帯(0°C〜−5°C)を可能な限り短時間で通過さ
せることであり、最大氷結晶生成帯を通過する時間が長
くなると、食品に含まれる水分によって形成される氷結
晶が大きくなり組織が破壊されてしまう。これによって
解凍時にはドリッブが多くなり、食品のエキスが流出し
て旨味がなくなり、色調が悪くなり、また食感が保持さ
れにくくなる。さらに組織破壊された魚介類では旨味成
分だけではなく、魚臭成分も組織の外に分散し、食品素
材全体に嫌な魚臭が拡がりいわゆる冷凍魚介類特有の冷
凍臭が生じることとなる。
【0006】現在のところ、魚介類の冷凍食品は解凍、
加熱調理して食するときに冷凍しない場合に比較して、
魚介類の嫌な魚臭が残り、食感が劣り、且つ色調や外観
にも新鮮さがない。これは、前記のいずれの凍結装置を
用いた場合でもみられる現象であり、魚介類の冷凍食品
において解凍、加熱調理後に生ずる魚介類の嫌な魚臭を
除き、食感が良く色調や外観にも新鮮さが残り、しかも
電子レンジなどの簡単な調理によって、おいしい魚介類
の煮物を提供する技術の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような現
状にかんがみてなされたものであり、その目的とすると
ころは、魚介類の冷凍食品を解凍、加熱調理後に食する
際の嫌な魚臭を除去でき、食感、味の浸透性を改善で
き、色調や外観に新鮮さを維持でき、また電子レンジな
どの簡単な調理によっておいしい魚介類の煮物等を得る
ことができる、冷凍食品及びその製造方法を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは魚介類の冷
凍食品の製造方法及び得られた冷凍食品の品質の向上に
ついて鋭意検討を行った結果、魚介類を過熱水蒸気にて
高温短時間処理し、調味液を添加した後、アルコール等
の不凍液中に高電位電場を与えながら浸漬してブライン
冷凍を行うことによって得られる冷凍食品が、解凍、加
熱調理しても嫌な魚臭が少なく、食感も低下せず、味の
浸透性を早くし、さらには色調や外観に新鮮さが維持で
きることを見出し、しかも電子レンジ等の簡単な調理に
よっておいしい魚介類の煮物を提供できる技術を開発
し、本発明の完成に至った。本発明の冷凍食品は、表面
を過熱蒸気で加熱処理された殆ど生の状態の魚介類を単
独で又は調味料と共に急速冷凍したものが電子レンジ対
応包装材で包装されていることを特徴とする。
【0009】この冷凍食品は、表面を過熱蒸気で加熱処
理されていることによって、殆ど生の状態でありながら
生臭さが除去されており、調理の際も食べるときもいや
な臭いがない。また、急速冷凍によるから、従来の冷凍
食品にありがちな魚介類の組織の破壊が少なく、おいし
さの低下が少なく、冷凍工程を経ていない生の魚介類と
同様な食感が得られる。そして、この冷凍食品は、包装
材のままで解凍して、例えば電子レンジで解凍して、調
理する。魚介類単独包装のものでは解凍後、所望の味付
けで煮る、焼く等の調理を行って食する。また、調味料
と共に包装してあるものでは、例えば、電子レンジで解
凍し引き続いて過熱することにより煮物として食する。
従って、調味料と共に包装したものでは極めて簡単に魚
介類の煮物を得ることができる。
【0010】本発明の方法は、魚介類に過熱蒸気を直接
接触させて表面を加熱処理する工程と、しかる後に前記
魚介類を単独で又は調味料と共に包装材で密封包装する
工程と、前記密封包装した魚介類を、高電位電場を与え
ながら不凍液中に浸漬してブライン冷凍する工程と、を
含むことを特徴とする。
【0011】前記表面を加熱処理する工程では、過熱水
蒸気が魚介類の表皮の側に当たると、表面に多数の微細
な空隙が生じて、魚介類の表皮や、表皮と肉組織の中間
層に蓄積する魚介類特有の生臭さを取り除くことができ
る。加熱は過熱水蒸気によるものであるから、酸素が少
ない無酸素状態に近い状態であり、酸化による劣化が少
なく、さらに、魚介類の表面に多量の水分が付着した状
態でなく、無水加熱に近い状態であるから、表面部分に
水分が少なく、水分が多いときのような組織変化がな
く、食材の劣化が少ない。また、表面に微細な空隙が生
じることにより、密封包装する工程において調味料を添
加した場合には、調味液が速やかに浸透することにな
る。これにより解凍して調理する際に、味付けのために
長時間を掛けて煮込む操作を大幅に短縮できるようにな
る。
【0012】前記密封包装することは、ブライン冷凍す
るためと、調味料と共に包装する場合には、後の解凍及
び調理が同時にできるようにするためである。冷凍工程
において高電位電場を与えるのは、凍結の際に低下して
いく魚介類の温度が、最大氷結晶生成帯(0〜−5°
C)をより速く通過させることができて、魚介類に含ま
れる水分によって形成される氷結晶の成長を抑制し、こ
れにより組織破壊を防止し、解凍したとき鮮度の高い生
の魚介類に近い組織の状態を保つことができるからであ
る。
【0013】得られた冷凍食品は、調味料と共に包装し
たものは解凍に続いてそのまま調理することができ、例
えば、魚と煮魚用の調味料とを共に包装してある場合に
は、解凍加熱と調理加熱を連続して行い、調理された煮
魚とすることができ、その調理加熱時間は魚が煮える程
度でよく、調味料を浸透させるための煮込み時間が必要
でなく、短時間で調理でき、味の良い煮魚が得られる。
また、魚介類を単独で包装したものは、解凍してから、
好みの味付けで調理を行うことになるが、解凍した段階
で食材の組織の劣化が少なく、元の冷凍前の素材に近い
状態であり、おいしい魚料理が得られる。
【0014】前記過熱水蒸気による加熱処理工程の処理
温度及び時間は、180〜300°Cで、30〜300
秒の範囲が望ましい。この加熱処理は、魚介類の表面部
分のみを処理するようにしたものであり、この範囲を上
に越えると魚介類の表皮がくずれたり、蛋白質が硬くな
り、食感が硬いものとなり好ましくないものとなるから
である。また、この範囲を下に越えると魚介類の生臭さ
が残り、調味料を加えた場合の浸透も悪く、解凍後の電
子レンジによる加熱調理で風味の良好な煮物が得られな
いからである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明において使用する素材とし
ての魚介類とは、海水、淡水にて獲れた魚介類や養殖さ
れた魚介類一般を云うもので、生のものであり、その利
用部位についても食用となればよく、限定されたもので
はない。また、魚介類と共に魚介類以外の食品材料を密
封包装する場合があり得るが、その場合に利用される食
品材料は、日常われわれが摂取している食品及びまたは
その加工品で調理を行うことができる原料であれば差支
えない。
【0016】本発明の方法においては魚介類を過熱水蒸
気で処理するが、その加熱に使用する過熱水蒸気発生装
置としては、例えば、電磁誘導加熱を利用した装置〈特
許第2953964号)等、二、三の装置が開発されて
いて、これを利用するのがよい。その概略の構成は、磁
束発生用のコイルと、このコイルへ中、高周波電流を供
給する中、高周波発振器と、磁束を受けて加熱するセラ
ミックの主熱交換部とからなり、その特徴は伝熱速度が
非常に速く、常温水をわずか数分で最高500°Cの過
熱された飽和水蒸気を得ることが可能である点であり、
ランニングコストの低減、含有酸素量の減少による食品
の酸化が起こりにくいことや、高温、短時間処理による
食品の殺菌等が期待されるものである。
【0017】また、本発明の方法に用いる冷凍装置の概
略は、次のようなものである。すなわち、ブライン冷凍
装置のブライン内に高電位電場発生手段の2本ある電極
の一方を挿入し、もう一方の電極は、ブライン冷凍装置
のブライン内に挿入せず絶縁処理を行い、2本の電極間
に電流が流れないようにする。これらの電極は、特公昭
38−6108号に示されているような高周波電位発生
装置の二次側に接続されているものである。ブラインは
冷凍装置に接続した冷凍機を用いて冷却し、駆動モータ
ーを使用した循環装置を用いてブラインを循環させるこ
とによりブラインの入っている槽内の温度を一定に保
つ。冷凍装置、高周波電位発生装置、およびブライン循
環装置の駆動モーターはそれらの設置に際し、床面と各
装置との間は絶縁碍子を支持体として用いる。ブライン
に用いる不凍剤は目的の温度で凍結しないものであれば
特に限定はなく、塩化カルシウム、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、エタノール等、およびこれ
らの混合物が挙げられる。
【0018】本発明の冷凍食品の製造方法では、過熱水
蒸気を200〜300°Cで30〜300秒間冷凍しよ
うとする魚介類の表皮の側にあてる。これにより、表面
に多数の微細な空隙が生じる。この操作によって、魚介
類の表皮や、表皮と魚介類の肉組織の中間層に蓄積する
特有の魚介類の生臭さを取り除くとともに、次工程の調
味料を添加する際、速やかに調味液が浸透する。そし
て、この過熱水蒸気の温度、時間を調節することによ
り、魚介類の蛋白質を表面に近い部分のみを変性させる
ことができる。これにより、魚介類を調理する際に調味
料の濁りを抑えることが出来て仕上がりのきれいな煮物
が得られる。
【0019】過熱水蒸気で処理する条件は、180〜3
00°C、30〜300秒程度が望ましく、魚介類の表
皮の厚さ、硬さによって、また魚介類の肉の柔らかさに
よって多少条件が異なる。いずれにしても、300°
C、300秒を越える加熱条件では魚介類の表皮がくず
れたり蛋白質が固くなって調味料を添加した冷凍食品を
解凍して加熱調理し食すると食感は硬いものとなり、ま
た好ましいものとはならないし加熱臭が生じる場合もあ
る。また180°C、30秒より低い場合は魚介類の生
臭さが発散しないで残り、調味料の浸透も悪く、解凍後
の電子レンジによる加熱調理では風味の良好な煮物が得
られない。
【0020】そして更に、魚介類の種類によって、過熱
水蒸気を与える条件は吟味する必要があるのは当然で、
肉の薄い魚や小型の魚は一般的に低い方の条件で処理
し、サバ等の皮の厚い魚等は高い方の条件で処理し、表
皮の穴(前記空隙)を充分にあける必要がある。
【0021】次にこのように適切に過熱水蒸気処理した
魚介類は、これを単独で包装材で密封包装し、あるいは
これにしょう油味、味噌味、みりん、清酒等の調味料を
加えて包装材で密封し、そして冷凍する。尚、包装材は
本発明の冷凍品を解凍後、または未解凍のまま包装材を
調理器具として使用し電子レンジ等で直接調理するため
にレンジ対応の包装材が望ましい。
【0022】冷凍工程は、包装した魚介類をブライン冷
凍装置により高電位電場を与えながら冷凍(以下、高電
位電場ブライン冷凍という)する。ブラインの温度は−
20〜−50°Cの範囲で、高電位電場発生手段の電位
は5〜100KVの範囲とするのが好ましい。
【0023】得られた魚介類の冷凍食品は、−18°C
以下で保存すればよく、冷凍保存装置においても−18
°C以下で保存できるものであれば特に限定されるもの
ではない。冷凍食品の流通過程、スーパー等の販売店に
おける陳列棚に置いてある場合も同様である。保存状態
にある冷凍食品は、必要に応じて解凍し調理して食す
る。その場合、冷凍品が調味料と共に包装されているも
のでは、例えば、解凍後または未解凍のままで包装材を
調理容器として使用し、電子レンジ等の調理器具によっ
て数分間程度で簡単に調理され、しかも生臭さがなく、
風味がよい、高品質の魚介類の煮物が得られる。また、
魚介類が単独で包装されているものでは、解凍後に、調
味料を加えて、焼く、煮る等の調理を行って同様に生臭
さがなく、風味がよい、高品質の魚介類の調理品とする
ことができる。
【0024】
【実施例】以下本発明を実施例によって更に具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0025】実施例1 市販のサバを3枚におろし、片身を2つ切にして一片7
0〜75gのものをベルトコンベアー式の中周波電磁誘
導加熱装置〈(株)モンド製〉に通して過熱水蒸気を与
えた。本装置は蒸気発生源としてボイラーを使用し、第
一次減圧弁(1.5kg/cm)、第二次減圧弁
(0.6kg/cm)で調整し、加熱条件は加熱温
度、処理時間を次に示す表1のように処理時間と加熱時
間を変えて、サバの表皮の壊れ具合、魚肉の崩れ具合や
魚の生臭さ等を評価した。評価は、まず予備試験として
過熱水蒸気を通したものに調味料を添加して、冷凍しな
いでそのままで調理したものについて行った。
【0026】尚、使用した調味料は、サバー切れに対し
てお魚つゆ〈市販品(宝酒造製)〉50ml、砂糖1.
5g、水20ml及び生姜(薄切り)3gである。調理
の結果はサバのように表皮が厚く、大ぶりな魚体は25
0〜300°C、90〜300秒が適していることが認
められた。即ち200°Cでは、表皮の破れはないが魚
臭が残り加熱不足気味であり、300°Cでは90秒が
良好であるが、300秒では明らかに過加熱となり、表
皮に焦げ目がついた。
【0027】
【表1】
【0028】官能評価は3人のパネラーによるものであ
り、a:極めて好ましい、b:好ましい、c:普通、
d:あまり好ましくない、e:好ましくない、の5段階
評価である。
【0029】次に、前記予備試験の結果を踏まえて、実
施例1として250°C、180秒と、比較例1として
無処理のサバの切り身2切れを電子レンジ対応の包装材
料に人れ、前記予備試験と同様に所定の調味料を添加
し、密封した。これをブラインに55%エチルアルコー
ルを使用し、15kvの高電位を与えながら、30分間
浸潰して高電位電場ブライン冷凍による冷凍を行い、−
30°Cに設定した冷凍庫で2週間保存した。保存した
冷凍食品を常温で解凍後、500W電子レンジで約6分
加熱後、官能評価を行った。その官能評価の結呆を表2
に示す。
【0030】
【表2】
【0031】官能評価法は4点法(0点:よくない、1
点:普通、2点:良い、3点:非常に良い)であり、表
の値はパネラー10名による合計点を示す。評価の対象
としたのは、表皮が破れていない、魚の生臭さが消えて
いる、および味がよく浸透している、でこれらの総合評
価である。表2より、過熱水蒸気処理と高電位電場冷凍
による相乗作用が認められ、10人中8人が非常に良い
煮魚の冷凍食品として評価していることがわかる。従っ
て、サバ煮魚の冷凍食品の加熱処理としての過熱水蒸気
は、サバの切り身の大きさによっても差が認められる
が,70g〜75g程度であれば、250°C〜300
°C、90秒〜180秒程度の処理が好ましいことが明
らかとなった。
【0032】実施例2 市販の生カレイ240gを2つ身として、表皮を上にし
て実施例1のベルトコンベアー式過熱水蒸気発生装置に
通して加熱処理を行った。加熱処理の条件は200〜2
80°C、30〜120秒で処理した後、レンジ対応の
容器に人れ所定の調味料を添加した後密閉してアルコー
ルブライン冷凍した。尚、使用した調味料は、カレイ2
切れ(240g)にお魚つゆ〈市販品(宝酒造製)〉1
10m1、砂糖3,3g、水45m1及び生妾(薄切
り)6gであり、冷凍条件は−35°C、30分間、電
位は15KVで処理した。官能評価の結果を表3に示
す。官能評価は、3人のパネラーによるもので、a:極
めて好ましい、b:好ましい、c:普通、d:あまり好
ましくない、e:好ましくない、の5段階である。
【0033】
【表3】
【0034】表3の結果から分かるように、カレイのよ
うに表皮の薄い魚は、略240°C、30秒〜60秒が
適切で、サバと比較して低温、短時間の処理でも生臭さ
も少なく、表面の穴も充分あり、調味料の浸透性も良か
った。また、過熱水蒸気による加熱処理240°C、6
0秒間で処理したカレイについて、一般の急速冷凍品と
上記のアルコールブラインで高電位電場処理の冷凍品を
比較した結果、後者の方が生臭さも少なく冷凍臭がなか
った。これは、アルコールブライン高電位電場により0
°Cから−10°Cくらいまでの温度低下速度が早く、
いわゆる最大氷結晶温度帯を早くくぐり抜けることと、
高電位電場による氷のクラスター生成を抑えることによ
るものと考えられる。このことは実験により発明者らが
確認したことに基づくものである。
【0035】実施例3 市販のイワシの内臓を除去した後、実施例1のベルトコ
ンベアー式過熱水蒸気発生装置に通して加熱処理を行っ
た。加熱処理の条件は180〜260°C、30〜12
0秒で処理した後、予備試験として、調味科を加え鍋で
加熱調理を行い、生臭さの多少、表皮の壊れ具合や味の
浸透性等で官能評価を行った。官能評価結果を表4に示
す。
【0036】
【表4】
【0037】官能評価は5人によるパネラーによるもの
で、a:極めて好ましい、b:好ましい、c:普通、
d:あまり好ましくない、e:好ましくない、の5段階
評価である。尚、調味料は生イワシ100g(4匹)当
りお魚つゆ〈市販品(宝酒造製)〉50m1.氷20m
l、生妾(キザミ)3gである。官能評価の結果、カレ
イよりも低い加熱条件である220°C、30〜60秒
間が比較的表皮も破れにくく、生臭さも少なく、味も良
くしみていた。
【0038】前記予備試験の結果を踏まえた、実施例3
及び比較例3として、220°C、60秒間の過熱水蒸
気を通した生イワシ各4匹をレンジ対応容器に入れ、調
味料を添加して密封後、一般急速冷凍及びアルコールブ
ライン高電位電場(−30°C、35分間、20kv)
による冷凍処理を行った。20日後、未解凍のまま電子
レンジ(750w)にて8分間調理して、両者の官能評
価を行ったところ、アルコールブライン高電位電場処理
したもの(実施例3)の生臭さは一般急速冷凍したもの
(比較例3)よりも一段と少なく、味の浸透もよく、未
冷凍品と比較しても遜色なかった。
【0039】実施例4 生イカ(紋甲)の内臓等を除いて開き、実施例1のベル
トコンベアー式過熱水蒸気発生装置に通して加熱処理を
行った。加熱処理条件は実施例3と同様に処理した。こ
の生イカ400gに調味料として清酒2カップ、みりん
1カップ、砂糖大さじ5、及び水3カップを用い、予備
試験として、そのまま鍋で調理した結果、生臭さの少な
い、表皮の破れにくい条件は、220°C、60秒間処
理したものであった。
【0040】次にこの予備試験の結果を踏まえ、実施例
4は、イカと大根の煮物が得られる冷凍食品とした。イ
カと共に包装する大根は、1.5cmの厚みのもの4切
れを、前処理として60°C、60分間水煮をして冷凍
耐性を強くした。この前処理した大根と、新たに220
°C、60秒間過熱水蒸気で加熱処理したイカ400g
を適当な大きさに切断したものと共に、清酒2カップ、
みりん1カップ、砂糖大さじ5および水4カップの調味
料を、電子レンジ対応袋に入れて密封し、アルコールブ
ライン高電位電場冷凍(実施例4)、高電位電場を与え
ないアルコールブライン冷凍(比較例4−1)、及び一
般の急速冷凍(比較例4−2)を行った。各冷凍品を2
0日後に解凍してから、電子レンジ(500w)で6分
調理して官能評価を行った。冷凍条件および官能評価の
結果を表5に示す。
【0041】
【表5】
【0042】官能評価は8名のパネラーによリ、点4点
法(0点:良くない、1点普通、2点良い、3点非常に
良い)とし、合計点で示してある。一般の急速冷凍した
ものと比較して、アルコールブライン高電位電場は冷凍
臭も少なく、風味がよく、食感も良好であった。
【0043】実施例5 生きたあわびに包丁目を入れ裏側は少し針で刺したもの
を実施例1のベルトコンベアー式過熱水蒸気発生装置に
通して加熱処理を行った。加熱処理後のあわび一個に、
赤ワイン150ml、淡口醤油少々、砂糖少々、食塩少
々の調味料を加えて、レンジ対応包装材に入れて密封
し、冷凍した。30日間冷凍保存後、流水解凍して電子
レンジ(500w)で約8分間加熱調理して官能評価を
行った。加熱処理及び冷凍処理条件を表6に示すが、加
熱処理条件はあらかじめ予備実験により250°C、1
20秒が適当であると認められていたのでその条件で処
理した。
【0044】
【表6】
【0045】表6の比較例5−1〜比較例5−5、及び
実施例5について、味の浸透性、食感を主とした官能評
価を行い、その結果を表7に示す。
【0046】
【表7】
【0047】パネラーは8人で、4点法(0点:悪い、
1点:あまり好ましくない、2点:好い、3点:非常に
好い)によりその合計点で評価した。表7から味の浸透
性には過熱水蒸気による処理、食感にはアルコールブラ
イン高電位電場に効果が見られる。この結果から過熱水
蒸気による加熱処理とアルコールブライン高電位電場に
よる冷凍方法の組み合わせにより、品質の良いあわびの
和風赤ワイン煮が得られる冷凍食品が得られた。
【0048】実施例6 冷凍サバ(ノルウェー産)のフィレーを2つに切り、実
施例1のベルトコンベアー式過熱水蒸気発生装置に通し
て加熱処理を行った。加熱処理後、2切れを味噌味調味
料とレンジ対応袋に入れ密封し冷凍した。20日間冷凍
保存後、未解凍のまま電子レンジ(700w)にて8分
間で、解凍、加熱調理をし、官能評価を行った。尚、調
味料は、サバ2切れ(140g)あたりお魚つゆ〈市販
品(宝酒造製)〉50ml、砂糖14g、田舎味噌18
g、赤味噌6g、及び生姜(千切り)3,0gを使用し
た。加熱処理及ぴ冷凍処理条件を表8に示すが、加熱処
理は生サバの最適条件である250°C、90秒間を使
用した。表8の比較例6−1〜比較例6−5、及び実施
例6について、生臭さの低さ、味の浸透性を主とした官
能評価を行い、その結果を表9に示す。
【0049】
【表8】
【0050】
【表9】
【0051】パネラーは8人で、4点法(0点:悪い、
1点:あまり好ましくない、2点:好い、3点:非常に
好い)によりその合計点で評価した。表9から味の浸透
性には過熱水蒸気が効果的に働いており、生臭さの低さ
(風味の良さ)には過熱水蒸気による加熱処理とアルコ
ールブライン高電位電場冷凍の相乗効果が認められる。
アルコールブライン高電位電場冷凍による生臭さの低下
は、冷凍による魚の組織破壊が少なく、ドリッブが生じ
ないためと考えられる。テストでは冷凍サバにも効果が
認められ、一時凍結をした原科を利用しても本発明方法
が有効であることがわかる。
【0052】
【発明の効果】本発明は、冷凍食品の製造方法におい
て、冷凍する前に過熱水蒸気による加熱処理を適用し、
次いで高電位電場ブライン冷凍を行うことにより、解凍
し加熱調理して食する際の生臭さの低さ、味の浸透性の
よさ、食感が実質的に冷凍していない前のものを上手に
調理したのと同等である、魚介類の生の状態の冷凍食品
を提供できる効果を奏する。さらに、前記魚介類を電子
レンジ対応の包装材に調味料と共に入れる方法を採用す
ることにより、手間が掛かる魚介類の煮物が、短時間で
簡単にしかも良質のものが得られる冷凍食品とすること
ができる効果を奏する。本発明の冷凍食品は、解凍によ
り加熱調理直前の準備ができていて、生臭さを除かれた
生の食材が得られるから、調理が容易であり、短時間で
おいしい魚料理が得られる効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤澤 智 兵庫県神戸市東灘区本山北町2丁目8番9 号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面を過熱蒸気で加熱処理された殆ど生
    の状態の魚介類を単独で又は調味料と共に急速冷凍した
    ものが電子レンジ対応包装材で包装されていることを特
    徴とする冷凍食品。
  2. 【請求項2】 魚介類に過熱蒸気を直接接触させて表面
    を加熱処理する工程と、しかる後に前記魚介類を単独で
    包装材により密封包装する工程と、前記密封包装した魚
    介類を、高電位電場を与えながら不凍液中に浸漬してブ
    ライン冷凍する工程と、を含む冷凍食品の製造方法。
  3. 【請求項3】 魚介類に過熱蒸気を直接接触させて表面
    を加熱処理する工程と、しかる後に前記魚介類を調味料
    と共に包装材により密封包装する工程と、前記密封包装
    した魚介類を、高電位電場を与えながら不凍液中に浸漬
    してブライン冷凍する工程と、を含む冷凍食品の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記過熱水蒸気による加熱処理工程の処
    理温度及び時間が、180〜300°Cで、30〜30
    0秒の範囲であることを特徴とする請求項2、又は請求
    項3に記載の冷凍食品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記包装材が、電子レンジ対応包装材で
    あることを特徴とする請求項2、請求項3、又は請求項
    4に記載の冷凍食品の製造方法。
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